大怪獣バラン
| 大怪獣バラン | |
|---|---|
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| 監督 | |
| 脚本 | 関沢新一 |
| 原作 | 黒沼健 |
| 製作 | 田中友幸 |
| 出演者 | |
| 音楽 | 伊福部昭 |
| 撮影 | |
| 編集 | 平一二 |
| 製作会社 | 東宝[注 1] |
| 配給 | 東宝[注 1] |
| 公開 | |
| 上映時間 | |
| 製作国 |
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| 言語 | 日本語 |
『大怪獣バラン』(だいかいじゅうバラン、英題:Varan the Unbelievable[出典 1]またはVARAN[出典 2])は、1958年(昭和33年)10月14日公開の日本の怪獣映画[出典 3]。製作・配給は東宝[出典 4]。モノクロ、東宝パンスコープ作品[出典 5][注 3]。上映時間は87分[出典 6][注 2]。監督は本多猪四郎、主演は野村浩三。
同時上映は『僕は三人前』[出典 7][注 4](脚本:井上薫、新井一 / 監督:瑞穂春海 / 主演:フランキー堺 / 東京映画作品)。
『ゴジラ』(1954年)や『空の大怪獣 ラドン』(1956年)から続く怪獣映画に、日本の土着的な要素を加えた作品[20]。神秘的な秘境を舞台とした前半と大怪獣バランと自衛隊の陸海空に渡る戦いを描いた後半とで構成される[20]。
ストーリー
[編集]ある日、東北地方の北上川上流の秘境にて、シベリア地方にしかいないはずのアカボシウスバシロチョウ[注 5]が発見される[出典 9]。ただちに杉本生物研究所の所員2名が調査に向かうが、ともに湖の付近で原因不明の怪死を遂げる[出典 10]。
杉本博士の助手の魚崎、犠牲になった所員の妹で記者の由利子、カメラマンの堀口の3人は真相を解明すべく現地へ向かい、外部から隔絶された集落・岩屋村の人々と出会う[出典 11]。部落の神主は湖に眠る伝説の怪物・婆羅陀魏山神の祟りを警告して魚崎たちを追い払おうとし、湖付近にて行方不明となった部落民の子供すら見捨てようとするが、迷信に固執する彼らの言動に激怒した魚崎は、部落民たちを扇動して子供の救出に向かう[30]。しかし、彼らの前に怪獣バランが湖から出現して部落を破壊したうえ、ただちに出動した自衛隊の砲撃をものともしない[出典 12]。逃げ遅れた由利子と魚崎が窮地に陥る中、杉本の指示で発射された照明弾によってバランは山頂へ誘導されるが、手足から被膜を広げて飛び去っていく[出典 13]。
その後、銚子沖に現れたバランを東京湾にて迎え撃った自衛隊の護衛艦隊による執拗な爆雷攻撃もその強靭な表皮には無力だったため[出典 14]、藤村博士の開発した特殊火薬の使用が提言されるが、藤村自身は効果に懐疑的な見解を示す[30]。やがて、バランは羽田空港へ上陸し、その都心侵攻を阻止すべく自衛隊も空港に布陣して総攻撃に出る中、ようやく特殊火薬が到着する[31][29]。魚崎がトラックを利用した爆破攻撃を仕掛けるが、藤村の懸念通りバランの表皮には通用しない[31]。しかし、杉本が部落での経験から照明弾内に時限装置付きの特殊火薬を仕込む作戦を提案する[30][5]。これが功を奏し、照明弾2発を嚥下したバランは1発目となる体内からの爆破で悶絶し、東京湾へ逃げ込むも2発目の爆破で倒されるのであった[出典 14]。
むささび怪獣 バラン
[編集]
| バラン VARAN[出典 15] | |
|---|---|
| 別名 | |
| 身長 | 50 m[出典 18][注 6] |
| 体重 | 1万5千 t[出典 19][注 7] |
| 飛行速度 | マッハ1.5[出典 20] |
| 出身地 | 北上川上流[出典 21][注 8] |
| 出現地 | 岩屋村[23] |
中生代の水陸両棲の動物や人間を捕食する肉食の巨大爬虫類[出典 22][注 9]バラノポーダの生き残りで[出典 24]、岩手県北上川上流の湖に棲み、外部から隔絶された集落にて婆羅陀魏山神(バラダギさんじん、「バラダギサマ」とも)と称されて土着信仰されていた[出典 25]。
