伯備線

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JR logo JRgroup.svg 伯備線
伯備線を走行する「サンライズ出雲」(備中川面駅 - 方谷駅間)
伯備線を走行する「サンライズ出雲
(備中川面駅 - 方谷駅間)
路線総延長 138.4 km
軌間 1067 mm
電圧 1500 V 架空電車線方式直流
最小半径 200 m
最高速度 120 km/h

伯備線(はくびせん)は、岡山県倉敷市倉敷駅から新見駅を経て、鳥取県米子市伯耆大山駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線幹線)。

概要[編集]

山陽地方山陰地方を結ぶ陰陽連絡路線の一つであり、中国山地を越えて鳥取県(伯耆国)と岡山県(備中国)を結んでいる。陰陽連絡路線では初めて電化や改良工事が行われるなどし、陰陽連絡路線では最も運転本数が多い。倉敷駅 - 新郷駅間は高梁川水系、上石見駅 - 伯耆大山駅間は日野川水系に沿って走行し、曲線と急勾配が多い。

倉敷駅 - 新郷駅間はJR西日本岡山支社が管轄、上石見駅 - 伯耆大山駅間は同米子支社が管轄している(両支社の境界は新郷駅 - 上石見駅の中間付近で、谷田トンネルの新見寄り出入口の手前にある)。岡山支社管内で独自に設定されているラインカラーは朱色()。なお、米子支社ではラインカラーは山陰本線(管轄外であるが山陽本線も)に青色を使用している以外は導入されていない。

倉敷駅 - 備中高梁駅間がIC乗車カードICOCA」の岡山・広島エリアのうち、岡山・福山地区に含まれている[1]

路線データ[編集]

  • 管轄・路線距離(営業キロ):
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:28(起終点駅含む)
    • 伯備線所属駅に限定した場合、山陽本線所属の倉敷駅と山陰本線所属の伯耆大山駅[2]が除外され、26駅となる。
  • 複線区間:倉敷駅 - 備中高梁駅間、井倉駅 - 石蟹駅間
  • 電化区間:全線(直流1500V)
  • 閉塞方式:複線自動閉塞式(複線区間)、単線自動閉塞式(単線区間)
    • 交換可能駅:武庫駅をのぞく全駅
  • 最高速度:
    • 倉敷駅 - 備中高梁駅間:120km/h(381系
    • 備中高梁駅 - 江尾駅間:110km/h(381系)
    • 江尾駅 - 伯耆大山駅間:120km/h(381系)
  • 最小曲線:200R
  • 最急勾配:25
  • 運転指令所
    • 倉敷駅 - 新郷駅間:岡山輸送指令所
    • 新郷駅 - 伯耆大山駅間:米子運輸指令室

沿線概況[編集]

瀬戸内側の倉敷駅では4番のりばから発車し[3]、右に大きくカーブをして北上する。ほどなくして高梁川が左手に見え、新見駅まで高梁川の渓谷を遡る。総社駅を出ると谷間に入り、豪渓駅 - 新見駅間は国道180号とともに高梁川の渓谷を眺める車窓が続く。このうち、井倉駅 - 石蟹駅間は高梁川が最も蛇行する区間で伯備線もその流れに沿って運転されていたが、複線化に伴い経路が変更された。旧線跡は自転車道に転用されている。

新見駅は姫新線芸備線の列車が乗り入れ、かつては新見機関区も設けられた交通の要衝であった。芸備線は新見駅の2つ先の備中神代駅から分岐している。

新郷駅 - 上石見駅間にある谷田峠トンネルで岡山県から鳥取県に入り、日野川に沿って日本海側に至る。伯耆溝口駅を過ぎたあたりから右手には大山を見ることができ、米子平野の中を進んでいくと、米子自動車道が近づき、左に大きくカーブして西向きに変えると伯備線の終点である伯耆大山駅に到着する。

運行形態[編集]

優等列車[編集]

山陽地方と山陰地方を連絡する列車として、岡山駅 - 出雲市駅間の特急やくも」が約1時間間隔で1日15往復運行されている。また、東京駅 - 出雲市駅間の寝台特急「サンライズ出雲」も伯備線を経由する。

地域輸送[編集]

普通列車は新見駅で運転系統が分かれているが、全線を通して運転する列車も上下2本ずつ設定されている。ながらく伯備線のみを走行する列車はなかったが、2014年3月のダイヤ改正で早朝に1本備中高梁駅始発の倉敷行きが設定された。それ以外の列車は倉敷側は岡山駅、伯耆大山側は全列車が米子駅まで乗り入れる。さらに岡山駅からは山陽本線や赤穂線を介し姫路駅まで(かつては西明石駅まで)、米子駅からは山陰本線西出雲駅まで直通する列車もある。普通列車の車両の夜間滞泊備中高梁駅と新見駅で行われている。

