キングコング対ゴジラ

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キングコング対ゴジラ
King Kong vs. Godzilla[出典 1]
King Kong vs. Godzilla.png
監督
脚本 関沢新一
製作 田中友幸
出演者
音楽 伊福部昭
撮影
編集
製作会社 東宝[出典 2]
配給
公開 日本の旗 1962年8月11日[出典 3]
上映時間 97分[出典 4][注釈 1]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 1億5,000万円[22]
配給収入 3億5010万円[23]
前作 ゴジラの逆襲
次作
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キングコング対ゴジラ』は1962年昭和37年)8月11日に公開された日本映画[10][12]ゴジラシリーズの第3作[出典 6]キングコングの権利を所有していたRKO社とのライセンス提携作品。日本での配給は東宝[6]、アメリカではユニバーサル・インターナショナル総天然色東宝スコープ[出典 7]東宝創立30周年記念作品[出典 8]

アメリカが生んだ怪獣キャラクターの元祖「キングコング」をゲストに迎え、ゴジラが7年ぶりに復活[出典 9]。前作『ゴジラの逆襲』の続編である。第1作『ゴジラ』のような反核のイメージはなく、明快な娯楽作品となっている[出典 10]。封切興行時は『明治天皇と日露大戦争』に次いで邦画過去第2位(当時)、ゴジラシリーズ中では歴代1位となる1120万人[31][注釈 2]を動員する大ヒットを記録。1970年と1977年に東宝チャンピオンまつりで短縮版が公開された[20]

概要[編集]

1955年作の『ゴジラの逆襲』以来7年ぶりの新作であり、ゴジラ映画としては初めてのカラー製作[出典 12]、さらにシネマスコープの類にあたる「TOHO SCOPE」(東宝スコープ)で上映された作品である。また、関沢新一のゴジラ映画デビュー作でもある。本作品で初めて、ゴジラの体色や放射能火炎の青白い色が披露された。日米両雄の対決は、1958年に開催された力道山ルー・テーズにちなむものであり、本作品以降、怪獣映画は単独キャラクターものから対決路線へと転換していった[28]

タイトルクレジットのバックの密林、キングコングがゴジラの口に木を突っ込むシーンや女性をさらって国会議事堂によじ登るシーン[注釈 3]など、本家『キング・コング』へのオマージュ的シーンが多い[8][16][注釈 4]。公開時の宣伝スチールでは、本家のキングコングの写真がゴジラと合成されて多数使われていた。

主要襲撃地点は那須、東京、富士山麓、熱海。ミニチュアで作られた熱海城は、ゴジラとキングコングに破壊される。ファロ島では、本物と模型を使い分けた大ダコも登場する。

序盤のストーリーはテレビ業界が中心となっており、テレビの普及率が高まっていた公開当時の世相を反映している[25][20]

ストーリー[編集]

映画のワンシーン

自社提供のテレビ番組『世界驚異シリーズ』の視聴率不振に頭を痛めるパシフィック製薬宣伝部長の多胡は、南太平洋メラネシアに位置するソロモン諸島の1つ・ファロ島に伝わる「巨大なる魔神」が目覚めたという噂を聞きつけ、これを聴取率アップの決定打にしようと企む。提携先のテレビ局員・桜井と古江はたった2人の探検隊として仕立てられ、ファロ島へ行くことになる。乗り気でない桜井に対し、時を同じくして妹のふみ子のフィアンセ・藤田は、新開発の特殊繊維のテストをするため、しばらく日本を離れるという。

一方、北極海では海水の温度上昇が始まり、調査のために原潜シーホーク号が国連派遣の科学者を乗せて現地へ向かう。そこには青白く発光する氷山があったが、実はそれこそが大阪市アンギラスとの戦いを終え、神子島で氷漬けにされたまま行方不明となっていたゴジラが眠る氷塊だった。まもなく復活したゴジラは原潜を沈め、某国基地を破壊して移動する。生物学の権威・重沢博士は、ゴジラは帰巣本能によって日本へ戻ると予測し、国内ではゴジラの話題で持ち切りになる。その影響で「巨大なる魔神」は話題にならず、多胡にとってゴジラはいら立ちの種でしかなかった。

