日本の路面電車一覧

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日本の路面電車一覧(にほんのろめんでんしゃいちらん)では、日本に現存する路面電車の路線および、かつて存在した路面電車、建設が計画されている路面電車について記す。日本以外の例については、「路面電車の走る街の一覧」を参照。

営業中の路面電車[編集]

札幌市交通局
富山ライトレール
福井鉄道
広島電鉄

一部が路面電車となっている路線[編集]

路面電車路線と直通運転を行う鉄道路線[編集]

国土交通省統合前は、鉄道線は運輸省、軌道線は建設省と担当省庁が異なっていたため、線路は物理的に連続していても、鉄道線と軌道線の境界に責任の分界を明確に示す標識(鉄軌分界点)が設けられている。現在も鉄道線は鉄道事業法、軌道線は軌道法と根拠法令が異なるため両者の分界は明確にされているが、国交省統合後は世界的なライトレールの見直しもあり、両者の乗り入れのハードルは実質的に下がった形になる。

かつて路面電車として建設された名残から、構造上の併用軌道区間が残る路線[編集]

現在の私鉄の大部分が軽便鉄道法・軌道法に則って建設された(後節参照)経緯から、過去には本格的な鉄道線路線でありながら構造上の併用軌道区間が存在した。大手で比較的後年まで残った例としては、近畿日本鉄道奈良線名古屋鉄道犬山橋等が挙げられる。しかし、いずれの場合も高密度ダイヤや高速運転の妨げとなったことから、専用軌道への付け替えが行われ、そのほとんどが解消され、現在は中小2社の2例を残すのみとなっている。

江ノ島電鉄(併用軌道区間)

旧式の路面電車を保存している施設・事業者[編集]

延伸及びLRT新線の建設予定・計画・構想[編集]

日本のLRT(Light rail transit)、ライトレールとは、「次世代型路面電車」のこと。

既存線の延伸予定・計画・構想路線[編集]

  • 札幌市交通局札幌市
    市電路線西4丁目からすすきの間400mを延伸ループ化し、環状運転を行う計画が決定。2012年2月現在、延伸部分の中間にあたる狸小路に新電停を設置、軌道は道路の両サイドに分離敷設するサイドリザベーションでの整備を予定。最短2014年の運行開始を目論んでいる。 2014年7月には、入札不調のため、2015年10月以降とされた[1]。ほかに、JR札幌駅方面、創成川東地区 - JR苗穂駅方面、JR桑園駅方面の3つの延伸案が検討されている。
  • 東京都交通局東京都区部
    都電荒川線三ノ輪橋停留所 - 北千住駅前間延伸と、池袋駅前支線建設を検討中。池袋駅前支線は途中にサンシャインシティが存在し、現状では池袋駅からの利便性が悪いため要望も高い。
  • 相鉄いずみ野線藤沢市
    終点の湘南台駅から慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)付近まで延伸させる計画がある。ライトレールの導入も検討されている。神奈川県と藤沢市、相模鉄道、慶応大学の間で協議が行われている[2]。鉄道(単線)による延伸が決まった。
  • 富山ライトレール富山市
    北陸新幹線富山延伸開業による富山駅高架化に合わせ、現在の終点である富山駅北駅から高架下をくぐって富山駅南側まで約200m強延伸し富山地方鉄道市内線と接続、直通運転することが決定している。2016年頃の直通開始を予定。その後、概ね2018年度となっている[3]
  • 富山地方鉄道市内線(富山市)
    富山大学が中心となって、市内線西端の大学前から富山大学五福キャンパス五福公園の間を南下して工学部の北側に至る路線約1kmの延伸と、その途中に県営球場西側と工学部前の2か所に電停を設ける計画を富山市富山地方鉄道に要望、自治体・鉄道会社とも好意的に検討を開始している。
  • 福井鉄道福井市
    福武線えちぜん鉄道三国芦原線相互乗り入れ・直通運転を実施することが決定、接続駅となる田原町駅における線路接続を含めた駅改築工事が着工される[要出典]。また、全長30m級の連接型超低床電車 (LRV) 4両の導入を2012年度より順次開始。さらに現在JR福井駅から約150m離れている福武線支線の終着駅福井駅前駅を、福井駅前広場整備にあわせて駅至近まで延伸する予定がある。なおそれらの計画と並行して福武線支線(通称ヒゲ線)から武生方面への短絡線を新規に大名町交差点で敷設する工事が行われる。相互乗り入れは2015年春を予定していたが、2014年10月に、2016年1月以降にずれ込むとの見方が示された[4]
  • えちぜん鉄道(福井市)
    福井鉄道福武線三国芦原線乗り入れに先立ち、駅設備をLRVに対応させるためのホーム切り下げ工事を2012年度より順次実施。また直通運転開始後数年以内には相互乗り入れとするため福井鉄道と同クラスの超低床電車 (LRV) 3両の導入を予定している。
  • 西日本旅客鉄道
    地方都市の中心部を通る短距離路線の幾つかをライトレール化することを計画中。富山港線で既に実施。
  • 吉備線岡山市総社市
  • 和歌山電鐵和歌山市
    2016年ごろに、貴志川線をライトレール化する予定。
  • 岡山電気軌道(岡山市)
    新規路線の建設や既存の路線の延伸、またそれらの接続による環状化の構想、またライトレール化が検討されているJR吉備線との相互乗り入れなどを計画中。しかし、いずれの構想も資金面などの理由により具体化されていない。
  • 広島電鉄広島市
    現行路線の一部の経路変更計画のうち、JR広島駅前付近の移設計画を策定して、2018年度着工予定、引き続き平和大通りへの移設案[5]など、総合的な路面電車の活性化策が検討されている。
  • 伊予鉄道松山市
    2017年(平成29年)を目標に、JR予讃線とJR松山駅の高架化及び周辺地区の区画整備を完成させる予定だが、その都市計画の一環として、市内電車が延伸されることが決定している[6]。高架化されるJR松山駅下を潜ることで、今までは物理的に不可能であった西方への延伸が可能となるもので、南江戸地区までの700mが延伸される[7][8]
    この延伸は、最終的な松山空港乗り入れを視野に入れており[7][9]、愛媛県の中村時広知事は、自身の2期目の政策として空港までの市内電車延伸に対する意欲を示している[10][11]。また、松山市長に再選された野志克仁も、松山市駅折り返し有効長の関係で困難な連接路面電車の導入や松山空港乗り入れの展望を述べるなど、実現に向けた動きが加速している[12]
    また、これらの計画とは別に、本町線国道196号線沿いに延伸して、大きな需要が見込まれる山越・鴨川地区まで乗り入れるという構想がある。
  • 鹿児島市交通局鹿児島市
    鹿児島本港区方面へ路線の新設の検討を本格化。九州新幹線全線開業効果の維持拡大を目的とした、ウオーターフロント地区向け観光路線と位置付け、できるだけ早い実現を目指す。 そのほか、谷山電停から谷山駅まで(約600m)の延伸、および平成8年に移転した県庁とそれに隣接した与次郎方面等への延伸を検討中。前者は費用対効果の問題で一旦取りやめとなったが、市や市議会、住民や商店街、教育機関などから延伸の要望があり、谷山駅から慈眼寺駅周辺の線路高架計画に基づき再検討されている。