頭から尻尾の先まで背中を甲羅のように厚い皮膚が覆い[53][52]、スリムではあるが筋肉質な手足の指は人間と同様に5本となっている[61]。顔の周りの角と頭から背中にかけて半透明の長い有毒のとげが特徴で、通常は四足歩行だが二本足で立ち上がることや、ムササビのように体側部と腕と後ろ脚の間に薄い飛膜を広げて音速で滑空することもできる[出典 26]など、陸海空での活動が可能である[出典 27]。また、身体は柔らかく、爆雷などの攻撃を無力化する[64][43]。
研究員たちを襲ったことがきっかけで正体が判明し、自衛隊の攻撃で眠りを覚まされて集落を破壊して飛び去ったあと、銚子沖や浦賀水道から羽田空港に上陸して暴れるが[出典 28]、発光する物を嚥下する習性を利用され、藤村博士の作った強力な特殊火薬が仕込まれた照明弾を嚥下し、内部から爆破攻撃を2発食らったことで爆死する[出典 29]。
- 肉食恐竜のように見えて飛行能力を有することから、ゴジラとラドンの特徴を併せ持つと評される[3]。マルサンによれば、「爬虫類ゴジラ属ラドン科バラノポーダ」[66]に分類され、ポスターではゴジラやラドンをしのぐと述べられている。
- 体長は十数メートルから100メートルと資料によって異なる[注 10]が、羽田空港に出現したシーンでは、ゴジラのように巨大な生物として描かれている。
- 別名は表題の「大怪獣[67]」のほか、「東洋の怪物[42]」「東洋の大怪獣[68]」「むささび怪獣[69]」「有翼膜竜[70]」など多数存在する。
- 準備稿では、「婆羅陀魏」の名称はなく、単に「山神」と称されていた[42]。
造形
[編集]頭部は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄、表皮や背中のとげは村瀬継蔵による[出典 30]。
背中のとげは、生物の一部らしい透明感を表現しようと村瀬が出したアイディアにより、切ったゴムホースの切り口にビニールテープを貼って作られた[出典 31][注 11]。両脇の被膜はビニール製[63]。目には電飾が組み込まれている[75]。背中のウロコは、ピーナッツの殻を押し付けたもの[74][注 12]。体色は、数少ないカラースチールから茶系[注 13]であることが確認できるが、人工着色のスチールでは緑色となっている。手足はホック式になっており、開閉が可能となっている[75]。他の怪獣のスーツよりも薄手であったため、スーツアクターは火傷を負うこともあった[出典 32][注 14]。
絵コンテでは羽田空港の管制塔を壊す描写はなかったが、長い尾を活かすために空港ビルのセットが当初の予定より2割増しで作られた[63][72]。美術助手の井上泰幸は、特技監督の圓谷英二(円谷英二)から指示通りに制作しなかったことを叱責されたが、理由を説明すると理解を示し、その後は圓谷が予算について意見することはなくなったという[63]。
着ぐるみのほかに2尺の飛び人形、2尺の上半身のギニョールも作られた[出典 34]。洋上戦では、スーツとギニョールを使い分けている[16]。
飛行シーン用に作られた3分の1サイズのミニチュアは、1966年から1967年にかけて東宝倉庫での現存が確認されており、『週刊少年マガジン』などに写真が使われている。1966年7月19日に放送された『11PM』の大阪、よみうりスタジオで収録された「怪獣供養」では、バランの飛び人形が祭壇に飾られている[79]。
『怪獣総進撃』にはこの3分の1サイズのミニチュアも使用されており、富士山麓のシーンで確認できる[44]。同作品には並行して新造形の90センチモデルが使用されており、1980年代には同サイズのゴロザウルスやモスラ成虫、『ノストラダムスの大予言』の大コウモリなどとともに東宝特美倉庫での保存が確認されている。現在も首のみ現存し、関連イベントで展示されることがある。
撮影・演出
[編集]スーツアクターは手塚勝巳[19][72]、中島春雄[出典 35]。おもに、手塚が水上、中島が陸上を担当していた[72]。手塚は、海に潜るシーンで点火装置のタイミングがずれ、感電してしまったという[72]。中島は、前屈みになると脚の関節が人間のようになってしまうため、ラドンと同様に足元を見せないことを心がけていた[63][20]。
