トヨタ・ハイラックス

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トヨタ・ハイラックス (Hilux) は、トヨタ自動車が生産販売するピックアップトラック型の自動車。車名の由来は「High」と「Luxury」を合成した造語で、乗用車なみの豪華さを持ったトラックを表している。

概要[編集]

日本のメーカーが日本向けに生産販売したピックアップトラックとしては最後の車種(6代目)となった。ハイラックスサーフの土台にもなった。7代目からは、2010年までにトヨタが世界市場15%を獲得するという目標「グローバル15」を目指すための方策の一つ「トヨタIMVプロジェクト」から生み出される世界戦略車「IMVシリーズ」中のピックアップトラック車種にハイラックスの車名を引き継ぎ、タイアルゼンチン南アフリカを生産拠点として、世界の新興国市場に向けて販売されている。

歴史[編集]

初代 10系(1968年-1972年)[編集]

初代ハイラックス 1500ロング
(RN15)
  • 1968年3月登場。ブリスカのモデルチェンジに際し、名称をハイラックスに変更。ブリスカ同様、企画はトヨタ、設計は日野主導で行われ、組み立ては日野自動車羽村工場が担当した。エンジンは1.5Lの2R型。グレードはデラックスとスタンダードの2種類。
    北米ではトヨタ・トラックとして発売された。
  • 1969年4月 荷台長2250㎜に延長されたロングボディを追加。
  • 1970年7月 アルミバンと保冷車を追加。
  • 1971年2月 エンジンを1.6Lの12Rに変更。


2代目 20系(1972年-1978年)[編集]

2代目ハイラックス
(消防指揮車)
  • 1972年5月登場。エンジンは従来の12Rに加え2.0Lの18R型を搭載した「ハイウェイ」も設定された。「ハイウェイ」にはハイラックス初のフロアAT車を選択できた。
  • 1975年10月 マイナーチェンジでフロントグリルが変更される。「ハイウェイ」は廃止されハイラックスのAT車も1983年のフルモデルチェンジまで一旦中止された。


3代目 30/40系(1978年-1983年[1][編集]

3代目ハイラックス1600
シングルキャブ ロング ( RN35 )
3代目ハイラックス2000 4WD
写真は北米向けのSR5( RN36 )
  • 1978年9月登場。スタウト110系がこのキャビンを流用した。エンジンは従来どおり1.6Lの12R型。ヘッドランプ規格型の丸形4灯式から規格型の丸形2灯式に変更された。
  • 1979年12月、これも初となる、ディーゼルエンジンが設定された。ディーゼルエンジンはそもそも乗用車用に開発されたSOHC・2.2Lの「L型」だったが、生産コストが低いこと(だけ)が取り柄のこのエンジンは、噴射ポンプは分配式、カムシャフトと噴射ポンプはゴム製コグドベルト駆動とするなど、トラック用としてはいささか華奢で、その後、連続高負荷運転ではメカニズム全体の剛性不足故に、ヘッドやブロックの変形が大きくなる事も発覚し、後に市場での評判(信頼度)を下げる結果となる。また、ハイラックス初の4WDモデルが標準ボディに追加された。エンジンは負荷を考慮しSOHC・2.0L ガソリンの「18R-J型」が搭載された。
  • 1981年10月 マイナーチェンジで規格型角形2灯式ヘッドランプに変更。ダブルキャブと4WDディーゼルを追加。
  • 1983年11月 廉価版のみへ車種整理され「ポピュラーシリーズ」として1988年9月まで継続。


4代目 50/60/70系(1983年-1988年)[編集]

4代目ハイラックス
  • 1983年11月登場。ガソリン車のエンジンがR型からY型に変更された。

ディーゼルエンジン搭載車に2人乗りのフロア4速AT車が追加され、フロアAT車設定は2代目のハイウェイ以来となった。

  • 1984年5月 トヨタ初のSUVとなる、4ランナーハイラックスサーフ60系が登場する。
  • 1985年8月 4ランナー/ハイラックスサーフがフロントサスペンションをトヨタ4WD初採用となる、トーションバー+ダブルウイッシュボーンの独立式に変更する。いすゞ・ファスターロデオ日産・ダットサントラック三菱・フォルテの各4WDピックアップは、この時期すでにフロント独立式サスペンションを採用していたが、ハイラックスピックアップはリーフ+リジッドのまま残された。ただし、道路条件の悪い海外の途上国や、国内でも、業務用やクロスカントリーを楽しむユーザーには、丈夫で、ホイールストロークの大きい(脚の長い)リジッドが歓迎されていたため、これ以降も残されることとなった。新興国のタイ王国では、ハイラックスヒーローとしてのネーミングで販売されフロント部分には (HILUX HERO) のタイトルが大きく書かれているのが特徴。国内外問わずに組み立ては日野・羽村工場が担当した。