ファロ島に上陸した桜井と古江は、島民たちの間に根強い魔神信仰があり、かつ「巨大なる魔神」が実在することを知る。その夜、海から現れた大ダコに島は大混乱となるが、そこへ山奥から巨大なる魔神=キングコングが出現し、大ダコを追い払う。キングコングは島民たちの用意した赤い汁を飲み干し、彼らが踊りと共に捧げる祈りの歌を聴くと、たちまち深い眠りに就いてしまった。キングコングを日本へ連れて帰ろうという桜井の発案は、日本で一大旋風を巻き起こす。ホクホク顔の多胡部長だったが、部下の一言から次なる宣伝アイデアを思い付く。「キングコングとゴジラ、どちらが強い?」。

そのころ、藤田を乗せた貨物船が北海道沖でゴジラの潜航波によって沈没するという事件が発生し、慌てたふみ子はすぐさま現地へ向かう。だが、藤田は一足先に根室港で下船したため、命拾いしていた。ゴジラは松島湾から上陸して本土を南下する途上にあり、ふみ子を乗せた急行列車も運転を中止してゴジラに破壊されてしまう。逃げ惑う人々の波から1人はぐれてしまったふみ子を救ったのは、事情を知って追ってきた藤田だった。

自衛隊によってゴジラ対策が急がれる一方、洋上ではキングコングが眠りから覚め、本土へ向けて北上を開始する。千葉沖から上陸したキングコングは、あたかも本能に導かれるように南下するゴジラを目指して進み出す。そして、ついに中禅寺湖で初対決するが、緒戦はゴジラの放射能火炎に分があり、悠々と構えるゴジラを前に対抗できないキングコングは引き下がらざるを得なかった。

しかし、自衛隊による100万ボルト作戦が闘いの行方を想定外の方向へ導く。これにより電流を苦手とするゴジラの首都圏侵攻は食い止めたものの、キングコングは高圧線に触れたことで、ゴジラへの強力な対抗手段である帯電体質を得ていた。東京へ侵入したキングコングは、後楽園駅付近にて丸ノ内線電車をつかみ上げて1人の女性を手にするが、それは避難の最中にまたも藤田とはぐれてしまったふみ子だった。ふみ子に満悦のキングコングは警戒網が張られた都内を進行し、彼女を手にしたまま国会議事堂へよじ登る。うかつに攻撃できない自衛隊や、駆け付けた桜井と藤田をよそに、キングコングはふみ子を手にしたまま悠然と休む。藤田はその姿を見て全身に怒りを表しキングコングを罵倒する。その姿に、桜井はファロ島で原住民の踊りと音楽、そして赤い汁でキングコングが眠り込んだことを思い出し、コングを眠らせる作戦を思い立つ。作戦は成功してキングコングが再び眠りに就き、ふみ子は無事に救出される。

キングコングは藤田の開発した特殊繊維と気球で吊るされ、富士山麓を進行中のゴジラのもとへ運搬されることが決まる。「両雄並び立たず」として、共倒れさせる作戦によって再び合いまみえたゴジラとキングコングは激戦を展開。ゴジラの放射能火炎とキングコングの放電が激突した末、両者は巨大な波しぶきをあげて海へ落下する。やがて沖合で南方へと去るキングコングの姿だけが確認され、ゴジラは海中に没したまま姿を消してしまう。人々は未知なる自然の脅威に畏怖するのだった。

登場人物[編集]

