学習塾
学習塾(がくしゅうじゅく)は、主に小中学校の放課の後に、有償で学力の補強や学習の補助などをする施設である。一般的には、単に塾(じゅく)と呼ぶことが多い。また特に受験対策を行う塾を進学塾ともいう。
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学習塾で教える教科 [編集]
ほとんどの塾は主要5教科(国語、算数/数学、理科(物理,化学)、社会、英語)の学習に特化している。学校が総合的な人間形成を目指しているのに対して、学習塾は主要科目に関しての弱点補強や高度な学習、入試対策などに力を入れている。保護者の要望に答え、通常の学習よりも中学入試、高校入試での合格を主な目的とする大手進学塾も多くその合格実績を競っている。また、ごく一部には理科実験など実技的なものを学ばせ注目度をあげる塾も存在する。学習塾の数だけでいえば個人塾が圧倒的に多く、それぞれ個性的な指導で実績を上げているところも多い。
多くの塾は模擬試験を実施しており、個人の学力レベルをある程度正確に知ることもできる。大手の塾では塾生が多いため塾内模試を、中小の塾では教材会社が主催する模試や塾団体が設立運営する模試を、個人の場合は大手塾の模試へ参加することもでき、生徒の学力レベルを判断することができる。
学習塾の分類 [編集]
学力別 [編集]
難関校進学系と補習系に分かれるが、大手進学塾では学力に応じてクラス分けしているためその両方を持つ場合が多い。中小の大半の塾では人数の都合上クラス分けをしていない。個別指導塾や自習式の塾は個人の実力に応じて対応できるためその区分がない。
- 難関校進学系
- 難関の学校に進学希望する生徒に、学校の授業より難しい内容を加え指導するもの。入塾試験で選抜するところがほとんど。難関校を目指す生徒のみの塾はほとんどなく、ほとんどが特進コースなどのクラスを作り補習系と区別した形を取っている。
- 中学受験の場合は、日能研、四谷大塚、サピックス(中学受験の御三家塾)、希学園、浜学園、日能研関西(関西の3大中学受験塾)、英進館(九州の最大手塾)、市進学院等が有名。
- 高校受験の場合は関西志学館、サピックス、市進学院、早稲田アカデミー、栄光ゼミナール等が有名。
- 補習系
- 学校の授業だけでは完全に理解できない生徒に、先行して授業を行ったり補習を行うもの。学習塾の多くがこの補習系に属する。
人数別 [編集]
- 集団授業の塾
- 1クラス概ね10人以上のクラス構成の塾。社員扱いの講師がハイレベルなクラスを担当し、アルバイト講師がそれ以外のほとんどのクラスを担当することが多い。社員とアルバイトの区別が明確でないので、習う側からは講師の質の判断が難しい。社員扱いの講師が多い塾は1クラスの人数が多くなり授業料も高額になる。集団授業塾でも全てアルバイト講師というところも多く、この場合は授業料が比較的安価である事が多い。
- 大手塾では、規模の拡大に伴い、主に下位クラスで講師の質が落ちている場合もあるという[1]。
- 自習形式の塾
- 少人数制授業の塾
- 個別指導の塾
* ここで言う社員とは、塾を専業として働き社会保険(厚生年金・健康保険・雇用保険)に加入した一般的な正社員を言う。アルバイト講師は、主に学生や主婦、他に仕事を持っている者や1年以内の短期契約又は短期契約の雇用期間自動更新などの契約社員を示す。社員とアルバイトの違いが明確でないため、1~2年で講師が入れ替わる実質アルバイトのような就労実態であっても正社員(常勤講師)などと表現している塾も多い。
大手塾では、社員に登用される可能性があることを示唆しアルバイト講師として働かせ、数年後に塾側がその指導力を評価した一部の講師を社員として登用する場合がある。[要出典]経営的な面から指導力のあるアルバイト講師であってもすぐに社員として登用されることは少なく、講師のほとんどがアルバイトで成り立っている。平均的な授業料の塾では教室管理者一人が社員で、その他がアルバイト講師ということになる。[要出典]元塾生がこれらの講師に大学生アルバイト講師から始め、社員を目指し教室管理者となることもある。
学習塾の発展と弊害 [編集]
昭和40年代より急激にその数を伸ばし、現在ではなくてはならない存在になっており、学校側も大手学習塾の指導法に注目している[2]。かつて文部省(現:文部科学省)は学習塾を好ましくない存在としていたが、文部大臣の諮問機関である生涯学習審議会が1999年(平成11年)に行った提言以来、学校教育と学習塾を共存させる方針に転換した(学習塾は文部科学省の所管だと思われがちだが、学習塾は利潤を第一に運営されるサービス産業の一業種なので経済産業省の所管である)。
塾が流行っている一因に、公立学校のゆとり教育への不安感がある。このゆとり教育の結果、塾へ行かない子供との学力の格差がますます広がることを危惧する見解がある[誰?]。また、学習塾が「総合的な学習の時間」を提供する動きもある(詳細は、公立学校#日本の公立学校を巡る議論を参照)。ただし、「塾へ行っても学力低下は防ぎきれない」[3]、「難問ばかりを教え、逆に基礎学力が伸び悩む生徒もいる」[4]といった指摘がある。小中高生の多数が学校と塾・予備校を掛け持ちしており、心身に悪影響を与えるのではないかという指摘もある[5]。塾に行くことが流行り始めた時期、塾に行っていない子供を「未塾児」と言っていたことがあった。「未熟児」と掛けて、まだ塾に行っていない子供という意味であるが、この語に対する批判もあった。[要出典]また、中学生の場合、塾へ行くつもりが夜出かけられるとお遊び気分になって、勉強よりも友達とのおしゃべり、行き帰りの買い食いが楽しくなってしまい、全く成果が出ず月謝をドブに捨てるようなこともある。[独自研究?]
