山中伸弥
山中 伸弥(やまなか しんや、1962年9月4日 - )は、日本の医学者。京都大学教授/京都大学iPS細胞研究所所長。博士 (医学)(大阪市立大学、1993年)。
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[編集] 経歴
[編集] 来歴
大阪府東大阪市出身。小学校時代から大学一年生まで、奈良県奈良市の学園前に居住[1]。
[編集] 略歴
- 1981年3月 大阪教育大学教育学部附属高等学校天王寺校舎卒業(23期)
- 1987年3月 神戸大学医学部卒業
- 1987年7月 国立大阪病院臨床研修医
- 1993年3月 大阪市立大学大学院医学研究科博士課程修了
- 1993年4月 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF) グラッドストーン研究所(Gladstone Institute)博士研究員
- 1996年1月 日本学術振興会特別研究員
- 1996年10月 大阪市立大学医学部助手(薬理学教室)
- 1999年12月 奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター助教授
- 2003年9月 奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター教授
- 2004年10月 京都大学再生医科学研究所教授(再生誘導研究分野)
- 2008年1月 京都大学物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長
- 2010年4月 京都大学iPS細胞研究所長
[編集] 臨床医志望から研究者志望へ
神戸大学卒業後、国立大阪病院整形外科で臨床研修医として勤務。その時、重症になったリウマチの女性患者を担当し、患者の全身の関節が変形した姿を見てショックを受け、重症患者を救う手立てを研究するために研究者を志すようになる[2]。
[編集] iPS細胞の研究
大阪市立大学大学院で薬理学研究を開始。博士研究員としてグラッドストーン研究所へ留学しiPS細胞研究を始める。その後、帰国して日本学術振興会特別研究員(PD)を経たのち、日本の医学界に戻るが、その研究環境の酷さに絶望し、ノイローゼ・うつ病状態になる。基礎研究を諦め、研究医より給料の良い臨床医へ戻ろうと半ば決意した中、公募で見つけた奈良先端科学技術大学院大学へ応募したところ採用に至り、アメリカ時代と似た研究環境の中で再び基礎研究を再開する。
奈良先端科学技術大学院大学でiPS細胞の開発に成功し、2004年に京都大学へ移籍。
[編集] iPS細胞の開発
2006年8月25日の米学術雑誌セルに京都大学再生医科学研究所教授である山中と特任助手だった高橋和利(現、助教)らによる論文が発表された。論文によると山中らはマウスの胚性繊維芽細胞に4つの因子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)を導入することでES細胞のように分化多能性を持つマウス人工多能性幹細胞(iPS細胞:induced pluripotent stem cell)を確立した。
2007年11月21日、山中のチームはさらに研究を進め、人間の大人の皮膚に4種類の発癌遺伝子などの遺伝子を導入するだけで、ES細胞に似たヒト人工多能性幹(iPS)細胞を生成する技術を開発、論文として科学誌セルに発表し、世界的な注目を集めた[3]。また同日、世界で初めてヒト受精卵からES細胞を作成したウィスコンシン大学教授のジェームズ・トムソンも、山中のマウスiPS細胞生成の研究成果を基に、人間の皮膚に発癌遺伝子などの4種類の遺伝子を導入する方法でヒトiPS細胞を作製する論文を発表した[3]。
山中らが作り上げたのは、大人の皮膚細胞に発癌遺伝子などの4種類の遺伝子を導入するだけで、がん細胞と同じようにほぼ無限に増殖し、神経や筋肉、骨などのあらゆる細胞に変わる胚性幹(ES)細胞(万能細胞)に似た「人工多能性幹(iPS)細胞」である。
これまで、ES細胞は卵子や猿などの動物の胚などを利用するしか作る方法がなかった。女性から卵子を取り出すのは危険であり、また生命(もしくは、これから生命となる物)を扱う事に対して倫理的にも問題があったため、研究は進まなかった。しかし、山中らが開発したこの方法では、人間の皮膚から作られるため、危険性や倫理的な問題などを回避する事ができ、論争に関わりなく研究が進められる。
これらの功績により、韓国のソウル大学教授黄禹錫の論文捏造によって一時停滞していた幹細胞研究が、一気に進むことが期待されている。大統領のブッシュは、研究が発表された2007年11月21日、すぐさまウィスコンシン大学の研究に支持を表明するなど世界中で注目を集めている[4]。日本も遅れまいと、2007年11月23日、5年で70億円を支援する事を決定。さらに、早期の臨床応用のための枠組みを早急に策定し、国内での研究を加速する「オールジャパン」体制を構築する方針である[5]。