桜井 修さくらい おさむ[36]
TTVのカメラマン[36][37]。『世界驚異シリーズ』の視聴率向上のため、「巨大なる魔神」の取材班員としてファロ島へ派遣される[36]。妹のふみ子と公営団地に二人住まい。元ミュージシャンで欠員補助として自らCMに出演することもある[37]
藤田 一雄ふじた かずお[38]
東京製綱の技術者[38][37]。桜井兄妹と同じ団地に住んでおり、ふみ子とは恋人同士である[38][37]。「鋼より強く絹糸よりしなやか」と称する特殊繊維の開発に携わっており[38]、その船具用試作品テストのために乗船していた大型貨物船がゴジラの潜航波によって東北太平洋沖で遭難。安否不明者の1人として報じられたが、実際は根室に寄港した際に下船していたため難を逃れていた。
その後、特殊繊維はキングコング輸送作戦に用いられる[38][37]
古江 金三郎ふるえ きんざぶろう[39]
TTVの演出部員[39][37]。桜井とともにファロ島へ赴く[39][37]。当初は乗り気だったが、船酔いとファロ島の苛酷な環境でノイローゼに陥り、多湖の言動に対して反攻的になる。
多湖部長たこ ぶちょう[40]
パシフィック製薬の宣伝部長[40][37]。自社がスポンサーを務めるTTVの『世界驚異シリーズ』の聴取率引き上げのため、ファロ島の「巨大なる魔神」の取材を企画する[40]。宣伝のためならば前後の見境がなく、定年前に大きな業績を挙げようと躍起になっている典型的な猛烈型サラリーマンで、キングコングをも自社のイメージキャラクターに仕立て上げようと目論む。
重沢博士しげさわ はかせ[28][注釈 5]
生物工学博士[41]。自衛隊の対策本部に招集され、ゴジラとキングコングの動向を分析する[41]。帰巣本能からゴジラが日本に上陸することを予言。
桜井 ふみ子さくらい ふみこ[出典 13]
桜井修の妹で、藤田の恋人[43][37]。藤田の安否確認のために東北へ向かう道中でゴジラに襲われ、その後も東京からの避難の最中にもキングコングに捕まるなど、散々な目に遭う[37]
たみ江たみえ
桜井兄妹および藤田と同じ団地の住人[44]
大貫博士おおぬき はかせ[45]
原子科学者[45]。自衛隊の対策本部に招集され、100万ボルト作戦のアドバイザーを務める[45]
大林おおばやし[45]
パシフィック製薬の宣伝部員[45]。上司である多湖の無鉄砲な言動に振り回されている。
牧岡博士まきおか はかせ[46]
パシフィック製薬の新薬開発に従事する薬学博士[46]。南方の赤い実から開発したファロラクトンが麻酔弾作戦に用いられることとなる[46]
コンノ[47]
ファロ島でガイド兼通訳を務めるパプア人[47]
チキロ[48]
ファロ島の少年[48]。コンノの頼みで赤い汁を取りに行った際に、大ダコに襲われる[48]

登場怪獣[編集]

大トカゲ[編集]

諸元
大トカゲ
GIANT LIZARD[49][50]
全長 約1m[49][注釈 6]
体重 不明[51][16]
出身地 ファロ島[51][注釈 7]

ファロ島のジャングルに生息するトカゲ[52][29]。全長1メートルで、「ピーピー」と鳴く。

  • チャンピオンまつり版では登場シーンがカットされている[53]。一時期はこのバージョンしか公開されていなかったため、幻のキャラクターとなっていた[51]

登場兵器・メカニック[編集]

架空[編集]

シーホーク号[出典 14]
国連所属の原子力潜水艦[37]。水温が上昇した北極の調査に向かうが、光る氷山の中から現れたゴジラによって沈められる[54][37]
無反動砲搭載ジープ[56][37]

実在[編集]

自衛隊[編集]

M4中戦車[出典 15]
陸上自衛隊所属車両が登場。ふみ子をつかんだまま国会議事堂に登ったキングコングを包囲する。
また、ゴジラが襲う某国の軍事基地に配備されていた戦車としても登場しているが、この車体には赤い星が描かれている[37]
2トン半トラック3/4tトラック
陸上自衛隊所属車両が登場。各地へ自衛官たちを輸送する。
1/4tトラック
陸上自衛隊所属車両が複数登場。また、藤田がゴジラから逃げ惑う人々の波から1人はぐれてしまったふみ子を救うため、これに乗って駆け付ける。
H-19A多用途ヘリコプター[出典 16]
陸上自衛隊所属機機が登場。作中の随所にて、ゴジラやキングコングの動向を監視するために飛び回っており、終盤ではキングコングの輸送作戦で指揮機を務めている。
KV-107II-4中型輸送ヘリコプター[出典 17]
陸上自衛隊所属機が登場。キングコングを特殊繊維製のワイヤーで吊り下げ、ゴジラのもとへ空輸する[63][37]
また、アメリカ海軍所属機も登場しており、消息を絶ったシーホーク号を捜索中、氷山の中から出現したゴジラを発見する。
M1カービン
自衛官たちが携行している。
十四年式拳銃
自衛隊の幹部が装備。ただし、映っているのは握りの部分のみである[65]

