JR東日本E655系電車

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JR東日本E655系電車
E655系電車 手前から3両目が特別車両(2007年7月24日 赤羽 - 尾久)
E655系電車 手前から3両目が特別車両
(2007年7月24日 赤羽 - 尾久)
編成 6両(4M2T)または5両(4M1T)
営業最高速度 130km/h
起動加速度 2.0km/h/s[1]
減速度 5.2km/h/s[1](常用最大)
5.2km/h/s[1](非常)
編成定員 107名
最大寸法
(長・幅・高)
21,115 mm×2,946 mm×3,940 mm
車体材質 アルミニウム合金
車両質量 50.0 t(付随車)
46.8 t(電動車)
40.5 t(特別車)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V・交流20,000V(50/60Hz)
編成出力 2240kW(4M2T)
主電動機 MT75A(140kW / 基)
制御装置 VVVFインバータ制御IGBT素子
台車 DT76(電動車)・TR261(付随車)・TR261A(特別車)
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ(自走時)
自動空気ブレーキ(被牽引時)
保安装置 ATS-P,ATS-Ps
製造メーカー 日立製作所東急車輛製造
備考 Tsc'車にディーゼル発電機を搭載

E655系電車(E655けいでんしゃ)は、2007年(平成19年)に登場した東日本旅客鉄道(JR東日本)の交直流特急形電車。6両編成1本が在籍し、「なごみ(和)」の愛称を持つ。

概要[編集]

これまで天皇皇族の乗用車両として昭和初期から中期に製造されたお召し列車用の皇室用客車「1号編成」が製造から40年 - 70年を経過し、老朽化も進行していたことから、これらの置き換え用として製造された。

1号編成は天皇・皇族と随伴員のみ乗車可能だったが、本系列では天皇や要人国賓など)が利用する「特別車両」を外し、「ハイグレード車両」と呼ばれる5両編成とすることで一般客の利用にも対応しており、お召し列車だけでなく団体専用列車(いわゆるジョイフルトレイン)としての役割も兼ね備えている。

本系列は、お召列車専用ではない。そのため、特別車両以外の車両には一般の人も乗車できるが、団体専用列車での運行となるため、JR東日本の会員制クラブ「大人の休日倶楽部」のジパング・クラスとミドル・クラスの会員になりツアーを申し込むか、近畿日本ツーリストなどの旅行代理店のツアーを申し込まなくてはならない。 なお、乗車料金には特別な設定はされておらず、運賃特急料金グリーン料金の合計金額である。本系列に一般の人が乗れる機会は年に数回で、乗車希望者は多い[2]

愛称の由来[編集]

JR東日本によると、「なごみ(和)」の愛称は「ご乗車になるすべてのお客様になごんでいただきたい思いを込め」て命名したとされている[3]

特徴[編集]

特徴として、まず「ハイグレード車両」は全車両グリーン車となっている点が挙げられる。

座席は横1+2列配置の電動式リクライニングシートで、各座席にはスポット空調の吹き出し口や読書灯のほか、各種デジタル放送車内販売システム、運転席からの展望映像などに対応したタッチパネル式の8インチモニタ装置が設置されている。各車両ともデッキを含めてすべて禁煙となっている。

もう一つは機関車の牽引によって非電化区間への入線が可能な仕様になっている点である。

客車として機関車に牽引される場合の、空調装置などサービス機器への電源供給用としてディーゼル発電機が搭載されている。ブレーキシステムについても自力走行する場合は回生ブレーキ併用の電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ・直通予備ブレーキが動作するが、機関車に牽引される場合は自動空気ブレーキと直通予備ブレーキが動作する。このため各車両間にはブレーキ管を引き通している。自動空気ブレーキはディーゼル発電機が稼動している際は機関車からのブレーキ管空気圧を電気指令に読み替えるが、発電機が停止している際は読み替えずにそのまま動作する。機関車との連結を考慮して先頭車前面の連結器は密着自動連結器とされ、自力走行時は格納することが可能な構造となっている。

車体はアルミニウム合金ダブルスキン構造で、基本的にE653系E257系などと共通である。先頭車の前面は651系などに似た高運転台構造で、台車を除く床下機器類をすべてカバーで覆うとともに、屋根部分の側面にも搭載機器を極力隠すカバーが設置されているのが特徴である。

