朝鮮学校
| 朝鮮学校 | |
|---|---|
| 各種表記 | |
| チョソングル: | 조선학교 |
| 漢字: | 朝鮮學校 |
| 平仮名: (日本語読み仮名) |
ちょうせんがっこう |
| 片仮名: (現地語読み仮名) |
チョソンハッキョ |
朝鮮学校(ちょうせんがっこう、チョソンハッキョ、조선학교)とは、在日朝鮮人に対して朝鮮語を用いた教育を行う民族学校(教育施設)のこと。なお、韓国系学校については韓国学校を参照のこと。
朝鮮学校は、各都道府県の学校法人により運営されている各種学校である。たとえば、東京都であれば学校法人東京朝鮮学園である。しかし、校長人事などの運営および教育内容については、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)中央本部および朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の支配政党である朝鮮労働党が事実上決定している[1][2][3]。北朝鮮は、朝鮮学校に教育援助費と奨学金を送っている。
幼稚班・初級学校・中級学校・高級学校・大学校があり、教育課程は、日本の6・3・3・4制に合わせたもので、北朝鮮国内の学校制度とは異なる。これらの教育施設はすべて各種学校(学校教育に類する教育を行うもので、所定の要件を満たす教育施設)であり教育基本法6条・学校教育法1条に定める「法律に定める学校」(1条校)には該当しない。
目次 |
設立の歴史
- 1945年 第二次世界大戦終戦直後、在日朝鮮人が朝鮮語を用いて学習をする場「国語講習所」を設ける
- 1946年 - 在日本朝鮮人連盟(現:朝鮮総連・民団の前身)の学校に発展する
- 1948年 連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の政策によって文部省が朝鮮学校閉鎖令を出したことにより朝鮮系学校を閉鎖(白頭学院を除く)。一部は公立の朝鮮人学校・朝鮮人のみに教育を行う民族学級などに移管または個人宅における個別教育を行う。
- 1949年 日本政府は朝鮮人子弟の義務教育は公立学校で行うことが原則であり、朝鮮学校には日本の教育法令を遵守させ、国または地方公共団体の援助の必要はないとする閣議決定を行う[4]。
- 1950年代半ば以降 韓国系・北朝鮮系それぞれ学校を再建、韓国系学校白頭学院は一条校となる。
- 1957年 北朝鮮から教育援助費が送られてくる。韓国政府は北朝鮮に対し教育費の援助を止めるよう抗議を行ったが[5]、北朝鮮は援助を続け北朝鮮系の学校が台頭してくる(韓国に対しても支援を求めるが、積極的な支援をせず)
- 1960 - 70年 各都道府県が朝鮮学校を各種学校として認可し、1975年にすべての朝鮮学校が各種学校となる。この時代が学校数・生徒数のピークである
朝鮮学校の特徴
教育施設としての位置づけ
学校法人が設置しているものであるが、朝鮮学校は日本国内に居住する外国人をもっぱら対象とする教育施設とされている上に、文部科学省が定めるカリキュラムを満たしていないため、学校教育法による「一条校」ではなく各種学校として設置されている。
朝鮮学校の高級部(朝鮮高級学校)の課程を修了しただけでは、日本の大学入学資格は生じない。また、学歴上の高等学校卒と公的には認められない。ただし、法令の規定に基づいて各大学が個別に、「文部科学大臣の定めるところにより、高等学校を卒業した者、中等教育学校を卒業した者等と同等以上の学力があると認められる者」として、朝鮮学校の高級部(朝鮮高級学校)の課程を修了した者に出願資格を与えることがある。私立大学や公立大学は認めている学校が多いが、国立大学は近年まで認めていなかった。
だが、2003年8月11日の『文科省方針「大学入学資格の弾力化について」についての見解』によって、外国人学校卒業者が高等学校卒業程度認定試験を経ることなく、国立大学を受験する資格を認める方針が打ち出された[6]。