5代目 80/90/100/110系(1988年-1997年)[編集]

5代目ハイラックス
日本向けシングルキャブ (YN80)
5代目ハイラックス4WD
北米向けエクストラキャブ
  • 1988年9月発表。130系サーフは1989年5月発表。エンジンは直列4気筒2000ガソリンの3Y、2800ディーゼルの3Lが設定のほか、北米向けなどは、直列4気筒2400 22R-E、V型6気筒3000の3VZ-Eが設定された。2WDと4WDでフェンダーの形状が異なり、左右フロントコーナーにあるコーナーランプ(ターンシグナルランプを含むランプ)は2WDフェンダーが下広がりの台形、4WDフェンダーが上広がりの台形の形状となる。
  • 1989年から1996年まで、トヨタ社とフォルクスワーゲン社との提携の一環として、ハイラックスがフォルクスワーゲンハノーファー工場で生産された。半数はトヨタ・ハイラックスとして欧州トヨタから販売され、のこり半数はフォルクスワーゲン社から、VW タロー(太郎)という車名で販売された。タローには現地製のほかに、日野自動車羽村工場製のOEM車も存在した(フォルクスワーゲン年表を参照)。
  • 1993年、北米向けに、ハイラックスのコンポーネンツを使った、より大型のT100が登場。日野・羽村工場での生産は、ハイラックスとの混流となった。ビッグスリーを刺激しないよう、フルサイズとすることを避けたT100は、その後、タンドラに道を譲り消滅する。
  • 1995年北米向けハイラックスがタコマとして独立した車種となる。
  • 1996年同車をベースにトヨダ・AA型乗用車をモチーフとしたトヨタ・クラシックが限定発売された。


6代目 140/150/160/170系(1997年-2004年)[編集]

6代目ハイラックス 前期型
シングルキャブ (RZN147)
6代目ハイラックス 後期型
スポーツピックアップ
ダブルキャブワイド4WD (RZN169H)
  • 1997年9月登場。乗用仕様には「スポーツピックアップ」と名づけられた。この世代からハイラックスサーフ(200系)はタコマベースに改められた。エンジンは直列4気筒SOHC2000ガソリン(1RZ-E)、直列4気筒SOHC2400ディーゼルターボ(2L-TE)、直列4気筒SOHC2700ガソリン(3RZ-E)、直列4気筒SOHC3000ディーゼル(5L)が設定された。グレードは2WDダブルキャブ、2WDエクストラキャブ、4WDダブルキャブ(ワイドボディの設定あり)、4WDエクストラキャブが設定された。当時の若者文化でのピックアップ改造ブームを反映して、ピックアップには珍しくテレビCMも放映され、TRDによるカスタマイズバージョンも用意された。
  • 2001年マイナーチェンジ。ヘッドランプ規格型から異型とし、フロントグリルとエンジンフードをボリュームを増した造形へフェイスリフト
  • 2004年秋に日本国内での販売を終了した、後継車は無い。
  • 同車をベースにかつて発売された「クラシック」のトラック版といえるTCピックアップが発売されており、こちらは台数限定はされておらずトヨタテクノクラフトの特装車扱いだった。


7代目 (2004年-)[編集]

ハイラックス ヴィーゴ
エクストラキャブ 4X2 2.5E
ハイラックス
ダブルキャブ 4X4 3.0 D-4D
2012年型ハイラックス
2.5 TD クルーキャブ

トヨタIMVプロジェクトフレーム構造をベースとした単一プラットフォームを共有する世界戦略車「IMVシリーズ」としてピックアップトラック、SUV、ミニバンが設定され、このピックアップトラック車種がハイラックス7代目を継承した。「IMVシリーズ」はパワーと低価格が重視される地域向けに、トラックを乗用としても使用する購買層に対し、従来のトラックに比べ乗用車風の高級感を持たせるつくりとし、さらにトヨタの安定した品質を提供することで販売増を狙うという、新興国向け世界戦略車として生み出されている。世界中の多くの国で販売されるが、日本、北米などでは販売されない。

生産はまずタイで開始された。日野自動車羽村工場のラインが一部移管され2004年8月からおこなわれた。羽村工場でも2005年6月末まで生産されていたが、IMVは日本国外以外の世界的規模でトヨタ生産方式を実現することが求められるプロジェクトであり、最終的にタイに完全に移管された。

一国生産のリスクを避けるためにタイ以外でも順次生産開始され、アルゼンチン(2005年2月)、南アフリカ(2005年4月)の3ヶ国がIMVシリーズピックアップ車の主要な輸出拠点となっている。この3拠点から世界の新興諸国に向け輸出されるほか、マレーシアパキスタンベネズエラなどでは自国向けにCKD生産されている。

