国鉄417系電車

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417系旧国鉄色1987年 仙台
417系旧国鉄色
1987年 仙台
417系東北地域本社色2007年 国府多賀城
A417系阿武隈急行譲渡後2011年 富野
A417系阿武隈急行譲渡後
2011年 富野

国鉄417系電車(こくてつ417けいでんしゃ)は、1978年昭和53年)に日本国有鉄道(国鉄)が設計・製造した、交直流近郊形電車。全車日立製作所製である。1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化後は、全車が東日本旅客鉄道(JR東日本)に承継された。

本項では、阿武隈急行がJR東日本より購入し、所有するA417系電車(A417けいでんしゃ)についても記述する。

目次

[編集] 登場の経緯

1970年代の地方都市圏での人口増加・通勤通学需要の増加に伴い、それまで運用されていた客車列車ではデッキ付近の混雑で乗降に時間がかかり、地元からサービス改善の要望も出されていた[1]。このため、これら客車を順次気動車や電車に置き換える必要が生じていた。都市圏用の近郊形電車、特に直流・交流いずれの電化区間も運行可能な系列としては、当時既に415系電車が常磐・北九州地区へ投入されていた。しかしこの系列は、戸閉め装置の半自動扱いを含む耐寒耐雪構造や抑速発電ブレーキを備えておらず、また客用扉付近にステップもないため、寒冷地・山岳路線プラットホームの高さの低いが多く残る地方路線で運用するには問題があった。そこで、地方の気候や路線の輸送事情に対応する車両を新設計する要請から開発されたのが、417系電車である。

1978年(昭和53年)8月3日に先行投入された第一陣は、仙台地区の近郊輸送改善を主目的に製造され仙台運転所(現・仙台車両センター)に配置された[1]。将来的には、秋田・金沢など他の地方都市圏交流電化区間での運行も計画されていたが[1]、国鉄の財政悪化に伴い、3両編成5本の計15両のみで製造は打ち切られた。交流電化区間での運用に終始し、直流電化区間で営業運転を行ったことは今に至るまで一度もない。

[編集] 構造

[編集] 車体

車体構造は、1977年から製造されていたキハ47形気動車に類似し、乗降口をやや中央に寄せたデッキなしの片側2扉(両開き)構造である。車体断面も当時製造されていた気動車・客車との共通化が図られている。前面は、153系電車以来国鉄の急行・近郊形電車で採用されているパノラミックウインドウの貫通形である。貫通扉には膨張性シールゴムを設けて運転室の気密性向上を図っている。運転台の構造は115系電車1000番台車に準じているが、従来の近郊形のものより100mm拡張した前面強化型となっている。前照灯シールドビーム2灯が前面窓下に設けられ、タイフォン(警笛)は耐雪構造の中折れ式シャッター付きである。下部に設置された排障器(スカート)は、寒冷地での使用に対応した大型のものが設置された。

各車両の室内には雪切室用の機器室が設られている。寒冷地走行のため、客用扉はラッシュ時には自動、閑散時には半自動にできるよう、自動・半自動切替式で、編成中のどの運転台からでも操作が可能なシステムとなっている。

車体塗装については、登場当初、ローズピンク(赤13号)の地にクリーム4号の太帯を正面窓下に入れた交流・直流両用近郊形電車の標準色であった。JR移行後の1990年頃に現行のクリーム10号アイボリー)の地に緑14号帯という455・457系電車717系電車に準じた配色に変更された。

[編集] 台車・機器

台車は従来の近郊形車両はコイルバネ使用の台車となっていたが、乗心地向上のため特急・急行形と同等のDT32F形(電動車)・TR69J形(付随車・踏面清掃装置付)空気バネ台車を採用した。寒冷地走行を考慮して、軸バネ・軸箱と電動台車のブレーキシリンダには防雪カバーを取り付け、付随台車のブレーキシリンダにはゴムベロースを採用している。

主電動機MT54E形を採用し、冷却は強制通風方式。歯車比は415系同様の4.82とした。

主回路は抵抗制御であり、主制御器は381系電車のCS43形を一部改良したCS43A形。ブレーキは415系同様のSELD式(応荷重装置および発電制動付き電磁直通空気ブレーキ )のほか、奥羽本線・福島 - 米沢間の33パーミルや25パーミル勾配区間も運行することを考慮[1]し、抑速発電ブレーキならびに耐雪ブレーキを装備。

電動発電機(MG)は、強化した暖房機能や将来の冷房搭載にも対応する160kVAをTc車に搭載。登場当初は冷房化は都市部を優先する方針だったことと、当時の国鉄の財政事情もあり、冷房装置は搭載スペースを確保した準備工事のみであったが、国鉄分割民営化後の1988年からAU75G形集中式冷房装置が搭載された。

異形式車との混結は行わないシステムであり、ジャンパ連結器も他の急行形電車や近郊形電車とは互換性が無いKE96形を装備する。

当時、国鉄は電車に汎用性を追求していたことから、北海道以外では、基本的に交流区間であっても交直両用電車を投入する方針としており、417系電車も直流1,500Vと交流20,000V・50Hzおよび60Hzの3つの電源方式に対応する車両として設計された。

