人工呼吸

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人工呼吸用のマスク

人工呼吸(じんこうこきゅう)とは、自発呼吸が不十分な人に対し、人工的に呼吸を補助することをいう。

概要[編集]

一般的には陽圧をかけてに気体を送り込み、換気を補助する。応急処置の人工呼吸(口移し式)、マスクとアンビューバッグを使う方法、気管内チューブと人工呼吸器を使う方法などがある。

心肺蘇生法においては、心臓マッサージ[1]を主に行い、余裕があれば気道確保し、呼吸の補助方法である人工呼吸も行う(総務省消防庁資料『救急蘇生法の指針2015(市民用)』には、「救助者が人工呼吸の訓練を受けており、それを行う技術と意思がある場合」は人工呼吸を行う事とされている。)[2][3]。日本での119番によって指示が得られる。

適応[編集]

肺炎ARDSショック脳血管障害呼吸停止などにより、原因に対する適切な処置および酸素投与を行ってもなお酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が不十分な場合である。病状にもよるが、一般にPaO2:50Torr以下、PaCO2:70Torr以上が適応とされる。また、全身麻酔で行われる手術時は人工呼吸を必要とすることが多い。

BLSにおける人工呼吸[編集]

呼吸停止に陥った人を救命するために現場に居合わせた一般市民が行う処置で、BLSの一部である。主に口から呼気を吹き込んで強制的に換気する方法である。詳細は心肺蘇生法を参照。

気道確保[編集]

  • フェイスマスク
  • ラリンジアルマスク
  • コンビチューブ
  • 気管挿管
  • 気管切開

器械式人工換気[編集]

蘇生における人工呼吸と異なり、数時間以上(時には数年~数十年)に渡って呼吸補助をする必要がある場合には、人工呼吸器を用いる。人工呼吸器はバッグ換気などのような用手での人工呼吸と異なり、気道内圧やその変化・酸素分圧などを細かく調整するための様々なモード・機能が備わっている。

  • BIPAP/APRV
  • CPAP
  • SIMV,IMV
  • CMV(IPV)
  • HFJV
  • 液体換気(liquid ventilation)

歴史[編集]

古代ギリシアの医学者ガレノス(129年頃-200年頃)は、「死んだ動物の喉にを通し空気を吹き込み気管支を満たすと、肺が膨らむ様子を見ることが出来る」という記述を残している[4]

1773年、英国の医師ウィリアム・ホーズ(William Hawes、1736-1808)は、溺死しているように見える人に人工呼吸することで蘇生できると世に広めた。1767年に水難から命を保護する組織を結成した医師も啓蒙活動に参加した。彼らは、1774年のイングランドで溺れた人を蘇生することを目的とした組織「Royal Humane Society」を結成した[5][6]

その後、衛生的・効率的に肺に空気を送り込む器具の開発や方法の模索が行われた。

脚注[編集]

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  1. ^ 通常「心臓マッサージ」といわれるものは、正確には「胸骨圧迫」。
  2. ^ 人工呼吸、省略OK? 変わる心肺蘇生法 京都市消防局が救命講習(産経West 掲載日:2015.4.4。参照日:2018.6.18.)
  3. ^ 救急蘇生法の指針2015(市民用)(総務省消防庁)
  4. ^ Colice, Gene L (2006). "Historical Perspective on the Development of Mechanical Ventilation". In Martin J Tobin. Principles & Practice of Mechanical Ventilation (2 ed.). New York: McGraw-Hill. ISBN 978-0-07-144767-6.
  5. ^  この記述にはアメリカ合衆国内で著作権が消滅した次の百科事典本文を含む: Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Humane Society, Royal". Encyclopædia Britannica (英語). 13 (11th ed.). Cambridge University Press. pp. 871–872. 
  6. ^ New Scientist, Vol. 193 No. 2586 (13–19 Jan 2007), p. 50

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]