日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況

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日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況
COVID-19 Cases by prefectures of Japan.svg
感染者が確認された都道府県(適宜更新)
感染者数:
  10,001+
  5,001-10,000
  1,001-5,000
  501-1,000
  101-500
  51-100
  1-50
COVID-19 outbreak Japan per capita cases map.svg
10万人あたりの感染者数(適宜更新)
疾病 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)
ウイルス株 SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2)
最初の発生 中華人民共和国の旗 中華人民共和国湖北省武漢市
場所 日本の旗 日本
初発症例 神奈川県
出現した日付 2020年1月16日
確定症例数 79,260人[1]
重篤症例数 159人[1]
回復者数 71,030人[1]
死者数
1,507人[1]

日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況(にほんにおける2019ねんコロナウイルスかんせんしょうのりゅうこうじょうきょう)では、日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況について述べる。

2020年1月16日、日本国内初の感染者として、中国武漢への渡航歴のある神奈川県在住の30代の中国籍の男性が報告された[2]3月1日厚生労働省はこれまでの集団感染事例にスポーツジム屋形船ビュッフェスタイルの会食、雀荘などがあったとし、「換気の悪い密集空間」(「3つの密」も参照)に行くことを避けるよう勧告した[3]4月3日には 国内感染者が3,000人を超え[4]5月3日には 国内感染者が15,000人を超えた[5]。7月下旬には、感染者が30,000人に[6]、死者数が1,000人に達した[7]

日本では、感染者全体の正確な把握をめざす計画的な検査は行われていない。5月2日神戸市立医療センター中央市民病院の研究チームの発表によれば、4月7日までの8日間に外来を受診した患者、1,000人の血液を検査したところ、2.7%が新型コロナウイルスに感染したことを示す抗体を持っていた。これは、約150万人の神戸市民のうち、41,000人に感染歴があったことになる[8]。また、ソフトバンクグループが同社の従業員や医療機関の関係者など44,066件を対象とした抗体検査の結果では、陽性率が0.43%(191件)だった(任意提出であり無作為抽出ではない)。検査期間は5月12日-6月8日。検査対象のうち5,850件が医療関係者で、陽性率は1.79%。その他の陽性率は0.23%だった[9]

死亡者も出ているが、「新型コロナウイルス感染症の流行による死者」数の集計基準は2020年6月時点では地方自治体間で統一されていない[注 1]

略年譜[編集]

2020年[編集]

1月[編集]

2月[編集]

  • 2月13日 - 国内で初の死者が発生[10]
  • 2月21日 - 国内累計感染者数が100人を超えた[11]
  • 2月27日 - 安倍総理が3月2日から全国小中高校の臨時休校を要請[12]

3月[編集]

4月[編集]

  • 4月3日 - 国内累計感染者数が3,000人を超えた[15]
  • 4月7日 - 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に対し5月6日までの緊急事態宣言が発令された[16]
  • 4月8日 - 国内感染者が1日当たりで500人を超えた[17]
  • 4月12日 - 国内死者が100人を超えた[18]
  • 4月16日 - 全都道府県に対し緊急事態宣言が発令された[19]
  • 4月18日 - 国内累計感染者数が10,000人を超えた[20]
  • 4月22日 - 国内死者が200人を超えた[21]
  • 4月25日 - 東京都内の死者が100人を超えた[22]

5月[編集]

  • 5月2日 - 国内死者が500人を超えた[23]
  • 5月3日 - 国内累計感染者数が15,000人を超えた[24]
  • 5月4日 - 安倍首相が緊急事態宣言の5月31日までの延長を発表[25]
  • 5月14日 - 政府が全国39県の緊急事態宣言を解除[26]
  • 5月21日 - 政府が兵庫県・大阪府・京都府の3府県の緊急事態宣言を解除。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・北海道は宣言を継続し、解除するかを25日に再検討する[27]
  • 5月22日 - 国内死者が800人を超えた[28]
  • 5月25日 - 政府は残る東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・北海道の5都道県に対する緊急事態宣言を解除した[29]
  • 5月29日 - 東京都内の死者が300人を超えた[30]

6月[編集]

  • 6月19日 - 東京など首都圏の1都3県や、北海道の都道府県をまたぐ移動の自粛要請が解除された[31]

7月[編集]

8月[編集]

  • 8月3日 - 国内累計感染者数が40,000人を超えた[39]
  • 8月6日 - 愛知県が、感染者の急増を受けて県独自の緊急事態宣言を、8月6日から8月24日まで発令すると発表した[40]
  • 8月11日 - 国内累計感染者数が50,000人を超えた[41]
  • 8月20日 - 国内累計感染者数が60,000人を超えた[42]
  • 8月27日 - 東京都内の累計感染者数が20,000人を超えた[43]

9月[編集]

統計[編集]

  • 新規感染者数の推移(報告日基準、国内事例のみ)[46]
  • 日本のPCR検査実施人数と新規陽性者数の推移のグラフ(国内事例のみ)


新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の状況分析によると、1日の新規感染者数は4月22日時点で455人に上り、4月20日には累積感染者数が10,200人を超えた[47]。特に重点的に感染拡大防止策がとられる13の特定警戒都道府県(北海道、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県及び福岡県)における増加が全体の7割強を占め、このうち感染経路が不明な患者数の割合が約8割に上った[47]。また、3月23日頃には4割近くを占めていた海外からの感染に起因したと考えられる国内症例の割合は、4月に入ってからの約3週間で0.65%程度にまで低下した[47]

各都道府県の累積感染者・死亡者・退院者等の数は下表で示される。

日本国内の新型コロナウイルス感染確認事例数 ) [48][49]
2020年9月20日18:50時点、外国籍の者や国籍確認中の者を含む
都道府県 / 分類 感染 死亡 退院等 備考・参考資料 内訳 推移
00合計(全体) 79260 1507 71283 [注 2]
01北海道 1960 106 1756 [50] 市町村別 グラフ
02青森県 35 1 32 [注 3][52] 市町村別 グラフ
03岩手県 23 23 [53] 市町村別 グラフ
04宮城県 367 2 272 [注 4][55] 市町村別 グラフ
05秋田県 53 51 [注 5][57] 市町村別 グラフ
06山形県 78 1 76 [58] 市町村別 グラフ
07福島県 221 2 184 [注 6][60] 市町村別 グラフ
08茨城県 624 16 556 [61] 市町村別 グラフ
09栃木県 387 1 312 [注 7][63] 市町別 グラフ
10群馬県 663 19 505 [64] 市町村別 グラフ
11埼玉県 4430 100 4044 [注 8][67] 市町村別 グラフ
12千葉県 3623 68 3216 [注 9][69] 市町村別 グラフ
13東京都 24208 390 21472 [注 10][71] 区市町村別 グラフ
14神奈川県 6382 135 5556 [注 11][72] 市町村別 グラフ
15新潟県 165 144 [73] 市町村別 グラフ
16富山県 410 25 380 [74] 市町村別 グラフ
17石川県 754 44 646 [75] 市町別 グラフ
18福井県 244 10 220 [76] 市町別 グラフ
19山梨県 180 6 168 [77] 市町村別 グラフ
20長野県 301 1 297 [78] 市町村別 グラフ
21岐阜県 597 10 557 [79] 市町村別 グラフ
22静岡県 522 2 494 [注 12][81] 市町別 グラフ
23愛知県 5115 81 4598 [82] 市町村別 グラフ
24三重県 471 5 389 [注 13][84] 市町別 グラフ
25滋賀県 478 7 450 [85] 市町別 グラフ
26京都府 1690 25 1554 [注 14][86] 市町村別 グラフ
27大阪府 10060 192 9147 [87] 市町村別 グラフ
28兵庫県 2575 57 2382 [88] 市町別 グラフ
29奈良県 554 9 529 [注 15][90] 市町村別 グラフ
30和歌山県 236 4 227 [91] 市町村別 グラフ
31鳥取県 36 23 [92] 市町村別 グラフ
32島根県 137 137 [93] 市町村別 グラフ
33岡山県 148 1 146 [94] 市町村別 グラフ
34広島県 476 3 463 [95] 市町別 グラフ
35山口県 195 1 174 [注 16][96] 市町別 グラフ
36徳島県 147 9 99 [注 17][98] 市町村別 グラフ
37香川県 94 2 82 [99] 市町別 グラフ
38愛媛県 114 6 108 [100] 市町別 グラフ
39高知県 137 4 130 [101] 市町村別 グラフ
40福岡県 5003 90 4695 [102] 市町村別 グラフ
41佐賀県 244 244 [103] 市町別 グラフ
42長崎県 236 3 230 [注 18][104] 市町別 グラフ
43熊本県 571 8 545 [105] 市町村別 グラフ
44大分県 158 2 151 [106] 市町村別 グラフ
45宮崎県 365 1 340 [107] 市町村別 グラフ
46鹿児島県 377 12 370 [108] 市町村別 グラフ
47沖縄県 2352 45 2161 [注 19][110] 市町村別 グラフ
X1空港検疫 891 1 784 空港検疫
X2チャーター便帰国者 14 15 [注 20]
X3コスタ・アトランチカ号 149 149 [104][113]
X4その他(検疫官・国職員等) 10 - [注 21]


集団感染(クラスター)[編集]

厚生労働省の勧告[編集]

集団感染におけるクラスターとは、感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団のことである[3]

厚生労働省は2020年3月1日、これまでの集団感染事例にスポーツジム屋形船ビュッフェスタイルの会食雀荘スキーゲストハウス、密閉された仮設テントなどがあったとし、換気が悪く、人が密集して過ごす空間、不特定多数の人が接触する場所に行くことを避けるよう勧告した[3]

3月3日、共同通信は、独自の集計で日本における新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)が全国で9件発生し、ここからつながりのある感染者数が80人以上になると報道した[114]。これは調査対象となった感染者260人のうち約30%を占める[114]。この調査では、1カ所で4人以上が感染したとみられる事例をクラスターとした[114]

3月15日、厚生労働省はクラスター全15箇所の地図を公開した[115]

4月24日、読売新聞が全国の新型コロナウイルス感染者(計1万1845人)を分析したところ、感染者集団(5人以上)の形成が31都道府県で125か所あると判明した。緊急事態宣言が発令されてから1週間、クラスターの追跡の必要性が改めて分かった[116]

