日本誕生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
日本誕生
The Three Treasures[1]
監督 稲垣浩
脚本
製作
出演者
音楽 伊福部昭
撮影
編集 平一二
配給 日本の旗 東宝
公開 日本の旗 1959年10月25日
上映時間 182分[1]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 2億5000万円[2]
配給収入 3億4432万円[3]
テンプレートを表示

日本誕生』(にほんたんじょう)は、1959年10月25日公開の日本映画。製作、配給は東宝[1]カラー東宝スコープ[1]。監督は稲垣浩、主演は三船敏郎

併映作品は『燃えろ聖火』(日本映画社製作・東宝配給)[1]

概要[編集]

東宝映画1,000本目の記念作品として、三船敏郎をはじめとする豪華キャストで製作された[4][5][6]。『古事記』『日本書紀』に基づいた日本創世の物語の映像化作品である[4][5]。上映時間が180分と長かったため、途中に休憩が入った。

元々はゴールデンウィークでの公開を予定していたが、製作準備が間に合わず、急遽代替作品として『或る剣豪の生涯』が同じスタッフ・キャストによって撮影され、その間は特撮班も作業を中断して『孫悟空』などの特殊技術を手掛けている[7]

阿蘇でのロケ中はスタッフの食費が抑えられていたため、三船はスタッフを気遣って食事を作っている。また、悪天候によって撮影が不可能となった際には、ダンスパーティを開いた[8]

1959年7月4日に宣伝行事として、霧島神宮の御神火を拝受して、スクーターで東宝撮影所の岩戸神楽セットまで運ぶ御神火リレーが開催され、20日間かけて完走した[7]

2005年には稲垣の生誕100周年を記念し、他の名作も含めてニュープリントで再上映された。

特撮[編集]

  • 円谷英二が自ら設計し、6200万円の製作費で造られたカラー・シネスコ合成機「バーサタイル・プロセス」が初めて使用されており[4]、日本映画技術賞を受賞している。
  • 神罰によって大伴の軍勢が洪水や溶岩流に追われ、逃げる途中で巨大な地割れが起こって大勢の兵が落ちる場面では、人形などを使うと迫力に欠けるため、1200本の丸太にトラック百台分の土砂を載せて人工的に造った地面を引っ張って地割れを起こし、実際に人間を落として迫力ある場面を撮影した[4]
  • 火山噴火のシーンでは7トン以上の熔鉄が用いられており[7]、洪水のシーンでは10トンの水が用いられている[9]

あらすじ[編集]

語り部の媼が話す伊邪那岐伊邪那美の両神の国産みを中心に日本神話の幻想的な映像から始まり、主題である日本武尊の物語に入る。

小椎命(おうすのみこと)は、兄を追放するという勇猛な性格を父(景行天皇)に警戒され、九州の熊曽征伐を命じられる。大伴建日連が一族出身で天皇の後添いの子・若帯を皇位につけようと画策しているのである。伊勢のおばの倭姫の所で巫女の弟橘姫に出会う。女装して近づくという巧みな計略で見事に熊曽を討ち取った小椎は熊曽の弟タケルから兄の非道の報いだが、兄を討ってもいいと思っていたと告白される。そして日本武尊を名乗ってくれと頼まれる。大手柄を立てて都に帰った日本武尊に、天皇は休む間もなく東国の征伐を命じる。父は自分を嫌っているのか、と沈痛な気分になる。

語り部の媼は天照大神高天原にいた時、弟の須佐之男 が悪戯を繰り返し、天岩戸に隠れてしまい、災いが起こった話をする。倭姫は須佐之男が父の伊邪那岐から疎まれていた話をして、日本武尊は天皇からという一振りの剣(天叢雲剣、別名・草薙の剣)と私からという万が一に開けるべき袋を与えられて力づけられる。その剣の由来は神代の昔、須佐之男命八岐大蛇を退治して奇稲田姫を助けた際に手に入れたものであったが、天皇ではなく倭姫がくれたものであった。尾張で美夜受姫に招かれ、殺されそうになるが、心が通じる。相模国に入り、焼津でだまし討ちにあって猛火に囲まれた日本武尊の命を救い、「草薙(くさなぎ)の剣」と呼ばれるようになる。天皇の悪意を確信し、征伐の無意味さを知り、大和に引き返すことにする。途上の船で、大嵐で遭難しそうになる。この時、弟橘姫が人身御供となって海の中に飛び込み、皆を助ける。

