ゆとり世代

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ゆとり世代(ゆとりせだい)とは2002年度(高等学校は2003年度入学生)学習指導要領[1][2][3]による教育(ゆとり教育)を受けた世代、またはそのうちの一定の共通した特性を持つ世代のことである。[4][5]

定義・範囲[編集]

ゆとり世代の定義・範囲は明確には定まっていないが、主に以下の定義で範囲が区切られる。

また、マーケティング界において、ゆとり世代を1986年度生まれ-1995年度生まれの世代を指す場合や[13]、1987年から1994年生まれあたりを指す場合がある[14]。それらの場合の世代範囲は前述の「一定の共通した特徴をもつとされる世代」とほぼ重なる。

背景[編集]

小中学校における学習指導要領の改訂が2002年度から施行され[1][2]、そして高等学校における学習指導要領の改訂が2003年度の第1学年から学年進行で実施された[3]。この改訂は学力低下につながる改訂であるという評価から、この改訂された学習指導要領をゆとり教育、そして、この改訂後の学習指導要領における教育をはじめに受けたことになる1987年4月2日 - 1988年4月1日生まれをマスコミなどは「ゆとり第一世代」と呼称されるようになり[15][16]、それ以降の世代のことを「ゆとり世代」と呼ぶようになった[17][18]。なお、いわゆるゆとり教育で学校教育を受けた世代は1987年4月2日から2004年4月1日生まれであり[19][20]、前述のとおり、この世代を(広義の)ゆとり世代と区切る場合がある。

また、移行措置が小中学校は2009年から、小学校は2011年度、中学校では2012年度、高等学校において学習指導要領の改訂が2013年度(数学及び理科のみ2012年度)の第一学年から学年進行で実施された[19]、この改訂後の教育は脱ゆとり教育と呼ばれている[21]。なお、いわゆる脱ゆとり教育で学校教育を受けた世代は、1996年4月2日生まれ以降であり、ゆとり教育を受けたが、脱ゆとり教育を受けなかった世代は、1987年4月2日生まれから1996年4月1日生まれまでであり、前述のとおり、この世代を(狭義の)ゆとり世代と区切る場合がある。

ただし、国際学力テスト高校1年生を対象とした(2012年PISAの結果)では、1996年度生まれが数学的リテラシー・科学的リテラシーで1990、1993年度生まれよりも順位が上であり、読解力では1987年度生まれや、ゆとり世代ではない1984年度生まれよりも順位が上だったが、数学的リテラシー、科学的リテラシー共に1987年度生まれよりも順位が下であった。

(ただし、参加地域数が違うので順位だけで単純比較できるものではない)

ゆとり世代を馬鹿にした放送が問題になっている。

成長過程[編集]

  • 1987年~1989年生まれは中学からゆとり教育を受けており、就職氷河期だった世代。
  • 1990年~1995年生まれは小学校からゆとり教育を受けており、就活も普通か楽な時だった世代。
  • 1996年~2003年生まれはゆとり教育を受けたが脱ゆとり教育も受けた世代。

となる。

1987年度生まれ~1989年度生まれ[編集]

幼少期

小学校低・中学年の頃までの生い立ちは少し上の1980年代中盤生まれに兄や姉がいることも多く、彼らとの共通点も多い。生まれたころはバブル景気であり、幼少期に1990年代前半のバブルの余韻を目にしたもの、小学生のころに山一證券北海道拓殖銀行の破綻をニュースで知り、平成不況の影響を受け、リストラ100円ショップユニクロに代表されるデフレを象徴する大量消費を知りながら育っている[18]。また、幼少期にwindows95が登場したばかりであり、パソコンはもちろん、携帯も所持している人は少なかった。