既存線の延伸計画の中止案件[編集]

  • 函館市交通局函館市
    五稜郭公園前 - 赤川一丁目間の路線の延伸が検討されたが、採算面や民間バス会社との競合の発生を理由に見送られた。
  • 土佐電気鉄道高知市
    JR高知駅の高架化に合わせイオン高知SCまで延伸する動きがあったが、高知駅北側の道路が狭く軌道を設置するために用地買収や久万川大橋の架け替えが必要になったり中心商店街の反対があり、その是非を検討中に、高知駅高架化の設計期限が来てしまい、延伸を考慮せずに設計されたため、架線を考慮するとその下をくぐり抜けるのに必要な高さが無く、地下化する必要も生じ、延伸計画は事実上、白紙となった。
  • 熊本電気鉄道熊本市
    全路線を改軌すると共に藤崎線を延伸して熊本市電と直通運転する、または改軌せずにどちらかを延伸し、接続駅(電停)での対面乗換を可能にするという計画案。元々は熊本電気鉄道が中心部結節強化以外に旅客を増やす方法はなく、また老朽化した設備の更新も現状のままでは不可能との判断から、路線の存続を賭ける最後の手段として熊本市にすがりつく形で浮上した案であったが、行政サイドはこれを一刀両断に拒否、検討委員会を設置して、鉄道を廃止して路盤をバス専用道に転用、連節バスやガイドウェイバスを走らせる新バスシステム導入を軸に検討を進める方針を一旦決定した。しかし、熊本電気鉄道が投資できる環境になく、また九州新幹線の開業にも間に合いそうもないこといことなどから、まずは熊本電気鉄道自体の経営再建を優先させつつしばらく様子を見ることとなり、都心部結節計画の検討自体が当面凍結されることとなった。
    熊本市は2006年鹿児島本線豊肥本線連続立体交差化事業及びJR熊本駅東口駅前広場整備に合わせ、JRとの乗り換えの利便性を向上させる目的からJR熊本駅新駅舎に市電を引き込む計画を提起し、同年、熊本県など関係機関と合意。2013年9月に東口駅前広場機能配置案を公表した。同案によると熊本市電田崎線の熊本駅前電停から直接二本木口電停方面に向かっている現在のルートから、双方に分岐点を設けて市電が東口駅前広場内を横切り、JR熊本駅新駅舎1階部分に進入、スイッチバック方式で再び東口駅前広場内を横切り本線上に戻るという計画であった。市電の軌道敷は歩行者が自由に往来できるトランジットモール形式を想定していた。ただ歩行者や自転車の往来について安全面の課題があるため、その可否に向けて検討を行い、2014年度中に結論を出すことになった。2015年2月、大西一史熊本市長は熊本市議会本会議において「歩行者・自転車の安全確保や駅前広場の自由な往来が制限されるという課題に解決策が見い出せていない」「(事業計画・日程や今後検討を進める市電そのものの延伸への影響も踏まえ)駅舎乗り入れを諦め、駅前広場計画を見直す」と述べ、計画断念を表明した[13]。今後は市電とバスタクシーとの乗り換え利便性の向上について検討するという。

