大学院

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大学院(だいがくいん)とは、大学の学部課程の上に設けられ、学部課程を卒業した、およびこれと同等以上の学力を有すると認められた者を対象に、学術理論および応用を教育研究し、文化の進展に寄与することを目的とするものである(学校教育法第99条)。

大学院には、博士前期課程博士後期課程一貫制博士課程後期3年博士課程4年制博士課程修士課程専門職学位課程などと通称される多数の課程がある。

概説[編集]

1876年アメリカ合衆国ジョンズ・ホプキンス大学に世界で初めて「大学院」が設置された[1]

日本では、1880年明治13年)に東京大学の法・文・理の3学部に設置された「学士研究科」が大学院の起源とされる[1]1886年(明治19年)の帝国大学令により、帝国大学は「分科大学」(のちの学部)と「大学院」とで構成されると規定され、各帝国大学に大学院が設置されていくことになる。また、1887年(明治20年)の学位令により、博士号の授与が行われるようになった。1918年大正7年)の大学令により、帝国大学以外にも大学が設置可能となるが、帝国大学が学部と「大学院」とで構成されるのに対し、帝国大学以外の大学は学部と「研究科」で構成されることになり、「大学院」の設置は認められなかった[2]。戦後、新制大学になって大学院の設置が旧帝国大学以外でも可能になった。

1991年文部科学省大学審議会が、大学院の量的整備の緩和を答申し、それまで研究者養成機関と考えられていた大学院に、高度職業人を養成するための夜間大学院専門職大学院などが加わり、院生の数が大幅に増加した[3]。その結果、有名校の大学院でさえ定員割れが起こる事態にもなり、なかには面接だけで入学できるところも現れた[3]。社会人修士の場合(一年制からあり、学試のない場合や、土日・夜間でも履修できるなどの便宜が図られている[4][5])、分野によっては専門的知識・技能の習得に役立つか疑問視する研究者もあり、研究科によって教育成果に差がみられる[6]

大学の中に学部研究科が置かれており、大学院では専攻分野の大きな括りを「研究科」、研究科の分野を細分したものを「専攻」と呼んでいる。ただし、2000年(平成12年)4月1日以降は異なった名称・形態の下部組織も現れた。大学院には「修士課程」、「博士課程」、「専門職学位課程」がある。更に細分化された過程が置かれている場合もある。2003年(平成15年度)に、専門職大学院の制度が作られ、法科大学院などが作られた。それに伴い、学部をおくことなく大学院をおく大学(いわゆる大学院大学)も増加した。

現在では大学進学者が従来と比べて大幅に増加したため、学部を卒業しただけでは高学歴とみなされなくなってきており、特に専門性が要求される理系大学の学生ほど大学院への進学者が多くなっているが、社会人大学院の制度が始まって以降は、分野によっては、修士修了に実績が伴わない場合も見られる[6]東京大学京都大学では学部卒業者の5割から6割ほどが大学院に進学する[7][8]

大学院に進学するためには、一般的には大学の学部を卒業するか、個別の入学資格審査に合格し学部卒業と同等の学力を有すると認められる必要がある。大学院によっては、学部の卒業を経ない飛び級の制度を設けている場合もある。その後、大学院に進学し大学院の課程を修了した者は、その過程に応じて修士号博士号専門職学位学位が授与される。修士号、博士号、専門職学位はAdvanced Degree(上級学位)と呼ばれる。

Advanced Degree(上級学位)をとるための制度はによって多少異なる。日本やアメリカなど多くの国では大学院に学生として所属し、授業単位を修得した上で論文を書き、学位を取得するのが通常である。一方で、ドイツなどでは博士取得を目指す者は、教員に指導を受けるとしても、学生となる(学籍登録し授業料を払う)とは限らない。日本においても、学生として大学に所属せずに論文を書き、大学に提出して審査を経て博士の学位を取得する論文博士の制度が残されている。

組織[編集]

