三菱・ランサーエボリューション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

ランサーエボリューション (Lancer Evolution, ランエボ)は、三菱自動車工業が生産・販売する自動車である。

目次

[編集] 概要

ランサー(最新モデルの日本名はギャランフォルティス)をベースに、2,000ccハイパワーターボエンジンを搭載したスポーツモデルであり、公道走行を前提に快適装備を備えたGSRと、競技用ベースモデルの RS の2グレードで展開されている(VII及びワゴンではオートマチックのGT-A、IXではGTを追加でラインナップ)。通称ランエボ。ただ単にエボと呼ばれたり、モデルを識別するためにエボ○(○は数字が入る)と呼ばれることもある。エボI〜III、エボIV〜VI、エボVII〜IX、エボXでそれぞれベースモデルが切り替わっているため、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代という呼び分け方をされる。

現行のランサーエボリューションはWRCとの関係が次第に希薄化しているものの、他のモータースポーツカテゴリーではその存在感は健在である。また、VIIIからは日本国外での市場に正式に輸出が開始されるなど、国内外における三菱のイメージリーダーとして位置付けられている。

[編集] 歴史

[編集] 第1世代(CD9A/CE9A)

[編集] ランサーエボリューション

三菱・ランサーエボリューション
E-CD9A
Evolution GSR
1993 Lancer Evolution1.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1992年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 250ps/6,000rpm
最大トルク 31.5kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,500mm
車両重量 GSR:1,240kg
RS:1,170kg
-自動車のスペック表-

1992年9月発売。型式名"E-CD9A"。通称"エボI"。

E39A型ギャランVR-44G63型ターボエンジンをランサーに移植した、ランサーエボリューションシリーズ初代モデルで、エンジン出力はギャランに搭載されているものより10ps高い250ps。車重はギャランVR-4に比べ150キロ以上も軽く、戦闘力の向上が図られた。

WRCの出場資格を取得するため、ランサーGSR1800をベースにギャランに搭載されていた4G63型ターボエンジンとドライブトレインを、半ば強引に移植されて開発された(ランサーの中でも、車体強度が高めに生産されていた、中東向けのシャシーをベース)。しかし、ホモロゲーション取得のため間に合わせで開発されたため、AWDに見られるアンダーステア傾向が強く、コーナーが曲がれないと不評だった。ホモロゲーション取得のために生産されたモデルであったため、テレビCMや店頭での告知などは一切無かった。2,500台の限定車で、弱気な販売姿勢だったにもかかわらずわずか2日で完売した。それを受けて、更に2,500台が追加販売された。

[編集] ランサーエボリューションII

三菱・ランサーエボリューションII
E-CE9A
Evolution II ラリー仕様
Saxony rally racing Mitsubishi Lancer Evo 2 52 (aka).jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1993年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 260ps/6,000rpm
最大トルク 31.5kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,510mm
車両重量 GSR:1,250kg
RS:1,180kg
-自動車のスペック表-

1994年1月発売。型式名"E-CE9A"。通称"エボII"。

前モデルと同じく台数限定での販売。前モデルの問題点を徹底的に洗い出し改良したモデル。不評を買った足回りの見直し、ボディ剛性の向上、ギヤ比のローギアード化、タイヤサイズの拡大(エボI 195/55R15→エボII 205/60R15)、ホイールベース及びトレッドの拡大、エンジン内部と吸排気の改良などが行われ、出力は260psに向上した。外観は前モデルからあまり変更は無いが、走行性能は大幅に改善された。 しかし、出力に対しブレーキやタイヤの容量が不足しており、耐フェード性やタイヤのグリップの持続性に欠ける。エボIIIとエボIVでも同様の傾向が見られる。エボVで大幅なタイヤサイズの拡大とブレーキの強化が行われ、ようやくこの問題は解消された。

[編集] ランサーエボリューションIII

三菱・ランサーエボリューションIII
E-CE9A
EvoIII
White evo3gsr.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1995年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 270ps/6,250rpm
最大トルク 31.5kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,510mm
車両重量 GSR:1,260kg
RS:1,190kg
-自動車のスペック表-

1995年1月発売。型式名"E-CE9A"。通称"エボIII"。

エボIIで完成された基本構造を引き継ぎ、エンジンの冷却性能や空力性能の向上を目的に開発された。市販車でも異例の大型のリアスポイラーや、開口部の大きいフロントバンパーを備える。外装だけでなくエンジンにも改良が加えられ、出力を270psまで向上させた。

しかし、大幅な出力向上のため比較的高い圧縮比(ターボエンジンの平均的な圧縮比が8〜8.5、エボIIIの圧縮比は9)を採用した結果、少し過給圧を上昇させるだけでもトラブルが発生しやすくなった。対策として、エボIIのピストン(後にエボIX用ピストン)を流用し圧縮比を下げ、カムシャフトを交換することでオーバーラップを大きく取って圧縮圧力を逃がす、などの方法がある。

エボIやエボIIと比べ、派手なエアロパーツや高性能な機構を搭載するため、歴代ランエボの中でも人気がある。また、WRCでも好成績を残し、他のWRC参戦メーカーからも開発の参考とされた。

また、ターボラグの解消を目的として2次エア供給システム(PCCS)が搭載されている。しかし、WRCでの使用を目的としたシステムであり、WRCの規定上、市販車にも同様の機構を搭載する必要があるため搭載されたもので、市販車では動作しないように設定されている。大径タービンを搭載するエボIIIには、特に有効なシステムであった。

[編集] 第2世代(CN9A/CP9A)

[編集] ランサーエボリューションIV

三菱・ランサーエボリューションIV
E-CN9A
Evolution IV GSR(右)
Lancer-5th&EVO4.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1996年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク 36.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,510mm
車両重量 GSR:1,350kg
RS:1,260kg
-自動車のスペック表-

1996年8月発売。型式名"E-CN9A"。通称"エボIV"。

ベースモデルのランサーが前年にフルモデルチェンジしたため、ボディを新型に刷新した。同時に、第一世代に対しエンジン搭載方向を左右反転させ、トランスミッション内部に設けられていたカウンターシャフトを廃止した。それにより駆動ロスを軽減し、全く違う車に進化した。本モデル最大の特徴はGSRに搭載された、左右の後輪への駆動力を変化させ、旋回性を向上させるアクティブ・ヨー・コントロール(AYC)である。AYCの採用により、エボIIIに比べて大幅に旋回性能を向上させた。

