音響学

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音響学(おんきょうがく、英語:acoustics)は、振動音波を扱う物理学の一分野である。しかし、単に物理的な現象だけではなく、音や振動に関して一般的な事柄を広く扱う。

分野[編集]

音響学は扱う範囲が広いため、分野により以下のような分類をする。

音響生理[編集]

人間の生理的感覚(聴覚)に直結した物理現象であるため、医学的、人体構造学的に研究が行われた。その範囲を音響生理という。この分野は音に関して、医学的、生理学的分野が含まれる。詳細については聴覚を参照。

音響心理[編集]

は人間の心理的感覚に直結した物理現象であるため、心理学的、統計学的に研究が行われた。その範囲を音響心理学という。この分野は音に関して、心理学的分野が含まれる。

音響工学[編集]

音を研究する際、測定基準や測定環境などの標準化を目的として研究された分野で、音響学との大きな相違はないが音響生理はこの分野に含まれず。音響心理についても、測定に主観的、心理的要素が含まれないよう研究された。そういった意味では音響学と違う意味合いをもっている。建築音響工学もこれに含まれる。また、初期の機械的な録音再生技術(蓄音機)もこの分野の一端である。

電気音響工学[編集]

音響工学の中でも特に、電気に関連した分野を扱い、研究された分野を電気音響工学という。変換理論、録音再生機器などはこの分野に含まれる。

歴史[編集]

古代[編集]

ピタゴラスは、振動する弦の長さと音の関係を調べ、音が協和するときには、弦の長さが整数倍になることを発見した。これをピタゴラス音階という。

ルネサンス以降[編集]

  • ガリレオは、物理学の研究の一環として、音の高さや弦の振動周波数などについて定量的な研究を行なった。
  • ボイルは、音を伝わらせる媒体としての空気の存在を実証した。
  • メルセンヌは、音のスピードが強弱に依存しないこと、エコーを使って音のスピードの測定を行なった。

近代[編集]

  • ニュートンは、プリンキピアの中で、音のスピードを、空気の等温変化から求めている。
  • ラプラスは、断熱変化として音のスピードを理論計算している。また、水中の音速の理論計算を行なっている。その値

は(8℃で)1525m/sであり、実測値(1438.8m/s)と極めて近い数値である。

  • ドップラーは、音源が移動しているときに周波数が変わる、いわゆるドップラー効果を発見した(1842年)。
  • オームは、耳が音を周波数毎に分解して聞く機能を持つという法則を1843年に提唱した。周波数毎に分解すると言うことは、フーリエ解析をしているということである。
  • ヘルムホルツは、耳の中の基底膜が、周波数によって異なるところで共鳴するという説を唱えた。これは、ベケシーの研究によって確かめられた(なお、ベケシーは、この研究によって1961年にノーベル医学・生理学賞を受賞している。
  • セイビンは、残響時間、吸音率、室内における音の多重反射などを研究し、音響建築学を確立した。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 二村忠元/他著『現代電気工学講座 電気音響工学Ⅰ』オーム社、1963年10月25日