学生時代
生まれた年と学習指導要領の対応表。
赤色が1998年改訂(2002年度以降実施)の学習指導要領下での教育。橙色、緑色がそれ以前の学習指導要領下での教育。青色がそれ以降の学習指導要領下での教育である。なお、黄緑色、ピンクは移行措置間の教育であり、改訂前の教育と改定後の教育が混ざっている教育となっている。今後、新たに学習指導要領の改変が行われない限り、この表通りに教育が実行される。

公立学校においてゆとり第一世代(1987年度生まれ)は小学校入学時(1994年度)には第二土曜日のみが休みであったが、翌年(1995年度)から第四土曜日も休みになったため、ゆとり第二世代(1988年度生まれ)以降は第四土曜日も休みであった。さらに、2002年度[22]からは全ての土曜日が休み(学校週五日制)となった。なお、小学校段階ではまだゆとり教育実施以前の内容で教育を受けていた。

2002年度からゆとり教育に変更され、それによって、2006年から大学入試の基準が変更となった。センター試験では、リスニングが追加された。また、この世代以降、薬学部薬学科が6年制教育となった。なお、ゆとり第一世代(2006年高校卒業)は、大学・短大への進学率は約52.3%であり、1990年(36.3%)と比較すると進学率は高くなっている[23][24]

就職活動期

この世代は順当に進んだ場合、2010年~2012年に大学を卒業する。この世代は厳しい就職状況で就職活動を行った。

2006年から2008年にかけて、一時的な景気の回復により、2006年から2009年に卒業して就職した者(ゆとり第一世代の高校・短大・専門学校卒など)には売り手市場の恩恵を受けた者もいるが、サブプライムローン問題に端を発する世界的な金融危機などの要因による急激な景気悪化により、ゆとり第一世代周辺の就職状況は厳しくなった。

そのような状況であったため、2010年卒(大卒)(1987年度生まれ)の就職率は60.8%であった(男56.4%、女66.6%)[23]。この数値は、統計上過去最低の2003年卒の55.0%(男52.6%、女58.8%)よりは高い数値であるが、前年比で7.6%と大きな就職率の減少であった[25]。このような就職状況の悪化から、2010年大学卒業予定者だった約56万8000人のうち、約7万9000人(7人に1人)以上が就職留年を選択していると読売新聞の調査で明らかとなった[26][27][28]。また、2011年3月に東日本大震災もあり、マスコミによっては、(就職)超氷河期、超就職氷河期などと表現する人もいる[29]

なお、会社によっては英語を公用語にしたり[30]、外国人の採用を増やしたり[31]、3年以内既卒者を新卒と扱う動き[32]など企業や採用のスタイルが変わりつつある時代でもあった。

1990年度生まれ~1995年度生まれ[編集]

幼少期

バブル終焉期からバブル崩壊後に生まれており、バブルの時代を知らずに生まれてきた世代である。生まれたころはポケットベルの隆盛期~全盛期であった。小学生であった1990年代末期~2000年代初期の頃にIT分野が急成長(ITバブルが発生)し、小学生のころからインターネットや携帯電話に触れる機会が増え始めてきた時代でもあった。この世代の幼少期はまだセル画アニメが多数残っており、同時に2002年くらいからのデジタルアニメへの移行も目の当たりにした。

学生時代

小学生のころから学校完全週5日制が実施されてゆとり教育を受けており、PISA(PISA2006)の結果などから学力低下を指摘された時代であった[33]。その後、脱ゆとり教育へと路線を変えることとなるのだが、本格的に施行される前に卒業している。しかし、保護者である新人類世代などの親世代が公立学校でのゆとり教育に対し不安や不信を抱いて早くから学力への危機感を持ったことから、学習塾への通塾者が増えたり、ゆとり教育や学校週5日制を実施しない私立の中高一貫校中学受験した者が増えたほか(2008年には私立中学受験率は首都圏で14.8%と過去最高を記録した)、さらに地域によっては学力改善のための教育を学校や自治体独自で取り組むといったもことも行われたため、PISA2009では学力が回復傾向を示した世代でもある[34]

