サイレン

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民間防衛用の非常警報サイレン。(米国ミネソタ州
空気圧を用いたサイレンの一例

サイレン (siren) は大きい音を発する装置の名称である。警笛号笛警報等と訳される。名称はギリシャ神話に登場する、航行中の船の乗組員を美声で誘惑、難破させる半人半鳥の精、セイレーンが語源であるとされる。

概要[編集]

最初サイレンは、装置としてスコットランド自然哲学者ジョン・ロビンソンによって発明され、その後1819年フランス物理学者であった、カニャール・ド・ラ・トゥールによって改良された。

サイレンは、空襲警報や救急車パトカー消防車など警察・消防の諸機関が、人々に注意を促すために大きな音響を発する装置だが、同時に対象以外の人々にも聞こえてしまうリスクを伴う(もっともこれにより、近隣で異変が起きた事を知るのに有効)。サイレンは一般的に2種類あり、空気力学電気工学を使用したものが存在する。

空気圧を利用して作られた前者は、形式にはあまりとらわれないが楽器分類学にも属するものであり、空気の流れを代わる代わる塞ぐようにして均等に穴をあけた2枚の円板で構成されている。片方の円板を回転させて空気を送り、両方の円板の穴が合った時に空気が通る際に、噴出した空気圧で空気が振動して音が鳴る仕組みである。音の振動数は穴の数に円板が回転した回数をかけた数と等しくなるため、大きな音を出すために穴の数や回転数に工夫が施される。このタイプのサイレンは、音を鳴らすために多くのエネルギーを消費する。

電子を用いて作られた後者は、サイレンの音を特定の音に統合するために、音の振動変調方式アンプを回線で合併させたものである。ハウリング音、のこぎり・鐘状の波形の音、蜂の飛ぶような音(アメリカのサイレンアンプではhi-lo、weil、yelp、yeow、piacingと表示されている)などがサイレンの音として選ばれる場合がある。主にこうしたタイプのサイレンには、トランペットスピーカーが使用される。

用途[編集]

以前は音の振動数を測定する機械として利用されていたが、今日においては警報、警笛、信号音の一つの形態として、または音波集塵機械としても利用されている。

交通においてはパトロールカー消防車など緊急自動車の緊急走行の装備として、視認による事故回避としての赤色灯を点滅させるとともに音響による事故回避の「ウー」という音のサイレンを鳴らしながら通行走行する規定になっている。例外は救急車のピーポーサイレンで、「ウー」音サイレン(モーターサイレン)は赤信号の通過時に鳴らすことがある程度。「ピーポー」音は傷病者保護のために特別に認められたもので、サイレンではないと定義されている。

電子的なサイレンは、前方車両に道を空けて自由に通れるよう促す車のクラクションに適しており、空気圧を利用したものは、交差点を通過したり迂回してくる車両から保護するといった点で有利である。消防車は、電子サイレンアンプの故障に備えて、直流モーターで鳴らすモーターサイレンも必ず搭載している。

日本の緊急自動車において、警察(交通・地域・刑事、部門)・消防・救急共に当初はモーターサイレンを採用していた。消防と救急はゆっくり目でサイレン吹鳴し空襲警報に近かった。1960年代前半に緊急自動車が普及したと共に電子式サイレンの開発により、消防車ではモーターサイレンと交通量の中での緊急走行に合った電子サイレンの各サイレンモードを取り入れ、救急は「ピーポーサイレン」に変わった。警察も警視庁で1970年代に電子式サイレンに「ド・ラ サイレン」というドップラー式の電子サイレンと、消防車のモーターサイレンの回転数で共に吹鳴し緊急走行をしていた。その後パナソニックがモーターサイレンでいう吹き出しを速くし中高音を意識した電子式サイレンを開発した。その後、パトライト社がモーターサイレンでいう吹き出しと最大回転数時を増幅器により大音量で吹鳴する電子式サイレンを開発した。

