燃費

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燃費(ねんぴ)は、燃料(ガソリン軽油など)の単位容量あたりの走行距離、もしくは一定の距離をどれだけの燃料で走れるかを示す指標である。

使用する燃料タイヤ空気圧、路面状況、エンジンオイルの種類、積載重量、走行パターンなどで変化する。

自動車のメーターに表示された燃費値。
ECUから得られた燃料噴射信号を基にしており、瞬間値と平均値の切り替え表示ができるものが多い。

測定・表記方法[編集]

日本では平地を一定速度で走行した場合の「定地走行燃費」と、実際の公道走行を想定して、発進、停止、アイドリングを含めた「モード走行燃費」とがある。

2014年現在、乗用車の場合は「JC08モード」で測定した燃費を、二輪車の場合は30km/h(原付自転車)および60km/h(自動二輪車)での定地燃費を示すことが義務付けられている。また、二輪車メーカーによる自主的な取り組みとして「WMTCモード」による表示も一部で開始されている。

かつては、日本でのモード走行燃費は東京都甲州街道での市街地走行を想定した「10モード燃費」が用いられていたが、その後に首都高速道路など都市高速道路の走行も加えた「10・15モード燃費」が策定された。2011年4月以降の型式認定車については、JC08モードによる燃費の表示が義務付けられ、2013年3月以降はすべての車についてJC08モードでの表記となった。

10・15モードは自動車専用道路走行が加わり、10モードよりやや(1割程度)燃費値が良く、JC08モードは試験時間をこれまでの2倍とし、平均車速を高めた上で加速時間を短縮、さらに初めて冷間始動(コールドスタート)が試験対象となるなど、実情との乖離が少なく、かつ、より厳しい内容となるなどの特徴を持つ。

いずれもテストコースシャシダイナモでの状態の良い車両とプロドライバーの組み合わせによる測定であり、カタログデータはその車両にとっての最高値であるため、市中での一般的なドライバーの運転より良い値となる。また、測定時期のばらつきによる気温湿度気圧などの差は補正されている。

なお燃費測定に際しては、電装品(エアコン、ランプ、ワイパー等)が消費する燃料分は考慮されていない。このため、実燃費との乖離率は低燃費車ほど大きくなる傾向がある[1]

カタログ燃費と実際の燃費の乖離[編集]

上述のように、実際にドライバーが走行した場合の燃費(実走行燃費)は、カタログに掲載されている燃費に比べて低い(燃料単位量あたりで走行できる距離がカタログ値より短い)場合が多く、このことが各種メディア等で報道されることがある。燃費のカタログ値は各国・各地域が制定した走行パターン(テストサイクル)に基づきテストドライバーが走行させて計測されているが、実際の走行では同じ距離でも天候や道路状況・交通状況が異なること、運転する一般のドライバーはテストドライバーほど高い運転技術を持たないこと、エアコンやランプなどの各種電装品を作動させるためにも燃料が消費されることなどにより、燃料消費量が変化する。

カタログ値を実走行燃費に近づけるためのテストサイクルの改定も各国で行われており、日本では先述のように10モードから10・15モード、そしてJC08モードへと切り替えられているほか、EUが中心となり導入を進めているWLTPなどの例がある[2]

日本自動車工業会が2013年5月8日に作成した冊子「気になる乗用車の燃費~カタログとあなたのクルマの燃費の違いは?~」では、日本車の平均的な値として、実走行燃費は10・15モードのカタログ値より約3割、JC08モードのカタログ値より約2割程度低いとしている。

燃費表示の傾向[編集]