バランが漁船を転覆させるシーンでは、当時導入し始めたスクリーン・プロセスを用いている[72]。
スタンダードサイズのフィルムをトリミングしたため、出現シーンでは体を上下させる際に頭が見切れてしまっている[16]。
『怪獣総進撃』に登場するバラン
[編集]| バラン (2代目) VARAN[出典 36] | |
|---|---|
| 別名 | 東洋の大怪獣[56][65][注 15] |
| 身長 | 50 m[出典 37] |
| 体重 | 1万5千 t[出典 37] |
| 飛行速度 | マッハ1.5[56][83] |
| 出身地 | 小笠原怪獣ランド[出典 38] |
| 出現地 | 岩手県北上川上流の湖[57] |
『怪獣総進撃』では、小笠原諸島の怪獣ランドで保護されている怪獣として登場する[53][52]。『大怪獣バラン』の登場個体とは別個体と推測されている[91][85]。出現地点は青木ヶ原[67]。
- 資料によっては名称をバラン(二代目)としている[出典 39]。
- 『大怪獣バラン』での着ぐるみは痛みが激しかったために使われず、新造された90センチメートル(3尺)の飛び人形[出典 40]と『大怪獣バラン』当時のギニョールを補修したもの[出典 41]がエピローグのカットなどに登場するのみであった[出典 42][注 16]。飛行ポーズは『大怪獣バラン』ではまっすぐに手足を伸ばして広げたものであったが、本作品では少し手足を曲げた状態で製作されている[61]。製作発表会のスチールでも、ほかの怪獣と並んで飛び人形が吊られているだけであった。新造された人形の頭部は、2014年時点で現存が確認されている[96]。
- 『怪獣総進撃命令』と題された検討用脚本ではラドンとともにキングギドラと戦う予定だったが、実際はマンダやバラゴンと同様に戦闘には参加していない[92][87]。また、鳴き声はなく名前すら呼ばれていないが、DVDによる映像特典では名前は呼ばれている。
- 身長については、公開当時の設定ではゴジラと同程度としていた[出典 43]。「身長:30メートル、体重:1万5千トン[67]」「身長10メートル、体重60トン[出典 44]」と設定されている書籍や初代と同じ数値を採用している書籍もある[出典 37]。資料によっては、幼体とする説を記述している[出典 45]。
その他の作品に登場するバラン
[編集]- ゴジラシリーズ内での登場
- 『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年)の背景設定として製作補の山中和史により執筆された「特生自衛隊前史」では、劇中世界の1958年に出現したとされる[99]。顛末はおおむね『大怪獣バラン』に準じるが、新型爆弾がバランに通用しなかったことから、巨大生物に有効な兵器開発が進められることとなった[99]。その続編である映画『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年)では、画面には映らないが特生自衛隊特殊生物研究本部のDNA貯蔵庫に保管されている怪獣たちのDNAのひとつに、バランの名が記されている[100]。
- 映画『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)では、ライブフィルムで登場する[101]。
- ゴジラシリーズ内での登場(映像作品以外)
- 1973年『たのしい幼稚園』(講談社)に掲載された絵物語『ゴジラ対バラン』(作・小林一邦、絵・境木康雄)に登場[102]。
- ファミリーコンピュータ版ゲーム『ゴジラ』では、ボスキャラクターとして2面から最終面に登場する。本作品ではX星人に操られる怪獣軍団の1匹という設定である。攻撃手段はパンチとキックのみ。一定以上のダメージを受けると、大きくのけぞる特徴を持つ。
- アニメ映画『GODZILLA』の前日譚を描く小説『GODZILLA 怪獣黙示録』では、複数の個体が登場。2030年後半に確認された2体目の個体(バランII)は太平洋でゴジラに襲われ、アンギラスIVやバラゴンIIとともにロサンゼルスまで逃げ延びてくるが、飛んで逃れようとした瞬間に熱線を浴びせられ、死亡する[103]。