岡山駅 - 備中高梁駅間は毎時2本程度、備中高梁駅 - 新見駅間は毎時1本程度(ただし2時間近く開く時間帯もある)の運転となる。編成は2・3・4・6・7両編成であり、2両編成の列車は一部列車をのぞいてワンマン運転を行う。かつては岡山駅 - 新見駅間にて快速列車が設定されていた時期もあったが、現在は各駅停車化されている。なお、木野山駅以北の区間ではドアの開閉は通年各駅半自動扱いとなる。また、清音駅 - 総社駅間は井原鉄道の第二種鉄道事業区間で伯備線と施設を共用しており、井原鉄道井原線の列車も運行される。ただしこの区間で井原鉄道の列車に乗車する場合、JRの乗車券は使用できない。

新見駅 - 生山駅間は2 - 3時間に1本程度の運転で下り列車は最大4時間ほど普通列車が設定されていない時間帯がある。生山駅 - 米子駅間は1 - 2時間に1本程度運転されている。主に2両編成の115系電車を用いて、大半の列車がワンマン運転を行っている。なお、2014年3月15日のダイヤ改正で、新見駅 - 米子駅間の昼間と夜間の各1往復に岡山支社所属の気動車キハ120形が投入された。新見駅 - 備中神代駅間には芸備線の列車が乗り入れ、途中の布原駅には芸備線直通列車のみが停車する。また、平日夜間にある米子発根雨行きの列車は米子支社所属の気動車で運転されている[4]

貨物列車[編集]

貨物列車も運転され、コンテナ車で編成された高速貨物列車が1日4往復設定されている。牽引機はEF64形電気機関車である。かつては、新見市内の駅からセメント製鋼生石灰などが発送されていたが、1986年までにすべて廃止された。

使用車両[編集]

電車[編集]

気動車[編集]

電気機関車[編集]

  • 工事列車
    • EF65形(倉敷駅 - 新見駅間)

貨車[編集]

歴史[編集]

建設は南北から進められた。最初に開業したのは北側の伯耆溝口駅 - 伯耆大山駅間で1919年のことである。1926年に足立駅まで到達した。一方、南側は倉敷駅 - 宍粟駅(現在の豪渓駅)間が伯備南線として1925年に開業。以後順次延伸され、備中川面駅まで開業したのは1927年、備中川面駅 - 新見駅 - 足立駅間が開業し全通したのは1928年のことである。

ローカル線規格の丙線として建設されており、陰陽連絡線としてはあまり重要視されてこなかった。しかし1972年の山陽新幹線新大阪駅 - 岡山駅間の開業により状況は一変し、米子・松江方面への短絡ルートとして整備されることとなり、キハ181系による特急「やくも」が設定された。さらに一部区間の付け替え・複線化などの改良整備が行われ、直流電化とともに振り子式電車381系が投入された。

改良が行われる一方、険しい中国山地や新見駅周辺の阿哲渓谷を貫くため単線区間や急カーブも随所に残り、振り子機構を持たない普通列車は備中高梁以北においてしばしば60km/h制限を受けるなど高速化の障害となっている。なお、利便性向上のため将来的にフリーゲージトレインの導入が検討されている。

年表[編集]

伯備北線[編集]

  • 1919年大正8年)8月10日伯備北線 伯耆大山駅 - 伯耆溝口駅間(7.0M≒11.27km)が開業。岸本駅・伯耆溝口駅が開業。
  • 1922年(大正11年)
    • 3月25日:伯耆溝口駅 - 江尾駅間(5.7M≒9.17km)が延伸開業。江尾駅が開業。
    • 7月30日:江尾駅 - 根雨駅間(4.2M≒6.76km)が延伸開業。根雨駅が開業。
    • 11月10日:根雨駅 - 黒坂駅間(4.7M≒7.56km)が延伸開業。黒坂駅が開業。
  • 1923年(大正12年)11月28日:黒坂駅 - 生山駅間(5.2M≒8.37km)が延伸開業。生山駅が開業。
  • 1924年(大正13年)12月6日:生山駅 - 上石見駅間(5.4M≒8.69km)が延伸開業。上石見駅が開業。
  • 1925年(大正14年)4月1日:上菅駅が開業。
  • 1926年(大正15年)12月1日:上石見駅 - 足立駅間(6.0M≒9.66km)が延伸開業。足立駅が開業。
  • 1928年昭和3年)10月25日:上石見 - 足立間が休止。