クラスター発生事例[編集]

病院 (院内感染)[編集]

2020年2月以降、各地の病院集団感染が起こった。以下では院内感染だけでなく、病院および介護施設での感染事例も扱う。

4月21日時点で医療機関で感染した疑いがある医療従事者や患者は感染者数の1割近くに達した[117]

北海道[編集]
  • 小樽市立病院北海道小樽市)- 8月19日に看護師1人が感染したことを発表し[118]、この看護師と接触のあった職員や入院患者ら105人を対象にPCR検査を実施したところ、16人の感染が判明し、クラスターに認定されたことを同月20日に発表した[119]
関東[編集]
  • 牧田総合病院(東京都大田区)- 看護師と医師が新型コロナウイルスに感染し2月17日から約2週間、外来を休診した[120]
  • 相模原中央病院神奈川県相模原市)- 感染患者が死亡後にその担当看護師が感染したことが2月16日に発覚し、また他の入院患者への感染が発覚し、2月17日より外来診療を休診とした[121]。2月18日には病院の職員や関係者や家族が日常生活で差別的な扱いを受けていると報告され、看護師が子供を保育施設に預けようとしたところ「しばらくは遠慮してもらえないか」と受け入れを拒否されたり、看護師の家族が勤務する会社で出勤しないよう求められたり、他の医療機関からの医師の派遣や患者の転院も断られるなどした[121]3月3日、相模原中央病院はかかりつけ患者に限って一部再開した[122]
  • 相模原協同病院(神奈川県相模原市)- 3月6日、医師の感染が確認された[123]
  • 永寿総合病院東京都台東区)- 3月24日から、入院患者や看護師十数人の感染が発覚し[124][125][126]、7月1日までに同病院の感染者は計214人、死者43人となった[127][128]
  • 慶應義塾大学病院(東京都新宿区)- 3月26日に患者3人の感染が判明した[129]永寿総合病院から19日に転院してきた感染者と同じ病室に入院しており、院内感染とみられる[129]
  • 中野江古田病院(東京都中野区)- 4月13日までに、患者と医師を含む合計92人の感染が判明した[130]。5月2日には患者11人の死亡が確認された[131]
  • 5月22日、神奈川県内で感染者のうちクラスター発生の医療機関の関係者が約6割を占めていることが分かった。緊急事態宣言解除の判断基準の目安「直近1週間の新規感染者数が10万人当たり0.5人程度以下」を達成できない要因となっている。県内での9病院で、新たな感染者が相次いでいる。5月11〜17日の感染者97人を分析したところ、横浜市内5病院が計43人、小田原市立病院が12人、川崎協同病院が2人となった[132]
  • 武蔵野中央病院(東京都小金井市)- 5月28日、看護師ら病院職員4人と患者5人の計9人が感染したと発表した。他に入院患者10人が発熱の症状を訴え、PCR検査を受け結果待ちである。緊急事態宣言の解除後、都内初のクラスター(感染集団)発生の可能性がある[133]
中部[編集]
  • 富山市民病院富山県富山市)- 4月9日の同病院勤務の女性看護師の感染確認を切っ掛けに、12日までに16人の院内感染を確認。同院長は、「クラスターが発生したという予測の元に感染拡大の防止に取り組んでいる」とコメントし、今後1週間は外来診療、救急患者の受け入れ、手術(緊急手術を除く)を休止するとしている[134]。5月7日に外来診療を再開。5月30日時点での感染者数は39人となっている[135]
関西[編集]
九州[編集]
  • 国立病院機構大分医療センター大分県大分市)- 3月19日、大分県内で検査陽性となった男性の濃厚接触者とされる、同院入院中の妻に感染が確認[145][146]。3月25日の濃厚接触全者全員のPCR検査が終了した段階で、職員や、入院患者、同院から転院した患者、転院先の1つである大分県立病院の看護師など、24名に検査陽性が確認された[146]。大分県・大分市だけではPCR検査が追い付かず、他県の地方衛生研究所等に依頼するなど対応を行った。
  • 福岡記念病院福岡県福岡市早良区)- 4月11日までに職員、入院患者など、24人の感染が確認された[147]

介護福祉施設[編集]

  • 伊丹市のデイケア施設「グリーンアルス伊丹」で2020年3月7日から10日にかけて、職員と利用者の感染が確認され、クラスター(感染者集団)が発生している可能性があるとされた[148]
  • 3月5日、熊本県玉名市の介護老人保健施設「樹心台」で職員の感染が確認され、デイケアサービスの受け入れを中止した[149]。職員は集団感染が発生した大阪のライブハウスArcに2月15日・16日訪れていた[149]
  • 3月11日には愛知県名古屋市を中心に2つの感染者集団(クラスター)があり、スポーツクラブ(感染36人)と福祉施設(感染45人、緑区デイサービス[150])の2箇所で、県内感染者のほとんどの81人にのぼり、このうち福祉施設での感染が拡大していると発表された[151]
  • 3月28日、千葉県香取郡東庄町の障害者福祉施設「北総育成園」で57人の感染が判明した[152]。職員31人、利用者26人で、無症状も含まれる[153]。県は感染者の病院への搬送は困難と判断し、同施設内で診療することにした[154]。29日感染者は合計86人となった[154]
  • 福岡県博多区の介護老人保健施設「楽陽園」で4月11日までに感染者は計16人になった[147]
  • 富山県の介護老人保健施設「富山リハビリテーションホーム」でクラスター(感染者集団)が発生した[155]。5月30日時点での感染者数は59人[135]
グループホーム

スポーツ関連[編集]

スポーツジム[編集]

名古屋市のスポーツジムで9人が感染する集団感染が起き、千葉県市川市でもフィットネスクラブの利用者4人の感染が起こった[114][158]

名古屋のスポーツジムで感染を拡大させたハワイから帰国した女性 (60代) の感染が判明したのは2020年2月15日で、スポーツジムで14人が感染、うち一人から別の場所で別の一人に感染したのが2月16日だった[159]。このことから、名古屋市が2月15日の時点で、スポーツジムの詳細を公表し注意を呼び掛けていれば感染は防げていた可能性もあると指摘された[159]。その後3月8日には、スポーツジムでの感染者からその家族などへ感染し、別の場所などで感染し、一方、緑区のデイサービス施設でも集団感染が起こったことが分かった[150]。3月11日までに名古屋のスポーツジムからの集団感染者は45人となった[151]

卓球スクール[編集]

新潟市の卓球スクールで集団感染が発生し、2020年3月9日までに8人の感染が確認、うち7人は卓球スクールや卓球大会などに参加し、1人はその家族だった[160]。3月10日に新たに3人の感染が確認され、うち2人は卓球スクール関係者だった[160]

武道館[編集]

愛知県警でクラスターが発生し、2020年4月8日までに警察官24人の感染が確認され、うち17人は1月から3月末まで愛知県武道館剣道の稽古をしており、65人が参加していた[161]。一緒に稽古していた大学生2人も感染し、また警察官の家族への感染が確認された[161]

愛知県警は、感染者と接触した可能性がある96人の警察官に対して自宅待機の措置を取った[161]

音楽・ライブ・演劇関連[編集]

ライブハウス・ライブバー[編集]
大阪

2020年3月4日、大阪府で新たに9人の感染者が確認された[162]。このうち3人の感染者は、集団感染が疑われている大阪市都島区のライブハウス「大阪京橋ライブハウスArc」[163][164]で開催されたコンサートに行っていたことが判明。ライブハウスにいて感染が確認された2人は高知県愛媛県から訪れていた[165][114]

また、大阪市北区にあるライブハウス「Soap opera classics」[163][166]でも4人の感染者が確認され、新たな集団感染となった[167]

札幌

2020年3月7日、札幌市中央区ススキノのライブバーで従業員3人と客2人の感染が確認され、集団感染の可能性について調査がされた[168]。3月12日までにこのライブバーに関係する感染者は計16人となった[169]。同バーは約40平方メートルの小規模な店舗で1日3回ライブショーの合間に客がカラオケを楽しむ形態で、中高年の常連客が多かった[169]。札幌市は「歌うことで飛沫が出る。換気の良くない場所」で、感染リスクが高い場所だったと説明した[169]

東京

東京都渋谷区のライブハウスLOFT HEAVENで2020年3月20日に開かれたイベントの出演者・参加者とその家族の感染が4月5日までに複数確認された[170]

合唱団[編集]

岐阜県可児市合唱団やスポーツジムで集団感染が発生した[171]。可児市の2つの合唱団で2020年3月22日に最初の感染が確認され、27日までに7人が陽性だった[172]。2月16日に美濃市文化会館で開かれた「中濃合唱祭」にはこの合唱サークルを含む29団体、約550人が参加しており、調査している[171]

和太鼓グループ[編集]

2020年4月8日までに大分県竹田市和太鼓演奏グループDRUM TAOの社員5人の感染がわかり、クラスター扱いとされる[173][174]。この運営会社では55人が共同生活を送り、4月3日に社員20人が福岡の顧客と会食をしており、この顧客も感染が判明している[174]

舞台[編集]

東京都新宿区の新宿シアターモリエールで2020年6月25日から7月5日に行われた舞台「THE★JINRO―イケメン人狼アイドルは誰だ!!―」で、出演者・スタッフ・観客など集団感染が確認され、7月21日の読売新聞調べで11都府県の115人に上り、感染者の職場の同僚や家族に二次感染が広がるなど被害が出ている。演劇関係では初のクラスター発生とみられる。小規模な劇場のため公演中は密閉状態となり、体調不良の出演者がいながら上演を強行した疑いや、一部の出演者は出待ちしたファンに握手やサインなどをしたり、出演者・観客ら800人以上が濃厚接触者と指定されるなどソーシャルディスタンス維持ができていなかった可能性があり、東京都は会場と主催者側に詳しい状況を調査する考えを示した[175][176][177][178]

酒場・飲食店[編集]

屋台(さっぽろ雪まつり)[編集]

国内外から約200万人の観光客が訪れたさっぽろ雪まつり(2020年1月31日-2月11日)を訪れた人の感染が北海道内だけでなく、千葉県や熊本県でも報告された[114]。会場のテント内などで濃厚接触し、感染が広がった可能性があると指摘されている[179]。東北大学の押谷仁教授は、多数の屋台ビニールハウスプレハブ小屋で出店しており、「人が密集する閉鎖空間で食事をしている中に感染者がいれば、ウイルスは拡散しやすい」と指摘している[179]

