伊豆急行線

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伊豆急行線
川奈 - 富戸間を走る2100系電車「リゾート21」(2010年3月30日)
川奈 - 富戸間を走る2100系電車「リゾート21」
(2010年3月30日)
伊豆急行線の路線図
路線総延長 45.7 km
軌間 1067 mm
電圧 1500 V 架空電車線方式直流
最高速度 90 km/h
停車場・施設・接続路線
STR
JR東:伊東線
BHF+GRENZE2
0.0 伊東駅
BHF
2.0 南伊東駅
BHF
6.1 川奈駅
BHF
11.5 富戸駅
BHF
13.9 城ヶ崎海岸駅
BHF
15.9 伊豆高原駅
BHF
20.9 伊豆大川駅
BHF
22.9 伊豆北川駅
BHF
24.3 伊豆熱川駅
BHF
26.1 片瀬白田駅
BHF
30.3 伊豆稲取駅
BHF
34.2 今井浜海岸駅
BHF
35.3 河津駅
TUNNEL1
谷津トンネル 2796m
BHF
40.7 稲梓駅
BHF
43.4 蓮台寺駅
KBHFe AETRAM
45.7 伊豆急下田駅 下田ロープウェイ
海岸線沿いを走る区間もある
(2006年3月、片瀬白田 - 伊豆稲取間)

伊豆急行線(いずきゅうこうせん)は、静岡県伊東市伊東駅から静岡県下田市伊豆急下田駅を結ぶ、伊豆急行鉄道路線

概要[編集]

伊豆半島東部の海岸沿いを走っているが、実際に海が見える区間は半分程度である。これは伊豆半島特有の山が海までせり出す地形のために、トンネルを多用しなければならなかったためである。また、箱根山戦争の余波(伊豆戦争とも呼ばれる)により西武系の企業に現在の下田プリンスホテル付近などの海沿いの土地を押さえられてしまい、河津 - 伊豆急下田間で山側の現在の谷津トンネル経由にルートを変更しなければならなかったことも影響している。

伊豆急行沿線は、古くから温泉街が多く、建設当時はトンネルを掘る際、地盤に源泉が染み込み、たびたび落盤事故を引き起こしていた。この事故で、多数の建設員が犠牲となった。

川奈 - 富戸間では、海抜100m超の位置から海を見下ろすことができる。眼下には川奈岬、川奈ホテルゴルフコースが広がる。片瀬白田 - 伊豆稲取間では波打ち際近くを走る、伊豆急の車窓を代表する区間で、「リゾート21」に乗車すると、視界いっぱいに海が広がる。この区間ではワンマン運転列車をのぞき車内放送で車掌が伊豆七島の案内放送をする(伊豆急行線に乗り入れてくるJR東日本の特急「スーパービュー踊り子」ではNREのビューアテンダントが放送を担当する)。天候が悪く見ることができない場合は、「本日はあいにくご覧いただけませんが」などとその旨断って放送する。

2010年(平成22年)3月13日に全線にICカード「Suica」を導入し、これによりPASMOなどSuicaと相互利用可能なカードも利用可能となった[1]。なお、伊豆急行ではJR東日本発行のSuicaの発売のみで、自社での発行は行わない。定期券も従来のものである。なお、伊東 - 伊豆急線内間を利用すると、履歴には「伊急伊東」と表記される。

JR管理駅である伊東駅を除いた全ての駅には自動改札機は設置されておらず、駅員が列車ごとに改札を行う。前述のようにSuica導入に伴い、南伊東からの各駅にICカード用の簡易改札機が設置された。一部の駅では自動券売機が設置されており、発券される乗車券は磁気化されているので、JR熱海駅から先の各駅に設置の自動改札機を通せる。特急停車駅ではみどりの窓口が設置されているが伊東駅を除きクレジットカードは使用不可である。

2012年(平成24年)4月1日より稲梓駅と伊豆北川駅は終日無人駅となり、窓口は閉鎖され、券売機なども撤去された。終日無人となったため、緊急通話用として稲梓駅は伊豆急下田駅に伊豆北川駅は伊豆高原駅に自動でつながる電話機を設置した。

