郵便局

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郵便局の例
(呉両谷郵便局)
郵便車(日本)(車種:ハイゼット)。画像は日本郵便の車両ではなく、委託先の東京米油会社の車両。
郵便車(日本)(車種:ハイラックス)。画像は日本郵便の車両ではなく、委託先の日本郵便輸送会社の車両。

郵便局(ゆうびんきょく)とは、郵便物の集配・受領・配送等の郵政事業、荷物等の受領・配送等の運送事業を主に行う機関である。その他の事業は各国によって扱いは異なるものの、アメリカのように旅券発券を委託されている例や、日本や台湾のように銀行窓口機能や保険会社窓口機能を併せ持った特殊な例もある(ゆうちょ銀行かんぽ生命保険)。

  • 日本における現在の郵政についての詳細は、日本郵政グループを参照のこと。
  • 国営時代、公社時代の日本における郵政事業は以下の項目を参照のこと。
  • 日本の郵便記号、郵便マークについては「郵便記号」を参照。
  • また、郵便局に関する文化的側面については郵便趣味を参照されたい。

ほとんどの国と地域において郵政を展開する事業者は、万国郵便連合に加盟している。

日本[編集]

日本の郵便局の定義[編集]

日本において「郵便局」と称するものは、歴史的には、逓信省郵政省総務省郵政事業庁日本郵政公社と続いた国の機関であり、2007年10月1日郵政民営化から2012年9月30日までは郵便局株式会社の事業所、2012年10月1日以降は日本郵便株式会社の事業所である。

郵政民営化以前[編集]

郵政民営化以前の郵便局は、以下のように区別された。

また集配業務の有無により、普通郵便局と特定郵便局は次のように分けられた。簡易郵便局は窓口業務のみを扱う。

  • 集配郵便局…基本的に窓口業務と集配業務を行う。郵政公社末期には、更に以下のように分類される。
    • 統括センター…郵便物の区分を行い、時間外窓口(ゆうゆう窓口)がある。→郵便事業の支店に移行。
    • 配達センター…郵便物の区分を行わず、時間外窓口がない。→郵便事業支店配下の集配センターに移行。
  • 無集配郵便局…窓口業務のみを行う。

郵政民営化以降[編集]

郵政民営化後は、集配業務および時間外窓口についてはすべて郵便事業株式会社の事業となり、郵便局を運営する郵便局株式会社からは切り離された。また郵便局内にあるATMについてもゆうちょ銀行の管理となった。したがって郵便局の規模の大小に関係なく郵便局は主として窓口業務のみとなり、郵便局の区別は現在では「直営郵便局」「簡易郵便局」の2種類に区別される。郵便局の業務の約9割が委託(郵便・貯金・保険)である。2012年10月1日付で郵便局株式会社が郵便事業株式会社を吸収合併し、日本郵便株式会社が発足したため、郵便業務が自前業務となり、貯金・保険が受託業務の中心となった。

日本の郵政事業は時代とともにその事業主体がさまざまに移り変わり、その変遷とともにそれらの根拠法が示す郵便局なるものの定義や設置趣旨なども多少異なっている。

郵政省[編集]

郵政省設置法では国家行政組織法にもとづき、いわゆる郵政事業を一体的に遂行する責任を負う唯一の政府機関として郵政省が設置された。郵政省設置法に基づき、郵便局は郵政省の事務の一部を分掌する地方支分部局の一つとされ、その名称、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、郵政大臣が定めることとされた(廃止前の郵政省設置法第6条)。

郵政事業庁[編集]

郵政省が廃止され、同時に総務省が置かれると、あらたに郵政事業をおこなう総務省の外局として郵政事業庁が設置された。郵政事業庁設置法においても、郵便局は郵政事業庁におかれる地方支分部局の一つとされ、郵政事業庁の所掌事務のうち、現業事務の全部又は一部を分掌するものとされた。また、その名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、総務省令に委ねられることとされた(廃止前の郵政事業庁設置法第11条)。

日本郵政公社[編集]

プログラム法である中央省庁等改革基本法に基づき日本郵政公社法が定められ、日本郵政公社が郵政事業を実施する国営の新たな公社として発足した後は、郵便局の設置主体も公社に移った。日本郵政公社法では、郵便局を、総務省令で定めるところにより、あまねく全国に設置しなければならないものとして定めており、その省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮することとされている(日本郵政公社法第20条)。日本郵政公社は、同法の施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることとされている。

なお、2006年9月以降、集配郵便局の削減(無集配局化)や、集配センター・配達センターに細分化された(参考)。この体制をもって2007年10月1日の民営化・分社化を迎えた。

郵便局株式会社[編集]