日本武尊は戦いは無益と倭姫と熊襲の弟に教えられたからもはや大和には帰らぬという。しかし、大伴一派に父が討伐を止める命令を出し、日本武尊を待っていると騙され、敵の総攻撃に遭い、命を落とす。が一羽の白鳥となって空に向かい、大伴の一味と手勢は神罰により洪水溶岩流に飲まれて全滅。白鳥は倭姫の館を旋回した後、高天原に向かって飛んでいく。

登場キャラクター[編集]

諸元
八岐大蛇
別名 神話怪獣[14][注釈 1]
身長 300m[17][注釈 2]
体重 1万t[18][注釈 3]
出身地 出雲の国[12][5]
八岐大蛇
倭姫の語りによる劇中劇として須佐之男による八岐大蛇退治が登場する。
  • 八岐大蛇は初の操演による怪物として描写された[5]。湖から現われる八岐大蛇は、水底にレールを敷いて動かした。頭部は内蔵したゴムチューブに圧搾空気を送ることで操作するものと、スタッフが腕を入れて操るギニョールが併用された[7][16]。当初は陸上で使用する前提で前者が製作されたが、水中では使えないため、急遽後者が製作された[16]。口はラジコンで可動する[16]。原寸大の尾は、竹製の骨組みにラテックス製の鱗を貼っており、中に人が入って動かしている[7]
  • ゴジラシリーズなどに登場するキングギドラは、本作品の八岐大蛇を参考にしたとされる[19]

キャスト[編集]

ノンクレジット[編集]

スタッフ[編集]

本編[編集]

特殊技術[編集]

映像ソフト[編集]

  • DVD
    • 2001年2月21日に、東宝ビデオより発売された[21]
    • 2007年2月23日に、再発売された。
    • 2014年2月7日に、期間限定プライス版として再発売された。
    • 2015年7月15日に、東宝DVD名作セレクションとして再発売された。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 資料によっては、伝説怪獣と記述している[15]
  2. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「20メートル」とも併記している[12]
  3. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「2千トン」とも併記している[12]
  4. ^ 当初は志村喬が配役されていた[2]
  5. ^ 当初は河津清三郎が配役されていた[2]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 東宝特撮映画大全集 2012, p. 38, 「『日本誕生』」
  2. ^ a b c ゴジラ大全集 1994, pp. 56-57, 「東宝特撮映画史 ゴジラ誕生 ワイド化と路線の多様化」
  3. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)158頁
  4. ^ a b c d e 東宝特撮映画大全集 2012, p. 39, 「『日本誕生』作品解説/俳優名鑑」
  5. ^ a b c d e f 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 21, 「日本誕生」
  6. ^ 超常識 2016, p. 290, 「東宝特撮・SF映画の歴史」
  7. ^ a b c d e 東宝特撮映画大全集 2012, p. 41, 「『日本誕生』撮影秘話/川北監督に訊く」
  8. ^ 松田美智子「三船敏郎の栄光とその破滅」(月刊文藝春秋 2013年11月号) より、改訂され『サムライ 評伝三船敏郎』(文藝春秋、2014年)
  9. ^ 『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、100頁。ISBN 4766927060
  10. ^ a b 怪獣大全集 1991, p. 68, 「東宝モンスター名鑑」
  11. ^ ゴジラ大全集 1994, p. 100, 「昭和30年代 怪獣グラフィティ」
  12. ^ a b c d e f ゴジラ来襲 1998, p. 199, 「第7章 特選!東宝怪獣名鑑'98」
  13. ^ a b c 全怪獣大図鑑 2021, p. 303.
  14. ^ 出典[10][11][12][5][13]
  15. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 40, 「『日本誕生』怪物図鑑/武具図録/資料館」
  16. ^ a b c d e オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 58, 「『日本誕生』ヤマタノオロチ」
  17. ^ 出典[12][16][13]
  18. ^ 出典[10][12][16][5][13]
  19. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 95, 「『三大怪獣 地球最大の決戦』キングギドラ」
  20. ^ a b 本作品DVD映像特典「東宝俳優名鑑 (オールキャスト紹介)」
  21. ^ 「綴込特別付録 宇宙船 YEAR BOOK 2002」『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ、2002年5月1日、 170頁、 雑誌コード:01843-05。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]