日本における大学院組織[編集]

日本の教育制度においては、大学院は、大学(短期大学を除く)におくことができる(学校教育法第97条)、とされている。

大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥を究め、または高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする(学校教育法第99条第1項)。また、大学院のうち、学術の理論および応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培うことを目的とするものは、専門職大学院とされる(学校教育法第99条第2項)。

大学院をおく大学には、研究科をおくことを常例とされる(学校教育法第100条)。研究科は、専門分野に応じて、教育研究上の目的から組織されるものである(大学院設置基準第5条)。

ただし、当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、文部科学大臣の定めるところにより、研究科以外の教育研究上の基本となる組織をおくことができる(学校教育法第100条ただし書き)。研究科以外の教育研究上の基本となる組織をおくことができるようになったのは、2000年4月1日からであるが、この日に、九州大学の全ての大学院が、学生が所属する教育部として学府、教員が所属する研究部として研究院という組織をもつ大学院へと改組され、東京大学では新たに教育部として学府を、研究部として学環をもつ大学院情報学環・学際情報学府が設置された。

大学院には、2以上の大学が協力して教育研究を行う研究科・課程をおくことができる方式が2つあり、一つ目は、連合研究科(れんごうけんきゅうか)、連合大学院などと呼ばれる方式(大学院設置基準第7条)で、例えば、東京学芸大学横浜国立大学千葉大学埼玉大学よりなる東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(教育学の博士課程)がある。その他に連合農学研究科連合獣医学研究科連合小児発達学研究科がある。二つ目は、共同教育課程を編成する方式(大学院設置基準第31条)で、共同大学院ともよばれ、例えば東京女子医科大学早稲田大学による共同先端生命医科学専攻がある。なお、連合大学院では基幹となる研究科に組織を設置し、教員・学生は基幹校に所属し、基幹校の名義の学位を出す一方、共同教育課程ではすべての構成大学に組織を設置し、教員・学生はすべての構成大学に所属し、すべての構成大学の連名で学位を出すといった違いがある。

日本以外における大学院組織[編集]

大学院大学[編集]

日本においては、大学には学部(学部以外の教育研究上の基本となる組織を含む)をおくことを常例としている(学校教育法第85条)。しかし、教育研究上特別の必要がある場合においては、学部(学部以外の教育研究上の基本となる組織を含む)をおくことなく大学院をおくものを大学とすることができる(学校教育法第103条)。学部をおくことなく大学院をおく大学は、大学院大学(だいがくいんだいがく)などと呼ばれる。日本初の大学院大学は1982年に財界主導で設立された国際大学である。大学院大学でない大学では例えば工学部に対する工学研究科のように学部名と同一の名称を持つ、あるいは同一名称でなくとも直接関連する大学院を置くことが多く、これを二階建て大学院という。それに対して対応する学部を持たない大学院研究科は独立大学院あるいは独立研究科と呼ばれる。大学院大学のうち、大学以外の研究機関と協力しているものは、連携大学院(れんけいだいがくいん)などと呼ばれることもある。

大学院で授与される学位[編集]

大学(短期大学を除く)は、学位規則(昭和28年文部省令第9号)などに基づき、大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了した者に対し、修士または博士の学位を、専門職大学院の課程を修了した者に対し専門職学位を授与する(学校教育法第104条第1項)。大学は、学位規則などに基づき、大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了することで博士の学位を授与された者と同等以上の学力があると認める者に対し、博士の学位を授与することができる(学校教育法第104条第2項)。大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了することで授与をされる博士の学位を課程博士と呼ぶことがある。また、「大学院(専門職大学院を除く)の課程を修了することで博士の学位を授与された者」と同等以上の学力があると認められて授与される博士の学位を論文博士と呼ぶことがある。いずれも学位規則等に規定された正式な呼称ではなく、一般的には、どちらの取得方法であっても同じ博士の学位として扱われる。

大学院の課程[編集]