屋形船[編集]

東京都では、2020年1月18日に屋形船での新年会に参加した12人が感染した[114][180]

ナイトクラブ[編集]

岐阜市歓楽街柳ヶ瀬ナイトクラブ「シャルム」でクラスター(感染集団)が発生し、関係する感染者は2020年3月31日から4月8日までに34人となった[181]のぞみの丘ホスピタル岐阜大学病院の精神科医師3人が、3月26日に同店を利用し、4日に感染が判明したため岐阜大学病院は謝罪、4月19日まで外来診療をやめた[161][182]。また金沢市の岡部病院の医師一名も同店を利用しており、そこから4人の院内感染が発生した[181]。入居ビルの別の飲食店を利用した客の感染も判明しており、エレベーターが感染経路となった可能性も指摘された[181]

ショーパブ[編集]

鹿児島市天文館のショーパブ「new おだまLee男爵」で従業員・客など多数の感染者が判明し、7月12日までに同店関連の感染者は110人となった。店はアルコールジェルの使用推奨や店内の消毒、換気などの感染対策を取っていたが、雨や桜島の火山灰が降る時は出入口の開放ができなかったことが感染を広げたものとみられている[183][184]

英国風パブ[編集]

2020年4月1日、宮城県仙台市の英国風パブHUB仙台一番町四丁目店」で9人の感染が確認され、クラスターが発生した[185]。同店利用者の山形県の家族2名に感染が確認された[186]

大学の送別会[編集]

京都産業大学の関係者を中心とする集団感染が発生した[187]。2020年3月29日、男子学生5人の感染が確認された[188]。うち4人はヨーロッパへの卒業旅行から帰国した学生であり、うち3人の感染が確認された[189]。また、ゼミの送別会の参加者31人のうち14人の感染も確認された[188][189]。京都産業大学は31日に22人の学生を含む32人の集団感染が確認されていると発表し[187]、京都市は4月8日までに合計60人のクラスターが発生したと発表した[190]

4月8日までに京都産業大学に抗議の電話やメールが数百件寄せられ、中には殺害や放火予告を表明するものもあったという[190][191]。また、京産大生が飲食店の入店を断られたり、アルバイトをクビになった事案もあったという[191]

その他[編集]

住宅設備展示会[編集]

北海道北見市で2020年2月14日と15日に開かれた住宅設備の展示会では10人が感染した[114]

美容室[編集]

福岡県豊前市美容室で6人の感染が2020年4月に発覚し、県内5例目のクラスターとなった[147]。福岡県は「換気が不十分だった可能性など個別の条件が考えられる。この一例をもって美容院の感染リスクが高いとは言えない」と発表した[192]

建設現場[編集]

大成建設は東京都内の建設現場で2020年7月15日までに同社従業員15人の感染が判明し、専門工事業者についても2名の感染が判明した。同社によれば建設現場では国や業界団体のガイドラインに沿ってマスク着用や消毒液の設置、間隔を空けた朝礼などの対策をしており、全ての工事を止めることはしないとしている[193][194]

クラスター対策の評価と課題[編集]

WHOテドロス事務局長は2020年3月13日、日本が「クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応」という戦略をとって様々な取組を進めてきたことを高く評価した[195][196][197][198]

3月19日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議報告では、諸外国では数百~数千人の感染者数になるまで介入されなかったことが死亡者数の急増を引き起こしたのに対して、日本では少人数のクラスターから把握したために、感染症を一定の制御下に置くことができたとされた[195]

しかし、同報告では、日本のクラスター対策体制には、クラスター対策を指揮できる専門家が少なく、保健所における労務負担が過重でクラスター対策に人員を割けないことなど課題があるとされた[195]

行政の対応[編集]

検査体制[編集]

検査体制・保険適用の推移[編集]

軽症の人がほとんどで、感染者が移動することも多いため、国内でも感染が広がる可能性がある。 症状のある人を診断して治療することが重要だ。抗体などを迅速に調べる検査法を数か月以内に完成させたい。 — 国立感染症研究所所長・脇田隆字[199]
  • 厚生労働省は2020年3月4日付の通達で3月6日(金)からPCR検査(SARS-CoV-2核酸検出)について保険適用を認める旨連絡した[200]
  • 2020年4月24日、厚生労働省は症状がない患者へのPCR検査にも公的医療保険を適用する方針を表明した[201]
  • PCR検査の実施や、検査結果の判明までに、時間がかかっている例が存在する。大阪府では5月3日時点、保健所がPCR検査が必要だと判断してから実際に検査をするまでに最長10日程度かかっていることが判明した。待機中に容態が急変し入院したケースもある[202]。また、日経新聞の報道によれば、症状が出てから検査で陽性と確定するまでの期間は、4月18日時点で7.3日である[203]。東京23区の保健所に、検査が必要と判断してから実際に実施するまでの時間を聞いたところ、長い場合で「4, 5日程度」掛かっていると回答した区が複数あることが分かった[204]

検査[編集]

試薬キット[編集]

  • 4月10日、島津製作所PCR検査の時間を従来の約半分(1時間程度)に短縮可能な新型コロナウイルス検出用の試薬キットを、全国の衛生研究所や検査機関向けに4月20日から発売すると発表した[205]
  • 4月22日、日本医師会は、楽天が販売する新型コロナウイルスのPCR検査用の検体を採取するキットについて、「リスクが高い」と懸念を示した。適切な検査結果が得られないなど、混乱をもたらす可能性があるという。キットは、遺伝子検査会社の「ジェネシスヘルスケア」が開発した[206]
  • 4月29日、楽天は、法人向けに販売の新型コロナウイルスのPCR検査用のキットについて、販売を見合わせると発表。日本医師会や専門家から、検体採取は医師でなく本人が行うため、適切な検査結果が得られない恐れがあるとしていた[207]

PCR検査[編集]

  • 4月26日、厚生労働省は、PCR検査に必要な検体採取を歯科医師も可能とする方針で、有識者懇談会で了承された。実施するための条件を近く都道府県などに文書で示す[208]
  • 5月5日、政府の専門家会議は、PCR検査が進まなかったことを分析した上で、地域が設置する「地域外来・検査センター」の増設を求めた。専門家会議は、日本の人口10万人の検査数が187.8件で、イタリアは3159.0件、米国1752.3件、韓国1198.0件など「明らかに少ない」と指摘。検査の陽性率は5.9%で低い、都市部の「検査待ち」が多いことが報告された。進まなかった理由は、保健所が業務過多、地方衛生研究所の体制不十分、を挙げた。急激に重症化することから、検査を拡充し、早期診断と適切な治療が必要とした[209]
  • 5月8日、富士フイルムホールディングスは、PCR検査で検体を装置にセットするだけで自動で調べられる試薬を開発し、国内向けに5月中に発売する。検査時間も現在の4-6時間から約75分に短縮できる。PCR検査は、熟練した検査員の手作業だが、自動化すれば検査件数の拡大につながる[210]
  • 5月17日、特定機能病院の3分の1が、院内感染防止に手術前にPCR検査を実施していることがわかった。厚生労働省は、無症状でも医師の判断で公的医療保険を適用できると文書を出した。感染症状がなければ病院が費用を負担する[211]
  • 5月19日、厚生労働省は、妊婦の検査費用を公費で補助する方針。妊婦の不安解消に希望者を補助対象とする。一般診療は手術前にPCR検査に公的医療保険が適用されるが、出産は自由診療で対象外だった。医療現場から出産前のPCR検査の補助を求めていた、また、福井県や京都府は独自に補助を行っている[212]
  • 5月24日、院内感染防止策と、無症状患者の手術前や入院前のPCR検査が広がっている。感染拡大は収束しつつ警戒は緩められない、「第2波が来てからでは遅い、院内感染が生じれば手術は止まる」。厚生労働省も公的医療保険適用を認めた。3月に院内感染が起きた慶應大学病院は、4月から入院前の患者に実施している。日大板橋病院は、感染リスクが高い手術に事前に検査していたが、6月から手術予定患者の検査を行う、「水際対策」を強化する。高山教授は、「発熱症状がない人からもうつる、感染を知らず別の病気で受診した患者から院内感染が広がる」。緊急の場合、PCR検査より結果が早いLAMP法を採用している、抗原検査の導入も検討している[213]
  • 5月29日、厚生労働省は、基準をクリアーすればPCR検査を実施しなくても退院が出来るように退院の条件を見直す。新たな条件下では発症後14日経過した上で、症状が快方に向けて72時間が経過した場合は、PCR検査の実施なしで退院が可能とする。これは専門家会議の承認を得て決定する。現在の基準では、症状が治まって24時間が経過した後に、PCR検査を2回実施して陰性の結果で退院とした[214]
  • 6月1日、小田原市立病院は、新型コロナウイルス感染症とは別の病気の患者の入院前にPCR検査を実施したところ、陰性の結果だった。また、念のために個室に入院しCT検査を実施したが肺炎症状はなかった。この患者は個室から大部屋に移り治療後に退院した。しかし数日後、発熱が数日続き同じ病院に再入院、PCR検査を実施したところ陽性の判定が出た。この結果から病院は、この患者の再入院前にいた大部屋の患者や医療関係者を検査したところ7人がウイルスに感染していることが分かった[215]

PCRセンター[編集]

仮設設置のPCR検査センター(都内)
  • 4月17日、東京都医師会は、新型コロナウイルス感染のためのPCR検査を、保健所を介さず実施出来る「PCRセンター(仮称)」を都内10カ所程度に設置すると発表した。都内に47カ所ある医師会が区市町村と連携して新設し、その後も広く設置していく[216]
  • 4月18日、横須賀市は、新型コロナウイルスのPCR検査を集約して実施する専門施設「PCRセンター」を、新港町の市救急医療センターの駐車場に新設すると発表。現在、市内3病院で実施している外来の検査を1か所に集約し、院内感染のリスクを下げる[217]
  • 4月21日、東京都医師会の尾崎会長は記者会見で、「感染している人を拾い上げて整理しないと感染予防もできない」と、検査拡充を訴えた。開業医自らが協力し、「PCR検査センター」を設置する計画を発表した[218]
  • 4月24日、横須賀市は、市救急医療センター駐車場にウォークスルー式の「PCRセンター」を開設、新型コロナウイルスの検体を採取する。約10分で終わり、1日60人程度を目指す[219]

