隆大介

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りゅう だいすけ
隆 大介
本名 張 明男[注釈 1][2][3]
別名義 柳 明男
生年月日 (1957-02-14) 1957年2月14日
没年月日 (2021-04-11) 2021年4月11日(64歳没)
出身地 日本の旗 日本東京都[注釈 2]
国籍 大韓民国の旗 韓国[4]
身長 187 cm[5]
血液型 O型
職業 俳優
活動期間 1977年 - 2015年
2018年 - 2021年
事務所 ケィ・サイド
主な作品
映画
影武者

踊る大捜査線 THE MOVIE
テレビドラマ
峠の群像
翔ぶが如く
 
受賞
日本アカデミー賞
新人賞
1980年影武者
ブルーリボン賞
新人賞
1980年影武者
その他の賞
第28回エランドール賞 新人賞(1983年
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隆 大介(りゅう だいすけ、1957年2月14日[5] - 2021年4月11日[2][6][7])は、日本で活動する韓国国籍の俳優東京都出身。身長187cm。無名塾(一期生[3])出身[5]仕事、オフィス隆、アースピクチャーズ、五社プロダクション東映マネージメントを経て、2017年6月7日からケィ・サイド所属。

来歴[編集]

東京都立大森高等学校、横浜放送映画専門学校(現:日本映画大学)卒業。

1975年、無名塾に一期生として入塾[3]

1977年公開の映画『姿三四郎』に張明男の名義で出演[注釈 3]。翌1978年、芸名を隆大介とした。芸名の「隆」は無名塾を主宰する仲代達矢の妻であり師である宮崎恭子の筆名「隆巴」から、「大介」は仲代の主演作『人間の條件』で仲代が演じた「梶大介」から取ったもの。

1980年公開の黒澤明監督映画『影武者』の織田信長役で、ブルーリボン賞新人賞を受賞[6]。テレビではNHK大河ドラマ峠の群像』の浅野内匠頭役でエランドール新人賞を受賞した。主な出演作に映画『幻の湖』『遠野物語』『五条霊戦記 GOJOE』『踊る大捜査線 THE MOVIE』などがある。声優としても活躍し、『特捜刑事マイアミ・バイス』で主人公のジェームズ・ソニー・クロケット刑事や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(DVD版)のロバート・デ・ニーロの吹替を担当している。

1989年公開の五社英雄監督『226』に出演した際、田原総一朗に「戦後の豊かな時代の育ちなのに純粋軍人のファナティックな美と危なさを、まるで持ち前のキャラクターであるかのように表現している」と評された[8]。また、映画評論家の的田也寸志は、2000年公開の『五条霊戦記』での弁慶役について、「そもそも彼の面立ちは、慈悲をもたらす様々な仏の顔に似ているのだが、その点を除いても今回の彼の演技は、鬼が仏へと転ずる美しさを見事に体現してくれているのだ。」と評している[9]

実写版『ブラック・ジャック』でピノコ役を演じた田島穂奈美は印象に残った共演者の1人に隆大介を挙げている[10]。『五条霊戦記』で共演した細山田隆人は隆と色々と話をしたといい、「隆さんからは、自分の思うようにやればいいんだよ、と言われて、すごくリラックスできました。」と述べている[11]

2015年に泥酔して暴行事件を起こし逮捕された(#不祥事を参照)。

2021年4月13日、千葉県の自宅で死亡しているところを発見された[6]。4月11日夜に頭蓋内出血により亡くなったと推定されている[6]。64歳没。訃報は10日後の22日に公表された[6]。葬儀や告別式は4月23日までに済ませられており[3][2]、お別れの会を開く予定はないと報じられた[6][7]

人物[編集]

  • 身長187cm[12]、体重87kg。血液型O型。
  • 趣味・特技は乗馬、スポーツ観戦、料理、ギター
  • 家族は妻子がいた。
  • 『五条霊戦記』公開時のインタビューで、自身について「元来、器用じゃない」、「じっくり一つの役や仕事に携わる作り方は、性分に合っています」と語っており、俳優という仕事については「一つの役の中で、ある瞬間にその役の真実が見えることがある。それがすごい。とてもやりがいのある仕事ですね」と述べている[12]
  • 一部では「感情の起伏が激しい上に酒癖が悪く、演劇仲間からも徐々に遠ざけられるようになっていき、売れっ子だったのは1990年代までだった」と言われ、それだけに2014年NHK大河ドラマ軍師官兵衛』に起用された際は「酒癖は直ったのか」と思った関係者が多かったが[13]、2015年に泥酔して暴行事件を起こし逮捕された(#不祥事を参照)。2018年4月7日公開の映画『私は絶対許さない』で暴行事件以降3年ぶりに仕事復帰[14]

不祥事[編集]

