山根貞男

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山根 貞男(やまね さだお、1939年10月15日[1]- )は、大阪府出身の映画評論家、漫画評論家、翻訳家。かつては菊池浅次郎名義をペンネームとして使用していた。なお「菊池浅次郎」は、映画『明治侠客伝・三代目襲名』の鶴田浩二の役名に由来。

経歴[編集]

大阪外国語大学フランス語科卒業。書評紙『日本読書新聞』や書籍の編集者を経て、1969年から1971年まで波多野哲朗手島修三とともに映画批評誌『シネマ』(誌名は『シネマ69』『シネマ70』『シネマ71』と変遷)の編集・発行に携わる。なお、フランス留学から帰国したばかりの蓮實重彦も、同誌で映画批評をスタートしている。

1967年には、石子順造梶井純権藤晋と、日本初の漫画評論同人誌『漫画主義』を創刊。つげ義春の作品などを論じた。

1972年に同人誌『加藤泰研究』(北冬書房)に評論を発表。以降、漫画評論と映画評論を並行して行うが、次第に映画評論にスタンスを移し、主に日本映画を中心に論じる映画評論家となる。「娯楽映画」として、従来は批評の対象にならなかった過去の映画作家をとらえなおす評論が多い。山田宏一や蓮實重彦との共同執筆もある。

また、編集を担当した本や、映画関係者へのインタビュー・聞き書き・対談の仕事も多数ある。マキノ雅弘の有名な自伝『映画渡世』も、マキノの著書となっていてクレジットされていないが、山田宏一と山根による聞き書きである。

蓮實重彦とともに海外の映画祭で加藤泰鈴木清順成瀬巳喜男の特集に関わるなど、国内外の映画祭の特集企画立案や、フィルム発掘にも取り組んでいる。

1986年から『キネマ旬報』誌上での日本映画時評を、現在も継続して連載中。映画の魅力を測る基軸に“活劇”であるか否かを据え、鈴木清順、岡本喜八森崎東深作欣二澤井信一郎北野武相米慎二黒沢清佐藤真阪本順治石井輝男らの作品を高く評価してきた。

一方、黒澤明市川崑山田洋次熊井啓篠田正浩大林宣彦降旗康男伊丹十三岩井俊二佐藤忠男白井佳夫などは、批判対象となっている。

2001年から2008年3月で定年退職となるまで、東海大学文学部文芸創作科の特任教授として映画史・映画論を担当していた。

著書[編集]

単著[編集]

  • 『映像の沖田総司』(1975年、新人物往来社
  • 『映画狩リ』(1980年、現代企画室)
  • 手塚治虫つげ義春 現代漫画の出発点』(1983年、北冬書房)
  • 『活劇の行方』(1984年、草思社
  • 『映画が裸になるとき』(1988年、青土社
  • 『映画-快楽装置の仕掛け』(1988年、講談社現代新書
  • 『日本映画の現場へ』(1989年、筑摩書房
  • 『日本映画時評 1986-1989』(1990年、筑摩書房)
  • 増村保造 意志としてのエロス』(1992年、筑摩書房・リュミエール叢書)
  • 『世界のなかの日本映画』(1993年、河合文化教育研究所)
  • 『映画はどこへ行くか 日本映画時評 1989-1992』(1993年、筑摩書房)
  • 『映画の貌』(1996年、みすず書房
  • 『現代映画への旅 1994-2000』(2001年、講談社
  • マキノ雅弘 映画という祭り』(2008年、新潮選書
  • 『日本映画時評集成 2000-2010』(2012年、国書刊行会
  • 『日本映画時評集成 1976-1989』(2016年、国書刊行会)

共著[編集]