伯備南線[編集]

  • 1925年(大正14年)
    • 2月17日伯備南線 倉敷駅 - 宍粟駅間(9.5M≒15.29km)が開業。清音駅、西総社駅(現在の総社駅)、宍粟駅(現在の豪渓駅)が開業。
    • 5月17日:宍粟駅 - 美袋駅間(4.6M≒7.40km)が延伸開業。美袋駅が開業。
  • 1926年(大正15年)6月20日:美袋 - 木野山間(10.0M≒16.09km)が延伸開業。備中広瀬駅・備中高梁駅・木野山駅が開業。
  • 1927年(昭和2年)7月31日:木野山駅 - 備中川面駅間(2.4M≒3.86km)が延伸開業。備中川面駅が開業。

伯備線全通以後[編集]

  • 1928年(昭和3年)
    • 10月25日:備中川面駅 - 足立駅間(21.9M≒35.24km)が延伸開業し全通(ただし、備中川面駅 - 足立駅 - 上石見駅間は列車の運行がないまま)。伯備南線が新規開業区間と伯備北線(伯耆大山駅 - 足立駅間)を編入し伯備線に改称。方谷駅・井倉駅・石蟹駅・新見駅・備中神代駅が開業。
    • 11月25日:備中川面駅 - 上石見駅間で運行開始。
  • 1930年(昭和5年)4月1日:営業距離の単位をマイルからメートルに変更(86.6M→139.6km)。
  • 1935年(昭和10年)5月16日:宍粟駅が豪渓駅に改称。
  • 1936年(昭和11年)10月10日:新見駅 - 備中神代駅間に布原信号場が開設。
  • 1953年(昭和28年)12月15日:新郷駅が開業。
  • 1954年(昭和29年)4月1日:倉敷駅 - 清音駅間に酒津仮停車場が開業。
  • 1956年(昭和31年)5月15日:日羽駅が開業。
  • 1959年(昭和34年)11月1日:西総社駅が総社駅に改称。
  • 1961年(昭和36年)8月23日:武庫駅が開業。
  • 1962年(昭和37年)6月1日:酒津仮停車場が廃止。
  • 1968年(昭和43年)
    • 9月5日:清音駅 - 総社駅間が複線化。
    • 9月25日:総社駅 - 豪渓駅間が複線化。
  • 1969年(昭和44年)2月14日:上石見駅 - 生山駅間で作業していた保線係員が列車にはねられる鉄道人身障害事故伯備線保線作業員死傷事故)が発生し、6人が死亡[5]
  • 1970年(昭和45年)9月7日:豪渓駅 - 美袋駅間が複線化。日羽駅が移転。
  • 1972年(昭和47年)
  • 1973年(昭和48年)
    • 4月1日:蒸気機関車引退し無煙化。
    • 9月18日:備中広瀬駅 - 備中高梁駅間が複線化。
    • 9月28日:広石信号場・下石見信号場が開設。
  • 1975年(昭和50年)2月27日:上溝口信号場が開設。
  • 1979年(昭和54年)
    • 3月13日:新見駅 - 布原信号場間のうち新見側2.5kmが複線化。
    • 10月9日:倉敷駅 - 清音駅間が複線化。
  • 1982年(昭和57年)
    • 6月15日:井倉駅 - 石蟹駅間のうち3.1kmが複線化。
    • 7月1日:倉敷駅 - 伯耆大山駅間が電化。特急「やくも」が電車化。
  • 1983年(昭和58年)7月26日:井倉駅 - 石蟹駅間経路変更により1.2km短縮。同区間のうち1.4kmが複線化。

国鉄分割民営化以降[編集]


駅一覧[編集]

