スチル写真

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
Apache still life. c.1907 by Edward S. Curtis.
A still life photo

スチル写真(スチルしゃしん、英語: still picture, still photo(graphy))、もしくは、単にスチルstill)とは、動きのあるいわゆる映画などを指すシネ (cine)、シネマ (cinema)、ムービー (movie) に対する語で、動きのない写真のことである。通常、ある一瞬を1枚の画像に撮影したものであるが、長時間露出や、連続写真(ストロボスコープによるもののような)もスチルである。[1]一般に単に「写真」と言えばスチルのことを指しているのがもっぱらではあるが、後述の映画制作上の用語であるとか(「活動写真」という語はもはや歴史的と言っていいだろう)、「電子スチルビデオカメラ[2]といった用例はある。

機材の話題で、シネ用とスチル用という分類があるものがある。代表的なものは三脚であろうか。シネ用であればスムーズにパン操作ができることはほぼ必須であるが、スチル用であればそれは求められない。あるいは、シネ用雲台は縦画面に切り換えられる必要がない(いわゆる2way)のに対し、スチル用雲台なら縦画面・横画面を切り換えられる(3way)機能を持つ。

スチルとスチール[編集]

英語での発音は [stɪl](スティル)であり、自然な音訳はスティルまたはスチルとなる。

しかしスチールと音訳することもあり、以下の国語辞典はスチールを項目としている。

スチルなし
新明解国語辞典 第6版』(三省堂)、『日本国語大辞典 第2版』(小学館)、『日本語大辞典 第2版』(講談社)、『大辞泉』(小学館)
スチルは空項目でスチールへ参照
広辞苑 第5版』(岩波書店)、『デジタル大辞泉(大辞泉オンライン版)』(小学館)[3]、『大辞林 第2版』(三省堂[4]

また以下の英和辞典still の訳語にスチールを使っている。

訳語にスチールのみ
リーダーズ英和辞典 初版』(研究社)、『プログレッシブ英和中辞典 第4版』(小学館)[5]、『新英和中辞典 第6版』(研究社)[6]

日本映画のスチル写真[編集]

映画制作の用語で、スチル写真スチール写真(スティルしゃしん)は、映画の1シーン、撮影風景の写真である。事情(後述)によっては映画自身の撮影フィルムから抜き出すこともあるが、通常は専属のカメラマンが専門のスタッフとして撮影する。この場合、映画のスタッフクレジットは「スチル」「スチール」と表記され、スタッフの呼称はスチルカメラマンである。

映画製作において、写真が作品の製作に直接関与することはない。もっぱら宣伝用として、ポスター、雑誌、新聞等のメディアで使用するものである。また、初期のスチル写真は撮影所で組織化された専属スタッフやカメラマン、もしくは撮影所近辺の写真館の撮影技師らが撮影していた。これらの写真は配給会社を通して映画館出版社に配られ、宣伝材料として用いられた。

防音ケースに入れたカメラを用いるか、望遠レンズを用いることで同時録音の妨げにならないように撮影する技術が求められる。騒音にシビアな場合、リハーサル中に撮影したり、(前述のように)映画自身の撮影フィルムから抜き出すことで、本番中の撮影を避けることがある。またスチル写真用に撮影風景を再現して撮影することもある。

映画館にこれらのスチル写真を配るということは減ってきているが、雑誌などでのタイアップなど宣伝材料としての活躍の場は多い。劇場で配布・販売されるパンフレット類はもちろんであるが、公開に合わせて写真集などの関連書籍を作ることが多くなってきており、写真家に依頼することも増えてきている。

脚注[編集]

  1. ^ とは言え、写真術が「ある一瞬」を切り取れるようになったのは、説によっては1000年以上もあるカメラ・オブスクラの歴史から見ればそう古いことではない。日本では、水雷の爆発による水煙を写真に撮って江崎礼二が「早撮りの江崎」と評判になったのが1884年のことである。
  2. ^ これの場合、成立上、銀塩写真が静止画から動画に発展したのとは逆に、電子写真は動画用のビデオカメラから派生するような形で「電子スチルビデオカメラ」が生まれている、という事情もある。
  3. ^ スチル、デジタル大辞泉コトバンク
  4. ^ スチル Excite辞書
  5. ^ still コトバンク
  6. ^ still Excite辞書

関連項目[編集]