キングギドラ

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キングギドラ (King Ghidorah) は、東宝特撮怪獣映画ゴジラシリーズに登場する架空の怪獣である。

1964年に公開された映画『三大怪獣 地球最大の決戦』で初登場して以来、同社の多くの怪獣映画に登場している。

特徴[編集]

を思わせる3つの頭部と、それを支える長くしなやかな3本の首、2本の長い尾、全身を覆う黄金色のウロコ、腕の代わりに巨大な一対の翼を持つ。口からは稲妻のような形状の引力光線を吐く[注 1]

出演作品における扱いはそのほとんどが悪役・敵役となっており、ゴジラとの交戦回数が最も多い怪獣でもある[注 2]

キングギドラの造形は日本神話を描いた特撮映画日本誕生』(東宝1959年(昭和34年))に登場する八岐大蛇の造形物がイメージ元となっているほか、1956年にソビエト連邦で制作、1959年3月に日本公開された『豪勇イリヤ 巨竜と魔王征服』(原題:Илья Муромец (ILJA MUROMETS)、イリヤー・ムーロメツ)の火を噴く3頭龍の影響を指摘する向きもある。ヒュドラーユニコーンペガサス麒麟などもモチーフとして挙げているものもある[1]

基本的にはゴジラなどと同様に内部にスーツアクターが入って演技する着ぐるみ怪獣だが、3つの頭に加えて大きな双翼、さらに2本の尻尾を持ち、それぞれが独立した動きをするためピアノ線操作におよそ25名前後の人員が必要である[注 3]など、操演は困難を極め、東宝特撮怪獣映画の最盛期を象徴する存在である[注 4]。操演の際、区別のためそれぞれの首に愛称を付けることがあった。

キングギドラには、サイボーグ体のメカキングギドラ、亜種怪獣のデスギドラカイザーギドラ等のバリエーションもある。

昭和時代に登場したギドラについては“どのような存在なのか(どのような生命体なのか、宇宙のどこで誕生したのか、等)”ということについての公式な詳しい設定は存在していない。「怪獣図艦」等で「想像図」としての内部図解等が描かれたことはあるが、劇中の設定として登場したこともない[注 5]

ゴジラvsスペースゴジラ』では当初、『ゴジラvsキングギドラ』に登場したキングギドラとは異なる、本来の設定の宇宙超怪獣であるキングギドラを敵に迎えた作品が企画されていたが、直前に公開された『ヤマトタケル』に登場するヤマタノオロチがギドラに似ていたことからスペースゴジラに変更された[2]。スペースゴジラの重力をコントロールしてゴジラを宙に浮かせる設定等はその名残である[注 6]

英語圏では当初のスペリングはKing Ghidrahであったが、後にGhidorahに変更された。

登場映画リスト[編集]

公開順。右は各作品に登場する怪獣(キングギドラ、その他の怪獣の順)。

  1. 三大怪獣 地球最大の決戦1964年) - キングギドラ、ゴジララドンモスラ(幼虫)
  2. 怪獣大戦争1965年) - キングギドラ、ゴジラ、ラドン
  3. 怪獣総進撃1968年) - キングギドラ、ゴジラ、ミニラ、ラドン、モスラ(幼虫)、アンギラスバラゴンゴロザウルスマンダバランクモンガ
  4. 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン1972年) - キングギドラ、ゴジラ、アンギラス、ガイガン
  5. ゴジラvsキングギドラ1991年) - ドラット→キングギドラ→メカキングギドラ、ゴジラザウルス→ゴジラ
  6. モスラ3 キングギドラ来襲1998年) - キングギドラ、モスラ(成虫)、フェアリーモスラ、原始モスラ、ガルガルIII
  7. ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃2001年) - ギドラ/魏怒羅→キングギドラ/千年竜王、 ゴジラ、バラゴン/婆羅護吽、モスラ/最珠羅

ゴジラシリーズ(昭和)のキングギドラ[編集]

(各作品共通)

  • 身長:100メートル
  • 翼長:150メートル
  • 体重:3万トン
  • 大気圏内飛行速度はマッハ3。宇宙空間ではマッハ400で飛行可能。

たてがみと額の三日月状の角が特徴。

造形
ゴジラシリーズの怪獣の着ぐるみは作品が異なると別の着ぐるみが作られていることが珍しくないが、キングギドラに関しては同一のものが修復と改修を繰り返されて9年間使用されている[3][4]
デザインは渡辺明、頭部造形は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄による。初期のデザイン画ではギドラは西洋的なデザインであったが、円谷英二によって東洋の「龍」のイメージを加えるよう指示があり、頭部の造形には狛犬の意匠が加えられている。当初、完成した着ぐるみは青い体に虹色(実際の塗色は赤・黄・青のグラデーションになっている)の羽根をしていた[注 7]が、撮影本番直前になって、当時スクリプターを担当していた鈴木桂子が円谷に「金星から来る怪獣なので、私、金色かと思ってました」と話したところ、それを聞いた円谷は大変気に入り、金色に塗装し直された[注 8]
重量は80キログラムほどあったという[1]。たてがみは麻、翼は針金の芯に天竺布を張って作られた。
鳴き声
独特の鳴き声はエレクトーンによるもの。頭の数に合わせ、3種類の金属音が作られた。この声は『ウルトラQ』のケムール人の光波の効果音と『ウルトラマン』の科学特捜隊や『戦え! マイティジャック』のMJ基地の電話のベル音に使用された[注 9]

『三大怪獣 地球最大の決戦』[編集]

初代キングギドラ。かつて金星にあった高度な文明を3日間で滅ぼしたとされ、現代の地球においては日本の黒部谷[注 10]に強力な磁力を持った隕石となって落下、やがて隕石の中から炎の塊となって飛び出し、その炎が徐々に形を変えて姿を現す。引力光線を吐いて暴れ回り、東京を壊滅に追い込むが、最後は富士山の裾野にてゴジラ・ラドン・モスラの3匹と戦って敗れ、宇宙に逃げ帰る。何故金星を始め、地球などの惑星にやって来ては破壊活動を行うのか詳しい理由や目的は不明である。しかし、「金星人の意思」は最後の祈りの中でキングギドラを金星の業火と呼んでいる。

