歯車

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歯車
歯車の動作

歯車(はぐるま、toothed wheel)は、主に動力の伝達にもちいられる機械要素である。JISでの表現はギヤ: gear)であるが、ギアギアーと呼ばれることも多い。歯数のちがう歯車を組合せて減速や増速に用いる。 詳細は、JIS B 0003において規定されている。

目次

[編集] 歯車の分類

はすば歯車
やまば歯車
ラックギヤ(下)とピニオンギヤ
かさ歯車の使用例
ウォームギヤ

歯車の種類は、2軸の相対位置と歯すじの形状で分類される。

[編集] 2軸が平行

平歯車(spur gear)
歯すじが軸に平行である円筒歯車。

詳細は「平歯車」を参照

はすば歯車(helical gear)
別名、斜歯歯車。歯が傾斜しているため回転軸方向に延長すると螺旋になる。多くの平歯車を少しずつずらして組み合わせたものと考えることができる。歯当たりが分散されるので音が静かで、トルクの変動が少ない。トルクがかかるとスラストが発生するので、歯車の組み合わせ方を工夫し、歯車装置の内部でスラストを打ち消しあうように設計するのが基本である。減速機構では原動機側のトルクは小さいので傾きを大きく、最終段ではトルクが大きいので傾きを小さくする。
やまば歯車(double helical gear)
はすば歯車を2つ組み合わせた形をしている。はすば歯車のスラストが発生するという問題を逆向きにも同じスラストを発生させ自動で打ち消しあう構造とすることで解決している。自動車メーカー「シトロエン」のエンブレムは、この歯車をモチーフにしている。
ラック(rack)
歯を直線状に配置した物。工作機械の位置送りや自動車のステアリング装置が知られている。歯車を切リ出す工具はラックの歯形を利用している。

詳細は「ラック・アンド・ピニオン」を参照

[編集] 2軸が交差

かさ歯車(bevel gear)
動力の伝達方向を同一平面上の直交する伝達軸へ伝達する場合に用いられる。形状は円錐状で周囲に歯が刻まれている。

[編集] 2軸がくいちがい

ウォームギヤ(worm gears)
ねじ歯車(ウォーム)とそれに合うはす歯歯車(ウォームホイール)を組み合わせたもので、1段で大きな減速比が得られる。他の歯車機構に比べてバックラッシュも小さくできる。一般的にはウォームの回転により「ウォームホイール」が回転するが、状況により逆も可能である。ウォームのねじり角が安息角(摩擦角)より大きければ逆駆動は可能である。その要件として、
  1. ウォームの径が小さいこと
  2. ウォームの条数(ねじ山の本数)が多いこと
  3. 高性能な極圧潤滑材の使用
がある。オルゴール調速機(ガバナー)、自動車のステアリング天体望遠鏡赤道儀鉄道模型の駆動などに採用されている。

詳細は「ウォームギヤ」を参照

ハイポイドギヤ(hypoid gears)
曲がりかさ歯車に近い形状であるが、かさ歯車と異なり、互いのギヤ中心軸がずれている。自動車の駆動軸に使用される。

詳細は「ハイポイド」を参照

[編集] ピニオン

二つの平歯車を組み合わせる時小さい方をピニオンギヤという。対して、大きい方はスパーギヤと呼ばれる。また、歯数の小さい(10~15T位?)平歯車を全般にピニオンと呼ぶ。ラックに組み合わせる歯車や遊星歯車対の衛星ギヤ、モーターに取り付けるギヤなど。

[編集] 歯形の種類と歯形曲線

インボリュート歯車
インボリュート」は歯形の形状(曲線)を指す。現在殆どの製品はインボリュート歯車である。理想的には滑りが無い。ラックの歯形が直線になる(平面状の工具で各種歯車を切ることが出来る)ため製造し易い。転移が可能。と利点が多い。
インボリュート関数は、圧力角を φ とすると、
invφ = tanφ − φ
で表される。
サイクロイド歯車
時計に多く使われる歯形
トロコイド歯車
歯車ポンプに多く使われる歯形

