スーパーチャージャー

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スーパーチャージャー: supercharger)は、過給機のことである、大別して2つの方式に区別される。

機械式スーパーチャージャー クランクシャフトからの動力やモーター[1]などによって駆動するエンジンの吸気に対する過給装置を指す。

ターボ式スーパーチャージャー 排気管から廃棄されていた排気ガス内部エネルギーを利用してタービンを高速回転させ、その回転力で遠心式圧縮機を駆動するエンジンの吸気に対する過給装置を指す。

本来単にスーパーチャージャーと記された場合には、機械式・ターボ式などの区別なく過給装置全体を指す言葉であるが、昨今では機械式のものを「スーパーチャージャー」、ターボ式のものを「ターボチャージャー」と表現する事が非常に多く、自動車メーカーのカタログなどでもこの表現が用いられている。

以下このページにおいては、スーパーチャージャー=機械式スーパーチャージャーとして記述されている。

基本的な構成と特徴[編集]

スーパーチャージャーは、エンジンの出力軸(クランクシャフト)からベルトなどを介して取り出した動力によって圧縮機(コンプレッサー)を駆動し、空気を圧縮してエンジンに供給する。エンジンからの排気を利用するターボチャージャーと比較すると、「スロットル(アクセル)開度に対する反応が優れる」、「低回転域の過給効果が高い」などのメリットがある。ターボチャージャーのように高出力維持のために低速ギアでの高回転運転を強いられないので、大排気量エンジンやオートマチックトランスミッション車に好都合な過給システムでもある。ただし、性能曲線上のトルク特性がターボよりも平坦になる(フラットトルク)、クラッチ接続からのいわゆるターボラグがないなど、マニュアルトランスミッションにおいてもメリットは充分にある。

一方、エンジンからの動力で圧縮機を駆動しているため、常にエンジン出力の一部が無駄になっている(動力断続機構を持たないタイプのスーパーチャージャーは、アイドリング状態などの無負荷領域や部分負荷領域においてコンプレッサーのポンピングロスが大きくなり、燃費がかなり悪化する)、高回転域の出力がターボチャージャーに比べ劣る、などのデメリットがある。また、部品点数や機械加工の増加はコスト高につながり、重量と体積の大きさや、架装性の悪さでもターボチャージャーに負ける。

なお「ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比較して、スーパーチャージャーとの相性が悪い」とする文献が一部にあるが、これは間違っている。「スーパーチャージャーとターボチャージャーで、どちらがディーゼルエンジンとの相性が良いか比較すれば、ターボチャージャーのほうが良い」が正解である。「ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの比較で、どちらがスーパーチャージャーとの相性が良いか」については、「過給器化による(ターボ同様に)燃料噴射増量が少なく、レブリミットが低い(回転域が狭い)、ディーゼルエンジンのほうがよい」という回答になる。

方式[編集]

圧縮機の種類により、遠心式ルーツ式リショルム式などがある。

遠心式[編集]

遠心式圧縮機を利用、主に航空機用のレシプロエンジンに使用された方式で、自動車用としても使用されることがある。

航空機は、気圧が低く酸素が少ない高空を飛行するため、過給機を必須としていた。高度によって過給機の回転速度を切り替えることができるものもあり、一段二速と呼ばれる。また、高々度での性能を高めるために複数の過給機を持つものもあり、一段目の過給機で圧縮された空気をさらに二段目で圧縮する方式は二段過給と呼ぶ。一段目と二段目の間で圧縮され、高温高圧になった空気を中間冷却器(インタークーラー)で冷却するエンジン(例・英国ロールス・ロイス マーリン)や、スーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせたエンジンも存在した[2]

長年、自動車用には後述のルーツブロワ式が主流で、遠心式の採用はなかったが、現在はHKSなど複数社からボルトオンスーパーチャージャーとして、ターボ用コンプレッサを用いた自動車用遠心式スーパーチャージャーが登場している。

ルーツ式[編集]

