日産・AD

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AD(エーディー)は、日産車体が製造、日産自動車が発売する商用車OEM供給モデルとして、マツダ・ファミリアバン三菱・ランサーカーゴが販売されている。

なお、この項では上級モデルのADエキスパート、および旧モデルのADバン、かつて存在した乗用車登録仕様のADワゴンについても述べる。

歴史[編集]

初代 VB11型(1982年-1990年)[編集]

日産・ADバン(初代)
VB11型
後期型
Nissan Advan 1985.jpg
Nissan Advan 1985 Rear.jpg
販売期間 1982年 - 1990年
乗車定員 2/5人
ボディタイプ 2/4ドア ライトバン
エンジン 直4 1.5L E15S
直4 1.3L E13S
直4 ディーゼル 1.7L CD17
変速機 5MT/4MT/3AT
駆動方式 FF
サスペンション 前:ストラット
後:リーフスプリング式車軸懸架
全長 4,085mm-4,110mm
全幅 1,620mm
全高 1,465mm
ホイールベース 2,400mm
車両重量 775kg-960kg
最大積載量 400/250kg
先代 サニーバン
パルサーバン
バイオレットバン
オースターバン
-自動車のスペック表-

サニーバンパルサーバン、及びバイオレットバンオースターバンの後継車と位置付けられ、取扱販売会社ごとに、サニー系販社が「サニーADバン」、チェリー系販社(後にプリンス系販社に統合)が「パルサーADバン」、日産系販社が「ダットサンADバン」と車名が区分されていて、車名を示すエンブレムや、ラジエータグリルの塗装やメッキの有無により差別化を計った。サニー(B11型)をベースとしており駆動方式はFF(前輪駆動)。「サニーカリフォルニア」とは、B310型同様、積載能力を考慮して、リアドアより後ろならびルーフパネルといった車体外板やリアサスペンション(ADバンは積載のためにリアサスペンションがリジッドアクスル + リーフスプリングであり、同じ商用車でも先代のパルサーバン(初代プレーリーやエスカルゴのベースになった)が横置きトーションバースプリングを使ったフルトレーリングアーム式独立サスペンションを使っていたのとは対照的に堅実な設計が採用されている。)が異なっている。なお、B11サニーカリフォルニアより車両外寸が15cm程短く10cm程高い。登場時は丸型2灯式ヘッドランプ(SAE規格・シールドビーム)であった。搭載するエンジンE13S型、E15S型ガソリンエンジンと、CD17型ディーゼルエンジンの三種類。当初はサニーADバンにのみ2ドア車が設定されていたが、1983年7月まで旧型のサニーバン(VB312型)が継続生産・販売されていた。

  • 1982年10月 - 発売。
  • 1983年7月 - サニーADバンに2ドア車を追加。
    • 10月 - ビジネスCT(2ドア2シーター車)追加。
  • 1984年10月 - 一部改良。番号灯位置をリアバンパー上部からバックドア(ナンバープレート横)へ移動。
  • 1985年9月 - サニーがB12型にモデルチェンジしたのに伴いマイナーチェンジ。ヘッドランプとラジエータグリルがB11サニー輸出仕様でも使われていた角型2灯式シールドビームに変更された。4ドア2シーター仕様と最上級グレードのSGL、さらにリアスプリングを強化し、5名乗車時の最大積載量を300kgとした重積載仕様車を1500DXに追加設定。なお、2名時の積載量は他グレードと同様400kg。「NISSAN」のロゴが1983年の創立50周年の際に変更されたロゴに変更された。
  • 1986年8月 - 一部改良。車体強度向上と駐車灯が廃止される。
  • 1988年5月 - マイナーチェンジ。フロントバンパーをスチールからB11サニー前期型と同じポリプロピレン製へ変更され、取扱販売会社ごとに異なっていた「サニーADバン」「パルサーADバン」「ダットサンADバン」の車名を「ADバン」に統一。SGLを廃止しGLエクストラを新設。パワーステアリングを全車にオプション設定(GLエクストラのみ標準)。1500にのみ設定のあったAT車を1300ならび1700ディーゼルでも選択可能にした。また、シート表皮の見直しや小物入れスペース、ワイヤー式バックドアオープナー(施錠→開錠機能のみ)の拡張など、商品性、利便性の向上も図られた。
  • 1989年3月 - AT車にシフトロック追加。



