デザイン

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デザイン英語: design)とは、オブジェクトシステム、さらに測定可能な人間とのインタラクション(建築設計図、 エンジニアリング図面、ビジネスプロセス、回路図、縫製パターンなど)を構築するための計画またはコンベンションを作成する行為[1]。デザインは、さまざまな分野で異なる意味を持っている(デザイン分野を参照)。場合によっては、オブジェクトの直接構築(陶器工学管理コーディンググラフィックデザインなど )もデザイン思考を使用すると解釈されうる。

意匠設計」(他に「造形デザイン」など)の意味で単にデザインの語が使われていることも大変多く、デザインすなわち意匠のことだと思われていることも非常に多い。

英語では意匠については「スタイル」という語があるためそちらが使われる場合・分野もあり、例えば日本でいう「建築様式」に近いフレーズとして architectural style がある。


語源[編集]

デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。

また、デザインとは具体的な問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。

日本では図案・意匠などと訳されて、単に表面を飾り立てることによって美しくみせる行為と解されるような社会的風潮もあったが、最近では語源の意味が広く理解・認識されつつある。

形態に現れないものを対象にその計画、行動指針を探ることも含まれ、就職に関するキャリアデザイン、生活デザイン等がこれにあたる。


芸術・美術からの視点[編集]

形態、特に図案や模様を計画、レイアウトすることを含むことから、芸術美術的な意味も含むと言える。美術を実用品に応用するため、応用美術とも言う。また、商業的なデザインを商業美術とも言う。

産業革命の影響により、デザインの意識が高まり、アール・ヌーヴォーなどの流行、バウハウス機能主義など、常に時代の象徴を創造し続けている。その対象は、非常に多岐にわたり、さらに細分化される流れにある。

デザイン界ではアーツ・アンド・クラフツ運動によって生活と芸術の統一が課題になり、それを受け継いだドイツ工作連盟によって芸術と産業の統一が意図され、その重要性が認識されるようになる。

この分野では、様式スタイルと訳し個々の作品の形をデザインと呼ぶ。

ランドスケープデザイナーのカール・スタイニッツは日本造園学会誌に寄稿した論文で、Herbert Simonの The Science of Artificial(1968)にある「デザインとは, 現状を少しでも望ましいものに変えようとするための一連の行為である。」を引用し、ランドスケープのデザインの仕事を表現するのにこの定義だけでは十分でないかもしれないとし、それはデザインにおいてはスケールとサイズが常に問題となるからで、私達の仕事は,住宅の設計などの小さなスケールのものから,地域環境の保全計画などの大きなスケールのものまで様々なものを扱っているからとしている。

建築家は建築のデザイン(意匠)を行っているものは、デザイナーと呼ばれる。建築家はデザイナーをも兼業し、デザイナーが建築家を兼務することもある。例として近代ではペーター・ベーレンスヘリット・リートフェルトらが挙げられる。しかし、建築家は計画、意匠、監理までに関わるものであり、デザイナーという言葉では非常に狭い意味、狭義のデザインをするものに留まる。

日本でも近年、組織によっては(欧米式にならい)その人の経験によって「ジュニア・デザイナー」、「シニア・デザイナー」、「プロジェクト・チーフ」あるいは 「意匠設計者」「アーキテクチュラル・デザイナー」などと称している例がある。特に個人住宅や小規模店舗の建築を行う建築家やインテリアデザインやリフォームなどの内装を重視するケースについては「建築デザイナー」などと呼ぶ例も出てきている。

日本技術者教育認定基準における建築系学士修士課程の認定種別では、基準1:学習・教育到達目標の設定(プログラムが保証する具体的な学習・教育の成果(水準を含む))の(2)で、プログラムが育成しようとする自立した技術者像に照らして、プログラム修了時点の修了生が確実に身につけておくべき知識・能力として学習・教育到達目標が設定されていることとし、学習・教育到達目標を設定する際に(a)~(i)まで項目が定められて、これに関して個別基準に定める事項が考慮されている。