二葉ルーツ式の構造
内部圧縮がないため吸入と移動中の圧力は同等で、吐出時に圧力が高くなる
三葉ルーツ式の吐出部

元々は産業用の送風機として開発された方式で、「ルーツブロア」とも呼ばれる。1860年にルーツ兄弟が溶鉱炉の送風機として特許を取得した。その後、1900年ゴットリープ・ダイムラーが特許を取ったエンジンの過給機として使われた。

ふたつのローターがかみ合い送風する。内部圧縮はなく、高圧過給には向いていない。旧来のものは断面が型の二葉式であり、加工が簡単なためにこれが多用された。現在は主にねじれた三葉式のものが用いられる。二葉式と三葉式では吸気、吐出部位が異なる。イートン・コーポレーションでは四葉のものも開発・製造しており量産車への採用例もある。かつては二段過給式もあり、レース用エンジンに使用された[3]

ルーツ式が機械式スーパーチャージャーによく使われるのは、過給機に取られるコストを少なく抑えやすいためである。ファンを用いた方式とは異なり、空気の吸入側と吐出側が常に完全に仕切られる構造のため、停止状態でも吐出側の高圧空気が吸入側に漏れない[4]。この構造では回転数と吐出容積が全回転域でほぼ比例し、エンジンの必要吸気量に一致させることが容易で、無駄が生じない。ただし、過給圧を高めるほど効率は低くなり[5][6]、過給器駆動に必要なエンジン出力ロス(損失)は大きくなる。 この点、排気流はどのみち捨てるエネルギーであり、無駄に回しても問題にならない、とするターボチャージャーとは発想が異なる。[独自研究?]ターボチャージャーは、運転状態(排気圧力)によっては過給機として十分機能しないが、その状態でもタービンホイールやコンプレッサホイールを空気が通過する。

ツインチャージャー
ルーツ式スーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合せた方式。低回転域ではスーパーチャージャーが、高回転域ではターボチャージャーが過給を担当する。
採用例は少ないが、ランチア・デルタS4日産・マーチRでは、ラリーでのレスポンスを重視して開発され、フォルクスワーゲン・ゴルフGT TSIおよびフォルクスワーゲン・ジェッタTSIコンフォートラインでは、ダウンサイジングコンセプトによる燃費性能とハイパフォーマンスの両立を目指して採用された。


リショルム式[編集]

リショルムスクリューローター

ルーツ式と同じ様にふたつのローターを持つが、ルーツ式とは異なり内部圧縮があり、高圧過給でも効率が落ちない[5]。産業用にも広く用いられる方式。鉄道車両の空気圧縮機や冷凍機でも冷媒を圧縮するために使用される。レシプロ式と比較して振動が少なく、効率が高い。潜水艦など、一部の静粛性を求められる艦船でも使用される。

スクロール式[編集]

スクロール式
周辺から中心に圧縮

メカニズム的には家庭用エアコン室外機に使用されているものとほぼ同等である。ドイツの自動車メーカー・フォルクスワーゲンが「Gラーダ」の商標で、ポロ G40、コラード G60、パサート G60に装備していた。

ベーン式[編集]

ベーン式

液体のポンプとして利用されるスライディングベーンポンプとほぼ同等のもので、1930年代MGカーズにて、パワープラス・スーパーチャージャーの名称で広く使用された。また、航空機でもユンカース ユモ 205エンジンに代表される対向ピストン式(en)2ストロークディーゼルエンジンで掃気デバイスとしてこの形式が使用された。オートバイでは1930年代末にDKWロードレース世界選手権参戦用のスプリット・シングル2ストロークエンジン搭載のロードレーサーにおいて、後述のレシプロ式と平行してベーン式を掃気デバイスとして使用したものが存在した[7]

レシプロ式[編集]

1910年代に考案された送気専用シリンダーを有するユニフロー2ストローク単気筒ガソリンエンジン。DKWのスプリット・シングルもこれと類似した構造で過給を実現した。

