JR東日本215系電車

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JR東日本215系電車
(2008年6月13日 大船駅)
(2008年6月13日 大船駅)
編成 10両編成(4M6T
営業最高速度 120 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 1.7 km/h/s
編成定員 830人(普)+180人(グ)=1,010人
全長 20,000(20,100) mm
全幅 2,900 mm
全高 4,070 mm
車体材質 ステンレス
編成質量 368.5 t
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
編成出力 120kW×16=1,920kW
歯車比 1:5.19
駆動装置 中空軸平行カルダン
制御装置 抵抗制御・直並列組合せ制御・弱め界磁制御界磁添加励磁制御
制動方式 電気指令式ブレーキ
回生ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置

ATS-SN,ATS-P,

ATC-5(使用停止)
製造メーカー 日本車輌製造日立製作所

215系電車(215けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流近郊形電車1992年平成4年)から1993年(平成5年)にかけて10両編成4本(40両)が製造された。車体デザインはTDOの手銭正道・戸谷毅史による。

概要[編集]

増加する東海道本線東京口の遠距離通勤に対応し、着席サービスと並行する貨物線を活用した速達サービスを提供するための定員制ライナー列車湘南ライナー」・「湘南新宿ライナー(現在のおはようライナー新宿/ホームライナー小田原)」で運用されることを目的として、211系2階建てグリーン車をベースに設計されている。そのため、着席定員の増加を基本コンセプトとしており、両先頭車を除く全車が2階建て構造(ダブルデッカー)となっている。普通車1両の座席定員は最大で120名に及ぶ。普通車の座席はすべてボックス式クロスシート(シートピッチは1460mm)である。

性能[編集]

(東海道本線 国府津-真鶴間、2001年8月5日)

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基本的に211系のシステムを踏襲した界磁添加励磁制御で、主電動機 (MT61)・歯車比 (1:5.19) も同一であるが、最高運転速度120km/hと車体重量増に対応するために限流値(抵抗短絡後の電流の落ち込み値)を高く設定して211系と同一の起動加速度を確保。併せて弱め界磁率を35%から30%へと変更して高速性能を確保、台車にもヨーダンパを装備している。補助電源装置は211系のブラシレスMGから静止形インバータ (SIV) に変更された。

保安装置はATS-SN形とATS-P形が装備された。1993年に落成した第2編成以降は品川駅から東京トンネルを通過し東京(地下)駅へ乗り入れるためATC5形を装備して落成し、第1編成にも1994年(平成6年)に装備された。


車体・編成[編集]

車体はステンレス製(前頭部は普通鋼製)軽量車体で、211系グリーン車を基本とする2階建て構造である[1]。10両編成のうち両端の各2両(計4両)を電動車クモハ215形 - モハ214形。それぞれ定員[2]64名、120名)とし、中間の6両はすべて付随車である。両端の電動車ユニットの基本設計は同一で、下り熱海方は方向転換する形で組み込み、上り東京方を100番台、下り方を0番台としている。制御電動車は、機器を集中搭載するため通常の平屋構造の車両と同様にフラットな台枠構造とされ、床下に機器を搭載するとともに2階部分の床下(台枠上)にも機器を搭載している。出入口には、普通車では幅900mmの片開き扉を、グリーン車では幅800mmの片開き扉をそれぞれ片側2か所に設けている。パンタグラフはPS24形を装備し中央本線小仏トンネル等の小断面トンネル(狭小トンネル)通過に対応したものである。中間の付随車は、普通車はトイレ付のサハ215形(定員111名)を3・8号車に、トイレなしのサハ214形(定員120名)を6・7号車とし、グリーン車はトイレありのサロ215形が5号車、トイレなし・車掌室付きのサロ214形が4号車に連結されている(いずれも定員90名)。トイレ設置車両ではいずれも熱海方にトイレがある。また、サハ215形の熱海方にある2D席は車椅子対応座席のため、2C席が欠番となっている。

当初は5両編成の付属編成の製作も計画されていた[3]が、実現しなかった。

車体外観は「ジェントル&ノーブル」を基本コンセプトとし、幕板部をベージュ、2階窓周りをダークグレーとし、扉部をあずき色としている。先頭の鋼製部分は白に塗装し、アクセントとして貫通扉はあずき色に、運転台窓周りはグレーを前面から側面に掛けて巻いている。

編成[編集]