また、塾の講師の中には、本当は学校の教員になりたかった者もいる。現実に、塾の講師の中には教員採用試験を受け続け学校の教員を目指すもの者も多数いる。[要出典]また、塾で授業がうまくいったつもりで、評論家気取りで学校の批判をしている者が、いざ学校で授業してみてもうまくいかない場合が多い。普段の生徒指導や学級経営が重要なためである。[独自研究?]
海外でも海外在住日本人子女の間で学習塾に通う子供が増加している。背景には、現地での学習では、帰国後日本の学校への入学・編入に求められる学習内容やレベルに合わせらないことがあげられる。放課後のイベントなどで地元に貢献することを重視する現地の学校では、学習塾は悩みの種である。[独自研究?]1984年(昭和59年)、香山健一は、中曽根康弘内閣の臨時教育審議会で、学習塾を学校として認知するよう主張した。
近年の塾の傾向 [編集]
学習塾を取り巻く環境としては、少子化、中高一貫校の増加により対象が減少しているが、一方で通塾者の低年齢化、家計から学習塾への出費額の昇による市場の拡大傾向が見られる[1]。
企業の買収 [編集]
大手塾の買収が増加していて、「中小規模の塾は生き残れないのではないか」とまで言われることもある。同業者同士の買収(例えば、東進ハイスクールによる四谷大塚の買収)もあるが、それ以上に異業種の参入が新しい動きとして出てきている。特に通信教育最大手のベネッセは、この会社の販売する進研ゼミが補習教材であるため、既存塾業者とは段違いの資本力で塾を買収し、受験勉強時期の学生を取り込もうとしている。事実、ベネッセは2007年(平成19年)6月に東京個別指導学院を連結子会社化し、2007年(平成19年)12月3日には鉄緑会の買収を発表した。参考書や学習雑誌を販売する学研は、学校授業の予習復習を行う学研教室を持っているが、この生徒が受験勉強時期に退会するのを防ぐため、塾ビジネスに乗り出している。そして東進ハイスクールを経営するナガセなども注目されている[1]。
少人数制授業へのシフト [編集]
少子化傾向に対応し、個別指導や概ね10人以下の少人数制授業の塾が多くなっている。それ以上の集団授業の塾は今でも多く残っているが、学力が中程度以上の生徒を集めた塾が多く、姉妹校として個別指導の塾を併設していることが多い。もっとも、個別指導といっても家庭教師のように1対1で教えるとは限らない。一人の講師が学年や科目の違う生徒3~4人程度に対し、同時に巡回指導するものも個別指導という。つまり「個別授業」ではなく「個別指導」なのである。当然一人の講師に対して生徒の人数が少ない分授業料はかなり高額になる。それでも学力が中程度かそれ以下の生徒には、従来の集団授業に比べると格段に行き届いた指導が出来る。[要出典]ある程度学力の高い生徒は自ら学ぶ姿勢があるので無理に個別指導や少人数制を選ばなくても大丈夫なのだが、いずれにせよ少人数で学べば更に身に付くことは言うまでもない。[独自研究?]
