キングコング (1976年の映画)

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キングコング
King Kong
監督 ジョン・ギラーミン
脚本 ロレンツォ・センプル・ジュニア
製作 ディノ・デ・ラウレンティス
製作総指揮 フェデリコ・デ・ラウレンティス
クリスチャン・フェリー
出演者 ジェフ・ブリッジス
チャールズ・グローディン
ジェシカ・ラング
音楽 ジョン・バリー
撮影 リチャード・H・クライン
編集 ラルフ・E・ウィンタース
配給 アメリカ合衆国の旗 パラマウント映画
日本の旗 東宝東和
公開 アメリカ合衆国の旗 1976年12月17日
日本の旗 1976年12月18日
上映時間 134分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $24,000,000[1]
興行収入 $90,600,000[2] 世界の旗
$52,614,445[1] アメリカ合衆国の旗 カナダの旗
配給収入 30億9000万円[3] 日本の旗
次作 キングコング2
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キングコング』(King Kong)は、1976年アメリカ合衆国の映画。第1作のリメイクであるが、時代設定は現代(制作当時)になり、コングがよじ登るビルは、当時シアーズ・タワーに次いで世界第2位の超高層ビルであった世界貿易センタービルに変更された。

あらすじ[編集]

石油会社に勤務するウィルソンは新たな油田を開拓するため、重役たちを説得して南太平洋にある未開の島に探索に向かう。その話を聞き付けた動物学者のプレスコットは、島に存在すると伝わる謎の生物を探索するためにウィルソンの船に密航する。航海の途中、ウィルソンの船は嵐に遭い漂流していた女優のドワンを救助し、プレスコットと共に島の探索に加わる。

島に到着したウィルソンたちは上陸して油田を探索するが、その途中で巨大な壁とそこに暮らす原住民の集落を発見する。原住民たちはドワンを見付けると、「島の神コングへの生贄として差し出せ」と要求した。ウィルソンとプレスコットは要求を断り船に戻るが、その日の夜に原住民が船に乗り込みドワンを連れ去ってしまう。ウィルソンたちは銃を持ちドワンを取り戻しに向かうが、既に彼女はコングと共に森の中に姿を消していた。プレスコットはコングの後を追うが返り討ちに遭い、彼を残して全滅してしまう。プレスコットは一人でドワンを助けに向かい、コングが大蛇と格闘している隙にドワンを助け出し集落に戻る。一方、ウィルソンは油田を発見するが、その石油は未成熟で使い物にならないことを知り落胆する。ウィルソンは石油を諦め、コングを捕獲して見世物にすることで一儲けしようと企み、ドワンを追ってきたコングを捕獲してアメリカに連れ帰った。

ニューヨークに戻ったウィルソンはコングを見世物にするが、プレスコットは彼のやり方に反発する。ドワンもコングに後ろめたさを感じていたが、念願の女優デビューを果たすためウィルソンに従うが、彼女がマスコミに囲まれている姿を見たコングは鎖を引き千切り暴れ出す。コングはウィルソンを踏み潰し、ニューヨークの街中を暴れ回り、ドワンを連れて世界貿易センタービルに登り出す。アメリカ軍は火炎放射機を使ってコングを攻撃し、プレスコットはドワンとコングを助けるためビルの頂上に向かう。コングは火炎放射機隊を撃退するが、続くヘリコプター隊の機銃掃射を受け重傷を負う。コングはドワンを守るために彼女を安全な場所に降ろしてヘリコプター隊に立ち向かうが、致命傷を負ってビルの頂上から落下し息絶えた。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
テレビ朝日版1 フジテレビ 日本テレビ テレビ朝日版2
ジャック・プレスコット ジェフ・ブリッジス 新克利 寺田誠 大塚明夫 山路和弘
フレッド・ウィルソン チャールズ・グローディン 大塚周夫 小林勝彦 佐古正人 菅生隆之
ドワン ジェシカ・ラング 宗形智子 上田みゆき 水谷優子 田中敦子
ロス船長 ジョン・ランドルフ 金井大 塩見竜介 吉水慶 村松康雄
バグリー ルネ・オーベルジョノワ 納谷六朗 増岡弘 納谷六朗 牛山茂
ボアン ジュリアス・W・ハリス
ジョー・ペルコ ジャック・オハローラン
サンフィッシュ デニス・フィンプル
カーナハン エド・ローター 若本規夫
ティモンス ジョージ・モレノ
船のコック ジョン・ローン
キングコング(声) ピーター・カレン
翻訳 進藤光太 木原たけし たかしまちせこ
演出 春日正伸 伊達康将 福永莞爾
調整 山田太平 阿部佳代子
効果 赤塚不二夫
PAG
リレーション
録音 スタジオユニ
担当 圓井一夫
プロデューサー補 宮下政子
プロデューサー 金井芳広
垂水保貴
制作 東北新社
(小柳剛・神部宗之)
東北新社
初回放送 1979年2月4日
日曜洋画劇場
21:00~23:24
BDに収録。
1980年8月8日
ゴールデン洋画劇場
20:00~22:54
BDに収録。
1992年1月24日
金曜ロードショー
21:00~22:52
1998年8月16日
『日曜洋画劇場』
21:12~23:04