大学院には、各種の課程がある。大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)においては、大学院における課程として、修士課程、博士課程、専門職学位課程(専門職大学院の課程)の3種類の課程が規定されている。専門職大学院の課程は、組織上、各大学がおく大学院に専門職学位課程としておかれる。大学院をおく各大学の学則などでの運用においては、3種類の課程の課程について、細かく分けたり、合わせたりして呼称している。各大学の学則などにおける呼称としては、主に修士課程・博士前期課程、博士後期課程・後期3年博士課程、一貫制博士課程、4年制博士課程、専門職学位課程などがある。

2000年代以降は、大学院において専門の教育と訓練を受けた、各分野において指導的役割を果たす、高度で専門的な職業能力を有する人材(高度専門職業人)の養成という社会的な要望から、主に社会人の経歴を有する者を教育する大学院の課程(社会人大学院などとも呼ぶ)の設置も相次いでいる。2003年度からは、専門職大学院の制度が作られ、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とする法科大学院などが作られた。専門職大学院については、学術の理論および応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培うことが強調されている。大学院の設置基準としては、大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)などがあり、専門職大学院に関しては、加えて、専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)などが適用される。

各課程の目的については、次のように定められている。

博士課程 専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行うこと。
又、その他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと[9]
修士課程 広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うこと[10]
専門職学位課程 高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うこと[11]

各種定義と用法[編集]

大学院における課程について表現するにあたってはいくつかの方法があり、方法ごとに意味が異なっている。

大学院設置基準によるもの[編集]

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大学院設置基準に定められている大学院の課程は、「修士課程」「博士課程」「専門職学位課程」の3種のみである。修士課程は、大学卒業後の標準修業年限が一般に2年である課程であり、修了した者には修士の学位が授与される。博士課程は、大学卒業後の標準修業年限が一般に5年である課程であり、修了した者には博士の学位が授与される。専門職学位課程は、修了した者には専門職学位が授与される課程であり、大学卒業後の標準修業年限は一般に2年以内であり、法科大学院(もっぱら法曹の養成を行う課程)の標準修業年限は3年である。

このうち、博士課程は、前期2年と後期3年に区分するもの(学則等では主に「博士前期課程」「博士後期課程」などと呼称)と、後期3年のみの課程のもの(学則等では主に「後期3年博士課程」などと呼称)、区分を設けないもの(学則等では主に「一貫制博士課程」などと呼称)、医学・歯学・臨床薬学・獣医学を履修するもの(学則等では主に「4年制博士課程」などと呼称)に分かれる。博士課程のうち前期2年に区分された課程は、大学院設置基準上の修士課程とみなすことになっている。

学則等に見られる用法[編集]

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各大学によって異なるが、しばしば学則等では、「博士前期課程」「博士後期課程」「一貫制博士課程」「後期3年博士課程」「4年制博士課程」「修士課程」「専門職学位課程」などに区分する方法が見られる。

博士前期課程と修士課程は、大学卒業後の修業年限を2年とし、修士の学位の授与が得られる課程である。両者の教育内容は同一であるが、当該課程の上に博士後期課程が設けられていれば「博士前期課程」とされ、博士後期課程が設けられていなければ「修士課程」とされる。

一貫制博士課程は、前期2年と後期3年に区分しない博士課程のことである。

後期3年博士課程は、博士前期課程(前期2年の博士課程)との接続がない後期3年のみの博士課程である。また4年制博士課程は、修業年限を6年とする学部に接続する医学・歯学・臨床薬学・獣医学を履修する博士課程である。

専門職学位課程は、修了した者には専門職学位が授与されるという専門職大学院の課程である。

俗な用法[編集]

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俗な用法においては、学則等で用いられる「修士課程」と「博士前期課程」について単に「修士課程」と呼び、学則等で用いられる「博士後期課程」「一貫制博士課程」「後期3年博士課程」「4年制博士課程」を「博士課程」と呼ぶ表現も見られる。なお、学則で博士前期課程を修士課程と呼ぶと正式に定めている場合もある[12]