このうち、(e)が、種々の科学、技術及び情報を活用して社会の要求を解決するためのデザイン能力、を要求。ここでいう「デザイン」とは、「建築デザイン (architectural design)」、「都市デザイン(urban design)」、及び「エンジニアリング・デザイン(engineering design)」を指すとした。これは単なる設計図面制作ではなく、「必ずしも解が一つでない課題に対して、種々の学問・技術を利用して、実現可能な解を見つけ出していくこと」とし、そのために必要な能力が「デザイン能力」としている。

デザイン教育は技術者教育を特徴づける最も重要なものであり、対象とする課題はハードウェアでもソフトウェア(システムを含む)でも構わないとし、実際のデザインにおいては、構想力/課題設定力/種々の学問、技術の総合応用能力/創造力/公衆の健康・安全、文化、経済、環境、倫理等の観点から問題点を認識する能力、及びこれらの問題点等から生じる制約条件下で解を見出す能力/結果を検証する能力/構想したものを図、文章、式、プログラム等で表現する能力/コミュニケーション能力/チームワーク力/継続的に計画し実施する能力などを総合的に発揮することが要求される。

このようなデザインのための能力は内容・程度の範囲が広いことを踏まえ、項目(e)では、社会の要求などを考慮し、個別基準に定める次の内容も参考にして適切かつ高度な学習・教育到達目標を具体的に設定することが求められるとして、解決すべき問題を認識する能力、公共の福祉、環境保全、経済性などの考慮すべき制約条件を特定する能力、解決すべき課題を論理的に特定、整理、分析する能力、・課題の解決に必要な、数学、自然科学、該当する分野の科学技術に関する系統的知識を適用し、種々の制約条件を考慮して解決に向けた具体的な方針を立案する能力、立案した方針に従って、実際に問題を解決する能力、と定めている。

設計[編集]

本来この語は設計のことであり、形態や意匠に限らず、人間の行為(その多くは目的を持つ)をより良いかたちで適えるための「計画」も意味する。人間が作り出すものは特定の目的を持ち、それに適うようデザイナー(設計者)の手によって計画されるのである。

デザインの対象は、衣服印刷物工業製品建築などにとどまらず、都市人生計画にもおよぶ。

物や環境を人が自然な動きや状態で使えるように設計する工学、あるいは、人の物理的な形状や動作、生理的な反応や変化、心理的な感情の変化などを研究して、実際のデザインに活かす学問という意味において、人間工学と共通している。考慮すべき要因には、機能性、実現性、経済性、社会情勢など、目的を実現することに関わる全てが含まれる。

特定の事業は誰が計画そしてデザインしたのかという質問などに対して、事業は複数の事業主体と計画者、設計者が委員会等などチームとして実施されているなどで、通常、明確な答えが返ってくることは期待できない。このことは、デザイン等の悪い事例行為について、その責任の所在をわかりにくくしているとの指摘もあり、優れたデザイン行為が個人の業務実績として評価できないことがある。


用語[編集]

「デザイン」という言葉は、さまざまな文脈で適用されるため、しばしばあいまいと見なされている。

スペインマドリード の バラハス空港の新しいターミナル

デザインとアート[編集]

今日、デザインという用語は、レイモンド・ローウィ( Raymond Loewy)が始めた応用芸術と、20世紀ドイツバウハウスとウルム・スクール・オブ・デザイン(HfG Ulm)の教えと広く関連している。

アートとデザインの境界は「アート」という用語と「デザイン」という用語の両方の用途のために、ぼやけている。応用芸術は、工業デザイングラフィックデザインファッションデザインなどの分野を定義する包括的用語として使用されてきた。「装飾芸術」という用語は、歴史的な談話で使用される伝統的な用語であり、適用芸術である。グラフィックアート写真からイラストまでの2Dイメージ作成)では、作品が制作されている状況とそれがどのように取引されているかに基づいて、美術と商業の区別が行われることがよくある。

ある程度、直感を採用するなど、仕事を創造するためのいくつかの方法は、 応用芸術と美術の分野で共通している。Mark Getleinは、デザインの原則は、「本能的」、「組み込み」、「自然」、そして「正しさ」の一部であることを示している。しかしながら、結果として得られる作品の意図される用途および文脈は大きく変わる。