編成番号
← 東京
熱海 →
クモハ
215形
モハ
214形
サハ
215形
サハ
214形
サハ
214形
サロ
215形
サロ
214形
サハ
215形
モハ
214形
クモハ
215形
NL1 101 101 1 1 2 1 1 2 1 1
NL2 102 102 101 3 4 2 2 201 2 2
NL3 103 103 102 5 6 3 3 202 3 3
NL4 104 104 103 7 8 4 4 203 4 4

運用[編集]

通勤ライナーと快速「アクティー」への投入[編集]

215系電車(1992年頃 熱海駅)

1992年に落成した第1編成は、田町電車区(後の田町車両センター)に配置され、同年4月20日から平日朝晩の「湘南ライナー」1往復および平日日中の快速「アクティー」で運用を開始した。なお方向幕には「通勤快速」も用意されていたが、東海道線の通勤快速には使用されなかった。

2次車落成後の1993年12月1日からは、「湘南ライナー」2往復および「湘南新宿ライナー」1往復に運用が拡大され、日中の快速「アクティー」にも全面的に使用を開始した。この頃には「215系=快速『アクティー』」というイメージが定着し、青春18きっぷ利用の鉄道ファンや、湘南・伊豆・箱根方面への行楽客の間に強い人気を得た。同時に休日には行楽用の「ホリデー快速ビューやまなし」として中央本線でも運転されるようになった。また、1998年(平成10年)3月14日ダイヤ改正からは新宿発着の東海道本線・横須賀線方面への土曜・休日運行の快速列車として運行されるホリデー快速「ビュー湘南」・「ビュー鎌倉」にも充当された。2001年(平成13年)1月1日には山手線臨時列車21世紀記念列車・215(GO)号」(にじゅういちゴー)が当系列を使用して運転された。

湘南新宿ラインへの転用[編集]

快速「アクティー」での当系列の運用は利用客からは好評であったが、各車両片側2ドアなどの車体の構造上の問題などで各停車駅での乗降に時間がかかり、遅延が目立つようになった。それに加え、熱海方面への行楽客を特急「踊り子」に移行させて増収を図る目的もあり、2001年(平成13年)12月1日のダイヤ改正で快速「アクティー」の運用から撤退し、同改正から運行を開始した湘南新宿ラインに運用の場を移し、日中の横須賀線横須賀駅 - 新宿駅間系統の普通列車・土休日の東海道本線小田原駅 - 新宿駅間の快速列車の一部に充当された。湘南新宿ラインでの運行開始当時、新宿駅を発着する列車ではそれまでライナー系統の列車やホリデー快速ビューやまなしでしか乗れなかったという珍しさと、グリーン車以外は気軽に乗車できることが評され、週末や学校の休みにシーズンになると下り列車の起点である新宿での発車前には、鉄道ファンや親子連れなどで普通車の2階席が満席状態になることもあった。

湘南新宿ラインからの撤退と現在の運用[編集]

ホリデー快速ビューやまなしでの運用(2012年)

2004年(平成16年)10月16日のダイヤ改正で湘南新宿ラインの使用車両がE231系に統一されたことから運用から外れ、定期運用は平日の「湘南ライナー」・「ホームライナー小田原」・「おはようライナー新宿」のみとなった。これら通勤ライナーが運休となる土休日は定期的な営業運用が無く、品川 - 茅ヶ崎国府津間を回送列車として移動するのみである。ただし、これまでと同様に観光シーズンには「ホリデー快速ビューやまなし」等の運用が組まれており、波動用車両としてその独特の車内設備を生かしている。臨時で、同快速のJR千葉駅までの運行実績もある。ただ、211系のグリーン車とは異なり、Suicaグリーン券システムの取り付け改造は、サロ214形・サロ215形に対しては行われていない。

2013年3月改正より田町車両センターの車両無配置化(東京総合車両センター田町センターに改組[4] )に伴い、国府津車両センターに転属している[4]

脚注[編集]

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  1. ^ 内部構造については、本系列の試作車ともいえるクハ415形1900番台の運用実績がフィードバックされている。
  2. ^ 車両の性質上、すべて座席定員で、立席定員は設定されていない。以下同じ。
  3. ^ 鉄道ファン1992年6月号 1992年6月1日 (株)交友社 山田昭平 発行
  4. ^ a b 交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2013年5月号「3月16日ダイヤ改正前後のJR電車の動向」24-27頁記事。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]