内燃機関のピストン・コンロッドと同様の構造で送風・圧縮を行うもので、ユニフロー掃気式の2ストロークガソリンエンジンの掃気用として、内燃機としてのシリンダーとは別に送風用のシリンダーを装備したものが使用された事がある。国外では1930年代末のDKW・SS350をはじめとするDKW製ロードレーサーにて使用され[7]、国内ではホープ自動車製オート三輪のスプリット・シングル2ストロークエンジンにてほぼ同様の構造が採用されていた。

航空機での使用[編集]

大気の密度は高度が高くなると低下する。大気の密度が低下するとレシプロエンジンの出力は低下する。大気密度の低下によるエンジン出力の低下を補うためにスーパーチャージャーが用いられる。低高度では高空用のスーパーチャージャーの過給圧は高くなりすぎ、低高度ではエンジンのスロットルを絞っている。上昇するとともに、パイロットはスロットルを開いていく。スロットルを全開にすることができる高度のことを「全開高度」という。全開高度以上では上昇するとともにエンジンの出力は低下する。

一方で空気抵抗は大気の密度が低い高高度ほど小さくなり、同じエンジン出力ならばより高速で飛行することが可能になる。したがって、高速性能を求められる航空機にとっては、より高い高度を飛行することは、より高速を発揮するため重要である。また、軍用機において敵地に侵攻する際は、対空砲火や敵航空機による迎撃をかわすために、より高空を飛ぶことが重要視された。そのため、第二次世界大戦に入る頃には、ほとんどの爆撃機戦闘機において、エンジンへのスーパーチャージャー装着は必須となった。

第二次世界大戦中よりターボチャージャーの実用化により、徐々にスーパーチャージャーを置き換えていった。

しかしながら、ターボチャージャーの実用化とさほど間を置かず、ジェットエンジンの実用化がなされた。ジェットエンジンの高空性能は、レシプロエンジンをさらに上回るものであった。現在では高空を飛行する航空機のエンジンは、ほぼターボファンエンジンターボプロップエンジンなど、ジェットエンジンになっている。レシプロエンジンの使用例は自家用機などの小型機に限られており、高空を飛行することはない。よって現在では航空機用エンジンでスーパーチャージャーが用いられる例はまずない。

動向[編集]

上述の通り、スーパーチャージャーはまず航空機用エンジンに採用されたものの、現在ではほぼ廃れている。

また、多くの産業用のレシプロエンジンにおいても、ターボチャージャーのほうが主流となっている。産業用エンジンは常時使用する回転域が非常に狭いため、ターボチャージャーとの適合性が高い。またディーゼルエンジンについても、上述の通りターボチャージャーとの相性がよい。

よって、現在のスーパーチャージャーは、ほとんどが自動車用エンジン、特にガソリンエンジンに採用されている。

日本車のスーパーチャージャー[編集]

過去において日本の自動車税の税額は車体寸法とエンジンの排気量により決定され、ターボチャージャー・スーパーチャージャーなどの過給機は課税に影響しなかったことから、いわゆる5ナンバーボディに2,000ccエンジン+過給機という、小型車枠内での最高を狙ったスペック競争で、各メーカーの販売戦略上の「節税ツール」として利用されることが多かった。

日本においては、自動車用エンジンの過給機としては、ターボチャージャーと比較すると採用例が少ない。その要因は、性能や特性云々の前に、コストパフォーマンスが悪い(比較的安価なルーツ式ですら、最大出力がほぼ同じターボチャージャーに対して原価も製造費も高い)ことや、多くの日本車のエンジンは小排気量、小トルクのものが多いため、特に高回転域で出力に対するメカニカルロスの割合が大きく、最高出力のスペック値に直結する高回転域で効率的に不利だったこと、大きめの重量と架装性の悪さなどがあげられる。スーパーチャージャーが優れている低域トルクの大きさや、ターボチャージャーの弱点であるターボラグなどをスペック値として数字で示すことが困難だったため、カタログ上でもスーパーチャージャーは不利であった。

