十戒 (映画)

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十戒
The Ten Commandments
The-Ten-Commandments-1956-Paramount.jpg
監督 セシル・B・デミル
脚本 イーニアス・マッケンジー
ジェシー・L・ラスキー・Jr
ジャック・ガリス
フレドリック・M・フランク
製作 セシル・B・デミル
ナレーター セシル・B・デミル
出演者 チャールトン・ヘストン
ユル・ブリンナー
アン・バクスター
音楽 エルマー・バーンスタイン
撮影 ロイヤル・グリッグス
編集 アン・ボーチェンズ
配給 パラマウント映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1956年10月5日
日本の旗 1958年3月5日
上映時間 220分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $13,500,000
興行収入 $80,000,000 アメリカ合衆国の旗
配給収入 3億5500万円(1958年)[1] 日本の旗
3億1200万円(1973年リバリバル)[2] 日本の旗
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十戒』(じっかい、The Ten Commandments)は、1956年アメリカ合衆国の映画歴史映画で「旧約聖書」の「出エジプト記」を原作として制作されたスペクタクル映画。純正ビスタビジョンで撮影されて、製作・監督はセシル・B・デミルでこれが最後の作品。出演はチャールトン・ヘストンユル・ブリンナーアン・バクスター、など。聖書に書かれている紅海が割れ、その中をモーセなど出エジプトの民が海の中を進むクライマックスシーンはあまりに有名。後に世に出されるアニメなどの作品でも、このシーンを元にした物が使用される事は多い。上映時間232分。

ストーリー[編集]

  • 舞台は、紀元前14~13世紀頃のエジプト。ヘブライ人が、エジプトの奴隷とされていた時代、一人のヘブライ人の男の子が生まれた。
  • ラムセス1世:古代エジプト第19王朝の初代ファラオは、救世主の誕生を恐れ、ヘブライ人の男の幼児をすべて殺すように命令した。難を逃れるため、その子は籠に入れられ、ナイル川に流された。川で水浴びをしていたラムセス1世の娘ベシアに拾われた。ベシアは、その子をモーセと名付け、自分の子として育てた。この事実を、召使いのメムネットは、コッソリと目撃し、後日、ネフレテリに進言するのだった。

  • モーセは、武運に優れ、戦利品として、エチオピア王からの金銀財宝や珍品を携えて凱旋するのであった。また、知恵もある立派な青年に育ち、神殿の穀物を開放して奴隷たちには十分な食料を与え、7日に1度の休息日を与え、作業の効率化を考えた。そして、エジプト第19王朝、第2代のファラオ:セティ1世からもその優秀さを認められつつあった。「わしの墓はどうなっておる。いつできるのじゃ。今忙しいからと、わしの呼び出しにも応じぬとは何事ぞ」と、セティ1世。しかし、目の当たりにしたものは、巨大なファラオの彫像、ピラミッド、スフィンクス、そして、その周りに働く数万の奴隷達がみせる大パノラマ展望であった。

  • 奴隷達が、太い円柱状の木材をコロにして、大きな石材を運搬している最中、ひとりの老婆の衣服がコロに絡みつき、あわやという事態になりかけた。水汲み娘のリリアが、その事態をモーゼにつたえ、老婆は救われた。後日、判明することだが、老婆はモーゼの実母ヨシャベルだった。

  • 召使いのメムネットは、そのことについて、既に承知、ネフレテリに進言するも、逆に、彼女に口をふさがれてしまった。ネフレテリは、事実を確認すべく、ヨシャベルの元へおもむいた。急ぐネフレテリを見て、不審に思い、モーゼも彼女のあとを追いかけて、ヨシャベルにたどり着いた。モーゼは、ヨシャベルに問いただした。「これを事実無根と、エホバの神に誓えるか」、否と答えた。モーゼもまた、これを受け入れ、自ら奴隷生活に身を投じた。

  • 一方、総督バッカは、リリアをみそめ、奴隷の監督デーサンに申し付け、今夜、彼女をと・・・。 それを知った石工のヨシュアは、恋人リリアの難儀を救おうとしたが、逆に、捕らえられ、ムチ打ちの刑にされるところを、モーゼに助けられた。モーゼは、バッカを殺害し逃亡。

