SARSコロナウイルス2-オミクロン株

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新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) > SARS-CoV-2の変異株 > オミクロン株 (系統 B.1.1.529)
国別の確認済みオミクロン変異株の累積症例
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オミクロン株とその他の主要または過去にSARSコロナウイルス2懸念される変異株に指定された変異株。2021年12月1日のNextstrain英語版のデータを元に遺伝距離によって放射状に拡大した木として描いたものである。

SARSコロナウイルス2-オミクロン株(サーズコロナウイルスツー オミクロンかぶ、英語: SARS-CoV-2 Omicron variant、別名 : 系統B.1.1.529)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) の変異株である。既知の最初の症例は、2021年11月24日に南アフリカから世界保健機関(WHO)に初めて報告された[1]。2021年11月26日にWHOはオミクロン株を懸念される変異株に指定し、ギリシアアルファベットの15番目の文字オミクロンを元に命名した[2][3][4]

オミクロン変異株は多数の変異を持ち、いくつかの変異は新規のものであり[5]、いくつかの変異はオミクロン株の発見時にほとんどのワクチンが標的に使用していたスパイクタンパク質に影響を与えるものである。この変異のレベルにより、伝染性免疫回避ワクチン耐性に関する懸念につながっている。その結果、オミクロン変異株は短期間のうちに懸念される変異株に指定され、一部の国では感染拡大を遅らせるために南アフリカの国に対して渡航禁止令が導入された。

特徴[編集]

命名[編集]

11月26日、WHOのSARS-CoV-2の進化に関するTechnical Advisory Groupは、PANGO識別子英語版B.1.1.529を懸念される変異株と宣言し、ギリシア文字オミクロン(Omicron)として指定した[6][7][8]。前のミュー株の次のギリシア文字であるニュークサイ/クシーは飛ばされることになったが、理由はニューが英語の「New」と[4][9]、クサイ/クシーの英語表記のXiが一般的な中国の姓と混同しやすいためである[4][10][11]。特にクサイ/クシーを飛ばすことについては、中国共産党総書記国家主席習近平(Xi Jinping)の姓との重複を回避した可能性も指摘されたが[12][13]、WHOは「クサイ(xi)は、よくある姓なので使用しなかった」、「我々は特定の文化、社会、国家、地域、民族、職業群に対する攻撃を防ぐ疾病の命名法に従っている」と説明している[14][注釈 1]

一部の英語話者の間では、ギリシャ語のアルファベットに精通していないためか、変異株の名前が「オムニクロン(Omnicron)」と誤って発音されることがある[16][17][18][19]

GISAIDプロジェクトは識別子GR/484Aを割り当て[20]Nextstrain英語版プロジェクトはclade識別子21Kを割り当てた[21]

変異[編集]

オミクロン株には多数の変異が存在し、科学者はいくつかの変異を懸念している[22]。32の変異は、感染によって生成された抗体や広く投与されている多くのワクチンの主な抗原の標的となっている、スパイクタンパク質に影響がある。これらの変異の多くは、他の株では観察されていないものである[23][24]。変異株は、30のアミノ酸の変化で特徴付けられる。元のウイルスと比較して、スパイクタンパク質に3つの小さな欠失と1つの小さな挿入がある。そのうち15個は受容体結合ドメイン (RBD)[注釈 2]残基319-541)にある。また、他のゲノム領域でも多くの変更や削除が行われている。注目すべき点は、SARS-CoV-2の感染力を増加させる[26]フーリン切断部位に3つの変異を持っていることである[27]。ゲノム領域における変異は、次のとおりである[28]