ただし日本のスーパーチャージャーの製造技術が劣っているわけでは決してなく、日本国外のハイパフォーマンスカーや、プレジャーボート用エンジンにはIHI小倉クラッチ製のスーパーチャージャーは、数多くの採用例がある。

しかし日本の内燃機関技術、ターボチャージャー技術が進歩することにより、以下に記載のデメリットがある程度解消されていることもスーパーチャージャーの採用実績を増加させない一因となっている。

現在市販されている日本メーカーの乗用車(限定車を除く)でスーパーチャージャーを搭載しているのは、日産ノートのみとなっている。

ターボの問題点 解決策
排気によってタービンが回りコンプレッサーが有効圧力を獲得するまでの、いわゆる「ターボ・ラグ」の存在と、デトネーション(異常燃焼)防止のための圧縮比引き下げによって生じる低回転域でのトルク不足。 ターボラグ、低回転域でのトルク不足の両方について、シーケンシャル・ツインターボ方式のように、小形タービンの複数装備によって大きく改善され、エンジン低回転域からの過給が可能となった。しかし軽自動車などシングルタービンのターボでは、タービン小形化によりターボラグ削減と引き替えに実最高出力が大幅に下がってしまっている。そのため、あえてターボラグに目をつぶっている車種もある。小形タービンを使ってなおターボラグがゼロにはほど遠いため、ターボ技術単体での改良をあきらめ、ツインチャージャー(低回転域をスーパーチャージャーを追加して補う方式)、低回転域を電動モーターで補う方式なども考案され実用化されている。
補機類の搭載による重量の増加。 小型のターボチャージャーにおいては「ウェイスト・ゲートを用いない」など、補機類を簡略・軽量化されている。
高熱に長時間さらされる可動部品に対する信頼性・耐久性への懸念、および潤滑油管理の厳密化。 タービン軸受を水冷とすることにより、エンジンオイルへの熱的負担は非常に低下している。
また、市販される自動車用エンジンオイルも品質が向上し、長期間にわたって高い能力を維持することが可能になっている。

以下に日本の各自動車メーカーの取り組みを紹介する。

民生デイゼル工業[編集]

米国ゼネラルモーターズ (GM) が1938年に実用化に成功した、ユニフロー スカベンジング ディーゼルエンジンライセンスを、戦後民生デイゼル工業(現:UDトラックス)が取得、1955年から「UDエンジン」の名前で生産をはじめた。2ストローク機関特有の「掃気行程」のため、二葉式ルーツブロアーを利用しており、その「音」は同社製品の特徴でもあった。

UDエンジンは同社が戦前から得意とする直噴式であり、かつ日本初の量産スーパーチャージドエンジンであった。エンジンはモジュラー設計で、直列3、4、5気筒とV型8、12気筒をラインナップしていた。その後、2サイクルエンジンの廃止に伴い、スーパーチャージャーの採用はなくなり、一般的なターボチャージャーへと移行している。

トヨタ自動車[編集]

かつてトヨタはルーツ式スーパーチャージャーに執心した時期があり、AW11型後期のMR2、AE92と101型のMT車のみカローラレビンスプリンタートレノ4A-GE型、GS121と131型クラウン、GX81型前期のみマークIIチェイサークレスタ1G-GE型、TCR20型エスティマ2TZ型の各エンジンに設定があった。

自然吸気エンジンの圧縮比を下げ、補機類のマウント位置、エンジンルーム内の部品配置を変更し、ルーツブロアー式スーパーチャージャーを組み付けたものである。エンジン型式には、4A-GZE、1G-GZE、2TZ-FZのように「Z」が付加される(電子式燃料噴射が前提であるが、2TZ型エンジンのみ「E」は省かれている)。