  • 昭和ゴジラシリーズで自己の意思で行動するキングギドラはこの作品のみであり、以後は全て「異星人に操られている」という形で登場する。
  • 決定稿の段階までキングギドラによるニューヨーク破壊シーンが存在しピクトリアルスケッチも描かれていた[1]
  • 隕石から舞いあがった炎が夜空を背景に何度も爆発を繰り返し、やがてキングギドラに変わる映像は非常に色彩も美しく、のちの『怪獣総進撃』でも流用されている。
  • スーツアクター宇留木耕嗣[注 11]。ギドラの内部には横棒が仕込んであり、これを両手でつかんで演技をする危険なものだった[1]
  • 3つの頭部の口から発する引力光線は、宣伝用のスチル写真などでは口から火を吐いている。当初は宣伝用スチル写真にあるように尾を描いて伸びる炎のイメージであったが、実際に操演された3本の首は特定の方向に細かく操演することが難しく、偶発的な動きをしている頭部と着弾を表現する火薬の発火とのつじつまを合わせるため、稲妻状の光線に変更された[1]
造形
飛行シーンのほとんどは3(約1メートル)サイズのミニチュアで撮影されているが、人の入っている着ぐるみと見分けがつかないほど非常に精巧に製作されている[1]
キングギドラが擬態した隕石は、まだ一般に使われていなかったポリ樹脂で造形された。内部にライトをいくつも仕込んで発光を表現しているが、撮影中にライトの発する熱でポリ樹脂が軟らかくなり、自重に負けて凹んでしまうために補修が大変だったそうである。

『怪獣大戦争』[編集]

X星人(彼らからは怪物0と呼ばれる)に操られ、X星に連れて来られたゴジラ及びラドンと戦うが敗走(この戦闘はX星人の自作自演だった模様)。その後、地球に飛来し、ゴジラ・ラドンと共に破壊活動を行う[注 12]が、最後はAサイクル光線車の活躍もあり、コントロールが解けたゴジラとラドンと改めて戦い敗北、再び宇宙へ逃げ帰る。引力光線の形が前作と違う(『怪獣総進撃』も同じ)。劇中ではアメリカを攻撃したことがセリフで語られる。

  • スーツアクターは広瀬正一[5]
  • 金色の塗料は着ぐるみの表皮のラテックスを非常に速く腐食するため、早くも大幅な補修が成されており、初代とは首が延長されて長くなったのが大きな違いである。これは、初代のキングギドラにおいて全体のバランスの悪さが指摘された(ギドラは胴体が大柄で大きな翼と2本の尾を持つため、相対的に首が短く見えた)ためと、キングギドラには腕がないため、ゴジラなど他の怪獣と格闘させる際には「腕」に代わるものとして首のアクションが必要とされたためである。
  • 公開から半年後の1966年7月19日に放送された『11PM』の大阪、よみうりスタジオで収録された「怪獣供養」ではキングギドラの遺影が飾られている[6]

『怪獣総進撃』[編集]

キラアク星人の最後の切り札として登場。富士の裾野でキラアク星人によるコントロールから解放された怪獣たち[注 13]に空襲をかける。引力光線の一撃でモスラとラドンをまとめて吹き飛ばしたり、アンギラスを首にかみつかせたまま飛びあがり、空中で落とした上で踏み潰すなど奮戦したが、次第に手数で押されていき、ゴロザウルスにカンガルーキックで倒された後、それぞれの首を痛めつけられついに絶命する[注 14]。尾は右のほうをゴロザウルスにかみつかれ、左のほうは痛めつけられていない。直後にキラアク星人の地下要塞が破壊されると爆発により地面が陥没し、地底へと沈む。本作の戦闘では、引力光線は前から見て左の首が3回、右の首が1回と、合計4回しか使用されず、中央の首は1回も吐いていない。

  • スーツアクターは内海進[7]
  • 翼が新しく取り替えられてビニール製になり、根元部分が広くなって上部の縁には先端まで鱗が貼り付けてある。自転車のタイヤのゴムをウロコ形に切ったものを新たに下半身に張り付けている。白崎治郎が改修した[8]

『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』[編集]

顔と鳴き声が初代と若干異なる。宇宙空間を移送の際は初代同様に隕石の中に入っている。引力光線の形状が『地球最大の決戦』の時と同じものとなっている[注 15]

M宇宙ハンター星雲人に操られてガイガンと共にゴジラやアンギラスと戦い、あと一歩まで追いつめるが乱戦の最中、自分に突っ込んでしまったガイガンに引力光線を当ててしまい、喧嘩をしてしまう。その隙をついた地球怪獣の連携に敗れ、ガイガンと共に宇宙へ退散する。劇中でゴジラに羽交い絞めされアンギラスのタックルを一方的に受けたり、ゴジラに連続で背負い投げされるなどシリーズでも散々な目に遭っている。

  • 関連書籍などでは二代目キングギドラとも表記される[9][注 16]
  • スーツアクターは伊奈貫太[10][11]
  • 頭部が安丸信行による新規造形のものに差し替えられ[12]、黒目だけであった瞳に白目が描き加えられている。
  • 飛行用人形はこれまでのものを使用[13]。目が赤く点灯するが、翼も首も微動だにしない。

ゴジラシリーズ(平成)のキングギドラ[編集]

『ゴジラvsキングギドラ』のキングギドラ[編集]

  • 身長:140メートル
  • 翼長:150メートル
  • 体重:7万トン
  • 大気圏内飛行速度はマッハ4。

3匹のドラット(後述)が、マーシャル諸島のビキニ環礁核実験放射能の影響により合体、巨大化して誕生した。性格自体はドラット同様おとなしく力は意外と弱いらしい。未来人の特殊音波によって操られている。最初は空中からのキックなどでゴジラとの戦いを優位に進めるが、未来人のコントロールが失われたことで形勢が逆転、尾をつかまれ何度も地面に叩きつけられる。その後も長い首を使った締め上げを敢行、泡を吹かせるも体内放射の直撃を浴びて吹き飛ばされた末に熱線で中央の首をはね飛ばされる。ゴジラが未来人の母船を破壊した隙に逃走を図るが熱線で翼を貫かれ、海へ沈む。

主用武器は引力光線と衝撃波。

  • スーツアクターは破李拳竜
  • 鳴き声・飛行音・光線の発射音が昭和版とは異なる。
  • 鳴き声はラドンの声を使用[14](加工されている)。
  • 中央の首がはね飛ばされるシーンでは、子供層への配慮と海外での規制を考慮して、血ではなく金粉を噴出させている[15]
造形
デザインは西川伸司(ドラット、メカキングギドラを含む)。造形者は初代の制作にもかかわった村瀬継蔵ツェニー)。基本デザインは初代のものをそのまま使用しており、頭部のみ新規にデザインが描かれている[16]。昭和時代のものは顔が東洋の「」に近かったのに対し、今作品の顔は西洋の「ドラゴン」に近いものとなり[15]、昭和版にはある頭頂部の三日月形の角と、頭部のたてがみ状の毛がない。分類も「宇宙超怪獣」から「超ドラゴン怪獣」とされ、体重や身長も増えている。
着ぐるみはを1枚1枚貼り付ける手間のかかる手法をとっているため1着しか造られず、海底での中央の首のないものやメカキングギドラなどにも使いまわされている[17]。飛行用の3分の1スケールのミニチュアも同様[18]。地上を横切る影の撮影にはバンダイのプラモデルを流用して撮影されている[15]
使用したピアノ線は首に2本(3つで6本)、尾に2本(2つで4本)、翼に2本(2枚で4本)、胴体に2本の合計16本[19][15]。操演スタッフ9人によってコントロールされ、早く動かさず、ゆっくり回して動かすことで初代キングギドラの動きを再現した。
3つの首は区別のためスタッフからそれぞれ一郎・二郎(中央)・三郎と呼ばれていた。