しかし、この技術を使えば男性から卵子、女性から精子を作るのも可能となり、同性配偶による子の誕生も可能にするため、技術適用範囲については大いに議論の余地が残っている。
さらには、iPS細胞は発癌遺伝子を導入するなどしてがん細胞と同じように無限増殖性を持たせた人工細胞であり、遺伝子導入の際に使用しているレトロウイルスなどが染色体内のランダムな位置に発癌遺伝子などの遺伝子を導入してしまうため、元々染色体内にある遺伝子にも変異が起こって内在性発癌遺伝子を活性化してしまう可能性があるなど、実際に人体に移植・応用するには大きな課題が残っている。
[編集] 受賞歴
- 第10回 2004年度(平成16年度) ゴールド・メダル「東京テクノ・フォーラム21賞」:「初期胚の分化や腫瘍形成を調節する因子の発見と再生医療への応用」
- 第3回(平成18年度) 日本学術振興会賞:「細胞の核を初期化する遺伝子の解析と多分化能を持つ幹細胞の樹立」
- 第25回(平成19年度)大阪科学賞:「細胞核を初期化する遺伝子の同定と多能性幹細胞の樹立」
- 2007年度 朝日賞「万能細胞作製に関する新手法の開発と実証」[6]
- 2007年度 井上学術賞
- 2007年度 マイエンブルク賞:Meyenburg Award 2007 [Meyenburg Foundation / German Cancer Research Center (DKFZ)]
- 2008年度 ロベルト・コッホ賞[7]
- 2008年度 科学技術特別賞
- 2008年度 ショウ賞(生命科学・医学部門):人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究[8]
- 2008年度 紫綬褒章
- 2008年度 上原賞(多能性幹細胞の維持と誘導に対し)[9]
- 2008年度 山崎貞一賞(多能性幹細胞の維持と誘導)[10]
- 2008年度 島津賞(人工多能性幹細胞による生体反応予想に対し:日本生化学会推薦)[11]
- 2008年度 武田医学賞(多能性幹細胞の維持と誘導)[12]
- 2008年 中日文化賞受賞[13]
- 2009年 ガードナー国際賞
- 2009年 アルバート・ラスカー基礎医学研究賞
- 2010年 発生生物学マーチ・オブ・ダイムズ賞
- 2010年 京都賞先端技術部門
- 2010年 バルザン賞
- 2010年 奈良先端科学技術大学院大学栄誉教授称号授与
- 2010年 文化功労者
- 2011年 ウルフ賞医学部門:「人工多能性幹細胞(iPS細胞))研究への革新的な貢献」(MIT教授のルドルフ・イエーニッシュとの共同受賞)
[編集] 選出歴
- 2008年 The 2008 TIME 100 - The World's Most Influential People (世界で最も影響力のある100人)
[編集] 参考文献
- ^ あらい日誌/奈良県公式ホームページ
- ^ 「科学者になる方法」第10回 京都大学 再生医科学研究所 教授 山中 伸弥 氏
- ^ a b “ヒトの皮膚から万能細胞、再生医療に画期的成果 京大チームが成功”. 産経新聞 11月21日..閲覧。
- ^ “米大統領、万能細胞研究に支持を表明”. 産経新聞 11月21日..閲覧。
- ^ “「万能細胞」国が支援、再生医療実用化へ5年で70億円”. 読売新聞 11月23日..閲覧。
- ^ “朝日賞:過去の受賞者”. 朝日新聞 2009年11月7日閲覧。
- ^ “Träger des Robert-Koch-Preises seit 1970” (ドイツ語). Robert-Koch-Stiftung e.V. 2009年11月7日閲覧。
- ^ “Announcement of The Shaw Laureates 2008”. The Shaw Prize. (2009年6月10日) 2009年11月1日閲覧。
- ^ 平成20年度上原賞受賞者
- ^ 第8回(平成20年度)山崎貞一賞バイオサイエンス・バイオテクノロジー分野受賞者
- ^ 平成20年度島津賞受賞者及び研究開発助成金受領者
- ^ “武田医学賞受賞者”. 武田科学振興財団 2009年10月17日閲覧。
- ^ “中日文化賞:第61回(平成20年)”. 中日新聞 2009年10月19日閲覧。
[編集] 関連項目
- 胚性幹細胞(ES細胞)
- 人工多能性幹細胞(iPS細胞)
- 京都大学 - 京都大学再生医科学研究所
- iPSアカデミアジャパン株式会社
- 京都大学 - 京都大学iPS細胞研究所
- 奈良先端科学技術大学院大学 - バイオサイエンス研究科
[編集] 外部リンク
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