スーパーセレクト4WD

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スーパーセレクト4WD三菱自動車工業が自社製SUVなどに採用する駆動変更システム。構造や作動原理は、AMC(後に三菱の提携先でもあるクライスラー傘下となる)のJeep各車に搭載されたセレック・トラックを基本とする。

概要[編集]

センターデフのみのフルタイム4WDとは異なり、パートタイム4WD同様のトランスファーを持つため、状況に応じ、2WD(後輪駆動)と直結4WDモード(さらに必用ならば4WD Loも)が選べる。

通常のパートタイム4WDでは、4WD時に前後のプロペラシャフトが直結となり、悪路走破性の向上に反し、前後軸の回転数差を吸収できないことから、舗装路でのタイトコーナーブレーキング現象や、ABSとの相性の悪さなどのデメリットが存在する。

その解消のため、スーパーセレクト4WDではトランスファーにビスカスLSD付きセンターデフを追加し、4WD時にはセンターデフ式フルタイム4WDとほぼ同等の舗装路での走行性能を有している。 センターデフにはデフロック機構を装備し、直結4WDと同等の悪路走破性も持つため、パートタイム4WDフルタイム4WDの長所を兼ね備えたシステムとも言えるが、その分重量やスペース、維持・整備では不利となる。

現行型では進化したスーパーセレクト4WD IIパジェロに採用されている。

スーパーセレクト4WDのセンターデフはベベルギアで、前後のトルク配分を50:50としているのに対し、スーパーセレクト4WD II ではプラネタリーギアに変更して前後トルク配分を33:67とリア寄りとし、操縦性の向上を図っている。

同じようなメカニズムにトヨタマルチモード4WDダイハツオールタイム4WDマルチセレクト4WDがある。

各駆動モードは以下の4つである。

2Hモード[編集]

トランスファのフロント駆動を切断し、後輪駆動(FR)で動作する。二輪駆動なので経済性や静寂性に優れたモードともいえる。フロントドライブシャフトの途中で断続を行いフロントデフを停止させるタイプのフリーアクスル機構が備えられており、2WD時の走行抵抗を抑えている。ただし、フロントホイールからドライブシャフトまではつながったままであり、ハブ部分で駆動解除されるものよりは走行抵抗が若干あり、特にリフトアップされた車両では顕著である。

4Hモード[編集]

センターデフとビスカスカップリングによる差動制限で前後に駆動力を配分する。センターデフ式フルタイム4WDと同等もしくはオープンデフのフルタイム4WD以上の不整地走破性能を持つ。舗装路・濡れた道・砂利道・雪道といった様々な路面状況に対応できる。スーパーセレクト4WDの基本位置といえる。2Hに比べ、極端には燃費悪化はしないが、タイヤの前後回転ロスが大きい走行(峠道や市街地など)では、経済性に劣る。 また、4H・2Hモード相互の切り替えは走行中でも行える(当時初)が、100km/h以内で行わなければならない。100km/h以上で行うと切り替えアームの接触により旋盤で切削したときのようなけたたましい金属音がする。 基本的にFRベースのセンターデフとなるので、リア駆動に対してフロントが配分される形であり、トルク配分はリア100~50%が理論上の数値となる。しかし、実際にはビスカスカップリングもあり、リア100まで低下することはないとも考えられる。

4HLcモード[編集]

積雪地帯や悪路など、路面状況が悪い状態時に使用する直結4WDハイレンジモードセンターデフをロックし直結4WDモードで動作し、4Hモードより高い駆動力が発生する。4Hモードと比べ、ギア比は同じであるが、前後のタイヤが同じ速度で回るため、外輪差を吸収できずにタイトコーナーブレーキング現象が発生する。それにより、いかなる速度域でも乾燥路の走行には向かない(センターデフあるいは前後のデフの破損、異常過熱などが考えられる)4Hと同じく、走行中でも操作可能だが、同様に時速100km/h以下での操作となる。

4LLcモード[編集]

不整地走行・スタックの脱出など、極悪路走行用直結4WDローレンジモード。低速で高いトルクを得るためのモード。副変速機によりギア比を落とし、非常に低い速度で走ることができる。(アイドリング + 1速でパーキングブレーキの拘束力を超えるほどのトルクと考えると分かりやすい)しかし、唯一、4HLc・4LLcモード相互の切り替えは停車した状態で行わなければならない。相互の中間にはパワーテイクオフ(PTO)の使用レンジでもある N (ニュートラル)も標準で設定されており、操作には十分な注意も必要である。(副変速機は主変速機の後方に位置しているので、Nレンジではミッションがどの位置であっても動力が伝わることはない)

参考リンク[編集]