便宜上、末端部の全旅客列車が乗り入れる山陽本線岡山駅 - 倉敷駅間、および山陰本線伯耆大山駅 - 米子駅間も合わせて記載する。

  • 駅名 … (貨):貨物専用駅、◆:貨物取扱駅(貨物専用駅をのぞく)
  • 停車駅
    • 伯備線普通列車…布原駅以外の全旅客駅に停車。布原駅は芸備線直通普通列車のみ停車
    • 特急(やくもサンライズ出雲)…列車記事参照
  • 線路 … ∥:複線区間、◇・|:単線区間(◇は列車交換可能)、∨:ここより下は単線、∧:ここより下は複線
路線名 駅名 駅間営業キロ 倉敷からの営業キロ 接続路線・備考 線路 所在地
山陽本線 岡山駅 - 15.9 西日本旅客鉄道山陽新幹線山陽本線相生方面)・赤穂線[* 1]宇野線瀬戸大橋線津山線吉備線
岡山電気軌道東山本線岡山駅前駅
岡山県 岡山市
北区
(貨)西岡山駅 2.8 13.1  
北長瀬駅 0.6 12.5  
庭瀬駅 3.1 9.4  
中庄駅 4.7 4.7   倉敷市
倉敷駅 4.7 0.0 西日本旅客鉄道:山陽本線(福山方面)
水島臨海鉄道水島本線倉敷市駅
伯備線
清音駅 7.3 7.3 井原鉄道井原線 総社市
総社駅 3.4 10.7 西日本旅客鉄道:吉備線
井原鉄道:井原線
豪渓駅 4.6 15.3  
日羽駅 3.7 19.0  
美袋駅 3.7 22.7  
備中広瀬駅 6.9 29.6   高梁市
備中高梁駅 4.4 34.0  
木野山駅 4.8 38.8  
備中川面駅 3.9 42.7  
方谷駅 4.7 47.4  
広石信号場 - 50.8   新見市
井倉駅 7.8 55.2  
石蟹駅 4.5 59.7  
新見駅 4.7 64.4 西日本旅客鉄道:姫新線芸備線[* 2]
布原駅 - 68.3 (芸備線列車のみ旅客扱い)
備中神代駅 6.4 70.8 西日本旅客鉄道:芸備線[* 2]
足立駅 6.2 77.0  
新郷駅 5.8 82.8  
上石見駅 3.9 86.7   鳥取県 日野郡
日南町
下石見信号場 - 91.6  
生山駅 8.7 95.4  
上菅駅 3.5 98.9   日野郡
日野町
黒坂駅 4.8 103.7  
根雨駅 7.6 111.3  
武庫駅 4.7 116.0   日野郡
江府町
江尾駅 2.1 118.1  
上溝口信号場 - 122.3   西伯郡
伯耆町
伯耆溝口駅 9.2 127.3  
岸本駅 5.0 132.3  
伯耆大山駅 6.1 138.4 西日本旅客鉄道:山陰本線鳥取方面) 米子市
東山公園駅 3.0 141.4  
米子駅 1.8 143.2 西日本旅客鉄道:山陰本線(出雲市方面)・境線
  1. ^ 赤穂線の正式な終点は山陽本線東岡山駅だが、運転系統上は岡山駅に乗り入れる
  2. ^ a b 芸備線の正式な起点は備中神代駅だが、列車は運転系統上、新見駅まで乗り入れる。
  • ※:伯耆大山駅 - 米子駅間は山陰本線

伯備線内の駅のうち、下記の駅以外は簡易委託駅または無人駅(ただし簡易委託駅のうち、石蟹駅と江尾駅にはPOS端末が設置されている)。

廃駅[編集]

  • 酒津仮停車場:1962年廃止、倉敷駅 - 清音駅間、倉敷駅起点2.5km。酒津公園観桜用の臨時駅

脚注[編集]

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  1. ^ ご利用可能エリア 岡山・広島エリア|ICOCA|ICCOA:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
  2. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB、1998年。ISBN 978-4-533-02980-6
  3. ^ 倉敷駅│構内図:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
  4. ^ 2014年3月15日のダイヤ改正で根雨到着後は回送列車となった。かつては、折り返し根雨発の米子行きとなっていた。
  5. ^ 「保線員6人が死ぬ 鳥取 作業中、列車突っ込む」- 読売新聞 1969年2月14日
  6. ^ 『JR気動車客車編成表 '95年版』ジェー・アール・アール、1995年。ISBN 4-88283-116-3
  7. ^ a b ジェー・アール・アール『JR気動車客車編成表 2011』交通新聞社、2011年。ISBN 978-4-330-22011-6
  8. ^ 「鳥取県西部地震 小中高85校が授業再開 JR伯備線も復旧」- 読売新聞 2000年10月10日
  9. ^ 「鳥取県西部地震で不通のJR伯備線が復旧」- 読売新聞 2000年11月17日
  10. ^ 「ポイント切り替え自動化 伯備線単線区間に新装置 JR西日本岡山支社」- 読売新聞 2001年10月26日
  11. ^ データで見るJR西日本 2007』には記載されているが、『データで見るJR西日本 2008』には記載されていない
  12. ^ 岡山・広島エリアへICカード乗車券「ICOCA」を導入します(インターネット・アーカイブ) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2006年5月24日

参考文献[編集]

関連項目[編集]