- ゴジラシリーズ内での登場案(企画段階での登場予定)
- 映画『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』の検討稿『キングギドラの大逆襲!』では、ゴジラの味方怪獣として登場させる予定があった[104]が、途中で変更されている。
- 映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』では、ゴジラと戦う護国聖獣として登場させる予定があった[出典 46]が、途中で変更されている。ただし、劇中に登場する書籍『護国聖獣伝記』には婆羅陀魏山神のことが描かれている。品田冬樹が私的に製作していた造形物がイメージモデルとして用いられていた[111][注 17]。脚本を手掛けた長谷川圭一は、ネコのようなしなやかさを持った女性的な怪獣というイメージが挙がっていたと証言しており、結果として母性の怪獣であるモスラにスライドしたことでさほどコンセプトはずれなかったとしている[113]。
- ゴジラシリーズ以外の他作品への登場
- 映画『アワモリ君乾杯!』(監督:古澤憲吾 / 主演:坂本九)では、後半で東宝砧撮影所を舞台として展開する追っかけシーンにバランの着ぐるみが登場する。
- 1966年に朝日ソノラマから発売されたソノシート『大怪獣戦 30怪獣大あばれ!!』収録の「宇宙怪獣対地球怪獣」には、宇宙怪獣と戦う地球怪獣空軍の1体として登場する[114][115]。
- 1983年に発表された安永航一郎の漫画およびこれを原作としたOVA作品『県立地球防衛軍』では、ヒロインのバラダギ大佐こと原瀧龍子の回想シーンに羽田空港にて照明弾を食べて死んだ龍子の親という設定でバランが登場。愛称の「バラダギ」も、婆羅陀魏山神が元ネタとなっている。
- 映画『パシフィック・リム: アップライジング』では、イェーガーが倒した怪獣のリストにバランのほか、アンギラスのような個体、バラゴン、バトラ、ガイガン、ムートー、ガメラ、ヤンガリー、ギャオス、ギロン、ジャイガー、ジグラ、クローバーが含まれている。
登場兵器
[編集]架空
[編集]- 特殊火薬[42]
- 藤村博士が開発中の新型火薬。もともとはダム工事の効率を上げるために作ろうとしていたもので、通常のダイナマイトと同じ量で使っても、その威力は20倍まで増大している。ただし、その威力を発揮するのは岩盤などの内部に埋め込まれた状態のときのみであり、直接貼り付けて爆発させれば、通常のダイナマイトと大差ないものである。
- この火薬を積み込んだトラックを乗り越えようとしたバランの真下にて爆発させるものの、効果は上がらずに終わる。しかし、光る物質を飲み込むという習性を利用し、時限装置を付けて照明弾内に封入して投下すると、これをバランが飲み込み、体内にて爆発させることに成功する[116]。
- 準備稿では、気球から投下されるという展開であった[42]。
- 24連装ロケット砲車[42]
- →詳細は「東宝特撮映画の登場兵器 § 24連装ロケット砲車」を参照
実在
[編集]- M4A3E8中戦車
- M24軽戦車[出典 47](M24軽戦車チャーフィ[120]、M24チャーフィー戦車[55])
- 2トン半トラック
- 3/4tトラック(ダッジWC52型・Q4W70型)
- 1/4tトラック
- あやなみ型護衛艦「うらなみ」[55][121]
- くす型護衛艦「すぎ」[121]
- やしま型掃海艇「やしま」[121]
- 上陸用舟艇[出典 48][注 18]
- F-86Fセイバー戦闘機[出典 49](F-86Fセイバー旭光[55])
- P2V-7対潜哨戒機[125][121](対潜哨戒機P2V-7おおわし[126][55])[注 19]
- シコルスキーS51[出典 50](シコルスキーH5[120])
- H-19多用途ヘリコプター
- 89mmロケット発射筒 M20改4型
- 81mm迫撃砲M1[127]
- 75mm無反動砲 M20
- M1カービン
キャスト
[編集]- 魚崎健二[出典 51](生物研究者[128][5]):野村浩三