就職活動期

この世代は順当に進んだ場合、2013年~2018年に大学を卒業する。この世代は比較的楽な就職状況で就職活動を行っている。 就職率は2010年卒以降増加しており2013年卒(大卒)(1990年度生まれ)は67.3%と、売り手市場の時とほぼ近い値まで回復している(売り手市場であった2008年卒は69.9%)[35]。また、学生調査においても就職状況が厳しいと答える学生が過半数ではあるものの、楽だと答える学生が年々増加しており、2014年卒(1991年度生まれ)の学生は33.9%が楽と答えている(2010年卒は1.2%)[36]。また、人事担当者による調査によると、2011年から2012年卒までの就職状況では「氷河期」と答えている人が多かったが、2013年卒以降の就職状況では「どちらでもない」と答える人が多かった[37]。さらに、2015年卒の就職状況は、「氷河期」(11.8%)と答える人よりも「売り手」(19.4%)と答える人の方が多く[38]、人手不足が問題となっている[39]。(下の表を参照)

就職戦線状況(%)の推移[40][41][42][43][44]
生まれ 年卒 超氷河期 氷河期 どちらでもない まだ売り手市場 かなり売り手市場
1988 2011 12.5 51.8 29.6 5.2 0.8
1989 2012 11.7 51.8 30.9 4.7 0.8
1990 2013 11.0 39.3 41.3 6.8 1.8
1991 2014 7.1 37.8 46.6 6.6 1.9
1992 2015 1.9 11.8 61.9 19.4 5.0

また、学生が就職活動に専念しすぎて、学業がおろそかになるとの懸念から、採用時期を遅らせるようになった(下の表参照)[45][46]が、実際はインターンシップが採用の場となりつつあり[47]、結局就活の負担が減らないどころかむしろ採用時期が遅くなった分負担が増えた時代でもある。

経団連の採用選考の指針[48][49][50]
2010年-2012年卒 2013年-2015年卒 2016年卒以降
広告活動 大学の日程を尊重 前年の12月以降 3月以降
選考活動 早期開始の自粛 4月以降 8月以降
内定日 10月以降 10月以降 10月以降

・2010年-2012年卒の大まかなスケジュールは、前年の10月以降にエントリー、2月ごろから採用試験という流れであった[51]
・実際には、選考活動が指針よりも早いところも多い[52]

1996年度生まれ~2003年度生まれ[編集]

幼少期

主にいざなみ景気を経験して育った。アベノミクスや2020年の東京オリンピックで2010年代も景気回復が期待されている。 2005年4月にドラえもんがリニューアルされ大山のぶ代から水田わさびに変わったのが小学校低学年~幼児の時代である。 1996年度生まれが藤子不二雄死去と入れ替わりに生まれた。1996年にはNINTENDO64、2000年にはWindows2000、2001年にはニンテンドーゲームキューブ、ゲームボーイアドバンスやWindowsXPに2002年にはXboxと、IT事業が高度化してきた時代に生まれた。ニンテンドーDSAKB48が誕生したころは小学校低学年~幼児の時代である。小学校高学年~幼児であった2008年には崖の上のポニョ大橋のぞみやこども店長の加藤清史郎など子役ブームとなった。 2010年代になると小中学校でアナログから地デジへ移行し、ガラケーからスマートフォンに移行している。また、2006年の子ども向け携帯電話や2013年の子ども向けスマートフォンの登場によって、低年齢から携帯やスマートフォンを持つ人が増え始めた。