しかし、エボIVに搭載されたAYCは比較的完成度が低く、異音が発生するトラブルが多発した。対策として、AYCの作動油の交換や、AYCの調整を行うことで一時的に異音を無くす事ができたが、根本的な解決にはならなかった。そのため、HKS関西サービスが発売したコンパクトLSDに交換することが多く見られた。サーキットやジムカーナ等の競技用途では、フロントにヘリカルLSD、リアに1.5WAY機械式LSDが装着された、競技用グレードのRSが用いられた。フロントデフはGSRではオープンデフが採用されている。

エンジンは鍛造ピストン、ツインスクロールターボの採用、PCCS及びタービンのノズル面積アップ、ブースト圧のアップにより出力を当時の自主規制値いっぱいの280psまで向上させた。しかし、本モデルで採用された鍛造ピストンは過給圧の上昇に弱く、エボVでは再び鋳造ピストンが採用された。対策のため、エボV以降のピストンに交換する、などの方法がある。エアロパーツは、エボIIIでリアスポイラーを大型化した結果、前後の揚力バランスが取れなくなったため、バランスを見直して設計されている。これによりフロントゼロリフト、空気抵抗係数(Cd値)0.30を実現した。

歴代のエボ同様に限定生産という形を取ったが、センセーショナルな形が人気を呼び歴代モデルの中では最も生産台数が多い。ただしフルモデルチェンジ後の最初のモデルということでトラブルが多いことが欠点だが、歴代モデルの中でも派手ながらもまとまったデザインであることや、5ナンバーで開発された最終モデルであることなどを好むオーナーも多い。

[編集] ランサーエボリューションV

三菱・ランサーエボリューションV
GF-CP9A
Evolution V GSR
Silver evo5gsr.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1998年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク 38.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,510mm
車両重量 GSR:1,360kg
RS:1,260kg
-自動車のスペック表-

1998年1月発売。型式名"GF-CP9A"。通称"エボV"。

エボIV以前のモデルの欠点である、ブレーキやタイヤ容量の不足を改善するため、又WRCにおいてWRカーに対抗すべく3ナンバーサイズとなる車幅1,770mmのワイドボディを初めて採用し、タイヤサイズの拡大(エボIV 205/50R16→エボV 225/45R17)、フロント17インチ4ポット・リア16インチ2ポット対向のブレンボ社製キャリパーが採用された。さらに、フロントヘリカルLSD(RSはオプション)したことにより、制動力や走行性能、旋回性能などが大幅に改善された。 その他、フロント倒立式ストラット、アルミ鍛造ロワアーム、角度調整式リアスポイラー、ノズル面積がアップさせたタービン(エボIV 9cm²→エボV 10.5cm²)、16ビットECUなどが採用された。 馬力はエボIVと変わらず280psであるが、タービンノズル面積アップ及びブースト圧のアップによりトルクがエボIV比で+2kg-mの38.0kg-mに向上した。

本モデルは、WRCやサーキットにおいても好成績を残した。WRCでは、改造範囲の狭いグループA規定の車両でありながら、比較的改造範囲の広いWRカー規定の車両を圧倒して、マニュファクチャラーズチャンピオン、ドライバーズチャンピオン、グループN優勝という偉業を成し遂げた。筑波サーキットで開催されたチューニングカーのタイムアタックでは、車格が上の大排気量スポーツカーの記録を上回ることも多かった。

本モデルは、歴代ランサーエボリューションの中でも比較的人気が高い。

[編集] ランサーエボリューションVI

三菱・ランサーエボリューションVI
GF-CP9A
EvoVI ラリー仕様
Saxony rally racing Mitsubishi Lancer Evo 6 08 (aka).jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1999年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク 38.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,510mm
車両重量 GSR:1,360kg
RS:1,260kg
-自動車のスペック表-

1999年1月発売。型式名"GF-CP9A"。通称"エボVI"。

空気抵抗及び冷却性能、またフロントリフトの改善を目的として、ナンバープレート位置のオフセット、フォグランプの小径化などによる前面開口部形状の拡大、リアスポイラーの2段ウイング化などで、空力が改善された。しかし、WRCでは2段ウィングがレギュレーション違反(WRカー規定では2段ウイングが禁止であるため)と認定され、実戦投入はなされなかった。(下段とトランクの間にある隙間をカーボン板で塞いでいる。)前モデルのエボVで、硬めにセッティングされた足回りが街乗りには向かない事が不評であったため、フロントサスのロールセンター軸をエボV比で30mm低く設定することで、多少ソフトなセッティングに変更された。しかし、競技目的には向かず、全日本ラリー等ではエボVに勝つことが出来ないという、ある種の「退化」を起こしている。そのため、競技用グレードのRSではエボVと同セッティングの足回りをオプションで選択可能となっている。

エンジンの馬力・トルクはエボVと変わらないが、冷却オイル路内蔵のクーリングチャンネル式ピストンの採用や冷却水レイアウトの変更、オイルクーラーの大型化など、エンジンの耐久性と信頼性を向上させている。また、RSには純正でチタンアルミ合金製タービンが採用され、タービンブレードの慣性力を50%低減している。

[編集] ランサーエボリューションVI トミ・マキネンエディション(Tommi.Makinen Edition)

三菱・ランサーエボリューションVI TME
GF-CP9A
EvoVI TME GrA仕様
Mitsubishi LancerEvo VI TME Gr.A.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2000年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク GSR:38.0kg-m/2,750rpm
RS:38.0kg-m/3,000rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,510mm
車両重量 GSR:1,360kg
RS:1,260kg
-自動車のスペック表-

1999年12月発売。型式名"GF-CP9A"。通称"エボVI T.M.E"または"エボ6.5"。

当時の三菱のWRCワークスドライバー、トミ・マキネンの4年連続ドライバーズ・チャンピオン獲得を記念して、同選手の名前を冠したモデル。比較的高速なターマック(舗装路)ラリーを意識して前部のバンパー形状を見直し、フォグランプ設置部の廃止により空力を改善した。

足回りは従来より10mmダウンしたサスペンションを採用。また、標準型エボVIの足回りの替わりに、ターマックでの競技と相性が良いエボVの硬い足回りが標準採用された。(注文により標準エボVIの物に変更可能だった)その他、クイックステアリングギアが採用され、競技で運転しやすい仕様となっている。イリジウムプラグや、プラスチック製クーリングパネルも採用された。タービンが標準でチタンアルミ合金製になった事と、コンプレッサーホイール径の縮小により、最大トルクの発生回転数がエボV、エボVIよりも低くなった(エボV、エボVI 3,000rpm→エボVI TM E 2,750rpm)。マフラーもVIまでの楕円のテールから真円の大口径マフラーへ変更されている。出力などの動力性能での大きな変更点は無かったが、完成度は確実に上がっていた。