また、中級学校卒業後の私立・公立高校への進学は都道府県教育委員会及び各私立学校の判断により認めているところが多い。ただ、朝鮮学校では高級学校までは進学させることを原則としており、日本の学校への進学には非協力的である。また、かつては高級学校においても朝鮮大学校への進学を前提とした教育がおこなわれていたが、最近では日本の大学受験をめざす生徒のための教育もおこなっている。
運営資金
日本政府は1949年に「地方自治体が運営資金を助成する必要は当然にない」とする閣議決定を行っている[4]が、現在では各地方公共団体が自身の判断である程度助成している。しかし北朝鮮からの支援の滞りによって資金難に陥り、朝鮮学校関係者は地方自治体や日本政府にも資金援助を強く求めている。埼玉県深谷市の例では、市の財政悪化により朝鮮学校への教育助成金の支出を中止したが、朝鮮学校関係者の強い要請によって方針は撤回され、最大2倍になる教育助成金が朝鮮学校に支払われることになった[7]。なお、日本国は1949年10月12日に「朝鮮人学校処置方針」の閣議決定を出しており、第3項で「朝鮮人の設置する学校の経営などは自らの負担によっておこなわれるべきで、国または地方公共団体の援助は必要はない」としている[4]。
北朝鮮は1950年代後半から朝鮮学校に対し、総額で約460億円(2010年2月現在)の資金提供をおこなっており、2009年にも約2億円の「教育援助金」を送金している[1]が、「援助金が全ての朝鮮学校に対して平等に分配されておらず、朝鮮学校関係者の間では不満が募っている」ともいわれる[1]。
現在の私学校に対する助成金は、学校教育法をはじめとする各種法令・基準を遵守することにより、対象となる学校が公の支配の下に置かれている、という解釈から支給されると通則的に考えられている。在日朝鮮人や朝鮮総連は「朝鮮学校で施される教育の内容と質は『1条校』と比べて遜色がない」と主張するが、問題にされているのは教育の内容ではなく、「公の支配」の下に属しているか否かであり、「国公私立を問わずほとんどの大学が受験資格を認めている」「多数の地方公共団体において独自の教育助成金を交付している」という在日朝鮮人や朝鮮総連による各種の主張が国政レベルで完全に認められるのは難しいといわれる。
地方公共団体の補助金は、教育を受ける在日朝鮮人本人またはその家族に対する支援として支出している例が多く[要出典]、日本国憲法第89条の解釈問題があるが、朝鮮学校を設置する学校法人に対して助成金を支出している[8][9]。
また、朝鮮総連は、外国人学校(民族学校)に対する寄付金を税制上損金扱いとしないことに異議を唱えているが、外国人学校を設置しているかどうかを問わず、学校法人に対する寄付について損金扱いが認められるためには、一定の手続きが必要とされている[10]。
朝鮮学校の運営状況や実態に関しては、国連の社会権規約委員会が「委員会は、かなりの数の言語的少数者の児童生徒が在籍している公立学校の公式な教育課程において母国語教育が導入されることを強く勧告する。さらに委員会は、それが国の教育課程に従うものであるときは、締約国が少数者の学校、特に在日韓国・朝鮮の人々の民族学校を公式に認め、それにより、これらの学校が補助金その他の財政的援助を受けられるようにし、また、これらの学校の卒業資格を大学入学試験受験資格として認めることを勧告する。」との見解を表明している[11]。
朝鮮学校が慢性的な運営資金難に陥っているのは、あまりに偏向した教育内容によって批判や懸念を招いたり、学費無料の公立学校に通わせる保護者が増えたこと、進学の面で不利になる(近年になって国公立大学受験資格が原則的に認められた)朝鮮学校を忌避する傾向が出てきたことにより、朝鮮学校在籍者数・割合ともに減少し、財政基盤の悪化により各地で学校の休校(廃校)・統合が相次いでいる。
朝鮮学校に対する「優遇」
朝鮮学校に対する地方自治体の「優遇」は補助金の助成に限らない。自治体が保有する公有地を無償あるいは著しく安い賃料で貸していたという批判がある。