ドラット[編集]

  • 身長:30センチメートル
  • 体重:800グラム

23世紀から来た未来人の説明によれば、未来の地球でブームとなっている愛玩動物とされている。23世紀のバイオテクノロジーと遺伝子操作が生んだ生物で、特殊な笛の音波により飼い主を識別している。劇中に登場した3匹のドラットは元々核エネルギーを吸収してキングギドラになるようにバイオプログラミングされており、ビキニ環礁のラゴス島に置き去りにされ、当地で行われた核実験のエネルギーによって、3匹のドラットが1体のキングギドラに変貌する。

  • 脚本では「コウモリとネコを合わせたような合成生物」と記述され、これに準じたデザインも描かれている[20][21]
  • ノベライズ版では金星に眠る「宇宙超怪獣キングギドラ」の遺体から体組織を回収して、ドラットが作られる過程が描かれている。
  • 造形物は同型の人形が3体造られ、うち一体のみ手を入れて操るアップ用となっている[18]。エミー・カノー役の中川安奈も操作を行なっている[22]。監督した大森一樹はDVDのオーディオコメンタリーで「人形にしか見えない……」と嘆いていた。
  • 劇団こがねむしによる怪獣人形劇「ゲキゴジ」にも登場する。

メカキングギドラ[編集]

  • 身長:140メートル
  • 翼長:150メートル
  • 体重:8万トン
  • 大気圏内飛行速度はマッハ4。

北海道でゴジラに敗れて海中に沈み、212年間仮死状態で存命していたキングギドラを地球連邦機関が回収し23世紀の技術で改造したサイボーグ怪獣。

失われた中央の首のほか、胴体や翼、もメカ仕様になっている。左右の首からは改造前と同じ引力光線、中央の首からは引力光線以上の威力を持つレーザー光線を発射できるほか、胸にはゴジラ捕獲用兼高圧電流照射兵器としてのマシンハンドやチェーンを装備している。胸部に小型タイムマシンKIDSを改造したコックピット兼緊急脱出装置があり、エミー・カノーが搭乗した。

3つのロックオンサイトで光線の照射を操作し、コックピット内に追加されたタッチパネルで3つの長い首の神経に命令を伝達して、ゴジラに巻きついたりかみついたりの動作を行わせることができる。その巨体から敏捷な起動は難しく、2枚の翼は機械製の物になってしまっているため空気を捕らえて浮力を得ることも難しい。そのため、飛行はホバリングが主になっている(破れた状態でゴジラを曳航するなど、飛行能力は高い)。この能力を利用して、転倒した状態から一瞬で起き上がることが可能である。KIDSと合体しているため単独でのタイムワープが可能。コ・パイとしてアンドロイドM11のAIが積んであり、このAIによって制御され、KIDSパイロットによって操縦される。

新宿都庁付近で暴れるゴジラの前に登場。ゴジラを都庁の下敷きにするも反撃され翼を損傷し墜落、一時はエミーが気絶するなど苦戦するが、ゴジラをマシンハンドで拘束。どこかへ運び去ろうとしたが、ダメージが蓄積し、さらに暴れるゴジラから至近距離で熱線を浴びてついに墜落、共に海に沈む。エミーはKIDSで脱出し、23世紀へと帰る。

その残骸の一部は、2年後の1993年に公開された映画『ゴジラvsメカゴジラ』でG対策センターによって海底から引き上げられ、その技術を解析した結果メカゴジラが完成する。作品の冒頭ではメカキングギドラの中央の首がG対策センターに保管されているシーンがある。またメカゴジラのメガ・バスターはレーザー光線、「切り札」ショックアンカーにはマシンハンドの影響がみられる。

造形
着ぐるみはキングギドラの上にFRPの別パーツをかぶせる形で製作されたが、そのために着ぐるみの重量は200キログラムにもなってしまい、吊っていたワイヤーが重みで切れて撮影前に都庁舎のセットを壊してしまうというハプニングも起きた[19][23][15]。着ぐるみの構造上「中に人を入れるのは危険」と判断され、スーツアクターを入れない形で撮影が行われた[24]。操演用のピアノ線は18本に増えている[15]
飛行用の3分の1スケールのミニチュアもキングギドラを改修して使用され[18]、都庁上空の飛行シーンではクレーンで吊るされてオープンセットで撮影された[15]
操縦席のセットには排水口の網や鍋の蓋などキッチン用品を塗装・改造したものが使われている[22]。スイッチ類はゴジラ捕獲装置のもの以外決まっておらず、エミー役の中川安奈がビームのボタンなどを自身で決めて演じていた[22]

『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のキングギドラ[編集]

  • 身長:50メートル
  • 翼長:93メートル
  • 体重:2万5千トン

護国三聖獣の1体である遠呂智の基となったとされる「天の神・魏怒羅」として登場。「護国聖獣伝記」では足が4本ある姿で描かれている。この作品中で「キングギドラ」と呼ばれるのは、ギドラが千年竜王として覚醒した時の1回のみ(呼んだのは立花由里)。

ギドラ(魏怒羅)
富士の樹海の氷穴で眠っていた。ゴジラと戦うモスラの前に地面から登場し、モスラと共にゴジラと戦う。成長が遅く1万年の眠りから覚めると完全体となり、陸・海・空全ての支配が可能な最強の聖獣となる。が、まだ不完全体で目覚めたため、翼は閉じられている。噛み付いて電撃を食らわす(技名:サンダースパーク)。飛行も光線攻撃も不可能なため、格闘戦を挑まざるを得ず、ゴジラに投げられて気絶してしまう(結果として再びモスラに孤軍奮闘を強いることになる)。
キングギドラ(千年竜王)
ギドラをかばってゴジラに敗れたモスラのエネルギーをもらい、完全体になった姿。この事により、陸・海・空の全てを制覇する怪獣となる。ゴジラの熱線を黄金の粒子で跳ね返したり、閉じられていた翼も開いて飛行し、口から引力光線も吐けるようになった(引力光線を吐くときは黄金に輝いている)。
ゴジラと海中で戦った後に浮上、追ってきたゴジラに引力光線で攻撃をしかける。だがゴジラは、この光線をも吸収、さらには熱線と合わせて放射し、至近距離でくらったキングギドラは爆発四散してしまう。直後に護国三聖獣の霊魂の状態となり、ゴジラに憑依している怨念を浄化することには成功している。しかし、作品のラストで、ゴジラは心臓のみになってもしぶとく生存していたことから、事実上の敗北と見られる。覚醒時に大きく開いた翼は他のキングギドラに比べて多少大きめである。
  • スーツアクターは大橋明
  • 鳴き声は昭和版をモチーフに録音。
  • デザイン的には従来より首が短く、尾が太くなっている他、翼の指が1本少ない、足の指が3本でかかとに突起が付いているなどの差異がある。顔の横のヒレはバランをモチーフとしている。『モスラ3』版と同じく棘が首から尻尾まで生えている。着ぐるみの首は、操演で動かす長めのものと、スーツアクターが腕を入れて動かす短めのものの2種類が作られ、シーンに応じて使い分けられた[25]。富士の樹海の氷穴で眠るシーンでは大型の首のモデルが使用された(オープニングクレジットのギドラの鱗の部分はこの首のものを使用)
  • 本作のイラストポスターでは角の生えかた以外はVS版のように描かれている。
  • 歴代キングギドラで唯一、対戦相手より小柄に設定されている(この作品のゴジラは60メートル)。着ぐるみも歴代最小となっている[26]