LRT新線を検討中の自治体[編集]

  • 宇都宮市
    長年中心市街地の活性化とJR宇都宮駅西口から西方に伸びる「大通り」の慢性的な交通渋滞を緩和させる目的からJR宇都宮駅 - 東武宇都宮駅新交通システムなど何らかの方法によって接続しようという構想が提起されており、1997年には宇都宮市に「新交通システム検討委員会」が設置され、バス・ラピッド・トランジットモノレール等と比較しLRT導入が最適と結論。2000年には新交通システム検討委員会により「新交通システム導入基本方針」が示された。以後市の「新交通システム導入基本計画策定委員会」により、JR宇都宮駅東側についてはLRTにより新たな移動需要が創出できる見込みが提示され、東隣の芳賀郡芳賀町域に及ぶ都市計画策定にかかる調査・検討が進められた。一方、競合する市内のバス事業者(関東自動車東野交通)はバス事業に著しい影響が出るため反対、また宇都宮市の財政状況が悪いため一般市民から「事業費が掛かり過ぎる」との反対の声も多い。新バスシステムの導入なども提案され、市も既存バス路線における連接バス運行についても検討した。市のLRT導入構想に対し、福田昭夫栃木県知事は反対の意向を示したものの、計画策定を進めていた宇都宮市の福田富一市長が自ら2004年12月の栃木県知事選挙に立候補し、福田昭夫知事を下して知事に当選。栃木県も宇都宮市のLRT導入構想を支援する方針に転換された。
    宇都宮市では福田富一知事の後継者となった佐藤栄一市長によって計画策定が継続され、栃木県・宇都宮市・芳賀町三者の協議機関「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」も設置された。2008年11月の市長選においてLRT導入が争点の一つになり、導入推進の姿勢を示していた佐藤市長が再選。2009年には事業計画案をまとめ住民説明会を開催する予定であったが、LRT導入は清原工業団地・宇都宮テクノポリスセンター地区などの事業所勤務者の自家用車通勤を制限することにつながるため、日本労働組合総連合会栃木県連合会(連合栃木)や民主党栃木県総支部連合会が反対。2009年の政権交代の影響もあり事業化には至らなかった。2011年4月の統一地方選挙宇都宮市議会議員選挙において民主党が敗北し、LRT導入に前向きな市政与党自由民主党公明党会派が引き続き多数を占めたことから、同年12月、佐藤市長がLRT導入の事業化に意欲を示した。一方連合栃木は2012年7月、「バス走行環境の改善・自家用車との共存など具体的交通機関計画が不明確」「都市構造に不適合」「街づくりの視点が不十分である」等の理由から栃木県に対し導入を断念させるよう要望したが、環境対応車の普及や集配車両に関する専用駐車場・荷捌施設等の整備等、県・市のみの対応の範囲を超え、交通渋滞緩和に結び付かない内容まで要望に含んでいたことから、県は市のLRT導入の事業化支援の方針に変更がない旨返答している。また連合栃木と民主党栃木県総支部連合会は「民意なきLRT導入を阻止する会」を組織し、「LRT導入反対」を掲げ活動。政党・支持団体一体となってLRT導入反対の姿勢を明確にした。日本共産党栃木県委員会やみんなの党などもLRT導入に反対し、政治問題化した。
    2012年11月の市長選においてはLRT導入が最大の争点となり、推進・実現を掲げる佐藤市長が3選。LRT導入の事業化が進められることになり、2013年1月にはLRT整備推進室を設置した。「民意なきLRT導入を阻止する会」はLRT導入に関する住民投票の実施を求め、2013年11月から住民投票条例制定を求める署名活動を行い、同12月までに3万人余の署名を集め、2014年1月、宇都宮市議会に対し住民投票条例制定を求める直接請求を行った。同月、同請求は自民・公明会派の反対多数により否決された。市は2014年予算にLRT整備費として10億円以上を計上、計画を本格化させる姿勢を鮮明にした。事業主体については宇都宮市・芳賀町が出資する第三セクター企業や上下分離方式などを検討しているが、競合するバス事業者である関東自動車・東野交通の営業主体参入についても想定されている。関東自動車は2012年4月、経営主体が株式会社ジェイ・コーチから株式会社経営共創基盤完全子会社みちのりホールディングスに変わって以降、これら市側の動向を受けてLRT導入計画への対応について方針を転換し、2014年4月、JR宇都宮駅東側へのLRT導入計画については「公共交通ネットワーク全体の面的持続性が担保されれば、導入に異を唱えることはしない」「公共交通事業者としてLRTの営業主体を担う責務がある」との意向を表明した。なおJR宇都宮駅西側への導入については「朝夕のピーク時にLRTだけでは対応できない。LRTを導入しても路線バスとの併存になる。当面は既存バスネットワークの高度化・利便性を強化することが合理的」との考えを示し、また事業基盤喪失に対する補償等の条件を付けつつも、JR宇都宮駅東側へのLRT導入計画や経営参入に肯定的な姿勢を示した[14]。市は桜通り十文字 - 東武宇都宮駅 - JR宇都宮駅 - 清原工業団地 - 宇都宮テクノポリスセンター地区を結ぶルートを公表し、8カ所のトランジットセンター(交通結節点)を設置、既存のJR宇都宮駅においては、1階(地上)にあたる在来線、3階(高架)にあたる新幹線共に干渉しない2階部分に敷設する計画を立てている[15]2016年の着工予定[16]、先行区間としてJR宇都宮駅東口 - 清原工業団地 - 宇都宮テクノポリスセンター地区 - 本田技研工業北門(芳賀町内)の約15キロ19駅の区間を整備する[17]。既に関東自動車・東野交通が拠点バス停において実施しているパーク・アンド・ライド方式も導入するほか、LRT自体をサイクルトレインとし、LRT車内に自転車を持ち込めるようにする。佐藤市長は「2019年度には運行開始したい」と述べている。