赤を基調とした、ラリーカー仕様のカラーリングパッケージがオプションで設定され、シフトノブとステアリングはレッドステッチが施されたものを採用、計器類も赤い文字盤となり、"TOMMI MAKINEN"と書かれた赤いレカロ社製シートも採用された。ホイールは、OZ社製のメッシュホイールからENKEI社製の五本スポークホイールに変更された。

WRC仕様車はフロントバンパーの形状は似ているものの、サイドのカナード形状部分が削られている。グラベルでの使用に対してはリップ部分も最初から外されていたため、比較的おとなしい外観となっていた。

[編集] 第3世代(CT9A/CT9W)

[編集] ランサーエボリューションVII

三菱・ランサーエボリューションVII
GH-CT9A
EvoVII GrN仕様
Mitsubishi LancerEvo VII Gr.N.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2001年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク 39.0kg-m/3,500rpm
変速機 5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,625mm
車両重量 GSR:1,400kg
RS:1,320kg
-自動車のスペック表-

2001年2月発売。型式名"GH-CT9A"。通称"エボVII"

ベースモデルは前年にフルモデルチェンジしたランサーセディアになり、エボVI以前のモデルと比べ、おとなしい外観となった。新開発のボディは、サスペンション取付部やボディフレーム結合部の補強や、専用リーンフォースメントの追加、スポット溶接の追加、ストラットタワーパーの採用などにより、エボVI比1.5倍の曲げ剛性を実現した。ベースモデルのランサーセディアのボディが大型化したことや、アクティブセンターデフ(ACD)の新規採用による重量増から、「大型ボディと重さで運動性が悪くなる」「エボの進化はVIまで」という前評判が囁かれていたが、実際にはそのような問題は杞憂であった。

前後輪の差動制限を電子制御するACD(電子制御可変多板クラッチ機構)をエボVIIで新規採用した。道路のコンディションに合わせて、『ターマック(舗装路)』・『グラベル(未舗装路)』・『スノー(雪道)』の3モードを車内のスイッチで切り替え、センターデフをコントロール可能で、パーキングブレーキ作動時に作動制限をフリーにする機能も採用された。この機能により、ラリーやジムカーナ等の競技での急旋回が容易になり、前モデルにも増して、旋回性能を高めた。ギア比もエボVI比で、1速がローギアード化され、5速はハイギアード化された。また、これだけの変更点を持ちながら車両本体価格はGSRで299万円と、エボVIよりも安価[要出典]になり、バーゲンプライスとも取れる程の価格設定となった。

なお、このモデルより三菱はWRCでの活動をグループAからCS2A・ランサーセディアをベースとしたWRカーに移行(ネーミングのみエボリューションを継承)するが、実際にはエボとランサーセディアで全長などの違いから、ランサーセディアのファミリーだと認められず、WRカー規定のホモロゲーションが取得できなかった。そのためエボはグループN及び全日本ラリーやスーパー耐久等の国内レース向けのモデルに特化していくことになる。

[編集] ランサーエボリューションVII GT-A

三菱・ランサーエボリューションVII GT-A
GH-CT9A
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2002年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 272ps/6,500rpm
最大トルク 35.0kg-m/3,000rpm
変速機 INVECS-II 5速AT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,625mm
車両重量 1,480kg
-自動車のスペック表-

2002年1月発売。型式名"GH-CT9A"。通称"エボVII GT-A"。

ランエボ初のAT採用モデルとして追加販売された。「INVECS-II」と呼ばれるスポーツモード付き5速AT採用によりスポーツセダン需要の取り込みを図ったが、ランエボの進化の過程とオートマチックトランスミッションは両立しがたいものがあった。

オートマチックトランスミッションの特性を考慮し、エンジン出力を272psに落としてピークパワーよりも中・低回転域のトルクを重視したセッティングを採用した。また、競技車輌としてのホモロゲーションを取得していなかった(現在は日本自動車連盟認定済み)ためにアンチラグシステムは不要として、PCCS用パイピングは省かれている。内装は、ランエボ初の本革シートをオプションで用意しスポーツ性一辺倒であった性格を転換させた他、ランエボでは恒例だったMOMO製ステアリングを変速ボタン(ステアマチック)を組み合わせた自社製に変更。外観はシティユースを重視した仕様とし、リアウイングを専用設計の小型のものを標準で装備した(GSRと同じ大型リアウイング、並びにウイングレス仕様をオプションで選択可能とした)。また、GT-AからヘッドライトにHIDが採用され、以降のエボシリーズはGSRグレードにHIDが標準装備されている。

フロント周りは、ATクーラーの装備に伴ってバンパー左側に通風口が設けられたため、ナンバープレートをバンパー中央部にマウントした。その他、無骨なイメージの転換を目的として、ボンネット上のエアアウトレット・エアインテークも廃している。

[編集] ランサーエボリューションVIII

三菱・ランサーエボリューションVIII
GH-CT9A
EvoVIII
Mitsubishi Lancer Evolution VIII.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2003年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク 40.0kg-m/3,500rpm
変速機 6速MT/5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,625mm
車両重量 GSR:1,410kg
RS[6MT]:1,350kg
RS[5MT]:1,320kg
-自動車のスペック表-

2003年1月発売。型式名"GH-CT9A"。通称"エボVIII"。

ダイムラー・クライスラーより移籍したデザイナー、オリビエ・ブーレイが三菱車共通のアイデンティティとして提唱した、富士山型のグリルが採用された。コンサバティブな長方形グリルから先述の富士山型グリル(通称「ブーレイ顔」)への変更は発売当時は不評を買い、ラジエターの冷却性低下や空気抵抗の増大を招いた。そのため、性能一辺倒を貫いてきたランエボらしくない“退化”である、と見る向きもある。 もっとも、メカニズムにおいては先代のエボⅦより、着実に進化を果たしており、特にトランスミッションは6速MT化(愛知機械工業製)されている(RSには5速MT仕様も設定)。

基本的にグレードはGSRとRSの2種類である。両者ではヘッドライトが点灯している時のテールランプの動作に違いがある。ヘッドライト点灯時、GSRはテールランプが4個とも点灯するが、RSは奥の2個のみが点灯し、ブレーキを踏んだ時のみ4個点灯する。