  • 兄である王子ラメセスは、ヘブライ人の救世主を鎖でつなぎ、ファラオの御前に突き出した。それが、モーゼだった。モーゼも、ヘブライ人であることを認め、バッカ殺害をも認めた。そして、ファラオは、驚きと悲しみと怒りで、「全ての記録から、モーゼの名を消せ!!」と。モーゼ自身は、砂漠に追放とされた。

  • 放浪の末、水も食料もなく、消えゆく意識の中、神の御業は始まった。彼は、シナイ山のふもと、ミデヤンの泉にたどり着いた。

  • 井戸の周りで、女達と男達とが何やら争っていた。モーゼは、女達に加勢し、男達を撃退した。そして、水を飲ませてもらい救われた。彼は、羊飼いの族長のジェスロから仲間として認められ、7人姉妹の長女セファラを妻として、新たな生活を始めた。

  • そんなある日、ヨシュアが訪ねてきて、エジプトに戻り、民に自由を与えてほしいと語った。

  • そして、モーセは山の頂きに不思議な光を見た。山を登っていくと、彼は光の中から神の声を聴いた。「モーセよ。モーセよ。ここは聖なる地。履物を脱ぐがよい」。そして、モーセは、ヘブライ人をエジプトから導き出すよう神の啓示を受けた。

  • (ここで休憩がはいる)

  • モーセは、エジプトに戻り、王となっていたラメセスと、その妻ネフレテリの前に現れて、ヘブライ人を解放するように求めたが、応じようとはしなかった。

    モーセは、神からの十の災いが、エジプトを襲うと警告し、その言葉通り国土は、川の水が血で染まる等、次々と災禍に襲われた。

  • ラメセスは、ヘブライ人の解放をかたくなに拒否した。しかし、「門に子羊の血を塗らない家の長男は全て死ぬ」という最後の災い、すなわち、死神が黒い霧となって天空より舞い降り、地上にては足元を這うように、エジプト全土の家々を訪れた。門に子羊の血を塗っている家は何事もなく過ぎ去るのだが、塗っていない家では、その家の長男の命を持ち去ってしまうのだった。ネフレテリは、昔のように、モーゼにいいよるも、ラメセスの息子までもが死の淵に立たされた。遂に、ヘブライ人は出て行くがよいとラメセスは言った。

  • 翌朝、ヨシュアに導かれて、大勢のヘブライ人達が、モーセの前に集まり、共にエジプトを旅立った。しかし、ラメセスの息子が死神に連れていかれると、ラメセスは、激怒してエジプト軍を引き連れて攻撃に出た。紅海の手前までヘブライ人達を追い詰めた。

  • しかし、モーセが神に祈ると、神は火の柱でラメセスの軍の進攻を妨げた。その後、紅海を二つに割り、海の中に対岸までの廊下作った。エジプトを出たヘブライ人たちを、その海の中にできた廊下を歩かせて、対岸まで逃れさせた。暫くして、火の柱が消え、軍の進攻がはじまった。エジプト軍がヘブライ人を追って、紅海の中にできた廊下を進むと、今度は廊下が海に戻り、あっと言う間に、そこは海の中となって、ラメセスの軍は、彼だけを残して波間に消えていった。

  • ラメセスは、ネフレテリのもとへ戻り、彼の神こそ真実の神だと語った。

  • その後、モーセは四十日間、シナイ山にこもり神の啓示をまった。やがて、光が岩に人間が犯してはならない十の戒めを刻んでいった。そして、その十戒の石板を神から授かった。

  • 一方、モーゼがいない間にヘブライ人達は、神に対する信仰を忘れ、金の子牛を作り上げ偶像崇拝を始め、享楽によいしれていた。山を下り、その有り様を見たモーセは、「善と悪、生と死、この一線をもって、その境目となさむ」と、十戒を刻んだ石板を金の子牛像に投げつけた。すると大地が割れて火が燃え盛り、罪深き人々は、その割れた大地の間に落ちていった。神の怒りは、ヘブライ人を四十年に渡って荒野をさまよわせるまでに至った。

