キングコング (架空の怪獣)

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キングコング
キングコングシリーズのキャラクター
King Kong Fay Wray 1933.jpg
1933年版『キング・コング』のコング
初登場キング・コング』(1933年)
詳細情報
性別 オス
家族 リトルコング
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キングコング (King Kong) は、映画キングコング』シリーズに登場する、架空の怪獣である。初期は『RKO』によって制作されたが、リメイク作品ごとに制作会社が異なる。

登場作品
デザイン
ゴリラに似た姿の巨大な霊長類としてデザインされているが、作品ごとに4足歩行のナックルウォークか直立二足歩行に変化する。

RKOシリーズのコング[編集]

オリジナル版のコングはウィリス・オブライエンによる人形アニメ(ストップモーション・アニメ)で表現された。コングのミニチュアモデルは、金属製の骨格(アーマチュア)を内蔵し、表面にウサギの毛皮を貼った40センチほどのものが数体製作され、髑髏島で使われた丸顔モデルやNYで使われた面長モデルなど、細部が異なる。また、実物大の胸像や頭部、腕部など(これらの表皮はクマの毛皮)も作成され、人形アニメと組み合わせて適宜撮影されている。腕を付いて四足歩行で主に移動するが、シーンによっては直立で動くこともある。

コングの身長は、髑髏島においては18フィート(約5.4メートル=成人男性の3倍程度)、ニューヨークにおいては24フィート(約7.2メートル=成人男性の4倍程度)と設定されていた。

南洋にある髑髏島の原住民たちから神として崇められ、若い女性を生贄として捧げられてきたが、映画撮影のために島に訪れたカール・デナム一向に同行した女優アン・ダロウが生贄に捧げられたことで、その運命は大きく変わることになる。初めて見た金髪白人のアンの虜となったコングは、彼女の救出に来た一向や襲い来るティラノサウルス首長竜を返り討ちにしながら自身の巣に帰還するも、アンを攫おうとしたプテラノドンと格闘中に彼女を救出しに来たジャック・ドリスコルと共にアンに逃げられてしまう。アンを取り戻そうと原住民の村を破壊しながら一行を海岸まで追いつめるも、デナムによってガス爆弾で捕らえられ、ニューヨークへと連れてこられた。だがお披露目の際、マスコミのカメラのフラッシュに興奮してクロム鋼の鎖をちぎり脱走、アンを攫いニューヨーク中を暴れ回った末にエンパイア・ステート・ビルに登った。だがジャックとデナムの提案で駆け付けた空軍の戦闘機4機の銃撃を受け、一機を撃墜するも集中砲火をうけ、最期はビルから墜落し死亡した。

続編『コングの復讐』では彼の息子と思われる純白のリトルコングが登場する。

東宝版のコング[編集]

キングコング対ゴジラ[編集]

諸元
キングコング
KING KONG[出典 1]
別名
身長 45m[出典 5]
体重 2万500t[出典 6][注釈 1]
年齢 29歳[9]
出身地 ファロ島[出典 7][注釈 2]
出現地 ファロ島[出典 8]

南太平洋メラネシアソロモン群島、ファロ島にて原住民から「巨大なる魔神ましん」と恐れられている存在。出現地点は太平洋→千葉東海岸→那須→霞ヶ浦→松戸→後楽園→丸の内→国会議事堂→富士山頂→熱海→太平洋[7]

物理攻撃だけではなく、電流にも強い帯電体質のため送電線から電気エネルギーを吸収して手から電撃を放出して戦う[6][14]。その巨体でファロ島原住民から恐れられ、敬われており、島を襲う大ダコも難なく撃退する力を誇る。しかし、ファロ島の赤い実の植物が持つ特殊な成分の「ファロラクトン」を嗅ぐと、眠り込んで大人しくなってしまう。

日本の製薬会社・パシフィック製薬の宣伝のために、宣伝部によってファロラクトンで眠らされ、日本まで移送されてこられるが、洋上で目を覚まして脱走して千葉沖に上陸し、同じく日本に上陸したゴジラと那須高原で対決する[6]。しかし、ゴジラの放射能には手が出ずに退却し、東京へ向かう途中で桜井ふみ子を捕縛して国会議事堂に居座ってしまうが、ファロラクトンを大量に浴びせられて眠りこけ、その間にふみ子は恋人の藤田によって救出された。