AYCの内部構造を見直し、制御トルク量を増加させたスーパーAYCを採用(RSは純正で1.5WAY機械式LSD、スーパーAYCはオプション)。リアスポイラーが量産セダン世界初のカーボン製になった。またこのモデルから日本国外への輸出が正式に開始された。スーパーAYCの性能と評価は高く、操縦性でライバルのインプレッサを超えたと言われた。ただし、輸出モデルにはACDは搭載されていない。また、年々増加している盗難対策に、本モデルからはイモビライザーが全グレード標準装備となった。

[編集] ランサーエボリューションVIII MR

三菱・ランサーエボリューションVIII MR
GH-CT9A
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2004年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク 40.8kg-m/3,500rpm
変速機 6速MT/5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,625mm
車両重量 GSR:1,400kg
RS[6MT]:1,360kg
RS[5MT]:1,320kg
-自動車のスペック表-

2004年2月発売。型式名"GH-CT9A"。通称"エボVIII MR"または"エボ8.5"。

ギャランGTOから続くMitsubishi Racingを意味するMRのネーミングを冠した、エボVIIIの熟成型モデル。その変更箇所は数多く、新たに「エボIX」を名乗っても不思議ではないほどの改良が加えられていた。

ビルシュタイン社製ダンパーを採用し、ドア内部のサイドインパクトバーをアルミ化、量産車で初となるアルミルーフの採用により、約10kgの軽量化を達成した。またオプションとしてルーフ上に取り付ける「ボルテックス・ジェネレーター」が用意された。アルミホイールはエボVIIIのエンケイ社製の17インチ6本スポークに加え、BBS社製の17インチ鍛造軽量アルミホイールがメーカーオプションとなった(エボIX、エボワゴンにもメーカーオプションで設定される)。外見上のエボVIIIとの相違点は、ヘッドライトリアコンビランプがブラックアウト、ウイング翼端板のガンメタリック(アイゼングレー)塗色化、アルミルーフ採用に伴うルーフパネル端部のプレスリブに留まる。また、このモデルではタービンがエボVおよびエボVIと同じ大容量タービンが採用され(GSRとRS6速MT車のみ。RS5速MT車はエボVII、エボVIIIと同じタービン)、カムプロフィールもVIIIに比べ高回転向きに変更されている。また、CT系(いわゆる第3世代エボ)中で一番、車体重量が軽量である。

[編集] ランサーエボリューションIX

三菱・ランサーエボリューションIX
GH-CT9A
EvoIX ラリー仕様
Mitsubishi LANCER Evo IX Michał Bębenek 2006.JPG
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2005年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク GSR:40.8kg-m/3,000rpm
GT/RS:41.5kg-m/3,000rpm
変速機 6速MT/5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,625mm
車両重量 GSR:1,410kg
GT:1,390kg
RS[6MT]:1,360kg
RS[5MT]:1,320kg
-自動車のスペック表-

2005年3月発売。型式名"GH-CT9A"。通称"エボIX"。

ランエボに搭載されるエンジンとして初の連続可変バルブタイミング機構MIVECを採用[1]、最大トルク(GSR:40.8kg-m、RS/GT:41.5kg-m)発生回転数がエボVIII MRの3,500rpmから3,000rpmに下がり、また今回からターボのコンプレッサーハウジングを変更、コンプレッサーホイールにマグネシウム合金を(GSRではオプションとして)採用し、従来のアルミニウム合金よりもレスポンス向上を図った。その結果、低回転域のトルクアップ及びトルクバンド幅の増大と高回転域でのレスポンスが向上した。 しかし、マグネシウムコンプレッサー仕様は、過給圧を上昇させるとコンプレッサーブレードが割れやすいことが報告されている。GSR用などのアルミニウムコンプレッサー仕様に交換する事により解消が可能であるが、高額な部品であるためユーザーの負担は大きい。2005年12月以降生産分については対策品がつけられており、部品番号の末尾が0から1に変更されている。

本モデルから、GSRとRSの中間グレードとしてGTがラインナップに加えられた。GTはリアデフにRSの機械式1.5WAY、5速MT、リア薄板ガラス、マグネシウム合金ターボを標準装備し、その他のボディーカラーの選択、オートエアコン・キーレスエントリー等の快適装備、ビルシュタイン社製ダンパー(レスオプション可)、ブレンボ社製ブレーキ等の足回りなどはGSRと同じである。車両本体価格はGSRより抑えられており、車重もGSRより約20kg軽い。なお、本モデルからは、グレードに関係なくスペアタイヤを載せず、パンク修理キットでの対応に変更され、更なる軽量化が図られている。

その他、エボVIII MRから基本コンポーネンツ(スーパーAYC(RS及びGTでは機械式LSDだが、RSはオプションで選択可能)、ACD、ビルシュタイン社製ダンパー採用、ルーフやドア内部のサイドインパクトバーをアルミ化、ルーフのアルミ化等)は変わらないものの、不評を受け、VIIIで採用されていた先述のブーレイ顔が廃止され、スーパー耐久仕様のフロントバンパーに近似したデザインのものとなった。またリアバンパー中央部にディフューザーを装備し空力を向上させ、リアの車高を5mm落し接地性向上を図った(これはGSRのみで、GT及びRSの車高変更はなされていない)。

[編集] ランサーエボリューションワゴン

三菱・ランサーエボリューションワゴン
GH-CT9W
GT
LANCER EVO W.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2005年
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドア スポーツワゴン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 GT:280ps/6,500rpm
GT-A:272ps/6,500rpm
最大トルク GT:40.0kg-m/3,000rpm
GT-A:35.0kg-m/3,000rpm
変速機 6速MT/INVECS-II 5速AT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,625mm
車両重量 GT:1,500kg
GT-A:1,540kg
-自動車のスペック表-

2005年9月発売。型式名"GH-CT9W"。通称"エボワゴン"。

ランエボ初のステーションワゴン形状として登場、エボIXのシャーシをベースとし、ランサーワゴンの「上半分」を溶接して製造された。6速MT搭載のGTと5速AT搭載のGT-Aをラインナップした。

GTはエボIXのエンジンと同じMIVECを搭載し、280ps/6,500rpm・40.0kg-m/3,000rpmの出力を発揮する。GT-AはエボVIIGT-Aと同じエンジンを搭載し、272ps/6,500rpm・35.0kg-m/3,000rpmと、GTに比べ抑え目の出力を発揮する。