現在(新規更新していないパトカーはパナソニック電子式サイレン)交通・地域・刑事、部門が採用している警察用電子式サイレンは、パトライト社である。このサイレンはモーターサイレン通りのサイレン音で、モーターサイレンでいう吹き出しから最大回転数まで以外が低く大きく吹鳴し、最大回転数時で高く吹鳴になるところから増幅器で大音量にしている。またサイレン停止スイッチを押すまで、最大回転数で速く高く遠くまで吹鳴していたのが逆に遅く低く大きく近く吹鳴するようになっている。これにより手動で軽く吹鳴した場合。たまたま居合わせた突発的な事件事故現場や急行時の交差点やUターンや自車・他車の車両停止停車時などの人や車両の多い場などで、低く大きく近く(耳元)で吹鳴するサイレン音で周囲の人などに威圧感を与えられ、道路上などで通常とは違う危険な状況であることを認識させやすくなった。また最大回転数時も高く大きく吹鳴するため、遠くまでサイレン音が聞こえる。他にサイレン停止スイッチを押すまで低く大きく近くで吹鳴しづける為、パトカーから降りた場合や後から別に来る車両などに注意喚起でき安全性が高まった。

日本警察における緊急自動車のパトカーサイレンは、大正七年にヨーロッパから譲り受けたヨーロッパの白バイ用モーターサイレン(羽根車式。車の輻部分を回転させ空気を取り込み、輻の側面部に覆いと覆い無しとで吹き出し部を作り取り込んだ空気を輻側面から吹き出す。また輻の側面の外周を円筒で覆い、その覆ってる円筒に吹き出し口を輻側面の覆いと同じ決まった個数で開ける。それにより2枚の円盤に開けた吹き出し口から吹鳴するサイレンと同様に吹鳴できる構造。)である。この大正七年のモーターサイレンからサイレン音は変わっていない。元が白バイ用であるため、加速のある白バイ自体がサイレン音を追い抜かないようにサイレン吹き出しを速く立ち上げ吹鳴している。速く吹き出すことにより、すぐさまサイレンが最大回転しサイレン音が高音とサイレン本来の音量になり遠くまで速く吹鳴できる(高い音は遠くまで聞こえやすくなるため加速・高速する車両サイレンには重要である)。また消防車や空襲サイレンと違い中高音である。ただ電子式サイレンにより、この白バイ用モーターサイレンの立ち上がり・吹き出し・吹鳴時・最大回転数吹鳴時・音停止までのサイレン音・増幅などの一連の各サイレン音を強調し出したサイレン音を先述の各会社製でしている。

また特殊に聞こえるアメリカ警察パトカーを含む緊急自動車全般や日本の白バイ用サイレンは、日本より交通量が多く法定速度も速いアメリカと車両を高速でぬって行く白バイ用などに必要な遠く広くまで大きく聞こえるように、先述のモーターサイレンの立ち上がりを最大回転数時音から吹鳴するよう作製したサイレン音である。また音量は大音量である。特殊に聞こえても元はモーターサイレン音で、吹鳴出力を上げている。電子式サイレンによって(消費電力が低く)モーターサイレンの最大回転数時音から吹鳴し始めることができ、そのモーターサイレン音を超える吹鳴音を出している。消費電力と共にサイレン音が遠くまで聞こえるだけでなく、高速道路・広い車道・大きい交差点・渋滞・他車両が大多数いるといった交通の中で対応できるサイレン音として「改善されたサイレン音」である。このモーターサイレン音から交通対応したアメリカパトカー電子サイレンをウェルサイレンという。またサイレン音は先述の通り吹鳴時より吹き出しの瞬間のほうが周囲に威圧感と認識しやすい音のため、改良されたウェルサイレンの吹き出しサイレン音だけを繰り返し吹鳴するバージョンにウエルプサイレンがある。またウエルプサイレンの意味のように特徴音として別に、ハウリング音・擬音のノコギリ音・エアホーンなども電子式サイレンとして作製し使用している。これらの改良電子式サイレンは交通対応に合わせ作製した通り、アメリカ緊急自動車の全部(警察・消防・救急・軍など)に使用されている。また消防車はモーターサイレン共に同時吹鳴などしている。このウェル・ウエルプサイレンは、アメリカだけでなく海外の緊急自動車も使用している。