学生時代

学力低下騒動が起こっていたころは幼児から小学生であり、2007年から始まった全国学力・学習状況調査の開始や脱ゆとりへの転換など、ゆとり教育は受けているものの教育に熱が入ってきた時代で学生生活を送った。2009年からは小中学校で移行措置として一部脱ゆとり教育を受け(特に2002年度・2003年度生まれは小学校入学時より移行措置を受けていた)、2011年度から小学校で、2012年度からは中学校で脱ゆとり教育を受け、理数が1996年度生まれから、全科目脱ゆとり教育を受けるのは1997年度生まれからである。さらに東京都大阪市など地域によっては、学校週5日制の見直しも行われるようになった。これらの成果もあり、学力が回復した世代である[53]。それにより、公教育への保護者の信頼が回復したことに加え、2008年リーマン・ショック2011年東日本大震災の影響もあり、2010年代に入ると私立中学受験ブームも沈静化するようになった時代でもある。 脱ゆとり教育の開始によって、2015年(1996年度生まれ以降)の大学入試の理数科目が変更となり[54][9]、2016年(1997年度生まれ以降)の大学入試では理数科目以外が変更となる予定である[55]

また、2014年現在、新たな教育改革が進められている。2014年現在の案では、1996年度~2003年度生まれは、脱ゆとり教育の次の教育(2022年度施行予定)が施行する前に卒業となる予定だが、新センター試験である達成度テスト(2019年度導入予定)を受ける予定となっている[56]

ゆとり世代と少子化[編集]

ゆとり世代(ゆとり第一世代)は、少子化問題が表面化しだしたころに生まれた世代でもある。これは、丙午による出生率減によって合計特殊出生率が1.58であった1966年よりも低い合計特殊出生率1.57を1990年に記録し[57]、これが「1.57ショック」と呼ばれたことから、注目を集めたためである[58]

以下に、1987年、1990年、1995年、2000年、2003年生まれの出生数、出生率、合計特殊出生率を示す[59]

誕生年度 出生数 出生率(‰) 合計特殊出生率
1987 1,346,585 11.1 1.69
1990 1,221,585 10.0 1.54
1995 1,187,064 9.6 1.42
2000 1,190,547 9.5 1.36
2003 1,123,510 8.9 1.29

ゆとり世代と授業時間[編集]

義務教育中の授業時間について以下の表に示す。高等教育については教育課程等により課目や授業時間が異なる。

授業時数[編集]

以下に、ゆとり世代が受けた教育(ゆとり教育前の教育、ゆとり教育、脱ゆとり教育の移行措置教育、脱ゆとり教育)におけるそれぞれの学年での授業時数を示す。なお、科目ごとの変遷についてはゆとり教育および脱ゆとり教育の方に記載されているためそちらを参照してほしい。

教育別の授業時間
教育 小1 小2 小3 小4 小5 小6 中1 中2 中3
ゆとり教育前 850 910 980 1015 1015 1015 1050 1050 1050
ゆとり教育 782 840 910 945 945 945 980 980 980
移行措置 816 875 945 980 980 980 980 980 980
脱ゆとり教育 850 910 945 980 980 980 1015 1015 1015

資料

上の表をそれぞれの年代に適応したのが以下にある年代別の授業時間(義務教育)の表である。なお、それぞれの教育については、以下の表の見方に沿って色分けして表示する。

表の見方
黄色
示している教育 ゆとり教育前の教育 ゆとり教育 移行措置 脱ゆとり教育
年代別の授業時間(義務教育)
年度生まれ 小1 小2 小3 小4 小5 小6 中1 中2 中3 総授業時間数
1986 850 910 980 1015 1015 1015 1050 1050 1050 8935
1987 850 910 980 1015 1015 1015 1050 1050 980 8865
1988 850 910 980 1015 1015 1015 1050 980 980 8795
1989 850 910 980 1015 1015 1015 980 980 980 8725
1990 850 910 980 1015 1015 945 980 980 980 8655
1991 850 910 980 1015 945 945 980 980 980 8585
1992 850 910 980 945 945 945 980 980 980 8515
1993 850 910 910 945 945 945 980 980 980 8445
1994 850 840 910 945 945 945 980 980 980 8375
1995 782 840 910 945 945 945 980 980 980 8307
1996 782 840 910 945 945 945 980 980 980 8307
1997 782 840 910 945 945 980 980 980 1015 8377
1998 782 840 910 945 980 980 980 1015 1015 8447
1999 782 840 910 980 980 980 1015 1015 1015 8517
2000 782 840 945 980 980 980 1015 1015 1015 8552
2001 782 875 945 980 980 980 1015 1015 1015 8587
2002 816 875 945 980 980 980 1015 1015 1015 8621
2003 816 910 945 980 980 980 1015 1015 1015 8656
2004 850 910 945 980 980 980 1015 1015 1015 8690