2代目 Y10型(1990年-1999年)[編集]

日産・ADバン(2代目)/ADワゴン
Y10型
バン 1500 VE
Nissan AD Van Y10 001.JPG
Nissan AD Van Y10 002.JPG
AD MAX ワゴン 1500 VX
Nissan AD Max 001.JPG
販売期間 1990年 - 1999年
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドア ライトバン/ステーションワゴン
エンジン 直4 1.5L GA15DS→GA15DE
直4 1.3L GA13DS→GA13DE
直4 ディーゼル 1.7L CD17→2.0L CD20
変速機 5MT/3AT/4AT
駆動方式 FF/4WD
サスペンション 前: ストラット
後: トーションビーム(2WD)
後:5リンク(4WD)
全長 4,175mm
全幅 1,665mm
全高 1,490-1,505mm
ホイールベース 2,400mm
最大積載量 400/250kg
姉妹車 日産・サニーカリフォルニア
-自動車のスペック表-
  • 1990年10月 - モデルチェンジ。B13サニー、リアサスペンションはW10アベニールと基本構造を同一とする。搭載エンジンは直列4気筒DOHCGA13DS型、GA15DS型、SOHCディーゼルのCD17型。駆動方式はFFと4WD(パートタイム式をバンの1500と1700ディーゼルに設定)。先代のVB11型は、B11サニーと内・外装共に多くの共通部品が使われていたが、ほとんどが専用部品化された。また、B310~B12のサニーカリフォルニア(のちのウイングロード)は、ワゴンとラゲッジ周りやリアサスなどの差別化を図っていたが、このモデルよりバンと同一となり、全車5ドア5人乗り(2ドアならび2シーター車消滅)となる。同時に毎年車検の煩わしさを避けたいユーザーのために乗用(5ナンバー)登録のADワゴンを設定。ちなみに、ADワゴンの名は、かつてブルーバードのワゴン仕様で使われていた。ワゴンのVE以上は4本スポークステアリングが採用された。
  • 1992年4月 - フランス車フルゴネット (Fourgonette) を思わせるスタイルのAD MAX (エーディー マックス)バン、ワゴンを追加。新たに起こされたボディーは、Bピラー以降に大きな四角い箱を継いだシルエットで、リアドアを廃した3ドアとなった。ホイールベースを70mm延長して全長を4,270mmとし、全高は1,810mm(数値はワゴン)まで高められ、荷室高は1,200mmを確保している。バックドアは開閉が楽な観音開きで、グレードにより、両ドアにワイパーも備わる。側面後部のエクストラウインドウが目を引くが、少数ながら、バンにはシンプルな矩形の引き違い窓のモデルもある。このような欧州スタイルを取り入れた日本車は、生産車ではAD MAXとスズキ・アルトハッスルのみで、コンセプトカーを含めても、オートザム・レビューをベースとしたM2 1004がある程度で、少数派である。
  • 1993年8月 - マイナーチェンジ。1300cc車のA/Tが4A/Tに、VX車の外観が下級グレードと同様の角型2灯式ヘッドランプ、グリル一体型フロントバンパーに変更される。ワゴンのディーゼルエンジンをCD17からCD20へ変更。
    • 9月 - タイ、および台湾にて東南アジア向け「ADリゾート」の生産、および販売開始。同月にはメキシコ日産から日本向けADバンの出荷(Y10X型)が開始された(メキシコ現地名はツバメ)。タイではこのY10型(ワゴン(フロントマスクがワゴンの1993年8月発売の後期型と同じである。))をベースにしたピックアップを「ウイングロード」として販売している。
  • 1994年8月 - マツダにバンは「ファミリアバン」として、ワゴンは「ファミリアワゴン」として、富士重工業(スバル)へ「レオーネバン」(バンのみ)としてOEM供給を開始(スバル向けOEMは2001年で終了)。
  • 1995年6月 - ワゴン一部変更。ガソリンエンジンのGA13DSを廃止し、GA15DSからGA15DEへ変更。グリルを変更し、運転席SRSエアバッグを全車標準とするほか、「LEエクストラ」を追加。同月にはメキシコ日産から日本向けADワゴンの出荷が開始された(メキシコ現地名はツバメ)。
  • 1996年4月 - バンは運転席エアバッグがオプション設定される。ワゴン生産終了。サニーカリフォルニアと統合し「ウイングロード」として生まれ変わる。
  • 1997年5月 - マイナーチェンジ。主な変更点は、バンのエンジンをワゴンに先行搭載されていたGA13DE型、GA15DE型、CD20型に、ディーゼルエンジン車の4WDシステムをフルタイム4WDの「ATTESA」に変更。2WD車のフロントブレーキをベンチレーテッドディスクに、4ドアバンのヘッドランプをハロゲンバルブに、ステアリングホイールシフトレバーパーキングブレーキレバーを抗菌仕様に、など。寒冷地仕様ワイパーデアイサーがオプション設定される。
  • 1998年4月13日 - 排出ガス規制に適合させるため、GA15DEエンジン車に低公害車(LEV) が設定される。