そして富士山麓でゴジラにぶつける提案が出され、ヘリで釣られて空輸され、ゴジラのところへ落とされて再度戦いとなる。その戦いでも最初はゴジラの熱線でダウンしてしまうが、落雷のショックで蘇生した後、100万ボルトの高圧線に触れたことで帯電体質となって放射能も寄せ付けなくなり、今度はゴジラをジャイアントスイングで振り回したり、口に大木を押し込んで放射能を封じたりと、終始優勢となる。最後はゴジラと組み合ったまま海に落下、コングのみ海上に姿を現し、そのままファロ島に帰っていった。

  • キングコングとしては、RKO版から数えて3代目に当たる[20]。それまではモデルアニメーションで表現されており、着ぐるみによるキングコングは本作品が初である[21][20]
  • ゴジラとキングコングを互角に戦わせるため、制作当時の本家では身長7.2メートルだった米国版キングコングに比べ、かなり巨大化した設定にされている[17]。放電能力もゴジラの熱線に対抗するためのものとされる[17]。女性を掴んで建物に登るシーンは、RKO版のオマージュである[21][15]
  • 1966年7月19日放送の『11PM』の大阪よみうりスタジオで収録された「怪獣供養」では、本作品のキングコングの遺影が飾られている[22]
  • 鳴き声は後に『ウルトラマン』に登場したラゴン(遅回し)[23]にも使用されている。
造形
頭部造形は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄による[3][13]
RKOはコングのキャラクターについて、「顔は原典と違うものにして欲しい」など細かい注文をつけた[20]。利光によるコングの顔立ちは、この要求に沿って原典のコングと大きくかけ離れたニホンザル風にアレンジされている[24][20][注釈 3]。また、着ぐるみの容姿も猩猩を思わせる和風となっており、後年には『ゴジラvsコング』を監督したアダム・ウィンガードにも酷評されている[26]。撮影の有川貞昌も、オリジナルのようにスマートではなく、スタッフからも不評であったと証言している[25]
体毛は希少で高価なヤギの毛皮を取り寄せ[出典 9][注釈 4]、茶色に手染めして植え込んでいる[出典 10][注釈 5]。アップ用とアクション用の2種類の頭部が作られ[出典 11]、眼窩には、演技者の目をそのまま使うものと[13]、透明素材で覆ったものとある。
長い腕を表現するため、マジックハンド形式で腕を継ぎ足す方法が採用された[出典 12][注釈 6]。その影響で、腕関節が2か所あるような不自然さが残っている。アタッチメント式のため、撮影時に腕が抜けてしまうこともあったという[24]
2ほどのミニチュア人形、棒操り形式のアップ用の上半身ミニチュアも作られた[出典 13]。アップ用のコングの上半身はマペットタイプで用意され、細かい表情はこれで表現されたほか、小型の人形も作られ、人形アニメでの撮影も1カットほど試みられている[出典 14]
ヒロインを掴むシーンでは、実物大の腕も用いられた[出典 15]。実物大の腕の制作は村瀬継蔵による[28]
アニメーション撮影を行いたいという円谷の要望により、機械工作担当の飯島周次郎がキングコングとゴジラのモデルアニメーション用人形の骨格を制作していたが、可動時にネジが緩んでしまうため、未完成に終わった[28]
胴体はのちに尻尾を着け、頭を挿げ替えて『ウルトラQ』の「大猿ゴロー」に改造され、さらに『キングコングの逆襲』でプール撮影用のコングの胴体に使用されている[32]
演技
演技者は広瀬正一[出典 16]
操演の中代文雄によれば、広瀬は動物園で猿の動きを研究して挑んだが、円谷は普段の広瀬の佇まいがキングコングそのものであったことから素の演技を要望したという[17][13]。コングは劇中で横になっている場面が多いが、寝た姿勢でいる間に暑さでぬいぐるみの内側に汗が溜まり、広瀬は中で半身を汗に浸からせた状態になっていたそうである。中島も広瀬も武道の心得があり、コングがゴジラを一本背負いするシーンやコングがトンボを切って一回転するシーンなど、立ち回りはすべて両人が打ち合わせて行い、円谷は黙って任せてくれたという。
スーツの構造上、ゴジラの方が頭の位置が高いため、両者が並ぶシーンではキングコングを台に乗せて対等な力関係を表現している[25]