同社のE653系同様、直流1500V、交流20000V(50Hz・60Hz両対応)の3電源に対応しており、中央本線などの狭小トンネルも通過できる構造(第一縮小車両限界を適用)になっているため、JR東日本管内のほとんどのエリアで運用可能なほか、JR他社への乗り入れも考慮された構造となっている。

本系列はお召し列車に使われることから塗色は「漆色」と呼ばれ、光線の当たり具合で褐色から紫色に色合いが変化するマジョーラ塗装が用いられており、腰部には3本の細い金帯が配されている。また、「ハイグレード車両」の側面にはフルカラーLED式の行先表示器が設置されている。

主回路は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT) 素子による2レベル方式VVVFインバータ制御日立製作所[1])で、回生ブレーキのほか全電気停止ブレーキも可能としている。かご形三相誘導電動機E531系で採用されたMT75形の仕様をマイナーチェンジしたMT75A形が搭載され、定格出力は140kWであるが、歯車比は異なる。台車はE653系やE257系などで実績のあるヨーダンパ付きの軸梁支持式ボルスタレス台車を装着している。

運転台は、主幹制御器が左手操作のワンハンドル方式であることなど近年の新系列車両と同様のレイアウトだが、速度計などのメーター類はアナログ式が採用され制御伝送システムであるTIMSモニタは2台設置されている。

先頭車前部にはお召列車運用時に国旗及び菊花紋章と、手摺を取り付ける取り付け座(ボルト締結座)が設けられている。手摺は通常運用時には取り付けることは無い。

それぞれの車両の特徴については次節で述べる。

製造者は特別車両と4・5号車が日立製作所、1 - 3号車が東急車輛製造である。

編成[編集]

東北本線において上野寄りが1号車、仙台盛岡寄りが5号車となる。ただし、特別車両のE655形には号車番号が振られていない。

所属車両基地は特別車両が東京総合車両センター(東トウ)、その他は尾久車両センター(東オク)である。

車両別概要[編集]

1号車:クロE654-101 (Tsc'-100)
定員22名の制御車。床下にディーゼル発電機を搭載する。この車両のみ客用出入口がない。洋式トイレと男子小用トイレ、洗面所が各1か所設置されている。
2号車:モロE655-101 (M1s-100)
定員32名の電動車。床下に主変換装置を搭載する。屋根上にシングルアーム式の主パンタグラフ(前位(ユニット外側)設置)と予備パンタグラフ(後位(ユニット内側)設置)を各1基搭載し、中央本線身延線などにある狭小トンネル区間への入線にも考慮し、屋根の高さはパンタグラフ非搭載車よりも低くされている。
3号車:モロE654-101 (M2s-100)
定員9名の電動車。床下に主変換装置、電車として自力走行する際のサービス機器類の電源である静止形インバータ(SIV)、電動空気圧縮機(CP)を搭載する。他の「ハイグレード車両」の座席が布張りであるのに対し、本車両のみ本革張りとなっている。また半分は個室型のVIP室となっているほか、VIP専用の身体障害者対応トイレやギャレーが設置されている。
特別車両:E655-1 (TR)
特別車両として天皇や皇族、国賓が利用する際のみ、3号車と4号車の間に連結される定員18名の付随車。「サロ」「サハ」などの記号は付されていない。3号車寄り車端に出入台があり、次室、特別室、休憩室と続く。1号御料車に設けられていた化粧室・厠(トイレ)の有無は公表されておらず、また「御座所」「御休憩室」の名称は用いられない。特別室は、壁・天井とテーブルに大分県産の高級杉材を用いた内装に菊柄の絹織物を張ったソファを設け、床には9種類の伝統文様を配した手織りの絨毯を敷いている。窓の天地寸法は950mmと他の箇所より大きく、中央部の窓は幅2,200mmの電動昇降式となっている。休憩室にはベッドにもなるソファと三面鏡を設置している。外装は特別室の窓下に金帯がなく、広幅窓下中央に菊の御紋を取り付けるための窪みがある。屋根上には休憩室付近にアンテナ2本(用途非公表)があるだけで、空調装置の搭載箇所は公表されていない。車両番号は妻面に標記されている。付随車ながら空車重量は40.5tある。
E257系E653系E657系に組み込んで走行することも可能な構造になっており、各車両を使用した試運転も行なわれている。
4号車:モロE655-201 (M1s-200)
定員27名の電動車。2号車と同じく床下に主変換装置を、屋根上に主パンタグラフと予備パンタグラフを1基ずつ搭載しており、屋根高さも低くされている。車内にはギャレーも設置されている。
5号車:クモロE654-101 (M2sc-100)
定員17名の制御電動車。床下に主変換装置・SIV・CPを搭載する。身体障害者対応トイレや多目的室が設置されている。