ゆとり世代とPISAの結果[編集]

ゆとり世代は、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)の結果において順位が下がったことから、学力低下が指摘された世代である。PISAは2000年以降、3年に一回実施されており、高校1年生を対象にして行われる。基本的に科目は読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三科目となっている。順位の結果は以下のとおりである。

PISAの順位の変遷
PISA 受験対象生まれ 読解力 数学的リテラシー 科学的リテラシー
PISA2003 1987年度生まれ 14位 6位 1位
PISA2006 1990年度生まれ 15位 10位 5位
PISA2009 1993年度生まれ 8位 9位 5位
PISA2012 1996年度生まれ 4位 7位 4位

資料:OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

参考としてPISA2000(1984年度生まれ)の結果は、読解力8位、数学的リテラシー1位、科学的リテラシー2位であった。

ゆとり世代と暴力行為[編集]

2000年代になってから暴力行為が増加していることが問題視されている[60]。特に、小学校における暴力行為は増加傾向を示しており、2013年には過去最多の1万893件発生している[61]。以下に暴力行為に関する統計を表示する。なお、2006年度から統計対象が変更となったため、2005年度以前との比較はできないが参考までに2000年度と2005年度の統計結果も示す。また、2013年度における高等学校の調査結果も対象範囲の変更につき比較はできない。

暴力行為の推移[62]
年度 2000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
小学校 1483 2176 3803 5214 6484 7115 7092 7175 8296 10896
中学校 31285 25796 30564 36803 42754 43715 42987 39251 31218 40246
高等学校 7606 6046 10254 10739 10380 10085 10226 9431 9322 8203
合計 40374 34018 44621 52756 59618 60915 60305 55857 55836 59345

上記の統計を1000人当たりの件数に換算した表を以下に示す。

暴力行為の推移(1000人当たりの発生件数)[63]
年度 2000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
小学校 0.2 0.3 0.5 0.7 0.9 1.0 1.0 1.0 1.2 1.6
中学校 8.2 7.7 8.5 10.2 11.9 12.1 12.0 10.9 10.7 11.3
高等学校 2.6 2.4 2.9 3.2 3.1 3.0 3.0 2.8 2.8 2.3
合計 2.9 2,6 3.1 3.7 4.2 4.3 4.3 4.0 4.1 4.3

ゆとり世代と就職率[編集]

ゆとり世代は、就職氷河期(2010年-2013年卒)に襲われた世代でもある。特に1987年度生まれの大卒(2010年卒)の就職率は、前年比で7.6%という大幅減少であった。

以下、留年、浪人等のない場合の学歴別就職率である[64]。 1987年度生まれは、留年、浪人をしなければ、2003年に中学を卒業、2006年に高校を卒業、2008年に専門、短大を卒業、2010年に大学を卒業、2012年に修士を卒業、2015年に博士を卒業する。ここでの就職率は、卒業者のうち就職した者の割合であるため、進学率の高い高卒は就職率が低い[65]。また、男女比は学歴によって格差があり、高卒、修士卒、博士卒は男性の方が就職率が高いのに対して、専門卒、短大卒、大卒は女性の方が就職率が高い。

 : 就職氷河期(2010年-2013年卒)