キングコングの逆襲[編集]

諸元
キングコング
KING KONG[32][33]
別名 大怪力怪獣[出典 17]
身長 20m[出典 18]
体重 1万t[出典 19][注釈 7]
出身地 南ジャワ海のモンド島[36][38][注釈 8]
出現地 モンド島[39]

南ジャワ海のモンド島に棲んでおり、類人猿が巨大化したとされる[34][40]。身長、体重は初代の半分程度。島の老人からはボー(島の言葉で「王者」)コングと呼ばれている。

本作品ヒロインのスーザンの危機に対し、その声を聞きつけて、ゴロザウルスと戦い、ダウンさせる。その後はモンド島近海に住む大ウミヘビを退け、ドクター・フーによって北極のエネルギー鉱石・エレメントXを採掘するために攫われるが逃亡し、東京でスーザンを攫って東京タワーに登ったドクター・フーが操るメカニコングと対決し、スーザンを救出し、メカニコングとドクター・フーを倒した後、モンド島へと帰っていく[33]

  • 関連書籍などでは2代目キングコングとも表記される[2][4]
  • スーツアクターは中島春雄[出典 20]。本作品のためにゴリラの動きを研究したと述べている[45]。手を地面につけて歩いたり、腕力を中心とした戦い方であるなど、メカニコングとの対比として類人猿らしさが強調されている[21]。中島は、猿のような動き方に苦労したといい、東京タワーのシーンも片手で柱に捕まりながら戦わなければならないため難しかったと述懐している[41]
  • 本作品でのコングは、前作よりも小さい身長20メートルと設定されており、精密な増上寺のミニチュアや鉄骨製の東京タワーのセットなど、従来の怪獣映画とは異なるスケールでの描写が特徴である[46][39]
  • 恐竜(ゴロザウルス)からヒロインを救い出す場面は、RKO版をオマージュしており、構図も揃えている[出典 21]
造形
頭部造形は利光貞三、胴体は八木寛寿、八木康栄による[47][37]。『キングコング対ゴジラ』のコング造形に対するアメリカ側の不評を受けて、今回の着ぐるみは原点に近い頭の大きなゴリラタイプに造形された[出典 22]。スーツはアップ用とアクション用が作られた[41][35][注釈 9]。前者は目が三白眼、後者は目が見開いているのが特徴である[35]。アップ用は腕の内部でマジックハンドを脱着する方式が取られ[43][37]、前作のような不自然さを解消。まぶたと口がラジコンで開閉する。アップ用、アクション用の2種類の顔が同じ石膏型から作られたが、東京タワーのシーンでは、それらとは別に、歯をむき出して笑っているような表情の頭が使われている。
海のシーンに使われたコングの胴体は、『キングコング対ゴジラ』のコングのものを再使用[出典 23]。この胴体は、『ウルトラQ』でも大猿ゴローに使われている[43][32]
その後メインのぬいぐるみは『行け! グリーンマン』の「ゴリラ」に流用された[49]
着ぐるみのほかに、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のガイラのものを改造した実物大の右手[出典 24]と右耳周辺、ギニョール、操演用人形[出典 25]も製作された。
操演用人形は安丸信行が制作し、ヘリコプターで運び込まれるシーンに用いられた[51][37]

東映アニメーションのコング[編集]

東映動画(現東映アニメーション)では、アニメのキングコングが製作され、ハンナ・バーベラ版のゴジラと同じように、人間に友好的で、子供たちと共に世界を冒険していくという内容で、襲いかかる恐竜や、悪者たちと戦っていく内容だった。

はっきりした大きさは不明だが、「台風にも大津波にも負けない」と主題歌で唄われるほどで、作中の船と比べると、少なくとも東宝版に近い数十メートルサイズの巨体を誇っている。

ジョン・ギラーミン版のコング[編集]

