中央新幹線
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中央新幹線(ちゅうおうしんかんせん)とは東京都から大阪市に至る新幹線の基本計画路線である。
高速輸送を目的としているため、直線的なルートで、高速走行が可能な超電導磁気浮上式リニアモーターカー(ジェイアール式マグレブ)により建設される予定である。首都圏 - 中京圏間の2025年の先行開業を目指しており[1]、首都圏 - 中京圏間を約40分、近畿圏まで開業した場合は首都圏 - 近畿圏間を約1時間で結ぶことになると予想されている。
誘致側・マスコミ報道などでは「リニア中央新幹線」「リニア中央エクスプレス」[2]「中央リニア新幹線」「中央リニアエクスプレス」とも呼ばれることもあるが、事業主体である東海旅客鉄道(JR東海)は東海道新幹線のバイパス路線としての意味合いを込めて東海道新幹線バイパスないしは、単に中央新幹線と称している。
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[編集] 概要
中央本線・関西本線にほぼ沿って東京都 - 大阪市の間を結んだ建設ルートが予定され、経由地は甲府市附近、名古屋市附近、奈良市附近とされており(基本計画:昭和48年11月15日運輸省告示第466号)、東海道新幹線のバイパス路線としての性格を強く持つ。また本路線の基本計画が決定されるのとほぼ同時期に国鉄では東京 - 大阪間を1時間で結ぶリニアモーターカー(ジェイアール式マグレブ)の開発に着手している。当初、リニアモーターカーによる超高速新幹線として第二東海道新幹線が構想されていたが、中央新幹線の計画と統合され、このため中央新幹線はリニア方式で建設され、リニアモーターカーは中央新幹線で実用化されるものとしてセットで考えられてきた。リニア方式で全線開業すれば東京都と大阪市が約1時間で結ばれ、東海道新幹線と比較して所要時間を大幅に短縮できる。2025年にリニア方式で東京都 - 名古屋市の間で先行して営業運転を開始する構想がJR東海から発表されている[1]。
日本経済がオイルショック後に低成長に転じたことなどから新幹線の建設は全体的に停滞したが、バブル期には東海道新幹線の輸送量が急伸し、近い将来に輸送力が逼迫すると考えられたことから中央新幹線が注目され、リニア方式での建設を前提として、JR東海による建設促進運動や沿線自治体による誘致運動が展開された。また、沿線各駅は東京や大阪へ1時間以内で到達できることから、首都機能移転議論のきっかけの一つにもなった。また、東海道・山陽新幹線が兵庫県南部地震の被害で長期間不通になった経験から、東海地震の予想被災地域を通過する東海道新幹線の代替路線が必要であること[3]、東海道新幹線自体の老朽化により長期運休を伴う改築工事の必要が生じる可能性があることも建設の理由として挙げられた[4]。
[編集] リニア方式での建設
1990年には中央新幹線の通過予定地である山梨県都留市付近に山梨リニア実験線を建設する工事に着手した。過去の新幹線では先行して建設した実験線が実用路線の一部になってきたことから、事実上の中央新幹線着工と期待された。当初は総延長42.8kmの複線路線が計画されたが、予算節減のため先行区間として18.4kmのみを建設し、1997年より実験を開始した。
運輸省(当時)超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会は2000年に「長期耐久性、経済性の一部に引き続き検討する課題はあるものの、超高速大量輸送システムとして実用化に向けた技術上のめどは立ったものと考えられる」と評価した[5]。2005年には「実用化の基盤技術が確立したと判断できる」と総合技術評価した[5][6]。2006年には「2016年度までに他の交通機関に対して一定の競争力を有する超高速大量輸送システムとして実用化の技術を確立することを目指す」と表明した[7]。
[編集] 実現に向けた動き
[編集] リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会