遺伝子 アミノ酸 備考
ORF1ab英語版
  • nsp3: K38R, V1069I, Δ1265, L1266I, A1892T
  • nsp4: T492I
  • nsp5: P132H
  • nsp6: Δ105-107, A189V
  • nsp12: P323L
  • nsp14: I42V
コロナウイルススパイクタンパク質英語版 A67V, Δ69-70, T95I, G142D, Δ143-145, Δ211, L212I, ins214EPE, G339D, S371L, S373P, S375F, K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493R, G496S, Q498R, N501Y, Y505H, T547K, D614G, H655Y, N679K, P681H, N764K, D796Y, N856K, Q954H, N969K, L981F 30のうちの半分(15)の変更は受容体結合ドメインに位置する(残基319–541)[要出典]
コロナウイルスエンベロープタンパク質英語版 T9I
コロナウイルス膜タンパク質英語版 D3G, Q19E, A63T
コロナウイルスヌクレオカプシドタンパク質英語版 P13L, Δ31-33, R203K, G204R
出典: EDCD Threat Assessment Brief[29] CoVariants[30]
変異のあるスパイクタンパク質がハイライトされている。受容体結合ドメインを上から見下ろしている。
変異のあるスパイクタンパク質はハイライトされている。プロテインの側面から見ている。
オミクロン株のコロナウイルススパイクタンパク質英語版の位置を表した上面図(左)と側面図(右)。黄色はアミノ酸の置換、赤色は欠失、緑色は挿入を示している。この三量体構造では、2つのモノマー(灰色と水色)の受容体結合ドメインが「down」のコンフォメーションにあり、1つ(濃青色)の受容体結合ドメインが「up」または「open」コンフォメーションになっている。変異のデータはWHOから[2]、構造はPDB 6VYBによる[31]

ワクチン接種[編集]

WHOは、多数の変異が過去に感染またはワクチン接種を受けた人々の免疫を弱める可能性があることに懸念を示している。また、以前の変異種に比べてオミクロン株には免疫が効果的に働かない可能性もある。変異の効果は、もし存在するとしても、2021年11月末時点では未解明である。WHOは特にワクチン接種率が低い国で医療崩壊が起こる可能性を警告している。ワクチン接種率が低い場所では死亡率と罹患率が極めて高くなる可能性があるからである。WHOはすべての国にCOVID-19ワクチン接種率を上げるように促している[32]

カーディフ大学疫学者Paul Morgan教授もワクチン接種を推奨しており、次のように述べている。「I think a blunting rather than a complete loss [of immunity] is the most likely outcome. The virus can't possibly lose every single epitope on its surface, because if it did that spike protein couldn't work any more. So, while some of the antibodies and T cell clones made against earlier versions of the virus, or against the vaccines may not be effective, there will be others, which will remain effective. (...) If half, or two-thirds, or whatever it is, of the immune response is not going to be effective, and you're left with the residual half, then the more boosted that is the better.」[33]

免疫[編集]

スパイクプロテインの多くの変異は他の懸念される変異株にも存在し、伝染性の増加と免疫回避に関連している。計算モデルによれば、細胞性免疫を逃れる可能性があることが示唆されている[24]。11月26日、ECDCは回復期の血清とワクチンの中和能力の評価が、免疫回避の可能性を評価するために緊急に必要であるとして、これらのデータを2〜3週間以内に得ることが期待されている、と述べた[28]

2021年11月 (2021-11)現在、オミクロン株が高レベルの免疫を持つ人々にどの程度広まるかは不明である。オミクロン変異株が軽症またはより重症のCOVID-19の感染を引き起こすかどうかも不明である。製薬会社によれば、ワクチンは必要であれば「約100日で」新しい変異株と戦うように更新することができると考えられている[34]

ザンビアの国立伝染病研究所(National Institute for Communicable Diseases)の専門家であるAnne von Gottbergは、以前の変異株によって付与された免疫では、オミクロン株からの保護は得られないと考えている[35]

徴候と症状[編集]

変異株に特有の症状はまだ関連付けられておらず、他の変異株と同様に一部の感染者は無症状である[36]

South African Medical Association英語版会長のAngelique Coetzee英語版は、最初にこの変異株に遭遇したのは、倦怠感と痛みはあるが、咳や嗅覚や味覚の変化がない患者だったと述べた[37]

Fergus Walsh英語版は、「South Africa has a young population and it is encouraging that doctors there are reporting that Omicron is causing mild symptoms with no increase in hospital admissions. But we need to see what happens when the variant moves into older age groups who are the most vulnerable to Covid」と書いている[38]。しかし、WHOは、変異株に関するアップデートで、特定の変異株に起因するかどうかは特定できていないものの、「予備データは南アフリカで入院率が増加していることを示唆している」と述べた[39]