大阪府大阪市が中大阪朝鮮初級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」に対し、約50年にわたり市有地である同学校の用地4957平方メートルを無償で貸していることが判明した。大阪市の試算によると10年契約で貸した場合、年間賃料は230万円になる。[12]。
兵庫県尼崎市が学校法人「兵庫朝鮮学園」に対し、尼崎朝鮮初中級学校の敷地となる市有地(約7850平方メートル)を年間28万円という相場の約100分の1の賃料で貸していることが判明した。1966年の契約以来45年間値上げされていない。尼崎市の計算によると現在の賃料の相場は年2892万円になる。[13]。
伊丹市が学校法人「兵庫朝鮮学園」に対し、伊丹朝鮮初級学校の用地として市有地約4150平方メートルを相場の約20分の1の賃料、月額約4万円で貸していたことが判明した。また、伊丹朝鮮初級学校創設の際には木造平屋建て約400平方メートルの校舎や机等の備品などを無償譲渡をしていた。市有地の標準賃料によれば月額74万5600円になる。[14]。
朝鮮学校の高等学校等就学支援金対象除外に関する問題[15]
2010年4月から施行した公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律及び公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(以下「省令」)では、外国人学校も就学支援金支給の対象としているが、朝鮮学校の高級部は省令1条1項に該当しないため就学支援金の支給対象ではない。(こちら参照)。
支援金除外に反対する側の意見
- 朝鮮総連はこの問題をめぐり、北朝鮮の金正日の意向を受け、全国の朝鮮学校幹部らに就学支援金の支給対象を獲得する運動を展開するよう指示を行っている[16]。
- 国民新党と社民党、公明党、日本共産党は支給対象からの除外に反対を表明している[17][18][19]。
- 日本各地にある朝鮮学校の生徒は、社民党の又市征治参議院議員、「日本朝鮮学術教育交流協会」の中村元気会長、「朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議」の伊藤晃二会長代行らを引き連れて文部科学省を訪問し、朝鮮学校を支援金除外の対象にしないよう求めた[20] 。また、衆議院第一会館で開催された「高校無償化」 院内集会には民主党の石田芳弘衆院議員、緒方林太郎衆院議員、瑞慶覧長敏衆院議員が参席し、必ず「無償化」を勝ち取ろうと訴えた[21]。
- 日本高等学校教職員組合は「高校授業料無償化は教育を受ける権利を社会的に保障する立場から実施されるものであり、政治的理由から特定の学校を排除することはあってはならないことです」として除外に反対している[22]。
- アムネスティ・インターナショナル日本や自由人権協会は、朝鮮学校高級部について就学支援金支給の対象に含めることを要求している。
- 在日韓国民主統一連合の朴南仁組織局長は「戦争と女性への暴力」日本ネットワークと連携し、朝鮮学校を支給の対象にするよう働きかけている[23]。
- 毎日新聞や北海道新聞が社説で朝鮮学校を就学支援金支給の対象から外すことを非難した[24][25]。
- 井戸敏三兵庫県知事は「朝鮮学校とほかの外国人学校と差を設ける必然性は、本県としてはない」とし、国が朝鮮学校を支給対象から外しても、県単独の補助金分は支給することを明言した[26]。
- 浅野健一同志社大学教授は、平壌で開催された「日本の反人倫犯罪の被害者たちによる証言集会」において、日本政府が高校無償化から朝鮮学校を除外することは「日本が国連加盟国の資格まで失う暴挙になる」と批判した[27]。