  • 定地燃費(平坦かつ水平な直線舗装路を定速走行)は、走行中の加速による燃料消費が無く(部分負荷 = パーシャルスロットルの状態)、実質的な走行より良い数値となる。
    • これは車両総重量に対し、トルクの小さいエンジンを搭載する場合に顕著であり、普通自動車が大きくても数割増程度の差であるのに対し、原付50ccオートバイでは数倍程度にもなる。
    • ただし近年の車両はさまざまな燃費向上技術の投入により、定地燃費と実走燃費の差は縮まっている。
  • モード燃費値は、定地燃費値より実走燃費値に近いが、モード燃費値の測定モードにあわせたチューニング(エンジン特性や変速タイミングなどの設定)をすることで、実走行より不自然によい値となる車両があることが指摘されている。また、測定モードに近い走行(メーカー推奨の省燃費運転)ができないドライバーの場合も、この数値からかけ離れて悪くなる。
  • 「低燃費」とは「低燃料消率」の意・略で、距離に対しての燃料消費量が少ない(=燃費が良い)という意味である。燃費の数値が低い(=燃費が悪い)という意味ではないので、注意が必要である。誤用防止のため「省燃費」と言う場合もある。
  • 日本及び米国等では燃費を表示するのに、「km/liter」や「mile/gallon」といった単位燃料量あたりの走行距離を用いるのに対し、欧州各国では「liter/100km」のように一定距離を走行するのに必要な燃料量を用いる。前者はその数値が「大きいほど燃費が良い」ことになるが、後者では「小さいほうが燃費の良い」ことになる。

燃費と速度[編集]

自動車教習所の教本やエコドライブのガイドでは、燃費が最もよい速度は一般道では40 - 50km/h、高速道路では80km/hと記載されている。日本向けに生産された国産車は、エンジンのトルク特性や変速比(トランスミッションデフの歯車比、タイヤ径)、さらに、ATの場合は変速タイミングをこれらに合わせてあるものが多く(排気量により速度域が異なることがある)これらが当てはまるが、パワートレインに日本向けの変更が施されていない欧州車は、一般道、高速道ともに、やや高い速度域で燃費がよくなる傾向にある。

これは、日本で採用されている燃費測定法の10・15モード燃費における走行速度は市街地で20 - 40km/h、郊外や自動車専用道路で50 - 70km/hであるのに対し、欧州における燃費測定法欧州複合モード燃費では市街地40 - 60km/h、郊外70 - 90km/h、高速道路120km/hという速度で測定されるためである。欧州各国の規制速度値は日本より全般的に高く、実際の交通の流れも速い。また欧州仕様のディーゼル車においては、それらのガソリン車より、さらに高速燃費に優れている。

近年はATの多段化により80km/hを超える速度域で燃費を重視した車も登場している。 例えば、LS460の燃費は100km/h走行時でも80km/h走行時のそれと変わらない。

実際に、日本の10・15モード走行で良好な結果を出した車がECE15では他の欧州メーカーの小型車より燃費が大幅に劣るといったことも多い(ホンダのフィットは10・15モードで24km/lだがECE15では17.5km/lである)。

市販車世界最高燃費[編集]

実走行[編集]

オートバイ(イギリス1周低燃費記録走行)
ディーゼルエンジン搭載オートバイ - エンフィールド=ロビン・D-R400D(66.7km/リットル、1995年、現在製造中止)
ガソリンエンジン搭載オートバイ - ホンダ・CG125(74.44km/リットル、2001年

カタログ値[編集]

オートバイ(30km/hにおける定地燃費)
ガソリンエンジン搭載オートバイ - ホンダ・カブ(180km/リットル、1983年当時)
自動車(JC08モード)
ハイブリッドカー - トヨタ・アクア(37.0km/リットル)NHP10型
ハイブリッドカー - ホンダ・フィットハイブリッド(36.4km/リットル)GP5型
ガソリンエンジン単独車 - スズキ・アルトエコ(35.0km/リットル)

低燃費競技[編集]

低燃費競技とは特別に製作された車両や改造された車両を用いて行う低燃費を競う競技である。Honda エコ マイレッジ チャレンジエコマラソンが世界各地で開催されている。

特徴[編集]

Honda エコ マイレッジ チャレンジ
ホンダのエンジンを使用する。参加者が多く参加者同士の交流の場でもある。
エコマラソン
シェル石油が世界各国で開催している。1939年に初開催され、既に70年以上の歴史がある。日本国内では2000年まで開催された。また、燃料電池部門や太陽電池部門や液化石油ガス部門やディーゼル部門も設けられている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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外部リンク[編集]