ダイハツ・ブーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
2006ラリージャパン N1クラスに出走したブーン Gr.N

ブーン (BOON) は、ダイハツ工業が日本国内向けに製造・販売するハッチバック型の小型車である。

概要[編集]

既存のミラ系、並びにムーヴ系などの軽自動車プラットフォームをベースにトヨタ自動車と共同開発された車種で、企画およびマーケティングはトヨタ主導、設計および開発・生産はダイハツ主導で行われている。初代はストーリアの後継車である。トヨタからはパッソとして発売される(同じく、初代はダイハツがOEM供給していたデュエット後継)。ストーリア/デュエットと異なり、両社の共同開発のためバッジエンジニアリングによる姉妹車ではあるがOEM関係にはない[1]。従って車両形式に共通性がなく、製造事業者がブーンがダイハツで、パッソがトヨタとなる。

初代 M300S/M310S/M301S/M312S型(2004年 - 2010年)[編集]

ダイハツ・ブーン(初代)
M300S/M310S/M301S/M312S型
欧州仕様 2代目シリオン
Daihatsu Sirion 2005 fr red.jpg
X4
Daihatsu Boon X4.jpg
X4 リア
Daihatsu Boon X4 rear.jpg
販売期間 2004年6月-2010年2月
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアハッチバック
エンジン
変速機 4速AT
5速MT(X4及び日本国外仕様のみ)
駆動方式 FF/4WD
サスペンション
全長 3,600-3,630mm
全幅 1,665mm
全高 1,535-1,550mm
ホイールベース 2,440mm
車両重量 900-980kg
姉妹車 トヨタ・パッソ
別名 2代目ダイハツ・シリオン(欧州)
先代 ダイハツ・ストーリア
-自動車のスペック表-

エンジンは新開発のダイハツ製1KR-FE型3気筒DOHC12バルブ1.0L・71仏馬力自然吸気エンジンまたはダイハツ製K3-VE型4気筒DOHC16バルブ1.3L・90仏馬力自然吸気エンジンになる。

日本国外向けには主にダイハツブランドで供給され、「ダイハツ・シリオン」(Daihatsu Sirion)(2代目、初代はストーリア)として販売されている。また、マレーシアではプロドゥアが外観などを変えたモデルをプロドゥア・マイヴィ (Perodua Myvi) として生産・販売している。マイヴィはインドネシアにも輸出され、ダイハツ・シリオンとして販売されている。2007年秋から富士重工業へOEM供給され、スバル・ジャスティとしてヨーロッパでも発売されている。

なお、香港では日本国外名シリオンで「カスタム」(パッソにおける「レーシー」に相当)を3SZ-VE型4気筒DOHC16バルブ1,500cc自然吸気エンジンで販売している。

特殊なモータースポーツベースグレード、「X4」(クロス・フォー)はK3-VET型4気筒DOHC16バルブ1.3L・140仏馬力ターボエンジンをベースとした、KJ-VET型4気筒DOHC16バルブ1.0L (936cc)・133仏馬力ターボエンジンを搭載。この中途半端ともいえる排気量はモータースポーツ参戦を見越し、JAF公認競技の1.6L未満のクラスに収まるように調整されたものである。レギュレーション上、過給器付きエンジンは排気量を1.7倍に換算するため、このKJ-VETは1,591ccに相当する。

トランスミッションはX4が5速MTのみで、それ以外は全て4速ATのみである(日本国外向けのシリオンには5MTの設定あり)。

なお、パッソにはX4に相当するモータースポーツベースのグレードは設定されないが、グレード「レーシー」をカスタマイズしたTRD Sports Mがある。

初代モデルは1,300ccモデルのみFIA公認車両となっている。ちなみに「X4」は日本国内競技でのみ有効なJAF登録車両なのでFIA主催の国際イベント(WRC)には参戦不可。また、車両型式M301Sで取得しているためパッソでの参戦も不可となっている(パッソは型式が#C10型であるため、JAF登録車両でもない)。

年表[編集]