製作[編集]

企画[編集]

オリジナル映画のようにならないように慎重に脚本を書きました。ディノ(ラウレンティス)は、それが重苦しくなく、とてもライトで楽しいものだと言ってくれました。私はオリジナル映画が神話的なものだとは思わなかった……オリジナルはとても野蛮ですが、それは素晴らしくないという意味ではない。その時代では注目に値するものだったが、それはとても小さな撮影所で撮影された。私たちは時代を経て、観客がより洗練されたと考えています。ディノはそれにより、もっと楽しい者が作れると感じていました。私たちは大きなスクリーンで、より先進的な特殊効果を使い、センセーショナルなことをしたいと考えました。 — ロレンツォ・センプル・ジュニア[4]

センプル・ジュニアは、「ユニバーサルは新しいストーリーを作りたがっていた」と述べており、ユニバーサルは監督ジョセフ・サージェント、脚本ボー・ゴールドマンカール・デナム英語版ピーター・フォークによる「The Legend of King Kong」という企画を考えていたという[4]

ヒロインのドワン役にはメリル・ストリープが候補に挙がっていたが、ディノ・デ・ラウレンティスから「あまり魅力がない」と言われ却下されている[5]。ストリープの代わりにバーブラ・ストライサンドの起用が検討されたが、彼女から出演を断られたため、最終的にジェシカ・ラングが起用された[6][7]

撮影[編集]

ラウレンティスは、初めにロマン・ポランスキーに監督を依頼している[8]。『King Kong: The History of a Movie Icon』によると、監督のジョン・ギラーミンは撮影中にセットで爆発事故を起こし、製作総指揮のフェデリコ・デ・ラウレンティスと怒鳴り合いになったという[9]。事故の後、ディノ・デ・ラウレンティスはギラーミンに対し、「スタッフとキャストの安全を配慮しなければ銃で撃つ」と発言するほど激怒した[9]。キングコングのスーツはリック・ベイカーカルロ・ランバルディが担当したが、ベイカーは完成したランバルディのスーツを見て出来の悪さに失望したという[10]。この他に、ランバルディはコングの感情を表現するために5つのマスクを作っている[11]。彼が作った実物大のモデルは12.2メートルの大きさで、50万ポンドの製作費が投じられた[12][13]。このモデルに関しては、ロボット技術を生かした緻密な表情や動きを目指したが、実際には腕をぎこちなく振る以外にまともに動かすことができなかったため、本編で使われたカットはわずか5つに過ぎなかった。

1976年1月にロサンゼルス港〜サンタカタリナ島間の海で、遭難しているドワンを発見するシーンの撮影が行われた。ラングは濡れた黒いドレスを着て数時間の撮影に参加した。撮影中、救命いかだの周囲にはサメの群れがいたが、ラングはそのことに気付いていなかった。ドワンを単なるスクリーミング・ヒロインに終わらせず、コングの優しさに気付いて心を開く女性として描く試みは、東宝の『キングコングの逆襲』(1967年)の先例はあるものの、本国アメリカではこの1976年版が最初であり、コングが高層ビルに登って以降のショットのいくつかが2005年版に引用されている。

世界貿易センタービルでコングが死ぬシーンでは、一夜の撮影で3万人以上のエキストラが参加している。ビルの所有者であるニューヨーク・ニュージャージー港湾公社は、エキストラの人数が多過ぎて混乱が生じることを懸念して撮影の中止を命令したが、中止命令が出た時にはコングの死体に集まる群衆のシーンの撮影は既に完了していた。中止命令が出た数日後、スタッフは残りのシーンを撮影するために少人数の群衆を集めて撮影を行った[14]

評価[編集]

映画は製作費2,400万ドルの3倍以上となる9,000万ドルの興行収入を記録し、バラエティ誌の国内ランキング5位となった[15][16]