通常のランサーワゴンとは外観こそ似ているものの、ボディの骨格構造からして異なる。シャーシは基より外観も、フロントマスクを初めとして、リアブリスターフェンダーなどランエボ譲りの相違点を持つ。なおリアルーフスポイラーはランサー(セディア)ワゴンに設定されていた「ラリーアートエディション」のものを流用している。

一般的にワゴン車は、同設計のセダンと比較してボディ剛性面で劣るとされるが、エボワゴンの場合、それを補うためのバックドア開口部への重点的なスポット溶接等により、280psを発揮するエンジンパワーに負けないよう、十分な剛性を持って設計されている。そのため、リアの車重が増加する事となったが、FFベースで開発されたランエボが元々フロントヘビーであったことにより、前後の重量配分が改善された。その結果、リアのトラクションの向上が見られたという(自動車評論家の中には、ベースのセダンと比較して、操縦性についてはむしろ好ましいとする意見もある)。また、スーパー耐久に参戦した際、空力特性に優れるワゴンボディ形状が作用して、ストレートでの最高速がセダンよりも伸び、適正な重量配分によりコーナリング中の挙動にも安定性の向上がみられた。しかし、絶対的な重量はセダン比で増加しているため、ブレーキングポイントがセダンよりも手前になってしまう、コーナリング中の速度が上げられないなどの弱点を持つため、セダンの牙城を崩すには至らなかった。

シャーシやパワートレインはエボIXやエボVIII MRのキャリーオーバーであるが、リアデファレンシャルギアはAYCではなく、1.5WAY機械式LSDがGT・GT-A共に採用された。これは、重量化した車重や、荷物を積載した際の負荷に対して、耐久性を確保するためであると思われる。もっとも、セダンでもAYCはGSRグレードにのみ搭載される機構であり、ワゴンにGSRが設定されなかったことが理由である可能性もあるため、あくまで推測の域を出ない。 その他、ワゴンとしての使い勝手を考慮し、リアシート収納によるシートアレンジ(2〜3名乗車)により、フラットで大容量なラゲッジスペースを確保できる。ユーティリティ面ではラゲッジスペースに12Vのアクセサリーソケットを装備する等、走行性能に関わる装備以外も充実している。

[編集] ランサーエボリューションIX MR・ランサーエボリューションワゴン MR

三菱・ランサーエボリューションIX MR
GH-CT9A
EvoIX RALLIART
EvoIXMR.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2006年
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4G63型:2.0L 直4ターボ
最高出力 280ps/6,500rpm
最大トルク GSR:40.8kg-m/3,000rpm
RS:41.5kg-m/3,000rpm
変速機 6速MT/5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,625mm
車両重量 GSR:1,410kg
RS[6MT]:1,360kg
RS[5MT:1,320kg
-自動車のスペック表-

2006年8月29日発売。ランサーエボリューションIX MRの型式名は"GH-CT9A"。通称"エボIX MR"または"エボ9.5"。ランサーエボリューションワゴン MRの型式名は"GH-CT9W"。通称"エボワゴン MR"。

Mitsubishi Racingを意味するMRのネーミングを冠したエボIX及びエボワゴンの熟成型であり、同時にランエボとしては、4G63型ターボエンジンを搭載する最後のモデルになっている。セダンがGSRとRS、ワゴンがGTとGT-Aという、それぞれ2グレードずつ、合計4グレードが発売される。

エボIX、ワゴンからの大きな変化は成されず、フロントエアダム下部の形状変更、揚力の低減と気流の制御により、更なる空力特性の向上を図っている。アイバッハ社製コイルスプリングが、GSRでは標準、RSではセットオプションで設定される。このスプリングを装着することで、フロントで-10mm、リアで-5mm車高が変更され、より低重心化を図っている。最大出力とトルク、また発生回転数などはエボIXから変化しないが、MIVECターボのセッティングや制御の最適化・ファインチューニングが成され、更にレスポンスを向上させている。ACD・スーパーAYCのセッティングも変更され、旋回性を向上させている。

正式発表前より、「4グレード総計で1,500台限定の希少性」として、希少性を重視した予約販売が行われたが、人気車種であるため例に漏れず、追加生産が行われた。(RSは予約の時点で既に生産割当台数をオーバーしていた)追加生産分のバックオーダーを含めると総生産台数としては、2,500台程度と噂される。

ターボチャージャーは、コンプレッサーホイール入口径を縮小することでレスポンス重視のセッティングになり、材質は、標準装備品がチタンアルミ合金製タービンホイールとアルミ合金製コンプレッサーホイールに変更された(GSR/RS)。標準装備品はハウジングを再設計することで、小型化が図られている。マグネシウム合金製コンプレッサーホイールについては、標準装備品と同様コンプレッサーホイール入口径が縮小されているが、エボIXと同様の寸法で、コンプレッサホイールの肉厚をIXの対策品より更に増し、マグネシウム合金の材質を変更した。これにより、当初の懸案事項であったコンプレッサーブレード破損のリスクを低減した。

メーカーオプションのマグネシウム合金コンプレッサーは、エボIXの初期型で不良が多発したことで敬遠され、エボIX MRでは予約分の時点で標準のアルミ合金が欠品した。そのため、メーカーオプションのマグネシウム合金コンプレッサー仕様なら即納、標準仕様なら3か月待ちという奇妙な事態となった。前述の通り、エボIX MRのマグネシウム合金はエボIXのそれとは別物である。

[編集] ランサーエボリューションMIEV

ランサーエボリューションMIEV

エボIXをベースに改造が施され、四輪すべてのタイヤ内に独立したモーターを搭載する電気自動車MIEVとは Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicle のこと(詳細はMIEVを参照)。 「ランエボ MIEV」はインホイールモーター("I"n-wheel)式であることに注意。「i MiEV」のようなインホイールモーター式でない種類も含む総称にては「MiEV(Mitsubishi innovative Electric Vehicle)」となる。

四輪全てにモーターを搭載する四輪駆動車で、エンジンやトランスミッションを搭載しないためボンネット中には何も搭載されていない。電池にはジーエス・ユアサコーポレーションリチウムイオン二次電池を使用し、モーターは東洋電機製造と三菱自動車の共同開発したもの。このモーターはアウターローター方式を採用しており、通常のモーターとは違ってドーナツ型をしている。電池の発生する直流インバーター交流にして電源にする。

内装は一般的なオートマチックトランスミッション車とほぼ変わりはない。シフトレバーもエボVII GT-Aと同様のものが採用されている。リアウイングは、ランサーWRC05仕様と同形状のものを採用。