  • 2004年6月7日 - 販売開始。
    当初はグレード名称の違い以外はパッソと基本的に全く同一の仕様であった(ビジネス向けグレードの「ビジネスセレクト」(後に「Vパッケージ」に名称変更)に1300CCが設定され、かつ持ち込み登録扱いとなることが唯一の相違点)。
  • 2004年12月13日 - 外付けタコメーターを標準装備したスポーティグレード「カスタム」を追加。
    パッソ「Racy」と異なるのはMOMO革巻ステアリングホイールを採用している点である。
  • 2005年5月6日 - 特別仕様車「1.0CLセレクション」・「1.3CXセレクション」を発売。
    「1.0CL」・「1.3CX」をベースに、ダークグレーのフルファブリックシート表皮・プラズマクラスター・14インチアルミホイールなどを装備した。
  • 2005年12月 - 一部改良。
    ブラックマイカメタリックの設定グレード拡大やキーフリーシステム電子カードの防水化、フロントシートのヘッドレストデザインの変更やヘッドランプにレベリング機能(ディスチャージヘッドランプはオート、ハロゲンヘッドランプはマニュアル)が追加された。
  • 2006年3月10日 - モータースポーツ参加用ベース車両「X4(クロス・フォー)」を追加。より上質な内外装とキーレスエントリーや電動格納式カラードドアミラーなどの快適装備をプラスした「ハイグレードパック」も設定。
  • 2006年6月5日 - 特別仕様車「1.0CLリミテッド」・「1.3CXリミテッド」を発売。
    「1.0CL」・「1.3CX」をベースに、ディスチャージヘッドランプ(ロービーム・オートレベリング機能付)、可倒式ルーフアンテナ、14インチアルミホイール、電動格納式カラードドアミラー(1.0CLのみ、1.3CXは標準装備)、プラズマクラスター、ダークグレーのフルファブリックシート表皮を採用した。
  • 2006年12月25日 - マイナーチェンジ。
    「CL Limited」・「CX」にフロントベンチシートを、「カスタム」・「X4」に大型スポーティーシートを採用。また、「CL Limited」と「CX」にはCDから約11時間の録音ができるミュージックサーバー(CD・AM/FMステレオ+メモリー機能付)を採用。メーカーオプションのHDDナビはパッソと異なり、「1.0CL Vパッケージ」を除く全グレードで設定できる(パッソは1.3L車のみ)。1.0L車は「平成22年度燃費基準+20%」を達成。グレード体系が6グレード(X4、X4ハイグレードパックを含む)に整理され、パッソと差別化された。
  • 2008年11月 - 仕様変更。「1.0CL」・「1.0CL Limited」・「1.3CX」のボディカラーにシャンパンゴールドメタリックを追加。
  • 2008年12月25日 - 7人乗り仕様の派生車「ブーンルミナス」を発売。
  • 2009年12月 - 「X4」・「X4ハイグレードパック」の販売を終了。


2代目 M600S/M610S/M601S型(2010年 - )[編集]

ダイハツ・ブーン(2代目)
M600S/M610S/M601S型
前期型
2nd Daihatsu Boon.jpg
2nd Daihatsu Boon Rear.jpg
販売期間 2010年2月 -
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアハッチバック
エンジン
  • 1KR-FE型 1.0L 直3 DOHC DVVT
  • 1NR-FE型 1.3L 直4 DOHC Dual DVVT(FF・初期型のみ)
変速機 CVT
駆動方式 FF
4WD(1.0Lのみ)
サスペンション
    • ストラット
    • トーションビーム (FF)
    • トレーリングリンク (4WD)
全長 3,640-3,650mm
全幅 1,665mm
全高 1,535mm
ホイールベース 2,440mm
車両重量 910-970kg
姉妹車 トヨタ・パッソ
-自動車のスペック表-

初のフルモデルチェンジ。今回もトヨタ自動車と共同で開発し、「素」の美しさを極めたシンプルなデザインと使い勝手を追求しつつ、価格を抑えたクルマに仕上がった。月間販売目標は800台と発表されている。

安定感のあるアンダーボディとタマゴをイメージしたアッパーボディを傾斜して載せた独創的なスタイリングとし、豊かな曲線と張りのある面構成により立体感・躍動感を演出。また、基本造形の美しさを追求したことで、シンプルで上質感のある飽きの来ないデザインとなった。サイズは全長が僅かに拡大されたが、狭い道路のすれ違いを気にするユーザーに考慮し全幅は先代と同じ寸法に据え置き、ボディカラーには新たに3色を追加した。内装も水平基調ですっきりとしたインパネと丸や四角をモチーフとした操作部品を採用。また、「CL Limited」と「CX」にはフロントベンチシートを採用。直線基調に丸みを持たせた端部を組み合わせたことで、リビングソファのような座り心地を実現した。

なお、2代目ブーンでは、初代ブーンで設定された「カスタム」系(初代パッソは「Racy」系および「TRD Sports M」)および「X4」系や2代目パッソで新たに追加された「+Hana(プラス ハナ)」に相当するグレードは設定されていないため、内装はベージュ系(パッソで言う「キナリ」)のみとなる。また、ボディカラーもパッソのような「アカリマイカ」や「キナコメタリック」・「ユキ」などといった遊び心ある名称から初代を踏襲した表現に変更されている(カラーナンバー自体は同じ。パッソ標準仕様と同一ラインナップとなる)。