ドライブスルーPCR検査[編集]

  • 4月17日、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染の有無を確認するPCR検査について、車に乗車した状態で診察や検査を受ける「ドライブスルー」方式を実施できる、とする事務連絡を都道府県などに出した[220]
  • 4月22日、大阪府の新型コロナウイルスの対策協議会は、感染の有無を調べるPCR検査について、ドライブスルーとウォークイン方式の検査場を開設すると明らかにした[221]
  • 4月23日、江戸川区と区医師会は、PCR検査の需要が増していることから、車に乗ったままの「ドライブスルー方式」の検査を始めた。区内のかかりつけ医に相談し、必要と判断される必要があり、医師46人が交代で検査を実施する[222]
  • 4月28日、東京都町田市は、市医師会と協力し、「ドライブスルー方式」のPCR検査を行う「地域外来・検査センター」を開設した。感染拡大で休館しているサン町田旭体育館の地下駐車場に設置し、市医師会が派遣する医師が、車の窓越しに患者の鼻から検体を採取する。検体は民間の検査機関に送られ、結果は翌日に判明するという[223]
  • 5月1日、横浜市は、PCR検査で実際は「陰性」だった男女5人に「陽性」と伝えていたと発表した。誤りがあったのはドライブスルー方式の簡易検査で、市の委託を受けた民間の検査機関が5人を陽性と判定したが、その後の再検査で陰性と判明し5人に誤りを報告した[224]

唾液でのPCR検査[編集]

  • 5月2日、唾液を使ったPCR検査する研究が国内外で相次いでいる。厚生労働省も、リスクの低い検査法としている。北海道大学の豊嶋教授は、無症状の感染者に備え手術前の患者を対象に、鼻と唾液の両方で検査する研究を開始した。豊嶋教授は「今後、唾液による検査が主流になる可能性はある」と。厚生労働省は、「検査の選択肢として検討している」と話している。大阪大学微生物病研究所松浦教授は、「長期間ウイルスが含まれることが示されれば有望な方法だ」と話す[225]
  • 5月16日、タカラバイオは、唾液から感染の有無を調べるPCR用検査試薬を、厚生労働省の認可を経て5月末に発売する。唾液による採取は自分でもでき、自宅で採取して検査機関に郵送することも可能で、検査機会の拡充につながる[226]
  • 5月28日、長崎大学の河野学長らのチームは、ウイルス感染患者の唾液から検出されたウイルス量が、鼻の奥よりも多かったことを確かめた。長崎県に停泊中のコスタ・アトランチカ号で感染の乗員144人のうち63人を調べ、感染確認の約3週間後に唾液と鼻の奥から検体を採取し、PCR検査でウイルス量を測定した。唾液の方が多かったのは26人、鼻の奥の方が多かったのは3人だった。再び陽性が出る割合は唾液で28人(44.4%)、鼻の奥で6人(9.5%)、いずれも陰性だったのは34人(54.0%)だった[227]
  • 6月2日、厚生労働省は、国立感染症研究所の唾液でのPCR検査の検体採取マニュアルを改正する通知をした。唾液でのPCR検査が有効とするもので、ウイルス量の最多といわれる発熱から9日間の唾液を採取することを推奨する内容である。また、唾液の採取は患者自らが行うため、回収時の検体容器の取り扱いでは手袋とマスクのみで可とする、医療従事者の感染予防策マニュアルもあわせて改正した[228]

訪問診療PCR検査[編集]

  • 5月24日、新宿区医師会は、訪問診療医がPCR検査を実施するシステムを今月中に始める。国立国際医療研究センターの敷地内に「検査スポット」を設け、訪問診療医が防護具を受け取り、訪問先から検体を持ち帰り2日以内に結果が出る。検査所に行けない足の悪い高齢者も多く対応が難しい。感染状況を早期に把握し感染拡大を防ぐ狙い。訪問診療を担うクリニックの医師は、感染防護具を個々に用意できないため検体採取が難しかった。日本在宅救急医学会の横田代表理事は「感染拡大の第2波を防ぐためにも全国的体制整備が必要」と指摘する[229]
  • 5月25日、厚生労働省は、医療的ケア児が自宅でPCR検査を受けられるよう対応を自治体に伝えた。家族が感染しケア児が入院するとき自宅でPCR検査が受けられ、自力で呼吸や食事が難しい身体機能だったり、外出が難しい場合もある。ボランティア団体「ウイングス」のアンケートで、感染時の入院付き添いや治療の情報不足に不安の声が高まっていた[230]

地域病院PCR検査[編集]

  • 5月24日、地域基幹病院の横浜総合病院は、病院単独でPCR検査の実施態勢を整えた。緊急事態宣言解除を見据え、感染第2波に対応する。地域のクリニックの紹介の人や院内診療の結果で必要と判断された人が対象で、検査から2時間余りで結果がわかる。敷地内に設けられたテントで、防護服の医療従事者が対応にあたる。担当したスタッフの一人は「快晴時は熱と湿気で汗だくです、雨天時は防護服がぬれ外での診療行為は大変」。発熱や息苦しさを訴える人は別のテントや患者の車で、診察や血液検査を行い院内感染の抑止に努めている[231]

抗原検査[編集]

  • 4月27日、加藤厚生労働相は、ウイルス感染の有無を短時間で判定する「抗原検査」について、「富士レビオ」から承認申請があったことを明らかにした。5月中にも承認され医療現場で使える可能性がある。鼻の奥の粘液を採取して検査キットに入れ、15分程度で反応が表れる。インフルエンザの迅速検査と同様の仕組みである。現在のPCR検査は4-6時間かかるため、検査待ちが数日から1週間かかる。検査キットが実用化すれば患者を短時間で調べられる。現在、複数の会社が開発を進めており、PCR検査と抗原検査の使い分けなど検討する[232]
  • 5月8日、みらかホールディングス製のウイルス感染を簡易診断できる「抗原検査」検査キットが、国内で初めて実用化される。来週、厚生労働省が薬事承認する方針。承認が下りれば遅れている検査体制を整えられる[233]
  • 5月12日、加藤厚生労働相は、「富士レビオ」が4月に承認申請した「抗原検査」キットを、13日付で承認することを明らかにした。抗原検査は、陽性なら15分程度、陰性なら30分程度で判定が可能で、検査体制が大幅に拡充する。同社は、1週間に20万件の検査に供給する[234]
  • 5月21日、福田栃木県知事は、「全国知事会で抗原検査について、検査対象者を国が示すべきだ」と発言した。厚生労働省は、抗原検査は症状のない人に勧めないとするガイドラインを公表。検査キットを全国の特定機能病院や救命救急センターに優先して供給する方針だが、検査対象者を明確に明示していないため、保健所は混乱が生じている[235]
  • 6月5日、日立製作所東芝は、検査試薬メーカー「富士レビオ」に協力し「抗原検査」キットの製造支援に着手する。厚生労働省は、5月に国内初めて富士レビオの検査キッドを承認し、公的医療保険の対象になった。日立と東芝は、コロナ感染拡大の「第2波」の再流行に備えるもので、国内の検査能力の増強に協力することを目指す。抗原検査は、救急患者を医療施設に入れる直前や、帰国者の感染の防止など、判定に時間を要するPCR検査を補完する役割を担う[236]

抗体検査[編集]

  • 5月23日、東京都は、過去のウイルス感染歴を調べる「抗体検査」を月3千件ペースで実施、地域ごとの抗体保有率を分析し診断率向上や疫学調査に役立てる。都の外郭団体の東京都医学総合研究所に測定器を設置し、都立、公社病院と連携して実施し、東京大学先端科学技術研究センターが分析にあたる。地域ごとに継続的に抗体検査を実施し抗体保有率を調査、感染拡大防止対策に役立てる[237]
  • 5月22日、厚生労働省は、6月初旬から感染状況の把握を目的とする抗体検査を、東京や大阪、宮城で1万人規模で調査を始める。無症状も含め感染した人の割合を確かめ、今後の対策に役立てる。20歳以上の男女約3000人から血液提供を受け、一定レベル以上の抗体を持っているかを調べる。抗体検査では、陰性なのに陽性と判定される精度に課題もあるが、最新の装置で調査の精度を上げる。加藤厚労相は、「免疫の獲得状況の確認が目的で、感染拡大防止策に活用していきたい」と述べた[238]
  • 6月1日、東京大学先端科学技術研究センターと福島県のひらた中央病院は、感染歴を調べる抗体検査で、簡易検査キットによる陽性の約90%の人が、精密検査の検査で陰性の結果であったと発表した。ひらた中央病院の医療・介護従事者の680人に簡易キット(イムノクロマト法)で検査、結果は58人が陽性だった。その後の精密検査で約90%の52人が陰性の判定結果だった。東京大学先端科学技術研究センターの児玉名誉教授は、「感染者の把握には役立つ、精密検査やPCR検査などの実施しての判断が必要」と述べた[239]
  • 6月1日、厚生労働省は、東京都、宮城県、大阪府の約1万人の抗体検査を開始した。調査実施では各自治体の協力により、男女20歳以上の約3000人の血液から感染者を調べる。東京では、板橋区、豊島区、練馬区の3000人の検査を予定している。検査協力者に依頼文書を郵送し、指定の検査会場で採決を実施し、集計した検査結果から感染者の割合を調べる。本年6月下旬までに結果を本人に通知する[240]

専用検査場[編集]

  • 4月21日、大阪府は、新型コロナウイルス感染の有無を調べる専用の検査場設置を検討している。吉村知事は、「検査のためだけの場所を用意するべきだ」と述べた。府の対策協議会で議論する[241]

検査体制への批判[編集]

厚生労働省2月18日、1日に最大3,800人の検査ができる体制を整備したと発表した[242]。 しかし、2月18日から2月24日の間に実施されたPCR検査件数は約6,300件で、1日平均約900件だったことが各界から批判された[243]