    市は宇都宮駅東側を先に整備する方針をとり、JR宇都宮駅東口 - 宇都宮テクノポリスセンター地区約12キロを「優先整備区間」と位置づけ、この区間だけで約450億円の事業費を見込んでいる。一方市の中心市街地を経由するJR宇都宮駅西口側の桜通り十文字 - JR宇都宮駅については、宇都宮駅東側の開業後に整備する予定となっている。これに対し、JR宇都宮駅西口の地権者の団体「JR宇都宮駅西口地区まちづくり協議会」が2014年7月、市街地活性化やJR・バスとの乗り換え利便、将来の東武宇都宮駅までの延伸構想などを理由にJR宇都宮駅西口を「優先整備区間」の起点とするよう市に求めている。佐藤市長はJR宇都宮駅東口 - 西口間をLRT新線が横断することについて、JRとの協議を進めたい考えを示した[18]。また同月、栃木県商工会議所連合会や県商工会連合会、宇都宮商工会議所など県内の経済6団体の幹部らや学識経験者らが、LRT整備により見込まれる経済効果を積極的に活用し、地元経済の底上げにつなげるため鉄道・バスなど他の交通機関との連携や産業振興などのテーマについて調査・研究し、市や県に提言する組織として「栃木県LRT研究会」を発足させた。同研究会の初会合にて講演した荒川辰雄副市長は「最終的には西は大谷地区、東は芳賀町役場付近までをつなぐ公共交通網の整備が必要」と述べ、今後のLRT計画路線延伸の見通しを述べた。
    一方「民意なきLRT導入を阻止する会」は同月、市民団体「宇都宮市のLRTに反対し公共交通を考える会」(上田憲一代表)を結成した[19]。「宇都宮市のLRTに反対し公共交通を考える会」結成後、市当局・推進派と「考える会」等の反対派との隔たりは更に広がっている。「考える会」は同年8月、LRT計画に関する公開討論会の開催を申し入れたが、市は「開催する予定はない」とこれを退けた。「考える会」はなおも公開討論会の開催を求め、11月に再度市に申し入れた。佐藤市長は一旦は開催についても検討の内に入れるという姿勢を示したものの、「考える会」は「自家用車が一番便利であるのに、事もあろうに自動車のために造った道路にLRTを導入するという計画は論外で、自動車交通の邪魔になる」「LRT計画立案の後に行われた道路整備等で渋滞は以前より軽減されており、大量輸送システムの導入は不要」という考えであり、「市中心部の自動車交通量が多過ぎるため減らす必要がある」「路線バスの定時運行にさえ支障をきたしている状態が解消されていない」という市や市政与党自民・公明の現状認識との間で著しい隔たりがあり、LRT計画の是非を議論できる状態にはないと判断。翌12月、市は開催の可能性を否定した。また「考える会」は市議会に対しLRT導入計画を全く白紙にするよう求める陳情を提出するに至るも、同年12月、市議会本会議において自民・公明会派の陳情不採択賛成多数により不採択となった。陳情の審査をした市議会総務委員会の馬上剛委員長は不採択の理由について「自動車交通の絶対量を減らすことが最も重要」と説明。「考える会」との現状認識自体の相違が浮き彫りになった。また審議の中で佐藤市長はLRTのJR宇都宮駅西側区間の延伸についても計画していることを明らかにし、LRT導入事業の規模を拡大する方針を示した。JR宇都宮駅西口から東武宇都宮駅を経て大谷地区まで延伸する構想については、LRTを2020年度までに整備される東北自動車道大谷スマートインターチェンジに接続し、同所を市西側のトランジットセンターとして整備することをも視野に入れ、その必要性を検討する意向を表明、LRT整備推進室も「LRTに決まったわけでなくバスなども検討するが、需要や採算性を考えればLRT西側延伸は自然」と説明した。計画の白紙撤回を求めていた「考える会」の上田代表は、市がかえって事業規模の拡大を検討していることについて「とんでもないこと」と強硬に反対する姿勢を示した。関東自動車は「考える会」との意見や認識の相違等からJR宇都宮駅西側への導入・延伸についても反対しなくなっており、LRT整備計画の実現を見越してJR宇都宮駅西口周辺地区進出の動きを示す企業も現れる[20]など情勢は更に変化しているものの、「考える会」は2015年4月の統一地方選挙を見据え引き続き反対運動を行っている。
    「考える会」は対案としてバスの活用を掲げ、道路の拡張や鬼怒川を渡る市道の橋の架け替え・新設などを求めているが、関東自動車等既存のバス事業者が従来構想していたバスネットワークの高度化・利便性強化策としてのバス専用レーン及びバス・ラピッド・トランジット導入には「LRT同様乗り換えが必要であり、バス専用レーンは自動車交通の邪魔になる」との理由から反対する一方で、「市の郊外にトランジットセンターを沢山設けて、地域を循環バスなどが周り、中心部へ向かう路線はそこで集約し削減する」「循環系・支線系と中心に行く路線をトランジットセンターに集めて乗り換えできるようにする」と複数の路線バス間の乗り換え利用を主張。路線バスの定時運行が確保されておらず、市や関東自動車等既存のバス事業者が苦心している現状については考慮もしておらず、「LRT計画立案当初に比べ渋滞は緩和されてきているため、バス専用レーンなども不要」と事実上「現在路線バスの定時運行は概ね実現している」という認識を開陳するなどその考えには不明な点も多い。市側との議論がかみ合わなくなる一方、なおも住民投票を求めており、2015年2月には旧みんなの党の市議らによる会派が「前回否決時には事業費の増額や計画変更について明らかにされていなかった」との理由から住民投票条例案を再度提出した[21][22]。市は2015年度予算案にLRT整備費として11億5200万円を計上、年度内に法定協議会の設置・都市計画決定・事業認可申請等を行い、2016年度着工、2019年度開業を目指す[23]。市は事業主体確定作業のほか車両・運行等の技術協力を受ける既存鉄道事業者の選定・協議、交通ICカード導入やJR宇都宮駅東西通行ルート案の検討など次々に計画を進めている。