- 新庄由利子[出典 51](東日新報婦人記者[5][131]):園田あゆみ
- 杉本博士[出典 51](生物学者[128][5]):千田是也
- 藤村博士[出典 51](火薬学者[128][5]):平田昭彦
- 馬島博士[出典 52](生物研究者[128](生物学者[19]/古生物学者[131]):村上冬樹
- 勝本三佐[出典 51]:土屋嘉男
- 長官[128][22](防衛庁長官[出典 53]):山田巳之助
- 新庄一郎[出典 51](生物研究者[128]):伊藤久哉
- 艦長[133][130]:田島義文
- 河田豊[出典 51](生物研究者[128]):桐野洋雄
- 神主[出典 54]:瀬良明
- 草間一佐[出典 55]:草間璋夫
- 子供の母親[出典 56]:本間文子
- 一作(部落の男)[133][130]:山田彰
- 堀口元彦[出典 51](東日カメラマン[5][131]):松尾文人[注 20]
- 中尾[133](県警幹部):生方壮児
- 村の若者[133][130]:伊原徳
- 次郎[133][130]:川又吉一
- 三吉[133][130]:重信安宏
- 子供[130][注 21]:伊東隆
- 防衛隊幹部[133]:津田光男、熊谷二良
- 漁師[133]:広瀬正一
- 防衛隊幹部[133]:山田圭介
- カメラマン[133]:渋谷英男
- 漁師[133]:鈴木孝次
- 部落の男、漁師[133]:篠原正記
- 部落の女[133]:河美智子、中野俊子
- 山伏[133](部落の男):安芸津広
- 記者[133]:松本光男、大西康雄
- 防衛隊小隊長[133]:緒方燐作、向井淳一郎
- 部落の女[128][135]:一万慈鶴恵
- 部落の女[133]:平三富子
- F-86F(戦闘機)パイロット[133]:中西英介
- 防衛隊幹部[133]:成田孝、坂本晴哉
- 防衛隊小隊長[133]:勝本圭一郎
- 杉本研究所所員[133]:細川隆一
- カメラマン[133]:速水洸
- 自衛隊員[133]:大川時生
- 部落の女[128][135]:寺沢ひろ子
- 部落の巫女[128][135]:高原とり子
- バラン[138][139]:手塚勝巳
- バラン[138][76]、哨戒艇いそなみ副長[76][131]:中島春雄
スタッフ
[編集]- 製作:田中友幸
- 原作:黒沼健
- 脚本:関沢新一
- 撮影:小泉一
- 美術:清水喜代志
- 録音:小沼渡、宮崎正信
- 照明:金子光男
- 音楽:伊福部昭
- 監督助手:梶田興治
- 音響効果:三縄一郎
- 編集:平一二
- 製作担当者:川上勝太郎
- 特殊技術
- 特技監督:圓谷英二
- 監督:本多猪四郎
ノンクレジット
[編集]製作
[編集]音楽は伊福部昭が担当した[141]。バランのテーマ曲は、『空の大怪獣 ラドン』でのラドンのテーマをアレンジしたものである[141]。
企画
[編集]1957年、海外資本のAB-PTピクチャーズは東宝に対して、東洋の怪物を題材にしたテレビ放送用の新作怪獣映画の共同製作を持ちかけた[143][50]。打診を受けた東宝は1話30分構成の全4話[出典 58]、CM挿入はフェードイン/アウト方式とする『大怪獣バラン』の製作を企画した。この際、田中友幸は収益を確保するために、あえて低予算で製作する方針を決めた[144]。
原作は怪奇小説家として知られ、『空の大怪獣 ラドン』も手掛けた黒沼健である[出典 59]。後年、黒沼は「『空の大怪獣 ラドン』がアメリカで公開された後、アメリカから東宝に依頼があったそうです。それで、田中さんから“何でもいいから考えてくれ”と言われたんです」と語っている[145]。脚本の執筆は関沢新一が担当した[9]。『大怪獣バラン』は彼が最初に手がけた怪獣映画であり、後年「ゴジラシリーズ」の脚本に多く携わることになる[出典 60]。執筆に際しては「ベーシックでシンプルなもの」を書くように指示を受けたという。また、海外輸出を意識して「東洋」の要素が強調され[出典 61]、準備稿でのタイトルは『東洋の怪物 大怪獣バラン』となっており[142]、この副題は公開時のキャッチコピーや怪獣バランの二つ名としても用いられている[42]。一方、『ゴジラ』(1954年)以来、東宝特撮映画のテーマとなっていた核の恐怖は扱われていない[131][26]。黒沼は羽田空港の地下燃料貯蔵庫となっているエプロンへ戦闘機が墜落して自爆し、その大爆発にバランが巻き込まれるというラストシーンを提案したが、映画には採用されなかったとしている[147]。また、子供たちがバランの真似をして遊ぶシーンがあったが、こちらも採用されなかったという[148]。