絵葉書(1904年

郵政民営化法により、2007年10月1日をもって日本郵政公社は解散し、日本郵政株式会社(持株会社)・郵便事業株式会社(郵便集配)・ゆうちょ銀行(貯金)・かんぽ生命保険(生命保険)・郵便局株式会社に、郵政3事業が分割承継された(以上、「日本郵政グループ」)。郵便窓口業務及び郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を引き継ぐものとして、郵便局株式会社が設立される。郵便局株式会社法では、会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うものであればすべて郵便局であると定義しており、また、営むことができる郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行業及び生命保険業の代理業務が例示されている。同法における郵便局の設置基準としては、「総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない」と規定されており、日本郵政公社法に規定する「地域住民の利便の確保についての配慮」とは文言上異なる規定がなされている(郵便局株式会社法第五条)。

後述の通り2012年10月1日に郵便局会社と郵便事業会社が統合されるまでの5年間、集配業務は郵便局の事業では無かったにも関わらず従来通り郵便局の事業と誤解する利用者や、マスコミなどでの紹介ですら郵便事業の集配担当者を「郵便局員」として紹介する誤用が散見されており、集配担当者が同じグループ内とはいえ他社を騙ることになることを承知で、自身をあえて「郵便局(の者)です」と名乗らざるを得ない事例も存在していた。

日本郵便株式会社[編集]

日本郵便による郵便局のロゴマーク

2012年10月1日付で、郵便局株式会社が郵便事業株式会社を吸収合併し、日本郵便株式会社となったため、郵便局は日本郵便株式会社の店舗となり、従来郵便事業の支店・集配センターだった拠点も原則「郵便局」となった。これに伴い、郵便局と同一名称の支店名を持つ、郵便局とは別立地の郵便事業の支店については名称変更が行われた(郵便事業大阪支店→大阪北郵便局、郵便事業博多支店→博多北郵便局など)。郵便局名と違う名称だが同一地に所在するケースなどは、民営化前の名称に戻る形となる(郵便事業宇佐四日市支店→(大分県の)四日市郵便局、など)。郵便局とは別立地となっている一部の郵便事業支店や集配センターについては「分室」の扱いとなり、「○○郵便局郵便分室」・「××郵便局集配分室」となった拠点もある。これらとは別に、郵便事業丹波支店のように、新たに同一名称の郵便局が発生したケースもある(郵便事業丹波支店→(兵庫県の)丹波郵便局、元からある(京都府の)丹波郵便局、のケースなど)。

郵便局の業務[編集]

郵政民営化前の郵便局の窓口(赤色の窓口は郵便、緑色は郵便貯金、青色は簡易生命保険業務を行うことを表している。逓信総合博物館にて撮影)
郵便局の窓口の例
郵政民営化を翌日に控え、カバーが外された郵便局の看板。「JP」のロゴが見える。

郵便局の業務は、郵便窓口業務以外は各郵便局によって異なるため、各郵便局の入口と、日本郵便株式会社のインターネットサイトで業務内容を掲示している。各業務内容の詳細については、郵便事業株式会社ゆうちょ銀行かんぽ生命保険も参考のこと。

民営化以降特徴的なのは、グループ外の商品を受託販売するようになったことがあげられる。自動車保険、変額年金保険、医療保険、がん保険、法人向け生命保険である。取扱は現在、おおむね1000局以下と限定的である。

民営化以降、封筒などの文具を郵便局で取り扱うことができるようになった。また、ごく少数の郵便局では直営コンビニ(ローソン)を併設営業している。

国体博覧会会場などに設けられる臨時出張所や、自衛隊艦船内などに開設される船内郵便局などもある。

富士山頂郵便局静岡県富士宮市)や上高地局(長野県松本市)などは、開設が季節限定ではあっても設置自体が「常設」のため、定期開設局と呼ばれる。郵便窓口業務のみを行う。

農業協同組合漁業協同組合や地方の事業者、地域住民が受託する郵便局を、郵便局の歴史的経緯から「簡易郵便局」と称することもある(郵便局名の末尾が「簡易郵便局」となっているものが該当する)。

1990年代の一時期「シティポスト」と称し、都市部の百貨店地下街旅行代理店内にカウンターのみの郵便局窓口を設けることが流行したものの、民営化前にその多くが廃止されている。分類としては簡易郵便局の一種であった。

1970年代までは、旧逓信省での電話業務の経緯から農林漁村の郵便局で日本電信電話公社(電電公社)の業務に属する電話交換業務(磁石手動式)や電報受託業務も行う局もあり、日本電信電話株式会社(NTT)発足までは、電話関連事務を電電公社の受託で行う局もあった。