1月17日から2月26日までの検査数は地域によって大きな開きがあり、神奈川県811件、東京都704件、和歌山県609件、千葉県300件、愛知県182件、一方、徳島県14件、群馬県13件、青森県12件、高知県7件、岩手県4件であった[244][245]東北医科薬科大学賀来満夫教授は「検査の件数は感染者数や保健所のマンパワーなどによってどうしても地域で偏りが出てくる。和歌山の検査を大阪が協力したように、検査が比較的少ない地域が代わりに行うなど日本全体で協力しあっていく必要がある。そのためには国が率先して協力体制を整えてほしい」と話した[244]

5月2日には、神戸市立医療センター中央市民病院で4月7日までの8日間に同病院を受診した外来患者1000人の血液を検査したところ、33人(3.3%)から新型コロナウイルス感染後にできる抗体が検出されたと発表された。男性489人、女性511人の無作為抽出で、内訳は30代から80代の男性16人、女性17人であった。同病院の研究チームはこの結果から、緊急事態宣言が出る4月7日以前に、神戸市内ですでに2.7%に当たる約4万人に感染歴があったと推定し、PCR検査によって発表された感染者数の数百倍が感染していた可能性があるとしている[246]

久住英二鉄医会理事長は、一度に多くの検体を処理でき遺伝子の抽出など一連の工程を自動で行える検査機器を日本は十分に備えていなかった。今は世界で争奪戦になっており買えなくなってきている。見逃された軽症者が普段通りに生活し感染を広げているのではないか[247]と批判している。

医師会[編集]

2月27日に東京都医師会は、PCR検査が必要だと医師が判断したのに保健所から拒否されたケースが相次いでいることを明らかにし東京都などに改善を訴えた。理由としては「現状では重症の肺炎患者を優先している」などという声が多かった[248]

日本医師会に3月3日までに寄せられた報告によると、地域の医師が検査必要と判断したものの保健所に断られ、検査可能な「帰国者・接触者外来」を紹介してもらえないケースが北海道と6つの県で合わせて30件あった。保健所からは「まだ重症ではない」「地域の検査能力が足りない」などと言われたとしている[249]。また日本医師会は3月18日、医師が必要だと判断したのにPCR検査を実施されない不適切な事例が26都道府県で290件あったと発表した[250]

医師の批判[編集]

日本の検査体制についてマスコミや医療界などからも批判がある。

上昌広

上昌広医療ガバナンス研究所理事長も1日最大3,800人という点について「1日20万件以上も検査できる能力を持つ民間企業もあるのにも関わらず、厚労省は検査数を絞っているように見える」と述べ、背景には自らの管理下で検査を行うことで影響力を維持したい厚労省の政治的思惑や予算の問題がからんでいると主張した[251]。また上はウイルスを検出するためのPCR検査についての厚労省による基準は「医学的根拠のない」ものとして批判し、症状が軽く風邪と誤認したまま感染源となっているケースがあると主張した[251][252][253]。さらに上は、スイスの製薬会社ロシュの簡単な遺伝子検査キットを日本政府が「頑なに」導入しないのは、厚労省が検査方法を独自開発するために予算をつけたからだと述べた[254][255]。しかし、厚生労働省健康局結核感染症課によれば、2月13日にはロシェ検査キットは使えるようになっており、国立感染症研究所のマニュアルでも従来のキアゲン (QIAGEN) 検査キットと感度は同等とされており、「日本政府が頑なに導入しない」という事実はないと反論した[256][255]

上は2月25日に放送されたTBSテレビNEWS23において、日本の民間の検査会社の約100社は合計900ほどのラボを持っており、1日9万件検査が可能だとし、日本のPCR検査が韓国に比べて少ないことについて「厚生労働省がよほど(検査を)やりたくないのだなあと。そういうニュアンスを感じます」、国立感染症研究所は「『自分たちでやりたい』『自前でやりたい』という意識が強いと思うんです。自分たちで検査を開発する・・・その予算もついてました」「感染者を多く見せたくないんじゃないかというウラがあるような気がします」と述べた[253]

研究者の批判[編集]

岡田晴恵

2月28日テレビ朝日番組『モーニングショー』で白鷗大学岡田晴恵特任教授が地方衛生研究所のデータは国立感染症研究所が掌握しており、ある感染研OBがデータを「自分で持っていたい」と言っていると告発した[257]

山中伸弥

3月31日山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長は5つの提言の中で、検査数が少ないから気付かず「オーバーシュート」は起こらない。無症状者などは専用の施設に入ってもらった上で同時に検査数を増やすと提言した[258]

本庶佑

4月6日本庶佑京都大学名誉教授は提言の中で韓国やドイツに比べ5日までに検査を受けた人が約4万5千人で著しく少なすぎるとして、1日1万人以上に増やすことが重要だとしている[259]

中村祐輔

中村祐輔シカゴ大学名誉教授は、感染症対策は事実に基づくべきなのに日本は検査数という分母が実態に即していない。科学的な統計として成り立っていない[260]

島田眞路

島田眞路山梨大学学長は日曜日の検査数が少ないことは検査体制の不備を示しており、国立大学医学部の活用など至急改善の必要があるとしている[261]

野党による批判[編集]

立憲民主党枝野幸男代表は「検査してもらいたいのに放っておかれているとの声があがってくる。わが国が持っている資源をフル稼働できていない」と批判した[243]

2月27日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の川内博史議員は、国立感染症研究所から北海道庁に派遣された3人の専門家が「検査をさせないようにしている疑念がある」と指摘し、また日刊ゲンダイのインタビューに「政府は検査を拡大することで、多くの陽性患者が発覚することを恐れているのではないか」と述べた。同日、日刊ゲンダイは、感染者数を増やさないようにするため厚労省が「検査妨害」をしたと報じた[262]

アメリカ大使館・在日米軍[編集]

  • 4月3日、在日米大使館は、日本は検査を広範囲に行わず感染状況の把握が困難になっているとして帰国準備を呼びかけた[263]
  • 15日、在日米軍司令部は関東に限定していた公衆衛生上の非常事態宣言の対象を全国に広げた[264]

批判への反論[編集]

神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授は新興感染症に対して場当たり的に大量の検査を行うことは不合理であると批判した[265]。ただし、岩田は厚労省の症例定義にこだわりすぎ、一種のマニュアル主義に陥ってしまうことや、感染症の専門家ではない厚労省の医系技官が仕切ることを批判し、中国韓国にもあるCDCは早急に日本にも作る必要があり、日本では軽症者が多いこの感染症を「指定感染症」にしたせいで医療所を疲弊させており指定は解除すべきだと主張した[265]

臨床遺伝専門医の仲田弘美は2月23日に、現在の市中感染の段階では医療リソースは限りがあるため緊急度に従って優先順をつけることが肝要で、厚生労働省行政の批判だけをするのはアジテーションだと反論した[266]

血液内科医の中村ゆきつぐは2月27日に現在の市中感染の段階では、早期診断してもしなくても新型コロナウイルス患者の転機は変わらず、むしろ院内感染リスクが高まれば感染が拡大すると反論した[267]

医師の桑満おさむは2月28日、ワイドショーでの医師の発言には間違いが多く、PCR検査での早期発見が重症化を予防するとは限らず、医師会も直接医療機関を受診しないで、帰国者・接触者相談センターに電話相談を通達していると反論した[268]

米国CDC・厚労省検疫官でパブリックヘルス協議会理事の木村盛世は2月28日に「現段階で、望む人全てに検査をするのは、感染者に対する社会的偏見の助長と、限られた医療資源を圧迫するだけだ」[269]と反論したうえで、2月29日には「データを独り占めしたいと言うのは感染研に限ったことではない。厚労省大臣官房統計情報部は、御用学者等ごく限られた人達にしかデータ使用を認めない。素人同然職員が概要報告して、捨ててしまう。保健医療だけでなく雇用も含め膨大かつ貴重なデータが生かされない。」と厚労省の体制を批判[270]3月2日には、「PCR全数検査で早期発見し、アビガンで早期治療をするのが効果的」という発言は新型コロナウイルスに関する最大のデマであると述べた[271]

神奈川県医師会は4月14日、菊岡正和会長名義で「神奈川県民の皆様へ」と題したメッセージの中で、「新型コロナウイルスのPCR検査の感度は高くて70%程度で30%以上の人は感染しているのに『陰性』と判定され、『偽陰性』となる」「正確で次の検査の人に二次感染の危険性が及ばないようにするには、一人の患者の検査が終わったら、すべてのマスク・ゴーグル・保護服などを、検査した本人も慎重に外側を触れないように脱いで、破棄処分しなければならない。マスク・保護服など必須装備が絶対的に不足する中、どうすればよいのか。次の患者に感染させないようにするために、消毒や交換のため、30分以上1時間近く必要となる」と医療現場の立場からPCR検査の問題点を挙げ、「専門家でもないコメンテーターが、まるでエンターテインメントのように同じような主張を繰り返しているテレビ報道があります。視聴者の不安に寄り添うコメンテーターは、聞いていても視聴者の心情に心地よく響くものです。不安や苛立ちかが多い時こそ、慎重に考えてください」「メディアなどで主張する専門家やコメンテーターは、そのようなことを考えたことがあるでしょうか」と、PCR検査ありきのワイドショーを中心とした報道姿勢に対し批判している[272][273]

都立駒込病院第一種感染症指定医療機関)の今村顕史感染症科長は、現在の日本の状況では集団感染(クラスター)対策が最も重要であるとしたうえで、感染経路を把握するためにも濃厚接触者の検査は重要で、濃厚接触者ではない人を片っ端から検査することは望ましくないとする[274]。無症状や軽症も多いという新型コロナウイルスの特徴から、その中に陽性者がいる可能性は否定できないが、安易な検査拡大で、病床・人員・防護服などの用品の不足などから、本当は避けることができる医療崩壊が始まるとする[274]。軽症者でベッドが埋まり、防護具が減ると、コロナ患者だけでなく、それ以外の重症者も救えなくなるとする[274]。また保健所も人数が限られていることも指摘したうえで、メディアは患者への配慮が足りないと批判した[274]

心臓外科医の澁谷泰介はテレビ朝日系『グッド!モーニング』の取材に、「PCR検査を今後増やしていくこと自体は大事なことではあるのですけれども、今現在、現場で不必要な検査が増えることは現場としては全く望んでいません。 もちろん基礎疾患があるですとか、感染している家族と濃厚に接触していたとか、プラスアルファのものがある方には積極的に検査をする、またはそれができるように検査数を増やすことは大切なことですけども、今現在、急場で検査数だけ増やしてくれと言われても、ちょっと難しいなというのが正直なところです」という見解を示した。

