フィンガーシフト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
フィンガーシフト式レバーの一例
三菱ふそう・エアロキング

フィンガーシフトとは、自動車の運転席横に設けられているごく短いシフトレバー。電気信号のスイッチで、油圧または圧縮空気で変速機が操作される。

概要[編集]

商用車においては、主にバスに1984年頃から電磁エア式のマニュアルトランスミッションが普及し始めた。リアエンジンバスの場合、床下のシフトリンケージが長くならざるを得ず、変速には大きな操作力とストロークを要し、シフトフィールも良くなかったため、ドライバーの疲労軽減とシフトミス防止のため、電磁エア式の変速機構が開発された。

この方式は、シフトアンドセレクトフォークをエアアクチュエーターで動作させるだけであり、トランスミッション内部は従来のままで、変速とクラッチ断続もドライバーの任意操作(マニュアル)となるため、セミオートマチックの範疇にはなく、ドライブ・バイ・ワイヤマニュアルトランスミッションであり、もちろん自動変速が可能であるいすゞNAVi5などとも異なる。ただし、車速、エンジン回転数、トランスミッション入出力軸の回転数はセンシングされており、無理な変速操作ができない制御となっている。

4メーカー全てが当初はオプション扱いで設定したが、観光バスではスーパーハイデッカーと2階建てバスの多くで標準装備、路線バスでは低床車が普及し始めた1995年頃から標準設定されるようになる。現在では一部車種を除いて標準設定されている。特に床下にシフトリンケージを通すスペースのないノンステップバスや2階建てバス、運転席と客席の間の段差が大きいスーパーハイデッカーでマニュアルトランスミッションが設定されている場合、この電磁エア式トランスミッションは必須の装備となる。

名称[編集]

名称については商品名で呼び習わされており、メーカーごとに呼び方が異なっている。

操作時の注意[編集]

このタイプでは当然ながら作動用のエアがないとギアチェンジができない。したがって、駐車時にギアを入れてエンジンを切ってしまい、その後エアの圧力が下がってしまうとギアをニュートラルにすることができずエンジンを再始動できなくなる可能性があるため、基本的にはエンジンを切る際に必ずニュートラルに戻す必要がある。ただし、数時間程度後に運転再開する場合は、ギアを入れたままでもかまわない(クラッチペダルを完全に踏み込める程度のエア圧低下であれば、クラッチペダルを完全に踏み込んだ状態でエンジンを始動しエアを加圧した後にギアをニュートラルに戻す。また、クラッチペダルを完全に踏み込めない程のエア圧低下であれば、後輪内側ダブルタイヤからエアを補給する[1])。

また、通常のロッドタイプとは違い、レバーとトランスミッションが直接繋がっておらず、そのままではギアが入ったことをレバーの操作感でつかめない。このためシフトレバー内部には反力の発生装置(通常エアシリンダが用いられている)があり、ギアが入るまでレバーを逆方向に押し返すことで通常のマニュアルトランスミッションに近い操作感覚が得られるよう工夫されている。特に日野車といすゞ車は、シフトチェンジ時にシフトレバーおよび後部ミッション付近からエアー音、三菱ふそう車では操作時にシフトノブから「カチッ」という機械音および後部からはエアー音がする。

また、ギアポジションが速度計付近に表示される。

ドライバーの変速操作に対し作動は若干の遅れが発生すること、クラッチを完全に切った状態でないと操作が受け付けられないことなどから、操作には若干の慣れを要する。

路線バス車両に関しては、2012年7月施行の「新ワンマンバス構造要件適合車」は、中扉を開閉する際には必ずギアをニュートラルに入れる必要がある。適合車はニュートラルに入れないと中扉の開閉ができない他、中扉を閉めた後に走行ギアに入れる際は、クラッチの踏み込みが浅いと警告音が鳴るようになっている。

日本の4メーカーとも、基本はボッシュ(旧自動車機器)のシステムを用いており、シフトレバーノブの形状などは若干差はあるものの、故障時に電磁弁をシーケンス制御しシフトを行うスイッチを含め同じような操作システムとなっている。

[編集]

[ヘルプ]

関連項目[編集]