着ぐるみと原寸大の造形を交互に使用して制作され、造形制作はリック・ベイカーカルロ・ランバルディが担当、着ぐるみはリック・ベイカーが兼任、声はピーター・カレンが担当した。設定では身長16.8メートル。

キングコング (1976年の映画)[編集]

キングコング』では、南太平洋にある未開の島の原住民たちから神として崇められ、島に訪れた女優のドワンを生贄として捧げられる。ドワンに惹かれ連れ去るも、彼女を守るために大蛇と格闘中にドワンの救出に来た動物学者ジャック・プレスコットによってドワンを奪還されてしまい、ドワンを取り戻すため彼らを追いかけるも油田開拓のために島へ訪れていたフレッド・ウィルソンに捕らえられ、ニューヨークに連れてこられた。

だがお披露目の際、ドワンがマスコミに囲まれている姿を見て彼女が攻撃されていると勘違いし脱走、フレッドを踏み殺してニューヨークの街中を暴れ回り、ドワンを連れて世界貿易センタービルに登り出す。最期はアメリカ軍の火炎放射器隊とヘリコプター隊の機銃掃射によって追い詰められ、致命傷を負ってビルの頂上から落下した。

キングコング2[編集]

続編『キングコング2』では生存していたことが判明し、ジョージア州アトランティック大学研究所にて10年間昏睡状態となっていたが、ボルネオ島のジャングルで捕らえられた雌のレディコングの輸血により人工心臓を移植され復活した。だがレディコングの悲鳴を聞いて暴れ出し、レディコングとともに山へと姿を消す。

その後、ハンク・ミッチェルによってレディコングが発見され、エイミー・フランクリンによって、レディコングが実は妊娠していることが明らかになって、その後でレディコングを守るために姿を現すも、ネヴィット中佐率いる陸戦部隊に狙われ、執拗な追撃を受ける。

やがてレディコングを救うためにネヴィットの陸戦部隊と戦い、全滅させるものの力尽きて絶命する。だが、レディコングとの愛の結晶であるリトルコングが産まれて育っていく。

ピーター・ジャクソン版のコング[編集]

本作品のコングはアンディ・サーキスの演技を用いたモーションキャプチャで表現された。

髑髏島の古代文明を築いた古代人たちがユーラシア大陸から導入したギガントピテクスの進化系であり、体長7.5m、体重3.6tの巨体を誇る。種族自体は髑髏島での過酷な生存競争に敗れ死に絶えており、劇中に登場するコングが最後の生き残りとなっている。そのため攻撃的な気難しい性格となっており、後に髑髏島に住み着いた島民たちの捧げる生贄も容赦なく惨殺していた。

過去作と異なり、直立二足歩行はせずオリジナル版と同様に通常のゴリラと同様に腕を付いて四足歩行を主にし、習性も本物のゴリラと同様に再現された。食性は当初の設定では恐竜を捕食する肉食性として描かれたが、演技のために独自にゴリラを研究したサーキスの反対もあり、通常のゴリラと同様にを食べる草食動物として描かれた。

オリジナル版と同様に原住民たちに生贄として捧げられたアンを攫うも、同じく孤独を抱えることからお互い徐々に心惹かれていくようになる。そして彼女を守ろうと襲いかかる肉食恐竜や翼竜をも次々と倒していくが、デナムによって捕らえられニューヨークで披露された際は、罪悪感からショーへの参加を拒んだアンの代役として登場した女性に怒りを爆発させ脱走、彼女を探しニューヨークを暴れ回った。騒ぎを聞きつけたアンとの再会に歓喜し、ようやく感情を宥められ。互いに心を通じ合わせるものの、軍の攻撃を受けてエンパイア・ステート・ビルへと追い詰められ、空軍の戦闘機6機との死闘の末に3機を撃墜するも、力尽きアンに看取られながら墜落死した。

モンスターバースのコング[編集]

第2作『キングコング:髑髏島の巨神』と第4作『ゴジラvsコング』にて登場。第3作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では直接登場はしないが、その存在は語られている。