診断[編集]

現在のPCR検査は、オミクロン変異株を検出できる。一部の研究所は、幅広く使用されているPCRでは3つの標的遺伝子のうちの1つが検出されないことを示している。しかし、アルファ株と同様に、部分的な検出(「S遺伝子ターゲットの失敗」)でも変異株のマーカーとしては機能する[40]。そのため、COVID-19迅速抗原検査英語版はほとんどの場合に影響を受けない[36]

予防[編集]

WHOは、他の変異株と同様に、密閉された空間では十分に換気し、混雑や密接な接触を避け、適切なマスクを着用し、頻繁に手を洗い、ワクチン接種を受けることを推奨している[41][42]

11月26日、ビオンテックは、現在のワクチンが変異体に対して有効であるかどうか、そして必要に応じて更新されたワクチンを100日で出荷可能かどうかは2週間でわかると述べた。モデルナジョンソン・エンド・ジョンソンアストラゼネカも、ワクチンの有効性に対する変異株の影響を研究中である[43]。同日、Novavaxは、オミクロン株向けの更新したワクチンを開発していると発表し、数週間以内にテストと製造の準備ができることが期待され、2回の接種が必要になると述べた[44][45]。11月29日、シノバックは変異株に対する不活化ワクチンを迅速に大量生産できると述べ、新しいワクチンが必要かどうかを判断するために、研究のモニタリングと変異株のサンプルを収集していると述べた[46]ガマレヤ研究所は、スプートニク・ライトが変種株に対して効果的であるはずだと述べ、スプートニクVの適応を開始し、修正バージョンは45日で大量生産の準備ができる可能性があると述べた[47]

11月29日、WHOは、少数で予測可能な割合ではあるものの、ワクチン接種済みの人でも感染が予想されている、と述べた[48]。同日、ファイザーのCEOのAlbert Bourla英語版は、ファイザーはRNAウイルス抗ウイルス薬Paxlovid英語版の開発について、FDA緊急使用許可に申し込んだこと、会社としてはオミクロン株の治療が可能であると考えていると述べた[49][要出典医学]メルクリッジバックは、オミクロン株による感染の治療向けに、抗RNAウイルス薬のモルヌピラビルを評価中である[50]

11月30日、モデルナの最高経営責任者(CEO)を務めるステファン・バンセルは、従来株に対する既存のワクチンの効果・免疫力がはるかに弱く、オミクロンに特化したワクチンを製造するには数か月程度を要するとする警告を、イギリスの経済新聞・フィナンシャル・タイムズへのインタビューで発した[51]

WHOは各国に次のことを実行するように求めた[52]

  • 広まっているSARS-CoV-2の変異株をよりよく理解するために、監視とシーケンスの取り組みを強化すること
  • 完全なゲノム配列と関連するメタデータを、GISAIDなどの公開データベースに送信すること
  • IHR英語版のメカニズムを通して、懸念すべきウイルスの感染に関連する最初の症例/クラスターをWHOに報告すること
  • 懸念されるウイルスがCOVID-19の疫学、重症度、公衆衛生および社会的措置の有効性、診断方法、免疫応答、抗体中和、またはその他の関連する特徴に及ぼす潜在的な影響についての理解を深めるため、キャパシティが存在する場所では、国際社会と連携してフィールド調査と研究所による評価を実行すること

治療[編集]

副腎皮質ホルモン抗IL-6レセプター英語版は重症COVID-19の患者の管理に効果的であることが知られている。他の治療法の有効性への影響は現在評価中である[53][54]

モノクローナル抗体(moAb)治療に関連して、同様の試験や研究が行われている。in vitroの疑似型ウイルスデータに関する前臨床データは、高度に保存されたエピトープを使用するように設計されたいくつかのmoAbが、オミクロン株の置換の主要な変異に対する中和活性を保持していることを示している[55]

疫学[編集]

オミクロン株の症例数は南アフリカ全体、主にハウテン州で増加している[22]。一部のエビデンスは、オミクロン変異株には再感染リスクの増加を示している。伝染性、死亡率、その他の要素を評価する研究が進行中である。この変異株とワクチン有効性の影響に関する証拠は調査中である[42][56]

