銀塩写真

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1980年代 - 1990年代の「銀塩フィルム」のパッケージ群。

銀塩写真(ぎんえんしゃしん、フランス語: La photographie argentique)は、湿板や乾板写真フィルム、さらには印画紙に、銀塩(ハロゲン化銀)を感光材料として使用する写真術による写真である[1][2]印刷物にしたものも指す[1]という説明もあるようだが、それでは「銀塩」という語の説明はつかない。銀塩写真用のカメラを銀塩カメラ、あるいは銀塩フィルム用のカメラを(銀塩)フィルムカメラと称し、さらには銀塩と略す[2]こともある。

銀塩カメラで撮影する銀塩写真においては、フィルム等の感光媒体の表面にある、ハロゲン化銀を含んだ感光乳剤英語版に光を当て、潜像として記録する。潜像をのちにゼラチンシルバープロセス英語版などの処理方法に沿って現像することで顕像(目視できる像)とし、定着液によって安定化させる。銀塩写真の過程はすべて化学的過程である。

アナログ写真[編集]

「アナログ写真」という語があり、この記事に対応する英語版Wikipediaの記事の記事名も「Analog photography」となっている。しかし、以下に述べるように色々問題があり、英語版Wikipediaでも、記事付属のノート(Talk)で長大な議論となっている。また、銀塩以外の化学反応による非銀塩写真といったものも(pictureとしての写真にはあまり一般的ではないが)ある。

デジタル写真」に対するレトロニムである[1]が、「アナログ」という語の意味をあまり考えずに「デジタル」の部分をすげ替えただけの語である。

たとえば、ビデオカメラディジタルカメラで撮影する写真においても、撮像素子で光を電気に変換する所まではアナログであり(正確には、撮像素子のタイプにより、標本化は行う)、その後にAD変換で量子化して初めてディジタルになるのであって、全てがディジタルであるわけではない。ディジタルビデオ以前のVHSなどのVTRなどではアナログであったわけだし、静止画像を撮影するカメラとしても電子スチルビデオカメラというアナログ方式の電子カメラが過去にはあった。「すべて電子的過程である」ということを、電子的であればディジタルである、と信じ込むのは、しばしばありがちな誤解である(あるいは、何も考えていないだけである)。また「電子写真」という語は、電子的だが元々はアナログ的な、普通紙コピーの方式であるゼログラフィを指しても使われている。

なお一方で、フィルムカメラでも、映画カメラによる映画の撮影は、時間軸方向には不連続であり(連続的に撮影する特殊なカメラも考案され実験されてはいるが、実用的には使われていない)ディジタル的だと言えなくもない。

フィルムの構造[編集]

【図1】単純化したフィルムの構造。

銀塩写真に用いられる写真フィルム(カラーフィルム)の構造は、135フィルムを例にとると図1のようである。

  1. フィルムベース英語版 - 写真用フィルムの基底・支持体[3][4]ポリエステルトリアセテートセルロース英語版でできている[3][4]
  2. 下塗層 - ハレーション防止層[4]。乳剤層を通過した光がフィルムベースで反射するのを防ぐ[4]
  3. 赤感性層 - 乳剤層(感光層)、ゼラチン塩化銀臭化銀沃化銀などの銀塩)を水と混和させたもの[5][6]
  4. 緑感性層 - 乳剤層(感光層)、ゼラチンに塩化銀(臭化銀、沃化銀などの銀塩)を水と混和させたもの[5][6]
  5. 黄色フィルター - 余分な青色光の透過を防ぐ。
  6. 青感性層 - 乳剤層(感光層)、ゼラチンに塩化銀(臭化銀、沃化銀などの銀塩)を水と混和させたもの[5][6]
  7. 紫外線吸収フィルター英語版 - 可視光線の外側にある紫外線を吸収し、青色のカブリや赤色に濁るのを防ぐ[7]
  8. 保護層 - フィルム表面のもっとも外側の層で乳剤が傷つくのを防ぐ。
  9. 可視光線

感光材料の種類・分類[編集]

銀塩写真において、感光材料は大きく分けて、写真フィルム乾板印画紙である。感光材料の現像後の仕上がりには、ネガ画像とポジ画像がある。

撮影機材[編集]

銀塩写真において、感光材料に撮影するためのおもな機材は、静止画の場合は写真機(カメラ)、動画の場合は撮影機(映画用カメラ)である。

現像[編集]

銀塩写真において、感光材料に可視画像を得るには、かならず現像工程が必要である。

修復[編集]

化学反応を利用して劣化した銀塩写真を修復する方法があり、日本の村林孝夫が特許を持っている[8][9]

脚注[編集]

  1. ^ a b c デジタル大辞泉『銀塩写真』 - コトバンク、2011年12月15日閲覧。
  2. ^ a b デジタル大辞泉『銀塩』 - コトバンク、2011年12月15日閲覧。
  3. ^ a b デジタル大辞泉『フィルムベース』 - コトバンク、2011年12月15日閲覧。
  4. ^ a b c d カメラマン写真用語辞典『フィルムベース』 - コトバンク、2011年12月15日閲覧。
  5. ^ a b c デジタル大辞泉『乳剤』 - コトバンク、2011年12月15日閲覧。
  6. ^ a b c カメラマン写真用語辞典『乳剤』 - コトバンク、2011年12月15日閲覧。
  7. ^ カメラマン写真用語辞典『UVフィルター』 - コトバンク、2011年12月15日閲覧。
  8. ^ 写真化学修復師 村林孝夫
  9. ^ 写真化学修復師 村林孝夫テレビ東京「匠の肖像」2008/2/8

参考文献[編集]

  • Wall, E.J. (1890). Dictionary of Photography. London: Hassel, Watson and Viney Ltd. 
  • The British Journal (1956). Photographic Almanac. London: Henry Greenwood and Co Ltd. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]