1979年、東京都・神奈川県・山梨県・長野県・岐阜県・愛知県・三重県・奈良県・大阪府の9都府県により「中央新幹線建設促進期成同盟会」が発足し、1988年に現在の名称に変更した[8]。早期実現に向けて広報啓発・調査・要望活動などを積極的に行い、年に1回「リニア中央エクスプレス建設促進県期成同盟会総会」を開催している。現在、事務局は愛知県地域振興部交通対策課にあり、愛知県知事の神田真秋が会長を務めている。
また東京都と大阪府を除く7県には、それぞれの県知事が会長を務める「リニア中央エクスプレス建設促進○○県期成同盟会(○○には県名が入る、例えば長野県は建設促進長野県協議会)」が設立されている[9]。
[編集] 国会議員連盟
議員連盟には超党派議連による「リニア中央エクスプレス建設促進国会議員連盟」(1988年設立)と自民党議連による「リニア中央エクスプレス建設促進議員連盟」(1978年設立)、民主党議連による「民主党リニア中央新幹線推進議員連盟」(2008年設立)が存在する[8]。それぞれ堀内光雄、中山太郎、鳩山由紀夫が会長を務めている[10]。
[編集] JR東海
1990年2月、運輸大臣(当時)はJR東海および日本鉄道建設公団に対し、中央新幹線の整備計画決定に向けて地形や地質などの調査を全線にわたり行うよう指示した。JR東海は中央新幹線を「中央リニアエクスプレス」と称して、東海道新幹線主要駅にリニア車両の実物大模型を展示するなど建設へ向けたキャンペーンを展開した。
その後、東海道新幹線は品川駅新設などの輸送力増強策に加えバブル崩壊後の輸送量頭打ちにより輸送需給が逼迫する可能性が遠のいたため、中央新幹線建設の動きも一旦は低調になった。しかし景気の回復により再び2003年から輸送量が増加に転じたことから、JR東海はふたたび中央新幹線のリニア方式での建設に乗り出した。
2005年に開催された「愛・地球博」では、JR東海は「超電導リニア館」を出展した。会場にはMLX01-1の実物が展示され、来場者が実際に車中に入ることもできた[11]。
2006年9月25日、JR東海は独自資金3,550億円を投入して山梨リニア実験線の未建設区間を建設し当初計画通りの42.8kmに延伸することを発表した。同時にこれまでの実験にもとづいて開発された経済性や耐久性を高めた機器を導入し全面的に設備を更新するほか、実用時に近い長編成の車両や大深度地下を想定し長編成にも対応した駅設備も導入する。本計画は2007年には国土交通省に認可され、2008年5月30日に延伸工事が着工された。
続いて2007年4月26日に東海道新幹線の輸送量が過去最高となった2006年度の決算短信が発表され、首都圏 - 中京圏 - 近畿圏を結ぶ東海道新幹線の発展的・代替的バイパスを自らのイニシアティブのもとに推進・実現するための第一局面として、2025年に首都圏 - 中京圏でリニアモーターカーを使った中央新幹線の営業運転開始を目指す方針が明記された。今後、具体的な工事計画、ルート、建設費用の負担などの検討を開始するという。
2007年10月16日にJR東海は東京 - 名古屋間の用地買収を含む建設費を4兆から6兆円と試算していることを明らかにした。1km当たりの建設費は平均すると150億から200億円と試算しており、これは東京 - 名古屋間を最短距離である280kmで結ぶことを前提としている。また、山梨県から長野県にまたがる区間は、南アルプス(赤石山脈)にトンネルを掘る計画を打ち出し、実現可能か検討を行うことになっている。
その後、2007年10月23日には、JR東海が南アルプス付近で地形・地質調査を行うことを決定した。中央新幹線の南アルプスでのトンネル建設の可能性を探るのが目的とみられている。リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会が作成した、中央新幹線のルート概略図では、長野県内で南アルプスを避けるようにカーブを描くため、この概略図通りに建設された場合は時間的なロスが想定されていた。もし、南アルプスにトンネルが建設された場合、ほぼ直線に近いルートになることに加え、走行距離も短くなるため、建設促進期成同盟会が想定したルートよりも所要時間を短縮できる。トンネルの建設工事に伴い、建設費が膨らむことも予想されるが、JR東海は諏訪を通るBルートで建設するより用地買収費が安くなるとしている。中央自動車道は当初、東京から南アルプスを貫通して愛知県に至るルートで計画されていたが、建設費が膨大になる、当時の技術力が足りなかったことなどを理由に現在のルートに変更された経緯がある。