第2作で監督を務めたジョーダン・ヴォート=ロバーツ曰く、後のゴジラとの対決や「神」としての威厳を表現するため、既に体長31.6メートル・体重158トンに達していたがこれでもまだ成長途中であり、51年後を描いた第4作では身長106メートルにまで達している。

ゴリラよりも猿人に近い直立二足歩行の姿で描かれているが、走る時にはゴリラのようにナックルウォークの体勢になる。公式設定では雑食性とされており、劇中ではリバー・デビルやワーバット、マグロを食べていた。

髑髏島の生態系の頂点に君臨するが、種族としては同じく頂点捕食者として君臨するスカル・クローラーとの生存競争に敗れており、種族最後の生き残り。両親も生まれてすぐにスカル・クローラーに殺されており、ゆえにスカル・クローラーなど島の調和を乱すものには容赦なく攻撃するが、基本的には弱者を労わる博愛精神の強い温厚な性格であり、島民のイーウィス族からは守護神として崇められている。

また、歴代のキングコングの中でも特に高い知能を持ち合わせており、道具の加工やアメリカ手話を理解して自分も行っている。

キングコング:髑髏島の巨神[編集]

主にCGアニメーションで作られたが、一部はピーター・ジャクソン版と同じくモーションキャプチャで表現され、テリー・ノタリー英語版が演じた。

1973年アメリカ陸軍第三強襲ヘリコプター部隊「スカイデビルズ」の護衛を受けて髑髏島に飛来したモナークとランドサットが地質調査の名目で投下したサイズミック爆弾に激怒して襲来し、「スカイデビルズ」全機を撃墜する。

その後はその影響で地表に出て狩りをしていたスカル・クローラーの掃討を行ったり、撃墜したヘリの下敷きになっていたスケル・バッファローを助けたりしていたが、その中で本作品のヒロインであるメイソン・ウィーバーと心を通わせることになる。

その後、復讐を目論む「スカイデビルズ」隊長のプレストン・パッカードの罠にはまって火攻めに遭い弱って倒れ込み、そのまま時限爆弾で爆殺されそうになる。それを阻止しようと現れたウィーバーたちの説得も受けパッカード以外の兵士たちは説き伏せられたが、騒動の余波でスカル・クローラーの大型個体が出現、皆が撤退するも一人残って自身を抹殺しようとしたパッカードを葬った後、苦戦しつつも調査隊の加勢もあって形勢を立て直して勝利を収めた。すべてが終わった後は、髑髏島を去る調査隊に向けて「二度と自分の縄張りに近づくな」と警告するかのようにドラミングを行い雄叫びを上げた。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ[編集]

劇中では直接登場はしないが、エンドクレジットでのシーンで太古にゴジラと対戦していたことを示す壁画が登場している。

なお、後日談となる2021年を描いたグラフィックノベル『キングダム・コング』 (Kingdom Kong)[52]にて、髑髏島はキングギドラ復活の影響により、異常気象と巨大生物・カマソッソの襲来の大被害を受け、イーウィス族も壊滅的になってしまうが、その際に次作で心を交わすジアを救出したことになっている。

ゴジラvsコング[編集]

諸元
コング[53]
KONG[53]
身長 不明[53]
体重 不明[53]

髑髏島の生態系が崩壊したために、モナークが島内に設置した第236前哨基地にて収容・観察されていたものの、成長したことで1973年に目撃された際よりもさらに強くなり[53]、巨体を持て余すようになり、モナークもその扱いに手を焼いていた。しかし、ギドラの襲撃によって滅んだイーウィス族の最後の生き残りであり、自身を象った偶像を持ち続ける聾唖の少女・ジアにだけは心を通わせている[53]

ゴジラが暴れる原因究明と、それに対抗出来る力はコングだけという理由から、モナークとエイペックス・サイバネティクス社の手引きにより南極の地下空洞の水先案内役を押し付けられる。身体を船舶の強力なアンカーチェーンで拘束され、鎮静剤も打たれつつ、海から魚群を手ですくって捕食しながら海輸される。しかし、タスマン海にさしかかった時に追って来たゴジラと遭遇。航空母艦上の一戦では徒手空拳でゴジラに強烈な一撃を食らわせるも、ゴジラの放射熱線に苦戦を強いられ、さらに海中では半水生でもあるゴジラに主導権を取られて翻弄される。溺死寸前の窮地に陥ったところを、モナークの援護の爆雷攻撃によってゴジラの拘束から逃れ、ネイサンの判断で輸送隊が動力を切ったことで、どうにかゴジラをやり過ごすことに成功する。その後は海上輸送は困難だったことから、南極の地底空洞入口にはヘリで釣り下げられて空輸される。