『モスラ3 キングギドラ来襲』のキングギドラ[編集]

現代型キングギドラ[編集]

  • 身長:60メートル
  • 翼長:80メートル
  • 体重:5万トン
  • 大気圏内飛行速度はマッハ3。宇宙空間では亜光速。

2億年も生きていた宇宙超怪獣。1億3千万年ぶりに地球に来襲し、地球の生態系の頂点にあり、生命力に富んでいる人類の子供をさらって分身体である生体ドーム[注 17]に閉じ込め、最後にはドーム内から分泌される溶解液で生命エキスに変えて吸収することでエネルギー源にしようとする。過去登場したキングギドラの中でも最も豊富な技と高い知性を誇り、通常の引力光線のほか、3つの口を揃えて一斉に引力光線を吐くトリプルトルネード、羽から放つ反重力光線など数多の戦力を有している。さらに防御手段としてバリアの展開能力をはじめ、獲物である子供を捕えるための誘導テレポート能力およびマインドコントロール能力など今までのキングギドラにはなかった特殊能力[注 18]を数多く備えている。モスラとエリアス族の関係も瞬時に見抜き、モスラをサポートする力を半減させるためにロラを操ってモルと引き離すなど極めて狡猾な面も持つ。中央の首がリーダー的な役割になっている。

恐竜のエキスで強大に成長しており、空中戦においてレインボーモスラのビームをバリアで防ぎ逆に翼に伸し掛かり、左右の首がモスラの翼に噛み付いて投げ飛ばした後、トリプルトルネードで倒す。タイムスリップしたレインボーモスラに白亜紀のころのキングギドラが倒されたことで一旦消滅する。しかし、白亜紀で切断された尾から再生、再出現する。ベルベラとロラがフェアリーに乗っての悪あがき的な攻撃を一蹴した後にタイムカプセルで1億3000万年眠り続けて進化した鎧モスラと戦うがどの攻撃も通じず、鎧・翼カッターで左の翼を切断され、最終的にはエクセル・ダッシュ・バスターで青色の塵に分解されて大爆発する。

エリアスのモルによれば、この世界の宇宙の星々における生物大絶滅の原因は、その半数がこのキングギドラを始めとする「ギドラ族」が行った虐殺の結果であるとされている。

  • 小学館から発売された『モスラ3 キングギドラ来襲 超全集』において、鎧モスラが切断した翼からキングギドラが復活する可能性があるかも知れないということが指摘されている。
  • 企画段階では新怪獣→ラドンがこの役割で登場する予定だった[27]
  • デザインは西川伸司、造形は若狭新一による。従来のキングギドラと比べて、格段に凶悪な顔付きとなっており、中央の首の角は他の2つのものと若干違う形をしている。また、首だけにあったが首から尻尾まで生えており、体の部位によるウロコの大きさの差も大きくなっている。着ぐるみの塗装にはマジョーラカラーが採用されている。
  • 着ぐるみとしては『ゴジラvsキングギドラ』の物よりも小型軽量に作られており、人が入ったまま助走して飛び上がるといったアクションが可能となっている。
  • 『地球最大の決戦』以来の自分の意思での侵略活動であり、平成以降では唯一の宇宙超怪獣という設定である。
  • 声はVS版のものを若干低く加工して使っている。
  • スーツアクターは喜多川務(後述する白亜紀型を含む)。

白亜紀型キングギドラ[編集]

  • 身長:40メートル
  • 翼長:50メートル
  • 体重:2万5千トン

1億3千万年前の中生代白亜紀の地球に襲来して、当時の生態系の頂点に立つ恐竜を絶滅寸前に追いやった。現代型と比べまだ若くて小さく、首、胴体、足も現代型と比べ細くて華奢な体型で、体重も現代型の半分ほどである。そのためか、この頃は走ることができたようで、飛ぶ時にはアホウドリのように助走をつけている。また、現代型とは角の生え方が違っており、翼の付け根の形も違う。使用する技は成長後のキングギドラが使う引力光線と違い、灼熱の火球(レインボーモスラのバリアで防がれていることから威力はそう高くない)である。また、この頃はまだ翼から光線を放ったりバリヤーを展開したり出来ないようである。誘導テレポートや子供たちを取り込んだドームを形成する能力なども持っておらず、恐竜を丸かじりにしている。

恐竜を食べようとしたときに現代からタイムスリップしてきたレインボーモスラの襲撃を受ける。右側の尾を切断されるなどされたが、幼体とはいえ噛み付きや至近距離からの火球弾といった容赦のない攻撃でレインボーモスラを苦戦させ、一時は行動不能にまで追い込む。しかし、現代の側で洗脳が解かれたロラのアシストを受けたモスラの鱗粉攻撃で大ダメージを受け、そのままモスラに運ばれ相討ちに近い形で火山に葬られて絶命し、同時に現代の側のキングギドラも消える。しかし、レインボーモスラの攻撃によってちぎれていた尾の一部から再生し、再び上記の現代型キングギドラとなって現代に復活する。

  • 着ぐるみは現代型とは別造形[28]。左右の首はピアノ線による操演とスーツアクターが腕を入れて動かす方法が採られた[29]

『流星人間ゾーン』のキングギドラ[編集]

第5話及び第6話に登場。ゾーンの宿敵であるガロガが、ブルーグリーン装置を破壊するために送り込んだ「恐獣」として登場している。この作品でのキングギドラは「宇宙超恐獣」とされている。

第5話で太陽光線を遮断するガロガの「ダークプリズム作戦」で、エネルギーが補給できなくなったゾーンファイターに対して翼を使った強風で有利に戦うも、ゾーングレ-トのボルトサンダーで合えなく形勢逆転されてしまう。

第6話では有利なはずである金星でゾーンファイターと戦うが、3本の首をそれぞれ滅茶苦茶にへし折られた挙句、ミサイルマイトを大量に受けるなどしてまたしても敗北し、宇宙に逃げ帰る。絶命には至らなかったが、隊員の「キングギドラはもう立ち直れない」の台詞から相当な致命傷を負ったと考えられる。