    LRT計画案には過去に赤字で廃止された東武大谷線に近いルートも存在している。
  • 小山市
    JR小山駅北方の稲葉郷地区にて東北本線より分岐し、北東の中久喜地区に所在する東光高岳小山事業所に至る貨物専用線(高岳製作所専用線。全線単線。約4.8km)にLRTや蓄電池電車を運行し旅客線化する構想が小山市によって提起されている。同専用線は同社の大型製品を運搬する不定期貨物列車が年10回程度運行されるのみで、通常ほとんど使用されていないことから、市は同専用線の活用を検討。2013年度、市議や市長他執行部で構成する同専用線の活用策を考える「新交通システムの導入に向けた勉強会」を計3回開催し、事業の素案をまとめた。素案によると運行は市が出資する第三セクター企業による経営、小山駅と東光高岳小山事業所前を含め計9カ所の停留場を設置、行き違い可能停留場を3カ所(うち1カ所は貨物列車用)、ラッシュ時には15分毎運行、運賃は市のコミュニティバスおーバス」と同額の200円に設定する。稲葉郷地区の分岐から小山駅に乗り入れる約800mの区間には新規に軌道を整備する。ほとんどの区間について既存の線路を使用するため主に車両購入費として約20億円の事業費を見込む(車両は富山ライトレールの現有車両を想定、工事費等は未定)。2014年、国、栃木県などの関係機関を交えて公共交通全体のあり方を考える「市まちづくり総合交通戦略協議会[24]」を設置し、同年7月に初会合。以後年3~4回会合を開催し交通戦略を策定し、素案をたたき台にしつつ様々な可能性を含め新交通システムの事業化を議論する[25]
  • 豊島区
    池袋駅からサンシャインシティまでを単線環状運転する計画を検討中[26]
  • 中央区
    銀座から築地晴海を結ぶ路線を検討[27]。2014年8月には東京都が虎ノ門ヒルズから晴海方面を結ぶBRT案を示した。
  • 江東区
    亀戸駅新木場駅を結ぶルートを検討。採算面に不安があり長期的構想とされた[要出典]越中島支線を利用する計画もある。
  • 横浜市
    横浜都心臨海部の東神奈川臨海部周辺、横浜駅周辺、みなとみらい21関内・関外、山下ふ頭周辺を結ぶ計画[28]
  • 静岡市
    2008年にLRTを推進する市民団体が静岡市に要望書を提出、2009年度の施政方針にLRTが組み込まれているほか、市民団体に対し、駿河区葵区清水区それぞれに路線を通す場合の検討案や交通事情、建設案などが提示されている。現状では清水区を先行した路線新設が有力視されている。葵区では中心市街地の時間を制限した道路の通行規制や車線規制、期間限定トランジットモールの実施を行う等、LRT導入を見越した交通社会実験を2008年頃より、中心街の数箇所で数度に渡って実施している。2011年9月には、静岡市と静岡鉄道、静岡商工会議所の三者によって「LRT導入検討委員会」が正式に発足し、LRT導入に向けた活動を開始している。2012年10月19日、静岡市は交通政策協議会において、当年度中に需要予測や採算性、整備効果などを基本計画案として公表すると表明した[29]
  • 金沢市
    道路を2車線封鎖して交通実験を実施。また、ガイドウェイバスと比較検討を行う。財源の問題などにより、短中期的には路線バスを活用した公共交通網の整備の方に重点が置かれることとなった[要出典]
  • 大垣市
    大垣駅ソフトピアジャパンを結ぶ路線を計画[要出典]
  • 京都市
    7つのルートが検討され(京都市LRT構想)、今出川線については2007年に道路の車線を減らす社会実験が行われるなど導入を前提とした動きが見られた。しかし、市の財政難や今出川線沿線での住民の反対意見のためその後は進展せず、2010年4月には推進団体が、実現の目処がないとして解散した。その後、2012年になり市が2015年度の導入整備計画の策定をめざして研究会を発足させる予定であることが報じられている[30]
  • 大阪市
    阿部野橋 - 恵美須町 - 難波 - 梅田 - 新大阪。阿部野橋 - 難波は先行して2015年度の開業を目指している。阪堺電気軌道の乗り入れや事業主体はまだ未定。[31]
  • 堺市
    臨海新都心堺浜 - 堺駅 - 堺東駅 - 堺市駅。早期開業として堺駅 - 堺東駅。運行予定会社は南海電気鉄道および阪堺電気軌道で建設は堺市の公設民営方式。ただし、2009年10月の市長選挙で構想の見直しを掲げた候補が当選し、2010年1月に南海電鉄に対してLRT計画中止を打診、予算を建設検討及び研究費等の300万円程度を残して削減してしまった。その後も阪堺電軌存続支援活動を展開する市民ワーキンググループが堺市に対して提言書の提出等、阪堺線のLRT化を含めた計画の実行を求める活動を行っている。「東西鉄軌道」も参照。
  • 伊丹市
    兵庫県が大阪国際空港とJR伊丹駅間を結ぶルートを検討。「JR福知山線分岐線構想」も参照。
  • 松江市
    松江駅松江しんじ湖温泉駅を軸にして、松江城、市総合体育館、島根大学、県立美術館近くを通る4路線を検討。平成24年度(2012 - 2013年)に開業予定と一時は報じられた[32]が、2011年6月の市議会で提唱者でもある松浦正敬市長は、LRT導入の優先順位を下げると述べ、具体的検討は先送りとなった[33]
  • 高松市
    2008年1月に市長が導入に向けた方針を打ち出し、検討組織を発足させた。ただし、地元の鉄道事業者である高松琴平電気鉄道は導入に慎重な姿勢を見せている[34]。2010年3月に検討組織は、需要や導入後の課題を探るため、中央通りへの敷設を想定した車線減少や需要測定を目的とした循環バスの運行などの社会実験を2011年以降におこなうことを決定し、7月に市に実験の詳細を答申した[35]