撮影
[編集]1958年7月から撮影が始まり、形式はモノクロ、フィルムはアスペクト比1.33:1のスタンダードタイプで撮影された[出典 62]。当初は日米合作作品として製作が進んでいたが、途中でAB-PTピクチャーズが倒産してしまい[149][144]、これに伴い東宝は『大怪獣バラン』をテレビシリーズから劇場映画として公開する方針に転換した[150][50]。本多猪四郎は東宝の方針転換による撮影をやり直すことができなかったため、ワイドスクリーン用に『怪獣王ゴジラ』の日本公開時に用いた「ブローアップ」という方式を採用し、東宝は2.35:1の「東宝パンスコープ」として売り出し[151]、これにより本作品は東宝特撮初のシネマスコープ版映画(東宝パンスコープ)となった[出典 63][注 22]。後年のインタビューで本多は、途中で撮影方式が変わってしまったため苦労した旨を語っている[152]。
プール撮影中にライトの電源ボックスが水の中に落ち、バランの着ぐるみに入っていた手塚勝巳が感電して失神したが[58]、救急車が来たころには意識が戻っていた[76]。また、トラックがバランの下で爆破するシーンでは中島春雄が腹を火傷した[出典 64]。バランが船に突っ込むシーンは、相模川で中島が入ったバランの着ぐるみをワイヤーで釣ってモーターボートで引っ張って撮影したが、水の抵抗で着ぐるみが沈み、中島は溺れかけた[76][153][注 23]。羽田空港のセットは、圓谷英二が想定していたよりも大きく作られた[出典 65]。東宝のスタジオで撮影できない部分は、サウンド・ステージと安普請の撮影セットを借りて撮影している。人々が避難するシーンは東宝の敷地内で撮影したため、一部のシーンに東宝のオフィスやサウンド・ステージが映り込んでいる[154]。撮影は28日間行われ、8月中旬に終了した[148]。
自衛隊の攻撃シーンには、実際の演習映像や『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』からの流用映像が用いられた[出典 66]。本多によれば、演習映像は既存のものではなく、実際の演習で撮影を行ったという[155]。
フィルムに関して、「劇場用のオリジナル版とは別に輸出用のテレビ放送版も製作された」という資料が存在する。これによると、伊福部昭は8月27日から29日にかけてテレビ放送用の音楽を録音し、3本のフィルムリールを含めたテストプリントがロサンゼルスの国際東宝に送られたとされる[142]。また、映画史家のスチュアート・ガルブレイス4世は「東宝が英語吹替版を製作していた」と主張しているが、彼の主張を裏付ける資料は発見されていない[149]。
アメリカ版
[編集]
アメリカでは『Varan the Unbelievable』[出典 67]のタイトルで、1962年に[4][32]シネスコ版の映画として公開された[7][32]。上映時間が70分だったため、『金星ロケット発進す』と2本立てで上映された[143]。監督・プロデューサーはジェリー・バーウィッツ、脚本はシド・ハリス。
アメリカ版は大幅な変更が行われ、主人公は日本在住のアメリカ軍将校ブラットレー司令(演:マイロン・ハーレー)、ヒロインはその秘書シズ子[注 24](演:小林ツル子)にそれぞれ変更された[出典 68]。また、ストーリーもバランの撃破に出動したブラットレーがバランの逆襲に遭ってシズ子とともに洞窟へ追い詰められる[156]、バランがトラックの爆薬で倒される[4]など、かなりオリジナル要素が含まれている。また、バランが出現する原因は「バランの住処の湖で、アメリカ軍の科学者が脱塩化実験を行ったため」と設定された。オリジナル版の映像は15分間しか使用されず、東宝のスタッフは全員クレジットされていない。また、伊福部の音楽は儀式の曲以外は全て変更され[157]、一部のシーンでは『戦慄!プルトニウム人間』の音楽に差し替えられている[158]。