エンジンは直列4気筒DOHC2.7Lガソリンの2TR-FE、V型6気筒のDOHC4.0Lガソリンの1GR-FE、直列4気筒DOHCディーゼルは3.0Lの1KD-FTV、2.5Lの2KD-FTVが設定されている。

車名は地域によって異なり、タイではHilux Vigo(ハイラックス ヴィーゴ)、欧州ではHilux、南太平洋地域ではHilux IMV[2]として販売されている。

日本の代表的なキャンピングカービルダーであるバンテック社はHILUX VIGOをベース車としたテラ (Terra) を2006年から販売している。トヨタタイ工場から仕入れたHILUX VIGOをバンテック社タイ工場で架装。ベース車としてのHILUX VIGOは並行輸入扱いとなっている。

2011年7月1日、大幅なフェイスリフトを受けた新型ハイラックスがメルボルンモーターショーに出展され [3]、13日にタイで新型フォーチュナーとともに正式に発表・発売開始された[4]。欧州向けは10月にイギリスで発売が開始される[5]


ラインナップ(タイ仕様)[編集]

  • スタンダードキャブ(最廉価グレード。フロントバンパー無塗装。)
  • エクストラキャブ2WD/4WD
  • ダブルキャブ2WD/4WD
  • プリランナー

派生車種[編集]

自動車番組『トップ・ギア』における扱いと本車の耐久性[編集]

水陸両用に改造された「Toybota」。

BBCの自動車番組トップ・ギアで、ハイラックスの耐久実験が行われたことがある。この企画は放送時点の13年前に生産された4代目ハイラックスのイギリス向け仕様車両を中古で購入し、海水に車体を5時間沈め、解体用の鉄球で衝撃を与え、ビルの屋上にハイラックスを置き爆破解体工事を行うなど、かなり手荒な方法で破壊が試みられたが、車は基本的な工具のみで修理をしただけで、自走してスタジオに到着した[6][7]。このハイラックスは司会のジェレミー・クラークソンの提案で、以後収録スタジオに展示されることとなった。またSeries08 Episode3の別な企画では水陸両用車「Toybota」のベースに使用。また、7代目ハイラックスをベースにした改造車で北磁極に到達した。さらに、このチャレンジで使用された撮影クルー用の車両が、ジェームズ・メイエイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山に接近するチャレンジにも使用された。この時は、飛んでくる高熱の噴石から車体を守るため、ルーフ上にトタン板を載せ、タイヤの冷却装置を追加されている。大規模な噴火を起こす前のロケで、番組中でも噴火によりヨーロッパの航空網に多大な影響を及ぼしたことが触れられている。これはSeries15 Episode1で放送された。また、この時の写真はトヨタのプレゼンテーション資料にも使われている[8]

以上のように耐久力や汎用性について評価は高いが、ジェレミーは自身の自動車コラム記事「Jeremy's Review」において、近年のハイラックスやランドクルーザーがコストカットや過剰な電子装備によって、耐久力に疑問符が付いていることを指摘している。北極撮影のため車体改造を担当した現地業者の話として、かつてはほぼ無改造で極地の走行ができたが、現行モデルでは多数の補強が必要になっているという。

「トヨタ戦争」(チャド内戦)[編集]

チャド内戦では、同国の政府軍がトヨタ製のピックアップトラックに対戦車ミサイルなどを搭載したテクニカルを使い、反政府軍を支援していたリビアの戦車隊を迎え撃つことに成功した。この戦争の報道写真でピックアップトラックの荷台後部に大きく書かれたTOYOTAのロゴが目立った事から、海外ではこの戦いにトヨタ戦争Toyota War)という呼び名がつけられた。

脚注[編集]

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  1. ^ 廉価版は1988年まで。
  2. ^ Toyota South Pacific公式サイト
  3. ^ Toyota previews Melbourne Motor Show vehicles”. CarAdvice (2011年6月27日). 2011年7月18日閲覧。
  4. ^ Toyota lifting capacity by 40%”. バンコック・ポスト (2011年7月14日). 2011年7月18日閲覧。
  5. ^ Toyota previews Melbourne Motor Show vehicles”. CarAdvice (2011年7月15日). 2011年7月18日閲覧。
  6. ^ トヨタ・ハイラックスの頑丈さがこれでもかというくらい理解できる動画
  7. ^ Top Gear: Killing a Toyota Part 1 - YouTube
  8. ^ トヨタ、地産地消を目指すIMVの生産累計500万台を達成の「IMVの使われ方」の写真を参照

関連項目[編集]

関連リンク[編集]