民間[編集]

プリムス・フューリー[66]
パシフィック製薬の社用車。桜井たちはこれに乗り、キングコングとゴジラの最初の対決の場である中禅寺湖に向かった。
シボレー・インパラ
重沢博士の車。
いすゞ・TXタンクローリー[66]
ゴジラ埋没作戦で川にガソリンを流すために使用された車両[66]
マーリンM336
ファロ島探検隊が装備するレバーアクション小銃。ファロ島に上陸してきた大ダコに対して使用されるほか、洋上輸送中に麻酔が切れてキングコングが暴れ出した際、万が一のためにに取り付けられていたTNT火薬を爆発させるためにも使用される。

鉄道[編集]

急行つがる[67][66]
ゴジラ接近で緊急停車して乗客たちを避難させた後、ゴジラに破壊される。車両は161系がモデルとなっている。
丸ノ内線[68][56]
後楽園駅付近で走行中にキングコングに掴み上げられて高架橋も破壊される。

キャスト[編集]

参照[7][69][1][3][28][70]

※映画クレジット順

キャスト(ノンクレジット)[編集]

海外版出演者[編集]

スタッフ[編集]

参照[7][10][28][70]

海外版[編集]

  • 演出:トム・モンゴメリー

製作[編集]

映画のワンシーン

本作品の基となったのは、1933年版『キング・コング』以降は不遇をかこっていた特撮マンのウィリス・オブライエンによって企画された、『キングコング対フランケンシュタイン』というタイトルの映画企画であり、これは「フランケンシュタイン博士が秘密裏に創造していた巨大クリーチャーとキングコングが戦う」というものだった[85][20]RKOに数点のスケッチを含むこの映画の企画書を提出した後、オブライエン本人も知らぬうちに『キングコング対プロメテウス』と改訂されて東宝に売り込まれ、本作品に至った[20]。後年に本作品の存在を知った彼は、ひどく落胆したという[86]

ゴジラの登場について、東宝プロデューサーの田中友幸は『モスラ』(1961年)のヒットを受けてゴジラの復活を望む声が東宝社内で挙がっていたという[87]

本編の助監督を務めた梶田興治によると、キングコングの権利者であるRKOは東宝との契約に当たり、キングコングの名称使用料5年間分として8000万円を要求した。東宝は当時の映画3本分の制作費に匹敵するこの莫大な支払いの見返りを充分に受け、1000万人を超える封切動員数を稼いだ。特撮キャメラマンの有川貞昌は制作に当たり、「とにかく久しぶりにゴジラ映画を作れるんだと、スタッフ一同とても嬉しい気持ちだった」と語っており、円谷英二以下特撮スタッフはゴジラよりも新怪獣のキングコングをどのように描くか、ひたすら尽力したという。本作品ではゴジラとキングコングの対決は曖昧な形で終わっているが、これは自国のキャラクターを敗者にすることを避けるために日米の関係者が議論を重ねた末の結果と言われている[88][注釈 12]。脚本でも対決の決着は書かずに終わっている[52]

本作品では東京製綱がタイアップしており、藤田が「試作品」として披露し、キングコングの輸送にも使われる「鋼よりも強く、絹糸よりしなやか」な新時代の鋼線は、東京製綱のワイヤーロープの宣伝でもある。また、バヤリースとのタイアップにより、劇中で登場人物が同製品を飲む場面が頻出する[89]

当時、劇伴の収録は映像に合わせて演奏を行っていたが、熱海でのキングコングとゴジラの対決シーンが長尺であったため管楽器奏者が音を上げてしまい、テープ録音の繰り返しが用いられた[90]

