ランフラットタイヤ
ランフラットタイヤ (Run flat tire) とは、パンクして空気が抜けた後でもそのまま100 km程度の距離を走ることができるタイヤのこと。2001年、トヨタ・ソアラにオプションで設定された。その後、BMWの新車、レクサス、日産・GT-Rに装備されるなど少しずつではあるが普及が進められている。 BMWは当初すべての新車にランフラットタイヤをライン装着していたが米国2012年モデルからは通常タイヤとランフラットタイヤの併売に切り替えている。下記に述べる問題点などもあり全車ランフラットタイヤライン装着にはいささか無理があった可能性がある。
また、新交通システムの車両にも装備しているものがある。
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利点[編集]
通常のタイヤではパンク後操縦性能が悪化し、安全な減速・停止すら困難である。仮に停車できたとしても、後続車に追突される可能性もある。ランフラットタイヤでは、安全な場所までの走行が継続できるため、事故に遭遇するリスクを回避できる。特に、交通量の激しい道路や高速道路のほか、諸外国では、治安の悪い地域や戦闘中など、危険な状態や場所で自動車を停止させ、タイヤ交換やパンク修理をすることを回避できる。
また、スペアタイヤの搭載が不要になり、トランクスペースの拡大、デザイン自由度の向上、車両の軽量化(スペアタイヤを積まないことによる軽量化分ーランフラットタイヤ化によるタイヤ質量増加分)による燃費の向上(ランフラットタイヤ自体はノーマルタイヤに比較して重くなり回転慣性マスも増加するため加減速時のタイヤ慣性マス加減速分のエネルギーは多く必要でありその分燃費は悪化する)、それによるCO2削減などといったメリットがある。さらに、自動車が廃車にされると、走行距離が伸びずタイヤローテーションを行わない車両の場合、ほとんどのスペアタイヤは未使用にもかかわらずそのまま廃棄され、大きな環境問題となるため、この問題も解消できる。
欠点[編集]
通常のタイヤと比較して、未だ開発途上の技術のため、乗り心地やグリップなどの基本性能の点で劣る。生産数が少ないため、製品選択の幅が狭く、サイズやタイプによっては納期がかかることもある。さらに価格が高い。また、タイヤ自身が重くなる傾向があり、省燃費走行に向かない。ランフラットタイヤ化による燃費悪化にともなうCO2排出量増加分と、スペアタイアを積まないことによるCO2排出量減少分は、車両の走行距離の多寡により相反関係にある。走行距離の多い車両の場合は、ランフラットタイヤの燃費悪化によるCO2排出量のほうが上回るはずだが、その点についてタイヤメーカーからは何ら説明がなされていない。
またスタッドレスタイヤの設定が限定されている。サイズによっては、国内向け製品の入手が不可能なため、諸外国向けの輸入品となる。
磨耗時など新しいタイヤへ交換(ホイールとの脱着)を行うには、従来の交換設備では対応できないため、交換できるショップが限定される。
原則としてパンク修理ができず、タイプによってはホイールごとの交換が必須とされる。BMWディーラーによると、ガソリンスタンドなどで通常のパンク修理は技術的には可能とされるが、パンクにより荷重を支えていた部分が、どの程度消耗しているのか分からないため、緊急時以外は勧められない。再度パンクした際、最悪の場合はランフラットタイヤとして機能しない可能性がある。
タイヤがバースト(破裂)した場合や、タイヤのショルダー部(サイドウォール)を大きく破損した場合、落下物を踏んだりしてタイヤのみならずリムまで変形した場合など、ランフラットタイヤであれど走行が継続できないケースもある。
なお、一生に一度あるかないかの走行中のパンク対策によって乗り心地を犠牲にしたくないという顧客のために、オプション設定でノーマルタイヤが選べる車種もある。
主な種類[編集]
- サイドウォール強化タイプ
現在のランフラットタイヤはほとんどがこのタイプである。タイヤのショルダー部(サイドウォール)の剛性を強化したタイプで、ショルダー部強化タイヤとも呼ばれる。気体が抜けた後はこの部分でタイヤの形状を維持し支える。弾性不足による乗り心地の低下、重量車の荷重には耐えられないことが難点。ブリヂストンを中心としたメーカーで開発された。
- 中子(なかご)タイプ
タイヤ内部に構造(中子)を持たせたタイプで、気体が抜けた後はこの構造でタイヤの形状を維持し支える。中子のぶん、重量とコストがかさむのが難点。ミシュラン、グッドイヤー、ダンロップ、ピレリなどのメーカーで開発されたが、一部の車種が採用する程度でほとんど普及していない。ランフラットタイヤではないが、NASCARの高速サーキット用に、タイヤの内部にもう一つタイヤが組み込んだタイヤ (Goodyear Lifeguard Inner Liner Safety Spare) が使用されている。
ランフラットタイヤを示す記号[編集]
タイヤメーカーによって、ランフラットタイヤを示す記号が異なっている。ここでは、ランフラットタイヤとして定着しつつある、サイドウォール強化タイプの記号を示しておく。
- ブリヂストン:RFT (RunFlat Tyres)
- ピレリ:r-f (RunFlat)
- コンチネンタル:SSR (Self Supporting Runflat tyres)
- グッドイヤー:EMT (Extended Mobility Technology)
- ダンロップ:DSST (Dunlop Self-Supporting Technology)
- ミシュラン:ZP (Zero Pressure)
- 横浜ゴム:ZPS (Zero Pressure System)
- 東洋ゴム:TRF (Toyo Run Flat)
- クムホ:ERP (Extended Runflat Performance)
システム[編集]
ランフラットタイヤではパンクしても運転者は感知できない。このためタイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム (TPMS) と組み合わせ、パンクして空気圧が低下すると警告灯が点灯するシステムを搭載した自動車で使用することができる。このシステムを搭載していない自動車でもランフラットタイヤは装着できるが、基本的に協定でセット利用が定められている。
他のパンク対策技術[編集]
- セルフシールタイヤ - タイヤ内面に塗布されたシーラント(密封剤)が、小規模なパンクを自動的に塞ぐタイヤ。コンチネンタルが実用化。ブリヂストンも「マクシール」の名で商品展開させていた。
- ムースタイヤ - タイヤの内部にムース(スポンジ状のゴム)を組み込んだタイヤ。パンクしてもムースが支えとなってそのまま走り続けることができる。悪路を走るラリーやオフロードレースで使用されているが、一般走行用としては実用化されていない。工事現場や農作業等で使う手押し車(一輪車・ネコ)では、ノーパンクタイヤと言う名称ではじめから装着されていたり、交換用タイヤとしての販売もされている。