個別指導の場合、巡回しながら学年や科目の違う指導に同時に対応できる能力と要領が求められる。一人の講師が全ての学年や科目を担当すると思われがちだが、講師の指導できる科目や学年のみを担当するので、講師が不得意な科目を教える事はほとんどない。しかし、これらの塾では「学習内容」の指導だけでなく「勉強の方法」の指導も行うことが多く、全体の流れを熟知し担当する生徒に応じたペース配分ができるようになるまで、少人数に対する指導とはいえ講師にかかる負荷は大きい。
塾のフランチャイズ化 [編集]
塾のフランチャイズ化というものは過去には少なかったが、最近では独自のノウハウを提供し全国に拡大している。塾のフランチャイズは、経営者自身が指導する必要がないため誰でも塾を開くことができるが、生徒の指導は生徒の増減に応じ採用できるアルバイト講師まかせになる。一部の大手フランチャイズ塾本部は、加盟金やロイヤリティーを集める事を目的として、加盟者に大きな利益が出るよう見せかけて教室数を拡大するケースがあり、加盟者はほとんど利益が出ず多額の加盟金等の資金がなかなか回収できないことから裁判沙汰になるケースもある。
こうした小規模フランチャイズ塾が増える背景には少子化があげられる。一昔前の様に子供が多かった頃は各学年毎に数十人の生徒を集めることができたが、最近では少子化によりこれが難しくなった。そこで考え出されたのが、全学年・全科目を同時に行える個別指導や自習形式の塾である。この形式ならば集団の生徒を指導できる専門の講師の必要もなく、集めやすいアルバイト講師による指導ができる。講師が全てアルバイトであれば煩雑な労務管理を避けることができ、経営者が素人であっても人事上でも特に問題がないからである。ここ十数年来の不景気により脱サラなどのフランチャイズ希望者はいくらでもいるため、フランチャイザー側からは本部の経営リスクがほとんどなく一気に事業を拡大できるチャンスと捉えられている。 (ただし,フランチャイズを行うには多額の加盟金が必要なこともあり,安易に塾のオーナーになったものの,採算割れが続き,元がとれないで塾を閉鎖した事例も少なくない。)
不景気の長期化と学習塾の過当競争と問題点 [編集]
学習塾に対しては賛否両論があるが、近年の少子化や、長引く不景気などにより,全国的には市場規模は縮小傾向にあるとも言われる。近年では大都市圏などの駅前に多くの塾が乱立して、過当競争により閉鎖に追い込まれている塾もある。また、教員免許のない講師や若い大学生などによる指導、行き過ぎた偏差値教育、学校の先生を差し置いて塾の先生が進路指導を決めてしまうなどと言う様々な矛盾をはらんでいる。また、業界再編により、提携塾間で合格者を合算して、本当の合格者数よりも多く水増しして広告などに合格実績を載せる学習塾なども見られ、社会問題化している。2011年4月には大手進学塾が、水増し合格の表示をしたことに対して、消費者庁が行政処分を下した事件も起こった。また、一部の学習塾において、使用する教材を、出版社の許諾を得ないまま教科書から無断引用したり複製したりすることで作成し、著作権侵害を指摘される事例が散見される[6][7]。
統計 [編集]
学習塾に関連する統計を、以下に記す。
- 通塾率[8]
| 学年 | 通塾率 |
|---|---|
| 小学校5年生 | 35.6 |
| 中学校3年生 | 62.5 |
| 高校2年生 | 12.7 |
- 都市と地方では、都市の方が高い傾向にある[8]。
- 学習塾費用[9]
| 区分 | 学習塾へ費用を払っている 生徒の割合(%) |
支出者の年平均額(千円) | |
|---|---|---|---|
| 幼稚園 | 公立 | 16.3 | 65 |
| 私立 | 19.9 | 101 | |
| 小学校 | 公立 | 43.3 | 142 |
| 私立 | 68.2 | 287 | |
| 中学校 | 公立 | 71.6 | 246 |
| 私立 | 53.6 | 221 | |
| 高校(全日制) | 公立 | 35.3 | 224 |
| 私立 | 42.9 | 337 | |
関連項目 [編集]
脚注 [編集]
- ^ a b c d 2007年6月30日号 週刊東洋経済『激戦!塾ビジネス』
- ^ 2006年3月1日付配信 朝日新聞
- ^ 『「学力低下」の実態』:ISBN 978-4000092784 2002年 苅谷剛彦・清水睦美・志水宏吉・諸田裕子
- ^ 『私立人気の影で(2)塾頼みの学力格差是正』2008年(平成20年)1月17日付配信 産経iza
- ^ 『児童生徒の学習塾通いの問題』平成4年 教育白書(文部省(現:文部科学省))
- ^ 塾教材で教科書無断使用 「著作権違反、認識なし」 産経新聞 2012年4月3日
- ^ 進学塾「浜学園」、無許可で教科書コピー・使用 読売新聞 2012年4月7日
- ^ a b 『完全学校週5日制の下での地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査』2003年(平成15年)4月 文部科学省
- ^ 『平成18年度 子どもの学習費調査』文部科学省
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