営業運転開始以来、交流50Hz電源区間でのみ運用され続け、のちに誤操作防止のため交直流切替スイッチが交流側に固定された。なお公式試運転では、山口県下松市日立製作所出場後に山陽本線の直流区間や鹿児島本線門司 - 南福岡間の交流60Hz区間を走行しているほか、1978年3月16日には東北本線を仙台まで自力回送されている[2]

なおK-5編成の車両側面の行先表示器は国鉄分割民営化前後の1年程の間、試験的にLED液晶表示に変更されていた。

[編集] 車内設備

クモハ417-5
ドアスイッチ(車外側・開操作のみ行う)

座席は固定式クロスシートとロングシートの組合せ(セミクロスシート)である。クロスシート部の間隔は、それまでの近郊形車両の標準であった1,420mmから1,490mmへと70mm拡大され、居住性が向上した。この寸法は、同時期製造の113系1500・2000番台115系1000・2000番台415系100番台キハ40系気動車でも採用され、以後の標準となった。

積雪寒冷地を走行するため、乗降口の脇には袖仕切とその上部にガラス製の風防が設置されたほか、乗降口の半自動扱いへの切替が可能である。当初は手動開閉式で半自動となる時期は限られていたが、1996年に押ボタン操作式に改造された。これにより、通年半自動扱いとされた。ドアボタンを押すとブザーが鳴るが、車掌によるドア開閉時は鳴らない。

[編集] 車両形式

下り側(東北本線常磐線基準)からMc-M'-Tc'の3両編成である。

クモハ417形 (Mc)
モハ416形とユニットを組む制御電動車。主制御器、主抵抗器、1・4位側面に主電動機冷却風用雪切室を備える。定員108名(座席61名)。
モハ416形 (M')
クモハ417形とユニットを組む電動車で、パンタグラフは耐雪形のPS16H形を搭載するほか、空気遮断器、交直切換器、交流避雷器主変圧器主整流器、主平滑リアクトルを搭載する。1・4位側面に主電動機冷却風用雪切室を備える。定員124名(座席68名)。
クハ416形 (Tc')
制御付随車で、160kVA電動発電機 (MG) とC2000形空気圧縮機 (CP)、3位側隅にトイレと4位側隅にMG冷却風用雪切室を備える。定員107名(座席60名)。

[編集] 他系列への影響

同様の車体構造は、後の新製車である713系電車交直流急行形電車の車体更新車である413系・717系電車に受継がれた。

[編集] 運用

所属する車両基地は、落成時から一貫して(仙台運転所→仙台電車区→)仙台車両センターであった。主に東北本線(黒磯 - 福島 - 仙台 - 一ノ関間)で普通列車のほか、快速列車仙台シティラビット」の運用にも就いていた。また、仙山線(仙台 - 作並間)の普通列車でも運用されていた時期があった。

陸前山王駅構内側線に留置されていた417系
2007年9月

E721系電車への置き換えに伴い、2007年7月1日をもって全編成が定期運用を終了した。その後、全編成が陸前山王駅に留置された。このうち、K-4編成は同年11月にいったん郡山総合車両センターへ配給され、12月に岩切駅に隣接する仙台レールセンターに取り込まれた。翌2008年1月に書類上では廃車とされたが車両自体は残され、車籍のない機械扱いではあるものの訓練編成として使用されている。また、K-1編成は2008年6月に郡山総合車両センターで整備された後、阿武隈急行に譲渡され、後述するA417系電車として運用されている。他の編成は2008年8月に茨城県鹿島臨海鉄道神栖駅へ送られ廃車となった。

[編集] A417系電車

阿武隈急行はJRから中古車両3両編成1本を購入し増備する方針を2007年に発表[3]。JR東日本と検討を重ねた結果、状態の良い417系電車を購入するに至り、当初の予定[4]通り、2008年10月30日から営業運転を開始した[5]。当面の間は富野 - 福島間の平日朝夕限定で運用される。

編成は槻木方から

AT418(クハ416-1)+AM417-2(モハ416-1)+AM417-1(クモハ417-1)

となっている(括弧内はJR時代の車両番号)。

譲渡に伴い郡山総合車両センターにおいて、編成の方向転換と、同社の8100系電車に準じた色への塗装変更が行われた[6][7]

[編集] 脚注

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  1. ^ a b c d 吉田実「近郊形交直流417系電車の概要」、『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1978年4月。
  2. ^ 『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1978年7月。
  3. ^河北新報』2007年6月16日。
  4. ^ 『鉄道ダイヤ情報』、交通新聞社、2008年11月。
  5. ^ ういんぐ (2008年10月30日). “【阿武急】A417系 営業運転開始”. 1番のりば. 2008年10月30日閲覧。
  6. ^ 栢森千 (2008年8月29日). “417系,阿武隈急行色に”. railf.jp. 交友社. 2008年9月11日閲覧。
  7. ^ 営業運転開始時に前面貫通扉に阿武隈急行のCIマークが追加されている。

[編集] 関連項目

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