これらは、4A-GEと1G-GEはトルク不足が、エスティマは6気筒エンジンが搭載できないことが指摘されていたが、4A-Gは過給時の熱と爆発圧力への耐性、2TZは床下配置によるインテークパイプの取り回しの難やタービン本体による熱害と、それぞれターボ化には踏み切れない理由があった。また、1G-Gのツインターボ版・1G-GTEは、小径のツインターボとしたものの、ドライバビリティーには難が見られたことから、低回転域のトルクが要求される車種についてはスーパーチャージャーが選択されることになった。

スーパーチャージャーへの動力伝達は電磁クラッチを介して行われ、車速やスロットル開度、エンジン回転数を検知して、スーパーチャージャーが抵抗になるような条件下では、電磁クラッチを切り、出力損失を抑える制御とされていた。

アイドリング状態では電磁クラッチによりスーパーチャージャー本体への駆動力は伝達されていない。トヨタのスーパーチャージャー車は、スピードセンサーが走行状態を検知してはじめて過給を開始するようになっている。アクセルペダルを踏み込むと、スロットルバタフライに取り付けられたセンサーがスロットル開度を読み込み、電磁クラッチのリレーをオンにする。クランク軸から動力を得るという構造上、プーリー・ベルトを含む駆動系が抵抗となり、レブリミット寸前で十数馬力のロスといわれ、高回転を多用するにはあまり向かない。

スーパーチャージャーにも回転限界があり、一般的なルーツブロアーでの最大許容回転数は、約9,000rpmである。高回転化改造をされたスーパーチャージャーエンジン搭載車は、ある程度以上の回転数になった場合に電磁クラッチによって動力を切断する。

日産自動車[編集]

日産では、スーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせた、ツインチャージャーエンジンのMA09ERT型マーチRマーチスーパーターボに搭載された。これはラリーでの競争力の向上のために採られた策で、低回転域をスーパーチャージャー、高回転域をターボチャージャーに受け持たせ、それぞれの欠点を補うことで全回転域で高出力を得られる構成とした。

2012年9月、ダウンサイジングコンセプトによる小型車向けの燃費向上策として、3気筒の1.2リットルHR12DDR型では直噴ミラーサイクル化とスーパーチャージャーとを組み合わせ、同社のE12型ノートに搭載された。ミラーサイクルにより高効率化を図るとともに、その欠点であるトルクの低下に対して1.5リットル相当の動力性能も得るために、必要により機械式スーパーチャージャーを作動させて過給している[8]

乗用車以外では、北米生産のピックアップトラックであるフロンティアと、それをベースとした廉価SUVである、エクステラのハイパフォーマンスバージョンとして、V6、3.3Lガソリンエンジンにスーパーチャージャーを追加した、VG33ER型がある。

富士重工業スバル[編集]

軽自動車用のエンジンは普通車用のエンジンに対し、常用回転域が高めとなるためスーパーチャージャーとの相性がよい。1986年レックスのフルモデルチェンジ(ただし、そのスーパーチャージャー仕様は1988年の登場を待つ)で、それまでのターボに代わって採用された。「吸気管内圧力を利用して開閉する」点や、「過給気バイパスバルブにより走行負荷状態に応じて過給をオン・オフする」点などがトヨタの方式と異なる。電磁クラッチ制御方式よりもアクセル開閉に対するレスポンスがよく、クラッチの騒音も発生しないことなどが特長。1990年の軽自動車規格拡大(660cc旧)の際、SOHCでありながら「高回転域でも他社のターボに劣らなくなった」と評価されている。

その後、ヴィヴィオプレオへと受け継がれた。プレオでは低回転域でトルクを補うための低圧過給(マイルドチャージ)を、日本車として初めて本格的に採用した。これと概念を同じくする技術は他社でも開発されたが、いずれもターボチャージャーを用いる方式であった。トヨタのスポーツカーでの採用がなくなったため、日本車でスーパーチャージャー車というとスバルの軽自動車が代名詞的な存在となっていた。エンジンの変遷はEK23(2気筒)→EN05(550cc4気筒)→EN07(660cc4気筒)。