蒸気機関車用のブースターエンジン用の図面。 エンジニアリングは、数学と科学の機能と利用を重視した設計に適用。

デザインとエンジニアリング[編集]

エンジニアリングでは、デザインはエンジニアリングプロセスのコンポーネントである。製品デザイン、工業デザイン、エンジニアリングを比較すると、多くの重複した方法とプロセスが見える。アメリカン・ヘリテージ・ディクショナリー ( American Heritage Dictionary)は、デザインを、「心を想い、創造する、発明する」、「計画を立てる」と定義し、エンジニアリングを次のように定義している。「科学的および数学的原則を設計、製造、効率的で経済的な構造、機械、プロセス、システムの運用が含まれる」。どちらも、問題解決の形式であり、「科学的および数学的原則」の適用という明確な区別がある。しかし、実際に工学の焦点がますます科学的になってきたことで、新しい「人間中心の」設計分野の重要性が高まっている。デザインにどれだけの科学が適用されているかは、「科学」とみなされるものの問題である。ただし科学とは何かという問題のほかに社会科学自然科学があり、Xerox PARCの科学者たちは、「動く心」と「原子を動かす」のデザイン対エンジニアリングの区別をしていた(恐らく「天才」の意味でのラテン語の「エンジニアリングエンジニア」の起源と矛盾する「原子」ではなく「心」の存在)。

ジョナサン・アイヴは、このMacBookのようなApple Inc.製品のデザインで数々の賞を受賞している。デザイン分野では、パーソナルコンピュータもデザインと生産の両方に使用されている

デザインと製作[編集]

デザインと生産の関係は、計画と実行の1つ。 理論的には、この計画は、実行プロセスにおける潜在的な問題を予測し、補償する必要がある。デザインは問題解決と創造性を伴う。対照的に、生産には日常的な、または計画されたプロセスが含まれる。デザインは、生産プロセスやエンジニアリングプロセスを含まない単なる計画でもあるが、そのようなプロセスの実際の知識は通常デザイナーに期待される。場合によっては、そのようなデザインに必要な幅広い専門分野の知識を持つデザイナーが、製品の生産方法に関する詳細な専門知識を持つことを期待することは、不必要かつ/または実用的でない場合もある。

デザインと生産は、多くの創造的な職業で絡み合っている。つまり、問題解決は実行の一部とその逆である。再編成のコストが増加するにつれて、デザインから生産への分離の必要性も増大する。たとえば、超高層ビルなどの予算の高いプロジェクトでは(制作)建設からアーキテクチャを分離(デザイン)する必要がある。ローカルに印刷されたオフィスパーティー招待状のような低予算のプロジェクトは、数枚の紙、数滴のインク、1時間未満のデスクトップの低コストで数十回印刷して印刷することができる。

これは、生産が決して問題解決や創造性を伴うものではなく、デザインが常に創造性を伴うものではないということではない。デザインは完璧なことはまれであり、時には反復的である。デザインの不完全さは、デザインプロセスで見過ごされたものを補うために、創造性や問題解決スキルを活用して制作職(たとえば制作者、建設労働者 )に任せることができる。 同様にデザインは、既存の既存ソリューションの単純な繰り返し(コピー)であり、デザイン者からの創造性または問題解決のスキルを最小限に抑えることができる。

ビジネスプロセスモデリング表記を使用したビジネスワークフロープロセスの例

プロセスデザイン[編集]

参照:メソッドエンジニアリング

「プロセスデザイン」(前述の「デザインプロセス」とは対照的に)は、期待される結果とは別のプロセスの日常的なステップを計画することを指す。プロセス(一般的に)はデザインの方法ではなく、デザインの製品として扱われる。この用語は、化学プロセスの工業デザインに由来していた。 情報化時代の複雑化に伴い、コンサルタントや経営幹部は、ビジネスプロセスと製造プロセスのデザイニングを記述するのに有用な用語を見つけた。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Dictionary.com(特に1-5と7-8の意味)とAskOxford https://www.oxforddictionaries.com/?view=uk (特に動詞)の http://dictionary.cambridge.org/search/english/?q=design 英ケンブリッジ辞書での意味。