江戸に現れたキングコング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
江戸に現れたキングコング
キネマ旬報』の全面広告(1938年)
監督 熊谷草弥
制作会社 全勝キネマ
テンプレートを表示

江戸に現れたキングコング』(えどにあらわれたキングコング)は、1938年に公開された日本映画[1]熊谷草弥監督、全勝キネマ製作。タイトルは単に『キング・コング』としている資料もある。

概要[編集]

1933年に公開された『キング・コング』を思わせる怪猿が登場する時代活劇で、全勝キネマの「三週年記念超特作」として制作された。本作は「邦画史上初めて巨大な怪獣が登場する映画なのでは?」と言われたこともあったが、劇中の「キングコング」(類人猿)はあくまで等身大であるとされており、適当ではない[2]。しかし、この類人猿の造形とスーツアクターを後に多くの特撮作品を手掛けた大橋史典(樺山龍之介)が担当していることもあり[3]、「日本の怪獣映画の前史」といわれることもある。また、海外の怪獣ファンの間でも一定の知名度がある。現在原版は所在不明であり、視聴できない状態にある。

スタッフ[編集]

  • 監督:熊谷草弥
  • 脚本:青山大乗
  • 撮影:奥田陽蔵

キャスト[編集]

  • 郷孫之丞:松本栄三郎
  • 類人猿:樺山龍之介
  • 鳥羽兵衛:市川礼三郎
  • 千浪:美島麗子
  • 傴僂男黒阿弥:尾形章二郎
  • 井上銀兵衛:毛利三四郎
  • 河崎譲:高島登
  • 瀬川琴之助:社恵之助
  • 中沢新十郎:多賀新
  • 東鉄三郎:芝笑太郎
  • 松平伊豆守:日疋龍太郎
  • 炭屋の番頭:松平圭介
  • 醤油屋の番頭:吉井菊太郎
  • 米屋の丁稚:実川童

備考[編集]

2012年頃に動画共有サービスに本作の断片とされる映像が投稿されたことがあるが、これは1977年公開のイタリア映画『雪男イエティ』を元にしたフェイクだったことが解っている[4]

脚注[編集]

  1. ^ 初版が1万ドル!『キングコング』の濃い世界 - 東洋経済オンライン
  2. ^ 高槻(2014年)p.185-188
  3. ^ 友井健人「特撮界の怪人 大橋史典」『別冊映画秘宝電人ザボーガー』&ピー・プロ特撮大図鑑』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年11月14日、pp.86-87頁。ISBN 978-4-86248-805-3 
  4. ^ 高槻 (2014年) p.184-185

参考文献[編集]

  • 『戦前日本SF映画創世記 ゴジラは何でできているか』 高槻真樹 2014年 河出書房新社

外部リンク[編集]