公開後、オリジナル版のファンである批評家たちから多くの反響が寄せられ、ザ・ニューヨーカーポーリン・ケイルタイム誌リチャード・シーケル英語版[17]ロサンゼルス・タイムズチャールズ・シャンプリン英語版シカゴ・サンタイムズロジャー・イーバート、バラエティ誌のマーフ[18]など著名な評論家から好評を得た。特にケイルは映画を絶賛し、「私は、この漫画のように素晴らしいロマンス映画を今まで観たことがありません」と批評している[19]

Rotten Tomatoesには37件のレビューが寄せられ、支持率49%となっており、「オリジナル版よりも視覚効果はアップグレードされているが、その他の全ての点はオリジナル版に遠く及ばない」と批評されている。『エンターテイメント・トゥナイト』のレナード・マーティン英語版は、「この映画は大きな可能性を秘めている。それでも、奇妙なキャラクターと荒れたアプローチでオリジナル版の神話的なクオリティを削ぎ落している」と批評した[20]

映画が酷評されたことは、ヒロインを演じたラングのキャリアにも大きな影響を与えた。ラングの演技について否定的な評価が寄せられ、マーシャル・ファイン英語版は「彼女のキャリアのほとんどを破壊した」と批評している[21]。彼女はゴールデングローブ賞新人女優賞英語版を受賞したが、「キングコングの恋人」というイメージが付いたことで、その後3年間映画出演の機会に恵まれず演技レッスンに時間を費やすことになった。

受賞・ノミネート[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b King Kong (1976)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2013年3月19日閲覧。
  2. ^ King Kong, Box Office Information”. The Numbers. 2012年1月17日閲覧。
  3. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)352頁
  4. ^ a b Steve Swires, "Lorenzo Semple, Jr. The screenwriter Fans Love to Hate - Part 2" Starlog #75, October 1983 P.45-47,54 reprinted in www.the007dossier.com accessed 28 May 2014
  5. ^ "Meryl Streep’s worst audition". The Graham Norton Show. BBC. 13回.
  6. ^ Medved, Michael, and Harry Medved. The Golden Turkey Awards. 1980, Putnam. 0-399-50463-X.
  7. ^ This Meryl Streep Mic Drop Is Too Good To Be True” (2015年11月11日). 2015年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月12日閲覧。
  8. ^ Bahrenburg (1976): p.19
  9. ^ a b Morton, Ray (2005). King Kong : the history of a movie icon from Fay Wray to Peter Jackson. New York: Applause Theatre & Cinema Books. pp. 193. ISBN 9781557836694. OCLC 61261236. https://www.worldcat.org/oclc/61261236. 
  10. ^ Morton, Ray (2005). King Kong : the history of a movie icon from Fay Wray to Peter Jackson. New York: Applause Theatre & Cinema Books. pp. 209. ISBN 9781557836694. OCLC 61261236. https://www.worldcat.org/oclc/61261236. 
  11. ^ Bahrenburg (1976): pp.177
  12. ^ Bahrenburg (1976): p.204
  13. ^ Foley, Charles (2014年7月12日). “From the Observer archive 11 July 1976: King Kong dogged by costly mishaps” (en-GB). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/news/2014/jul/13/observer-archive-king-kong-expensive-remake 2017年1月27日閲覧。 
  14. ^ Bahrenburg (1976): pp.218-228
  15. ^ Business Data for King Kong”. Internet Movie Database. 2007年7月17日閲覧。
  16. ^ Gebert, Michael. The Encyclopedia of Movie Awards (includes listing of 'Box Office (Domestic Rentals)' for 1977 taken from Variety magazine), St. Martin's Paperbacks, 1996. 0-668-05308-9
  17. ^ Schickel, Richard (1976年12月27日). “The Greening of Old King”. Time Magazine. http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,947771,00.html?internalid=ACA 2007年5月24日閲覧。 
  18. ^ "Murf" (1976年1月1日). “King Kong”. Variety. http://www.variety.com/review/VE1117792323.html?categoryid=31&cs=1&query=King+Kong+1976 2007年5月24日閲覧。 
  19. ^ Kael, Pauline. “King Kong Reviews”. Pulp and Dagger. 2007年5月24日閲覧。
  20. ^ King Kong (1976)”. Rotten Tomatoes. 2007年5月24日閲覧。
  21. ^ Fine, Marshall. “Editorial Reviews”. Amazon.com. 2007年5月24日閲覧。
  22. ^ The 49th Academy Awards (1977)”. oscars.org. 2011年10月4日閲覧。
  23. ^ The 49th Academy Awards (1977) Nominees and Winners”. oscars.org. 2011年10月3日閲覧。

参考文献[編集]

  • Bahrenburg, Bruce (1976). The Making of Dino De Laurentiis' King Kong. New York: Pocket Books. ISBN 067180796X. 

外部リンク[編集]