2015年3月21日マーティン・スコセッシ監督の新作映画『沈黙 -サイレンス-』の撮影のため台湾を訪れたが、台湾桃園国際空港にて入境審査の際、酒に酔っており、審査官に暴力を振るい骨折させた。その後、警察による事情聴取にも非協力的だったため、現行犯逮捕され、公務執行妨害罪及び傷害罪にあたる罪で送検された[15]。そのため『沈黙 -サイレンス-』の出演契約は解除された[16]

また、台湾の複数のメディアでは韓国籍と報道され[15][16][17][18][19][20][21][22][23][24][25][26][27][28][29]、本名は「Myongnam Chang」(장명남、張明男)とされた[15]

4月15日、桃園地検は公務執行妨害と傷害容疑で起訴したことを明らかにした。また刑期終了後には、台湾からの強制送還を要求するとしている[30]。5月20日、初公判が開かれ、起訴内容を認めた。「被害者に大変申し訳なく思い、深く反省しています」と被害者への謝罪を述べたほか、「酒に酔っていて故意ではなかった」と主張した。検察は法律に基づいてしっかりと処分するように裁判所に要求し、裁判は即日結審した[31]。5月27日、桃園地方裁判所は公務執行妨害罪で懲役4カ月または罰金12万元(台湾ドル)の有罪判決を言い渡した[32]。 2015年5月19日、被害者との間で和解が成立[33]。6月15日、罰金刑が確定した[33]

2015年7月1日、日本に帰国。同日、所属事務所の東映マネージメントからタレント契約を解除された[34]。2018年、3年ぶりに仕事復帰した(上述)[14]

出演[編集]

テレビドラマ[編集]

映画[編集]

Vシネマ[編集]

  • ブラック・ジャック(1996年) - 主演ブラック・ジャック
  • another XX ダブルエックス マトリの女(1998年) - 闇の仲介人 城島
  • 闇の処刑人 / Dジャッジ(2001年)
  • 実録・安藤組外伝 地獄道(2001年、監修:安藤昇) - 不動寺組若頭 下条興業組長 下条明
  • 極道ジハード 〜聖戦〜(2001年)- 長嶺
  • 大脱獄(2002年) - オギハラ(刑務官)
  • 修羅の群れ(2002年) - 林俊一郎(横浜愚連隊四天王)
  • 最強獣誕生 ネズラ-NEZULLA-(2003年) - 主演
  • 新・日本の首領(2004年) - グローブ出版 週刊実録ジャーナル編集長 宗方俊二
  • 実録・名古屋やくざ戦争 統一への道3(2004年) - 岡田義光
  • 実録・関東やくざ抗争史 松田組(2005年) - 極西桜田一家初代 関谷愛治
  • 野望への挑戦 シリーズ(2009年) - 五代目藤堂組大谷組組長 大谷龍三
    • 野望への挑戦(2009年5月) - 五代目藤堂組若頭
    • 野望への挑戦2,完結編(2009年6月,7月) - 五代目藤堂組舎弟
  • 裏切りの仁義(2017年) - 啓仁会若頭 笹川組組長 笹川康生
  • 孤高の叫び1,2(2018年)全2作 - 鷲州組組長 時任繁

舞台[編集]

  • オイディプス王(1978年)
  • 渋谷怪談(1979年) - 島浦太郎
  • ソルネス(1980年)
  • マクベス(1982年) - バンクオー
  • どん底(1985年)
  • ルパン(1987年) - メーテルリンク
  • 欲望という名の市電(1988年) - 金島貞
  • ミュージカル 火の鳥(1989年) - ロック・ホーム
  • リア王(1996年)
  • 鬼と人と(2000年) - 織田信長
  • 二代目はクリスチャン(2005年) - 黒岩
  • 長州異聞―白井飯山小伝―(2006年、2008年) - 白井小助

吹き替え[編集]

テレビ番組[編集]

ラジオ番組[編集]

PV[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ぴあ映画生活人物情報[1]
  2. ^ ぴあ映画生活人物情報[1]
  3. ^ ぴあ映画生活人物情報[1]

出典[編集]