- 2010年3月10日、日本キリスト教協議会、部落解放同盟中央本部、ナヌムの家、女たちの戦争と平和資料館、反差別国際運動、アジア女性資料センター、東京都学校ユニオン、韓国強制併合100年共同行動、財団法人 日本YMCA同盟などの団体が、朝鮮学校を「高校無償化」制度の対象とする共同要請を鳩山由紀夫総理大臣に提出している[28]。
支援金除外を求める側の意見
- 自民党や国家公安委員会委員長の中井洽は、北朝鮮による日本人拉致問題や核問題によって、日本政府として経済制裁を行っていることから就学支援金支給の対象から外すべきとの声や、朝鮮学校の個人崇拝の強制などの教育内容を問題視する声[29]、「北朝鮮とは国交がなく、(授業料相当額を)学校が代理受領して子供に使われたか検証するすべがない」などの声が挙がっている[30]。
- 産経新聞は朝鮮学校と朝鮮総連との関係を指摘し、就学支援金支給の対象から外すべきだと主張した。そのため、朝鮮学校は記者会見に産経新聞を参加させないことを通達した[31]。
- 橋下徹大阪府知事は、就学支援金支給の対象から朝鮮学校を除外することを表明。北朝鮮からの非難に対しては「拉致被害者を返してくれたら話に応じる。朝鮮学校の子供を泣かせたくないのなら、本国はしっかりしてくれ。泣かせないために何ができるか、考えてほしい」と応じた。2010年8月11日にも「北朝鮮との関連性や権力崇拝をやっている学校が認可に値するのか、そもそも論で考えないといけない」と改めて慎重な姿勢を見せた[32]。
- 韓国の脱北者団体「NK知識人連帯」は「朝鮮総連系の学校は純粋な民族教育を離れて、金日成、金正日父子を偶像化する教育のみに重点を置くイデオロギー洗脳場である」として、日本政府に対し無償化を適用しないよう求める建議書を提出した[33]。
制服
男子生徒の制服は、中高生用として、ごく一般的な意匠の学生服が採用されていることが多い。
女子生徒の制服として、かつては民族衣装のチマチョゴリ風制服の着用が一般的であったが、1994年5月から6月にかけて発生したチマチョゴリ切り裂き事件などを理由に、「生徒の安全を考慮した」として1999年4月より、多くの朝鮮学校で通学時のチマチョゴリ風制服着用が任意に変更された。
一般的な校則ではチマチョゴリ風の第一制服とブレザーの第二制服が定められており、校内で前者、通学時に後者が使用される。しかし本人や家族の希望があれば第一制服を着用して通学することも可能である。
生徒数
1970年代初頭には4万6000人を数えた全国各地の朝鮮学校の生徒数は、2004年度には1万1500人[34]、2008年2月時点では1万1000人。文部科学省によると、2009年時点で全国で計73校(うち休校8校)あり、児童生徒数は約8300人としている。朝鮮籍と韓国籍はほぼ同数で日本籍も数%存在するという[35]。朝鮮籍子弟が朝鮮学校に通う割合は年々減少し地域によって差があるが1~3割といわれている[34]。
進路
高級部卒業後の進路は、主に朝鮮大学校への進学、日本の大学等に進学、就職である。就職の場合朝鮮総聯の関連団体・企業や在日朝鮮人経営の企業への就職が多い。進学の場合は、各校によって差はあるが、例を挙げると九州朝鮮中高級学校の高級部卒業生のうち朝鮮大学校への進学は25%その他の学校50%である[36]。朝鮮大学校の教育学部は、朝鮮学校の初級部の教員養成を目的とし、文学部朝鮮語学科は朝鮮学校の国語(朝鮮語)教師の養成を目的とし、外国語学部は朝鮮学校の英語と日本語の教師の養成を目的とし、他の学部も朝鮮学校の教師になるものがかなり多い。だが、近年では日本企業や韓国企業への就職をするものもいる。 高級部に進学を希望せず、日本の高等学校の受験をする者もいるが、朝鮮学校が一条校として認められていないため、内申書がみとめられず、進学することが難しい場合が多い。だが私立高校の多くは、独自の判断で朝鮮学校中級部出身者を受け入れている。
朝鮮学校高級部卒業後に、日本の高等学校に編入し、1年間在籍し卒業後、日本の高校卒業資格を取得する者もいる。
