モスラの歌
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「モスラの歌」 | ||||
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ザ・ピーナッツ の シングル | ||||
B面 | インファントの娘 | |||
リリース | ||||
規格 | シングルレコード(EP) | |||
録音 | 1961年 | |||
ジャンル |
J-POP 映画挿入歌 | |||
レーベル | キングレコード | |||
作詞・作曲 | 本多猪四郎、田中友幸、関沢新一、古関裕而 | |||
ザ・ピーナッツ シングル 年表 | ||||
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「モスラの歌」(モスラのうた)は、映画『モスラ』の劇中歌。
映画『モスラ』をはじめとする映画に登場する怪獣モスラのテーマソングとして、広く知られる。
概要[編集]
映画『モスラ』の中で小美人が歌う、モスラを呼び出すための歌。作中では架空の島「インファント島」で発見された石碑に書かれた碑文と言う設定である。
「モスラ」の代名詞とも言える楽曲であり、モスラが登場する映画にはそれぞれにアレンジされたバージョンが劇中歌として流れるが、第一作目の主題歌は「インファントの娘」という別の楽曲であった。
歌詞について[編集]
歌詞はインドネシア語を用いており、内容は新潟大学の公式サイトで解説されている[1]。
作詞者の由起こうじは田中友幸、本多猪四郎、関沢新一の3人の共同ペンネームとされるが[要出典]、本多は自身の筆名であることを否定している[2]。
本多によると、東京大学に通うインドネシアの男子留学生に歌詞の意味を伝えて、それをインドネシア語に訳してもらったものであるという[2]。
一方で、助監督であった中野昭慶の話によると、助監督たちがフランス語で原詩を作り、それを英語読みにし、さらにエスペラント語にし、それを歌ったものを逆再生して文字に起こしたものであるという[3][4]。
歌詞のカタカナ表記は、フォース助監督であった針生宏が手掛けた[5]。針生によれば、インドネシア語とみられるローマ字の歌詞をカタカナに描き起こしたといい、曲をつける際に歌いやすいよう変えるだろうと考えていたが、完成作品では針生の書いたものがそのまま使われており驚いたという[5]。
平成モスラシリーズの監督を務めた米田興弘によれば、同シリーズにて歌詞の解析を行ったところ架空の言語だがマラヨ・ポリネシア語族に属しているとの結果を受けたといい、『モスラ3 キングギドラ来襲』ではこれをもとにインファント語を創作している[6]。
文芸評論家の小野俊太郎は、日本語ではない意味不明な歌詞であることが、曲に呪術性を与え、耳に残るものとなったと評している[7]。
オリジナルバージョン[編集]
1978年5月にキングレコードからシングルレコードとしてモノラル音源で発売された後、ステレオ録音の音源が発見され、1995年発売の『「モスラ」オリジナル・サウンドトラック完全盤』に初収録された。
古関による直筆楽譜は、古関裕而記念館が所蔵している[8]。
『ゴジラvsモスラ』バージョン[編集]
1992年11月4日に東芝EMIからシングルCDとして発売された。
『ゴジラvsモスラ』劇中バージョンは、音楽担当の伊福部昭が編曲を行った[9]。本曲の使用は脚本で指定されており、監督の大河原孝夫もこれを希望した[10]。脚本ではすべて「モスラの歌」となっていたが、大河原の要望により伊福部作曲による「マハラ・モスラ」「聖なる泉」も使用している[10]。旧作での原住民のイメージが強い太鼓は外され、伊福部の2曲に合わせたオーケストレーションとしている[9]。
平成モスラシリーズバージョン[編集]
- 編曲:渡辺俊幸
- 歌:小林恵、山口紗弥加(『モスラ3』のみ建みさと)
- 使用作:『モスラ』、『モスラ2 海底の大決戦』、『モスラ3 キングギドラ来襲』
小林恵、山口紗弥加の歌は1996年12月16日にポニーキャニオンから発売された『「モスラ」オリジナル・サウンドトラック完全盤』に収録された。
小林恵、建みさとの歌は1998年11月26日に東芝EMIから発売された『モスラ3 キングギドラ来襲』に収録された。
編曲を担当した渡辺は、エアリスが親モスラを呼ぶシチュエーションから明るくは歌えないと考え、今までにない「モスラの歌」になるよう新鮮な響きとなることを意識したという[11]。伴奏のマリンバとパーカッションは、原始的な地球のエネルギーを表現している[11]。
1作目では死を覚悟した親モスラが戦いに挑む場面で流れるためトラックダウン段階でエネルギッシュさを削ぎ落としており、『モスラ2』では1作目と同じアレンジとし、削ぎ落とした部分も復活させて用いている[12]。『モスラ3』では、アレンジは前2作と同じであるが、監督の米田興弘からの要望により『三大怪獣 地球最大の決戦』の挿入歌「幸せを呼ぼう」をオマージュしたモスラへの呼びかけを加えている[13]。
『モスラ2』での新モスラに張り付いたベーレムをエリアスがビームで落とそうとするシーンでは、「モスラーヤ、モスラ」の部分のみを繰り返す「応援の歌」が用いられた[12]。
『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』バージョン[編集]
- 編曲:大島ミチル
- 歌:大塚ちひろ、長澤まさみ
- 使用映画:『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』
2003年12月3日にキングレコードから発売された『「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」オリジナル・サウンドトラック』に収録された。
とんでこいモスラ[編集]
『三大怪獣 地球最大の決戦』の再上映版『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦』(1971年)に合わせて作られた[14]。日本語詞を追加した、モスラのテーマソング。
1971年12月に東宝レコードから松島みのりの「ムーミンのうた」との両A面シングルとして発売された。