メカニズム[編集]

エンジンは1.0Lは従来どおり1KR-FE型を搭載するが、1.3LはDual DVVTや外部EGRを搭載し、軽快な動力性能と優れた燃費性能を両立した1NR-FE型に置換された。

また、トランスミッションが全グレードCVTに変更。1.0L車はダイハツ軽自動車用を改良した、独自のインプットリダクション式3軸ギアトレーン構造を採用した新開発のCVTを、1.3L車はパワーロスが少ない1.3L用のCVTがそれぞれ搭載され、燃費を向上。特に1.0L・2WD車は「平成22年度燃費基準+25%」と「平成27年度燃費基準」を同時に達成。1.3L車も「平成22年度燃費基準+15%」を達成。

年表[編集]

2010年2月15日
フルモデルチェンジ。グレード体系は初代末期のグレード体系からX4系と「カスタム」・「1.0CL Vパッケージ」を廃止した3グレード(「1.0CL」・「1.0CL Limited」・「1.3CX」)。
2010年5月13日
1.0L 1KR-FE車が、エンジンおよび無段変速機(CVT)制御用コンピュータのプログラムが不適切なため、低速加速時やバック時などにエンジンストップするおそれがあるとして、サービスキャンペーンを実施すると発表。
2012年6月27日
一部改良。1.0L・2WD車は新たにアイドリングストップ機構「eco IDLE(エコアイドル)」[2]を搭載[3]し、燃費を大幅に向上。これにより、「平成27年度燃費基準+10%」を達成。さらに、VSC&TRCを標準装備化[4]し、安全性能も高めた。全車においてはリア中央席にヘッドレストを追加し、シートベルトを3点ELR式に変更した。なお、今回の一部改良により「1.3CX」を廃止し、1.0L車のみのラインナップとした[5]
2014年4月14日
マイナーチェンジ[6]
軽自動車ミライースで採用している「e:Sテクノロジー」のうち、クールドEGRとCVTサーモコントローラーの採用によるパワートレインの改良、フロントバンパーの形状変更やリアエアロスパッツの採用による走行抵抗の低減、2WD車に搭載されている「eco IDLE」を停車前(車速約9km/h以下)から作動するように改良し、発電効率の高い高性能オルタネーターを採用したことで減速時の発電量を高め、加速・走行時の発電を抑えることでエンジン負荷を軽減し、低燃費に貢献するエコ発電制御の採用により燃費を向上し、2WD車は軽自動車を除く既存のガソリンエンジン車としてはトップクラスのJC08モード燃費27.6km/Lを実現し、同時に「平成27年度燃費基準+20%」を達成。4WD車も「平成27年度燃費基準」を達成した。
このほか、ヘッドランプ・リアコンビネーションランプ・シート表皮・メーターなどのデザインを変更し、内装色をモカに変更。ボディカラーは「ミントブルーメタリックオパール」・「トワイライトオレンジマイカメタリック」と入れ替えで「ダークレッドマイカ」・「ファインブルーマイカメタリック」を設定[7]。また、エマージェンシーストップシグナルを新たに標準装備し、排気音源の低減や遮音材の性能向上などで静粛性を向上した。


車名の由来[編集]

ブーンは英語で愉快の意味。またエンジン音を示す擬声語「ブーン」の意味も込められている。

派生車種[編集]

初代[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ただしスマートエントリーの名称はブーン・パッソ共にダイハツ名の「キーフリーシステム」である。
  2. ^ パッソでは「Toyota Stop & Start System」(SMART STOP) という名称になる。
  3. ^ パッソではオプション設定となっていたが、2014年4月のマイナーチェンジで一部グレードを除いて標準装備化。
  4. ^ パッソではオプション設定となっていたが、2014年4月のマイナーチェンジで全車標準装備化。
  5. ^ パッソでは引き続き1.3L車が継続設定されている。
  6. ^ ダイハツ小型乗用車「ブーン」マイナーチェン 小型ガソリンエンジン車で最高燃費27.6Km/Lを達成 ~2WD全車がエコカー減税免税、4WD車は減税対象に~ (PDF) - ダイハツ工業株式会社 ニュースリリース 2014年4月14日
  7. ^ ただし、ブーンでは「ヒスイパールメタリック(ビーゴに設定されている「ブロンズオリーブパールメタリック」に相当)」の設定がないため、パッソより1色少ない9色展開となる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]