毎日新聞編集委員鈴木琢磨は2010年3月28日放送の朝ズバッで「実際、メディアにも朝鮮学校卒業生がたくさんいるんですよ」と証言している。人数を示さない「たくさん」というのは大袈裟で曖昧だが、日本のメディアに卒業生が存在しているのは確かである。ちなみに大手メディアが朝鮮学校出身者を採用しはじめたのは1980年代になってからである。
教員
朝鮮学校の教員は、大多数が朝鮮大学校の卒業生であるが、日本の大学を卒業したものもいる。朝鮮大学校が各種学校であり、日本の教職課程の認定を受けていないため、日本の法令に基づく正規の教員免許は所持していない。よって一条校認可以前に教員免許を所持する教員の確保の問題が発生する。朝鮮学校の教員を務めていた河丙鈺は在日韓国人の団体である在日本大韓民国民団の団長に選出されている[37]。
朝鮮学校に対する批判
偏向した教育内容・教育過程への批判
朝鮮学校で使用される教科書は、学友書房が朝鮮大学校の協力のもとに作成したものを朝鮮民主主義人民共和国教育省が検閲したものであり、日本文部科学省が示す学習指導要領に沿った検定教科書ではない[38]。この教科書は朝鮮民主主義人民共和国の歴史だけでなく、朝鮮総聯の歴史にも触れているが、一貫しているのは本国と同じく金日成、金正日父子への礼賛と一体化という命題である。教科書では、北朝鮮による核開発や光明星を発射したことを受けて、「日本政府が朝鮮総聯を瓦解させようと謀略活動をした」などという本国の朝鮮中央放送が報じる見解と全く同じものが記述されていたり[39]、金日成は194回、金正日は107回に渡って「敬愛する」「偉大な」などの修飾語を付して繰り返し記述されている[39]。また、日本人拉致問題については、2002年9月の日朝首脳会談で金正日が拉致の事実を認めて謝罪して以降、朝鮮総連も「絶対に許されない犯罪行為」(徐萬述議長)と謝罪し、朝鮮学校の教科書も翌年度から改編されたといわれていたが、現行の教科書(2003年初版発行)の記述には、「拉致は犯罪」との認識は全く見られないという[40]。
朝鮮学校は朝鮮語と民族教育を一義的に学ばせる教育機関としての傾向が強い。朝鮮学校内では授業はもちろん日常会話でも朝鮮語を使用し、日本語は外国語教科として教えられている。内容は日本の国語教科書に出てくるものとほぼ同じである。民族教育の割合は35%と高く、ほとんどすべての科目において、北朝鮮の最高指導者である金日成・金正日父子に対する忠誠教育が施されている。その一方で、日本国内で一般の労働者として日本の労働市場で働くために客観的に必要と判断される教育の要件、すなわち日本語力や他の諸能力の習熟度規準等はガイドラインとして設定されていない。外国人が滞在国で就業するためには当然必要と判断されるような、日本の常識とその背景・歴史の深い理解、外国である日本において自分達がもつべきモラルとその説得的な根拠等々といったごく基本的なガイドラインも設けられていない。そのため、卒業生の中には「非常識な教育だった」、「自分が一般の教育レベルから落伍し、常識面でも適応できなかった」などと語る者も少なくない[41]。
朝鮮学校における教育内容に対して、北朝鮮における教育と同様に、金日成・金正日父子の肖像を教室に掲げたりと金父子を神格化しているという批判や、北朝鮮の立場を盲目的に支持する傾向・反日的傾向があるとの批判がある[41]。このような批判は長らく在籍者や保護者などから出てきていた。これに対し朝鮮学校側はカリキュラムの更新などで一定の応答を見せたとされるが[42]、現在に至っても金日成・金正日父子の肖像画が教室内に飾られたままになっているなど不十分との声も多く、「子供を政治の道具にするのか」、「思想教育を受けさせているではないか」といった批判が続いている[41]。また、中井洽国家公安委員長・拉致担当大臣は「全生徒に対して放課後に先軍思想や主体(チュチェ)思想の洗脳教育を行っている」と主張した上で[43]、「朝鮮学校の授業料無償化によって、日本国の支出が朝鮮総聯から金正日総書記に渡る」と述べた[43]。