分室・出張所[編集]

郵便局の下部に属する「分室」や「出張所」「臨時出張所」も存在する。

分室[編集]

分室は窓口分室(例:千代田霞が関局財務省内分室)、集配分室(例:新宿北局落合長崎分室(現存せず))、作業分室(例:荻窪局小包分室)や私書箱分室(例:渋谷局新大宗ビル内分室)などに分かれる。窓口分室は基本的に小規模な局舎だが、名古屋中央局名古屋駅前分室のように、元々中央郵便局だった局舎を流用したために大規模なものもある。

分室は固有の取扱局番号を持たず、属する郵便局の取扱局番号の後ろにアルファベット1文字を付して区別する。郵便日付印には本局名と並んで分室名が入る。これらは郵便局より下位であっても一応独立した局所としての地位を示すものである。

郵政民営化以前、集配普通郵便局が集配業務を廃止した場合、特定郵便局へ局種改定することが多かったが、郵政民営化直前になって分室化する例が増えた。これは、分室の方が営業時間・取扱事務を柔軟に設定できることや、郵政民営化に向けた郵便局削減圧力への対応とされている。

2007年7月30日、全国の貯金を扱う分室のうち、過半数の親局が変更された。これは分室の親局は大規模な郵便局が多く、それらの局の貯金課はゆうちょ銀行の直営店となるところが多いのであるが、ゆうちょ銀行は分室を設置しないため、郵便局株式会社が郵便貯金を扱う郵便局に親局を変更する必要があるためである。このとき分室名の変更を伴うことがあった。特に「貯金事務センター内」等の、日本郵政公社の施設名を冠した分室名は、多くが地名を使った分室名に変更された(名古屋中央局貯金事務センター内分室は存続)。また、無集配普通郵便局化された分室もあった。郵便しか扱わない分室は親局の変更はなかった。また、民営化後も郵便局会社が貯金を扱うことになる郵便局の分室も、今回の親局の変更はなかった。

2012年10月1日、日本郵便株式会社の発足に伴い、郵便局と郵便事業支店・集配センターが分割された拠点の一部については、分割前の郵便局側が親局となり、郵便事業拠点側が親局の「郵便分室」・「集配分室」となった。

出張所[編集]

2007年10月1日までは、主にスーパーマーケット等に設置されたATMの正式名称であったが、同日の郵政民営化によりこれらのATMはゆうちょ銀行の支店の管理となったため、郵便局の出張所はほとんど残っていない。

臨時出張所[編集]

臨時出張所は文字通り、臨時に設けられる郵便局である。ただし臨時出張所と名乗っていても、ほとんど常設の窓口であるものもあれば、単なるワゴンセールにすぎないものもあり、千差万別である。ワゴンセールは、駅のコンコースや大型ショッピングセンターなどでの年賀はがきなどのくじ付ハガキの販売時や、夏の花火大会や祭などのイベント時の出店などで多く見られる。2007年の郵政民営化初の年賀はがき販売では、郵便局会社と郵便事業会社がそれぞれ臨時出張所を出店し、同じ場所で局会社と事業会社が交互で出店したり、同じショッピングセンターや駅構内の違った場所(東口と西口など)で両社が出店するような光景が見られた。

臨時出張所と称しながら常設の有人窓口を有する出張所があった。過去には日本橋局・東急百貨店内出張所(ポスタルショップ日本橋)、KDDビル内局・アネックス出張所(現在は出張所跡に本局が移転)、岡山中央局・天満屋内出張所(ポスタルショップ桃太郎)(現在は岡山東局・天満屋内分室)、岡山中央局・岡山市役所内出張所(市役所ポスタルショップ)(現在は岡山東局・岡山市役所内内分室)、仙台駅内局・仙台駅東口出張所が存在した。

またかつて平野局(大阪市)や奈良西局(奈良市)、尼崎北局(尼崎市)、布施局(東大阪市)では、普通郵便局改築に当たっての仮局舎を「臨時出張所」と称していた(1992年当時)。

2008年7月16日開始の「総合生活取次ぎサービス(現:郵便局のお取次ぎ)」において業務提携を締結し、当初から日通の個人向けサービスのひとつである「引越しは日通」の申込媒介を殆どの郵便局で受け付けていた。その後提携を終了し、同業他社による引越しの「お取次ぎ」を受け付けている。 -->

アメリカ合衆国[編集]

アメリカにおける郵便局事業は公共企業体であるThe United States Postal Service(U.S.P.S)が行っている。日本などのようにいわゆる郵便貯金事務、簡易保険事務などは行っておらず、純粋に郵便事業が中核である。

