ホンダ・NC

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NC700S(左)
NC700X(中)
インテグラ(右)

NC(エヌシー)は本田技研工業が製造販売しているオートバイである。

概要[編集]

Paris - Salon de la moto 2011 - Honda - NC 700 X - 003.jpg
Salon de la moto 2011参考出品車NC700X(上) NC700S(下)
Salon de la moto 2011参考出品車
NC700X(上) NC700S(下)

同社が大型自動二輪車について世界的規模で市場調査を行ったところ多くは140km/h以下で走行し、エンジン回転は6,000rpm以下を常用するという結果を見た。そこで「市街地走行やツーリングなどの常用域で扱いやすい」・「快適で味わい深く燃費性能に優れたミドルクラス」・「求めやすい価格で提供」といった思想に重点をおいた『New Mid Concept』(ニューミッドコンセプト)を打ちたて開発された。

2011年10月に欧州でNC700S・NC700X・インテグラの姉妹車として発表。同年12月の第42回東京モーターショーに市販予定車として日本国内で発表。さらには北米でも発売される世界戦略車である。

車両解説[編集]

エンジンや車体構造はほぼ同一とし大幅なコストダウンを実現させながら、外装・ブレーキ・トランスミッション・サスペンションの組合せで多彩なバリエーションの設定を可能としたオートバイである。この結果ネイキッドS 、クロスオーバーの XX TypeLD教習車仕様の Lスクータールックのインテグラがラインナップされた。

エンジン[編集]

当初開発されたRC61E型水冷4バルブSOHC4ストロークパラレルツインエンジンは、電子制御式燃料噴射装置(PGM-FI)による燃料供給を行いボア73mm x ストローク80mmから排気量669ccとされ、以下の特徴を持つ。

  • 最大出力およびトルクの発生回転域は自動車用エンジンとほぼ同じでオートバイエンジンの中では低中回転型である。
  • クランクの気筒間位相は270°とし1軸1次バランスシャフトを搭載することで振動を低減させながら心地よい鼓動感を与えるセッティングを行った。
  • ピストンやロッカーアームなどの構造も自動車用エンジンの低フリクション技術が多岐にわたって流用されており、ピストンに樹脂コーティングをするとともに摩擦低減目的からローラー式ロッカーアームには二輪車初となるアルミニウム素材が採用された。
  • 吸気は2気筒を同一経路としてあえて吸入行程を干渉させ緻密に計算された燃焼タイミングの変化を実現するヘッド内分岐吸気ポートレイアウトを採用したほか、カムシャフトは1本であるものの2気筒間相互の吸入バルブタイミングを変えるために2種類のカムプロフィールを刻んだ。
  • 排出ガス浄化効率を最大化させるため三元触媒をエキゾーストポートの直下に配置し、燃焼ガスを高温のまま触媒に通すことでエンジン始動後のキャタライザー早期活性化を実現した。

これらの結果として燃費は大型自動二輪車としては異例の60km/h定地走行テスト値で41.5km/L(NC700S)を達成する。

元々試作段階ではホンダ・フィット用のL13型エンジン(1.3L 直列4気筒)を半分に切ったエンジンを使っていたことから、RC61E型のボア×ストロークはL13型と同じになっているほか、エンジン特性も自動車用エンジン寄りとしており、最高回転数も6,400rpmと高回転エンジンを得意とするホンダとしては異例の低さである[1]。ただし最終的には「全部二輪用に造り直している」という[2]

車体[編集]

フレームはダイヤモンド型を採用するが、シリーズ全体の重要なテーマである車体レイアウトの自由度と利便性の高いスペースを生み出すためにエンジンの搭載角を前傾62°とし、容量14Lの燃料タンクをシート下に配置した。このためS・Xでは従来の燃料タンク位置はフルフェイスヘルメットも収納できるラゲッジスペースとすることが可能になった[注釈 1]

サスペンションは前輪にテレスコピック式、後輪にスイングアーム式を採用するが、バリエーションでストローク量を変化させることでそれぞれの車種に対応させている。

X・Sに設定される6速マニュアルトランスミッション搭載車は前後連動ブレーキにABSを組み合わせたコンバインドABSもオプションで選択できるが、セミオートマチックトランスミッション[注釈 2]Dual Clutch TransmissionDCT[注釈 3]を搭載する仕様車はコンバインドABSを標準装備する。

2012年モデル[編集]

車種 マニュアルトランスミッション マニュアルトランスミッション+ABS DCT+ABS
S
X
X TypeLD
インテグラ  

NC700X[編集]

NC700X
(ABS・DCT・TypeLD)
Paris - Salon de la moto 2011 - Honda - NC 700 X - 002.jpg
NC700X 2012年モデル
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体形式 EBL-RC63
エンジン RC61E型 669cc 4ストローク
水冷SOHC 4バルブ 直列2気筒
内径x行程 / 圧縮比 73.0mm x 80.0mm / 10.7:1
最高出力 37kW 50PS/6,250rpm[注釈 4]
最大トルク 61Nm 6.2kgf・m/4,750rpm[注釈 4]
車両重量 214(ABSは+4 DCTは+14)kg
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2012年2月17日発表、同月24日発売。車両型式EBL-RC63のクロスオーバータイプ[3]

同年6月7日発表、同月14日発売でDCT搭載モデルが追加された[4]

NC700X TypeLD[編集]

2012年6月7日発表、14日発売。

NC700X発表後に足付性改善の声が多く届いたことから追加された日本限定の派生モデル[4]。サスペンションストローク短縮・最低地上高を165mm→140mmに低下・ホイールベースを1,540mm→1,525mmに短縮[注釈 5]・シート高を830mm→800mmへ低下が変更点である。