[編集] 歯車用語

  • 歯(tooth) : 歯車の突起部分。
  • 歯数 z : 歯の枚数。
  • ピッチ円(pitch circle) : 歯車のかみあう位置から、中心までの距離の2倍がピッチ円径である。ピッチ円直径を d で表す。
  • 歯面(tooth surface) : 歯の輪郭。歯面のうちピッチ円より外側を歯末の面(tooth face)、内側を歯元の面(tooth flank)という。
  • 歯先円(addendum circle) : 歯の先端を通り、ピッチ円と同心の円。歯先円直径を dk で表す。
  • 歯底円(dedendum circle,root circle) : 歯の根元を通り、ピッチ円と同心の円。歯底円直径を df で表す。
  • 歯末のたけ(addendum) hk : 歯先円半径とピッチ円半径との差。
  • 歯元のたけ(dedendum) hf : ピッチ円半径と歯底円半径との差。
  • 全歯たけ(whole depth) h : 歯末のたけと歯元のたけの和。すなわち、h = hk + hf である。
  • 頂げき(top clearance) : 歯元のたけ hf と相手歯車の歯末のたけ hk' との差。すなわち、hfhk' である。
  • ピッチ(pitch)・円ピッチ(circular pitch) t : ピッチ円上の1歯の上の点と隣りの歯の上の点との距離をピッチ円に沿って測ったもの。t = s + w である。
  • 法線ピッチ(normal pitch) : インボリュート歯形において、インボリュートの法線が隣のインボリュートによって切り取られる長さ。
  • 歯厚(tooth thickness) s : ピッチ円上で測った歯の厚さ。
  • 歯溝の幅(space thickness) w : ピッチ円上で測った歯と隣りの歯との隙間の長さ。
  • バックラッシュ・バックラッシ(backlash) : 2つの噛み合う歯車にて、互いのピッチ円間にある隙間のこと。歯の両面(腹と背)が接触し、効率が低下することを防ぐために設けられる「必用悪」。
  • 歯幅(face width) : 歯車の軸方向に測った歯の長さ。
  • モジュール(module) : 歯の大きさを表す規格値。一般に用いられている標準寸法の歯を並歯(full depth tooth)というが、並歯では歯末のたけとモジュールを等しくする。
  • クラウニング(crowning) : 歯車同士が噛み合っているとき、全体的になめらかさを出すことで相手の歯をしっかりかみ合わせることができる。このなめらかさを出すことをいう。
  • 速比 u  : 速比は、次式で表される。
u = 駆動歯車の歯数 / 従動歯車の歯数 = 従動歯車の角速度 / 駆動歯車の角速度
  • 伝達比 j : 伝達比は、速比の逆数で表される。
 j=\frac{1}{u}

[編集] 規格

歯車の計算には以下の規格が用いられる

  1. JGMA規格(社団法人日本歯車工業会)
  2. JIS規格(財団法人日本規格協会
  3. ISO規格(国際標準化機構)

上記、規格は各団体で購入可能(3.は財団法人 日本規格協会でも購入可能)

[編集] 歯車装置

遊星歯車

歯車はベルトと異なりすべりが無いので、タイミング機構には不可欠である。軸と一体のものや軸受けを仕込んだもの、キー溝やスプラインを設けたものがある。

歯数の組み合わせは自由であるが、大きな力を伝達するときや、滑らかさを必要とするときは歯数が互いに素であることが望ましい。なぜならば、いつも同じ歯同士が当たると、微小な傷が大きくなったり、特定の箇所で音が発生するからである。もちろん寿命が短くなることは言うまでもない。互いに素である組み合わせでは全体が均一に磨耗し、歯当たりが滑らかになる。これを英語ではharmonic wearという。殆どの工業製品はこの組み合わせで作られるが、減速比の都合などによってそうできない場合もある。

歯車の材質はなるべく異種の組み合わせが望ましい。同種の組み合わせは摩擦係数が大きいからである。また、小歯車は硬い材料にしておかないと先に磨耗する。

代表的な歯車装置には以下のようなものがある。

[編集] 波動歯車装置

別名、ハーモニックドライブ®。もともとはハーモニック・ドライブ・システムズ社の歯車装置である。サーキュラ・スプライン(C/S)、ウェーブ・ジェネレータ(W/G)、フレックススプライン(F/S)から構成される歯車装置であり、特徴として高減速比、軽量、コンパクト、バックラッシュが少ないなどがある。これらの特徴によりほとんどのロボットに使用されている。

[編集] シンボルとしての「歯車」

さまざまな国家や企業(特に製造業)、団体の旗・記章等において、「工業」あるいは「労働者」を象徴する意匠として歯車が用いられている。

例:ミャンマーアンゴラの国旗および国章、中国ベトナムイタリアの国章、日本共産党の党章、日本の五円硬貨等。

フィクションでは、『銀河鉄道999』の機械帝国が使用している。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ
  • JIS B 0003 -- 日本工業標準調査会のページ
  • KHK Web Catalog -- 歯車のメーカ、歯車についての技術解説ページがある。