  • 関連書籍などでは『ゴジラ対ガイガン』と同一個体とするものもある[9]
  • スーツアクターは図師勲
  • 着ぐるみ自体は『地球最大の決戦』以来改修を重ねて使用されたもの[3]。テレビの撮影現場では映画のような操演はできず、ただ立っているだけの状態がほとんどだった。この造形物は、従来はこの撮影後に処分されたといわれていたが、1979年に酒井敏夫が『週刊少年ジャンプ』の特集記事で、東宝の倉庫に保管されているのを確認している。飛び人形は『ゴジラ対ガイガン』のものを流用。
  • バンダイプラモデル「ザ・特撮コレクション」の1/350キングギドラはモデル自体は翼の付け根に鱗がある『怪獣総進撃』時のものであるが、説明書の表紙の写真は最終形態ともいえる、このキングギドラの写真である。

『ゴジラアイランド』のキングギドラ[編集]

X星人の操る宇宙怪獣として、第1シーズンの「キングギドラ編」に初登場。

凶暴電波が消えてゴジラが正気を取り戻したところに、ザグレスが送り込んだ。ゴジラ、ラドン、子モスラと戦い海に転落するも、ザグレスのヴァバルーダが放った「滋養強壮赤マンダドリンク光線」を浴びて3倍にパワーアップして復活。始めはゴジラを圧倒するも、トレマのミラクル念力を受けた影響で、押されていき宇宙へ退散する。

その後、第2シーズンの「ミサト登場編」で怒ったランデスにより、宇宙から召還され再び登場[注 19]。Gガード基地を攻撃、モゲラを撃退し、駆けつけて来たゴジラを苦しめるも、ミサトにダンスグロビンを吸わされ、ダンスを踊らされてしまったため撤退する。

『ゴジラアイランド』のメカキングギドラ[編集]

第1シーズンの「メカキングギドラ編」に初登場。ザグレスが怪獣自動販売機で買ったメカ怪獣(本当は下記のハイパーメカキングギドラを買おうとしていたが、この時のザグレスは赤字財政だったため、渋々こちらを買った)で、ランクはグレードB、価格は250万宇宙ゼニー。購入して早々ゴジラに差し向けられたが、実はこの時別売りのオプションの電子頭脳が入っておらずまともに動けなかったため、あっけなくゴジラに倒されてGガードに奪われ、逆にヴァバルーダ攻撃のために利用される。だが、すぐにザグレスに奪い返される。その後、ザグレスがオプションの電子頭脳を購入、取り付けたことによりまともに動けるようになり、Gガード基地を攻撃。戦いを挑んだゴジラと互角に戦ったが、後に駆けつけたGガード司令官の乗るメカゴジラが必死に戦う姿を見て奮い立った怪獣達の猛反撃[注 20]を受けて、右の首を引きちぎられて逃げ去る。

その後、「さよならトレマ編」で暗黒大皇帝によって引きちぎられた首を修理された姿で再登場[注 21]。この時はゴジラが不在だったために、他の怪獣を次々となぎ倒し、カマキラスと共にGガード基地にも大被害を与える。帰ってきたゴジラと、それを見て一致団結した怪獣達の猛反撃で、またしても右の首を引きちぎられて退散する。その後の詳細は不明。

  • 武装は口から吐くレーザー光線。映画では虹色と金色だったが、終始白の光線を吐いている。
  • 名前が長いからか、「メカギドラ」と呼ばれることが多い。ルーカスには「メカギドラではなく、バカギドラ」と呼ばれている。
  • 造形物はバンダイのソフビ人形だが、オリジナルと違い首は全てメカで、翼の表側の色が銀一色になっている。

ハイパーメカキングギドラ[編集]

上記のメカキングギドラの最高級品。初登場は第1シーズンのメカキングギドラ編だが、ここでは名前のみの登場で、実物が登場したのは第2シーズン完結編から。本作最後の敵怪獣でもある。

怪獣自動販売機で販売されており、価格は1千万宇宙ゼニーで、ランクはスペシャルグレードA。地球に戻る途中で、ザグレスが購入する。尾以外全てメカで、両翼の形状が生身のキングギドラに近い。翼が大きく足が太いため、どことなく力強い印象を受ける。また、カラーリングもメカキングギドラと比べると全体的に黒ずんだ色合いをしており、所々に赤い三角形のマーキングがある。武器は赤色のレーザー光線に加え、中央の首から氷付け光線を吐き、光線に命中したものは、たちまち氷漬けになってしまい、ゴジラも一時冷凍される。全体的な戦闘力も通常のメカキングギドラより高く、まさに最高級品に相応しい性能を誇る。この他、身体の一部が破損しても内部から修復プログラムを起動することで、自己修復が可能。

再び地球攻撃隊隊長に任命されたザグレスが、ワープゲートの奪還のためにこれに乗ってゴジラアイランドを攻撃。氷付け光線でGガード基地を氷付けにして一時的に基地の機能を麻痺させ、ゴジラすら凍結させてしまうが、ザグレスを追って戻ってきたトレマの呼びかけで復活したゴジラの反撃を受けて一時退散。そして、終盤で再び登場。この時、ザグレスがいつの間にやら購入していたトラクタービームを付け加えており、ワープゲートを奪おうとしたが、そこに駆けつけたトレマのパンナトルテとミサトのタルトクープ、そして司令官の乗るメカゴジラとゴジラと戦闘になる。これにレーザー光線で応戦したが、ミサト達の攻撃で左の首を破壊され、更にゴジラを再び氷付けにしようと放った氷付け光線も、ゴジラの熱線で押し返され、中央の首も破壊されてダウン。だが、次にザグレスは前記の修復プログラムを起動。破壊された首が再生して復活するが、この直後にミサトがワープゲートの設定を逆転させたため、ザグレスごとワープゲートの向こうに吸い込まれる。

  • 通常のメカキングギドラ同様、「ハイパーメカギドラ」と呼ばれることが多い。「宇宙船 YEAR BOOK 1999」では「ハイパーギドラ」と記載している[30]

『CRゴジラ3・4』のキングギドラ[編集]

ニューギンのパチンコ『CRゴジラ3・4』に登場。このゲームにはゴジラvsシリーズで特技監督を務めた川北紘一による新撮の東宝怪獣が大挙登場し、キングギドラはゴジラとの戦いのムービーが新たに撮影されている。

着ぐるみは『大怪獣総攻撃』のスーツの首を延長し、従来通りの操演で動かすように改修した(元のスーツでは両腕で首2本を操作するという独特の構造であり、その為に首が太く短かった)ものであり、昭和のギドラにかなり近いフォルムを持っている。『3』での登場テーマは『ゴジラvsキングギドラ』のメインタイトル曲である。

宇宙から飛来した宇宙超怪獣キングギドラは、数々の怪獣を倒したゴジラの前に立ち塞がり、大都市で激闘を繰り広げる。首を噛まれるなどの激闘の末、ゴジラの熱戦と引力光線がぶつかった大爆発で市街地は焦土と化す。

