大ダコ (東宝特撮作品)

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大ダコ
東宝特撮映画のキャラクター
初登場キングコング対ゴジラ
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大ダコ(おおダコ)は東宝怪獣映画キングコング対ゴジラ』などに登場する架空の生物である。資料によっては大タコとも表記される[1]。別名は海魔怪魔[2]など。

概要[編集]

突然変異により巨大化したタコで、長い触手と怪力によりさまざまな怪獣を苦しめる。また、肉食性が強く漁船などを襲い、人間を捕食する。すべての個体が夜行性。

特撮監督の円谷英二は、映画『ゴジラ』の企画時に大ダコの怪獣をイメージしており、それ以来大ダコにこだわっていたとされる[出典 1]

『キングコング対ゴジラ』での大ダコの特撮が海外で好評となり、アメリカのベネディクト・プロとの提携で制作された『フランケンシュタイン対地底怪獣』と『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』でも大ダコの登場シーンが挿入された[4]

登場作品[編集]

公開順。

  • キングコング対ゴジラ(1962年)
  • フランケンシュタイン対地底怪獣(テレビ放映版、1965年)
  • フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(1966年)

1969年公開の『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』の検討用台本第一稿では登場が予定されていたが、エビラに変更された[6]

『キングコング対ゴジラ』に登場する大ダコ[編集]

諸元
大ダコ
GIANT OCTOPUS[出典 2]
別名 海魔[出典 3][注釈 1]
身長 30m[出典 4][注釈 2]
体重 2万t[出典 6][注釈 3]
出身地 ファロ島近海[7][8][注釈 4]
出現地

ファロ島近海に住む巨大なタコ[1][14]。夜行性で夜ファロ島に上陸し[7][17]、住民を捕食しようと襲いかかるもそこに現れたキングコングに妨害され、戦いとなる[19]。キングコングの頭部に絡み付いたり、頭部を触手で締め上げるなどして善戦するが[14]、キングコングの怪力には歯が立たず投げ飛ばされ、海へ敗走した。

  • 撮影には、本物のマダコとミニチュア、実物大の触手を使用している[出典 8]
    • 本物を用いた撮影は、三浦半島にミニチュアセットを持ち出して行われた[出典 9]。本作品は円谷英二にとっては念願のタコ映画でもあり、40 - 50匹も購入したタコの目にピンライトの光を当てて動かした。川北紘一は、タコが思うように動かず苦労したと証言している[23]。一方、中野昭慶も同様の証言に加え、セットでは動かないタコに熱した鉄の棒(焼火ばし)を近づけ、その熱さを嫌がって動く姿を徐々に撮影したと証言している[24]。使い終わった後のタコは、2日間かけてスタッフで食べ尽くした[25][12]
    • キングコングと絡む場面のタコは、開米栄三によってラテックス製のものが作られた[出典 10][注釈 5]。本物のタコから型取りしており[12][8]、開米は知人である築地の卸売業者に頼んで大物が出たことを知らせてもらい、早朝から買いに走ったという[8]。当初はゴム玩具のような質感であったため生のタコが用いられることになり、こちらの造形物はビニールを巻いて質感を出すかたちに改められた[21]
  • 決定稿まではキングコングと洋上で戦うシーンが存在したが、改定稿で削除された[1]
  • このシーンは『ウルトラQ』第23話「南海の怒り」に流用された。
  • 大ダコの効果音はゴジラなどと同様に伊福部昭が手掛けており、無調の12音階コンボオルガンミュージックソーグリッサンドを合わせて表現している[26]。伊福部は、これには「全く弱りきった」と述べており、「効果があったかどうかは疑わしい」と述懐している[26]

『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場する大ダコ[編集]

諸元
大ダコ
GIANT OCTOPUS[出典 11]
別名 海魔[出典 12][注釈 6]
身長 25m[出典 13]
体重 2万t[出典 13]
出身地 富士の湖底[27]
出現地 富士山麓[30]

富士山麓の湖に生息していると推測される[14]バラゴンとの戦いで疲労したフランケンシュタインを湖の岩場で襲撃して湖に引きずり込み、そのまま湖底に沈んでいく[29][14]