2013年07月19日には、同年8月23日にDCTモデル150台限定でカムフラージュグリーン特別塗装車を発売することが発表された[5]

NC700S[編集]

NC700S
(ABS・DCT)
2012 Honda NC700SA.jpg
NC700S 2012年モデル
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体形式 EBL-RC61
エンジン RC61E型 669cc 4ストローク
水冷SOHC 4バルブ 直列2気筒
内径x行程 / 圧縮比 73.0mm x 80.0mm / 10.7:1
最高出力 37kW 50PS/6,250rpm[注釈 4]
最大トルク 61Nm 6.2kgf・m/4,750rpm[注釈 4]
車両重量 211(ABSは+4 DCTは+14)kg
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2012年4月17日発表、24日発売。車両型式EBL-RC61のネイキッドタイプ[6]

Xからは前後サスペンションストローク量の短縮・シート高を830mm→790mmへ低下させ足付性を改善・フロントカウルの非採用・点火時期変更などが行われた。

同年6月7日発表、14日発売でDCT搭載モデルが追加された[7]

インテグラ[編集]

2012年4月17日発表、同月24日発売。NC700Dのコードネームを持つ車両型式EBL-RC62。スクータールックで同社ではスクーティングモーターサイクルと呼称する[8]

NC750L[編集]

NC750L
Honda nc750l.jpg
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体形式 EBL-RC67
エンジン RC67E型 745cc 4ストローク
水冷SOHC 4バルブ 直列2気筒
内径x行程 / 圧縮比 77.0mm x 80.0mm / 10.7:1
最高出力 27kW 37PS/5,250rpm
最大トルク 54Nm 5.5kgf・m/4,750rpm
車両重量 215(教習装備で+12)kg
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2013年3月発表。車両型式EBL-RC67。ホンダとしてはCB750の生産終了より5年ぶりの大型自動二輪教習仕様車となる。NC700S通常仕様をベースに以下の設計変更がされた。

  • エンジンは道路交通法施行規則第24条6により大型自動二輪の教習車は排気量が0.7リットル以上と規定されることから[9]、RC61E型エンジンの内径を73.0mm→77.0mmとして排気量を745ccに拡大したRC67E型を搭載する。同エンジンは内部パーツの変更や出力特性を教習所内の走行に合わせ低回転域中心のセッティングを実施。
  • マニュアルトランスミッションのみの設定とし教習状況に合わせ6速→5速に変更。
  • ABSは未装備。
  • フレームは黒の艶消し塗装とし、剛性バランスを見直した専用品に変更。
  • 車体サイズは幅を除き小型化され、車高もサスペンションをさらにローダウン化。
  • 教習装備として大型エンジンガード・マフラーガード・専用センタースタンド[注釈 6]・ラゲッジスペース横側のパッドなどを追加。
  • 走行状況表示ランプを装着するため電気系統にはACGフライホイールを搭載。
  • 車両重量は215kgであるが、教習専用装備を追加した状態で227kg[注釈 7]
  • 車体色はパールサンビームホワイト1色のみとし、エンブレム類はラゲッジスペース部分に貼り付けられるウイングマーク入りHONDAデカールのみ。

なお一般公道での走行は、灯火類などで保安基準に適合しない部品があるため当該部品の撤去など改造を施工した上での登録が必要になる。

2014年モデル[編集]

主として搭載エンジンを上述のNC750L同様の排気量745ccへ拡大したRC70E型に変更したモデルチェンジである。

2013年11月4日のミラノショー(EICMA2013)で発表され、同月22日から開催された第43回東京モーターショーでは市販予定車として一般公開。日本国内では2014年1月14日に正式発表され、S・Xが同月24日に、インテグラが同年2月7日に発売された[10]

RC70E型エンジンはRC61E型エンジンに比較すると以下の相違点がある。

  • 最高出力が37kW 50PS/6,250rpm→40kW 54PS/6,250rpm、最大トルクが61Nm 6.2kgf・m/4,750rpm→68Nm 6.9kgf・m/4,750rpmに拡大。
  • バランサーを1軸から2軸に変更し、振動を低減。
  • 60㎞/h定地走行燃費で各車とも1㎞/L向上。
  • 変速比をハイギアード化。

シリーズラインアップは従来からのS・X・X TypeLD・インテグラをそのまま継承するが型式名を以下に変更。

  • S:EBL-RC70
  • X・X TypeLD:EBL-RC72
  • インテグラ:EBL-RC71

また以下の仕様変更が実施された。

  • マフラーの構造変更。
  • カラーリングバリエーションの変更。
  • マニュアルトランスミッション搭載車にギアポジションインジゲータを搭載。
  • 全車瞬間ならびに平均値を表示する燃費計を搭載。
  • ブレーキレバーをアジャストタイプに変更。
  • シート表皮を変更。
  • 標準装着タイヤを変更(X・X TypeLD)。
  • スイングアームをアルミ製に変更(インテグラ)。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 同社の燃料タンク型メットインとしてはNS-1以来となった。
  2. ^ 日本国内での大型二輪AT限定免許では排気量650cc以下の制限があるために同免許での運転は不可である。
  3. ^ VFR1200Fに搭載された物から進化・改良させた第2世代となるものである。
  4. ^ a b c d 欧州仕様の通常MT車はA2クラス免許適合のためエンジン出力が35kW/6,250rpm・60Nm/4,750rpmの車両も存在する。
  5. ^ NC700S・インテグラと共通。
  6. ^ ローダウン化されたためNC700S用オプションとは異なる専用品である。
  7. ^ 従来まで教習車仕様が設定されていたCB750(RC42)と比較すると25kgの軽量化が達成された。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • Honda RUN&FUN COLLECTION 2012
  • 『モーターサイクリスト』八重洲出版 2013年6月号(NC750Lスペック)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]