到着当初は拒んでいたが、ジアの説得で内部に入り、そこからエイペックスの探査艇ヒーヴを導いて空洞に入る。途中でワーバット二体の攻撃を受けるも、一体を撃破、もう一体に身体を巻き付かされて苦戦するものの、ヒーヴからの援護で撃退した後、首を千切った後にその血を呑んでいる。そして地底空洞中心の巨大な山に到着すると、かつて太古の先祖たちが山の内部にある地底世界に築き上げた宮殿に入り、専用武器の斧と自らを身体を降ろす玉座型の巨岩を発見、故郷への帰還に歓喜する。

そこへ香港から空洞に向けて熱線を放ったゴジラの攻撃を受ける。ジアを見棄て、自分を攻撃して逃走を図るマイア・シモンズの乗ったヒーヴを捕まえて握りつぶした後、地上へと舞い戻って再度ゴジラに立ち向かう。二戦目では斧を振るってゴジラの熱線をガードしながら、身の軽さで熱線攻撃をかわし、今度は互角に戦いに持ち込んだ。ゴジラの放射熱線を防ぎつつ活性化させた斧の一撃により昏倒させ勝利するが、ゴジラには決定打にならなかった。ゴジラが程なくして起き上がって始まった三戦目では当初背後からの強襲に成功するものの、斧が先の戦いで吹き飛び手元から離れてしまっており、やがてゴジラの噛みつきからの振り回しによって左肩を脱臼したことによってゴジラの猛攻をふせぎきれなくなってしまった。ゴジラの牙と爪により無数の傷を受け、さらに止めの踏みつけを胸部に受けて敗北、心肺停止寸前にまで追い込まれる。

だが、エイペックス社がギドラの死骸を用いて開発したメカゴジラの攻撃でゴジラが劣勢になった時、ネイサンがヒーヴを自爆させた電気ショックによって復活。ジアから「ゴジラは敵じゃない、敵はメカゴジラ」と諭され、自ら左肩の脱臼を治した後にゴジラと共にメカゴジラに立ち向かう。再度手にした斧にゴジラからの熱線を受け、そのエネルギーが溜まった刃でメカゴジラの両腕と片脚を切断。さらに首への一撃の後、両腕で首を引きちぎって撃破。結果として髑髏島を滅ぼした遠因であるギドラへの復讐を果たした。

その後は再びゴジラと睨み合うが、共闘のよしみで武器の斧を収め、それを見たゴジラも戦うこと無く南シナ海へと帰っている。自身も地下空洞へと帰還した後は空洞内に建設されたモナークの監視ステーションで、ジアと共に平和に過ごすようになる。

その他、派生キャラクター[編集]

メカニコング
キングコングの逆襲』に登場。キングコングを元に制作されたロボット怪獣で、登場はメカゴジラに先んじており、初の怪獣に模したロボットである。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 資料によっては、「2万5千トン」[5]、「4万5百トン」[11]と記述している。
  2. ^ 資料によっては「出生地」として記述している[2]
  3. ^ 数度に渡る作り直しなど、かなりの試行錯誤があったという[25]
  4. ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』ではヤク[20]と記述している。
  5. ^ 開米は、『獣人雪男』の時は自身で染めていたが、本作品のころには染屋が増えており、あらかじめ染めてもらうことができたと証言している[3]
  6. ^ 頭部が2種類あることや、腕の長さの違いから、資料によってはスーツが2着用意されたと記述しているものもあった[17][30]
  7. ^ 資料によっては「800トン」と記述している[4]
  8. ^ 資料によっては、「出生地」と記述している[2]
  9. ^ 書籍『キャラクター大全ゴジラ』では、マスクのみ2種類作られたと記述している[37]

出典[編集]

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出典(リンク)[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]