2020年の南アフリカの感染率は11月11日に最低になった。その後少し経った2021年の症例は1月中旬に最大となり、前年と同様に症例が11月11日に最低となったが、その後再び急速に増加し、11月25日までに4倍に増加した[57]

デルタ株と比較した伝染性については依然として大きな不確実性があるが、推測では100%[58][59]から500%[60]までの増加(2倍から6倍)の可能性がある。変異株が特定されたとき、南アフリカでは症例数は少なかったが増加していた。オミクロン変異株自体がデルタ変異株よりも伝染性が高いのか、あるいは明らかな急速な感染がスーパースプレッダーイベント英語版などの他の要因によるものなのかは、まだ明らかになっていない[61][62]

変異株は、2021年9月または10月に出現したと推定されている[63]。南アフリカは検査、ワクチン接種、回復などによって比較的COVID-19が存在しないと考えられていたが、最初の単一の症例以来、南アフリカからの航空機の乗客のかなりの割合にすでに影響を及ぼしているように見えるため、懸念されている。これは、絶対的な成長が大きいことを示している。しかし、2020年には早くも現在の姿に変化していた可能性もある[64][65]

統計[編集]

症例を検出する可能性は、特に国のシーケンス率によって大幅に異なる(シーケンス率が最も高い国では約50%であるのに対して、シーケンスが最も低い国では、すべてのCOVID-19症例の0.05%未満しかシーケンスされていない)。たとえば、南アフリカは、ほとんどの西側諸国よりもかなり低い割合ではあるが、アフリカ大陸の他の国よりは非常に多くのサンプルをシーケンスにかけている[66][67]