マスコミによる恣意的な報道[編集]

とみに顕著な事例が『グッド!モーニング』による心臓外科医の澁谷泰介への取材についての恣意的な編集である。同番組はこの取材に対し恣意的な編集を行ない、同番組が当初から主唱している「全員へのPCR検査実施を望む」かのような正反対の意見として報道しており、上智大学教授・元日本テレビ『NNNドキュメント』ディレクターの水島宏明は「検証も反省もない『訂正放送』でお茶を濁すままなら、この局にテレビ報道(ジャーナリズム)を務める資格はないはずだ。それをそのままでよしとするままなら、放送というメディアにもジャーナリズムの資格がないことになってしまう」とマスコミ全般に対しても批判している[275]

国立感染症研究所・厚生労働省の反応[編集]

3月1日国立感染症研究所は、上記の「PCR検査の拡大を感染研OBが妨害している」「検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」「実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる」といった主張に対して、これらの主張は事実と異なり、職員や関係者を不当に扱うもので、新型コロナウイルス感染症対策へ悪影響を及ぼしていると反論した[276]

3月7日厚生労働省は現在の日本の検査体制について、かかりつけ医が必要と考える場合には、すべての患者がPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保しているとし、国立感染症研究所・検疫所、地方衛生研究所、民間検査会社や大学などの協力のもと1日6,000件程度の検査能力を確保しており、3月末には8,000件を超えると発表した[277]

また、PCR検査の医療保険適用によって、帰国者・接触者相談センター(24時間対応)から紹介された帰国者、接触者外来で検査が必要とされたときは、保健所を経由することなく、民間の検査機関に直接、検査依頼を行うことが可能となった[277]。かかりつけの医者が検査が必要と判断した場合には、帰国者・接触者外来を紹介受診し、検査を行う[277]。地域の検査能力に限界があるために断られるということがないようにするとし、同時に、検査時間を大幅に短縮できる新しい簡易検査機器の開発を進めていくと述べた[277]

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議[編集]

5月4日、件数が少ない事について、韓国シンガポールSARSなどの経験を踏まえ検査拡充を進めていた。大量のPCR検査を行う想定をしていなかった日本ではコロナでも重症化の恐れがある人や濃厚接触者を優先するしかなく、急増した3月下旬以降も十分に対応できなかった。保健所や衛生研究所に業務が集中し過ぎた事や検体を採取する人やマスクや防護服の圧倒的な不足、民間の検査会社に検体を運ぶ業者の確保が難しかった事を挙げた。政府に対しては、検査を補う迅速診断キットの開発など質の高い検査体制の構築を求めた[278]

疑似症報告制度[編集]

厚生労働省は疑似症報告制度を採用しており、ここでいう疑似症とは感染症予防法で「感染症を疑わせるような症状のうち、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断したもの」と定義されるものである[279]。この疑似症報告制度によるPCR検査実施人数には、退院時の確認検査や、疑似症報告に該当しない検査、クルーズ船やチャーター便に関連する検査などは含まれておらず、実際の実施総数より少ない[280]

例えば、この疑似症報告制度の枠組みの中で報告が上がった2月18日から3月11日までの新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施件数の総数は25,456件であったが、退院時の確認検査などは含まない場合の3月11日までのPCR検査の実施件数の累計は10,024件となる(下の表参照)[281]

検査制限[編集]

厚生労働省は、2月に新型コロナウイルス感染に関する相談・受診の目安について「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上(高齢者や持病を伴うなど重症化の恐れがある場合は2日以上)続く」「強いだるさや息苦しさがある」のいずれかに該当する場合、保健所に設置された帰国者・接触者相談センターに相談するという指針を出していた。この指針に基づき「37.5度」という数字の印象が強く先行し、感染を疑われる人が相談・受診を過度に控えているとの指摘があった。また、目安に該当しないとして診察やPCR検査が受けられないケースも多発していた[282]

  • お笑いトリオ・森三中黒沢かずこは、プロ野球・阪神タイガース投手の藤浪晋太郎が新型コロナに感染したニュースを見て、発熱や藤浪と同じ味覚異常の症状を訴えていたが、複数の医療機関や保健所からPCR検査を拒否されたため2週間近く自宅療養を強いられ、「(別の医療機関に)粘って粘って、頼みこんで」ようやく検査に至ったことを、黒沢本人や同じ森三中のメンバー大島美幸の夫である放送作家の鈴木おさむが明らかにしている[283][284]
  • さいたま市の保健所長は4月10日の報道陣の取材で、PCR検査が2カ月で171件にとどまったことについて、県内の病床や隔離施設が不足していることから「病院があふれるのが嫌で厳しめにやっていた」と明らかにしている。病床や隔離施設の不足の原因として埼玉県によれば、軽症者や無症状者が滞在する宿泊施設の確保が難航していることや、病状が回復した入院患者がPCR検査で2回の陰性反応という条件を満たせず退院できないなどの事情で、病床が空きづらいなどの事情を挙げている[285]
  • 神奈川県横浜市のマニュアルでは帰国者・接触者相談センターで検査が必要とされても重症化リスクがないと検査を制限している。厚生労働省の指示がもとにあるとみられる[286]
  • 西村康稔経済再生担当大臣(新型コロナ対策担当大臣)は、視察に同行した内閣官房新型ウイルス感染症対策推進室の職員の感染が判明したため自宅待機を行ったが、わずか2日間の待機で公務に復帰し、その間にPCR検査を受けたことを自身のTwitter投稿で公表した。この投稿に対し短期間でPCR検査を受けられたことから「どうしてあなたが検査を受けられるのか」「政府要人だから検査を受けられるのか」などと批判が続出した[287][288]
  • 大相撲・高田川部屋で4月上旬に発熱の症状がみられる力士が出たため、当初、保健所や近隣の病院に問い合わせるなどしたが受け付けてもらえなかったという。その結果、高田川親方や所属力士に感染が広がり、このうち三段目力士の勝武士幹士糖尿病の既往歴があり発熱と血痰の症状が見られたため、発症から4日後に入院。その後、症状が重篤化し集中治療を受けたが、5月13日に新型コロナウイルス肺炎による多臓器不全のため、28歳の若さで死去した。日本のプロスポーツ選手で初めて、また厚生労働省に報告された日本では初めての20代の死亡事例となった[289][290][291]

安倍晋三首相は2月29日の会見で、医師がPCR検査が必要だと考えた時には「すべての患者が検査を受けられる十分な検査能力を確保する」と発言していた[292]

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議委員の釜萢敏日本医師会常任理事は、4月22日の会見で「発熱後4日間の自宅待機ルール」に関して「普段あまり受診されていない方でも体調が悪い状態が4日も続くようなら受診してくださいという趣旨だった」と発言し、責任回避ともとれる言動に対して批判が続出した[293][294][295]

その後、5月8日に厚生労働省は「37.5度以上の発熱が4日以上続く」との表記を削除した新指針を公表した。受診基準の見直しを受けて、加藤勝信厚生労働大臣は同日の会見で「目安ということが、相談とか、あるいは受診の一つの基準のように(とらえられた)。我々から見れば誤解でありますけれど…」「これについては幾度となく、通知を出させていただいたり、『そうではないんだ』ということを申し上げて、相談や受診に弾力的に対応していただいた」などと発言。加藤の発言に対して、あたかも検査制限について国民や現場(保健所)に責任を転嫁するようなものと捉えられ、SNSや著名人などから加藤や厚労省に対する批判が続出している[296][297][298]

届け出[編集]

医師が患者を確認した際に保健所に提出する届け出は、規定の用紙に手書きしファクシミリで送信することになっていたが、現場での負担が大きいという声があり、5月6日からオンラインでの申請が可能となった[299][300]

医療[編集]

保健所[編集]

  • 4月27日、厚生労働省や全国保健所長会によると、全国の保健所は468か所だが統廃合で過去20年間で2割減少した。本年3月のアンケートでは、「人員・予算もなく、保健師の多くが疲弊」「ほぼ全員が24時間対応せざるを得ない」「精神的にダウンする職員が増えそうだ」と切実な声が出ている。政府の専門家会議の提言は、保健所の負担軽減と体制強化を求め、退職保健師の復職や業務の民間委託を促している[301]
  • 5月8日、厚生労働省は、保健所などに相談する感染が疑われる場合の新たな「相談、受診の目安」を公表した。これまでは「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」のいずれかに該当する場合となっていたが、新たな目安では「息苦しさや強いだるさ、高熱などの強い症状がある」「高齢者ら重症化しやすい人で、発熱やせきなどの比較的軽い風邪の症状がある」場合は保健所窓口などの「帰国者・接触者相談センター」に相談する。また「味やにおいを感じにくくなる症状」の場合も相談できる[302]
  • 5月10日、大阪府は、ICT(情報通信技術)を用い、軽症や無症状感染者の健康状態を把握するシステムを導入した。感染者が体温やせき息苦しさなど13項目の情報をスマートフォンなどに入力すると、保健師や府の担当部署とオンラインで共有される。国もこのシステムを全国に導入する方針である[303]
  • 5月16日、全国保健所長会の白井副会長は、15日「深層NEW」に出演し、保健所機能の課題を語り、「政令指定都市で保健所が1か所の市もある、行政改革で保健所職員が削減されてきた」と現状を指摘した[304]

医薬品[編集]

ワクチン[編集]