続いて2007年12月25日に、JR東海は首都圏 - 中京圏間を超電導リニア方式による東海道新幹線バイパスとして中央新幹線を全額自己負担で建設することを発表した[1]。路線距離は約290km、総事業費は約5.1兆円、具体的な資金調達方法は未定とされたが、試算では開業8年目には2007年度と同水準の長期債務残高に戻り、自力(東海道新幹線の黒字と、借入金による資金調達)で建設しても財務の健全性に問題ないとされている。ただし、地元の要望で建設される途中駅については、地元に建設費用の負担を求めるものとされた。全額自己負担での建設が実現した場合、民間企業が独力で開業する初の新幹線となる。今後は実用化・建設にあたって全国新幹線鉄道整備法に則る方向で打ち出している。
また、2007年12月28日に、これまで「首都圏」としてきた中央新幹線の乗り入れ先を、JR東海が東京駅、品川駅、新横浜駅の3駅に絞り込んでいることが明らかになった。「中京圏」での乗り入れ先は名古屋駅となる見込み。既存の東海道新幹線と結び付けることで、利用客が東海道・中央の両新幹線を容易に選べるようにすることで利便性を高める狙い[12]。首都圏の乗り入れ候補駅のうち、今のところ有力視されているのは、東海道新幹線などの主要路線の起点である東京駅と、JR東海が拠点化を進めている品川駅という。ルートは山梨リニア実験線の東端となる山梨県上野原市からさらに延伸させ、東京都心を深さ40m超の大深度地下トンネルで貫く構想とみられている。ただし、建設条件などで都心ルートが困難になった場合は新横浜駅とするか、または同駅を経由して東海道新幹線と並走し、東京駅に乗り入れる可能性もある。
2008年1月23日には、共同通信社によってJR東海の松本正之社長へのインタビューが行われた。このインタビューの中で松本社長は、中央新幹線の開業後は、既存の東海道新幹線の停車駅数を増やすことで、生活密着型の鉄道路線として、中央新幹線との差別化を図る考えを示した。中央新幹線を都市間の超高速専用線と位置づけ、現在の「のぞみ」の役割を中央新幹線が担うことで、停車駅を増やすことができるようになり、沿線の利便性の向上が見込めると指摘している。
2008年2月20日にJR東海の葛西敬之会長が、東京都内で講演し、中央新幹線の運賃は東海道新幹線より数百から1000円高い程度にすると述べた[13]。また、座席は「グリーン」や「普通」などの区分を設けずに、全席指定とする考えを示した。
2008年5月31日の中日新聞によると、JR東海関係者の話として東名間の中間駅は2・3駅程度でかかる費用は地元負担とし、途中駅の候補として橋本駅付近、甲府市付近、飯田市付近を挙げている。
2008年7月3日にJR東海の松本正之社長による記者会見[14][15]が行われ、松本社長は首都圏の中央新幹線の乗り入れ先として、品川駅が有力であるとの見方を示した。東京都心からの距離に加えて、新幹線などとの接続を考慮すると東京駅もしくは品川駅に絞られ、建設の難易度からすると、東京駅のほうが難しいと述べた。
2008年11月7日には、JR東海の葛西敬之会長が名古屋市内で講演し、「東京、名古屋、大阪では新幹線とリニアのどちらでも乗り換えが可能にしたい」と中央新幹線の新大阪駅乗り入れの意向を示した[16]。
2009年2月20日、JR東海は中央新幹線建設に向けて業務量が増えるため、技術職を中心に人材を確保することを狙い、2010年の新卒採用者数を過去最高の1030人にすると発表した[17]。
2009年6月18日、JR東海は中央新幹線で検討中されている3案のルートに対し、路線距離や工事費についての試算を発表した[18]。それによると路線長及び所要時間は、
- 木曽谷を経由する「木曽谷ルート」は路線長334km、所要時間は超電導リニアで46分、在来型新幹線で87分
- 伊那谷を経由する「伊那谷ルート」は路線長346km、所要時間は超電導リニアで47分、在来型新幹線で90分