その後、本作品のヒットにあやかり『続・キングコング対ゴジラ』という続編企画が立てられたが、関沢新一によるプロットが作成されたのみで未制作に終わっている[91][92]。後年、なべやかんが明かしたところによれば、巨大サソリとキングコングの戦いから始まった後、本作品で死んだゴジラが熱海の海から引き上げられて放電によって蘇生し、阿蘇山麓にてキングコングとの最終決戦に突入するが、新火口の噴火から爆発に遭って両者とも生死不明になるという、『モスラ対ゴジラ』『フランケンシュタイン対地底怪獣』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』に通じるような内容だったそうである[93]

撮影[編集]

本多は1933年版『キング・コング』を研究した結果、キングコングへの美女の悲鳴が演出上の要になると考え、該当シーンの演出や浜美枝への演技指導に力を注いだが、彼女の喉をからせるほどだったそのことへの申しわけなさから、1967年公開の『キングコングの逆襲』では浜を女性スパイ役にキャスティングしたという[94]

藤田役の佐原健二は、マンションからロープでぶら下がるシーンの撮影で実際に3メートルほど浮いており、演技では「絶対に切れない」という信頼を見せているが、佐原自身はロープが切れたらステージの床に落ちる恐怖を感じていたという[95]

ゴジラを誘導するために河川にガソリンを流して火を放つシーンの撮影中、監督の本多猪四郎は誤って斜面を30メートルも滑落して負傷してしまった[96]ため、このシーンと佐原健二がジープを走らせるカットは助監督の梶田興治が演出した。その後、本多は後半の撮影に包帯姿で参加している[96]

ふみ子がコングに拐われて藤田が地団駄を踏むシーンは、クランクアップ後に追加撮影されたものであり、佐原は「より賢明さが伝わるカットになったと思う」と述懐している[95]

特撮[編集]

ゴジラとキングコングの扱いについて、本編監督の本多はそれぞれが日米を象徴する形での対決を望んでいたが、特技監督の円谷英二は日米関係なく子供でも楽しめる怪獣同士が絡み合う面白さを優先し、特撮でもコミカルな描写を取り入れていった[97]。撮影の有川貞昌は、どちらかといえば本多の意見に賛同していたと述べており、従来のゴジラとは異なるイメージを指示する円谷に困惑するスタッフも多かったという[97]

両者のパワーバランスについても、円谷は日本の映画では日本の怪獣であるゴジラの方が強いとしつつも強すぎては物語にならないため、「その都度適当にやろう」という方針であったという[97]。スーツの構造上、ゴジラはキングコングよりも頭が高い位置にあるため、両者が並ぶ場面ではキングコングを台に乗せて釣り合いをとり、対等な力関係を表現している[97]

第1作では画面はスタンダードサイズで、ゴジラをアップにすることで恐怖感を演出していたが、東宝スコープとなった本作品では横長に広がった画面でのロングショットが多くなった[97]。対決シーンのセットは平坦な作りであったため、有川は映画『用心棒』を意識し、物語性のある画面作りやアクションの面白さを見せる画面構成を意図したと語っている[97]

熱海城のセットは、大プールに設営されたオープンセットとスタジオセットが併用された[98][73][注釈 13]。後者では水を張っていない[98]

撮影の富岡素敬は、プールでの撮影でゴジラとキングコングが熱海城を壊しながら海に落ちる際に、崩れる城壁の角を画面に入れるよう円谷英二から厳命されていたが、ゴジラの動きに合わせて城壁も映すことは難しく、そちらに気を取られて怪獣を撮り逃す方が問題であるため、本番でも城壁が入らないだろうと思い撮影したという[99]。円谷はこれに涙を流しながら激怒し、富岡はこのときが一番怒られたというが、ラッシュで城壁が映っていたことが確認されると円谷は「使えるじゃないか」とあっさりとした態度であったといい、富岡はこの時のことは忘れられないと述懐している[99]

氷山のセットも大プールに設けられ、目線カットのためにを組んでレール撮影を行っている[73]

キングコングを輸送する貨物船のミニチュアは、エンジンを内蔵した10メートル大のものが用いられた[100]。本編では、実物大の甲板セットが組まれた[100]

ブルーバックの発展により複雑な合成が可能となり、特撮班で人物を撮影して合成する場面も多くなった[97]。一方、ゴジラへの埋没作戦で自衛隊員がゴジラを注視するシーンは、合成ではなく約600の特撮ステージ内で遠近法を用いて撮影されたものである[出典 23][注釈 14]

