JR東日本651系電車

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JR東日本651系電車
651系(2005年7月18日 北千住駅)
651系(2005年7月18日 北千住駅
編成 基本編成:7両(4M3T
付属編成:4両(2M2T)
営業最高速度 130 km/h
設計最高速度 160 km/h
編成定員 362名(普)+36名(グ)=398名※1
240名(普通車のみ)※2
最大寸法
(長・幅・高)
21,100 × 2,900 × 3,515 (mm)
先頭車の全長は21,500mm
車体材質 普通鋼
編成質量 238.3t※1
135.7t※2
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
交流20,000V (50Hz)
架空電車線方式
編成出力 120kW×16=1,920 kW※1
120kW×8=960 kW※2
主電動機 直流直巻電動機 MT61形 120kW
歯車比 3.95(20:79)
駆動装置 中空軸平行カルダン駆動方式
制御装置 サイリスタ位相制御コンバータ+抵抗制御・直並列組合せ制御
界磁添加励磁制御
台車 ボルスタレス台車
DT56形(電動車)・TR241形(制御車・付随車)
制動方式 電気指令式
回生ブレーキ抑速ブレーキ付き)
保安装置 ATS-P, ATS-Ps
製造メーカー 全車川崎重工業
備考
Wikipedia blueribbon W.PNG
第33回(1990年
ブルーリボン賞受賞車両

※1は基本編成
※2は付属編成
※3( )は先頭車

651系電車(651けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流直流両用特急形電車である。

1990年平成2年)、第33回鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。

概要[編集]

常磐線の特急「ひたち」で使われていた485系電車の置き換え用として、1988年昭和63年) - 1990年(平成2年)に88両、1992年(平成4年)に11両がいずれも川崎重工業で製造された。1989年(平成元年)3月11日ダイヤ改正から営業運転を開始した。

基本7両編成(MT比4M3T)と付属4両編成(MT比2M2T)が各9本の計99両が、勝田車両センターに配置。

大きな特徴はスピード・アップで、滑走再粘着装置の搭載で130km/hからの制動距離を規定の600m以内に抑えることにより、在来線特急列車としては初めて最高速度130km/hでの営業運転を実現した。130km/h運転区間は上野 - 日立間である。130km/h対応の特急型電車としては、九州旅客鉄道(JR九州)の783系電車が先に登場していたが、同系が130km/h運転を開始したのは、1990年からである[1]

後部標識灯を兼ねたLED表示式のヘッドサインや、間接照明・各座席への読書灯の採用など、外装・内装にも工夫が凝らされ、このあと次々と登場する自由なデザインの車両のさきがけとなり、白色を基調とした外装から、登場時には「タキシードボディのすごいヤツ」というキャッチコピーが与えられた。

登場時から常磐線の特急「スーパーひたち」にのみ使用されていたが、2002年(平成14年)12月1日のダイヤ改正勝田駅始発・終着の「スーパーひたち」は「フレッシュひたち」に変更された。それまで「フレッシュひたち」専用であったE653系と異なり、普通車は、ドアが各車両2か所で乗降がスムーズに行えるためか、その後E653系から651系へ「フレッシュひたち」の運用を替えた列車や、夜間の上野駅発土浦駅行の「フレッシュひたち」といった通勤特急列車にも使われていた。本系列を運用する列車はグリーン車を連結するため、時刻表上でも容易に判別できた[2]。なお、2012年3月17日のダイヤ改正時点では、本系列で運転する「フレッシュひたち」は、上り68号、下り75号のみとなっていた。

2000年(平成12年)より、座席の改造やAVサービスユニットの撤去、間接照明から直接照明への変更、荷棚の改造(ハットラック式から開放式へ)、アームレスト革部分のカット、バックシェルからモケット張りへの変更、ヘッドレストのカットなど内装面を中心とする更新工事が施工されたが、外観については、雨樋の追設や衛星アンテナの撤去、連結器カバー装着以外に目立った変更はない。