  • 4月20日、タカラバイオは、バイオ企業のアンジェス大阪大学などと共同で、新型コロナウイルスのワクチンの量産体制を構築する。7月に臨床試験を始め、9月に厚生労働省から製造販売の承認を得た場合、年内に20万人分のワクチンを供給可能[305]
  • 4月23日、NECは、新型コロナウイルス感染症を予防するワクチンの設計図を作成したと発表した。製薬会社に共同開発を呼びかける[306]
  • 4月25日、日本医師会の横倉会長は、来夏に延期となった東京五輪・パラリンピックについて「ワクチンが開発されなければ開催は難しい」との認識を示した。この時点ではまだ有効な治療薬がなく、容体が急変して重症化したり、無症状でも感染を広げたりする問題がある。横倉は「すでにある抗ウイルス薬やアビガンなど試しているが、ワクチンが開発されないと五輪は開けないだろう」と述べた[307]
  • 4月26日、世界保健機関によると、世界において70以上のワクチン開発計画が進行中。日本では大阪大学の三つの計画が最多である。ウイルスのDNAを接種する「DNAワクチン」、ウイルスの粒子「VLP」を使う手法、ウイルスを使う「不活化ワクチン」。治験から承認までの時間は10年かかる、有効性と安全性が担保できた時点で「特例措置」を期待している[308]
  • 4月29日、ビル・ゲイツは、「ワクチン開発が私たちの生活を正常に戻す唯一の手段だ」と述べ、ワクチンの開発が急務だと強調。新型コロナウイルスの克服に日本の協力に期待を表明した。ゲイツは自ら創設した慈善基金団体を通じ、感染症を予防するためのワクチン開発と普及に力を入れてきた。新型コロナにも、ワクチン開発などに最大2億5000万ドル(約268億円)を提供すると表明している[309]
  • 5月24日、加藤厚生労働相は、ワクチン開発に対して国内企業への支援を強化することを示した。「世界で競争状況で開発が進んでいる、開発をしっかり支援する」と強調、「開発が終わってから生産ラインを作っては遅くなる」と指摘し、研究開発と企業の生産体制整備を並行して支援する考えを示した。関連費用は、2020年度第2次補正予算案に盛り込む。米国や中国は臨床試験を始めている、国内では7月に治験が始まる見通し[310]
  • 5月25日、アンジェスは、大阪大学と共同開発しているワクチンについて、承認を得るための治験を7月に国内初の治験を始める。2021年3月の実用化を目指す。同社は25日、ワクチンを投与したマウスやラットの体内でウイルスに対する抗体を確認したと発表。治験は、同社が協定する大阪市立大学病院で、数十人の医療従事者を対象に実施。年内に数百人の治験に移行し効果を見極める。ワクチンは「DNAワクチン」と呼ばれる種類で、製造期間を短くできる利点があり、6-8週間で製造が可能だとしている[311]
  • 6月4日、塩野義製薬は、国立感染症研究所と連携してコロナ予防ワクチンを、2021年1月に医療従事者に供給開始する方針。昆虫細胞から抗原たんぱく質を作りワクチンを開発する。試験用ワクチンの製造を7月に着手、今年中に臨床試験を始め、21年秋頃に一般に供給を始める予定である[312]
  • 6月4日、厚生労働省は、新型コロナワクチンの開発について、国民への接種目標を2021年前半から実施可能と発表した。来年開催の東京五輪・パラリンピック大会に向け体制を整える。海外各国の状況は、すでに10種類程のワクチンの臨床試験が開始されており、国内においても7月以降より臨床試験を開始する予定である[313]

免疫製剤[編集]

  • 5月31日、武田薬品工業は、海外の米国やドイツなどの製薬企業と提携して、血漿中の抗体を使って「免疫製剤」の開発に着手した。新型コロナウイルス患者が回復し後、その患者の血液から「血漿」を取り出す。血漿の中にはウイルスを攻撃する「抗体」ができていて、外から新たなウイルスが攻撃してきても防いでくれる、「免疫力」を使うのである。本年、夏ごろから、「高度免疫グロブリン製剤」による臨床試験が始まろうとしている[314]

新型コロナウイルス治療薬[編集]

  • 4月15日、富士フイルムは、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の増産を開始したと発表。現在の月4万人分から約10万人分に増やし、秋頃に月約30万人分に増やす。政府は備蓄を200万人分まで拡大する方針である[315]
  • 4月17日、デンカは、政府の要請を受け、新型コロナウイルス感染拡大にむけ、治療効果が期待される治療薬・「アビガン」の原料である有機化合物「マロン酸ジエチル」の生産を開始する[316]
  • 4月28日、政府は、米国のギリアド・サイエンシズ社がエボラ出血熱治療用に開発の未承認の抗ウイルス薬レムデシビル」を新型コロナウイルスの重症者向け治療薬として、医薬品医療機器法の「特例承認」制度を適用し5月上旬に承認する。レムデシビルは、米国立衛生研究所や日本の国立国際医療研究センターが、新型コロナウイルスの治験を行ってきた。ドイツや米国で承認の見通しで、厚生労働省の審議会での意見聴取を踏まえ承認される見通しである。一方で、政府は、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」を軽症者向け治療薬として治験と観察研究を行っている。首相は、衆院本会議で、「すでに2000例以上投与され症状改善の効果があったと報告もある。早期の薬事承認を目指す」と述べた[317]
  • 4月29日、茂木外相は、「アビガン」について、70か国以上の提供要請を受け、フィリピンマレーシアオランダなど38か国に無償供与を明らかにした。政府の緊急無償資金協力の総額100万ドル(約1億1000万円)で実施する。国連機関が輸送を担い、手続き完了順に発送する。対象国にはデータの提供を求め、日本の知見に活用する。厚生労働省は、アビガンの承認に向けた手引をまとめ医療機関に通知、臨床データを集め分析を加速させる。すでに約1100の医療機関が参加し2000人以上に投与されている。アビガン使用には、医療機関の倫理審査委員会の事前承認、患者の同意、厚労省研究班へのデータ提供、が条件となる[318]
  • 5月3日、政府は、米製薬会社が開発した「レムデシビル」について、医薬品医療機器法の「特例承認」制度に基づき7日に承認する。米食品医薬品局は1日、重症患者への緊急使用を認めると発表した。政府は、レムデシビルを特例承認の対象とするよう政令改正を決定した。国内で承認申請されれば、厚生労働省の審議会から意見を聴取し特例承認する。レムデシビルは人工呼吸器が必要な重症の入院患者に静脈注射で投与する。副作用は、肝臓の炎症や低血圧、吐き気、震えなどの可能性がある[319]
  • 5月4日、安倍首相は、「アビガン」について、新型コロナウイルス治療薬として5月中の薬事承認を目指すと表明。軽症者への投与を想定し、現在「3000例投与され、臨床試験が進んでいる。有効性が判明されれば、医師の処方で使えるよう薬事承認めざしたい」と述べた[320]
  • 5月7日、西村経済再生相は、熱帯病の特効薬である抗寄生虫薬イベルメクチン」の研究支援を表明した。イベルメクチンは、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村北里大特別栄誉教授が開発に貢献した。海外で新型コロナウイルス患者に投与し、死亡率が下がった報告があり、北里大学が治験を始める[321]
  • 5月7日、政府は、フィリピンマレーシアベルギーなど44か国への「アビガン」の無償供与を開始した。国連を通じて、100万ドル(約1億1000万円)の緊急無償資金協力として提供、最終的に80か国以上となる。1か国20人分、最大100人分とし、症状改善データの提供を求め、新型コロナウイルスの治療法に役立てる[322]
  • 5月7日、厚生労働省は、抗ウイルス薬「レムデシビル」を新型コロナウイルス感染症の治療薬として、国内初めて特例承認したと発表した[323]
  • 5月8日、東京大学病院は、急性膵炎の治療薬「フサン」とインフルエンザ治療薬「アビガン」の併用療法による臨床研究を開始したと発表した。東大病院など6病院の入院患者に、フサンとアビガンを投与する患者と、アビガンを投与する患者を比較し検証する。フサンは細胞に侵入するのを防ぐ効果、アビガンはウイルスの増殖を防ぐ作用がある[324]
  • 5月20日、藤田医科大学は、アビガンの学外専門家による評価委員会の中間解析結果について、研究責任医師の土井教授は「安全性に問題はない、研究を続ける」と発表した。有効性について、「中間解析は有効性を評価するものではない」と、現段階では判断できないと説明した。中間解析の結果、有効性を示せなかったとの報道に反論、「中間解析は効果を判定するものではない」と話した[325]

治療[編集]

  • 4月21日、厚生労働省は、感染者本人や医療機関がパソコンやスマートフォンで体温やせきなどの症状を入力するシステムを導入する方針。新システムは「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム(仮称)」で、保健所業務が効率的に情報を収集・管理して負担軽減を図る[326]
  • 4月21日、愛知県大口町のさくら総合病院は、再診は電話で支払いはドライブスルー。新型コロナウイルスの感染を防ぎ、患者が外出しなくても済むサービスを始めた。高齢患者の家族が電話で医師とやりとりし、専用窓口で処方箋を受け取る[327]
  • 4月24日、大阪府とソフトウェア開発会社「サイボウズ」は、ホテルで療養する軽症患者の情報をオンラインで医療機関や自治体が共有するシステムを開発した。保健所の負担軽減と業務の効率化が期待できる、患者がスマートフォンなどで保健所の質問項目に回答し、患者の情報を共有して、重症化の前兆を捉え患者を病院に搬送することが出来る[328]
軽症者を収容する東京虎ノ門東急REIホテル
  • 4月25日、東京都の小池知事は記者会見で、軽症者の療養用ホテルを公募すると、228施設(計約2万2200室)の応募があったと明らかにした。4月中に借り上げの手続きを進める。従来は自宅療養とホテル療養の併用だったが、家庭内感染のリスクからホテルに一本化する[329]
  • 4月30日、政府は、酸素を必要とする中等症患者用の臨時医療施設を支援する方針を示した。現在、軽症者の療養場所は宿泊施設を基本とし、人工呼吸器が必要な重症患者や中等症患者は病院で治療を受けている。今後、感染者が爆発的に増えた場合、病院では重症者や重症化しやすい高齢者になる可能性がある。今回の支援策は、中等症患者の受け皿として都道府県が広場内にテントやプレハブ、体育館、公民館の活用を想定している。緊急経済対策の一環で新たな交付金制度などを活用、都道府県や医療機関を後押しする[330]
  • 5月3日、大阪府は、民間の「阪和第二病院」を新型コロナウイルス患者を治療する専門病院にすると発表した。5月中旬の大阪市立十三市民病院に続く2か所目の専門病院となる。十三市民病院は酸素吸入が必要な中等症患者を対象とし、阪和第二病院は重症化リスクが高い軽症高齢者を受け入れる[331]
  • 5月11日、福岡県医師会は、県内全域の軽症以上の感染者にインフルエンザ治療薬「アビガン」を投与する方針。現在は藤田医科大などの臨床研究に参加し、病院がそれぞれ申請や倫理委員会の審査してアビガンを投与して結果が出ているという。今後は県を通して臨床研究に参加し、倫理委のない医療機関やホテルでの投与をめざす[332]
  • 5月13日からは2019新型コロナウイルス感染拡大で、それまで再診時にしか認められていなかったオンライン診療が、密接防止のため初診時から認められた[333]
  • 5月30日、厚生労働省は、ウイルス感染患者の退院基準を見直す方針。発症後14日が経過し、症状が治まって72時間経過すれば、PCR検査の必要はないとの方針。今までは症状がおさまり、PCR検査を実施して2回陰性の結果が出れば退院できた[334]