キングコングが登る国会議事堂のミニチュアは、石膏で作られた[102]。石膏を担当した安丸信行によれば、石膏ミニチュアは上からの力には強いため、キングコングが玄関を破壊するシーンでなかなか壊れず苦労したと述懐している[102]

進撃中のゴジラが高崎観音と対峙するシーンが撮影されているが、本編では使用されていない[102][103]。予告編では、ゴジラが画面の手前に向かって咆哮する、本編にない映像が使われている。

キングコングの上に乗る自衛隊員のシルエットのアニメーションは、ピー・プロダクションが担当した[104][105]。クレジットに記載はなく、円谷個人の発注であったとされる[105]

本作品のヒットを受け、ゴジラ役の中島春雄とキングコング役の広瀬正一に撮影所から5万円の大入袋が支給された[106]。中島によれば、大入袋が出たのは後にも先にもこのときだけであったという[106]

各仕様での変更点[編集]

チャンピオンまつり版[編集]

1970年春と1977年春の東宝チャンピオンまつりでも再上映された[6][107]。上映時間は74分[107][16]。二度目の上映は、前年に『キングコング』が公開されたことに合わせたものである[108]

1970年の再上映時、オリジナルのネガフィルムをカットして再編集版が制作された[109][16]。オープニングはテーマ曲のイントロをBGMにキングコングとゴジラの対決シーンのハイライトを鳴き声入りで見せてからタイトルバックに変わるという構成だった。

同じようにオリジナルネガがカットされた『海底軍艦』や『モスラ対ゴジラ』では複製フィルムが残っていたため全長版での視聴が可能であったが、本作品のみ複製が存在せず完全な状態で視聴することが不能となった[109][16][注釈 15]

ビデオマスターの変遷[編集]

1985年に発売されたビデオソフトでは、カットされた部分をレンタル上映用の退色した16ミリポジフィルムの映像で補ったものが、「オリジナル復元版」と銘打たれている[109]。また、1986年に発売されたレーザーディスクの初版では、編集作業途中のマスターが誤って製品化されてしまい、回収されるという事態も起きている。

1991年には、カットされたネガの一部が発見され、復元版レーザーディスクが発売された[109]

全長版の復元フィルムによる劇場上映は不可能な状況だったが、行方不明となっていたフィルムの一部が発見されたことにより、2014年にHDリマスターによるBDが発売され[109][16]、同年11月24日には日本映画専門チャンネルで「高画質版」と銘打って放送された。ただし、いずれもフィルム原版の欠落箇所はビデオ素材のアップコンバートなどで対応している。

2016年にはロール1部分に相当する約23分のネガフィルムが新たに発見され[110]、合計約2.7キロメートル全10巻のネガが完全に揃ったことから、全編4Kスキャン・レストアが実施された[111]。この修復作業は、約10人の担当者が約3か月を要して傷や汚れを消す[110]一方、特撮仕掛けのピアノ線など当時の技術は意図的にそのまま残し、音もうっすらノイズを残すことで空気感を守ったという[112]。こうして完成した4K版は、本作品に携わった当時のスタッフの1人である中野昭慶に「まるで最初の試写を観ているようだ」と賞賛された[112]後、同年7月14日にはスカパー!4K総合で4Kデジタルリマスター版が、日本映画専門チャンネルで2Kダウンコンバート版がそれぞれ放送され、同日にはTOHOシネマズ新宿でイベント上映も行われた[113]

海外版[編集]

海外版では伊福部昭の音楽はほとんど別の曲に差し替えられているほか、パシフィック製薬のドラマが大幅にカットされ、両怪獣の対決の行方を予想する科学者のシーンなどが追加されている[114][115]。また、劇中でゴジラに立ち向かおうとする藤田を警官が必死に制止するシーンや、ふみ子が藤田の胸で「バカバカ!」と叫んで泣き崩れるシーンなどもカットされている。ラストシーンの咆哮はコングのみとなり、コングに優勢な印象を与えている[114]

浜美枝若林映子は、この海外版の上映でアメリカ側に注目され、5年後に『007は二度死ぬ』で出演依頼を受けている。

ビデオソフト[編集]