LRT新線導入を断念した自治体[編集]

  • 西東京市武蔵野市三鷹市調布市
    地元商工関係者などから多摩南北道路都道調布保谷線にLRT・モノレールなどの新交通システム導入を求める要望があり、保谷駅西武柳沢駅東伏見駅武蔵境駅などを連絡するルートが構想されていた。都道への導入構想であるため主として東京都議会で提起されていた。都議会等でLRT導入についての意見を述べていた都議坂口光治2005年、西東京市長に就任し、市の将来構想にも部分的に盛り込んだものの、その後事業費等の面から導入は困難な現状であるとの見通しを示した。これを受け、坂口の後市長に就任した丸山浩一もLRT導入については今後の検討課題とする以上の積極的な姿勢は見せていない。三鷹市長の清原慶子は2014年2月の第72回「市長と語り合う会」の席上、調布保谷線への新交通システム導入に関して「LRT導入の話は都議会等で10年くらい前まではあったが今は止まっている」と述べている[36]。都道管理者である東京都の動きも見られないが、そもそも事業化を主導する段階にも至らず自治体関係者、また民間の構想のままであるため、構想が「断念」されたのかも不明である。
  • 新潟市
    政令指定都市ながら唯一軌道系交通網がJR線のみのため地下鉄モノレール新交通システムを含め検討している。当分は新潟交通のバスが主体となる模様。新潟市商工会議所が作成した「21世紀に向けた新潟の街づくりと都市交通」では、廃止された新潟交通電車線の跡にLRT路線を造る考えも示していたことがある。[要出典]
  • 奈良市
    市内中心部への導入が検討された[37]が、建設コストの問題や奈良駅の高架化工事が2010年までかかることなどを理由に、2003年6月に断念[38]
  • 東広島市
    商工会議所が西条駅広島大学を結ぶ路線の構想を提唱したと報じられたことがあった[39]。行政がLRTの導入を明示したことはないが、市が2011年3月に策定した「市街地における公共交通施策基礎調査」においては、公設民営の有利な条件で敷設した場合でも運賃は300円という高い水準になるという試算結果が掲載された[40]