就職率(%)の推移[66]
誕生年度 高校卒 専門卒 短大卒 大学卒 修士卒 博士卒
1987 18.0 54.2 72.0 60.8 73.3 -
1988 18.5 53.6 69.9 61.6 73.7 -
1989 19.0 51.5 65.4 63.9 74.4 -
1990 18.2 54.3 68.2 67.3 - -
1991 15.8 57.6 70.8 69.8 - -
1992 16.3 58.0 73.5 - - -
1993 16.8 57.6 75.2 - - -
1994 17.0 - - - - -
1995 17.5 - - - - -
【参考】2014年卒の男女別就職率(%)[66]
高校卒 専門卒 短大卒 大学卒 修士卒 博士卒
17.5 57.6 75.2 69.8 74.4 66.0
21.1 13.9 56.4 64.1 56.3 77.4 64.9 75.8 79.2 62.8 69.8 57.4

ゆとり世代の文化・特徴[編集]

ここでは主に1987年~生まれのゆとり第一世代周辺の文化、特徴について述べてある。

情報化社会の急速な発展の中で成長した世代で、幼少期にはポケットベルPHSが登場し、学齢期には携帯電話の普及率が上昇、飽和化し、インターネットも爆発的な発展をとげ、メールをはじめmixitwitterFacebookに代表されるSNSソーシャルネットワークがコミュニケーションツールとして完全に定着した。通信端末の所持が不可欠な世代である[7]。このように生まれたころからインターネットやパソコンがある環境の中で育ったため、「デジタルネイティブ世代」とも呼ばれている。

音楽においては主に1990年代2000年代の影響を受ける[67]。ただ音楽シーンにおける趣向、ジャンルの多様化、音楽メディアやインターネットの発達(デジタル・ダウンロードなど)などの影響もあり多彩な影響を受けている。

バブル経済崩壊のあとに長らく続く経済停滞の風潮を受け、戦後の経済成長期の世代と比較すると堅実で安定した生活を求める傾向があり、流行に左右されず、無駄がなく自分にここちいいもの、プライドよりも実質性のあるものを選ぶという消費スタイルをもっている[14]。また、結果を悟り高望みをしないため、この世代は「さとり世代」とも呼ばれている。

また、就職においては、厳しい就職状況から企業選択の視野が広がっており[68]、女性では専業主婦を希望する人も多い[14]。さらに、2012年にはゆとり第一世代も20代後半となり、結婚して子供をもうける者も徐々に増えているので、2010年代生まれは「ゆとりジュニア世代」とも呼ばれている[要出典]

レジェンダ・コーポレーション株式会社の入社後の意識調査によると、社会人になったゆとり世代の人間の中には、自分たちが「ゆとり世代」である、と認識しているものもいる[69]

ゆとり世代に対する議論[編集]

学力に関する議論[編集]

その他の議論[編集]

「今の子どもは無能だ」と主張する者がいるが[70]、評論家の後藤和智は、このような批判に対して、そのような批判は的外れであると反論している[71][70][72]

ゆとり教育のイメージから、コミュニケーション能力が劣るのではという懸念の声もあり[73]、ゆとり世代をうまく育成させるためのマニュアルなどが出現してくるが[74][75]、ゆとり世代の新入社員のコミュニケーション能力は総じて高く、ゆとり世代への心配は杞憂ではないかという声もある[76]

ゆとり世代の最初の人々が30歳にならないうちはまだ「若者」であり、いつの時代も若者は上の世代から世代論の批判を受けるものである。佐藤博志はゆとり世代をネガティブに位置づける出発点に問題があるとしている。第一に、部分的な事例を過度に一般化し、世代全体の特徴として論じている。第二に、若者世代に対して矛盾した批判を行っている(「自分の夢にこだわっている」「現実的で夢を見ない(悟っている)」など)。第三に、ゆとり世代だけに本当に限定された傾向なのか、について検討されていない。「『世代フリー』を獲得するためには、世代に関する言説を相対化・検討し、適宜解体するよな能力が必要」という。「視野の広さ」「学識」「研究力」が不可欠で、「私たち一人ひとりが見識を高めていくことによって、言説を批判的に検討できるように」なるという[77]