音は高いと遠くまで聞こえやすく、低いと耳元で聞こえるような大音量になる。それにより日本警察パトカーは中間の高低合わさった中高音、アメリカなどの緊急自動車は改良電子サイレンによる高音と大音量で太い音とのなか、それぞれ増幅器で高音時の音量を補っている。また消防車が共に吹鳴するモーターサイレン音は回転数を弱くし低音を強調吹鳴し、火災という危険現場へ向かう消防車周辺以上に近寄せない大音量と威圧感の吹鳴の仕方である。日本の消防車においてはモーターサイレンと擬音の警鐘(火災用の鐘の音のカァンカァン)だけ、また救急車はピーポーサイレンだけでの吹鳴である為それぞれの任務サイレン音は出している。が、先述の交通面においては日本でも不備な箇所がある。それにより、それぞれ任務のサイレン音の中、交通状況(緊急車が通行道可能の渋滞・交差点・広い歩車道)に合わし、先述のアメリカ緊急自動車使用の電子式サイレン音をモードとして取り入れている。それを、救急車ではハウリング音・ウェルサイレン・ノコギリ音で、消防車ではハウリング音・モーターサイレン音の音のまま、最大回転数時までを速く吹鳴するのと増幅器で大音量で吹鳴し、高音部を長めに強調する独自の電子サイレン音を活用している。これらで分かるように低電力の為にモーターサイレン音をそのまま電子式のモーターサイレン音にするのと、モーターサイレンの最大回転数時以上以下を基準に、交通場面に合うサイレン音の出力・強調・音色・擬音モードを作製している。電子式サイレンは、多種聞こえ(音色)の「サイレン音」式という形になった。

また楽器として曲中にも使用されることがある。フランスの作曲家、エドガー・ヴァレーズが作曲した「ハイパープズム(1924年)」、「イオニザシオン(1931年)」、「ポエム・エレクトロニク(1958年)」が有名。また、ショスタコーヴィチ交響曲第2番ヒンデミットの室内音楽第1番にも使用されている。また、12台の音程の異なる空気圧式サイレンをMIDIをトリガとしてH8プロセッサとDACで円盤の回転数(周波数)と送風量に変換して制御し、音楽を奏でるという試みが個人によって行われ、現在ニコニコ動画に動画が数本アップロードされている。

日本では、報時業務に用いられた都市が多い。東京では、1929年から午砲に代えて、市内各所に設置した号笛所からサイレンによる報時を行っていた。似た用途として、工場などでの始業時間や正午、終業時間が到来すると、「ウー」とサイレンを鳴らすところが多い。

阪神甲子園球場での高校野球大会(春・夏とも)では、プレイボールゲームセットに長吹鳴の、また試合直前のシートノック(守備練習)許可・終了命令に短吹鳴の「ウー」音(「アー」だという異説あり)が鳴らされる。

その他、終戦記念・大災害発生日などの黙祷時や、ダム放流のお知らせ、津波警報などでよく鳴らされる。

現在では、防犯用に小さな電子サイレンが使用される傾向がある。また防災用やサイレンのついたメガホンなど、多目的で使用される。

誤用[編集]

日本に於いては、緊急自動車が緊急走行を行なう際に鳴らすサイレン音を耳にする機会が圧倒的に多いため、緊急走行時同時に点灯する赤色回転灯と混同されて回転灯を「サイレン灯」「サイレンを点灯させて……」などと誤記するケースや、サイレン音が回転灯の反射鏡の回転によって発せられる音であると誤解されるケースがしばしば見られる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]