路面電車として開業後に鉄道へ変更された路線[編集]

阪神電気鉄道

かつて、都市間電車においても軌道法による路面電車扱いで建設された路線が多く存在した。これは1905年に開業した阪神電気鉄道が最初の例であるが、当時私鉄への免許を交付するのが国有鉄道の運営も行っていた鉄道院 - 鉄道省であったため、国鉄線との並行路線においては免許が交付されにくく、それならば内務省(→建設省国土交通省)が交付する軌道扱いで建設しようとしたからである。

最初の例となった阪神電鉄の場合、後に本線となる区間は、大阪・芦屋・神戸などの市街地周辺に僅かな併用軌道があった。ところが、多くの区間を専用軌道として建設するというインターアーバン的な路線となり、さらに当時の軌道による制限速度である8マイル/時(12.9km/h)を大幅に無視して違法となる高速運転を行った。この結果、国鉄の客を多く奪うことに成功した。後には、全線を専用軌道化してさらなるスピードアップも行っている。

これに刺激される形で、全国各地に同じような形で都市間電車が敷設された。阪急電鉄の前身となる阪神急行電鉄に至っては、昭和初期に軌道線名義のままで神戸線において、表定速度78.0km/h(阪和電気鉄道に次いで戦前日本の第2位)という高速走行を行う特急電車を運行した。

この時に軌道として敷設された路線の多くは、後に普通鉄道線へ改められて、現在の私鉄線の原型となっている。

かつて路面電車との直通運転を行っていた鉄道路線[編集]

前節の路面電車として開業後に鉄道へ変更された路線をのぞく。

過去に営業していた路面電車[編集]

名古屋鉄道岐阜市内線
在りし日の西鉄北九州線(北方線)

日本の廃止鉄道路線一覧」も参照。現在も他に営業中の軌道路線を持っている都市・事業者は太字で記す。

在りし日の神戸市電(上沢通)

脚注[編集]

