JR東日本E993系電車

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西国分寺駅(中央線ホーム)を通過するE993系電車(2004年6月24日撮影)

E993系電車(E993けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)が次世代通勤車両を目指して技術開発を行っていた試験用電車である。

2002年平成14年)1月に5両編成1本が製造された。

ACトレイン(エーシートレイン)の愛称が与えられていた。ACはAdvanced Commuter(進化した通勤列車)を意味する。車両のデザイン開発はGKインダストリアルデザインが担当した。当系列は試験車両であるため、同一の編成内に内装・外装・車体構造(工法、材質)などに複数のバリエーションを有していた。

概要[編集]

特急タイプの車内
モニター画面

元々は山手線に投入する車両について技術導入するための研究であったが、2001年(平成13年)度 - 2004年(平成16年)度のE231系500番台車両導入に伴い中央線快速埼京線に投入する車両を考慮した開発に変化していった。当然ながら、試験車両である以上、そのままこの試験車両が営業車両そのものになるわけではない。

新製から廃車まで埼京・川越線の川越電車区(現・川越車両センター)に所属し、試験走行が埼京線や中央本線で行われた。2002年9月には一般公開試験も行われた。

編成と特徴[編集]

編成は クハE993形 + サハE993形 + モハE993形 + モハE992形 + クハE992形 の5両で構成され、次世代通勤車両の試験車らしい斬新な機構が多数盛り込まれていた。

客用扉は、サハE993形以外は客室空間の拡大を狙った外吊り式である。JRの在来線用電車としては採用例の少ない連接構造を採用し、さらに東芝が開発・製造したDDM(Direct Drive Motor:直接駆動式モーター)を採用しており、メンテナンスの省力化と騒音の減少効果を狙っていた。中間車の一部には特急タイプの内装が施されており、パソコン用電源やモニタ画面が設置されていた。車体にはJR東日本のコーポレートカラーである深緑色の帯が扉部分にも巻かれていた。

運転室はクハE992形が一般的な高さの運転台、クハE993形は高運転台構造になっており、クハE992形ではグラスコックピットを導入した。前面の行先表示器にはフルカラーLED式を採用した。そのほかATS-P車上装置では先頭部の制御装置が故障しても最後部の装置で運転が可能なようにバックアップ機能を導入した。

室内の座席はサハE993形を除いてロングシート視覚障害者への配慮として一部の扉にはドア開閉灯を設置したり、ユニバーサルデザインとして一部のつり革の色を黒色とするほか、ドア付近に黄色いペイントを施して目立たせていた。

また、一部車両ではドア制御ができなくなった際に隣接する制御装置を使用するバックアップ機能を導入していた。

成果の反映[編集]

2004年以降に製造された車両から当系列の試験結果を一部反映した車両が登場している。

同年度以降に国府津車両センター小山車両センター向けに投入されたE231系近郊タイプにはグラスコックピット・ドア開閉灯・ドア制御のバックアップ機能が反映された。そして、2005年(平成17年)7月9日から常磐線で営業運転を開始したE531系には、つり革の形状変更やバリアフリー対策による車内ドア回りの視認性向上も反映された。さらに、2006年(平成18年)10月に落成し、同年12月26日から中央線快速で営業運転を開始したE233系においては、前述の2系列で反映されたものはもちろん、フルカラーLED表示器についても反映された。

また、連接構造やDDMといった当系列で試験された技術の実用化を検証するための営業用車両として、2006年3月にE331系量産先行車が落成し、翌2007年(平成19年)3月18日から京葉線で営業運転が開始された。

廃車[編集]

宇都宮 - 郡山はEF81 95牽引で廃車回送

2006年7月12日 - 13日にかけて川越車両センターから郡山総合車両センターへ回送され、翌14日付で廃車された。その後同年7月22日の同センターの一般公開時に最後の展示が行われ、公開終了後の同年9月下旬に解体された。

参考文献[編集]

関連項目[編集]