終日無人駅である稲梓駅と伊豆北川駅以外は有人駅であるが、この両駅以外の特急通過駅および伊豆熱川駅、河津駅では一部時間帯に無人となるため、乗車駅証明書発行機と運賃収受箱が設置されている。この乗車駅証明書発行機は、JR東日本の乗車駅証明書発行機とは全く違い、路線バスなどに設置されている小田原機器製の感熱紙整理券発行機が使用されている。駅員がいる場合でも、駅の見回りなどで不在のときに使用されることがある。運賃収受箱は早朝・夜間の一部時間帯と日中のワンマン運転時に車掌が乗務しておらず乗客の運賃、切符を無人駅で車掌が回収できないため設置されており、運賃収受箱の近くに各駅からの運賃が記載された表が貼られている。

最近、JR東日本と同タイプのものでない非常ボタンが設置されている踏切を対象に、非常ボタンがJR東日本と同タイプのものに取り替えられている。また、特殊発光信号機は踏切では伊豆急行独自のデザインのものが使用され、海岸線や山間部などに設置されている落石警報では一般的な反時計回りに点灯する五角形のものが使用されている。踏切動作反応灯は一般的なデザインのものが使用されている。踏切の警報音はほとんどの踏切が東急の踏切と同じ警報音が使用されている。

路線データ[編集]

  • 路線距離:45.7km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:16駅(両端を含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式)
  • 閉塞方式:単線自動閉塞式
  • 保安装置:ATS-Si(JR東日本のATS-SNと互換性あり)
  • 最高速度:90km/h
  • 表定速度:57.2km/h
  • 車両基地所在駅:伊豆高原駅(伊豆高原電車区)

運行形態[編集]

1961年の開業当時より優等列車の多くは、伊東駅で接続しているJR東日本の伊東線を経由して東海道本線と直通している。普通列車も、朝晩は伊東駅での折り返し運転となるが、日中については伊東線の熱海まで直通運転する列車が多い。また、東京からの普通列車グリーン車を連結しており、それに合わせる必要があったことと、別荘地を走るため需要が見込めることから、かつては伊豆急行でもグリーン車を保有し、自社の普通列車にも連結していた。のちに特別車両の「ロイヤルボックス」を連結するようになったが、現在では東京へ乗り入れる特急リゾート踊り子」以外の自社列車にはグリーン車やロイヤルボックスなどの特別車両の連結はしていない。なお、JR伊東線の熱海駅 - 伊東駅間の伊豆急に乗り入れない普通列車についても、東海道線東京方面への直通列車をのぞいて伊豆急の車両が使用されている。

本数としては昼間時間で1時間に2本程度。日中は伊東線直通列車を含め8000系電車2編成を連結した6両で運転される。ただし、伊豆高原以南は時間帯によって同駅で後方を切り離して3両での運転となる。その場合の後方3両は「普通 伊豆高原」と行先表示され、車内の電光掲示もそれに伴った表示となる。乗車中は3・4両目間の行き来ができない。また、「リゾート21」での運用時も、伊豆高原駅から先は8000系3両に取り換えて運転されることもある。なお、特急停車駅と一部の特急通過駅のホームは10両編成に対応している(伊東駅は11両対応)。

定期列車は特急列車・普通列車の2種別のみであるが、観光シーズン等の多客期になると、臨時の快速列車が運転される。

ワンマン運転[編集]

早朝・夜間および日中の伊豆高原以南の一部普通列車には8000系を使用したワンマン運転が行われている。

ただし、運転士以外にもう1人乗務員が乗務しており(一部の時間帯をのぞく)、乗車券の発券や集札を担当している。このため8000系には自動放送装置は設置されているものの、運賃箱整理券発行機は設置されていない。ドア扱いはすべて運転士が担当し、もう1人の乗務員はドア扱いを行わない。

利用状況[編集]

輸送実績[編集]

収入実績[編集]

使用車両[編集]

現在の使用車両[編集]

2100系電車「リゾート21」(伊豆多賀駅)
8000系電車(熱海駅)
  • 2100系電車:「リゾート21」の愛称がある。特急「リゾート踊り子」及び普通列車に使用。また、最終増備編成のR-5編成については、「アルファ・リゾート21」と名称・外観・車内仕様が異なる。
  • 8000系電車:東京急行電鉄から8000系電車を譲り受けたもの。主に普通列車に使用。この電車よりワンマン対応。
  • 100系電車2002年4月27日に営業運転終了し、大半の車両が解体された。事業用車両として両運転台車である「クモハ103」が1両残り、伊豆高原電車区に配置されていたが開業50周年記念事業の一環として2011年11月5日に復活運転を開始した。以後、旅行会社等による貸切運転やイベントでの展示、運行をする予定。