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  1. ^ http://response.jp/article/2014/07/26/228573.html
  2. ^ 『相鉄いずみ野線延伸計画で、神奈川県など行政主導で検討会を設立へ』 神奈川新聞10年2月23日 朝刊
  3. ^ http://www.mlit.go.jp/common/000993738.pdf
  4. ^ 相互乗り入れ、16年以降に えち鉄と福鉄 - 中日新聞、2014年10月23日
  5. ^ 公共交通体系づくりについて - 広島市
  6. ^ JR松山駅付近連続立体交差事業
  7. ^ a b 幹線道路・路面電車計画 - 松山市
  8. ^ JR松山駅付近の都市計画道路図 (PDF)
  9. ^ 路面電車の整備について - 松山市
  10. ^ 愛媛知事再選の中村氏、松山の路面電車延伸を検討 - 日本経済新聞 電子版、2014年11月18日
  11. ^ 中村知事「観光に独自性」…ダブル選一夜明け - YOMIURI ONLINE、2014年11月18日
  12. ^ 当選から一夜、知事・市長が2期目へ抱負 - 愛媛新聞オンライン、2014年11月17日
  13. ^ 熊本市電の熊本駅舎乗り入れ断念 市長表明2015年2月18日 熊本日日新聞
  14. ^ 「LRT営業主体担う責務」 関東自動車、導入を肯定 宇都宮駅東下野新聞 2014年4月5日
  15. ^ 宇都宮市のLRT計画(概要) (PDF) - 宇都宮市
  16. ^ 「LRTに自転車を持ち込めるように」 宇都宮市長 東京新聞、2013年11月28日
  17. ^ LRT全ルート案提示…「高速区間」「通勤快速」も 読売新聞、2014年12月18日
  18. ^ 【栃木】JR宇都宮駅のLRT発着点どっちに? 東側優先方針に待った 東京新聞、2014年7月16日
  19. ^ 宇都宮のLRTに「反対の会」発足へ MSN産経ニュース、2014年7月2日
  20. ^ ゼビオ、JR宇都宮駅西口に1万平米の土地取得 LRTの計画注視下野新聞 2014年9月25日
  21. ^ LRT住民投票条例案を提出へ 統一会派フォーラム・みんな 宇都宮市議会下野新聞 2015年2月10日
  22. ^ 宇都宮LRT 住民投票条例案を提出 「統一」4市議賛否を「○」「×」で東京新聞 2015年2月10日
  23. ^ 宇都宮市、LRT整備本格化へ 11億5200万円計上 2015年度当初予算案東京新聞 2015年2月14日
  24. ^ 小山市まちづくり総合交通戦略策定協議会小山市(素案の内容等はページ内PDFファイル参照)
  25. ^ 小山市の新交通システム、3セク運営のLRTを想定 下野新聞、2014年3月5日
  26. ^ 『池袋副都心・グランドビジョン2008』「(1)東京初のLRT導入とパーク・アンド・ライドによる歩行者優先ゾーンの創出」 (PDF) - 豊島区
  27. ^ http://www.jcast.com/tv/2011/02/04087292.html [リンク切れ]
  28. ^ LRT導入検討本格化へ 林市長が2期目に意欲 横浜 msn産経ニュース、2013年9月3日
  29. ^ LRTの需要や採算性 年度内に調査、公表 静岡市 静岡新聞2012年10月20日
  30. ^ LRT整備計画、策定へ 京都市、15年度中にも 京都新聞2012年6月14日
  31. ^ http://megalodon.jp/2012-0317-0029-56/mainichi.jp/kansai/news/20120315ddf001010004000c.html
  32. ^ http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100104/lcl1001040915001-n1.htm
  33. ^ 松浦まさたかメッセージ(2011年6月22日)
  34. ^ 四国新聞「『琴電軌道にLRT』提案/高松市交通検討協」
  35. ^ 高松市の交通戦略計画を承認/社会実験へ具体案四国新聞2010年7月24日
  36. ^ 市長と語り合う会 第72回会議録 平成26年2月12日開催(3)三鷹市
  37. ^ 路面電車ニュース19 - 路面電車を考える館
  38. ^ 奈良市議会定例会2003年9月9日
  39. ^ 「東広島市に次世代路面電車構想」中国新聞2008年1月8日
  40. ^ 平成23年度公共交通対策事業東広島市交通現況調査業務報告書(PDF文書) - 7ページを参照。
  41. ^ 京王線府中以西は京王電軌の傍系会社・玉南電気鉄道が建設したため、社名の通り地方鉄道法に基づき1067mm軌間で建設されたが、京王線との直通運転のため1372mmへ改軌、軌道免許に切り替えられた。また、玉南電鉄が京王電軌に合併された後に建設された京王御陵線(後に廃止)も京王線直通のため1372mmの軌道免許で建設されている。

関連項目[編集]