副反応

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副反応(ふくはんのう)とは、ワクチン接種に伴う、免疫の付与以外の反応のことである。

疾病の治療薬の場合、投与目的以外の作用は副作用と呼ばれている。しかし、ワクチンの場合は投与した外来物質の化学的作用を期待して投与するわけではなく、投与した外来物質に対する生体反応(免疫)を期待して投与する。これらワクチンの場合、投与に伴う免疫付与以外の反応も、外来物質の化学的作用ではなく免疫学的機序によって起こるものが多い。このため、ワクチン投与に伴うものは副反応と呼んで副作用と区別している。ただし、英語圏ではどちらもAdverse effectsあるいはside effect[1]と表記されている。

厚生労働省は、予防接種後に一定の基準(副反応報告基準)に合致する症状が出現した際に、因果関係にかかわらず報告するよう求めている[2] 。このため医療機関からの副反応報告書には、有害事象(Adverse event: ワクチンと無関係あるいは関係がわからない出来事)が多く含まれる。接種後に帰宅する途中、犬に噛まれれば、これも「有害事象」に該当する[3]。(報告基準は満たさない)厚生労働省の予防接種後副反応報告書集計報告では有害事象を含むだけでなく、副反応報告基準の範囲外であってもすべての報告を単純集計した数字が発表されるため、実際には予防接種と無関係の紛れ込み事象が含まれている[4]

副反応の発生機序[編集]

ウイルスまたは細菌の感染によるもの[編集]

ワクチンでは、弱毒化した細菌またはウイルスそのものを被接種者に投与する。この細菌またはウイルスが被接種者に感染することにより、液性免疫および細胞性免疫の双方を惹起することができるのが生ワクチンの特徴である。

生ワクチンの細菌またはウイルスに感染してもほとんど症状は出ない場合も多いが、ときに感染に伴って症状が出現する場合がある。これらの症状がワクチンの副反応として報告される。

  • 麻疹ワクチンをはじめ、生ワクチンウイルスによる発熱はしばしば(1~3割)みられる。
  • 麻疹ワクチンでは発疹がみられることもある。
  • BCG接種では、接種局所の腫脹・水疱形成・痂皮化が必発(これらが発生しない場合、結核菌に対する細胞性免疫も惹起されず、ツベルクリン検査が陽転しない可能性がある)であるほか、所属リンパ節の腫脹がときにみられる。免疫不全者などに接種すると、発疹や播種性感染症などの重篤な副反応を呈する危険がある。

感染によらない免疫学的機序によるもの[編集]

ワクチンとして接種されたウイルス・細菌の構成成分、あるいは含まれる不純物に対する免疫反応が副反応の原因となることもある。これらの症状は生ワクチンのみならず、不活化ワクチンやコンポーネントワクチンでもみられる。

  • 接種局所の腫脹・発赤は、特に三種混合ワクチンやインフルエンザワクチンでよく知られている、一種のアレルギー反応である。菌体成分・ウイルス成分のほか、免疫を有効に賦活させるために添加されているアルミン酸塩に対するアレルギーも原因となりうる。
  • インフルエンザワクチンは精製の過程で卵を使用しているため、重度の卵アレルギー患者にはアナフィラキシーショックを発症させる可能性があり、卵アレルギー患者は接種要注意者とされている。
  • ワクチンの構成成分に対する抗体が形成された際に、それらの抗体が患者の組織に対して交叉反応を示すことがある。ワクチン接種に伴うギランバレー症候群急性散在性脳脊髄炎はこの機序によって起こると考えられている。インフルエンザワクチンによるギランバレー症候群、日本脳炎ワクチンによる急性散在性脳脊髄炎がよく知られている。
  • 2006年に積極的勧奨の差し控えとされた旧型日本脳炎ワクチンによる急性散在性脳脊髄炎は、ワクチン製造の過程でネズミの脳組織を使用しているために、わずかに混入した脳組織に対する抗体が被接種者の中枢神経組織を攻撃して起こると考えられている。このため、vero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)を用いた新型ワクチンが開発され、2009年からこのワクチンが接種されている。

出典[編集]

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