大学院の課程と教育内容[編集]

日本では、一般的には、修士の学位や専門職学位を授与された後に、後期3年の博士課程に進学できるようになっている形態が多い。しかし、一貫制博士課程を設けて修士水準から博士水準までの一貫教育を行う大学院もある。

修士課程・博士前期課程、専門職学位課程では、一般的に2年以上在学して要件を満たすことで学位の授与を受けることができる。授与される学位は、修士課程・博士前期課程では「修士の学位」、専門職学位課程では「専門職学位」である。

修士の学位」または「専門職学位」の授与を受けた後に、博士後期課程・後期3年博士課程で3年在学して要件を満たせば博士の学位の授与を受けることができる。また、「修士の学位」または「専門職学位」の授与を受けていなくても、一貫制博士課程で5年在学して要件を満たしても「博士の学位」の授与を受けることができる。

なお、以下の課程の分類においては、#学則等に見られる用法を用いた。

修士課程・博士前期課程[編集]

博士前期課程、修士課程は、「広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うこと」を目的している。学部を卒業した者などが入学者選考試験を経て、合格したものが入学できる。標準修業年限は2年。ただし、在学中に特に優れた成果を挙げたものは修業年限を短縮できる学校もある。修了するためには、規定の単位を取得し、研究指導を受け、各大学院による修士論文審査と試験に合格することが必要である。修士論文審査は、課程によっては、研究成果の審査(つまり修士論文を作成しなくてもよい)であることもある。修了すると修士の学位が授与される。

博士後期課程・後期3年博士課程[編集]

博士後期課程・後期3年博士課程は、「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと」を目的としている。修士の学位や専門職学位を授与された者などが入学者選考試験を経て、合格した者が入学できる。標準修業年限は3年。ただし、在学中に特に優れた成果を挙げたものは標準修業年限を短縮できる学校もある。修了するためには、規定の単位を取得し、研究指導を受け、各大学院による博士論文審査と試験に合格することが必要である。修了すると博士の学位が授与される。

標準修業年限は3年であるが諸外国と同様、業績を得るためにそれ以上の年限在学する者も珍しくはない。そのため、経済的・将来性の面から断念(中途退学)する者が比較的多いのが博士課程の特徴である。また、修業年限以上在学したものの論文審査に合格できずに中退した者は単位取得退学、満期退学と呼ばれる。従来は、退学の場合でも研究業績によっては大学、国の研究機関等で正規の研究員として職を得ている者も少なくなかった。しかし、現在では、研究機関に職を得る時の応募条件として、博士の取得が条件となっていることが多い。

一貫制博士課程[編集]

一貫制博士課程は、前期2年および後期3年の課程の区分を設けない課程であり、「専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うこと」を目的として一貫して教育を行う。この課程は、学部を卒業した者などが入学者選考を経て、合格した者が入学できる。修了するためには、規定の単位を取得し、研究指導を受け、各大学院による博士論文審査と試験に合格することが必要である。修業年限は5年。ただし、在学中に特に優れた成果を挙げたものは修業年限を短縮できる学校もある。修了すると博士の学位が授与される。

一貫制博士課程に入学し、前述の博士前期課程、修士課程の修了要件を満たした場合、大学院によっては、修士の学位が授与される。

4年制博士課程[編集]

4年制博士課程は、標準修業年限を4年としている、医学を履修する博士課程、歯学を履修する博士課程、6年制薬学系の大学の学部に接続している薬学を履修する博士課程、獣医学を履修する博士課程である。修了すると博士の学位が授与される。目的、修了要件、授与される学位は、一貫制博士課程と同様である。

4年制博士課程に接続する学部の修業年限は6年であるため、4年制博士課程に入学できる者は、修業年限を6年とする大学の学部を卒業した者、修士の学位を授与された者、専門職学位を授与された者などである。