国別の確認済み症例
国/領土 12月17日時点で確認された感染者数(GISAID[68] 12月17日時点で確認された感染者数(その他の情報源) 疑わしい症例数
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ 1,247 19,070[69]
イギリスの旗 イギリス 5,000 14,909[70] 200,000[71][72], 53,881[73]
デンマークの旗 デンマーク 273 11,559[74] -
ノルウェーの旗 ノルウェー 179 1,176[75] -
カナダの旗 カナダ 71 488[76] 1,801[77]
アメリカ合衆国の旗 アメリカ 461 321[78]
オーストラリアの旗 オーストラリア 344 280[79] -
ドイツの旗 ドイツ 242 77[80] -
オランダの旗 オランダ 151 105[81]
ベルギーの旗 ベルギー 154 17[82]
フランスの旗 フランス 62 133[83]
スイスの旗 スイス 130 13[82]
アルゼンチンの旗 アルゼンチン 2 119[84][85] 80[86]
大韓民国の旗 韓国 9 114[87] -
イスラエルの旗 イスラエル 90 67[88] -
ボツワナの旗 ボツワナ 84 23[89]
スペインの旗 スペイン 60 14[80]
日本の旗 日本 8 50[90]
インドの旗 インド 40 50[91]
ジンバブエの旗 ジンバブエ 50[92]
ガーナの旗 ガーナ 40 33[89]
アイルランドの旗 アイルランド 32 39[93]
ポルトガルの旗 ポルトガル 23 37[94] 6[95][82]
スウェーデンの旗 スウェーデン 52 28[96]
エストニアの旗 エストニア 26[97]
ナミビアの旗 ナミビア 17 18[98]
香港の旗 香港 18 8[99]
オーストリアの旗 オーストリア 57 17[82]
ロシアの旗 ロシア 3 16[100]
イタリアの旗 イタリア 25 13[101]
ブラジルの旗 ブラジル 19 11[102]
アイスランドの旗 アイスランド 12[103] 4[104]
タイ王国の旗 タイ 12 11[105] 5
ザンビアの旗 ザンビア 11[106]
フィンランドの旗 フィンランド 3 34[107][108]
ルーマニアの旗 ルーマニア 2 13[109][110]
シンガポールの旗 シンガポール 13 24[111] -
ナイジェリアの旗 ナイジェリア 11 6[112]
ウガンダの旗 ウガンダ 7[113]
ルワンダの旗 ルワンダ 1 6[100]
トルコの旗 トルコ 3 6[114]
モンテネグロの旗 モンテネグロ 1 5[115]
スロベニアの旗 スロベニア 2 4[116]
ギリシャの旗 ギリシャ 2 3[82]
クロアチアの旗 クロアチア 2 3[82]
キプロスの旗 キプロス 3[117]
ケニアの旗 ケニア 3[118]
セネガルの旗 セネガル 7 3[119]
マラウイの旗 マラウイ 3 3[120]
パレスチナ自治区 3[100]
台湾の旗 中華民国 3[121]
スロバキアの旗 スロバキア 3 3[122]
フィジーの旗 フィジー 2[123]
ヨルダンの旗 ヨルダン 4 2[124]
ラトビアの旗 ラトビア 2[125]
レバノンの旗 レバノン 4 2[126]
ネパールの旗 ネパール 2 2[127]
フィリピンの旗 フィリピン 2 2[128]
レユニオン 7 2[129]
バングラデシュの旗 バングラデシュ 2 2[130]
チェコの旗 チェコ 5 2[82]
チリの旗 チリ 2 2[131]
ハンガリーの旗 ハンガリー 2[132]
リトアニアの旗 リトアニア 3 2[133]
モーリシャスの旗 モーリシャス 2[134]
モザンビークの旗 モザンビーク 17 2[135]
オマーンの旗 オマーン 2[136]
アルジェリアの旗 アルジェリア - 1[100] -
バーレーンの旗 バーレーン - 1[137] -
カンボジアの旗 カンボジア 1 1[138] -
中華人民共和国の旗 中国 1 2[139][140] -
キューバの旗 キューバ - 1[141] -
エクアドルの旗 エクアドル 1 1[142] -
インドネシアの旗 インドネシア 1 3[143] -
クウェートの旗 クウェート - 1[144] -
リヒテンシュタインの旗 リヒテンシュタイン 2 1[145]
ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク 1 1[82]
マレーシアの旗 マレーシア 1 1[146]
モルディブの旗 モルディブ 1 1[147]
メキシコの旗 メキシコ 7 1[148]
モロッコの旗 モロッコ 1[149]
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 1 1[150]
パキスタンの旗 パキスタン 1 1[151] -
ポーランドの旗 ポーランド 2 1[100] -
プエルトリコの旗 プエルトリコ 3 1[152] -
シエラレオネの旗 シエラレオネ 1 1[153]
サウジアラビアの旗 サウジアラビア 1[154]
スリランカの旗 スリランカ 2 1[155]
トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 1 1[156]
チュニジアの旗 チュニジア 1[157]
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 1[158]
 全世界合計(91の国と領土) 8,886 29,688 >200,000

歴史[編集]

報告症例数[編集]

2021年11月24日、南アフリカからWHOにオミクロン株が初めて報告されたが[2]、既知の最初のサンプルは、報道によると2021年11月9日にボツワナから収集されたとしている[24]。その後、南アフリカでも検出され[159]、1人の感染者は香港へ旅行していた[160][161]。さらに、イスラエルでは、マラウィから帰国した1人の旅行者[162]、南アフリカから帰国した2人、マダガスカルから帰国した1人の感染者が特定された。ベルギーで確認された1件の症例は、11月11日以前にエジプトで感染した可能性がある[163]

ボツワナから報告された初期の4つのすべての症例は、ワクチン接種が完了した個人に発生していた。イスラエルから報告された初期の3つの症例と1つの疑わしい症例のすべては、ワクチン接種が完了した個人に発生していた[162]。ドイツの疑わしい症例の1つでもワクチン接種が完了していた[164]

11月27日、イギリスで2件、ドイツのミュンヘンで2件、イタリアのミラノで1件の症例が検出された[165]オランダの保険大臣は、(オランダが南アフリカからの渡航を禁止する直前に離陸して)アムステルダム・スキポール空港に到着した南アフリカからの2便の600人の乗客のうち61人がCOVID-19の検査で陽性の結果となり、その後そのうち13人がオミクロン株であることが判明した[166]。オランダへの入国では、一般に、ワクチン接種、PCRテスト、感染からの回復が要求されている。1機は、オミクロン変異株が支配的となっているハウテン州ヨハネスブルグからの飛行機だった。新しく課された制限により、2機の乗客には検査と隔離が行われた[167]