2007年(平成19年)3月18日より、全車両が禁煙となった。

2010年12月、JR東日本はE657系車両を2012年春に導入し、同年秋に651系を全て置き換える計画を明らかにした[3]。置き換え後の651系の処遇については他線区の臨時列車への転用が示唆された[4][5]が、2013年9月11日付でK203編成が廃車され、本系列初の廃車が発生している[6]

2013年3月15日に「スーパーひたち」「フレッシュひたち」の全運用がE657系になったが、E657系の改造工事のため同年10月1日から2015年3月までの予定で「フレッシュひたち」1往復に運用されることとなった[7]

2013年12月、2014年3月15日に実施予定のダイヤ改正から新たに185系の置き換え用として、改造された651系1000番台が高崎線系統の特急「スワローあかぎ」・「あかぎ」・「草津」に投入することが発表されている[8]

構造[編集]

車体塗色は、サンドグレーとオリーブグリーンと□ミルキーホワイトである。

交流直流両用電車であるが、交流は50Hz区間のみの対応である。集電装置は交流直流両用のPS26形パンタグラフである。仙台駅まで運用されるため耐寒構造ではあるものの、降雪量が少ない地域であることから耐雪構造ではなく、常磐線での使用に特化した車両となっている。主回路制御には界磁添加励磁制御を採用し、省力化・省エネルギー化を図っている。直流側のシステムは、211系電車と同様であるが、交流側のシステムの整流装置に、サイリスタによる位相制御を採用したことで、交流区間でも電力回生ブレーキが可能となり、交流直流両用車としては日本初の回生ブレーキ装備車となっている。主電動機はMT61形、歯車比は783系電車と同一の3.95である。その後登場した交流直流両用電車はVVVFインバータ制御に移行したため、界磁添加励磁制御の採用例は本系列が唯一である。

台車は、211系電車で実績のあるボルスタレス式DT50系列を基本としているが、高速性能向上のため、ヨーダンパ追設等のマイナーチェンジを図ったDT56形・TR241形を装着する。

車内照明の供給電源は、従来系列と同様に電動発電機 (MG) からであり、このためにデッドセクション通過時は、直流電源、電源供給が絶たれた際に蓄電池により点灯する予備灯兼用の照明を除いて消灯する。なお、交直切り替えは運転士のスイッチ操作で行われる。

運転台グリーン車の車掌室には、JR東日本の在来線電車では初めてブラウン管式のモニタ装置MON3)が設置された。これはのちのTIMSにつながる技術である。また、車内自動放送装置はなく、車内放送チャイムも新造当初は485系電車などと同様の鉄道唱歌オルゴールだったが、1998年頃に現行の電子音チャイムに交換された。

形式[編集]