郵便の種類[編集]

全部で3種類。

  • Express Mail
3種類の中で最も速い速達。集配翌日の正午〜15時までに受取人に配達することを依頼人に保証しており、時間内に届かなかった場合は依頼人に料金が返却されることとなっている。また、無料で$100までの保険を付加することも可能。これはその速達性から、依頼主との信用関係を確保するためである。Express Mail Flat-Rate Envelopeという専用封筒で送ると、重量に関係なく一律$13.65の料金で送ることができる。封筒は無料で、各郵便局に置かれている。その他、インターネットで依頼封書・小包が現在どこにあるかを確認することができる。
  • First-Class Mail
アメリカ国内であれば1日から3日以内で配送される。機密性の高い文書(請求書の書類や法定文書など)に利用される。U.S.P.Sの定型はがきの大きさであれば、料金は23セント。それより大型のものであれば、封書の料金(37セント)となる。ただし長方形以外の変形封書は追加料金がかかる。
  • Priority Mail
アメリカ国内であれば3日以内で配送される。ただし荷物には大きさの制限があり、縦・横・高さの合計が180インチ(約45cm)以下で、重さは70ポンド(約32kg)までのものとしている。これもPriority Mail Flat-Rate Envelopeという専用封筒を利用すると、送り先や重量に関係なく一律$3.85で送ることができる。U.S.P.Sのウェブサイト1でプリントアウトした宛名レーベルを使用すると、無料で配達確認サービス(Delivery Confirmation)が付加される。
  • Parcel Post
小包の配送サービスで、JP(日本郵政)のゆうパックに相当。アメリカ国内であれば2日から9日で配達される。縦・横・高さの合計が130インチ(約330cm)、重量70ポンド(約32kg)の大きさまでの制限がある。
  • Media Mail
本やCD、DVD、ビデオテープなどの配送向郵便。アメリカ国内であれば8日ほどで配達される。料金はParcel Postよりも安価。

イギリス[編集]

イギリスにおいての郵便事業は、1700年代以降350年以上に渡り国営のロイヤルメールRoyal Mail)の独占が続いていたが、2001年に郵政公社から英国政府100%出資の株式会社となった。ロイヤルメールグループとして数十社を展開、主に窓口事業や郵便貯金事務などを行うポストオフィス(Post Office)と国際小包配送を行うパーセルフォースParcel Force)が実務の中核を担う。

ただし郵政事業参入の自由化が2005年に行われ、ドイツ・ポストやUKメールなどの新規参入が相次いでいる。

ドイツ[編集]

ドイツにおいての郵便事業は民間会社であるドイツポスト(DeutschePostAG)[1]が主に扱っている。1995年、それまで国営の連邦郵便公社が行っていた郵便、電話、貯金の事業をそれぞれドイツテレコムドイツ・ポストバンク、そしてドイツポストに分割、株式会社として民営化したことに由来する。

オランダ[編集]

オランダにおいては、民間会社であるTPGPOSTが郵便事業を行っている。TPGPOSTは全額民間資本であり、他ヨーロッパ諸国のように政府資本を一切入れていないところに特徴がある。

中華人民共和国[編集]

中国の郵便局(上海)

中国において、郵便事業は2007年に監督官庁の国家郵政局と、実質的経営を行う中国郵政集団公司に組織分割された。また2006年に郵政事業と通信事業が分割され、都市部においては郵便集配と電報を行う「郵政局」(小規模な局は「郵局」と呼称)ならびに各地の通信会社に事業分割された。ただし局によっては、現在でも郵便・貯金・電話・新聞などの販売を同拠点で扱っているケースも見られる。なお、貯金は2007年に中国郵政儲蓄銀行として独立している。

台湾(中華民国)[編集]

台北郵便局

台湾における郵便事業は、中華民国政府が出資する中華郵政(中華郵政股份有限公司)が行う。かつて中華郵政は中華民国交通部郵政総局であったが組織改革によって2003年1月1日に公共企業に改組し、交通部が100%出資する国営公司となった。民間では郵局(郵便局)と通称される。事業内容は郵便事業および郵便貯金事業。なお、2007年から2008年にかけて一時期「台湾郵政」と呼称していた。

大韓民国[編集]

大韓民国では知識経済部が郵便、預金(貯金という用語は使用していない)、郵便局保険(簡易保険に相当)を取り扱う。ただし郵便取扱所では預金と郵便局保険は取り扱わない。また、水協(日本の漁協に相当)、農協、信用組合を含むすべての金融機関電算網がつながっている。特定郵便局に相当する別定郵便局(별정우체국:ピョルジョンウチェグッ。別に定めたという意味)がある。

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]