ピックアップトラック

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ピックアップトラックのイメージ
GMCサイクロン
2代目 フォード・F-100
GMCトップキック

ピックアップトラックPickup truck )とは、米国での自動車の分類のひとつで、大型以外のトラックの総称である。ボディ形状は、キャビン以降に開放式の荷台を有する。 日本の車検証の車体の形状欄は、キャビンと荷台が一体のもの(例・ファミリアピックアップパブリカピックアップサニートラック)はピックアップ、別体のもの(例・ハイラックスプロシード)はボンネットと記載され、後者はボンネットトラックの一種と見なされる。ダットサントラックには7代目までその両方があった。

概要[編集]

ピックアップトラックは日本では、キャブオーバー形は、小型のものでもピックアップには含まず、単にトラックと呼ばれることが多いが、en:Pickup truckではボンネットの有無には触れられておらず、日本の軽トラックもピックアップトラックだとされている。

開発費抑制のため、多くは乗用車SUV車台を共用し、中にはFF式の乗用車をベースとしているものもある。アメリカ製の車両では、荷台開閉時、積み降ろし作業者の足元に排気ガスが直接あたらないよう、排気管の口の位置が一般的な車と異なり、車体の荷台後方側面から出ているものがとても多い。

が多く燃料価格が高価で、1台あたりの輸送効率が重視される日本やヨーロッパでの需要は少ないが、北米をはじめ、タイを中心とした東南アジアアフリカ南米などで人気がある。またオーストラリアニュージーランドではute(ユート)と呼ばれ高い人気を誇る。アメリカやアジア等では独立したフレームを持つSUVベースがほとんどだが、オセアニアや南米で生産されているのは乗用車ベースである。

軍事利用されるピックアップトラック[編集]

ピックアップトラックの汎用性の高さを示す使用法に軍事利用があげられる。 発展途上国や独立武装勢力を中心に大量のピックアップトラックがほとんどそのままの形で、人員や物資の輸送に使用されている。さらには荷台に重機関銃や対戦車火器(無反動砲対戦車ミサイル)を搭載して、車上射撃を可能にしたテクニカルと呼ばれる車両が広く使われており、紛争の趨勢を決める存在にすらなっている。大型のピックアップトラックに長距離ロケット砲対空砲を搭載したものすらある。信頼性の高い日本製ピックアップが好んで使用され、チャド紛争はトヨタ戦争などと形容された。

アメリカにおけるピックアップトラック[編集]

ピックアップトラックは米国では古くから農場で使われていたが、急速に普及し始めたのは、ピックアップトラックの自動車税が州によって無税か割安になるため所得の少ない若者達がファッションとしてこぞって乗り始めたためである。また中西部南部では、その武骨で力強いスタイルが西部開拓時代シンボルであるを彷彿させ、ピックアップトラックに乗る事が一種のステータスのようにとらえられている。これに迎合しピックアップトラックのテレビCMの大半にカントリー・ミュージックが使われている。そのステータス性は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公マーティーが憧れる車として描かれたことでも窺える。これらの人気要素に着目した米国の旧ビッグスリーと、現地のトヨタ日産ホンダがフルサイズピックアップを生産をしている。ほとんどの車種が自社のSUVと共通のはしご形フレームを有しているが、ホンダ・リッジラインUSアコードレジェンドの派生車であるためはしご型フレームを持たず、ライトデューティーとなっている。

アメリカにおいては道路が広く、サイズが大きくなりがちなピックアップトラックも扱いやすい。このためフルサイズピックアップに人気が集中している。そのV8エンジン独特の太いに愛好家が多く、マフラーの改造も盛んに行われている。さらに費用の面でも他国と比べて石油価格が安く、税金や保険料が乗用車よりも安く設定されている事や、自動車メーカーが購入者に対して多額の奨励金を出している事も普及が進んできた理由である。