2010年11月17日の参院予算委において公安調査庁は、朝鮮総連は朝鮮学校の民族教育を愛国運動の生命線と位置づけ、北朝鮮と朝鮮総連に貢献しうる人物の育成に励んでいるという認識を示し、そして朝鮮総連が朝鮮学校の教育内容、人事、財政、教科書(朝鮮総連傘下の出版社)に及んでいることを示した[44]。
生徒は在日朝鮮人であれば国籍を問わず受け入れており、近年では韓国籍が多くなっている。また民団系子弟も受け入れている。
児童公園占用に対する抗議
2009年12月4日、在日特権を許さない市民の会などの市民団体によって朝鮮学校の児童公園占用に対する抗議行動が行われた。翌2010年、朝鮮学校には都市公園法違反で罰金刑が科され、一方、抗議者は威力業務妨害容疑で逮捕された。
詳細は「京都朝鮮学校公園占用抗議事件」を参照
学校種別
大学校
朝鮮大学校は、大学水準の教育を行っている。大学の認可はされていないため、法的には各種学校である。なお、朝鮮大学校の設置者は、日本国の私立学校法に基づく学校法人東京朝鮮学園である。朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議代議員の張炳泰が校長を務めている[45]。
ちなみに、韓国の光州には、私立の4年制大学として「朝鮮大学校」が存在するが、当然ながら関連性は全くない。
高級学校 15歳から18歳までの生徒が在籍する。高校にあたる3年教育。各学校では高級部と呼ばれる。
中級学校 12歳から15歳までの生徒が在籍する。中学校にあたる3年教育。中級部と呼ばれる。
初級学校 6歳から12歳までの児童が在籍する。小学校にあたる6年間教育。初級部と呼ばれる。
幼稚班 幼稚園にあたる。学校の附設になっていることが多い。
都道府県別学校一覧
北海道
- 北海道
東北
関東
- 東京都
- 神奈川県
- 埼玉県
- 千葉県
- 茨城県
- 群馬県
- 栃木県
中部・北信越
- 愛知県
- 静岡県
- 長野県
- 新潟県
- 福井県
- 岐阜県
- 三重県
近畿
- 大阪府
- 兵庫県
- 京都府
- 滋賀県
- 和歌山県
中国
- 広島県
- 岡山県
- 山口県
四国
- 愛媛県
九州
近年の廃校・休校・統合
- 宮城県
- 東北朝鮮初中高級学校《高級部のみ休校》
- 神奈川県
- 川崎朝鮮初中級学校《中級部が神奈川朝鮮中高級学校と合併》
- 愛知県
- 愛知朝鮮第九初級学校《休校》
- 岐阜県
- 東濃朝鮮初中級学校《愛知・東春朝鮮初中級学校に統合》
- 大阪府
- 兵庫県
- 京都府
- 舞鶴朝鮮初中級学校《休校》
- 奈良県
- 奈良朝鮮初級学校《休校》
- 山口県
- 島根県
- 山陰朝鮮初中級学校《岡山朝鮮初中級学校に統合》
- 福岡県
- 筑豊朝鮮初級学校《北九州朝鮮初級学校に統合》
学校によって幼稚班を併設している所がある。また、統合は実質的な休廃校となっている。
脚注
- 金賛汀『在日義勇兵帰還せず 朝鮮戦争秘史』 岩波書店 2007年1月
- ^ a b c “北、朝鮮学校に460億円送金 昨年も2億…高校無償化に影響”. 産経新聞. (2010年2月11日) 2010年2月11日閲覧。
- ^ 産経新聞2010年3月12日付記事より
- ^ “朝鮮総連、朝鮮学校が人事一体化 高校無償化推進 校長も金総書記が決める”. 産経新聞. (2010年3月11日) 2010年8月29日閲覧。本記事によると、朝鮮学校の校長は朝鮮総連の中央委員である必要があり、さらに中央委員の人事は、北朝鮮本国の朝鮮労働党の承認のもと、金総書記の決裁が必要であるという。さらに本記事は「朝鮮学校の校長は朝鮮労働党に直結した政治活動家以外の何者でもないことを意味している」と述べている。
- ^ a b c “朝鮮人学校処置方針”. 内閣 (1949年10月12日). 2010年4月17日閲覧。
- ^ 金賛汀 p222, 223
- ^ 参考:文科省方針「大学入学資格の弾力化について」についての見解(出典:国立大学独立行政法人化の諸問題)