1958年10月に六社協定によって劇場映画のテレビ放映が禁止となり、テレビ映画として製作された作品でも劇場公開されたものはこの範疇に含まれ、輸出の際もテレビ放映権を付与しないことが決定された[32]。これにより、前述の通り本来はアメリカからの依頼でテレビドラマとして製作された本作品も、劇場公開されることとなった[7][32]。なお、本多は1980年代に入るまでアメリカ版の存在を知らなかった[152][159]。
評価
[編集]- 日本版
- 本多は『大怪獣バラン』について、「満足できる作品ではなかった。最初から作り直すことができれば、自衛隊のシーンはもっと派手にできたかも知れない。撮影は全て小規模なセットで行い、わずかにロケーション撮影をしただけだった。もっと良い仕上がりにできたはずなんだ」と語っている[154]。また、田中も「イージーな話づくりで失敗作となった」と評している[160]。
- しかし、バラン自体はゴジラをも凌ぐ人気を得たとされる[9]。ゴジラ・ストアの特別企画「第2回 あなたが選ぶ!東宝怪獣新作ソフビフィギュア」では、バランが1位を記録した[161]。
- 本作品の神秘性と土俗信仰というテーマは、その後『モスラ』(1961年)に引き継がれた[2]。
- アメリカ版
- 『バラエティ』誌は、「『ゴジラ』『怪獣ゴルゴ』『最後の海底巨獣』に続く、ニッチ層を支える独創性に欠けたモンスター映画」と批評している[162][163]。また、「ハリスの脚本もバーウィッツの演出も、観客の興味を維持させることができていない」とも批評している[163]。
- 『トーキョー・ウィークリー』誌は、「バランは羽田空港を襲っているが、これは古いゴジラ映画の結末を思い起こさせる。目新しいものは何もない。怪獣映画では、これしかやることがないのだ」と批評している[154]。
- 作家のデイヴィッド・カラットは、アメリカ版のブラッドレー司令が日本人を救うために努力したにもかかわらず、救おうとした人々から誤解され攻撃された人物と見なしている。彼はブラッドレー司令の姿を日本占領期のアメリカに例え、日本映画界がこの問題をタブー視していたと指摘したうえで、「極めて政治的な内容だったことは評価に値する」と主張している[158]。
映像ソフト
[編集]漫画
[編集]備考
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- 1 2 ノンクレジット
- 1 2 資料によっては、「82分[1]」「86分[2][3]」と記述している。
- ↑ 米国のシネマスコープとほぼ同じワイドスクリーン版だが、専用のアナモルフィック・レンズを使用した方式ではなく、35ミリ・スタンダード版で撮影されたフィルム面の上下をブラックでマスキングしてシネマスコープ版に近い縦横比とした安価な方式。したがって、撮影時に収録されているはずの映像情報がプリント面の上下で潰され、いくつかのカットでは人物の顔アップやミニチュアセットなどの上下が見切れたような画になっている[23]。また、巻頭の東宝マークも東宝パンスコープ用のものが用いられている。資料によっては、ワイドと記述している[5]。
- ↑ 資料によっては、『フランキーの僕は三人前』と記述している[出典 8]。
- ↑ このチョウ自体は実在するが、実際の生息地は沿海州から朝鮮半島、華南にいたる。
- ↑ 資料によっては、「ゴジラと同程度[35]」「身長30メートル、全長50メートル[52]」と記述している。
- ↑ 資料によっては、「ゴジラと同程度」[35]、「2万5千トン」[23]と記述している。
- ↑ 資料によっては、「北上川上流の湖[56][36]」、「北上川上流岩屋村[35]」「岩手県山奥湖中[45]」「岩屋村近くの湖[43]」「東北地方の湖[38]」と記述している。
- ↑ 劇中では単に「怪獣」としか呼ばれない。資料によっては「恐竜[出典 23]」「大トカゲの一種[53]」と記述している。
- ↑ 書籍『東宝特撮映画大全集』では、不明としたうえで異説として「身長10メートル、体重60トン」のデータがあると紹介している[42]。