11月28日、オーストラリアシドニーで2件の症例が検出された。2人とも南アフリカからドーハ国際空港経由で前日にシドニーに到着していた。2人は完全にワクチン接種をしていたが、隔離状態だった。南アフリカからの12人の他の旅行者たちも14日間の隔離に入っていたが、飛行機の他の約260人の乗客と乗組員は隔離するように指示された[168]デンマークに到着した南アフリカからの2人の旅行者は、COVID-19の検査で陽性だった。その後、11月28日に、オミクロン株に感染していることが確認された[169][170]。同日、オーストリアも最初のオミクロン株を確認した[171]。チェコ共和国では、ナミビアで過ごした旅行者から、オミクロン株の症例が報告された[172]。カナダも、ナイジェリアからの旅行者からの2件の最初のオミクロン株の症例を報告し、これが北アメリカで初めて報告されたオミクロン株の症例となった[173]

11月29日、オーストラリアのノーザンテリトリーのダーウィンで陽性の症例が記録された。感染者は11月25日に南アフリカのヨハネスブルグからの本国送還飛行でダーウィンに到着し、検疫施設に運ばれ、そこで陽性検査が記録された[174]。アフリカ南部からシンガポール経由でシドニーに旅行したさらに2人も陽性であった[175]。ポルトガルは13のオミクロン株の症例を報告し、これらはすべてサッカークラブのメンバーだった[176]。スウェーデンも11月29日に最初の症例を確認した[177]スペインも南アフリカから来た旅行者が最初の症例だった[178]

11月30日、オーストラリアのシドニーで、旅行制限前にシドニーに到着する前にアフリカ南部を訪れた後、地元で行動していた人からの陽性症例が記録された[179]

市場の反応[編集]

オミクロン株による潜在的な経済的影響についての懸念により、11月26日に旅行関連株に牽引されたダウ平均株価の2021年における最悪の低下を含む世界市場の落ち込みを招いた。ブレント原油ウェスト・テキサス・インターミディエイトの価格は、それぞれ10%と11.7%下落した[180]

暗号通貨市場も下落した[181][182]南アフリカランドも2021年の史上最低を記録し、ドルに対して16ランド以上で取引され、11月時点の価値の6%を失った[183][184][185]。2021年11月28日 (2021-11-28)現在、南アフリカとボツワナ以外のすべての既知の症例は旅行に関係している。ベルギーの症例はエジプトと関連している。最近の旅行者は、結果にバイアスがかけられ、より多くのテストを受けている[186]

国際的な反応[編集]

2021年11月26日、WHOは国々に新しい旅行制限を課さないように忠告し、旅行対策に「リスクベースで科学的な」アプローチを取るように推奨した[187]。同日、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、モデリングの結果、厳格な渡航禁止令によりヨーロッパ諸国への変異株の影響を2週間遅らせることができ、各国が対策を行える可能性があると報告した[28]。WHOの発表後の同日、変異株の特定に応じて、数カ国が南アフリカからの渡航禁止を発表した。そのうちアメリカ合衆国は、アフリカの8カ国からの渡航を禁止したが[188]、特に、症例も検出されたヨーロッパ諸国、イスラエル、カナダ、オーストラリアからの渡航は禁止しなかった。南アフリカからの渡航を禁止したその他の国には、日本カナダEUイスラエルオーストラリアイギリスシンガポールがある[189][190][191][192][193][194][195]。ブラジルのブラジルの国家衛生監督庁英語版は新しい変異株に関する渡航制限を推奨した[196]ニューヨーク州英語版は、州でもアメリカ合衆国でもオミクロン変異株が検出されていないにも関わらず、オミクロン変異株の潜在的なスパイクに先駆けて緊急事態宣言を発表した[197]。11月27日、スイスは、もともとのベルギーとイスラエルを含む、変異株が検出された国から到着するすべての訪問者に対して、義務的な検査と隔離を導入した[198]