3代目 Y11型(1999年-2008年、ディーゼル仕様は1999年-2002年、一部グレードは1999年-2006年)[編集]

日産・ADバン(3代目)
Y11型
前期型(1999年6月-2002年8月)
NISSAN AD Van.jpg
中期型(2002年8月-2004年5月)
Nissan-advan y11-front.jpg
後期型(2004年5月-2008年12月)
Nissan AD Van Y11 001.JPG
販売期間 1999年 - 2008年
乗車定員 2/5人
ボディタイプ 5ドア ライトバン
エンジン 直4 1.8L QG18DE/QG18DEN
1.5L QG15DE
1.3L QG13DE
直列4気筒ディーゼル2.2L YD22DD
変速機 5MT/4AT
駆動方式 FF/4WD
サスペンション 前: ストラット
後: トーションビーム (FF)
  マルチリンク (4WD)
全長 4,370mm
全幅 1,695mm
全高 1,475-1,510mm
ホイールベース 2,535mm
姉妹車/OEM マツダ・ファミリアバン・ビジネスワゴン
スバル・レオーネバン
-自動車のスペック表-
  • 1999年6月1日 - モデルチェンジ。前モデル同様、2代目ウイングロードと基本構造を同一とする。搭載エンジンは全て直列4気筒DOHCガソリンエンジンQG13DE型、QG15DE型を2WD専用とし、QG18DE型を4WD専用、DOHCディーゼルエンジンYD22DD型を2WD、4WD両方に設定した。なお、ウイングロードは2005年11月に3代目(Y12型)にフルモデルチェンジを行ったが、ADバンは仕様を限定しながら引き続きY11型のまま2008年12月まで継続販売されていた。運転席エアバッグが標準装備され、Y11型のみオプションでサイドエアバッグが設定されていた。
  • 2000年1月14日 - QG18DEN型CNG燃料噴射方式エンジンを搭載するCNGV(圧縮天然ガス自動車)を追加。
    • 4月3日 - 運輸省が2000年度より開始した低排出ガス車認定制度で「超-低排出ガス車(平成12年基準排出ガス75%低減レベル)」としてCNGVが初めて認定。認定に伴い型式変更。
    • 10月 - ガソリン車が「良-低排出ガス車(平成12年基準排出ガス25%低減レベル)」の認定を受ける。
  • 2001年3月 - 同月末を以って日産車体京都工場での生産を終了し、生産を日産車体湘南工場に移管。
  • 2002年7月24日 - CNGVが国内累計販売1000台を達成。
    • 8月29日 - マイナーチェンジ(中期型)。バックドアのプレスなど、内外装を一部変更する。ディーゼルはしばらく設定するが後に廃止。ガソリン車も「超-低排出ガス車」の認定を受ける。
  • 2004年5月26日 - 一部改良(後期型)。左側後退灯を廃止し、フロントターンレンズをホワイトレンズ化するなど、一部改良にて内外装のデザインを変更、および利便性を高める。
  • 2005年11月 - 一部改良。ヘッドライトにマニュアルレベライザー機能とフロントフェンダーにターンシグナルランプを設定し、灯火器保安基準(改正)に適合させた。
  • 2006年1月 - 生産拠点を日産車体湘南工場から日産九州工場に移管。
    • 12月 - Y12型登場により4WD車、MT車およびCNG車のみのラインアップとなる。
  • 2008年12月3日 - Y12型と併売していた4WD車、MT車およびCNG車が販売終了。



4代目 Y12型(2006年-)[編集]