なお、2006年11月以前では軽自動車の出力上限である64馬力を有するスーパーチャージャー搭載車がハイオク仕様となるケースが多かった。しかし、2006年6月に発売開始したステラのスーパーチャージャー搭載グレードはレギュラー仕様でありながら64馬力の出力を有する仕様であるほか、R1S、R2 Type Sがマイナーチェンジでレギュラー仕様に変更された。

また、サンバーのスーパーチャージャー搭載グレードは、リアエンジンという構造上、インタークーラーの装着が難しいことから、58PSに設定されている。5ナンバー軽1BOXの「ディアスワゴン スーパー チャージャー」は、他社のインタークーラー付ターボチャージャーを採用する軽ワンボックス自動車の出力がおおむね64馬力であることから、カタログスペック面で水をあけられている状態となっている。一方、軽トラックの「TC スーパーチャージャー」および「TC ハイルーフ・スーパーチャージャー」は、モデル後期には軽トラックとして、唯一過給器を搭載している車種となっていた。

ダイハツ工業[編集]

ハイゼットトラックで採用。1987年に追加グレードとして登場した。660cc化された際に排気量アップと同時に廃止されている。通常エンジンのエアコンコンプレッサーの位置にスーパーチャージャーを搭載したため、エアコンとの両立が出来なかったことも廃止の一因となった。

スズキ[編集]

上記のダイハツ・ハイゼットトラック同様、軽トラックのキャリイで採用。1987年に追加グレードとして登場した。1989年に実施した大規模なマイナーチェンジの際に廃止されている。ハイゼットトラック同様、通常エンジンのエアコンコンプレッサーの位置にスーパーチャージャーを搭載したため、エアコンとの両立ができなかったことも廃止の一因となった。ちなみにキャリイのスーパーチャージャー仕様のエンジンに限り、1気筒あたり3バルブ方式のSOHCヘッドが採用されていた。その後、キャリイは1995年以降よりごく一部のグレードに限りインタークーラーレスのターボチャージャー搭載(KUターボ)に宗旨替えしたものの、新規格対応のモデルチェンジを経たのち、ターボチャージャー搭載モデルも2001年に実施したマイナーチェンジの際に廃止された。

三菱自動車工業[編集]

1986年発売のS10系2代目デボネアVの2,000cc V6(6G71型エンジン)モデルにて初採用。続いて軽トラックおよび軽ワンボックス自動車のミニキャブで採用。1987年に登場したU14/U15T(548cc、3気筒3G81型)に搭載された。なお、1990年に追加された660ccモデル(U18/U19T、3気筒、3G83型)にはスーパーチャージャー仕様は設定されなかったが、スーパーチャージャー搭載車は548ccのままで併売された(ただし、軽自動車の規格改正に伴い全長が若干延長されている)。しかし、富士重工車ほど一般に認識されることもなく、ミニカとの部品共通化によりターボへと変更され、スーパーチャージャー搭載車は消滅している。

マツダ[編集]

1987年5月に誕生した5代目カペラ、および2代目フォード・テルスターに搭載されたディーゼルエンジンプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーが採用された。この方式は排気の圧力波(プレッシャーウェーブ)を利用するもので、機械的に吸気の圧縮を行うスーパーチャージャーとはまったく原理が異なる。

その後、1991年11月にカペラの後継車クロノス1992年4月に3代目フォード・テルスター、1993年11月にアンフィニMS-61994年8月にカペラワゴンと順次展開された。この過給機が装着されたRF型 直4 SOHC 2,000cc エンジンは、60kW/4,000rpm 181Nm/2,000rpmの性能を発揮し、ガソリンエンジン並みのレスポンスを得た。1997年11月のマイナーチェンジで販売終了となった。