2005年の発表以来、ナンバープレートを取得して公道での走行を含め、実用化に向けて実験中である。しかし、インホイールモーターの軽量化が難しく、開発は難航している。

[編集] 性能
  • モーター - 50kWインホイールモーター×4基
  • 最高出力 - 200kW(50kW×4、270ps
  • 最高トルク - 517N-m(52.8kg-m)
  • 最高速度 - 180km/h(速度リミッターがかかるため)

(参考:東京モーターショー2005 事前情報 三菱 ランサーエボリューション MIEV

[編集] 第4世代(CZ4A)

[編集] ランサーエボリューションX

三菱・ランサーエボリューションX
CBA-CZ4A
EvolutionX GSR
20071001 Lancer Evolution X-front.jpg
EvolutionX GSR(リア)
20071001 Lancer Evolution X-rear.jpg
製造国 日本の旗 日本
販売期間 2007年-
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン 4B11型:2.0L 直4ターボ
最高出力 MC前:280ps/6,500rpm
MC後:300ps/6,500rpm
最大トルク MC前:43.0kg-m/3,500rpm
MC後:43.0kg-m/3,500rpm
変速機 6速TC-SST/5速MT
駆動方式 AWD
サスペンション 前:マクファーソンストラット式
後:マルチリンク式
ホイールベース 2,650mm
車両重量 GSR[TC-SST]:1,540kg
GSR[5MT]:1,520kg
RS:1,420kg
-自動車のスペック表-

2007年4月26日発表、同年10月1日に発売されたモデル。型式名“CBA-CZ4A”、通称“エボX”。キャッチコピーは、"その進化は、一瞬で次代を抜き去る。"。価格は2,997,750円から3,750,600円。2007年度の目標販売台数は4,000台と発表されている。 エボシリーズでは現時点ではこのモデルのみ限定生産ではなくカタログモデルとなっている。

2005年東京モーターショーでこれの原型となるコンセプトカー『Concept-X』を発表。その後2007年デトロイトモーターショーでConcept-Xをより製品版に近くした新型ランサーエボリューションおよび次期ランサーのプロトタイプとなるコンセプトカー『Prototype-X』を展示していた。エボXはそれを市販化したものである。

7代目ランサーの国内向け標準モデルが「ギャランフォルティス」の名称で発売されたため(6代目ランサーは1.5Lモデルのみ併売した後、2010年5月で生産・販売をすべて終了)、国内的に言えばエボXはギャランフォルティスベースということになるが、あくまで国内向け標準モデルが名称を変更しただけであり、日本国外向け標準モデルは「ランサー」、そして、スポーツモデルは「ランサーエボリューション」を名乗る。

ギャランフォルティスとシャーシは共有しているものの、エボXの方が前輪を15mm前に出した分ホイールベースが長くなっているほか、ボディは前後オーバーハングを切り詰めて全長を75mm短くして旋回能力を高めている。また全高も10mm低くし、逆にトレッドと全幅を長くして走行安定性を高めている。ボディフレームには最高で980MPa級の高張力鋼を使用し、ねじり剛性や曲げ剛性を高めても重量増を抑えている。

トランスミッションにはトルクコンバーターを使わない新開発の6速Twin Clutch SSTとオーソドックスな5速MTが搭載されるが、前モデルで採用されていた6速MTは現時点では搭載されていない。またTwin clutch SSTは、法律上はAT車扱いとなる為、SST車はAT限定免許でも運転が可能である。

エンジンはこれまでの4G63型ではなく、新開発のオールアルミブロックエンジンの4B11型を搭載している。そのため、エンジン重量は軽量化されており、トルクはMIVECと組み合わせにより422N-m(43.0kg-m)に増強、レスポンスも強化されている。なお、自動車馬力規制が解除された後もエボXは206kW(280ps)にとどまったが、その理由として「無駄な出力競争を避けるため」と三菱は説明していたが[2]、2008年10月に行われた1回目のマイナーチェンジでエンジン出力は300psに高められた。

AWDシステムは新開発の車両運動統合制御システム「S-AWC」が搭載される。ジェット戦闘機をモチーフにデザインされた大きく開いたフロントグリル「ジェットファイターグリル」が特徴的である。

モデルは街乗りに主眼を置いたGSRと、競技ベース車となるRSの2モデル。GSRはTC-SST 6速ATと5速MT、RSは5速MTのみがラインナップされる。競技ベース車のRSは、GSRには標準装備されている助手席エアバッグやフルオートエアコンと言ったものが搭載されず、ヘッドライトもGSRのディスチャージヘッドランプに対し、安価なハロゲンランプになっているなどして価格と重量を抑えている。また、これまでは装備されていたリアスポイラーでさえオプション化されている。

2008年7月3日、同年10月より韓国・ソウルの総輸入販売代理店であるMMSKコーポレーションを通じて韓国国内で販売すると発表。販売されるのはツインクラッチSST搭載モデルのみ。

2008年10月9日マイナーチェンジ リアコンビランプのエクステンション部をブラック塗装とし、エンジンは280psから300psに出力アップされた。その他、RS以外のインテリアや機能性もいくつか向上された。またBBSのホイールや本革レカロシート、HDDナビゲーションを標準装備し静寂性や運動性能を高めた新グレード「GSR-Premium」を追加した。キャッチコピーは"To The Premium Driving"となり、全体的に高級感を高めた改良となった。

2009年10月8日一部改良(2010年モデル) キャッチコピーは、"唯一無二の才能を、この手に。" 主に、サイドスカートの大型化や、樹脂製のエンジンヘッドカバーの採用で約1.5kgの軽量化などが行われた。グレード体系も見直され、GSR-PremiumからMT仕様が廃止された。機能面では、一定速度で走行するクルーズコントロール機能をGSR-Premiumに標準装備、GSRにはオプション設定とした。静粛性にも改良が加えられており、RS以外のフロントウインドウに遮音ガラスが採用された。インテリアでは、メーター部に車両の情報を表示するマルチインフォメーションディスプレイのカラー化など。他に、RSを除いたエアコンダイヤルのクロームメッキ化や、夜間乗降時の照明やワイパーの機能に手が加えられた。また、リアスポイラーをレスオプションにできるようになった。