専門職学位課程(専門職大学院の課程)[編集]

専門職学位課程は、専門職大学院の課程であり、「高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うこと」を目的としている。大学(短期大学を除く)を卒業した者などが入学できるが、通例として入学者選考が課され、合格したもののみが入学できる。修了するためには、規定の単位の取得その他の教育課程の履修により課程を修了することが必要である。標準修業年限は、通例2年であるが、専攻分野によっては、1年以上2年未満である。修了すると修士(専門職)の学位が授与される。専門職学位課程で授与される学位は、専門職学位と呼ばれる。

法科大学院は、法曹養成のための特別な専門職学位課程である。修了するためには、規定の単位の取得が必要である。修業年限は3年。修了すると「法務博士(専門職)」の学位が授与される。

夜間授業・通信教育[編集]

大学院の夜間授業[編集]

主に夕刻から授業を始める大学院の課程であり、通常の研究科が夜間にも授業を行っている形態と「夜間において授業を行う研究科」(夜間研究科、夜間大学院)の形態の2種類がある。学部の夜間部(第2部)や「夜間において授業を行う学部」(夜間学部)の大学院版ともいえる。日中、仕事を持つ社会人などが、終業後に通学するなど利便性の点で、大学院の通信教育とともに注目されている。なお、修了して授与される学位は、大学院の(昼間において授業を行う)通常の課程を修了して授与されるものと同一のものである。なお、日本初の夜間大学院は1958年に開設された東京電機大学大学院工学研究科電気工学専攻である。また文科系における日本初の夜間大学院は、1990年開設の青山学院大学大学院国際マネジメント研究科である。さらに社会人を対象とする日本初の夜間大学院は1989年開設の筑波大学大学院修士課程教育研究科、経営・政策科学研究科(経営システム科学専攻)である。

大学院の通信教育[編集]

通信による教育を行う大学院の課程であり、大学通信教育を大学院で行うものである。「印刷教材等による授業」(印刷授業)・「面接授業」などの授業や、研究指導を経て学位が授与される。

修士課程・博士前期課程では、放送大学大学院、明星大学大学院、東北福祉大学大学院、名古屋学院大学大学院、帝京平成大学大学院、中京大学大学院、吉備国際大学大学院、倉敷芸術科学大学大学院、人間総合科学大学大学院、桜美林大学大学院、東京福祉大学大学院、高野山大学大学院、東亜大学大学院、京都造形芸術大学大学院、京都産業大学大学院などがある。

また、博士後期課程には、放送大学大学院、日本大学大学院、佛教大学大学院、聖徳大学大学院、日本福祉大学大学院、九州保健福祉大学大学院などがある。

学位の取得について[編集]

これまでの大学院教育では、学位の修得が即ち修了資格と不可分の関係にあり、修了するということは学位の修得を意味していた。 また、その学位の修得状況については修士の学位についてはともかく、一般に日本国内における人文科学、社会科学分野の博士号については、課程期間内で取得するのが困難で、単位取得満期退学で教職に就き、その後研究を積み重ね、定年近くになって名誉称号的に授与されるのが慣例になっていた。しかしながら近年、日本の慣例を嫌う留学生が日本への留学を回避したり、あるいは日本の大学の学生が海外の大学院へ流出したりするという状況が問題とされた。文部科学省が博士課程の本来の趣旨にしたがうよう指導を行うなど、現在では、諸外国や理系分野並に人文・社会系であっても博士課程在学中の博士号の取得が可能となる状況となっている。

また、今日ではその大学院の修士課程及び専門職学位課程、または博士課程の定める学位の他に、他の大学との提携による他大学の学位修得の道が開かれている分野もあり、これをダブルディグリー・プログラムという。一方で、技術と知識の習得のみを前提とし学位の授与を行わないノンディグリー・プログラムも存在し、大学院教育の幅や選択肢は多岐に拡がりつつある。

大学院修了後の進路[編集]