モハ651形
制御装置を搭載する電動車
0番台 (M)
18両(1 - 18)が製造された。定員64名。仙台側車端部にトイレ洗面所カード公衆電話コーナーを設置する。公衆電話はのちに撤去された。モハ650形0番台とユニットを構成し、基本編成6号車と付属編成10号車に連結される。
100番台 (M1)
9両(101 - 109)が製造された。定員58名。仙台側車端部にトイレ・洗面所、上野方に多目的室を設置する。モハ650形100番台とユニットを構成し、基本編成3号車に連結される。車椅子対応で、仙台方の客用ドア幅を拡大し、その直後の座席は一人掛となっている。
モハ650形
モハ650-16(1992年)
パンタグラフ主変圧器等の整流機器を搭載する電動車。
0番台 (M')
18両(1 - 18)が製造された。定員68名。仙台側客室端に荷物置場を備える。モハ651形0番台とユニットを構成し、基本編成5号車と付属編成9号車に連結される。サニタリーコーナーを持たないため、定員は本系列最大である。
100番台 (M'1)
9両(101 - 109)が製造された。定員64名。仙台側客室端に荷物置場、車端部に車販準備室清涼飲料水自動販売機を設置する。モハ651形100番台とユニットを構成し、基本編成2号車に連結される。ただし、自動販売機は2008年4月1日より使用中止となっている。
クハ651形
仙台方の制御車。
0番台 (Tc)
電動発電機 (MG) ・空気圧縮機 (CP) を搭載し、9両(1 - 9)が製造された。定員56名。基本編成7号車に連結される。
100番台 (Tc1)
0番台とは異なりMG・CP搭載を省略しており、9両(101 - 109)が製造された。定員56名。付属編成11号車に連結される。
クハ650形 (Tc')
MG・CPを搭載する上野方の制御車で、18両(1 - 18)が製造された。定員52名。仙台側車端部にトイレ・洗面所、電話コーナーを設置する。基本編成1号車と、付属編成8号車に連結される。付属編成用車(偶数番号)にはカード式の公衆電話が設置されている。
サロ651形 (Ts)
グリーン車で基本編成4号車に連結する、本系列唯一の付随車で、9両(1 - 9)が製造された。客室両端に荷物置場、仙台側車端部にトイレ・洗面所・カード式公衆電話を設置する。座席配置は2列+1列で登場時は定員33名。喫煙席と禁煙席との間に仕切が設けられていたが、2002年12月2日ダイヤ改正からのグリーン車全席禁煙化に伴い、仕切は撤去の上、空きスペースを上野方に移動。2004年(平成16年)夏に、この空きスペースに座席を設置し定員が36名になった。また当初は衛星放送受信サービスが行われていたが、1997年の放送衛星の更新によりサービスが不可能となったため、屋上アンテナドームおよび座席液晶モニタは撤去された。そのほかにもオーディオパネルなどを設置していたが、これらも撤去された。2001年(平成13年)のリニューアルでは、座席構造を変更し背面の化粧板はモケット張りに変更された。

編成表[編集]

以下に製造時の編成を記す。

 
← 仙台・いわき
上野 →
基本編成
K100番台編成
号車 7 6 5 4 3 2 1
形式 クハ651
(Tc)
(0番台)
モハ651
(M)
(0番台)
モハ650
(M')
(0番台)
サロ651
(Ts)
(0番台)
モハ651
(M1)
(100番台)
モハ650
(M'1)
(100番台)
クハ650
(T'c)
(0番台)
K101 1 1 1 1 101 101 1
K102 2 2 2 2 102 102 2
K103 3 3 3 3 103 103 3
K104 4 5 5 4 104 104 5
K105 5 7 7 5 105 105 7
K106 6 9 9 6 106 106 9
K107 7 13 13 7 107 107 13
K108 8 15 15 8 108 108 15
K109 9 17 17 9 109 109 17
付属編成
K200番台編成
号車 11 10 9 8  
形式 クハ651
(Tc1)
(100番台)
モハ651
(M)
(0番台)
モハ650
(M')
(0番台)
クハ650
(T'c)
(0番台)
K201 101 4 4 4
K202 102 6 6 6
K203 103 8 8 8
K204 104 10 10 10
K205 105 11 11 11
K206 106 12 12 12
K207 107 14 14 14
K208 108 16 16 16
K209 109 18 18 18
原ノ町駅に留置されている編成
(2012年10月)
  • 2011年3月11日に発生した東日本大震災による常磐線不通区間発生の影響で付属編成1本が原ノ町駅に留置されている[9]
  • 2011年5月末に、一部の編成で組成変更を実施した。K101編成とK205編成で3両ずつを交換し、7両編成は新たにK901編成となっている。バリアフリー設備を備える100番台電動車ユニットをK205編成に組み込んだ[10]
  • 2013年9月、K203編成が廃車となった。651系の廃車は同編成が初めてとなる[11]


運用[編集]