  1. ^ a b c http://www.kinenote.com/sp/public/cinema/person.aspx?person_id=87973
  2. ^ a b c 俳優の隆大介さん死去、64歳…黒沢映画「影武者」「乱」出演”. 読売新聞オンライン (2021年4月23日). 2021年4月23日閲覧。
  3. ^ a b c d 俳優の隆大介さん死去 無名塾出身、映画「影武者」”. JIJI.COM. 時事通信社 (2021年4月23日). 2021年4月23日閲覧。
  4. ^ 有關韓國籍男藝人隆大介來台通關時,攻擊我國移民署官員,造成移民官受傷一事,文化部影視局說明如後中華民国文化部.より。2016年1月8日閲覧。
  5. ^ a b c 所属事務所ケィ・サイドによる隆大介プロフィール”. 2021年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e f "隆大介さん死去 黒澤映画で活躍の個性派俳優 「影武者」でブルーリボン賞新人賞". スポーツ報知. 報知新聞社. 22 April 2021. 2021年4月23日閲覧
  7. ^ a b 俳優の隆大介さん死去、64歳 「影武者」「乱」”. 朝日新聞デジタル (2021年4月23日). 2021年4月23日閲覧。
  8. ^ 田原総一朗「五社英雄が自らの純粋・美学の世界を展開」『キネマ旬報』No.1011 6月上旬号、株式会社キネマ旬報社、6、20頁。 
  9. ^ 的田也寸志「「五条霊戦記」作品評 絶えず攻撃的であれ」『キネマ旬報』No.1318 10月下旬号、株式会社キネマ旬報社、10-15、36-37頁。 
  10. ^ 「巻頭インタビュー 小さな大女優」『Prolog』vol.14、1999年。 
  11. ^ 山縣美幸「巻頭特集 五条霊戦記:細山田隆人」『キネマ旬報』No.1318 10月下旬号、株式会社キネマ旬報社、10-15、29頁。 
  12. ^ a b 山縣美幸「巻頭特集 五条霊戦記:隆大介」『キネマ旬報』No.1318 10月下旬号、株式会社キネマ旬報社、10-15、30-31頁。 
  13. ^ 台湾で大暴れ 隆大介の酒グセ知る関係者「やっぱりやったか」”. 日刊ゲンダイ. 2015年4月30日閲覧。
  14. ^ a b “台湾で暴行し逮捕の隆大介、涙で謝罪「愚かな行為」3年ぶり仕事復帰”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2018年3月1日). https://hochi.news/articles/20180228-OHT1T50192.html 2018年3月1日閲覧。 
  15. ^ a b c 囂張韓男桃機傷人 移民官腿斷送醫 蘋果日報(2015年03月21日)
  16. ^ a b 'Silence' actor allegedly attacks Taiwan immigration official CNA(2015年3月22日)
  17. ^ 應文化部之邀 韓籍日裔演員隆大介醉鬧桃機限制出境 東森新聞(2015年3月22日)
  18. ^ 韩籍艺人参演《沉默》抵台 竟殴伤移民官大紀元
  19. ^ 大介发酒疯 机场打断台湾移民官腿腾讯娱乐
  20. ^ 韩籍日裔演员隆大介醉闹桃园机场限制出境台海网
  21. ^ 58岁韩男星机场发酒疯打断台湾官员左腿大公网
  22. ^ 'Silence' actor allegedly attacks Taiwan immigration officialFocus Taiwan News Channel
  23. ^ 參演《沉默》卻囂張 隆大介醉鬧桃機被限制出境桃園報導
  24. ^ 打破《沉默》 劇組聲明:停止與隆大介合作自由時報
  25. ^ 韩籍日裔隆大介动粗还叫嚣 电影剧组21cn
  26. ^ 韩艺人隆大介发酒疯 机场打断台湾移民官腿南海网
  27. ^ 韓藝人「隆大介」醉鬧機場 打斷移民關腿中時電子網
  28. ^ 太囂張!韓籍演員隆大介來台拍片 酒醉踹斷移民官腿骨三立新聞
  29. ^ 韓星酒醉攻擊移民官影視局:劇組將助賠償中央廣播電台
  30. ^ 桃檢起訴韓裔演員隆大介 請求從重量刑(2015年4月15日 中央通訊社フォーカス台湾)
  31. ^ 大暴れ「申し訳ない」日本の俳優が初公判で謝罪(2015年5月20日 テレビ朝日 ANN NEWS)
  32. ^ “空港職員に暴行”俳優・隆大介被告に有罪判決(2015年5月28日 テレビ朝日 ANN NEWS)
  33. ^ a b 台湾の空港で逮捕の隆大介が帰国「深く反省しております」事務所は契約解除(2015年7月1日 SANSPO.COM 産経デジタル)
  34. ^ 隆大介 暴行事件で解雇 「深く反省」”. デイリースポーツ online (2015年7月1日). 2015年7月1日閲覧。
  35. ^ "武蔵坊弁慶(19) 「壇の浦」". NHK. 1986年9月3日. 2023年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月11日閲覧
  36. ^ 世界名作童話 森は生きている”. メディア芸術データベース. 2016年10月30日閲覧。
  37. ^ “黒沢映画「影武者」「乱」出演の隆大介さん急死 64歳 頭蓋内出血”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2021年4月23日). https://www.nikkansports.com/m/entertainment/news/amp/202104230000416.html 2022年4月23日閲覧。 
  38. ^ NHKアーカイブス NHKクロニクル / FMシアター『黒潮の流れのままに』(2011年2月19日 放送)”. NHK 日本放送協会. 2022年11月5日閲覧。
    NHK FMシアター 2011年 放送済みの作品”. NHK 日本放送協会. 2022年11月7日閲覧。
  39. ^ NHK オーディオドラマ過去作品アーカイブ / 青春アドベンチャー「闇の守り人」(初回放送:2017年4月16日 - 27日)”. NHK 日本放送協会. 2022年11月7日閲覧。

外部リンク[編集]