- ^ 埼玉 深谷市が教育助成再開
- ^ 参考:平成15年度の各都道府県の補助額(朝鮮学校以外も含んだ数字)
- ^ 埼玉 深谷市が教育助成再開 朝鮮新報 2009.2.9
- ^ 文部科学省, “学校法人に寄付をした方に対する税制上の特例”, プレスリリース 2010年4月21日閲覧。
- ^ 外務省:(60番目の項目を参照)
- ^ 大阪市が朝鮮学校に用地無償貸与 50年にわたり 47news
- ^ 尼崎市有地、相場100分の1で朝鮮学校に賃貸 読売新聞
- ^ 兵庫朝鮮学園に伊丹市も格安貸与 建物、備品は無償譲渡 産経新聞
- ^ 一部報道機関ではこの問題について「無償化」という言葉を盛んに用いているので、あたかもすべての高等学校の授業料を無償化するような印象を受けるが、公立でない学校(私立や外国人学校など)は授業料の一部しか補助しないので明らかに誤用である。
- ^ 産経新聞2010年3月12日付記事より
- ^ 高校無償化:朝鮮学校も対象、政府に要請一致--社民・国民新方針
- ^ 【高校無償化】朝鮮学校の授業料無償化 公明・山口代表 「除外すべきではない」
- ^ 高校無償化は何のためか/新たな差別生む/「朝鮮学校除外」
- ^ 「高校無償化」 各地の朝高生代表たち、文科省へ要請 [1]
- ^ 「高校無償化」 院内集会 外国人学校の指定基準受け [2]
- ^ 高等学校無償化の適用を求める全国朝鮮高級学校学生連絡会(朝高連絡会)[3]
- ^ 文科省申入れ報告 朝鮮学校「無償化」除外反対で
- ^ 社説:朝鮮学校 無償化除外、筋が通らぬ - 毎日jp(毎日新聞)[リンク切れ]
- ^ 和の国(3月21日)-北海道新聞[リンク切れ]
- ^ 神戸新聞|社会|朝鮮学校に兵庫県が独自助成 井戸知事会見
- ^ 平壌で「日本の反人倫犯罪の被害者たちによる証言集会」 [4]
- ^ [高等学校無償化の適用を求める全国朝鮮高級学校学生連絡会(朝高連絡会) http://allchoko.blog76.fc2.com/category30-2.html]
- ^ 産経新聞2010年3月10日付記事
- ^ 産経新聞2010年3月11日付記事
- ^ 【産経抄】2月27日 - MSN産経ニュース
- ^ 橋下知事が朝鮮学校認可を再検討 「権力崇拝の学校、認可に値するのか」 - MSN産経ニュース [5]
- ^ 韓国の脱北者団体、朝鮮学校無償化しないよう要請 - MSN産経ニュース [6]
- ^ a b 生徒数に関する出典:堺市議会議員、水ノ上成彰氏の朝鮮学校問題に関する資料のページ
- ^ 高校無償化の除外論浮上 朝鮮学校、教育方針は…
- ^ [7]
- ^ 櫻井よしこ (2006年7月8日). “「『民団』団長就任後に続く異常事態発生の不可解 河丙鈺氏はいったい何者か?」”. 週刊ダイヤモンド. 櫻井よしこ. 2010年6月3日閲覧。
- ^ “金父子礼賛色濃く…朝鮮学校教科書、無償化に疑問符”. 産経新聞. (2010年3月11日) 2010年3月14日閲覧。
- ^ a b “「敬愛する金総書記」107回、日米に敵対…朝鮮学校「現代朝鮮史」(2/2ページ)”. 産経新聞. (2010年3月11日) 2010年3月14日閲覧。
- ^ “【主張】朝鮮学校 拉致事件「反省」は方便か”. 産経新聞. (2010年3月13日) 2010年3月14日閲覧。
- ^ a b c 統一日報 2008年2月6日[リンク切れ]
- ^ 参考:朝鮮学校の新カリキュラム作り始まる/2003年度実施へ(出典:朝鮮新報)
- ^ a b “「朝鮮学校で放課後に洗脳教育」中井拉致担当相”. 産経新聞. (2010年4月25日) 2010年6月3日閲覧。
- ^ 平成22年11月17日 参院予算委・山谷えり子質問
- ^ 在日同胞6人も選出 朝鮮新報 2009.3.11
関連項目
|
||||||||||||||||||||||||||