  • やがて、ヨルダン川のほとりのネボのふもとに辿り着いた。ここで、モーセは、ヨシュアを後継者として、杖と衣を与えた。妻セファラに別れを告げて、ヨルダン川と約束の地カナンを目指す彼らを残して、ただ一人ネボの山を登っていった。

キャスト[編集]

預言者モーセを演じたチャールトン・ヘストン
エジプト王ラメセスを演じたユル・ブリンナー

日本語吹替[編集]

役名 俳優 日本語吹替
フジテレビ テレビ朝日 機内上映版
モーセ チャールトン・ヘストン 納谷悟朗 磯部勉 納谷悟朗
ラメセス ユル・ブリンナー 磯部勉 小川真司 小林修
ネフレテリ アン・バクスター 勝生真沙子 深見梨加
セティ1世 セドリック・ハードウィック 加藤精三 阪脩
ベシア ニナ・フォック 花形恵子 小山茉美
デーサン エドワード・G・ロビンソン 池田勝
ヨシュア ジョン・デレク 池田秀一 小森創介
リリア デブラ・パジェット 安達忍 樋浦茜子
セフォラ イヴォンヌ・デ・カーロ 佐々木優子 坪井木の実
ヨシャベル マーサ・スコット 京田尚子 北條文栄
メムネット ジュディス・アンダーソン 沼波輝枝 竹口安芸子
アロン ジョン・キャラダイン 佐々木敏
ミリアム オリーヴ・デアリング 竹口安芸子
バッカ ヴィンセント・プライス 若本規夫 諸角憲一
神の声 チャールトン・ヘストン 久米明
ナレーション セシル・B・デミル 矢島正明 有川博
配役不明 北村弘一
嶋俊介
加藤正之
西村知道
島香裕
宮田光
弥永和子
石井敏郎
村松康雄
筈見純
大山高男
近藤玲子
滝沢ロコ
小島敏彦
伊井篤史
家中宏
小室正幸
佐々木みち代
村田則男
磯西真喜
田中正彦
中村秀利
中澤やよい
堀部隆一
喜田あゆ美
河村今日子
永田佳代
相楽恵美
城雅子
木挽麻理子
多緒都
藤本隆行
馬場和幸
演出 小林守夫 福永莞爾
翻訳 佐藤一公 久保喜昭
調整 熊倉亨 高橋昭雄
制作 東北新社
初回放送 1991年2月16日
ゴールデン洋画劇場
21:02-0:00
2002年6月9日
日曜洋画劇場
21:00-0:24

※また、長年チャールトン・ヘストンの吹き替えを務めてきた納谷悟朗は、吹替のキャリアにおいて十戒を思い入れの深い作品の一つとしてあげている。

エピソード[編集]

  • この映画に対する思い入れが深い監督のデミルは、この映画の冒頭、緞帳の前に自らが登場し、映画館に集まった観客に向かって挨拶。映画の趣旨を語っている。日本でも初公開時や1968年、1972年のリバイバル公開時にはこの挨拶があり、時折、客席から拍手が起こった。この場面はテレビ放映時やビデオ版には収録されていない。また、長尺版予告編でも緞帳前の挨拶があり、デミル自身の解説で映画を紹介している。
  • デミル監督は構想に際して自らローマへ赴き、ミケランジェロ造像のモーセ像を下調べ、これにより配役のイメージを練り上げ、俳優を選ぶ時に容貌が好適のへストンに白羽の矢を立てたという。
  • 当時の上流階層の子弟の証である辮髪をヘストンがしていなかったり(辮髪のウィッグはつけているが毛を剃っていない)、衣装が舞台衣装的ではあるが、ハリウッドの豪華絢爛の大歴史劇を象徴する美術であり、各分野に専門の学者を呼ぶ等、時代考証にも力をいれたとされる。

脚注[編集]

  1. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)149頁
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)312頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]