発炎筒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
軍用の水中発炎筒

発炎筒(はつえんとう)は、おもに自動車等に装備され、鮮やかな赤い炎を上げる筒状の道具である。主に緊急時等に本線車道や路肩に停車した場合において、後続車に対し前方に危険・障害物があることを知らせるために用いられる。使用すると鮮やかな光を放つ炎があがり、後続車からの被視認性を高める。火薬にはストロンチウムが混合されている。自動車用緊急保安炎筒、道路作業用発炎筒、信号紅炎(船舶用)などがある。

しばしば「発煙筒」と誤解されるが、発炎筒が生ずる煙はわずかであり、そもそも煙によって遠方からの視認性を高める発煙筒とは使用目的が異なる。

発炎筒の用途[編集]

自動車用発炎筒[編集]

路上で燃焼中の発炎筒
マッチのように付属の側薬で頭薬を摩擦すると着火する

正式名称は自動車用緊急保安炎筒である[1]日本工業規格 (JIS) D5711によって規格化されている[2]

日本において、自動車の保安基準である道路運送車両の保安基準道路運送車両法に基づく国土交通省令)によって、自動車(二輪自動車を除く)には非常信号用具の装備が義務化されている旨、第43条の2に明記されている。確実な性能を維持するため、JIS D5711によって有効期限4年と定められている[3]

また自動車用発炎筒は火薬類取締法上の「がん具煙火」に分類されるため、同法施行規則第1条の5第6号の規定に基づく緊急保安炎筒の内容(平成9年通商産業省告示第237号)の適合を受けた製品でなければならない[3][4]

車検時の検査実施要領では「自動車用緊急保安炎筒はJIS規格品乃至(ないし)はそれと同程度以上の性能を有する事」と定められており、一般的な性能としては、

のものが国内で販売されている標準的な発炎筒の性能である[3]。この「160カンデラ以上の(回転する)赤色光」を発する発光ダイオードを用いた非常用信号灯も非常信号用具として使用できる。使用は1回限りで有効期限の存在する発炎筒と違い、非常用信号灯は電池が持つ限り長時間、また何度でも使用可能である。ただし、乾電池には使用推奨期限があり、また古くなった乾電池の液漏れなどにより気付かないうちに故障してしまうことがあり、定期的な点検が必要である。

船舶用発炎筒[編集]

信号紅炎と呼ばれるもので、小型船舶安全規則第57条の2によれば

  1. 光度400カンデラ以上。
  2. 燃焼時間が1分以上。
  3. 使用の際危険を生じないものであること。

と規定されている[5]

また、船舶救命設備規則第14条では救命艇には第35条に適合する信号紅炎6個を装備しなければならない、と明記されており[6]、第35条内での制定内容は

  1. 1万5,000カンデラ以上の紅色の炎を1分以上連続して発することができること。
  2. 水中に10秒間全没した後も燃焼を続けるものであること。

となっている。その他、条文内に第33条第3号、第4号及び第6号から第8号に掲げる案件および第8条第1号に掲げる要件などが必須とされている[6]

水中での利用[編集]

各国の海軍では水中でも使用可能な発炎筒を使用することがある。リン化カルシウムが使われることが多く、水に触れると自然発火して照明となる。水に触れるとアセチレンに分解する性質を持つ炭化カルシウムを添加してあることも多い。

危険物試験用[編集]

平成元年2月17日自治省令第1号にて定められた「危険物の試験及び性状に関する省令」で、「過塩素酸カリウムを標準物質とする燃焼試験」において試験用試薬の燃焼加熱用に使用される旨制定されている[7]

空中での利用[編集]

ハイドラ70ロケット弾の弾種のひとつであるM257 Illumination Flareの場合、

の性能を持つ。

その他[編集]

  • ヨーロッパや南米のサッカーの試合で応援団がそれを炊いて応援することがあり、一部では熱狂の余り、あるいはホームチームのふがいない試合への抗議のためにグラウンドに投げつけるサポーターもいる。
  • 日本ではJリーグの試合規定「花火、爆竹、発煙筒、ガスホーンなどは持ち込めません。」により、発炎(煙)筒はもとより、ドライアイスバルサンなど、煙を発生させ試合運営に支障をきたす恐れがあるものは原則として持ち込み禁止となっている。

脚注[編集]

関連項目[編集]

  • 信号炎管 - 発筒の一種。鉄道車両用の保安部品。
  • 照明弾 - 発筒の一種。空中に発射後発火し周囲を照らす。
  • 保安部品