偏向報道が存在するという議論[編集]

教育社会学者の広田照幸は伊藤茂樹との共著のなかで[78]、ある民放テレビ局の番組のコメント依頼を受けた際に制作スタッフから「今の若者のダメぶりを、職場などでの失敗シーンの再現ビデオでつくるので、先生には『ゆとり教育がこういう若者をつくった』とコメントしていただきたい」と、露骨に若者とゆとり教育をおとしめるよう依頼されたエピソードを紹介し、若者のダメさをゆとり教育のせいにするのは暴論であると同局の報道姿勢を痛烈に批判し、学術界においては、このような若者とゆとり教育と関係性についての議論はないと主張している。

インターネットスラングとしての「ゆとり」[編集]

ゆとりとはインターネットスラングで、「無知・教養のない人間」を指す蔑称。 2ちゃんねるなどのインターネット掲示板では、「ゆとり」という語が侮蔑的に使用される。

J-CASTニュースによると、本来は「ゆとりあるスケジュール」など、ポジティブなイメージとして使われるべき用法だが、ネットでは軽蔑する言葉として使われており、この言葉は特にホームレス襲撃事件などが起きた2005年~2006年ごろから蔑称として頻繁に使われ始め、2002年度以降に実施された学習指導要領のもとで義務教育を受けた世代に対して使われていると書かれている[79]。ただし、1992年度以降に実施された学習指導要領(新学力観の導入など)もゆとり教育だとの声もあり、解釈によっては30代(概ね1980年代前半生まれ)も含まれると書かれている[79]。また、『厨房』や『DQN』に代わる言葉(差別用語)になるとも書かれており、ここでの「ゆとり」という蔑称は語源とは関係なく記号化していると書かれている[79]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 小学校学習指導要領(平成10年12月)”. 文部科学省. 2014年2月27日閲覧。
  2. ^ a b c 中学校学習指導要領(平成10年12月)”. 文部科学省. 2014年2月27日閲覧。
  3. ^ a b c 高等学校学習指導要領(平成11年3月)・附則”. 文部科学省. 2014年2月27日閲覧。 「平成15年4月1日から施行する。ただし、改正後の高等学校学習指導要領は、同日以降高等学校の第1学年に入学した生徒に係る教育課程及び全課程の修了の認定から適用する。」となっている。
  4. ^ 元号では昭和60年代生まれから平成時代生まれがゆとり世代である
  5. ^ 団塊の世代の子供世代を団塊ジュニアと呼称するように新人類ジュニア・バブルジュニアが昭和60年代生まれから1990年代生まれであり、2000年代生まれを団塊3世と言う呼び方もある。新人類・バブル世代・団塊ジュニアの記事を参照
  6. ^ 一人ひとりの子どもに確かな学力を-新しい学習指導要領のねらい(文部科学大臣 渡海紀三朗)” (2008年3月13日). 2013年5月10日閲覧。出典内(2008年当時)において、現行学習指導要領を受けた人たちがゆとり世代などと揶揄されていると述べている。
  7. ^ a b 団塊、バブル、ゆとり、さとり…などなど、○○世代の特徴”. 2013年8月5日閲覧。
  8. ^ 「ゆとり世代の活かし方」”. 2013年2月7日閲覧。
  9. ^ a b 大学入試センター試験 「最後のゆとり世代」浪人できない理由とは”. 2014年3月9日閲覧。
  10. ^ ゆとり世代"を即戦力にする50の方法 井上 健一郎
  11. ^ 寺脇 (2008)は1993年度生まれをゆとり世代の始まりと定義している。
  12. ^ ヤンヤン (2010年4月6日). “【ワイドショー通信簿】「上司が支援するのは当然」 2010新人を面白がる法”. J-CASTテレビウォッチ. 2010年4月7日閲覧。1992年度に施行された学習指導要領を小学校1年生から受けた2008年入社組をゆとり世代の始まりとしている。
  13. ^ ゆとり世代の消費呼び起こし法
  14. ^ a b c 宮木由貴子 (2011年1月24日). “親世代で見る「ゆとり世代」と「脱ゆとり世代」”. 第一生命経済研究所. 2011年2月24日閲覧。
  15. ^ 星良孝 (2008年8月26日). “「京大工学生はゆとり世代から学力低下」〜さらば工学部(7)”. 日経ビジネスオンライン. 日経BP社. 2009年10月19日閲覧。
  16. ^ “議論OK、学生変わった? 「ゆとり第一世代」入学”. 共同通信社. (2006年7月1日). http://www.47news.jp/CN/200607/CN2006070101002960.html 2009年10月19日閲覧。 