- 南アルプスを経る「南アルプスルート」は路線長286km、所要時間は超電導リニアで40分、在来型新幹線で79分
とそれぞれ試算している。
また工事費についても超電導リニアと在来型新幹線で算出しており、
- 「木曽谷ルート」は、超電導リニアで5兆6300億円、在来型新幹線で4兆4500億円
- 「伊那谷ルート」は、超電導リニアで5兆7400億円、在来型新幹線で4兆5000億円
- 「南アルプスルート」は、超電導リニアで5兆1000億円、在来型新幹線で4兆1800億円
とそれぞれ試算している。
また今後のスケジュールとして、6月下旬から8月上旬に維持運営費、設備更新費、輸送需要量を、8月下旬以降に大阪市までのデータを説明する予定である。
[編集] 中央リニア新幹線基本スキーム検討会議
2004年、国土交通省鉄道局長の私的諮問機関「中央リニア新幹線基本スキーム検討会議」は2000年のデータに基づいた試算結果を公表した。
[編集] 工事前提条件 東京-大阪間
- 工期は7から10年。
- 全ルート約500km、そのうちトンネルは約60%、東京圏・名古屋圏・大阪圏の約100km区間は大深度地下を使用。
- 沿線9都府県(東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、奈良、大阪)にそれぞれ1駅ずつ、計9駅を設置。
- 1km当りの建設コストは約170億から180億円。
- 全体の建設コストは約7兆7000億から9兆2000億円。
- リニア車両1両約8億円。
- 1時間当たり10往復運転。必要車両約800から900両。
- 全体の車両コストは約6400億から7200億円。
[編集] 旅客輸送前提条件 2020年開業
[編集] 建設に向けての課題
[編集] 建設資金の問題
「リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会」の試算によると、経済効果は最大21兆円になるとされる。総投資額約8.3から9.9兆円といわれる資金調達は明確ではないが、2017年には東海道新幹線施設購入費の支払いが、ほぼ終了する[19]という見通しはある。また建設費を圧縮するため、山梨リニア実験線では延伸工事に合わせ、より経済的な設計の軌道や駅設備等を設置し実証する予定である。
JR東海は2025年に開業を目指している首都圏 - 中京圏間の総事業費を約5兆円と試算している。この額に関して同社は首都圏 - 中京圏だけなら全線(東京 - 大阪)に比べ建設費が少なく、技術革新で車両製造費を大きく削減できるとみている。また、上記の通り、JR東海は2007年12月25日、首都圏 - 中京圏間を超電導リニアによる東海道新幹線バイパスとして、全額自己負担で建設する計画を発表した。
[編集] 運営会社の問題
JR東海は、自社収入の85%(当時)を稼ぎ出す東海道新幹線の代替路線として中央新幹線を位置付け、東海道新幹線が更新工事で長期間運休することも念頭に、発足当初から中央新幹線の建設を働きかけていた。1988年、JR東海が中央新幹線を自社で運営することを前提に山梨実験線の建設費を負担する案が浮上すると、JRグループ内で対立が生じた。なかでも東京圏でライバル関係にあるJR東日本は、「JR東海の独走が認められたわけではない」と強く反発。JR東日本やJR西日本の在来線への影響を考慮せず、リニアの運営を独占しようとしていると激しく非難した[20]。
1989年3月、JR東海とJR東日本、JR西日本、運輸省の幹部が極秘の会合を開いたといわれる。報道によれば、この場で「中央新幹線をJR東海が一元的に経営する」「東京-甲府間と大阪-奈良間の在来線の収入減の影響は、各社間で経費配分する」ことが合意されたという[21]。
1989年12月4日、江藤隆美運輸大臣(当時)は記者会見で、中央リニアをJR東海が一元的に管理するというJR3社の合意に異論はない、山梨実験線の建設費を負担するJR東海の役割は当然念頭においていると発言した。JR東海は、実験線建設費を負担するのは自社がリニアの経営主体になれることが前提だと発言した。[22]1990年6月8日、運輸省は山梨実験線の建設計画作成をJR東海に指示した。22日、運輸省は公式に「中央新幹線の経営は、JR東海が東海道新幹線の経営と一元的に行う」ことを確認した[23]。