『4』ではガイガン、アンギラスと共にゴジラと戦うムービーがある。

『ゴジラ・パチスロウォーズ』のキングギドラ[編集]

宿敵ゴジラを倒すべく亜空間から登場する。かみつきや引力光線でゴジラに挑む。姿は『大怪獣総攻撃』のもので、鳴き声はvs版。

その他の作品[編集]

  • 1966年に朝日ソノラマから発売されたソノシート『大怪獣戦 30怪獣大あばれ!!』収録の「宇宙怪獣対地球怪獣」に地球を襲う宇宙怪獣の1体として登場する[31]
  • ゴジラ対ヘドラ』でキングギドラのソフビ人形が矢野研の所持しているおもちゃとして登場する。
  • 漫画『怪獣王ゴジラ』に悪の科学者であるマッド鬼山が操る宇宙怪獣「キングギドラIII世」として登場。

亜種怪獣[編集]

デスギドラ[編集]

映画『モスラ』(1996年)に登場。

  • 全長:100メートル
  • 体高:50メートル
  • 翼長:80メートル[32]
  • 体重:7万5千トン
  • 武器
    • 火砕流撃弾:光線化した火砕流。
    • 三重渦撃砲:3つの首から火砕流撃弾を一斉に放ち回転、増幅させる。
    • 剛烈駆雷震:地割れを起こし、地下のマグマを噴出させる。親モスラに使用するが、常に空中にいるためあまり効果がない。
    • 火龍重撃波:灼熱の火炎。
    • 天怒爆突:体の一部を爆発させる。死角である背中に取り付いた親モスラに使用、吹き飛ばすと同時に大きなダメージを与える。
    • 轟砲一閃:高熱エネルギーによるバリア。モスラ幼虫に浴びせられたエクセル・ストリングスを振り払う。イリュージョン・ミラージュで無数の小型モスラに分裂したグリーンモスラにも使用したが、振り払いはしたもののダメージは与えられない。
    • 炎龍旋風撃波:三重渦撃砲のスピードと回転をさらにパワーアップさせる。
  • 飛行速度:マッハ23
  • 最大歩行速度:時速180キロ[33]

姿はキングギドラに似ているが、体表にはが無く、体色は黒で四足歩行。マグマを自在に操る。惑星の命、特に植物のエネルギーを好んで吸収して生きている(動物が持つエネルギーは植物と比べ、効率が悪いため利用しない。人間を直接襲わないのもこのためである)。6500万年前に火星を不毛の星にした後、地球の植物に壊滅的な打撃を与え、恐竜を滅ぼすが、モスラ一族に敗れ現代の北海道紋別の森林奥地に封印されていた。地面に埋まっているエリアスの盾が封印の役割をしていたが、人間達の森林伐採工事が原因で遺跡が露出し、何も知らない人間・後藤裕一にエリアスの盾を取られたため、復活してしまう。

復活したばかりの不完全体では、翼が短過ぎてまだ飛べないため、4足で歩いている。武器は口から吐く火砕流をエネルギーにした光線や火炎。圧倒的なパワーで成虫モスラを苦しめ、幼虫モスラが援護に来て2対1という不利な状況になってからもなお、互角以上に戦う。幼虫の尻尾に噛みつき出血させ、頭を踏みつけるなど残忍な戦い方を好む。

モスラ親子の挑発に乗り、ダムを破壊して濁流に呑み込まれるが生きており、成虫モスラが倒れた後、かつて地球を滅ぼそうとした際の形態(翼を使って空を飛べるようになる=完全体)となる。その後、黒雲状の力場で北海道全域の植物エネルギーを搾取し、その地域の酸素濃度の低下を招く。最終的には、幼虫が変態した新生モスラに敗れ、再びエリアスの盾で封印される。あくまで再封印されただけであり、まだ死んではいないと考えられる。

公開当時に扶桑社から刊行された波多野鷹のノベライズ版では、宇宙のエントロピーを増やす傾向から生まれた、生命の存在しない宇宙を構築するための負の生命とされており、神に等しいその存在に死は無いとされ、その設定に基づき「負の生命」と記述する書籍もある。

その正体は不定形のマグマ状生命体であり、『モスラ超全集』やノベライズ版によればその姿はかつて交戦したキングギドラや、中生代の恐竜や爬虫類の外観をコピーしたものとされている。

造形
デザインは吉田譲[32]。造形はMONSTERS[34]
キングギドラとの差別化のため、四本足の怪獣としてデザインされた[34]。着ぐるみの前足には杖が入れられ、後足が膝をつかないようにしている[35][34][32]。後ろ足で立ち上がることができるなど機動性が高く、特技監督の川北紘一もこの着ぐるみを気に入っていたという[35][32]
着ぐるみの翼は付け根の部分で着脱が可能となっている[35]
造形物は着ぐるみのほか、25分の1スケールの飛行用と首の可動ギミックを内蔵した小型のものの3種類が造られた[34]
パンフレットによれば、3つの首は操演時の区別のため、右からそれぞれのぞみ・かなえ・たまえと呼ばれていた。

モンスターX/カイザーギドラ[編集]