2010年10月8日一部改良(10月21日販売開始)。高着火性点火プラグの採用やエンジン制御、触媒仕様を見直したことで、JC08モード対応の「平成17年基準排出ガス50%低減レベル(☆☆☆)」に適合するとともに加速レスポンス、燃費も向上。Twin Clutch-SST車は制御見直しを行い、変速レスポンスの向上や減速時のスキップシフトを可能にしたことで、よりドライバーのフィーリングにあった変速が可能となった。また、「RS」以外のグレードではブレーキアシスト機構をペダル踏力・踏込み速度感応型に変更、ドアの不正開放や車内への不正侵入、車両の不正移動、ジャッキアップなどによるタイヤ盗難、バッテリーケーブルの切断などの異常を感知し、セルフバッテリー内蔵サイレンの吹鳴とハザードランプが点滅して知らせるプレミアムセキュリティアラーム(サッチャム準拠の盗難発生警報装置・国土交通省許可品)、低燃費運転をアシストするECOランプを追加した。さらに、「GSR-Premium」は7インチワイドディスプレイHDDナビゲーション(MMCS)に地上デジタルチューナーを新たに内蔵し、携帯電話や音楽プレーヤー等の外部機器をMMCSのタッチパネル・ステアリングオーディオのリモコンスイッチ・ボイスコマンド機能で操作できるリンクシステムを追加。ロックフォードフォズゲート プレミアムサウンドシステムのトータル出力を向上(650W→710W)し、より迫力のあるサウンドを楽しめるようになった。(MMCS及びロックフォードフォズゲート プレミアムサウンドシステムは「GSR」にもメーカーオプションで装備可能)。合わせて、今回の一部改良モデルより、5年目以降の車検入庫時に保証延長点検(24ヶ月定期点検相当)を受けることを条件に適用される「最長10年10万km特別保証延長」の対象車種となった。


[編集] ラリー活動

三菱はWRC(世界ラリー選手権)にミドルクラスセダンのギャランVR-4で参戦していたが、モデルチェンジを迎えて7代目となったギャランのボディが大型化してしまった。さらに、VR-4に搭載されたV6ツインターボエンジンが、FIAのレギュレーションによるリストリクター径の制限が直4シングルターボに比べて小さい(Ø38に対しØ26.9)こともあり、「より小型軽量なベース車を求め、コンパクトセダンのランサーに6代目ギャランVR-4のコンポーネントを押し込んで作り上げたのがランエボである。」とされてきた。

しかし、事実は「ギャランのリヤサスペンションは構造が複雑なため、整備性の面でラリーに向かなかった」のが最大の理由で、「より小型軽量なベース車を求め」というのは後から付けた理屈であると、三菱のラリーカー開発者の稲垣秋介が語っている[3]

1993年ラリー・モンテカルロからWRCに参戦した「エボI」は、当初苦戦を強いられたものの、毎年のように改良を重ねたエボリューションモデルを投入して進化を重ねた結果、トップレベルの競争力を発揮していく。

そして、1995年のスウェディッシュラリーにてケネス・エリクソンがドライブする「エボII」でランエボシリーズ初のWRC総合優勝を飾る。

1996年、三菱独自の電子制御アクティブディファレンシャルシステムの熟成により、急速に戦闘力が高まりつつあった「エボIII」にてトミ・マキネンが5度の優勝を飾り、年間ドライバーズチャンピオンを獲得し快進撃が始まる。

その後フルモデルチェンジを行い、シーケンシャルシフトなどを導入した「エボIV」、WRカーに対抗すべくトレッド幅を拡大し戦闘力を高めた「エボV」、「エボV」を更に熟成した「エボVI」を駆ったトミ・マキネンにより1996年-1999年にWRCドライバーズタイトルを4連覇、1998年にはトミ・マキネンとリチャード・バーンズのコンビで悲願のWRCマニュファクチャラーズタイトルを獲得した(1998年はグループNもランエボが優勝を納めているのでWRC完全制覇を成し遂げた)。

しかし、WRCは1997年にグループAより改造範囲の広いワールドラリーカー(WRカー)規定が導入され、各社がWRカー規定に移行する中、三菱は「市販車をベースにWRCに参戦する」という当初からの目的もあり、グループA規定にこだわりを見せていたが、改造範囲がより幅広いWRカーが競争力を獲得すると次第にグループAの枠内では対抗しきれなくなっていってしまう。(実際はエボⅤ投入時に、ライバルチームの同意を得た上でグループAでは本来禁止のリアホイールハウスの改造が施されており、純粋なグループAカーとは言い難い状態になっていた。)

そのため、2000年はマニュファクチャラーズ4位、ドライバーズ5位に終わった。

2001年、シーズン途中よりWRカーへ移行するため、FIAの措置により半WRカーとなった「エボVI」(通称エボ6.5)が開幕戦のラリー・モンテカルロで優勝。そして、サンレモラリーから三菱初のWRカー「ランサーエボリューションWRC」へと移行した。トミ・マキネンは以降の4戦中3戦でリタイヤするなど苦戦しながらも最終戦までドライバーズチャンピオンを争うものの、その年のマニュファクチャラーズ、ドライバーズランキングは3位で2001年シーズンを終える。この三菱のWRカー、「ランサーエボリューションWRC」はランサーセディアをベースに改造を施したもので、見た目はエボVIIに似ているが全く関係がない。

ランサーエボリューションWRC2

2002年シーズン、トミ・マキネンがスバルへ移籍し、新しくフランソワ・デルクールアリスター・マクレーを新たなドライバーとして迎え、ラリー・フィンランドからは「ランサーエボリューションWRC2」を投入するが熟成された他メーカーのWRカーに歯が立たず、三菱のWRカーは1度も表彰台に立つことも無く2003年にニューマシン開発のために一旦活動を休止する。2003年はアリスター・マクレーがニュージーランドラリーにスポット参戦し6位入賞した。ちなみに同年、かつて三菱に在籍していたトミ・マキネンがこの年限りで現役引退を表明している。

ランサーWRC'04

そして、2004年に「ランサーWRC04」でWRCへの参戦を再開する。この年から三菱に移籍したジル・パニッツィが初戦で6位入賞し、所々でSSトップタイムを刻むなど速さをみせたが、ラリードイチュランドで2004年度の活動を休止する。

2005年には「ランサーWRC05」にマシンをスイッチし、ジル・パニッツィ、ハリ・ロバンペラジャンルイジ・ガリのドライバーラインナップでシーズンに臨んだ。ジル・パニッツィがラリー・モンテカルロで3位表彰台、ハリ・ロバンペラが最終戦ラリーオーストラリアで2位表彰台に立つなど復活の兆しを見せた。