本曲における作詞の由起こうじは、『モスラ対ゴジラ』などで助監督を務めていた梶田興治の筆名である[14]。当時、梶田は東宝テレビ部でプロデューサーを務めていたが、東宝レコードに移籍していた元同僚からの依頼であったという[14]。
モスラ・メタル[編集]
- 作詞・作曲・編曲:柴田直人(作詞・作曲は奇跡の詩パート。編曲はモスラの歌を含めた物)
- 歌:尾藤イサオ&ザ・ピーナッツ
1998年にリリースされたコンピレーションアルバム『決定版 モスラ MOTHRA SONG THE BEST』(キングレコード KICS-708)収録作品。当時、LOUDNESSのメンバーだった柴田直人(現ANTHEM)が「モスラの歌」の編曲及び書き下ろし曲(作詞・作曲)「奇跡の詩」を合わせたものである[15]。ボーカルはザ・ピーナッツの「モスラの歌」の音源と尾藤イサオ。演奏は柴田直人プロジェクト。
後年、尾藤は本作について、柴田のプロデュース能力を高く評価はしているものの、唯一ボーカルの音量が小さかった事に不満を述べていた[16]。
その他のカバー[編集]
- 夢限会社 featuring ナッツ - 1983年、12インチシングル。(日本コロムビア)
- 平山みき - 1993年、アルバム『平山みきのエキゾチカ大魔境』に収録
- 中川翔子・平野綾 - 2016年、トリビュートアルバム『ザ・ピーナッツ トリビュート・ソングス』に収録[17]
- チャラン・ポ・ランタン 2017年の『ゴジラ伝説V』に収録。
- ゴジラ キング・オブ・モンスターズ ベアー・マクレアリーによるアレンジが登場。歌詞はないがメロディはオリジナルに忠実であり、作曲には古関裕而の名前がクレジットされている。
- アメリカのニューヨーク出身のヒップホップ・アーティスト、ラッパーRZAとDJ Scratchによる2022年発表のアルバム「Saturday Afternoon Kung Fu Theater」に収録されている楽曲「Kaiju」でモスラの歌がサンプリングされている。
脚注[編集]
- ^ 新潟大学で学ぶ - はじめて学ぶ外国語 - 豊富な外国語メニュー - インドネシア語
- ^ a b 「本多猪四郎監督 長編インタビュー(1)」 『モスラ/モスラ対ゴジラ』東宝出版事業室〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.2〉、1985年1月1日、149-150頁。ISBN 4-924609-04-8。
- ^ 中野昭慶「追悼・本多猪四郎監督 善い人で、映画が大好きだった人」 『ゴジラVSメカゴジラ』東宝 出版・商品事業室〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.8〉、1993年12月11日、170頁。ISBN 4-924609-45-5。
- ^ ヤマダ・マサミ「第5幕 平成チャンピオンまつり」 『ゴジラ/見る人/創る人』ソフトガレージ、1999年12月26日、119頁。ISBN 4-921068-45-3。
- ^ a b モスラ映画大全 2011, pp. 44–47, 聞き手・中村哲 友井健人「インタビュー 本編助監督 針生宏」
- ^ 東宝SF特撮映画シリーズ13 1998, pp. 36–39, 「MAIN STAFF INTERVIEW 監督:米田興弘」
- ^ モスラ映画大全 2011, p. 47, 文・小野俊太郎「あの歌が耳に残る理由」
- ^ モスラ映画大全 2011, p. 110, 「モスラの音楽」
- ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ7 1993, pp. 162–167, 「インタビュー 伊福部昭」
- ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ7 1993, pp. 74–79, 「インタビュー 大河原孝夫」
- ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ11 1996, pp. 42–43, 「インタビュー 渡辺俊幸」
- ^ a b 東宝SF特撮映画シリーズ12 1997, pp. 42–44, 「音楽 渡辺俊幸」
- ^ 東宝SF特撮映画シリーズ13 1998, pp. 42–44, 「MAIN STAFF INTERVIEW 音楽:渡辺俊幸」
- ^ a b c モスラ映画大全 2011, p. 64, 聞き手・友井健人 中村哲「インタビュー 本編助監督 梶田興治」
- ^ 決定版モスラ [廃盤] CDJourmal
- ^ 酒井康 著 『虹色の音詞II』(シンコーミュージック・エンタテイメント 1999年)254~255p
- ^ “相田翔子&森高千里 ピーナッツを歌う 女性歌手12組がデュエット”. ORICON STYLE. (2016年8月11日) 2016年8月12日閲覧。
参考文献[編集]
- 『ゴジラVSモスラ 超全集』(小学館)
- 東宝SF特撮映画シリーズ(東宝)
- 『ゴジラVSモスラ』東宝出版・商品事業室〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.7〉、1993年1月15日。ISBN 4-924609-43-9。
- 『モスラ』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.11〉、1996年12月21日。ISBN 4-924609-66-8。
- 『モスラ2 海底の大決戦』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.12〉、1997年12月3日。ISBN 4-924609-69-2。
- 『モスラ3 キングギドラ来襲』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.13〉、1998年12月12日。ISBN 4-924609-74-9。
- 『別冊映画秘宝 モスラ映画大全』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年8月11日。ISBN 978-4-86248-761-2。
関連項目[編集]
- エール (テレビドラマ) - NHK「連続テレビ小説」 (2020年)