  • 大ダコが登場するシーンは、海外用に撮影されていたが[出典 14]、テレビ放映版で初めて公開された[出典 15]。詳細は「フランケンシュタイン対地底怪獣#結末のバリエーション」を参照。
  • 八木勘寿、八木康栄、村瀬継蔵による造形。胴体はスポンジ製で、表皮はラテックスにオガクズを練ったものを塗り、さらにその上からラテックスで固めている[28]。出現シーンは本物のタコを用いている[10]
  • 造形物は『ウルトラQ』第23話「南海の怒り」のスダールにそのまま流用され[31]、その後、後述する『サンダ対ガイラ』の大ダコに使用された[35]

『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』に登場する大ダコ[編集]

諸元
大ダコ
GIANT OCTOPUS[36]
別名 海魔[出典 16][注釈 7]
身長 25m[37][14][注釈 8]
体重 2万t[37][39][注釈 9]
出身地 太平洋[37][注釈 10]

タコが突然変異により巨大化した怪獣[37]。嵐の夜に密輸中の第三海神丸の乗組員を襲っているところをガイラに妨害され、船上で対決して互角の攻防を繰り広げるが、海へ叩き込まれて絶命した[出典 17]

  • 造形物は前作の流用[10][35]。操演は、各脚に1人ずつと胴体に1人の計9人で行われた[41]。目の電飾をスライダックで明滅させている[36]
  • 3作品目にして初めて水上での戦いが描かれた[42]
  • ガイラのスーツアクターを務めた中島春雄は、大ダコの脚が巻き付いてもがき苦しむ場面は事実上の一人芝居であったといい、ラッシュを見て成功を確信したが、それまではうまくできていたかどうか心配していたという[41]

その他[編集]

ウルトラQ
第23話「南海の怒り」で、大ダコ スダールに流用。時期としては、『フランケンシュタイン対地底怪獣』と『サンダ対ガイラ』の間の時期であるが、造形物のほかに『キングコング対ゴジラ』のライブフィルムの流用もある。
戦え! マイティジャック
第14話「炎の海を乗り越えろ!」で、海魔大ダコに流用。唯一、白昼に出現する個体。海から垂直に足を伸ばしてマイティジャック号に襲いかかる。全長235メートルの同艦と同程度の大きさである。
キングコング:髑髏島の巨神
2017年の映画。巨大な頭足類のリバー・デビルが『キングコング対ゴジラ』の大ダコへのオマージュとして登場し[43]、キングコングと格闘を行う。詳細はリンク先を参照。
小説『GODZILLA 怪獣黙示録
太平洋に生息し、1年に2、3艘の割合で漁船や輸送船を沈めている[44]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 資料によっては、怪魔[2]海の悪魔[5][15]と記述している。
  2. ^ 資料によっては、「25メートル[出典 5]」「50メートル[18]」と記述している。
  3. ^ 資料によっては、「600トン」と記述している[出典 7]
  4. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、「世界各地」と記述している[11]
  5. ^ 資料によっては、コンニャク製のものもあったと記述している[20][12]
  6. ^ 資料によっては、海の悪魔と記述している[30]
  7. ^ 資料によっては、海の悪魔と記述している[39]
  8. ^ 書籍『ゴジラの超常識』では、「30メートル」と記述している[39]
  9. ^ 書籍によっては、「1万トン」と記述している[14]
  10. ^ 資料によっては「出現地」として記述している[39]

出典[編集]