  17. ^ “ゆとり第一世代”仕事は「指示待ち」の傾向あり?”. oricon career. オリコン (2009年8月25日). 2009年11月19日閲覧。
  18. ^ a b 佐俣桂子 (2009年1月5日). “「おゆとり様」の消費”. Hit&Hot. 日経リサーチ. 2009年10月19日閲覧。
  19. ^ a b 新学習指導要領・生きる力”. 文部科学省. 2013年11月21日閲覧。
  20. ^ ただし、1996年4月2日生まれは、高校において理数のみ脱ゆとり教育であった。
  21. ^ “脱ゆとり教育”教科書公開 NHKニュース”. 2013年2月7日閲覧。
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  26. ^ 読売新聞 2010年7月6日
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  28. ^ ただし、学校基本調査によると、2010年は54万1428人が大学を卒業したと記録されている。
  29. ^ 就職「超」氷河期がやって来る 12年度は震災が追い討ち”. J-castニュース (2011年4月1日). 2013年8月6日閲覧。
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  45. ^ 親子で乗り切る「今」の就活
  46. ^ 16年新卒から就職活動は大学3年3月スタートへ
  47. ^ 就活後ろ倒しで一気に加速? 「インターンシップ」3年生8月に内定出す
  48. ^ 大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章(2009年10月20日改定)
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  62. ^ 平成25年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について参考1を参照。
  63. ^ 平成25年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について参考2を参照。
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  65. ^ 大卒に関しては、就職希望者のうち就職した者の割合を示す、就職(内定)率というものもある。
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  67. ^ 例・小学校低学年や中学年時点ではglobeTRF安室奈美恵等の小室ファミリー、小学校高学年や中学生時点ではモーニング娘。等のハロプロ系、中高生時点ではヒップホップR&Bアーティスト等が挙げられる。
  68. ^ “2012年卒マイコミ学生就職モニター調査 11月の活動状況” (プレスリリース), 毎日コミュニケーションズ, (2010年12月9日), http://www.mycom.co.jp/news/2010/12/2012_11.html 2011年2月24日閲覧。 
  69. ^ 新社会人、「ゆとり世代」の自覚あり
  70. ^ a b (後藤 2008, pp. 143-172)
  71. ^ 学習指導要領改正案への疑問
  72. ^ 「宝島」2008年2月号の特集
  73. ^ (池谷 2008)
  74. ^ ゆとり世代をプロフェッショナルに変える
  75. ^ ゆとり世代育成厳禁10箇条
  76. ^ CAREERzine編集部 (2010年7月7日). “「ゆとり世代」への心配は杞憂?【労務行政研究所】 新入社員のコミュニケーション力高評価”. CAREERzine. 翔泳社. 2011年2月24日閲覧。
  77. ^ 佐藤博志・岡本智周『「ゆとり」批判はどうつくられたのか』(太郎次郎社エディタス 2014年)p.162.
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  79. ^ a b c “「ゆとり」という表現 ネットでは他人けなす言葉”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2007年9月11日). http://www.j-cast.com/2007/09/11011193.html 2011年8月19日閲覧。 

参考文献[編集]

関連項目[編集]