トラックオブNASCARのダッジ・ラム

アメリカでの使われ方は発展途上国のように荷物や人を満載するような使い方ではなく、パーソナルカーとして普段は空荷で走らせることが多い。そして引越しレジャーなどにだけ荷物を載せ、あるいは後ろにトレーラーを繋げて走らせたりする。商用よりはむしろ通勤・通学用、レジャー用、家庭用として使用されることが圧倒的に多い。2002年の調査によれば、販売されたピックアップトラックのうち商用としては約19%しか使用されていないのに対し、約77%が個人用として使われているという結果であった。[1]アメリカでのピックアップトラックの人気の高さは、全米で最も売れている車がフォード・Fシリーズ(年間90万台以上)、2番目に売れている車がシボレー・シルバラードであるという事からも分かる。中でもテキサス州では非常に人気が高く、全米のピックアップトラックのおよそ14%が売れていて[2]、全米最大の市場となっている。堅調なセールスを受け2006年にはトヨタがフルサイズピックアップトラックタンドラ生産工場を稼動させている。

ピックアップトラック人気の高いアメリカでは、モータースポーツにおいてもピックアップトラックベースの車によって争われるカテゴリーが数多く存在する。中でもNASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズはNASCARの「三大カップ戦」の一つに数えられるトップカテゴリーであり、ジャック・ビルヌーブなど元F1ドライバーも参戦する人気カテゴリーとなっている。

オセアニアにおけるute(ユート)[編集]

オーストラリア、ニュージーランドなどではピックアップトラックではなく「ユート」(coupe utilityが語源)と呼ばれ、オーストラリアのホールデンフォード・オーストラリアが生産しており、アメリカ同様、若者達がファッションとして乗るのをはじめ、農場や建設業など商用として使われる用途まで幅広い人気を持っている。特筆すべき点は本家のアメリカでは既に消滅してしまった乗用車ベースのタイプが独自の発展を遂げ、V6、V8、直6NA、直6ターボなど数々のエンジンや4ドア(クルーキャブ)仕様など実に多彩なラインナップを持っており、地域によってはパトカーに採用されていることも多い。

その他の地域におけるピックアップトラック[編集]

アジア中南米南アフリカなどで生産されているものは、以前の日本製ピックアップに近い、小型から中型サイズのものばかりである。

かつて1940年代から1970年代にかけては、日本でも1t積み程度のものを中心に、すべてのメーカーがピックアップトラックを生産、販売していた。個人商店では配送業務に、農家では農機具農作物の運搬などに利用され、休日にはレジャー用として家族のドライブにも活躍していた。乗用車が高嶺の花であった時代、トラックの「時々、乗用車」という用途には、運転姿勢が立ち気味で、騒音や熱気の侵入が多いキャブオーバー型は適しておらず、ボンネット型の伸びやかなスタイルと、ゆとりある着座姿勢が大きなアドバンテージとなっていた。昭和中期までの軽トラックは現在よりも相当小型・窮屈で、積載時の走行性能も満足の行くものでは無かった事も、小型ピックアップを選択する要因の一つであった。

その後小型トラックの多くは、スペース効率の高いキャブオーバータイプへ移行し、ボンネット型は主流ではなくなるが、生活レベルの向上とともに、天候による荷傷みの心配や、荷造りが面倒なトラック自体が次第に敬遠されるようになり、軽トラックを除くキャブオーバートラックすらもライトバンに仕事を奪われ、また軽自動車の規格改定による大型化も手伝い、小型トラックの販売台数は急激に減少していく。

さらに2000年代以降は、NOx規制PM条例、果てはエコカー減税などの影響もあって販売の終了が相次ぎ、唯一正規輸入されていた三菱・トライトン(タイ生産)が2011年夏、フォード・エクスプローラースポーツトラックも同年10月にそれぞれ販売を終了しており、そのほかに関しては、少数の並行輸入車が販売されている程度である。

また、日本の自動車メーカーの日本国内でのピックアップトラック生産は、輸出向けとして生産が続いていた日産・ダットサントラック2012年3月に国内生産を終了した[3]ことで、トヨタ・ランドクルーザー70日産・サファリのみとなっており、他は全て海外工場への移管が完了している。中でもタイはメーカー数、生産台数共に多く、世界各地へ輸出(日本メーカーの外外輸出)も行われており、今日ではピックアップトラックの主要生産、輸出国となっている。シェアはトヨタいすゞ三菱の3社が高い。

かつて日本国内で生産・販売されていたピックアップトラック[編集]

日本メーカーの海外生産車 (過去のものを含む)[編集]

日本国外メーカーのピックアップトラック (過去のものを含む)[編集]

登場作品[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

出典[編集]