映画『ゴジラ FINAL WARS』に登場。X星人の最終兵器ともいえる怪獣である。

  • モンスターXもカイザーギドラも、デザインは寺田克也
モンスターX
  • 身長:120メートル
  • 体重:6万トン
  • 武器:引力光線デストロイド・サンダー
スマートな2足歩行のフォルムを持ち、2本の角が生えた頭部に加え、両肩にも骸骨を縦に2等分したようなものがついている(カイザーギドラになるときはこれが伸びる)。体色は銀色と黒色で尻尾の先は2つに分かれている。
ゴジラ以上のパワーとスピードを持ち、3本の頭部の赤眼から放たれる引力光線「デストロイド・サンダー」はゴジラの放射熱線に匹敵する威力を持つ。
ガイガンと連携するなど知能も高いが、ゴジラを取り押さえた際に誤ってガイガンのチェーンソーで斬りつけられたり、背後からモスラのラリアットによりガイガン共々突き倒されるなど、お茶目な一面も持っている。
カイザーギドラ
  • 身長:140メートル、体長:150メートル(尾を除く)
  • 体重:10万トン
  • 武器:反重力光線デストロイド・カイザー
地球人によってX星人が倒された後、モンスターXがさらなる変身を遂げた姿。戦闘力はキングギドラをしのぐ[36]。外骨格がはずれ、3つの首が伸びて角が生えて四足歩行形態となり(それと同時に両腕は使えなくなる)、翼が生じて体色が金色と黒色に変わる。3つの首から放つ反重力光線「デストロイド・カイザー」で標的を空中に舞い上げてそのまま地面に叩きつけるほか、左右の首を両腕代わりにして相手を押さえつける、3つの首すべてで噛み付くと同時にエネルギーを吸収するなどの戦法を取り、相手を苦しめる。
設定によれば、モンスターXの外骨格はカイザーギドラとしての肉体を保護する反面、これを失うことでカイザーギドラの防御力はモンスターXとしてのそれよりもいくらか劣るとされている。
名前はドイツ語の皇帝を意味する「Kaiser」から。
鳴き声はキングギドラに比べて低いが、鳴き方は似ている。[独自研究?]
頭の角の形状と生え方及び首のひれの形状はそれぞれの首で違う。なお、モンスターXの額には三日月型の角があったが、変身後のそれに当たる中央の首にはそれがない(左の首の額に三日月型ではないが、そこから角が生えている)。
  • スーツアクター:中川素州、小倉敏博
  • ギドラ族の最上級怪獣として位置づけられており、キングギドラに似たフォルムをしているが[36]、四足歩行の移動にはデスギドラの意匠も取り入れられている。劇中では、変身の前後とも名前を呼ばれない。
  • モンスターXについては劇場公開前に公表されていたが、カイザーギドラはその存在が秘密扱いとされており、劇場公開前の時点では写真等の資料は公開されていなかった[注 22]
  • スーツアクターが前後に2人入る着ぐるみである。
劇中での活躍
モンスターX
南極にて復活したゴジラにガイガンが倒された後、X星人が呼び寄せた隕石(DVDメニューによれば妖星ゴラス。作中当初に登場したゴラスは、いわゆる立体映像だった)に乗って宇宙から飛来した。ゴジラのハイパースパイラル熱線で隕石を破壊された後、廃墟と化した東京でゴジラと戦う。高々とジャンプして高速でスピンしながら上記の尻尾をムチのように顔へ打ち付け、組み付いた状態から腕をひねって持ち上げたりするなど、ゴジラを上回るパワーとスピードを活かした格闘スタイルを披露して苦しめる。また、至近距離で放射熱線を顔面に受けてダメージを負いながらもすぐに引力光線「デストロイド・サンダー」で反撃に転じるほどのタフさを誇る。
さらに改造ガイガンとタッグを組み、ゴジラを挟み撃ちにして戦いを優勢に進めていくが、インファント島から飛来したモスラによって改造ガイガンは倒され、モンスターXもゴジラにマウントポジションで組み伏せられ、殴打される(これらの戦いは、母船内での地球人とX星人の戦い、そして尾崎真一と統制官の一騎打ちと同時進行で描写された)。
カイザーギドラ
統制官が倒され、X星人が全滅すると同時にモンスターXはカイザーギドラに変身。持ち前の巨躯と反重力光線「デストロイド・カイザー」を武器にゴジラを圧倒し、ついにはゴジラに噛み付いてエネルギーを吸収して戦闘不能に追い込む。しかし、尾崎が自らの超能力「カイザーエネルギー」を新・轟天号のメーサー砲に注入して発射したG粒子メーサー砲を浴びたゴジラは力を取り戻し、反撃に転じる。カイザーギドラは噛みつきを振りほどいたゴジラの至近からの放射熱線によって中央の首を吹き飛ばされた後、左側の首が放った光線を右側の首を盾にされて誤爆し、右側の首も失う。その後は反撃する力もなく、何度も一本背負いを浴びせられて動かなくなったところを空中に投げ上げられ、バーニングGスパーク熱線によって宇宙空間まで吹き飛ばされた結果、爆発四散する。

他作品への影響[編集]