この反応に対して、南アフリカの保険大臣英語版ジョー・ファーラ英語版は、自国のパンデミックへの対応を擁護し、渡航禁止令はWHOの「規範と基準(norms and standards)」に反すると述べた[199]。渡航の禁止は、南アフリカの経済に重大な影響を与える可能性が高く、他の国々が新たな懸念される変異株の発見を隠す可能性がある。発展途上国でのワクチン接種率が低いと新しい変異株が出現する機会が生じ、また、こうした国々はワクチンを開発および生産するための知的財産権を獲得するのに苦労している[200]。同時に、南アフリカではワクチン忌避や無関心のために接種が遅くなっており、2021年11月の時点で人口の35%しか完全なワクチン接種を受けていない[201]

2021年11月29日、WHOは、この変異株は非常に高い世界的リスクと深刻な結果をもたらすこと、および優先度の高いグループへのワクチン接種を加速し、医療制度を強化することによって準備する必要があることを各国に警告した。WHOのテドロス・アダノム事務局長は、世界情勢を危険で不安定なものと表現し、現在のシステムは、各国が必然的に上陸する脅威に対して他の国々に警告するのを妨げるため、パンデミックの取り扱いに関する新たな合意を求めた。CEPIのリチャード・ハチェットCEOは、この変異株は低ワクチン接種地域でのウイルスの伝播が進化を加速させるという予測を満たすと述べた[202]

アメリカに到達するオミクロン株に備えて、ジョー・バイデン大統領は、変異株は「パニックではなく懸念の原因」であると述べ、政府は変異株に対する準備ができており、それを管理することを繰り返した。また大統領は、パンデミックの始まりに近い2020年のものと同様の大規模な封鎖は「今のところは選択肢にはない」と述べた[203]

各国の渡航制限[編集]

欧州連合の旗 欧州連合

イギリスの旗 イギリス

  • 11月26日午後12時から南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスワティニの6カ国からの渡航者に隔離を義務づけた[205]

スイスの旗 スイス

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

  • 11月29日から南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、ナミビア、レソト、エスワティニ、モザンビーク、マラウイの8カ国から、アメリカ市民と居住者を除き、渡航を制限する[207]

オーストラリアの旗 オーストラリア

  • 南アフリカやジンバブエなど9か国からの渡航を制限すると発表した。帰国したオーストラリア人については14日間隔離される[208]

日本の旗 日本

  • 政府は、11月27日午前0時から南アフリカ、エスワティニ、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、レソトの6カ国を対象に、入国後10日間、国が指定する宿泊施設に隔離する措置を行なう[209]。27日午後、モザンビーク、マラウイ、ザンビアを加えた9カ国を対象とすると発表した[210]
  • 11月29日午後、30日午前0時から全世界を対象に外国人の入国を禁止すると発表した。また、オミクロン株が確認された国からの日本人の帰国については、10日間の隔離を求める[211]

フィリピンの旗 フィリピン

  • 11月27日、南アフリカ共和国、ボツワナ、エスワティニ、レソト、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエからの入国を直ちに中断した。過去2週間の滞在歴がある場合も入国禁止とした[212]
  • 28日、入国禁止対象国にオーストリア、チェコ、ハンガリー、オランダ、スイス、ベルギー、イタリアの欧州7カ国を追加した。12月15日までの間、入国禁止とする[213]

シンガポールの旗 シンガポール

  • 11月27日午後11時59分以降、ボツワナ、エスワティニ、レソト、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエからの入国者に10日間、南アフリカからの帰国者に7日間の専用施設での隔離を求める[214]

大韓民国の旗 韓国

  • アフリカ8カ国を対象として、28日午前0時から対象国から入国する自国民に10日間の隔離を義務づけ、対象国からの外国人の入国を禁止した[215]

中華人民共和国の旗 中国

  • マカオの旗 マカオ
    • 11月28日午前0時以降、直近21日以内に南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、ナミビア、レソト、エスワニティ、モザンビーク、マラウイに滞在歴がある人のマカオ行き民間航空機への搭乗を禁止し、水際対策を強化した[216]
  • 香港の旗 香港
    • 26日に入国規制の強化を発表し、南部アフリカの8カ国からの外国人の入国を禁止した。香港人は、最初の7日間は政府の専用施設で隔離、さらに14日間を隔離ホテルで過ごすことになる[217]

