幻の湖

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幻の湖
監督 橋本忍
脚本 橋本忍
原作 橋本忍
製作 佐藤正之
大山勝美
野村芳太郎
橋本忍
出演者 南條玲子
音楽 芥川也寸志
撮影 中尾駿一郎
斎藤孝雄
岸本正広
編集 小川信夫
配給 東宝
公開 日本の旗 1982年9月11日
上映時間 164分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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幻の湖』(まぼろしのみずうみ)は、1982年に公開された日本映画

概要[編集]

砂の器』、『八甲田山』に続く、橋本プロダクション制作作品。1982年9月11日公開。原作・脚本・監督は、橋本プロ代表の脚本家、橋本忍

主要登場人物の3名(ヒロインの道子、みつ、淀君)については、俳優経験を問わない一般オーディションが行われた[1]。その結果、応募者1627人の中から道子役に南條玲子が選ばれ、女優としての本格的デビューを果たした。

「ネオ・サスペンス」と称し、雄琴ソープランド嬢の愛犬の死を発端とする壮大な物語が展開される大作であったが、あまりに難解な内容のため客足が伸びず、公開から2週間と5日(東京地区)で打ち切られることとなった。その際、その年の夏休み映画だったたのきんトリオの『ハイティーン・ブギ』『ブルージーンズメモリー』が急遽再上映されることとなった。この映画の5週後に続いて公開されるはずだった映画は、橋本と共に『八甲田山』を作った森谷司郎監督、高倉健主演の『海峡』である。都市部のロードショーのみで打ち切りとなったため、舞台である滋賀県の映画館では一度も上映されなかった。

以降、2003年DVD化されるまで、名画座のレイトショー等でもめったに上映されず(東宝がフィルムを出したがらなかったためと言われる)、ビデオ化もテレビ放映もされなかったという、文字通り「幻の」作品だった。また、日本を代表する脚本家であった橋本は、この作品の失敗で映画界での信頼を失ったとされ、1986年頃に2本の映画の脚本を執筆した程度で、事実上の引退状態となった。

橋本自身も当初から脚本に自信が持てず、無理なシチュエーションや不自然なシチュエーションを強引にシナリオで押し通した結果「最後の仕上げでフィルムが全部繋がると、根本的な大きな欠陥と失敗が間違いなく露呈」したと後年認めており、大失敗と位置付けている。[2]

1995年頃から、一部の映画評論本によって取り上げられるようになり、意味深とも意味不明とも取れる内容が新世代のファンにカルトな人気を呼び、現在では『シベリア超特急』(水野晴郎監督)、『北京原人 Who are you?』に並ぶ日本屈指のカルト映画として、前述のDVD化をはじめとした再評価がなされている[誰によって?]。それと軌を一にしてか、橋本自身の映画人としての活動も復活しつつある(詳細については、橋本忍の項を参照のこと)。

東宝創立50周年記念作品[3] 、第37回文化庁芸術祭参加作品。

ストーリー[編集]

雄琴のソープランド街で「お市」の源氏名で働くソープ嬢道子は、愛犬シロと琵琶湖の西岸でマラソンをするのが日課であった。そんな彼女が近頃気になっているのは、葛篭尾崎の付近を走っていると時折聞こえる、哀しげな笛の音だった。

そんなある日、道子の心の支えだった愛犬のシロが和邇浜で殺されているのが見つかった。凶器の包丁と様々な証言をもとに犯人が東京の作曲家日夏という男だと探りあてたものの、警察は頼りにならず、怒った道子は自ら東京へと乗り込む。

かつて道子の店にソープ嬢として潜入していた米国の諜報員ローザの尽力で、日夏の住所とジョギングが趣味であることを知った道子は、得意のマラソンで日夏を「倒れるまで走らせてやる」と決意する。

復讐決行の日。道子はジョギングに出かける日夏の後をつけ、駒沢オリンピック公園に入った所で日夏を後ろから執拗にあおる。しかし都会の空気に不慣れな道子はペースを乱し、スパートをかけた日夏に逃げ去られてしまった。肉体的にも精神的にも敗北感にさいなまれ、道子は公園をさまよう。

復讐に失敗し雄琴に帰った失意の道子を待っていたのは、知り合いの銀行員倉田からのドライブの誘い、そして求婚だった。初めて琵琶湖の東岸を旅したことで暗い情念からも解放された道子は、倉田の求婚を受け入れる。

そんな折、道子は葛篭尾崎で、かの哀しげな笛を吹いていた男、長尾に出会う。長尾が笛の由来として話すのは戦国時代、近江の浅井長政の妻「お市」にまつわる、哀しい物語だった。長尾はその哀しげな笛で、織田信長に殺され葛篭尾崎に沈められたお市の侍女「みつ」の魂を鎮めていたのだ。みつの笛を受け継いだ子孫で、宇宙パルサーとしてNASAで働く長尾は、ある目的で近く大気圏外へ飛び立つのだという。

長尾の話を通じ、史実の「お市」もまた、大切な人をシロのように理不尽に殺されていたのを知った道子は、ただの源氏名だったお市の存在に深く共感し、涙を流す。しかし今更どうにもならないことであった。

結婚のためソープ嬢を辞めようとしていた矢先、なんと偶然にも作曲家の日夏が雄琴の道子の店に現れた。お市とみつの伝説を聞きつけたという日夏は「琵琶湖に沈んだ女の恨み節を書きに来た」と軽薄に笑う。いまや激しい怨念の虜となった道子は、シロを殺した凶器の包丁をやおらひっつかんで日夏を追い回す。

日夏は店の外に逃げ出し、琵琶湖のほとりで過酷なマラソン対決が始まった。シロや倉田の幻にも支えられ、日夏を追って追ってひたすら追いかけた道子は、琵琶湖大橋のたもとでとうとう日夏の足を止めることに成功した。

「勝ったわよ、シロ!」快哉を叫んだ道子が日夏に包丁を突き刺した頃、長尾は地上からはるか離れた地球の衛星軌道にいた。長尾はスペースシャトルの船外に出ると、琵琶湖の上空185キロの位置に鎮魂の笛を静止させた。琵琶湖の水が枯れ果て「幻の湖」となる遠い未来までも、笛が琵琶湖の怨念を鎮めることができるように…。

スタッフ[編集]

本編[編集]

特殊技術[編集]

合成班[編集]

キャスト[編集]

その他[編集]

  • スペースシャトルのミニチュアは、耐熱タイルが1枚1枚まで再現されたリアルな造形となっている[4]
  • 宇宙遊泳のシーンは俳優をクレーンで吊った映像に背景を合成している[4]

脚注[編集]

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  1. ^ 小説版『幻の湖』(橋本忍著 1980年6月25日集英社)挟み込みの橋本プロのチラシによる
  2. ^ 橋本忍「複眼の映像」(文藝春秋、2006)
  3. ^ この名目は本作固有のものではなく、たとえば『海峡』『ひめゆりの塔』『南十字星』といったこの年の他の東宝映画も東宝創立50周年記念作品として公開されている。
  4. ^ a b 石井博士ほか 『日本特撮・幻想映画全集』 勁文社、1997年、282頁。ISBN 4766927060

外部リンク[編集]