過去の使用車両[編集]

旅客用[編集]

貨物用[編集]

乗り入れ車両[編集]

現在の乗り入れ車両[編集]

伊豆高原駅で交換する、185系特急「踊り子」と伊豆急行8000系
伊豆高原駅で交換する、251系特急「スーパービュー踊り子」と伊豆急行8000系

当路線にはJR東日本の車両が中心に乗り入れている。2002年12月以降、東海道線からの直通列車は特急列車、一部の臨時列車のみであり、東京駅始発の普通列車は乗り入れていない。

過去の乗り入れ車両[編集]

お召し列車[編集]

下田に須崎御用邸があるため私鉄では珍しくお召し列車が乗り入れる。最近は特急「踊り子」「スーパービュー踊り子」のグリーン車に乗車しているため、クロ157形一号編成を使用した純粋なお召し列車は乗り入れていない。

一方、1973年6月5日と1975年3月12日には、御料車100系グリーン車、サロ182号を使用したお召し列車が伊豆高原 - 伊豆急下田間に運転されたこともある。

また、一号編成の後継としてお召し列車にも使用されるE655系が2007年11月8・9日に伊豆急下田まで試運転を行った。

駅一覧[編集]

「踊り子」「スーパービュー踊り子」「リゾート踊り子」「マリンエクスプレス踊り子」の停車駅については列車記事を参照(線内での臨時停車もあり)。

  • 全線静岡県内に所在。
  • 線路(全線単線) … ◇:列車交換可、|:列車交換不可
駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 線路 所在地
伊東線熱海駅まで直通運転
伊東駅 - 0.0 東日本旅客鉄道:伊東線(直通運転) 伊東市
南伊東駅 2.0 2.0  
川奈駅 4.1 6.1  
富戸駅 5.4 11.5  
城ヶ崎海岸駅 2.4 13.9  
伊豆高原駅 2.0 15.9  
伊豆大川駅 5.0 20.9   賀茂郡東伊豆町
伊豆北川駅 2.0 22.9  
伊豆熱川駅 1.4 24.3  
片瀬白田駅 1.8 26.1  
伊豆稲取駅 4.2 30.3  
今井浜海岸駅 3.9 34.2   賀茂郡河津町
河津駅 1.1 35.3  
稲梓駅 5.4 40.7   下田市
蓮台寺駅 2.7 43.4  
伊豆急下田駅 2.3 45.7  

ほとんどの駅が一線スルー化されている。 なお、伊豆を冠する駅名(例:伊豆稲取)が多いのは、開業当時に国鉄連絡運輸を行っていた東海自動車バス駅バス停(例:稲取)と区別するためである。伊豆北川(いずほっかわ)駅に関しては、日豊本線北川(きたがわ)駅との区別も兼ねている。

城ヶ崎海岸駅から、伊豆高原駅へと、一駅で「海岸駅」から「高原駅」に上り下りする路線であるが伊豆高原自体の標高が大して高くないので、膨大な標高差を上り下りしている訳ではない。なお、城ヶ崎海岸駅の方が伊豆高原駅よりも標高の高い場所にある。

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 割谷英雄「伊豆急30周年ものがたり」
    交友社『鉄道ファン』1992年2月号 No.370 p43-p54
  • 割谷英雄「伊豆急40年の歴史をふり返って」
    交友社『鉄道ファン』2001年1月号 No.477 p86-p93
  • 鈴木文彦・久保田敦「地方鉄道レポート14 リゾート輸送の転機に立つ 伊豆急行のあゆみと現状」
    鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2005年6月号 No.464 p72-p81
  • 小口喜生「伊豆急100系―名車“ハワイアンブルーの100系”走り続けた40年―
    毎日新聞社
  • 宮田道一・杉山裕治「伊豆急100形―誕生からラストランへ―
    ネコ・パブリッシング『RM library 34』
  • 静岡新聞社編集局「静岡県鉄道物語」
  • 森 信勝「静岡県鉄道興亡史」
    静岡新聞社

関連項目[編集]

外部リンク[編集]