修士課程においては、自然科学系などでは学部卒業者よりも就職の選択肢が広がり、条件が良くなる場合がある。一方、人文・社会系では従来は学部卒業者よりも就職試験において不利とされていたが、近年では、修士課程修了者を対象とした採用の募集も増えてきている。

博士課程においては修了後に、民間企業と公的機関のともに博士号取得者を処遇する正規雇用の職業を確保することが難しい場合もあり、長期にわたり定職に就けない者が出てしまうなどしている。[13]。大学や研究機関においては、経営上の問題から研究者退職後に不補充とするなど、新規採用のポスト不足の問題が指摘されている。

(年々状況は変化するが)一例として、平成17年の状況に関する統計について説明する[14]。この年、博士課程修了者数は1万5千人(内、国立が1万1千人、公立1千人、私立4千人)。その修了者数の内、「就職者」は9千人(修了者の57.1%)。「その他」(=就職できなかった者、しなかった者)が4千人(修了者の23.8%)。「死亡者や不詳の者」1千名(修了者の9.4%)。

「就職者」と分類された者を、さらに産業別に分類すると、「教育、学習支援業」が34.9%で最も高く、次いで「医療、福祉業」27.1%、「サービス業」と分類されるもの(要は、他に分類しづらいもの)14.2%となっている。「就職者」と分類された者を、さらに職種別に分類すると、「教員」が28%、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」25.9%、「科学研究者」22.4%、「技術者」13.6%となっている。

国際公務員[編集]

国際公務員の応募資格は、応募するポストと関連する分野での修士号以上の学位があることが求められる。

教職関係[編集]

修士の学位は教育職員免許状における専修免許状の基礎資格となるため、教員を目指す人が修士課程修了により専修免許状を得て教育現場に入る事例も(教員になろうとする人の数の中ではあくまで小集団ではあるが)増えてはいる。

脚注[編集]

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出典[編集]

  1. ^ a b 『大学・高等教育の経営戦略』(日本教育経営学会) 69頁
  2. ^ 『現代大学の変革と政策: 歴史的・比較的考察』(喜多村和之 著) 87頁
  3. ^ a b コンプレックスは「学歴ロンダリング」で解消?“憧れの東大卒”に導く!カリスマ講師の合格祈願弁当 週刊ダイヤモンド、2011年2月3日
  4. ^ 社会人入試ナレッジステーション
  5. ^ 土日・夜間で学べる大学院一覧大学&大学院net、リクルート
  6. ^ a b 仕事競争モデルと人的資本理論・シグナリング理論の現実妥当性に関する実証分析大谷剛, 梅崎修, 松繁寿和、『日本経済研究』第47号, 2003
  7. ^ http://www.u-tokyo.ac.jp/stu04/e09_01_j.html
  8. ^ http://www.kyoto-u.ac.jp/contentarea/ku_data/sinros2_2009.htm
  9. ^ 大学院設置基準第4条第1項
  10. ^ 大学院設置基準第3条第1項
  11. ^ 専門職大学院設置基準第2条第1項
  12. ^ 東京大学大学院学則第2条第2項および同条第3項
  13. ^ 水月昭道『高学歴ワーキングプア』光文社、2007年、15頁他。
  14. ^ 文部科学省「平成17年度学校基本調査 調査結果の概要(高等教育機関) 卒業後の状況調査 2大学院修了者」

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

前段階の学校 現学校 次段階の学校
大学院修士課程
大学院博士前期課程
大学院専門職学位課程(注1)
2年制
22歳~
同段階の学校

注1: 法科大学院は3年制。
注2: 医学歯学獣医学薬学課程
注3: 医学、歯学、獣医学、薬学以外の課程。


前段階の学校 現学校 次段階の学校
大学院博士後期課程
3年制
24歳~
  • なし注1
同段階の学校

注1: 学校ではないが博士研究員がある。
注2: 医学、歯学、獣医学、薬学の課程

※一貫制博士課程については表を省略。