ダイヤモンドプリンセス集団感染への対応[編集]

社会・経済への影響[編集]

緊急事態宣言発令中の休日の銀座四丁目交差点(4月19日撮影、写真内の和光は休業中)

新型コロナウイルスの感染拡大によって各業界へ影響が及び、また多数のイベントや行事などが中止・延期された。

その他[編集]

緊急事態宣言[編集]

日本医師会は2020年3月30日の記者会見で、専門家の間で「緊急事態宣言を出したほうが良い」という認識が強まっていることを明らかにした。東京都について、新たな感染者が1日100人を超えるかどうか、感染経路が不明な者の割合、患者数と病床数との兼ね合い、などが緊急事態宣言の判断基準になるという認識を示した[335]

日本医師会は4月1日、緊急事態宣言を出すべきだとの考えを改めて示した。横倉義武会長は「欧米諸国では感染の拡大が止まらず、日本も油断すると同じような状況になる」と述べた[336]。その後、4月7日に安倍首相は改正新型インフルエンザ等対策特措法に基づく緊急事態宣言を7都道府県に出している。

また、4月9日、愛知県の大村知事は、明日、緊急事態宣言を出すと公表し、4月10日に愛知県の緊急事態宣言を発表した。一方で、愛知県に隣接している岐阜県では4月10日に県独自の緊急事態宣言として非常事態宣言を発令した[337]。緊急事態宣言が発出された自治体は宣言に基づき、各自治体ごとに休業や自粛などの要請を行う緊急事態措置を発令する。

4月7日に緊急事態宣言を発出したあと、愛知県や京都府が対象に加えることを要請した[338]。これに対し菅官房長官は、4月9日と10日の会見で、「現時点で愛知県、その他の自治体について、対象地域に加えるべきだとの評価に至っていない」と答弁した[339][340]

学会の見解[編集]

新型コロナウイルスの治療に携わる医療従事者への感謝を表し青色にライトアップされたHAT神戸人と防災未来センター西館

日本救急医学会日本臨床救急医学会は4月9日に声明を発表し、「救急医療体制の崩壊をすでに実感している」と危機感を示した。発熱などの症状がある病人を救急搬送しても病院に受け入れられず、殆どの場合救急救命センターで受け入れざるをえなくなっている結果、重症の救急患者の受け入れができなくなっていると指摘した[341]

日本医師会の横倉義武会長は4月26日、福岡県の状況について「医療崩壊の一歩手前」と強い危機感を示した。PCR検査の体制拡充については「3月20日ごろから検査の拡充を訴えたが、政府はなかなか動かなかった」、政府の緊急事態宣言については「もう少し早く判断してもらいたかった」と指摘した[342]

日本感染症学会の学術講演会が8月19〜21日に開かれ、この中で学会の理事長である舘田一博は「今、日本は第2波のまっただ中にいる。この先、どう推移するのか注意が必要だ」とする見解を示した[343]

自宅療養[編集]

  • 4月3日時点では厚生労働省はPCR検査で2回連続陰性か14日間、増悪がない場合は宿泊・自宅療養を解除としていた[344]
  • 埼玉県では入院できずに4月14日に1人、21日に1人が亡くなった。23日時点で357人が自宅待機していた。このケースを受け、加藤勝信厚労相は基本として宿泊療養で対応する方針を示している[345]
  • 女優の岡江久美子は4月3日に発熱し、医師から4、5日間の自宅での療養指示を受けたが、同月6日に症状が悪化し緊急入院した。その後、PCR検査で新型コロナウイルスに感染していることが判明し、ICUで治療を行ったが、感染予防の観点から家族は見舞うことができず、闘病の末同月23日に死去した。
  • フリーアナウンサーの赤江珠緒は、テレビ朝日に勤務し『報道ステーション』の制作スタッフである夫とともに4月18日に新型コロナウイルスに感染していたことが判明。夫が既に同月15日の時点で入院しており、赤江は発熱の症状がありながらも解熱剤を飲みながら、2歳になる長女(当時、PCR検査の結果は陰性であったが、後の抗体検査で陽性と確認[346])の面倒を見るために自宅療養を選択した。感染発覚前の同月16日には「我が家は3人家族で、親が共倒れになった場合の子供の面倒は誰がみるのかという問題があります」と、両親が感染した場合に「子供の面倒を誰がみたらいいのか」という不安感を手記として公表している[347]。その後、夫が退院するとほぼ入れ替わる形で、赤江は発症11日後に入院し療養している[348]。入院の段階で赤江は肺炎を発症しており、4段階あるうちの重症度で「中等症」に分けられ、アビガンなどの投与と抗生剤の点滴を受けて症状が回復し退院。その後は自宅に戻り療養を続け、6月8日に仕事に復帰している[349][350]
  • 4月24日時点で「特定警戒都道府県」に指定された7府県で約1,100人が自宅で療養していた。感染者が多い東京都では「保健所の調査が追い付いていない」として公表していなかった[351]が、同月30日に初めて東京都が自宅療養者数を公表し、同月28日の時点で軽症者や無症状者のうち、自宅で療養している人が635人に上るとした。都は入院の必要がない感染者について借り上げたホテルでの療養を推進していたが、希望の強い感染者には自宅療養を認めており、ホテル療養者の198人を大きく上回っていた[352]

感染者・死者数の要因[編集]

日本経済新聞の矢野寿彦編集委員は5月26日の同紙記事で、日本の感染者数や死亡者数などの数値は台湾や韓国などと比べても遜色ないものであるが、日本の対策はデータを重んじる合理性や一貫性を欠いていたと指摘し、勝因を分析する必要があるとしている[353]。アジア諸国は欧米諸国に比べて,新型コロナウイルス感染者数も死亡者数も圧倒的に少ない事実がある[354]

麻生太郎財務相は6月14日の参議院財政金融委員会での答弁で、日本で死者数が少ない理由について「(海外から理由を問う)電話がかかってきた。国民の民度がちがうというとみんな黙る」と答弁し、国民の協力が原因であるという認識を示した[355]

京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥は、日本人の新型コロナウイルスによる死亡者が少ない背景には、何らかの隠れた理由「ファクターX」があると発言している[356]。なお、同様に要因が分からず日本人の保菌者が少なく罹患が抑えられてるものに髄膜炎菌性髄膜炎があり、原因となる髄膜炎菌は世界では健常者の鼻咽頭上5~20%の保菌状況に対し、日本では約0.4%程度とされる[357]。保菌率が下がった理由は不明であるものの、一般的な衛生状態がよくなったこと、また長年国内で抗菌薬が濫用されてきたことと関係していると言われる[358]。なお、アジアは抗生物質の処方率が非常に高く、抗生物質の乱用問題が深刻と報告されている[359]。なお髄膜炎菌が定着している率は、経済的困窮者や様々な地域から集まった人たちの間で高いと指摘されている[360]

感染が公表された著名人[編集]

スポーツ[編集]

このほか、以下の競技関係での感染者が公表されている。
バスケットボール
ラグビー
格闘技
野球
公営競技
サッカー

芸能[編集]

このほか、劇団四季所属の俳優1名[509]、女性アイドルグループ・「ナナランド」のメンバー数名[510][511]、「Neat.and.clean-ニトクリ-」のメンバー1名[512]、「アイドル諜報機関LEVEL7」のメンバー1名[513]、「143∽」のメンバー1名[514]宝塚歌劇団所属の複数人の女優[515]の感染が公表された。

音楽[編集]

このほか、演奏グループ・DRUM TAOのメンバー5名[534]、ヴィジュアル系ロックバンド「ジャックケイパー」のメンバー5名全員[535][536][537]の感染が公表された。

マスコミ[編集]

このほか、日本テレビ放送網所属の60代取締役1名[545]の感染が公表された。

政治[編集]

経済[編集]

学者・教育・医療[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 「コロナ死」定義 自治体に差読売新聞』2020年6月14日(社会面、2020年6月17日閲覧)によると、47都道府県のほか独自に感染者数を発表している66市を同紙が調査した。この合計113自治体のうち、それまでに死者が出た62自治体で、「死因に関係なく死亡した全ての感染者を集計する」が44、「医師が死因は別と判断した場合は除外する」が13、「定義を決めていない」が5であった。
  2. ^ 感染者数はNHKデータ、退院者等(施設・自宅療養解除者を含み、死亡退院者を除く)および死亡者の数は各都道府県の公表データによるため、厚生労働省の公表データと異なる可能性がある。また、退院後に再入院した者を感染者として改めて計上していない自治体があるため、感染者数の合計は実人数と一致しない。
  3. ^ 在日米軍基地内の感染者を除く[51]
  4. ^ ダイヤモンド・プリンセス号下船者1人を含む[54]
  5. ^ ダイヤモンド・プリンセス号船内で感染した後、東京都内の医療機関を退院した1人を含む[56]
  6. ^ ダイヤモンド・プリンセス号下船者1人を含む[59]
  7. ^ ダイヤモンド・プリンセス号下船者1人を含む[62]
  8. ^ ダイヤモンド・プリンセス号船内で感染した後、医療機関を退院した1人を含む[65]。また、県作成の資料にはこのほかにチャーター便帰国者3人も含まれる[66]。また、県が発表した死亡者のうち、1人は東京都が公表した死亡者と重複。
  9. ^ ダイヤモンド・プリンセス号下船者2人を含む[68]。また、県作成の資料にはこのほかに空港検疫に該当する6人、チャーター便帰国者3人や成田空港で発覚した1人など14人も含まれる[69]
  10. ^ 都作成の資料にはチャーター便帰国者、クルーズ船乗客等は含まれていない[70]
  11. ^ 横浜港大黒埠頭沖に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号の乗客乗員および在日米軍基地内の感染者を除く。また、県作成の資料にはこのほかに1人も含まれる[72]
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参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]