インドネシアの旗 インドネシア

  • 11月29日から、過去14日間に南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、レソト、モザンビーク、エスワティニ、ナイジェリアに滞在したことのある渡航者を入国禁止し、インドネシア国民は、指定された施設で14日間隔離する。その他全ての渡航者についても、隔離期間を3日間から7日間に延長する[218]

タイ王国の旗 タイ

  • 12月から南アフリカ共和国、ボツワナ、ジンバブエ、ナミビア、レソト、エスワティニ、モザンビーク、マラウイなど8か国からの入国を制限する[219]

イスラエルの旗 イスラエル

  • 28日深夜以降、すべての外国人の入国を禁止すると発表した[220]

サウジアラビアの旗 サウジアラビア

  • 南アフリカ、ボツワナ、エスワティニ、レソト、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエからの入国を禁止する[221]

アラブ首長国連邦の旗 UAE

ブラジルの旗 ブラジル

  • 11月27日、搭乗前14日間以内に南アフリカ、ボツワナ、エスワティニ、レソト、ナミビア、ジンバブエを出発又は経由した外国人渡航者に対し、ブラジル行きの国際便への搭乗を禁止する措置を公布した[222]

年表[編集]

2021年[編集]

11月[編集]

  • 30日 - 日本の旗 日本岸田文雄内閣総理大臣が前日の11月29日に発表した通り、外国人の観光目的などの不要不急の目的による入国処置を、それまでの南アフリカ共和国など、オミクロン株が確認されたアフリカ大陸の9か国を含め、全世界すべての国・地域を対象として同日午前0時(日本時間)をもって原則として禁止するとともに、日本人の帰国者に対する一定期間の待機・隔離処置についても、「オミクロン株が確認された9か国を含む14か国・地域から帰国を行う場合は厳格な隔離処置を行う」とした。日本国政府は、ビジネス目的での短期入国については11月8日から待期期間を3日間に短縮するほか、留学生・技能実習生についても原則条件付きながら入国を認めていた[244]
  • 同日 - 日本の旗 日本でオミクロン株の感染が初めて確認される。感染者はナミビア共和国から11月28日に帰国し、成田国際空港に到着した30代の男性。入国検査で、新型コロナウィルスの陽性反応が確認され、のちに詳細な解析をした結果、オミクロンであったことがわかった[245]後藤茂之厚生労働大臣は同日の記者取材で、感染者がナミビアの外交官だと明らかにした[246]

12月[編集]

  • 16日 - 毎日新聞が、空港の検疫施設以外で日本の旗 日本初のオミクロンの市中感染者が東京都内で確認されたとの報道をし、松野博一官房長官は会見で「市中感染が発生したとは考えていない」と釈明した。その後毎日新聞はこの記事を取り消したうえで、記事内容を再精査して記事を再投稿したとされる[247]
  • 下旬 - 中華人民共和国の旗 中国西安市でロックダウン(都市封鎖)を実施。市民に対して、最低限の人数による生活用品・食料品買い出しを除いた不要不急の外出を禁じるよう命じた[248]

2022年[編集]

1月[編集]

  • 3日 - 中華人民共和国の旗 中国河南省においても、上記の西安市と同様に、ロックダウンを実施し、すべての市民に対し不要不急の外出、路線バス・タクシーなどの公共交通機関を含む自動車類の運転を原則禁止するほか、学校・飲食店などの閉鎖命令を出した[249]
  • 上旬 - 動画投稿サイトに、中華人民共和国の旗 中国西安市のロックダウンによる原則外出禁止令を無視し、同市内から脱出しようと川を渡ろうとした男性をはじめ、多数の市民の摘発や、買い物に出かけようとした市民らが、地区の担当者らに殴られるなどといった暴行を加えられるという映像が投稿されている[250]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ しかしながら、「習」は中国では多い順で331番目と一般的な姓ではなく[15]、また「習」以外の「クサイ(xi)」と発音する字体で「習」以上に姓として多く使用されている字体は存在しない[15]
  2. ^ ウイルス側の受容体と結合する部位のこと[25]

出典[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]