2007年、JR東海が自己資金による中央新幹線建設を表明して以降も、JR東海は1990年の運輸省確認を根拠に自社一体経営を掲げている。しかし、中央新幹線のルートや駅の位置によっては、JR東日本の在来線の経営に影響を及ぼす可能性もあるとの指摘もある[24]。
[編集] 鉄軌道方式との比較
鉄軌道方式で建設される可能性も存在した。JR東海は鉄軌道での高速試験車両として955形新幹線高速試験電車(通称300X)を開発し、1995年から7年間に渡り走行試験を実施した。
また、JR東日本が現在開発中の新幹線E954形電車(通称FASTECH 360 S)は将来の営業最高速度360km/hを目指している。仮に中央新幹線をこの速度で運行できたとすると東京 - 大阪間は1時間40分程度で、所要時間1時間を目標としているリニアには及ばないものの、現在の東海道新幹線の最速である2時間25分から大幅に短縮することができ、山陽新幹線への直通も可能になる。
このような理由から鉄軌道方式を推す意見も一部にあったものの、実際の事業主体であるJR東海は自己負担による超電導リニア方式での建設を発表している。なお、新幹線の整備計画では方式(鉄軌道か、リニアか)を定めることになっているが、中央新幹線は基本計画段階であるため、正式には方式は定まっていない。
[編集] 天候・地形問題
新幹線は、東海道新幹線の関ヶ原付近で雪の影響を強く受けた経験から、後に積雪地帯に建設された区間では排雪や消雪に対応した軌道設備、車両構造を開発して解決した。中央新幹線は山間部に建設されるため、リニア方式での積雪対策技術が開発されている。国鉄時代には、北海道千歳地区にリニア軌道を模した高架構造物を設置して、軌道の隙間から雪が落ちる構造が試験された。また、山梨実験線では積雪時の走行や除雪、設備の耐久性なども研究対象になっており、中央新幹線に向けて技術実証を続けている。
また、赤石山脈など多くの山を通過するため地形問題のクリアも課題となっている。赤石山脈付近のルートの案は、長野県の木曽谷を南下する「木曽谷ルート」、同県の伊那谷を通る「伊那谷ルート」、赤石山脈を貫通する「南アルプスルート」の3つがあり、現在は伊那谷ルートと南アルプスルートのいずれかにほぼ絞り込まれている。長野県や諏訪地域、上伊那地域の自治体などは伊那谷ルートを支持しているが、JR東海は最短距離で建設できる南アルプスルートを考えており、糸魚川静岡構造線の大断層帯を長大トンネルで貫通することになるため、地質調査を行い、2008年10月に適切な施工法を選択すれば建設可能との調査結果をまとめた[25]。
なお、2008年10月3日、同月4日付の中日新聞によるとCルートが有力となっており、同月7日の朝日新聞[26]によれば、JR東海は南アルプスルートで建設する方針を固め、2008年12月26日にはJR東海の葛西敬之会長が都内で会見を行って「実現可能なのは直線ルートだけ」と強調した[27]。
[編集] 検討されているルート
首都圏(品川駅が有力)から相模原市付近、リニア実験線を経由し、
- 山梨県甲府市付近から木曽谷を経て愛知県名古屋市付近へ至る大回りルート(木曽谷ルート:Aルート)
- 山梨県甲府市付近から伊那谷を経て愛知県名古屋市付近へ至る迂回ルート(伊那谷ルート:Bルート)
- 長野県が要望するルート
- 山梨県甲府市付近から南アルプスを経て名古屋市付近へ至る直線ルート(南アルプスルート:Cルート)
- 東海旅客鉄道が建設方針を固めたルート
東海旅客鉄道は、距離が短く経済合理性が高いとされる「南アルプスを貫く直線ルートでの建設は可能」とする地形・地質調査結果[28][29]に基づき、山梨県甲府市付近から南アルプスを経て名古屋市付近へ至る直線ルートでの中央リニア新幹線の建設方針を2008年10月21日に固めた。
なお、伊那谷ルートで建設したとすると諏訪付近で大きなカーブを描くことになるが、リニアの最急カーブ半径は8,000 メートルとして設計されているため、このカーブで減速が必要になることは無いとされる[30]。しかし、距離が長くなり運行の効率が悪く、建設費用や維持費などが嵩むため、JR側は避けようとする傾向がある。