  • カット部分を16mmフィルムから復元した完全版ビデオは1985年6月1日発売。品番 TG1153[1]、TG4289[116]
  • 再度復元作業を行なったLDが1986年10月21日に発売されるが、不具合があったことから即座に回収され、修正版が発売された。品番 TLL2064[1]、TLL2183[116]
    • 発見されたカット部分のネガとステレオ録音の音源を使用した復元版LDは1991年11月1日発売。
  • DVDは2001年4月21日発売[117]。音声特典のオーディオコメンタリーには、本作品に出演した藤木悠と助監督の梶田興治が出演している。
    • 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
    • 2008年1月25日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションI」に収録されており、単品版も同時発売。
    • 2014年5月14日発売。〈60周年記念版/期間限定生産〉 DVD。
    • 2016年6月15日発売。〈東宝DVD名作セレクション〉 DVD。
  • Blu-ray Discは2014年7月14日発売[118]。前述のように、本編はHDマスターと標準画質のアップコンバートマスターが混在した仕様となっている。
  • 4Kデジタルリマスター完全版をビデオグラム化した4K UHD Blu-rayとBlu-ray Discは2021年5月12日発売。

同時上映[編集]

1962年版
1970年版[107]
1977年版[119]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 資料によっては、「98分」[出典 5]、「101分」[14]と記述している。
  2. ^ 現在の公表値は1255万人[出典 11]だが、これは再上映時の動員数を合わせたものである[31]
  3. ^ 本作品DVDでの梶田興治のコメントによると、RKO側から「原典にならい、高い建物に登らせてほしい」との要望があったという。
  4. ^ ただし、本家のキングコングの場合は宣材用に作成されたもので、本編にはそのようなシーンは無い。
  5. ^ 書籍『ゴジラ大辞典』では、フルネームを重沢正介と記述している[41]
  6. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では30センチメートル[51]、書籍『ゴジラの超常識』では不明[16]と記述している。
  7. ^ 資料によっては出現地と記述している[16]
  8. ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』では、大安丸船長と記述している[28]
  9. ^ 資料によっては、東部軍陸上第二部長と記述している[出典 19]
  10. ^ 資料によっては、東部軍陸上第一部長と記述している[69][28]
  11. ^ 書籍『東宝特撮映画大全集』では、急行つがるの乗客と記述している[28]
  12. ^ 田中は、「知恵を絞ったが、引き分けしかありえなかった」と述べている[87]
  13. ^ 書籍『大ゴジラ図鑑』では、3つのセットが作られたと記述している[27]
  14. ^ スカパー!による特集ページ「映画の空」では、「遠近法を用いた合成なしの一発撮り」と記述されている[101]
  15. ^ 1983年に開催された『復活フェスティバル ゴジラ1983』は、旧作のニュープリント・ノーカット上映という触れ込みであったが、本作品のみ短縮版での上映であった[108]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 超最新ゴジラ大図鑑 1992, pp. 86–87, 「ゴジラ映画全紹介 キングコング対ゴジラ」
  2. ^ a b 大ゴジラ図鑑 1995, p. 4, 「キングコング対ゴジラ」
  3. ^ a b c d e f g h i ゴジラ・デイズ 1998, pp. 110–111, 構成 冠木新市「23作品とゴジラ映画の解剖」
  4. ^ a b c d e f ゴジラ来襲 1998, pp. 52–53, 「第2章 東宝・怪獣SF特撮映画の歩み 第2期(1962-1970)」
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出典(リンク)[編集]

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  • 『ゴジラ 全怪獣大図鑑』講談社〈講談社 ポケット百科シリーズ〉、2021年7月2日。ISBN 978-4-06-523491-4 
  • 『キングコング対ゴジラ コンプリーション』ホビージャパン、2021年9月24日。ISBN 978-4-7986-2566-9 

関連項目[編集]

  • 隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS - 本作品の原住民の歌が同作の火祭りのシーンにアレンジして使用されている。
  • ゴジラvsコング - 2021年公開の米国映画。本作品と同じくゴジラとキングコングの対決を描いているが、リメイクではない。

外部リンク[編集]