日産・AD/ADエキスパート
AD
NISSAN AD.jpg
NISSAN AD rear.jpg
販売期間 2006年 -
乗車定員 2/5人
ボディタイプ 5ドア ライトバン
エンジン 直4 1.8L MR18DE
直4 1.6L HR16DE
直4 1.5L HR15DE
直4 1.2L CR12DE
変速機 4AT/CVT
駆動方式 FF/4WD
サスペンション 前: ストラット
後: トーションビーム(2WD)
トレーリングアーム式マルチリンク(4WD)
全長 4,395mm
全幅 1,695mm
全高 1,500mm
ホイールベース 2,600mm
最大積載量 300-450kg
-自動車のスペック表-

フルモデルチェンジに伴って車種名がADに改められ、同時にエキスパート後継となる上級仕様の派生車種であるADエキスパートが新設された。3代目ウイングロード(Y12型)と基本構造を共有するが、リヤサスペンションは、同方式ながらスペース効率を高めるためよりコンパクトなものに変更されている。当初はガソリンエンジン搭載の2WD車のみのラインナップであり、エンジンはCR12DE型、HR15DE型、MR18DE型(ADエキスパートのみ)を設定している。採用されるトランスミッションは、4速オートマチック車のみである[2]

最大積載量はADのみに設定される1200cc車が300kg、1500cc車以上では450kgとなっている。また、上級仕様の派生車種であるADエキスパートは全車カラードバンパーが装備される。

インパネ商用車としての利便性を考慮した専用設計となっている。インストアッパーボックスのフタには、自動車では初めてホワイトボードが標準装備され、助手席シートバックには可倒式テーブルも装備されている。また、燃料給油口の位置がプラットフォームの関係上、初代同様の右側に移された。生産拠点は日産車体湘南工場に戻っている。

なおADエキスパートをベースとした洋型霊柩車が存在する。

  • 2006年12月20日 - モデルチェンジ。
  • 2007年1月24日 - マツダにOEMされているファミリアバンの一部グレードもこのモデルに変更された。
  • 2008年12月3日 - HR16DEを搭載した4WDモデルを追加。ウイングロードは後輪の駆動にモーターを用いたe-4WDを採用しているが、ADバンでは先代同様オートトルクコントロール4WDを採用している。最大積載量は400kg。同時に2WD車も一部仕様変更。なお、2006年12月のフルモデルチェンジ後も先代のY11型を継続販売していたMT車並びにCNG車は販売終了となった。
  • 2009年5月20日 - 一部仕様変更で全車に助手席SRSエアバッグシステムが標準装備となり、4WD車には寒冷地仕様が標準設定となった。
  • 2010年8月23日 - 一部仕様変更。全車に100V・100Wの電源コンセントとアシストグリップ(ADは助手席のみ、ADエキスパートは助手席と後席2箇所)を新たに設定し、ADの「DX」を除く全てのグレードで、ドアミラーをエクステリアカラー同色に変更した。ADエキスパートはこれにインテリジェントキーとエンジンイモビライザーも追加装備した。
  • 2012年5月10日 - 一部改良。同年7月以降の生産車に適用される安全法規に対応するため、ADの全グレードとADエキスパートの「LX」で前席ハイバックシートのヘッドレスト上端を延長し、全グレードで後席中央シートベルトのタング形状を変更した。
  • 2013年5月20日 - 一部改良。ADの2WD車(1.5L車)及びADエキスパート「GX」の2WD車のトランスミッションをCVTに変更したことで燃費を向上し、「平成27年度燃費基準+20%」を達成。併せて、全車でメーターデザインを変更し、燃費計(瞬間燃費・平均燃費・渡航可能距離)を標準設定。インパネもブラックに変更した。なお、今回の一部改良により、ADの2WD車に設定されていた1.2L車は廃止された。

車名の由来[編集]

「AD」は「前進した」「進歩した」を意味する「ADVANCED」の略語。

脚註[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ ホイール径とPCDは2WD車とは異なる
  2. ^ 新型「AD / ADエキスパート」を発売 日産公式 2006年12月20日
  3. ^ 日産自動車と三菱自動車、OEM供給を拡大 日産公式 2007年4月3日
  4. ^ 日産自動車と三菱自動車、OEM供給を拡大 三菱公式 2007年4月3日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]