しかし、2005年12月、三菱は2006年のWRCワークス活動休止を発表。理由は、リコール隠し等により業績が悪化した三菱自動車工業の経営を立て直すべく、自社の再生計画を優先的に行うためとなっている。WRC復帰時期は、再生計画が終了する2008年以降を目処とする予定であった。しかし、08年下半期に起こった世界的経済後退やレギュレーション改定の影響があってか、2011年9月時点でも、WRC復帰の噂は上がっていない。加えてラリーアートが清算されたため今後の見通しはますます不透明なものとなっている。また、一時次期ランサーのボディが大型化されるためコルトベースの車両通称コルトエボリューションが登場するという情報もあったが、実際には登場しなかった。(この件との関連は不明だが、ラリーアートからコルトのスポーツモデルであるコルトRALLIART Version-Rが登場した。)

ただし、ワークス活動を休止した2006年シーズンにもプライベーターが「ランサーWRC05」をレンタルして出場し、ポイントを獲得するなどの活躍を見せている他、グループNマシンで競われるプロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)でもエボIXを駆る奴田原文雄選手がラリー・モンテカルロで日本人初優勝を成し遂げ、同年のラリージャパンではエントリー数の約3割がランエボで占めており、ラリーでの人気が衰えていないことを証明している。

2008年は特にランサーエボリューションIXの年となる。開幕戦のラリー・モンテカルロから第15戦のラリージャパンまで、プロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)を含むグループNクラスにおいて、スバル・インプレッサやプジョー・207S2000を差し置いて優勝している。また、PCWRCが併催されていないモンテカルロやドイツ等でも優勝している。

フォードシトロエン等のAWDターボ車がラインナップに存在しないメーカーが、レッキを行う際は三菱自動車から購入した(もしくは使用料を支払った上で借用した)ランサー・エボリューションを使用することが多い。

[編集] 国内レース活動

スーパー耐久に出場しているエボX

スーパー耐久に参戦していることはよく知られている。このためか、全日本GT選手権(現・SUPER GT)に参戦するという噂もある。

スーパー耐久では、RSをベースにノーマルエンジンかつ純正タービンながら、予選では最大過給圧2.3kg/cm²、決勝では耐久性を考え1.7kg/cm²で走行している(ちなみに180KPa - 1.84kg/cm²までは常用可能というのが大半のチューナーの意見[要出典])。今まで、AYCなどのデバイスは耐久性などがレースでの使用に疑問視されていたが、スーパーAYCになってからはこれはドライバーの負担軽減なども含め雨の日のトラクション性能やアンダーステア対策には非常に有効なことからACD+スーパーAYC+スポーツABSを付け走行している。もちろん、ACDとAYCの油温上昇も避けられないので冷却用のオイルクーラーが必要になる。

なお、2006年スーパー耐久シリーズ(通称:S耐)でも第3戦にあたる十勝24時間レースでは、エボワゴンがスーパー耐久シリーズでは初のステーションワゴンとして参戦し、デビュー戦でクラス5位という実力を見せた。また同レースでは、黒いラリーアート仕様のエボワゴンがペースカー (マーシャルカー)に用いられている。

また、2007年はランサーエボリューションIX MRを駆る木下隆之中谷明彦組が開幕戦から最終戦までの全戦で優勝した。そして、開幕戦の仙台ハイランドでは、雨と霧の影響で日産・フェアレディZBMW・Z4と言ったFRのST1勢よりも速く、全体を通した総合優勝を飾った。

JAF主催の全日本ジムカーナ選手権では4WDターボクラスであるN4・SA3の両クラスでは約8-9割ランサー勢が占め、同じく全日本ダートトライアル選手権においても4WDターボクラスであるN3・SA2両クラスの約8-9割がランサー勢で占めており、競技車両としての人気が高いことを証明している。

また、2007年よりD1GP熊久保信重選手がFR化したエボIXで出場を開始した。

2008年は、前年発売のランサーエボリューションXが初出場し、スーパー耐久、全日本ラリー選手権共に第2戦で初優勝を遂げたものの、ラリーでは先に国際デビューし、トラブル潰しが始まったスバル・インプレッサや、熟成され、しかも車体重量が軽いエボIXに圧倒され、最終戦でライバルがミス(スタートを早発)して逆転優勝したものの、総合チャンピオンにはなれなかった。優勝者は2回とも奴田原文雄選手。

スーパー耐久では第3戦でも優勝したものの、以後エボIXの優勝が続いた。この年はインプレッサはスポット参戦に留まり、ST2の全戦参加は全車がランサーエボリューションというワンメーカー状態となった。

2009年東京オートサロンにおいて、D1GPの熊久保信重選手がランサーエボリューションXの初走行を行い、2010年まで同車で参戦した。

[編集] 日本国外での評価

WRCでの活躍などで、日本国外でも高い人気を得ている。そのため、エボVIII以降は正規に輸出が行われている。 右ハンドルイギリスオーストラリアニュージーランドマレーシアシンガポール香港などには、日本で使用されてきた中古のランエボが並行輸出されることもある。また、WRCでの常連であるシトロエンプジョーも、自社の市販車に四輪駆動車を持たない関係から、ラリーステージの下見(レッキ)に行く際の車としてランエボを使用している。

[編集] チューニングのベースとしてのランエボ

メーカーの手でチューニングされた車であるため、チューニングのベースとしても人気車種の一つに数えられる。

軽量+コンパクト+ハイパワー+4WDという基本コンポーネントの高さが活き、テクニカルコースを中心にスーパーラップで大活躍している。特に筑波サーキットではHKSサイバーエボJUN AutoMechanicの各チューニングマシンが歴代レコード記録を樹立している。

軽量なハイパワーAWDというメリットを生かして、ドラッグレースに使用される事も多い。

チューニングを施した場合に発生する問題として、夏場での走行及び競技等で激しい走行をした場合の油温・水温上昇が挙げられる。対策として、ラジエター・オイルクーラー等を社外品に交換する事が望ましい。

走行性能の欠点として、横置きエンジンのFFベースであるためフロントドライブシャフト長が左右で異なり、スタート直後にトルクステアが発生する。

[編集] 脚注

  1. ^ 吸気側の位相変化のみ。
  2. ^ モーターファン別冊・ランサーエボリューションXのすべて p44 三栄書房 ISBN 978-4-7796-0308-2
  3. ^ WRC PLUS '06 vol.6 ラリージャパン速報号、72ページ参照。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語