沿革[編集]

運用範囲[編集]

お召し列車・御乗用列車のほか団体臨時列車としてATC区間を除きほぼ全ての線区で使用可能となっている。電化区間では自力で走行し、非電化区間ではディーゼル機関車に牽引されて走行する。以下は試運転を含めた運行線区である。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d 日本鉄道車両工業会「車両技術」235号「JR東日本 E655系特急形交直流電車」記事。
  2. ^ 封印された鉄道史』(p96, p97)
  3. ^ E655系ハイグレード車両の列車愛称決定並びに商品企画について (PDF) 」 - JR東日本プレスリリース 2007年12月13日付け
  4. ^ 両陛下、スペイン国王とお召し列車でつくば市をご訪問[リンク切れ]天皇陛下が乗車されたお召し列車、上品で洗練されたデザイン[リンク切れ]産経新聞、2008年11月12日付)
  5. ^ E257系M104編成,特別車両E655-1を連結して試運転 - 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) 2008年12月6日
  6. ^ E655-1,E653系と混結試運転 - 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) 2009年4月23日
  7. ^ a b c 公務ではなく、天皇・皇后らの静養や私的な旅行のために運転された非公式のお召し列車のため。
  8. ^ 大人の休日倶楽部5周年特別企画 ハイグレード列車「なごみ(和)」で行く旅 『往復「なごみ(和)」利用&リゾート列車で東日本一周』発売 (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2010年9月30日
  9. ^ E657系+E655-1が試運転 - 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) 2011年9月28日
  10. ^ 中央本線で御乗用列車運転 - 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) 2011年11月14日
  11. ^ E655系が中央本線で試運転”. 鉄道ニュース(交友社) (2012年9月10日). 2012年10月13日閲覧。
  12. ^ 中央本線でお召列車運転”. 鉄道ニュース(交友社) (2012年10月7日). 2012年10月13日閲覧。
  13. ^ 東海道本線・伊東線・伊豆急行線でお召列車運転 - 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) 2013年3月26日
  14. ^ 伊豆急行線・伊東線・東海道本線でお召列車運転 - 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) 2013年3月29日
  15. ^ 両毛線でお召列車運転”. 『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース(交友社) (2014年5月23日). 2014年5月23日閲覧。

参考文献[編集]

  • 新車速報「JR東日本 E655系 特別車両・ハイグレード車両」 - 交友社『鉄道ファン』2007年10月号 No.558 p50 - p57
  • 「E655系 ハイグレード車両・特別車両公開」 - 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2007年10月号 No.492 p54 - p59
  • 「誕生! E655系特急型交直流電車」 - ネコ・パブリッシングRail Magazine』2007年10月号 No.289 p68 - p77
  • 新車ガイド「JR東日本 E655系特急形交直流電車」 - 交友社『鉄道ファン』 2007年11月号 No.559 p10 - p19
  • 東日本旅客鉄道(株)運輸車両部(車両開発)特別車両グループ「JR東日本 E655系電車の概要」 - 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2007年11月号 No.493 p64 - p69
  • 「E655系交直流両用電車 御召列車にも使われるハイグレード車両」図面つき - プレス・アイゼンバーン『とれいん』2007年10月号 No.394 p20 - p31
  • 小川裕夫 『封印された鉄道史』 彩図社2010年6月18日、第1刷。ISBN 978-4883927425

関連項目[編集]

外部リンク[編集]