[編集] 中間駅の建設位置
JR東海は、東京から名古屋までを建設する時点では、沿線の各県に1駅ずつ中間駅を建設する構想を示している。途中で通過する県は神奈川、山梨、長野、岐阜の4県で、これら各県でどこに中間駅を建設するかの検討・誘致が行われている。なお、JR東海の松本正之社長は1県に1駅ずつ設置するのが適切だとの考えを表明している。これに対し金子一義国土交通相は1県に1駅は合理的な判断と評価した[31]。
[編集] 神奈川県
神奈川県においては、相模原市付近を通過することが想定されており、橋本駅または相模原駅が建設候補地となっている。このうち橋本駅は、県の「北のゲート」としての構想から、相模線の複線化、相模線倉見駅への東海道新幹線の新駅設置とともに検討が行われている[32]。また松沢成文神奈川県知事はアクセスのよい橋本駅への設置が望ましいとの考えを示した。[33] 一方相模原駅は、隣接する在日米軍相模総合補給廠の返還に絡み、小田急電鉄多摩線の延伸構想とともに検討が行われている[34]。ただし、米軍補給廠は全面返還されるわけではないため、非現実的であるという見方もある。[35]
[編集] 山梨県
山梨県においては、都留市を中心とする郡内地域、笛吹市を中心とする峡東地域、甲府市に近い峡中地域、市川三郷町など峡南地域の4地域が誘致に名乗りを上げている。郡内地域は実験センターに既に設置されているプラットフォームを有効活用できるとしているが、同時に富士五湖方面への支線建設を要求している。峡東地域は、リニア実験線建設に際して出た残土の捨て場があり、用地買収のコストが必要ないとされる。峡中地域は4地域の中で甲府市に最も近く、周辺人口が多いという利点がある。峡南地域は身延線や中部横断自動車道との連絡が良い。このうち、峡南地域は建設ルートが南アルプスルートになった場合にのみ可能性があると見られている[36]。
[編集] 長野県
長野県では伊那谷ルートで建設されること強く望んでおり諏訪市付近の諏訪地域、伊那市付近の上伊那地域、飯田市付近の飯田・下伊那地域が誘致活動をしている。しかし長野県に関してはルートの決定が解決されておらず、具体的な駅の建設位置に関係する動きはあまり進んでいない。 村井仁長野県知事は2008年10月24日の定例会見で、リニアの県内駅について「大きな県だから2つでも3つでもいいのではないか。Bルートの北の所に駅がなければ意味がない」と述べ、松本などとのアクセスを考慮し諏訪地区に駅を設けることが望ましいとの考えを示した[37]。また1県1駅のルールで建設された場合、伊那谷ルートでは諏訪地区のみに駅が設置される可能性が高い。このため、飯田・下伊那地域では南アルプスルート支持が強いとされる[30]。
[編集] 岐阜県
岐阜県では、東側から中津川市、恵那市、瑞浪市、土岐市、多治見市などを通過する。これら5市は合同で東濃地区への駅設置を求めており、これらのどこかに1駅建設されると考えられている[38]。
[編集] 名古屋以西
名古屋以西のルートについては、基本計画(昭和48年11月15日運輸省告示第466号)の主要な経過地で奈良市附近とあるのみで、具体的なルートは記されていない。通過する三重・奈良両県では、以下のような中間駅の検討・誘致が行われている。
[編集] 三重県
三重県においては、リニア中央エクスプレス建設促進三重県期成同盟会が県内停車駅の設置を要望しているが、中でも亀山市は「リニア中央エクスプレス・JR複線電化推進亀山市民会議」を中心に亀山駅への誘致運動を行っているほか、リニア中央新幹線亀山駅整備基金の積み立てを行っている[39]。
[編集] 奈良県
奈良県においては、県を中心に「リニア奈良駅」の設置を要望している[40]。
[編集] 歴史
- 1973年11月 - 全国新幹線鉄道整備法に基づく建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画に決定
- 1974年4月 - 運輸大臣(当時)が国鉄に甲府市付近 - 名古屋市付近間における山岳トンネル部の地形・地質調査等をするように指示
- 1987年12月 - 運輸大臣(当時)が日本鉄道建設公団に甲府市付近 - 名古屋市付近間における山岳トンネル部の地形・地質調査等をするように指示