  • 三つ首の竜の怪獣はキングギドラの他にピープロTV作品である『スペクトルマン』と『電人ザボーガー』(恐竜軍団シリーズ)での三ッ首竜、円谷プロダクションでは『ウルトラマン80』での「ファイヤードラコ」がいる。ザボーガー以外ではキングギドラと違って腕がある。
  • また、小説『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』には、ナースとキングギドラをモチーフにした怪獣「ナーガ」が登場している。
  • ウルトラマン』企画段階のサンプルストーリー「黄金怪鳥スバード」(タイトル、登場怪獣名ともに同様)は宇宙空間に現れた金色の卵から誕生し、黄金の体、宇宙から出現するなどキングギドラをモチーフに制作される予定だった。
  • タケちゃんマンが扮する「タケちゃんマンギドラ」の元ネタになっている。
  • 幻星神ジャスティライザー』には、メカキングギドラの首を2本にしたような姿の「星神獣リュウト」が登場した[37]。また映画『超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち』に、強敵であるボスキートが巨大化した姿で、キングギドラの首を2本にしたような姿の「マンモスボスキート」が登場した[37]。2体とも光線技はキングギドラの引力光線に類似している。
  • 山本弘のSF小説『MM9』には、キングギドラをモチーフにした[38]、8本の竜の首と女性の上半身の計9本の首を持つ怪獣「クトウリュウ」が登場しており、鳴き声や攻撃手段の光線がキングギドラの物に類似している。
  • 田中啓文の短編小説『地球最大の決戦 終末怪獣エビラビラ登場』に登場する怪獣「エビラビラ」は、出現当初は首が3本だったためマスコミからキングギドラと呼ばれていた。なお、首は最終的に3072本にまで増加する。
  • 漫画『最後の空想科学大戦!』には、キングギドラのパロディとして、5本の首を持つ宇宙怪獣「キングラララ」が登場した。
  • ゴジラファンとして知られるデーモン閣下が所属していたヘヴィメタルバンド聖飢魔IIのアルバム(聖飢魔IIでの名称は「教典」)『聖飢魔II〜悪魔が来たりてヘヴィメタる』に収録されている「悪魔組曲 作品666番 ニ短調」の第三楽章は"KILL THE KING GHIDRAH"と名付けられている。また、聖飢魔IIが定めた独自の暦である魔暦の悪魔干支には、「三ツ首竜」という動物が登場する。
  • 前述のキングギドラの造形元とされる『日本誕生』の八岐大蛇は、モチーフである神話の通りの3本以上の多頭首の姿としての造形であった。キングギドラ以降にも八岐大蛇をモチーフ・髣髴させる多頭首竜型怪獣が登場し、例として『ヤマトタケル』に登場するヤマタノオロチや『ウルトラマンガイア』のミズノエノリュウなどがあるが、その内でも特に前者はキングギドラによく似た8つの頭部を有している。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 光線を出す怪獣はゴジラ以外では初めて。
  2. ^ vsキングギドラ』のメカキングギドラや『大怪獣総攻撃』の魏怒羅(千年竜王)は善玉として描かれているが、ゴジラの敵であることに変わりは無い。
  3. ^ 各部を動かさずにただ“立って”いるだけでも、頭(首)各2本(計6本)+翼2本のピアノ線とそれを保持する要員が必要である。
  4. ^ テスト時に各部署が見事に息の合った操演を行なったが、円谷英二が「動きが揃い過ぎていて生き物らしくない」とリテイクを出した、という逸話がある[要出典]。そのため、以後は「各部の動きが揃い過ぎないこと」に注意して操演が行なわれたという。
  5. ^ 1975年に「ブルマァク」からダイキャスト製玩具「ジンクロン合金シリーズ」の一つとして玩具が発売されたことがあるが、腹部を開くとメカが仕込んであるという趣向になっていた。
  6. ^ 引力光線は本来スペースゴジラが使うグラビトルネードのように敵を宙に舞い上げるという物だったが、技術的限界などからその表現は見送られた。
  7. ^ ヤマタノオロチ」のイメージであったという。
  8. ^ 宣伝用のカラースチル写真の中には、翼は虹色のまま、胴体だけが金色に塗りなおされたものが存在する。『三大怪獣 地球最大の決戦』公開時のポスターにおいても、この“翼が3色のギドラ”のスチル写真が使われている。
  9. ^ 2009年公開のアニメーション映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の作中では携帯電話の着信音に引用されている。これは円谷プロから正式に許可を受け借用されたものである。
  10. ^ 前年の1963年黒部ダムが完成して話題性があった。
  11. ^ 本作のDVDオーディオコメンタリー及び、特典『ゴジラ道』での中島春雄の証言によると広瀬正一。同じく特典の東宝俳優図鑑では坂本晴哉と表記。同作の特典の『メイキング8mmフィルム』では、撮影現場に坂本の姿がある。しかし、2014年3月15日神保町シアターで開催された中野昭慶川北紘一トークショーによる証言では宇畄木耕嗣が正しいとされる[出典無効]。中野自身がキャスティングしたが、キングギドラの撮影初日に宇畄木が来ず、調べたら黒澤映画のエキストラ役として勝手に連れて行かれており、黒澤組チーフ助監督の森谷司郎と大喧嘩して連れて帰ってきたと発言。また、当時撮影助手をしていた川北は、よく言われる広瀬は身長が小さいのでキングギドラ役は無理だと思うと発言した。
  12. ^ キングギドラがゴジラと肩を並べて戦ったのはこの時が唯一である。
  13. ^ マンダバランバラゴンを除く。
  14. ^ 左端の首はゴジラに何度も踏みつけられ吐血し絶命、右端の首はアンギラスにかみつかれ続け絶命、中央の首はどういう訳か終始虫の息で、ミニラの熱線によってとどめをさされる。
  15. ^ 登場シーンの多くがライブフィルムである都合による。
  16. ^ ただし前作『怪獣総進撃』の時間設定が「20世紀の終わり」(本作より後の時代)であったので、それまでと同一の個体とする見方もある。そのためvs版が二代目と書かれたこともあった。[要出典]
  17. ^ このドーム自体も触手を伸ばして獲物を捕らえることが出来る
  18. ^ トリプルトルネードとバリアの展開能力は、もともとメカキングギドラの技として考案されていたものである。『ゴジラvsキングギドラ』のDVDに収録された新宿戦用の絵コンテで確認できる。
  19. ^ この時の登場シーンは『三大怪獣 地球最大の決戦』と同じく光に包まれて登場している。
  20. ^ この時のゴジラアイランドの怪獣VSメカキングギドラの戦いは、『怪獣総進撃』のオマージュ。
  21. ^ 「宇宙船 YEAR BOOK 1999」では、名称を「メカキングギドラ(完全修理)」と記載している[30]
  22. ^ 公開直前に発売された『てれびくん』2005年1月号でも、モンスターXがカイザーギドラに変化する直前のシーンまでしか掲載されていない。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 元山掌 et al. 2012, p. 89.
  2. ^ 野村宏平 2004, p. 345.
  3. ^ a b 宇宙船SPECIAL ’70年代特撮ヒーロー全集』 監修 金田益実、朝日ソノラマ1998年5月30日、109頁。ISBN 4-257-03533-1
  4. ^ 間宮尚彦 2000, p. 104.
  5. ^ 中島春雄 2010, pp. 151, 347-348.
  6. ^ 『特撮ニュータイプ』、角川書店2012年4月[要ページ番号]
  7. ^ 中島春雄 2010, p. 351.
  8. ^ 『ゴジラ 東宝チャンピオンまつり パーフェクション』 KADOKAWA〈DENGEKI HOBBY BOOKS〉、2014年、108頁。ISBN 978-4048669993
  9. ^ a b 野村宏平 2004, p. 78.
  10. ^ 中島春雄 2010, p. 352.
  11. ^ 中野昭慶、染谷勝樹 『特技監督 中野昭慶』 ワイズ出版〈ワイズ出版映画文庫〉、2014年7月25日、452頁。ISBN 978-4-89830-280-4
  12. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 171.
  13. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 201.
  14. ^ 監修:田中友幸 『ゴジラ大百科[メカゴジラ編]』 学習研究社1993年。雑誌コード:62538-81。「よみがえるラドンの声」
  15. ^ a b c d e f g 元山掌 et al. 2012, p. 227.
  16. ^ 岩畠寿明 & 小野浩一郎 1991, p. 96.
  17. ^ 岩畠寿明 & 小野浩一郎 1991, pp. 60.
  18. ^ a b c 岩畠寿明 & 小野浩一郎 1991, p. 61.
  19. ^ a b 『ゴジラvsキングギドラ』劇場パンフレットより。
  20. ^ 岩畠寿明 & 小野浩一郎 1991, p. 98.
  21. ^ 平成ゴジラパーフェクション 2012, p. 30, ゴジラVSキングギドラアートワークス.
  22. ^ a b c 平成ゴジラパーフェクション 2012, pp. 32 - 33, キャストインタビュー 中川安奈
  23. ^ 間宮尚彦 2000, p. 32.
  24. ^ この逸話は『ゴジラ・デイズ』(1998年集英社文庫 ISBN 4087488152)に詳しく記載されている。
  25. ^ 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』劇場パンフレットより。
  26. ^ 元山掌 et al. 2012, p. 275.
  27. ^ 『モスラ3 キングギドラ来襲大百科』 勁文社〈ケイブンシャの大百科〉、1998年、84頁。ISBN 4766931165。「鈴木健二インタビュー」
  28. ^ 元山掌 et al. 2012, p. 263.
  29. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 270.
  30. ^ a b 『宇宙船YEAR BOOK 1999』 朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、1999年5月1日、37頁。雑誌コード:01844-05。
  31. ^ 野村宏平 2004, p. 284.
  32. ^ a b c d オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 264
  33. ^ 宇宙船YB 1997, p. 9
  34. ^ a b c d 元山掌 et al. 2012, p. 255.
  35. ^ a b c 宇宙船YB 1997, pp. 4-7, 撮影:飯塚康行「SFX FACTORY RETURNS!! in MOTHRA」
  36. ^ a b 『ゴジラ FINAL WARS』劇場パンフレット(2004年12月)
  37. ^ a b 平成ゴジラパーフェクション 2012, pp. 160 - 161, 「平成ゴジラバーニング・コラム」No.024
  38. ^ 山本弘. “山本弘のSF秘密基地”. 2015年1月8日閲覧。

参考文献[編集]