  • 『現代漫画論集』〈菊地浅次郎名義〉(1963年、青林堂)共著:石子順造梶井純権藤晋
  • 『映画監督・TVディレクターになるには』(1973年、ぺりかん社)共著:佐藤忠男波多野哲朗
  • 『劇画の思想』〈菊地浅次郎名義〉(1973年、太平出版社) 共著:石子順造権藤晋
  • 『殲滅 中島貞夫の映画世界』(1974年、北冬書房)
  • 河内山宗俊 講談大江戸悪草子』〈菊地浅次郎名義〉(1976年、白金書房) 絵:林静一
  • 『誰が映画を畏れているか』(1994年6月、講談社) 共著:蓮實重彦
  • 『つげ忠男の世界』(1994年、北冬書房)
  • 『任侠映画伝』(1999年2月、講談社) 共著:俊藤浩滋
  • 『映画監督深作欣二』(2003年7月、ワイズ出版)共著:深作欣二
  • 『香港への道 中川信夫からブルース・リーへ』(2004年10月、筑摩書房) 共著:西本正、山田宏一
  • 『「仁義なき戦い」をつくった男たち 深作欣二と笠原和夫』(2005年1月、日本放送出版協会)共著:米原尚志

編書[編集]

  • 『遊侠一匹 加藤泰の世界』(1970、幻燈社)
  • 『日本映画1976 1975年公開日本映画全集』(1976年、芳賀書店)共編:佐藤忠男
  • 『日本映画1977 1976年公開日本映画全集』(1977年、芳賀書店)共編:佐藤忠男
  • 『日本映画1978 1977年公開日本映画全集』(1978年9月、芳賀書店)共編:佐藤忠男
  • 『日本映画1979』(1979年7月、芳賀書店) 共編:佐藤忠男
  • 『日本映画1980』(1980年6月、芳賀書店)共編:佐藤忠男
  • 『日本映画1981』(1981年6月、芳賀書店)共編:佐藤忠男
  • 『女優志穂美悦子』(1981年12月、芳賀書店)- 責任編集
  • 『日本映画1982』(1982年5月、芳賀書店)共編:佐藤忠男
  • 『日本映画1983』(1983年5月、芳賀書店)共編:佐藤忠男
  • 『官能のプログラム・ピクチュア ロマン・ポルノ1971-1982全映画』(1983年6月、フィルムアート社)- 責任編集
  • 『日本映画1984』(1984年5月、芳賀書店)
  • 『日本映画1985』(1985年4月、芳賀書店)
  • 加藤泰作品集』(1986年8月、大和書房
  • 『女優石原真理子』責任編集 芳賀書店, 1986.10
  • 別冊太陽 世界の女優 長谷川一夫をめぐる女優たち』山田宏一、山根貞男構成 平凡社 1986
  • 『別冊太陽 世界の女優 アメリカン・ロマンス 銀幕の恋人たち』山田宏一、山根貞男構成  1987
  • 『映画監督中川信夫』(1987年1月、リブロポート)共編:滝沢一
  • 『はだかの夢年代記 ぼくのピンク映画史』(1989年1月、大和書房)著:村井実 - 構成
  • 『映画を穫る ドキュメンタリーの至福を求めて』(1993年10月、筑摩書房)著:小川紳介
  • 『加藤泰、映画を語る』(1994年10月、筑摩書房)著:加藤泰 共編:安井喜雄
  • 『別冊太陽 世界の女優 フランス女優 世界の女優 恋、巴里、そして名画』 山田宏一、山根貞男構成 平凡社 1995
  • 『別冊太陽 日本のこころ 女優』山田宏一、山根貞男構成 平凡社 1999
  • 『完本市川雷蔵』(1999年9月、ワイズ出版)
  • 新・仁義なき戦い。メモリアルブック』(2000年11月、勁文社)- 責任編集
  • 『阪妻 スターが魅せる日本映画黄金時代 阪東妻三郎生誕100周年記念』(2002年5月、太田出版)- 責任編集
  • 『国際シンポジウム小津安二郎』(2004年6月、朝日新聞社)共編:蓮實重彦吉田喜重
  • 成瀬巳喜男の世界へ』(2005年6月、筑摩書房)共編:蓮實重彦
  • 『国際シンポジウム溝口健二 没後50年「Mizoguchi 2006」の記録』(2007年5月、朝日新聞社)共編:蓮實重彦

訳書[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『文藝年鑑』2015