- 1990年
- 2月 - 運輸大臣(当時)が日本鉄道建設公団とJR東海に全区間の地形・地質等調査をするように指示
- 11月 - 山梨リニア実験線の建設に着手
- 1997年 - 山梨リニア実験線の先行区間18.4kmが完成し、走行試験を開始
- 2003年 - 山梨リニア実験線において581km/hを達成し、翌年に世界最高速度としてギネス認定
- 2008年 - 地質調査報告を受けて、JR東海は直線ルート(Cルート)で建設する方針を固める
[編集] 今後の予定
[編集] 関連項目
- 建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画
- リニア実験線
- ジェイアール式マグレブ
- 日本の、これから - 第2回「人口減少社会」の中で放送された近未来ドラマ「幸福2020」の中で、東京都心を走る中央新幹線が描かれた。
[編集] 脚注
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- ^ "東海道新幹線バイパスの実現に向けてPDF". アニュアルレポート2008. 東海旅客鉄道 (2008-10-08). 2009-06-11 閲覧。
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- ^ 1989年10月2日、朝日新聞朝刊、リニアと走る思惑様々
- ^ 1989年12月5日、朝日新聞朝刊、リニア構想はJR東海中心に 運輸相確認
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- ^ "リニア新幹線「南アルプス直下ルート」 JR東海方針". 朝日新聞 (2008-10-07). 2009-06-11 閲覧。
- ^ 山本知弘; 山本精 (2008-12-27). "JR東海会長 リニア「直線ルート」主張". 読売新聞. 2009-06-11 閲覧。
- ^ "中央新幹線(東京都・大阪市間)地形・地質調査報告書 概要PDF". 東海旅客鉄道 (2008-10-22). 2008-11-14 閲覧。
- ^ "中央新幹線(東京都・大阪市間)地形・地質調査報告書の提出にあたってPDF". 東海旅客鉄道 (2008-10-22). 2008-11-14 閲覧。
- ^ a b リニア新幹線の中間駅はどうなる? p.4 日経BP社 ケンプラッツ 2009年2月6日
- ^ "金子大臣会見要旨". 国土交通省 (2009-06-09). 2009-07-12 閲覧。
- ^ "定例記者会見結果概要". 神奈川県 (2008-05-14). 2009-07-12 閲覧。
- ^ 高橋和夫. "橋本駅誘致、知事前向き 3線乗り入れ「アクセスよい」". 2009-06-11 閲覧。
- ^ リニア新幹線の中間駅はどうなる? p.2 日経BP社 ケンプラッツ 2009年2月6日
- ^ "相模経済新聞 リニア中央新幹線駅 候補地巡り橋本と相模原が誘致合戦". 相模経済新聞 (2009-04-13). 2009-06-11 閲覧。
- ^ リニア新幹線の中間駅はどうなる? p.3 日経BP社 ケンプラッツ 2009年2月6日
- ^ "リニア中央新幹線について". 知事会見. 長野県 (2008-10-24). 2009-07-12 閲覧。
- ^ リニア新幹線の中間駅はどうなる? p.5 日経BP社 ケンプラッツ 2009年2月6日
- ^ 亀山市/行政:リニア中央新幹線
- ^ 奈良から乗ろうよ“リニア”に、奈良県
[編集] 外部リンク
- 自己負担を前提とした東海道新幹線バイパス、即ち中央新幹線の推進についてPDF(JR東海)
- LINEAR EXPRESS(JR東海)
- リニア中央新幹線(リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会)
- 中央リニアのボーリング現場(早川町)
- 中央リニアのボーリング現場(大鹿村)
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