- ↑ 村瀬は、雑貨店を訪れた際に店長がホースで水を撒いている様子を見て、ホースを用いることを思いついたという[71][74]。
- ↑ 村瀬によれば、八木兄弟が千葉の親戚から送られてきたピーナッツを食べていたことがきっかけであった[74]。
- ↑ 村瀬はチョコレート系のセピア色と述べている[72]。
- ↑ 中島は、トラックが突っ込んでくるシーンで火傷を負ったという[出典 33]。
- ↑ 資料によっては、トビトカゲ怪獣[83]、ムササビ怪獣[84](むささび怪獣[60][85])、大怪獣[57]と記述している。
- ↑ 資料によっては、人形1体と記述している[95]。
- ↑ このイメージモデルは2018年時点でも現存しており、同年12月19日から2019年1月27日まで日本工学院専門学校にて開催されたイベント「特撮のDNA -『ゴジラ』から『シン・ゴジラ』まで-」に、アンギラスやバラゴンのイメージモデルとともに展示された[112]。
- ↑ 実物大の部分セットも制作された[124]。
- ↑ 偵察窓部分のセットも制作された[124]。
- ↑ 当初は藤木悠が候補に挙げられており、本読みが行われていた[出典 57]。
- ↑ 資料によっては、源(部落の少年)[131]、部落の少年・三吉[137]と記述している。
- ↑ 「東宝パンスコープ」の名称が使用されたのは本作品のみである[23][26]。
- ↑ 中島自身は記憶にないと述べている[76]。
- ↑ 文献によってはシズカになっている[156][4]。
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出典(リンク)
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- 『決定版 ゴジラ 大怪獣 パーフェクト超百科』講談社〈テレビマガジンデラックス 245〉、2016年8月19日。ISBN 978-4-06-304847-6。
- 映画秘宝COLLECTION(洋泉社)
- 別冊映画秘宝編集部 編『ゴジラとともに 東宝特撮VIPインタビュー集』2016年9月21日。ISBN 978-4-8003-1050-7。
- 野村宏平、冬門稔弐『ゴジラ365日』2016年11月23日。ISBN 978-4-8003-1074-3。
- 『「ゴジラ検定」公式テキスト』監修 東宝株式会社/協力 東宝 ゴジラ戦略会議、宝島社、2018年11月3日。ISBN 978-4-8002-8860-8。
- 『バトル・オブ・キングギドラ』双葉社〈双葉社スーパームック〉、2020年6月4日。ISBN 978-4-575-45842-8。
- 『ゴジラ 全怪獣大図鑑』講談社〈講談社 ポケット百科シリーズ〉、2021年7月2日。ISBN 978-4-06-523491-4。
- 小林淳『東宝空想特撮映画 轟く 1954-1984』アルファベータブックス〈叢書・20世紀の芸術と文学〉、2022年5月14日。ISBN 978-4-86598-094-3。
- 講談社シリーズMOOK ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK(講談社)
- vol.0《ゴジラ&東宝特撮作品 総選挙》、2022年12月21日。ISBN 978-4-06-530223-1。
- vol.12《怪獣総進撃》、2023年11月10日。ISBN 978-4-06-531493-7。
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外部リンク
[編集]- 大怪獣バラン - 映画資料室 - 東宝
- 大怪獣バラン - 日本映画データベース
- 大怪獣バラン - allcinema
- 大怪獣バラン - KINENOTE
- 大怪獣バラン - MOVIE WALKER PRESS
- 東洋の怪物 大怪獣バラン - 映画.com
- Varan the Unbelievable - オールムービー
- Varan the Unbelievable - IMDb