「スワローあかぎ」の運用に就く1000番台(2014年4月4日 大宮駅)
「スワローあかぎ」の運用に就く1000番台
(2014年4月4日 大宮駅
「草津」の運用に就く1000番台(2014年3月15日 宮原駅)
「草津」の運用に就く1000番台
(2014年3月15日 宮原駅

2013年10月より、2015年3月まで0番台が以下の定期的な運用が予定されている[7]

  • 「フレッシュひたち」61号・4号(11両編成、上野駅 - 勝田駅間)

2014年3月15日からは、1000番台が以下の定期運用に使用されている[12][13]

  • 「スワローあかぎ」・「あかぎ」の上野駅始発・終着全列車
  • 「草津」の全列車

過去の運用[編集]

2013年3月16日のダイヤ改正まで、以下の定期的な運用があった。

  • 「スーパーひたち」(上野駅 - いわき駅間)
    2011年3月11日までは、原ノ町駅仙台駅までの運用があった。
  • 「フレッシュひたち」の一部列車(上野駅 - 勝田駅間)

運用パターン[編集]

  • 基本編成(7両)+付属編成(4両):11両
    2012年3月17日のダイヤ改正より、当系列で運転する定期列車はすべて11両編成での運転となった。以前は7両・4両(4両編成での運行は勝田駅 - いわき駅間の一部のみ)での運転する列車が設定されていた。2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震東日本大震災)が発生するまでは、いわき駅 - 原ノ町駅・仙台駅間では4両編成(日によって11両編成)で運行されていた。基本編成+基本編成(14両)と付属編成+付属編成(8両)での運転は、過去にも定期列車では行われていない。

臨時運用[編集]

臨時列車および団体臨時列車にも使用されている。臨時列車は以下を参照。 団体臨時列車では日光線日光駅まで入線したことがある。

臨時列車・車体装飾[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 同日のダイヤ改正で 西日本旅客鉄道(JR西日本)においても「スーパー雷鳥」が湖西線北陸トンネル上り線に限り130km/h運転での営業運転を開始している。ただし「スーパー雷鳥」は従来型の485系グレードアップ改造車の運用のため踏切のない湖西線および北陸トンネルに限り特例として認可されたものであり、車両そのものを130km/h運転対応に改造して運行されていたわけではない。
  2. ^ 2012年3月17日現在のダイヤでは、E657系で運転する列車は「スーパーひたち」も含め「新型車両で運転」との注記があるため、この注記のないグリーン車連結列車が本系列で運転する列車である。
  3. ^ 常磐線特急に新型車両を導入! (PDF)”. 東日本旅客鉄道 (2010年12月7日). 2010年12月7日閲覧。
  4. ^ 常磐線特急に新型車両 12年春、上野-いわき間”. 福島民友 (2010年12月7日). 2010年12月8日閲覧。
  5. ^ 交通新聞(2010.12.9付)
  6. ^ 「JR電車編成表2014冬」ISBN 9784330424132 p.355。
  7. ^ a b 常磐線特急ひたち号の編成変更について (PDF) - 東日本旅客鉄道水戸支社、2013年8月8日。
  8. ^ 2014年3月ダイヤ改正について (PDF) - 東日本旅客鉄道、2013年12月17日。
  9. ^ 3・11からずっと…取り残された「スーパーひたち」 - zakzak 2012年12月14日
  10. ^ 651系に組替え編成 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年5月29日
  11. ^ 消えた車輛写真館:651系K203編成 - 『鉄道ホビダス』随時アップ:消えた車輛写真館 2014年3月3日
  12. ^ 651系1000番台が特急“草津”・“あかぎ”で運転開始 - 交友社「鉄道ファン」railf.jp鉄道ニュース 2014年3月16日
  13. ^ 特急“スワローあかぎ”運転開始 - 交友社「鉄道ファン」railf.jp鉄道ニュース 2014年3月18日

関連項目[編集]

  • レール7 - かつて放映されていたテレビ東京の番組。1989年頃から1991年の番組終了まで、本系列がオープニングを飾っていた。