1993年10月に誕生したユーノス・800に搭載された、量産車初のミラーサイクルエンジンに、IHI製リショルム・コンプレッサーが採用された。この過給機が装着されたKJ-ZEM型 V6 DOHC 2,300cc エンジンは、162kW/5,500rpm 294Nm/3,500rpmの性能を発揮し、1,490kgの車重でありながら10-15モード燃費は10.6km/Lを達成した。しかし、当時マツダはディーラー5チャンネル化の失敗による不振の時期であったこともあり、営業的には成功せず、2000年7月のマイナーチェンジで販売終了となった。その後、この系列のコンプレッサーはAMGを含むメルセデス・ベンツエンジンに採用されている。

日本国外での動向[編集]

アフターマーケットの例
イートン製スーパーチャージャーを組み込んだ、スティレンのキット

北米でのスーパーチャージャーの人気は根強く、ジャガーランドローバーメルセデス・ベンツなどの欧州各メーカーが、主に北米向けとしてスーパーチャージャー装備車をラインナップしている。また、アフターマーケット用にルーツブロアーやリショルムコンプレッサーが市販されており、ライトトラックの動力性能向上のためにも利用されている。 ヨーロッパではメルセデスベンツがルーツブロアーおよびリショルムコンプレッサーを使用している。直列4気筒にはルーツブロアーが組み合わされ、AMGモデルのV6、V8にはリショルムコンプレッサーが使用される。リショルムコンプレッサーについては大排気量のV8エンジン63エンジンに置き換えられつつある。 オートバイ用エンジンでもプジョー・モトシクルから、スーパーチャージャー搭載のスクーターであるプジョー・ジェットフォース・コンプレッサーが、2005年から数年間販売されていた。

今後の動向[編集]

自動車の環境対応が迫られる中、過給器付きエンジン搭載の乗用車はメーカーのラインナップから一時的に減っていたが、2012年現在ではダウンサイジングコンセプトにより、排気量・気筒数を減らしたうえで過給する車種が徐々に増加している。代表例としてフォルクスワーゲンのTSIがある。ただしターボチャージャーによる過給が主流であり、機械式スーパーチャージャーの採用は一部[9]に留まっている。

アフターマーケットでは、パフォーマンスアップに加え、音やエンジンルームの見栄えなど、感覚に訴える効果が大きいことも含めて、スーパーチャージャー、ターボチャージャーともに、関心は依然として高い。 近年では国内のアフターマーケットでは一般的であったルーツ式に加え、増速にギアではなくトラクションオイルを用いた遊星式トラクションドライブで駆動する遠心式スーパーチャージャーもアフターマーケットで出てきている。ギア駆動に比べ騒音や機械損失が少なくルーツ式に比べ低回転域では劣るものの高回転までのフラットな出力特性を持ちコンパクトな構造のためアフターマーケット向けスーパーチャージャーとしてシェアを伸ばしている。

注釈・出典[編集]

  1. ^ 軽自動車用電動スーパーチャージャー。 Valeo社、小排気量・低回転域の過給用に電動スーパーチャージャ。
  2. ^ 第二次大戦中の軍用機用レシプロエンジンは基本的に遠心式過給機が組み込まれており、それにターボチャージャーが加えられたかたちである。
  3. ^ カール・ルドヴィクセン著、田口英治、檜垣和夫訳『勝利のエンジン50選』より。
  4. ^ ローターのシール隙間からはわずかに漏れる。
  5. ^ a b 兼坂弘著『究極のエンジンを求めて』より。
  6. ^ 内部圧縮がないので、吐出時に吐出側の高圧となっている空気が逆流してくるため、効率が下がる。またこの逆流により騒音を生じやすい。「MotorFan illustrated」Vol.64 p.075
  7. ^ a b [1]
  8. ^ 「モーターファン別冊ニューモデル速報No.471 新型ノートのすべて」P.14-17による。
  9. ^ TSIの一部(ツインチャージャーのみ)、日産・ノートなど

関連項目[編集]