  1. ^ a b c 東宝特撮映画大全集 2012, p. 68, 「『キングコング対ゴジラ』怪獣図鑑/資料館」
  2. ^ a b c d 怪獣大全集 1991, p. 69, 「東宝モンスター名鑑」
  3. ^ a b 円谷英二特撮世界 2001, pp. 92–93, 「キングコング対ゴジラ」
  4. ^ a b c d 東宝特撮映画大全集 2012, p. 97, 「『フランケンシュタイン対地底怪獣』撮影秘話」
  5. ^ a b c d e f 超常識 2016, pp. 36–40, 「二大モンスター世紀の大決闘 キングコング対ゴジラ」
  6. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 134, 「『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』資料館」
  7. ^ a b c d e f g ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 85, 「キングコング対ゴジラ キャラクター図鑑」
  8. ^ a b c d e f g h オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 77, 「『キングコング対ゴジラ』大ダコ」
  9. ^ a b c GODZILLA60 2014, p. 87, 「怪獣図鑑」
  10. ^ a b c d e f g ゴジラ大全集 1994, p. 102, 「昭和30年代 怪獣グラフィティ」
  11. ^ a b c d ゴジラ来襲 1998, p. 201, 「第7章 特選!東宝怪獣名鑑'98」
  12. ^ a b c d e f g キャラクター大全 2014, p. 69, 「ゴジラ共演怪獣 1954-1967」
  13. ^ a b c d ゴジラ検定 2018, p. 33, 「キングコング対ゴジラ 今回の怪獣対決」
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n 全怪獣大図鑑 2021, pp. 272–273, 「驚異の巨大生物たち」
  15. ^ a b c d 解体全書 2016, p. 101, 「第3章 太古の巨獣」
  16. ^ a b 大辞典 2014, pp. 57–58, 「お 大ダコ」
  17. ^ a b c Walker 2016, p. 55, 「シリーズ全28作+3作ガイド」
  18. ^ a b c 超最新ゴジラ大図鑑 1992, p. 89, 「[キングコング対ゴジラ]」
  19. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 31, 「キングコング対ゴジラ」
  20. ^ a b c 東宝特撮映画全史 1983, p. 235, 「東宝特撮映画作品史 キングコング対ゴジラ」
  21. ^ a b 大ゴジラ図鑑2 1995, p. 48, 「大ダコ」
  22. ^ a b ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 89, 「メイキング オブ キングコング対ゴジラ」
  23. ^ a b c 東宝特撮映画大全集 2012, p. 69, 「『キングコング対ゴジラ』撮影秘話/川北監督に訊く」
  24. ^ “(2ページ目)『ゴジラvsコング』の原点『キングコング対ゴジラ』撮影秘話……敵の大ダコはその日のスタッフの夕食になっていた”. 文春オンライン (文藝春秋). (2021年7月2日). https://bunshun.jp/articles/-/46517?page=2 2021年7月5日閲覧。 
  25. ^ こだわりはゴジラではなくタコ?! 『キングコング対ゴジラ』 [4Kデジタルリマスター版 トークショー“KING KONG VS. GODZILLA” TS〈 JapaneseClassics〉 - YouTube]
  26. ^ a b 東宝特撮映画全史 1983, p. 65, 「伊福部昭 特撮映画の音楽」
  27. ^ a b c 「人類を脅かした巨大生物大図鑑」 『ゴジラ×メカゴジラ超全集』構成 間宮“TAKI”尚彦、小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、2003年1月10日、39頁。ISBN 978-4-09-101488-7 
  28. ^ a b c オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 109, 「『フランケンシュタイン対地底怪獣』大ダコ」
  29. ^ a b c キャラクター大全 2014, p. 103, 「怪獣映画の興隆 フランケンシュタイン対地底怪獣」
  30. ^ a b c d 超常識 2016, pp. 256–258, 「不死身の怪物と地底怪獣の激突! フランケンシュタイン対地底怪獣」
  31. ^ a b 大ゴジラ図鑑2 1995, p. 73, 「大ダコ」
  32. ^ 日本特撮映画図鑑 1999, pp. 36–37, 「フランケンシュタイン対地底怪獣」
  33. ^ 円谷英二特撮世界 2001, pp. 110–111, 「フランケンシュタイン対地底怪獣」
  34. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 38, 「column 大ダコの謎」
  35. ^ a b 大ゴジラ図鑑2 1995, p. 84, 「大ダコ」
  36. ^ a b オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 122, 「『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』大ダコ」
  37. ^ a b c d e f 東宝特撮映画大全集 2012, p. 108, 「『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ』怪獣図鑑」
  38. ^ a b キャラクター大全 2014, p. 107, 「怪獣映画の興隆 フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」
  39. ^ a b c d 超常識 2016, pp. 260–263, 「同細胞から生まれた兄弟怪獣の対決 フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」
  40. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, pp. 42–43, 「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」
  41. ^ a b 東宝特撮映画全史 1983, p. 310, 「東宝特撮映画作品史 フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」
  42. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 109, 「『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ』撮影秘話」
  43. ^ 構成・文 鷺巣義明「海外新作映画コレクション MUST SEE! MOVIE」『宇宙船』vol.156(SPRING 2017.春)、ホビージャパン、2017年4月1日、 118頁、 ISBN 978-4-7986-1434-2
  44. ^ 怪獣黙示録 2017, pp. 112–150, 第2章『G』

出典(リンク)[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]